以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
(実施の形態1)
本実施の形態では、TFT及びその作製方法の一例について図1乃至図6を参照して説明する。
図1に示すTFTは、基板100上にゲート電極層102を有し、ゲート電極層102を覆ってゲート絶縁層104を有し、ゲート絶縁層104に接して結晶性半導体層106を有し、結晶性半導体層106上にバッファ層108を有し、バッファ層108上に接して不純物半導体層110を有し、不純物半導体層110上に接してソース電極及びドレイン電極層112を有する。バッファ層108には一部がエッチングされたバックチャネル部が設けられており、該バックチャネル部に接し、且つ該TFTを覆って保護層114が設けられている。保護層114には開口部116が設けられており、開口部116を介してソース電極及びドレイン電極層112と保護層114上に設けられた画素電極層118が接続されている。
なお、結晶性半導体層106とバッファ層108は、互いに接して積層されている。例えば、結晶性半導体層106を微結晶半導体により形成し、バッファ層108を、後述する非晶質半導体を含む半導体により形成するとよい。TFTがオンすると結晶性半導体層106に流れる電流が支配的であり、TFTがオフするとバッファ層108に流れる電流が支配的である。そして、バッファ層108を後述する非晶質半導体を含む半導体により形成することで、オン電流の低下を防ぐこともできる。そのため、結晶性半導体層106を結晶性半導体により形成し、バッファ層108を後述する非晶質半導体を含む半導体により形成することで、オン電流が大きいTFTを得ることができる。ただし、バッファ層108はこれに限定されず、例えば非晶質半導体により形成してもよい。
ここで、TFTを構成する層のそれぞれについて説明する。
基板100は、基板100上に形成される薄膜(結晶性半導体層106など)の形成工程に耐えうる程度の耐熱性及び耐薬品性などを有していればよく、特定の材料からなる基板に限定されるものではない。具体的には、ガラス基板、石英基板、ステンレス基板及びシリコン基板が挙げられる。なお、図1に示すTFTを表示装置に適用する場合には、基板100には透光性を有する基板を用いればよく、例えば、ガラス基板または石英基板を用いればよい。基板100がマザーガラスの場合には、第1世代(例えば、320mm×400mm)〜第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のものを用いればよいが、これに限定されるものではない。
ゲート電極層102は、Mo、Ti、Cr、Ta、W、Al、Cu、Nd若しくはScなどの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料により形成することができる。ゲート電極層102は、これらの材料により単層で形成しても良いし、これらを積層して形成してもよい。なお、ゲート電極層102は、ゲート配線も構成する。
ゲート絶縁層104は、ダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜によって形成する。ダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜として、例えば水酸基を含む酸化シリコン膜が挙げられる。なお、単層で形成しても良いし、これらを積層して形成してもよい。ゲート絶縁層104は、形成ガスに珪酸エチル(TEOS(化学式:Si(OC2H5)4))を用いて形成した酸化シリコンによって形成することが特に好ましい。より好ましくは窒化シリコン膜上に形成ガスに珪酸エチルを用いた酸化シリコン膜を形成する。
形成ガスに珪酸エチルを用いると、珪酸エチルと酸素が反応して酸化シリコン膜が形成される。このように形成された酸化シリコン膜は被覆性が高いため、膜の形成不良による歩留まりの低下などを防止することができる。なお、形成方法としてはCVD法を用いればよく、好ましくはプラズマCVD法を用いる。
なお、ゲート絶縁層104は単層で形成してもよいし、複数の絶縁層を積層した積層膜により形成してもよい。ゲート絶縁層104を積層膜により形成する場合には、少なくとも結晶性半導体層106に接する側にダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜を設ければよい。この場合には、例えば、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコン上に、形成ガスに珪酸エチルを用いて形成した酸化シリコン膜を用いればよい。
珪酸エチルを用いて形成した酸化シリコンに代表される酸化シリコンによりゲート絶縁層104を形成することで、結晶性半導体層106の結晶性を向上させることができる。ゲート絶縁層104表面に存在する、シリコンの結晶成長を阻害する窒素の濃度を低減させることができるためである。これについては実施例1にて詳細に説明する。
なお、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。一方で、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
結晶性半導体層106は、上記説明したように結晶性半導体により形成するとよい。結晶性半導体には、多結晶半導体または微結晶半導体などを含むが、結晶化工程が不要で直接堆積法による形成が可能な微結晶半導体により形成することが好ましい。基板面内における膜質のばらつきが小さく、低コストで形成することができるからである。
バッファ層108は、非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有し、従来の非晶質半導体と比較して、CPM(Constant photocurrent method)やフォトルミネッセンス分光測定で測定されるUrbach端のエネルギーが小さく、欠陥吸収スペクトル量が少ない半導体により形成することが好ましい。すなわち、従来の非晶質半導体と比較して欠陥が少なく、価電子帯のバンド端(移動度端)における準位のテール(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体により形成することが好ましい。
ただし、バッファ層108は、上記の記載に限定されず、非晶質半導体により形成してもよい。バッファ層108は、少なくとも結晶性半導体層106よりもキャリア移動度の低い材料により設ければよい。バッファ層108を有することで、オフ電流を抑えることができる。
または、結晶性半導体層106として、上記した非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有する半導体層を形成してもよい。この場合にはバッファ層108も上記した非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有する半導体により形成してもよい。または、結晶性半導体層106として、上記した非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有する半導体層を形成し、バッファ層108として非晶質半導体層を形成してもよい。
第1の不純物半導体層110は、半導体層とソース電極及びドレイン電極層112をオーミック接触させることを目的として設ける層であり、形成ガスに一導電型を付与する不純物元素を含ませることで形成することができる。導電型がn型のTFTを形成する場合には、代表的には不純物元素としてリンを添加すれば良く、水素化シリコンにフォスフィン(化学式:PH3)などのn型の導電型を付与する不純物元素を含む気体を加えて形成することができる。導電型がp型のTFTを形成する場合には、代表的には不純物元素としてボロンを添加すれば良く、水素化シリコンにジボラン(化学式:B2H6)などのp型の導電型を付与する不純物元素を含む気体を加えればよい。第1の不純物半導体層110の結晶性は特に限定されず、結晶性半導体であってもよいし、非晶質半導体であってもよいが、結晶性半導体により設けることが好ましい。第1の不純物半導体層110を結晶性半導体層により設けることで、オン電流が大きくなるからである。なお、一導電型を付与する不純物元素は、概ね1×1019cm−3以上1×1021cm−3以下で含まれるように形成すればよい。
ソース電極及びドレイン電極層112は、Mo、Ti、Cr、Ta、W、Al、Cu、Nd若しくはScなどの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料により形成することができる。ソース電極及びドレイン電極層112は、これらの材料により単層で形成しても良いし、これらを積層して形成してもよい。なお、ソース電極及びドレイン電極層112は、ソース配線も構成する。
保護層114は、ゲート絶縁層104と同様に形成することができる。すなわち、ゲート絶縁層104と保護層114を同様の材料により形成し、これらにより結晶性半導体層106とバッファ層108を挟持すればよい。
なお、保護層114は、ゲート絶縁層104と同様に単層で形成してもよいし、複数の絶縁層を積層した積層膜により形成してもよい。保護層114を積層膜により形成する場合には、少なくともバッファ層108などに接する側にダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜を設ければよい。この場合には、例えば、形成ガスに珪酸エチルを用いて形成した酸化シリコン膜上に、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを形成すればよい。
画素電極層118は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう。)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
画素電極層118は、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物または酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などを用いて形成してもよい。
図1に示すTFTは、上記したようにダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜により半導体層が挟持されている。そのため、チャネル形成領域のダングリングボンドは終端され、欠陥準位が低減されている。従って、図1に示すTFTは、半導体層中のキャリア移動度が高く、電界効果移動度が高く、オン電流が大きいTFTである。
なお、図1に示すTFTでは、珪酸エチルにより形成した酸化シリコン膜をゲート絶縁膜と保護層の双方に適用している。そのため、チャネル形成領域である結晶性半導体層106のダングリングボンドを十分に終端することができ、チャネル形成領域を有する半導体層のキャリア移動度を十分に高くすることができる。更には、図1に示すTFTはバッファ層108を有するため、そのオフ電流は十分に小さいものとなる。しかし、バッファ層108は、キャリア移動度の小さい半導体膜によって形成されるため、バッファ層108の移動度が結晶性半導体層106と比較して過度に低いと、オン電流を低下させる原因となるため好ましくない。しかし、図1に示すTFTのように、珪酸エチルにより形成した酸化シリコン膜をバッファ層108にも接して形成することでバッファ層108中のダングリングボンドも終端することができ、バッファ層108によりオフ電流を抑えた場合であってもオン電流を十分に大きくすることができる。
なお、本実施の形態において開示するTFTは、図1に示す形態に限定されない。より好ましくは、保護層114上のチャネル形成領域と重畳する領域に更なるゲート電極層を設ける。この、更なるゲート電極層によりTFTのオン電流及びオフ電流を制御することができる。
図2は、図1に示すTFTを覆う保護層114上のチャネル形成領域と重畳する領域に更なるゲート電極層118Bが設けられた形態を示す。更なるゲート電極層118Bは、画素電極層118Aと同一の層である。このような構造とすることで閾値電圧の制御が可能となる。従って、オン電流が高くオフ電流が低い、高速動作が可能なTFTとすることができる。
なお、図2に示すTFTは、更なるゲート電極を画素電極層と同時に形成される導電層により設けるため、工程数を増加させることなく上記メリットを有するTFTを作製することができる。
なお、保護層上のチャネル形成領域と重畳する領域に更なるゲート電極層を設ける場合のTFTの形態については、図2に示すTFTに限定されない。図2に示すTFTでは、更なるゲート電極が画素電極層118により設けられているが、更なるゲート電極層として導電層を別途形成してもよい。なお、図2に示すTFTでは、各画素においてゲート電極層と更なるゲート電極層がコンタクトしているが、ゲート電極層と更なるゲート電極層を各画素においてコンタクトさせずに独立に制御してもよい。この場合には、更なるゲート電極層を設けるために工程数が増加することになる。
次に、図1に示すTFTの作製方法について説明する。
まず、基板100上にゲート電極層102を形成する。基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度以上の耐熱性を有するプラスチック基板などを用いることができる。または、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁層を設けた基板を用いても良い。すなわち、基板100としては、絶縁性表面を有する基板を用いる。基板100がマザーガラスの場合、第1世代(例えば、320mm×400mm)〜第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のどれを用いてもよい。
ゲート電極層102は、Mo、Ti、Cr、Ta、W、Al、Cu、Nd若しくはScなどの金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いて形成することができる。なお、これらは単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。例えば、Al層上にMo層またはTi層が積層された二層の積層構造とすることが好ましい。電気的抵抗が低い層(例えば、Al層)上にバリア層として機能する金属層(例えば、Mo層またはTi層)が積層して形成されることで、電気的抵抗を抑えて、且つ金属層から半導体層への金属元素の拡散を防止することができる。例えば、Al−Nd合金層上にMo層を積層して形成すると、耐熱性に優れ、且つ電気的抵抗が低い導電層を形成することができる。または、三層以上の積層構造としてもよい。
ゲート電極層102は、スパッタリング法または真空蒸着法により基板100上に導電膜を形成し、該導電膜上にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法などによりマスクを形成し、該マスクを用いて導電膜をエッチングすることで形成することができる(図3(A)を参照)。または、Ag、Au若しくはCuなどの導電性ナノペーストをインクジェット法により基板上に吐出して焼成することで形成することもできる。なお、ゲート電極層102と基板100との密着性を向上させ、ゲート電極層102を構成する材料の拡散を防ぐバリアメタルとして、上記の金属材料の窒化物層を、基板100と、ゲート電極層102との間に設けてもよい。ここでは、基板100上に導電膜を形成し、フォトマスクにより形成したレジストマスクを用いてエッチングすることで、ゲート電極層102を形成する。
なお、ゲート電極層102上には、後の工程でソース配線(信号線)を形成する導電層などを形成するので、段差の箇所における配線切れ防止のため側面をテーパー状に加工することが好ましい。この工程でゲート電極のみならずゲート配線(走査線)も同時に形成することができる。更には、画素部が有する容量線も同時に形成することができる。なお、走査線とは、画素を選択する配線をいう。
次に、ゲート電極層102を覆ってゲート絶縁層104を形成し、ゲート絶縁層104上に結晶性半導体層106となる結晶性半導体膜150、バッファ層108となるバッファ半導体膜152、及び不純物半導体層110となる不純物半導体膜154を順に積層して形成する(図3(B)を参照)。なお、少なくとも、ゲート絶縁層104、結晶性半導体膜150及びバッファ半導体膜152を連続して成膜することが好ましい。更に好ましくは、ゲート絶縁層104から不純物半導体膜154まで連続して成膜する。少なくとも、ゲート絶縁層104、結晶性半導体膜150及びバッファ半導体膜152を大気に触れさせることなく連続して成膜することで、大気成分や大気中に浮遊する不純物元素によりこれらの層が汚染されることなく、積層膜の各層の界面を形成することができる。そのため、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができ、信頼性の高いTFTを歩留まりよく作製することができる。
ゲート絶縁層104は、少なくとも結晶性半導体層106及びバッファ層108に接する側を、これらに含まれるダングリングボンドを終端させることができる絶縁膜によって形成する。特に好ましくは、形成ガスに珪酸エチルを用いた酸化シリコン層をCVD法(より好ましくはプラズマCVD法)により形成する。なお、ゲート絶縁層104は、単層で形成しても良いし、これらを積層して形成してもよい。ゲート絶縁層104は、50nm以上、好ましくは50nm以上400nm以下、より好ましくは150nm以上300nm以下となるように形成するとよい。
結晶性半導体膜150は、プラズマCVD法などを用いて微結晶シリコンによって形成することができ、2nm以上60nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下の厚さで形成するとよい。
なお、本実施の形態の結晶性半導体のキャリア移動度は、非晶質半導体のキャリア移動度の概ね2倍〜20倍である。そのため、結晶性半導体により形成されるTFTでは、非晶質半導体により形成されるTFTと比較して、I−V曲線における立ち上がり部分の傾きが急峻となる。ここで、ゲート電圧とは、ソース電極の電位を基準としたゲート電極の電位との電位差をいい、ドレイン電流とは、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流をいう。従って、結晶性半導体をチャネル形成領域に用いたTFTは、スイッチング素子としての応答性に優れ、高速動作が可能である。表示装置のスイッチング素子として、結晶性半導体層をチャネル形成領域に用いたTFTを用いると、チャネル形成領域の面積、即ちTFTの面積を縮小することができるため、開口率を向上させ、高精細化が可能である。更には、駆動回路の一部または全体を画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを実現することもできる。
なお、結晶性半導体層は、価電子制御を目的とした不純物元素を添加せずとも弱いn型の電気伝導性を示すことが多い。そのため、TFTのチャネル形成領域として機能する結晶性半導体層には、p型を付与する不純物元素(例えば、ボロン)を成膜と同時に、または成膜後に添加して閾値電圧Vthを調整してもよい。p型を付与する不純物元素として代表的にはボロンがあり、ジボランまたは3フッ化ボロン(化学式:BF3)などの不純物元素を含む気体を1ppm〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmの割合で水素化シリコンに含ませることで形成するとよい。そして、結晶性半導体層中のボロンの濃度を、例えば1×1014〜6×1016cm−3とするとよい。
なお、結晶性半導体膜150の厚さは、例えば、結晶性半導体膜150の成膜工程における堆積性ガス(例えば、シラン(化学式:SiH4)ガス)の流量と成膜時間により調整することができる。具体的には、酸素または窒素に代表される結晶化を阻害する成分を低減させ、シランなどの堆積性ガスの流量に対する水素などの希釈ガスの流量を大きくすることで形成することができる。このとき、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。このように結晶性半導体膜150が形成される。
バッファ層108は、電界を緩和してオフ電流を低減する層として機能する。ここでは、バッファ層108を、従来の非晶質半導体と比較して欠陥が少なく、価電子帯のバンド端(移動度端)における準位のテール(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体膜を加工して形成する場合について説明する。このような半導体膜は、上記した結晶性半導体膜150の形成ガス中に、好ましくは窒素を含むガスを混合させ、結晶性半導体膜150の成膜条件よりも堆積性ガス(例えば、シランガス)に対する水素の流量比を小さくし、プラズマCVD法を用いることで、バッファ半導体膜152における結晶成長が抑制されることで形成される。なお、バッファ半導体膜152には、好ましくは窒素が1×1020cm−3乃至1×1021cm−3で含まれる。ここで、窒素は、NH基またはNH2基の状態で存在することが好ましい。半導体原子のダングリングボンドが窒素、好ましくはNH基で架橋され、若しくはNH2基で終端されてキャリアが流れやすくなるためである。特に、隣り合う二つのシリコン原子のダングリングボンドを窒素原子若しくはNH基により架橋することでキャリア移動度が向上し、オン電流が増大する。なお、NH2基は主に半導体内部のダングリングボンドの終端に寄与する。この結果、結晶粒界や欠陥に起因するトラップ準位密度を小さくし、障壁ポテンシャルを消失させ若しくは低減させることができる。そのため、キャリアが散乱、トラップ、若しくは再結合されにくくなることで、キャリア移動度が向上し、TFTは十分な電界効果移動度とオン電流を得ることができる。
更には、ダングリングボンドが、窒素原子若しくはNH基によって架橋され、またはNH2基によって終端されることで、半導体のバンドギャップ中央付近に形成されるトラップ準位が消失し、若しくはその数が少なくなる。そのため、このトラップ準位に起因する間接トンネル電流(例えば、Shockley Read Hall電流、Trap Asisted Tunneling電流、Poole Frenkel電流)を抑えることができ、オフ電流をも低減することができる。
上記説明したバッファ層108を設けることで、オン/オフ比が高いTFTを得ることができる。なお、このとき、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよく、結晶性半導体層106を形成する時よりも希釈ガスの流量比を小さくするとよい。
なお、バッファ半導体膜152の酸素濃度は低減させることが好ましい。バッファ半導体膜152の酸素濃度を低減することにより、結晶粒と非晶質半導体との界面や、結晶粒同士の界面における、キャリアの移動を阻害する結合を低減することができる。
不純物半導体層110は、不純物半導体膜154を形成し、これをエッチングして形成することができる。不純物半導体層110として導電型がn型のTFTを形成する場合には、代表的には不純物元素としてリンを添加すればよく、例えば水素化シリコンにフォスフィンを含む気体を加えることで形成することができる。または、導電型がp型のTFTを形成する場合には、代表的には不純物元素としてボロンを添加すれば良く、例えば水素化シリコンにジボランを含む気体を加えることで形成することができる。不純物半導体層110は、結晶性半導体または非晶質半導体のどちらで形成してもよいが、好ましくは結晶性半導体により形成する。不純物半導体層110はバッファ層108とソース電極及びドレイン電極層112とがオーミック接触可能な厚さとすればよく、概ね2nm以上60nm以下の厚さで形成するとよい。不純物半導体層110を可能な範囲で薄くすると、スループットを向上させることができる。なお、不純物半導体層110を結晶性半導体により形成する場合には、酸素または窒素に代表される結晶化を阻害する成分を低減させ、シランなどの堆積性ガスの流量に対する水素などの希釈ガスの流量を小さくすることで形成することができる。このとき、不純物半導体層110を非晶質半導体により形成する場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を1倍以上10倍以下、好ましくは1倍以上5倍以下とすればよいが、結晶性半導体により形成する場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。このように形成することで、一導電型を付与する不純物元素を含む微結晶半導体層が形成される。
なお、上述したように、ゲート絶縁層104となる膜から不純物半導体膜154までは連続して成膜することが好ましい。マルチチャンバーのCVD装置を用いると、堆積する膜の種類毎に反応室を配することが可能であり、複数の異なる種類の膜を大気に触れさせることなく連続して成膜することができる。
図6は、複数の反応室を備えたマルチチャンバープラズマCVD装置の一例の上断面を示す模式図である。この装置は、共通室192、ロード/アンロード室190、第1の反応室170a、第2の反応室170b、第3の反応室170c及び第4の反応室170dを備えている。ロード/アンロード室190のカセットに基板100が装填されると、共通室192の搬送機構196によって各反応室に基板100が搬出入される。共通室192と各反応室及びロード/アンロード室との間にはゲートバルブ194が備えられ、各反応室で行われる処理が互いに干渉しないように構成されている。各反応室は成膜する薄膜の種類に応じて使い分けることができる。例えば、第1の反応室170aでは絶縁膜を成膜し、第2の反応室170b及び第4の反応室170dでは半導体膜を成膜し、第3の反応室170cでは一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜を成膜する。それぞれの薄膜は最適な成膜温度が異なるので、反応室を分けておくことで成膜温度の管理が容易となり、各薄膜を最適な温度で成膜することができる。さらに、同じ膜種を繰り返し成膜することができるので、成膜履歴に係る残留物の影響を排除することができる。なお、一の反応室で一の膜を成膜する構成としても良いし、結晶性半導体膜と非晶質半導体膜のように、一の反応室で複数の膜を成膜する構成としても良い。
各反応室には、排気手段としてターボ分子ポンプ184とドライポンプ186が接続されている。排気手段はこれらの真空ポンプの組み合わせに限定されるものではなく、概略10−5Paから10−1Paの真空度まで排気できるものであれば他の真空ポンプを用いても良い。ただし、第2の反応室170bでは、反応室内の圧力を概略10−5Pa以下まで到達させることができるようにクライオポンプ188が接続されていることが好ましい。これらの排気手段と各反応室との間にはバタフライバルブ180及びコンダクタンスバルブ182の一方または双方が設けられている。バタフライバルブ180を用いることで排気手段と反応室を遮断することができる。そして、コンダクタンスバルブ182を用いることで排気速度を制御して、各反応室の圧力を調節することができる。
なお、第2の反応室170bに接続されているクライオポンプ188を用いることで、反応室内の圧力を10−5Paよりも低い圧力(望ましくは超高真空)とすることも可能である。本実施の形態では、第2の反応室170b内を10−5Paよりも低い圧力にすることで、半導体膜中への酸素などの大気成分の混入を防止することができる。その結果、半導体膜に含まれる酸素濃度を1×1016cm−3以下とすることができる。
ガス供給手段178は、成膜に用いるガスが充填されているシリンダ、ストップバルブ及びマスフローコントローラなどで構成されている。ガス供給手段178aは第1の反応室170aに接続され、絶縁膜を成膜するためのガスを供給する。ガス供給手段178bは第2の反応室170bに接続され、半導体膜を成膜するためのガスを供給する。ガス供給手段178cは第3の反応室170cに接続され、例えばn型の導電型を付与する不純物元素が添加された半導体材料ガスを供給する。ガス供給手段178dは第4の反応室170dに接続され、半導体膜を成膜するためのガスを供給する。ガス供給手段178eはArガスを供給する。ガス供給手段178fは反応室内のクリーニングに用いるエッチングガス(ここでは3フッ化窒素ガス)を供給する。Arガスとクリーニングに用いるエッチングガスはすべての反応室において用いられるため、ガス供給手段178eとガス供給手段178fはすべての反応室に接続されていることが好ましい。
なお、各反応室にはプラズマを生成するための高周波電力供給手段が連結されている。ここで、高周波電力供給手段には高周波電源172と整合器174が含まれる。ただし、これに限定されず、マイクロ波発生部が接続されていてもよい。発生させるプラズマとしては、例えばRF(13.56MHz)プラズマ、VHFプラズマ(30MHz〜300MHz)、マイクロ波(2.45GHz)プラズマが挙げられる。なお、RFプラズマとVHFプラズマを同時に発生させる(2周波励起させる)と堆積率が向上するため好ましい。
なお、ここで用いるプラズマはパルス変調プラズマであることが好ましい。パルス変調プラズマを用いることで、成膜時の堆積率が向上し、成膜時に発生するパーティクルを低減し、成膜される半導体膜の膜質及び厚さの均一性を向上させることができる。そして、プラズマ発生時の紫外線量を低減することができ、成膜される半導体膜中の欠陥数を低減することができる。
なお、同一の反応室内において、結晶性半導体膜、非晶質半導体膜、及び一導電型を付与する不純物元素が添加された不純物半導体膜を連続して成膜してもよい。具体的には、ゲート絶縁膜が形成された基板を反応室内に搬入し、そこで結晶性半導体膜、非晶質半導体膜、及び一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜(不純物半導体膜)を連続して成膜する。同一の反応室内で結晶性半導体膜及び非晶質半導体膜を連続して成膜することで、結晶歪の少ない界面を形成することが可能である。そのため、界面に意図しない準位が形成されることを防ぐことができる。更には、界面に混入しうる大気成分を低減することができる。
なお、図示しないが、図6に示すマルチチャンバープラズマCVD装置には予備室が連結されていてもよい。成膜前に予備室で基板を加熱しておくと、各反応室における成膜までの加熱時間を短縮することが可能であり、スループットを向上させることができる。
なお、上記説明したように連続して成膜することで、汚染源となりうる不純物元素によって界面が汚染されることなく、複数の膜を積層して形成することができる。そのため、TFTの電気的特性のばらつきを低減することができる。
上記に示すプラズマCVD装置を用いることで、各反応室で一種類の膜または組成の類似する複数種の膜を成膜することが可能であり、且つ大気に曝すことなく連続して成膜することができる。そのため、既に成膜した膜の残留物及び大気に浮遊する不純物元素によって界面が汚染されることなく、複数の膜を積層して形成することができる。
プラズマCVD装置の反応室内は、フッ素ラジカルでクリーニングするとよい。そして、クリーニング後、成膜前に反応室内に保護膜を成膜することが好ましい。
なお、本実施の形態において用いることのできる装置は上記の図6に示すものに限定されない。例えば、二の反応室が設けられたCVD装置を用いてもよい。このとき、一方の反応室(第1の反応室)は、形成ガスに珪酸エチルを用いた酸化シリコン膜の形成に用いる反応室とし、他方の反応室(第2の反応室)は、窒化シリコン膜、シリコン膜及び一導電型を付与する不純物元素を含むシリコン膜の形成に用いる反応室とすればよい。または、前記第2の反応室のみを有する装置を用いてもよい。
次に、不純物半導体層110となる不純物半導体膜154上にレジストマスク156を形成する(図3(C)を参照)。レジストマスク156は、フォトリソグラフィ法により形成することができる。または、インクジェット法などにより形成してもよい。または、コストの低減を目的として、印刷法により形成してもよいし、印刷法により形成した後にレーザー加工を行ってもよい。
次に、レジストマスク156を用いて、結晶性半導体膜150、バッファ半導体膜152、及び不純物半導体膜154をエッチングする。この処理により、これらの膜を素子毎に分離して、結晶性半導体層106、バッファ層158及び不純物半導体層160を形成する(図4(D)を参照)。その後、レジストマスク156を除去する。
なお、このエッチング処理では、結晶性半導体層106、バッファ層158及び不純物半導体層160が積層された薄膜積層体162の側面がテーパー形状となるようにエッチングを行うことが好ましい。テーパー角は30°以上90°以下、好ましくは40°以上80°以下とする。薄膜積層体162の側面をテーパー形状とすることで、後の工程でこれらの上に形成される層(例えば、導電膜164)の被覆性を向上させることができ、配線切れなどの形成不良を防止することができる。
次に、薄膜積層体162上に導電膜164を形成する(図4(E)を参照)導電膜164は、ゲート電極層102と同様の材料及び同様の形成方法により形成することができる。または、導電膜164は、Ag、AuまたはCuなどの導電性ナノペーストを用いてスクリーン印刷法またはインクジェット法などを用いて吐出し、焼成することで形成しても良い。
次に、導電膜164上にレジストマスク166を形成する(図4(F)を参照)。レジストマスク166は、レジストマスク156と同様にフォトリソグラフィ法またはインクジェット法により形成することができる。または、コストの低減を目的として、印刷法により形成してもよいし、印刷法により形成した後にレーザー加工を行ってもよい。ここで、レジストマスクのサイズを調整するために酸素プラズマによるアッシングを行ってもよい。
次に、レジストマスク166を用いて導電膜164をエッチングし、導電膜164をパターン形成してソース電極及びドレイン電極層112を形成する。エッチングにはウエットエッチングを用いることが好ましい。ウエットエッチングによって、レジストマスク166から露出された部分の導電膜164が等方的にエッチングされる。その結果、レジストマスク166よりやや内側に端部を有するソース電極及びドレイン電極層112が形成される。このソース電極及びドレイン電極層112は、TFTのソース電極及びドレイン電極のみならず、ソース配線(信号線)も構成する。
次に、レジストマスク166が形成された状態で、バッファ層158及び不純物半導体層160をエッチングしてバックチャネル部を形成する。これにより、バッファ層158は一部を残してエッチングされ、バッファ層108及び不純物半導体層110が形成される。
ここで、エッチングはドライエッチングにより行うとよく、特に、酸素を含んだガスによるドライエッチングを行うとよい。酸素を含んだガスにより、レジストを後退させつつ不純物半導体層110と非晶質半導体層であるバッファ層108をエッチングすることができ、不純物半導体層110の側面と、非晶質半導体層であるバッファ層108の側面をテーパー形状にすることができるからである。エッチングガスとしては、例えば、4フッ化メタン(化学式:CF4)に酸素を含ませたエッチングガス、または塩素に酸素を含ませたエッチングガスを用いる。不純物半導体層110の側面と、非晶質半導体層であるバッファ層108の側面をテーパー形状にすることで電界の集中を防ぎ、オフ電流を低減させることができる。
バッファ層108は、一部がエッチングされて凹部が設けられている。不純物半導体層110と重畳する部分のバッファ層108は、ソース領域及びドレイン領域の形成プロセスにおいてエッチングされないが、この部分の厚さは概ね80nm以上500nm以下であり、好ましくは150nm以上400nmであり、更に好ましくは200nm以上300nm以下である。上記のように、バッファ層108を十分に厚くすることで、結晶性半導体層106への不純物元素の混入などを防止することができる。このように、バッファ層108は、結晶性半導体層106の保護層としても機能する。
次に、レジストマスク166を除去する。
なお、ここまでの工程により生じた、バックチャネル部に存在する残渣及びレジストマスク166の除去に用いた剥離液の成分などは電気的特性に影響を与えることが多い。そのため、これらを除去することを目的として、レジストマスク166を除去した後に、更なるエッチング、プラズマ処理及び洗浄のいずれか一または複数の工程を用いることで、電気的特性が良好な(例えば、オフ電流が小さい)TFTを作製することができる。
以上の工程により、図1に示すボトムゲート型のTFTを形成することができる(図5(G)を参照)。なお、図2に示すボトムゲート型のTFTについても作製工程は上記と同様である。
その後、このTFTを覆って保護層114を形成し、保護層114の一部をエッチングして開口部116を形成する(図5(H)を参照)。その後、保護層114上に開口部116を介して接続されるように画素電極層118を形成する(図5(I)を参照)。
なお、図1に示すTFTは、ゲート配線とソース配線の交差部に、結晶性半導体層106、バッファ層108及び不純物半導体層110を有する。これにより、ゲート配線とソース配線の間に生じる寄生容量を低減することができる。ただし、これに限定されず、ゲート配線とソース配線の交差部にバッファ層108と不純物半導体層110を設けなくてもよい。これらのことは、他の実施の形態においても同様である。
なお、本実施の形態では結晶性半導体層106とバッファ層108を有するTFTを用いて説明したが、これに限定されない。
以上説明したように、電界効果移動度が高く、オン電流が十分に大きいTFTを得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる態様のTFT及びその作製方法の一例について図7乃至図12を参照して説明する。本実施の形態では、TFTの作製に多階調マスクを用いる。
図7に示すTFTは、基板200上にゲート電極層202を有し、ゲート電極層202を覆ってゲート絶縁層204を有し、ゲート絶縁層204に接して結晶性半導体層206を有し、結晶性半導体層206上にバッファ層208を有し、バッファ層208上に接して不純物半導体層210を有し、不純物半導体層210上に接してソース電極及びドレイン電極層212を有する。バッファ層208には一部がエッチングされたバックチャネル部が設けられており、該バックチャネル部に接し、且つ該TFTを覆って保護層214が設けられている。保護層214には開口部216が設けられており、開口部216を介してソース電極及びドレイン電極層212と保護層214上に設けられた画素電極層218が接続されている。なお、図1に示す形態とは異なり、ソース電極及びドレイン電極層212の下には全面にわたって、不純物半導体層210が設けられている。
ところで、結晶性半導体層206とバッファ層208は、互いに接して積層されている。例えば、結晶性半導体層206を微結晶半導体により形成し、バッファ層208を、実施の形態1と同様に、非晶質半導体を含む半導体により形成するとよい。TFTがオンすると結晶性半導体層206に流れる電流が支配的になり、TFTがオフするとバッファ層208に流れる電流が支配的になる。更には、バッファ層208を非晶質半導体を含む半導体により形成することで、オン電流の低下を防ぐこともできる。そのため、結晶性半導体層206を結晶性半導体により形成し、バッファ層208を非晶質半導体を含む半導体により形成することで、オン電流が大きいTFTを得ることができる。ただし、バッファ層208はこれに限定されず、例えば非晶質半導体により形成してもよい。
ここで、TFTを構成する層のそれぞれは、実施の形態1と同様の材料などにより形成すればよい。すなわち、ゲート電極層202は、実施の形態1におけるゲート電極層102に対応する。ゲート絶縁層204は、実施の形態1におけるゲート絶縁層104に対応する。結晶性半導体層206は、実施の形態1における結晶性半導体層106に対応する。バッファ層208は、実施の形態1におけるバッファ層108に対応する。不純物半導体層210は、実施の形態1における不純物半導体層110に対応する。ソース電極及びドレイン電極層212は、実施の形態1におけるソース電極及びドレイン電極層112に対応する。保護層214は、実施の形態1における保護層114に対応する。開口部216は、実施の形態1における開口部116に対応する。画素電極層218は、実施の形態1における画素電極層118に対応する。
なお、実施の形態1と同様に、保護層214上のチャネル形成領域と重畳する領域に、更なるゲート電極層218Bが設けられていてもよい(図8を参照)。更なるゲート電極層218Bは画素電極層218Aと同一の層であってもよいし、異なる層であってもよい。
次に、図7に示すTFTの作製方法について図9乃至図12を参照して説明する。
まず、実施の形態1と同様にゲート電極層202を形成し(図9(A)を参照)、これを覆ってゲート絶縁層204を形成する。その後、ゲート絶縁層204上に結晶性半導体膜230、バッファ半導体膜232、不純物半導体膜234、導電膜236を形成し、この上にレジストマスク238を形成する(図9(B)を参照)。ここで、レジストマスク238は厚さの異なる二の領域を有するレジストマスクである。換言すると、凹部を有するレジストマスクである。
レジストマスク238は、多階調マスクを用いることで形成することができる。ここで、多階調マスクについて図12を参照して以下に説明する。
多階調マスクとは、多段階の光量で露光を行うことが可能なマスクであり、代表的には、露光領域、半露光領域及び未露光領域の3段階の光量で露光を行うものをいう。多階調マスクを用いることで、一度の露光及び現像工程によって、複数(代表的には二種類)の厚さを有するレジストマスクを形成することができる。そのため、多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することができる。
図12(A−1)及び図12(B−1)は、代表的な多階調マスクの断面図を示す。図12(A−1)にはグレートーンマスク290を示し、図12(B−1)にはハーフトーンマスク295を示す。
図12(A−1)に示すグレートーンマスク290は、透光性を有する基板291上に遮光膜により形成された遮光部292、及び遮光膜のパターンにより設けられた回折格子部293で構成されている。
回折格子部293は、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔で設けられたスリット、ドットまたはメッシュなどを有することで、光の透過率を調整する。なお、回折格子部293に設けられるスリット、ドットまたはメッシュは周期的なものであってもよいし、非周期的なものであってもよい。
透光性を有する基板291としては、石英などを用いることができる。遮光部292及び回折格子部293を構成する遮光膜は、金属膜を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロムなどにより設けられる。
グレートーンマスク290に露光するための光を照射した場合、図12(A−2)に示すように、遮光部292に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部292または回折格子部293が設けられていない領域における透光率は100%となる。回折格子部293における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、回折格子のスリット、ドットまたはメッシュの間隔などにより調整可能である。
図12(B−1)に示すハーフトーンマスク295は、透光性を有する基板296上に半透光膜により形成された半透光部297、及び遮光膜により形成された遮光部298で構成されている。
半透光部297は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSiなどの膜を用いて形成することができる。遮光部298は、グレートーンマスクの遮光膜と同様の金属膜を用いて形成すればよく、好ましくはクロムまたは酸化クロムなどにより設けられる。
ハーフトーンマスク295に露光するための光を照射した場合、図12(B−2)に示すように、遮光部298に重畳する領域における透光率は0%となり、遮光部298または半透光部297が設けられていない領域における透光率は100%となる。半透光部297における透光率は、概ね10〜70%の範囲であり、形成する材料の種類または形成する半透光部の厚さなどにより、調整可能である。
多階調マスクを用いて露光して現像を行うことで、厚さの異なる領域を有するレジストマスク238を形成することができる。
ただし、本発明はこれに限定されず、多階調マスクを用いることなくレジストマスクを形成してもよい。または、上記したように、レジストマスクが凹部または凸部を有さないレジストマスクであってもよい。
次に、レジストマスク238を用いて、結晶性半導体膜230、バッファ半導体膜232、不純物半導体膜234及び導電膜236をエッチングすることで、結晶性半導体層240、バッファ層242、不純物半導体層244及び導電層246を形成する(図9(C)を参照)。
次に、酸素プラズマ中でアッシングを行うなどしてレジストマスク238を縮小してレジストマスク248を形成する。このとき、少なくともバックチャネル部と重畳する領域の導電層246を露出させる。そして、レジストマスク248を用いて導電層246をエッチングすることにより導電層250をエッチングする(図10(A)を参照)。ここで、エッチングはウエットエッチングによることが好ましく、ウエットエッチングを用いることで、導電層250の端部はレジストマスク248の端部よりも若干後退する。なお、導電層250は、ソース電極及びドレイン電極層212となる。
次に、バッファ層242の上部の一部、及び不純物半導体層244をエッチングすることで、ソース領域とドレイン領域が分離され、バックチャネル部が形成される(図10(B)を参照)。その後、レジストマスク248を除去する(図10(C)を参照)。
以上のようにしてTFTを形成することができる。
次に、TFTを覆って保護層214となる保護膜を形成し(図11(A)を参照)、該保護膜に開口部216を形成する(図11(B)を参照)。その後、開口部216が設けられた保護層214上に画素電極層218を形成する(図11(C)を参照)。
なお、本実施の形態では結晶性半導体層206とバッファ層208を有するTFTを用いて説明したが、これに限定されない。
以上のように、TFTの作製方法に多階調マスクを用いる場合であっても実施の形態1と同様に、電界効果移動度が高く、オン電流が十分に大きいTFTを得ることができる。
なお、実施の形態1の作製方法と比較して使用するフォトマスクの枚数が減り、作製工程数が大幅に削減されることになる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1及び実施の形態2とは異なる態様のTFT及びその作製方法の一例について図13乃至図15を参照して説明する。
図13に示すTFTは、基板300上にゲート電極層302を有し、ゲート電極層302を覆ってゲート絶縁層304を有し、ゲート絶縁層304に接して結晶性半導体層306を有し、結晶性半導体層306上の一部にバッファ層308を有し、バッファ層308上に接して不純物半導体層310を有し、不純物半導体層310上に接してソース電極及びドレイン電極層312を有する。バッファ層308は、結晶性半導体層306と不純物半導体層310の間にのみ設けられており、不純物半導体層310が設けられていない領域(バックチャネル部)には設けられていない。図1に示すTFTとはこの点において大きく異なる。そして、バックチャネル部に接し、且つ該TFTを覆って保護層314が設けられている。保護層314には開口部316が設けられており、開口部316を介してソース電極及びドレイン電極層312と保護層314上に設けられた画素電極層318が接続されている。
次に、図13に示すTFTの作製方法について説明する。
まず、図4(F)の工程までは実施の形態1と同様である。図4(F)の状態とし、レジストマスク166を用いて導電膜164をエッチングし、導電膜164をパターン形成してソース電極及びドレイン電極層312を形成する。エッチングにはウエットエッチングを用いることが好ましい。このソース電極及びドレイン電極層312は、TFTのソース電極及びドレイン電極のみならず、ソース配線(信号線)も構成する。
次に、レジストマスク166が形成された状態で、バッファ層及び不純物半導体層をエッチングしてバックチャネル部を形成する。これにより、バッファ層は一部を残してエッチングされ、バッファ層308及び不純物半導体層310が形成される。
ここで、エッチングはドライエッチングにより行うとよく、特に、酸素を含んだガスによるドライエッチングを行うとよい。酸素を含んだガスにより、レジストを後退させつつ不純物半導体層310と非晶質半導体層であるバッファ層308をエッチングすることができ、不純物半導体層310の側面と、バッファ層308の側面をテーパー形状にすることができるからである。エッチングガスとしては、例えば、4フッ化メタンに酸素を含ませたエッチングガス、または塩素に酸素を含ませたエッチングガスを用いる。不純物半導体層310の側面と、バッファ層308の側面をテーパー形状にすることで電界の集中を防ぎ、オフ電流を低減させることができる。
バッファ層308は、中央部がエッチングされて設けられており、2つの領域に分離されている。すなわち、バックチャネル部において結晶性半導体層306が露出されている。
次に、レジストマスク166を除去する。
なお、ここまでの工程により生じた、バックチャネル部に存在する残渣及びレジストマスク166の除去に用いた剥離液の成分などは電気的特性に影響を与えることが多い。そのため、これらを除去することを目的として、レジストマスク166を除去した後に、更なるエッチング、プラズマ処理及び洗浄のいずれか一または複数の工程を用いることで、電気的特性が良好な(例えば、オフ電流が小さい)TFTを作製することができる。
以上の工程により、図1に示すボトムゲート型のTFTを形成することができる(図15(G)を参照)。なお、図14に示すデュアルゲート型のTFTについても作製工程は上記と同様である。
なお、図14に示す形態は、図2及び図8などと同様に、更なるゲート電極層を設けた形態である。他の実施の形態と同様に、保護層314上のチャネル形成領域と重畳する領域に、更なるゲート電極層318Bが設けられている。更なるゲート電極層318Bは画素電極層318Aと同一の層であってもよいし、異なる層であってもよい。。
その後、このTFTを覆って保護層314を形成し、保護層314の一部をエッチングして開口部316を形成する(図15(H)を参照)。その後、保護層314上に開口部316を介して接続されるように画素電極層318を形成する(図15(I)を参照)。
図13に示すTFTは、ゲート絶縁層304と保護層314にダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜を適用している。そのため、ダングリングボンドを終端させることが可能な絶縁膜により結晶性半導体層306及びバッファ層308が挟持されている。そのため、これらの層中のダングリングボンドは終端され、欠陥準位が低減されている。
なお、本実施の形態では結晶性半導体層306とバッファ層308を有するTFTを用いて説明したが、これに限定されない。
以上のように、実施の形態1などと同様に、電界効果移動度が高く、オン電流が十分に大きいTFTを得ることができる。
なお、本実施の形態では多階調マスクを用いない場合の作製方法を説明したが、これに限定されず、実施の形態2と同様に多階調マスクを用いてもよい。多階調マスクを用いると、使用するフォトマスクの枚数が減り、作製工程数が大幅に削減されることになる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態3とは異なる態様のTFT及びその作製方法の一例について図16乃至図20を参照して説明する。
図16に示すTFTは、基板400上にゲート電極層402を有し、ゲート電極層402を覆ってゲート絶縁層404を有し、ゲート絶縁層404に接して結晶性半導体層406を有し、結晶性半導体層406上の一部にバッファ層408を有し、バッファ層408上に接して不純物半導体層410を有し、不純物半導体層410上に接してソース電極及びドレイン電極層412を有する。バッファ層408は、結晶性半導体層406と不純物半導体層410の間にのみ設けられており、不純物半導体層410が設けられていない領域(バックチャネル部)には設けられていない。そして、バックチャネル部に接し、且つ該TFTを覆って保護層414が設けられている。保護層414には開口部416が設けられており、開口部416を介してソース電極及びドレイン電極層412と保護層414上に設けられた画素電極層418が接続されている。他の実施の形態にて説明したTFTとは、結晶性半導体層406の形状が異なる。
結晶性半導体層406は、複数の錐形状の突起(凸部)を有する微結晶半導体によって形成される。ここで、錐形状とは、ゲート絶縁層404から一対のバッファ層408へ向けて先端が細くなる凸型の形状をいい、針状を含むものとする。なお、錐形状の先端は、バッファ層408からゲート絶縁層404へ向かっていてもよく、これを逆錐形状とよぶ。結晶性半導体層406は、錐形状の微結晶半導体によって形成されているため、縦方向(厚さ方向)の抵抗が低く、オン電流が大きい。
なお、結晶性半導体層406は、ゲート絶縁層404に接する領域(微結晶半導体領域406a)と、錐形状の複数の突起(凸部)を有する領域(微結晶半導体領域406b)と、を有する。
微結晶半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体をいう。このような半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有し、短距離秩序があり格子歪みを有する結晶質な半導体であり、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは、20nm以上50nm以下の結晶が基板表面に対して概ね垂直な方向に成長している。
微結晶半導体層は、微結晶シリコン、微結晶ゲルマニウムまたは微結晶シリコンゲルマニウムなどによって形成されるとよい。
微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側にシフトしている。すなわち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークが形成される。そして、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませるとよく、更には、He、Ar、KrまたはNeなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、より安定な結晶構造が得られる。
なお、微結晶半導体に含まれる酸素及び窒素の二次イオン質量分析法によって計測される濃度を1×1018cm−3未満とすると、微結晶半導体の結晶性を高めることができる。
なお、微結晶半導体領域406bは、窒素を有することが好ましく、より好ましくはNH基またはNH2基を有する。特に、隣り合う二つのシリコン原子のダングリングボンドを窒素原子若しくはNH基により架橋することでキャリア移動度が向上し、オン電流が増大する。なお、NH2基は主に半導体内部のダングリングボンドの終端に寄与する。微結晶半導体領域406bに含まれる結晶粒の界面、及び微結晶半導体領域406bとバッファ層408との界面において、シリコン原子のダングリングボンド間を窒素原子若しくはNH基にて架橋し、若しくはシリコン原子のダングリングボンドをNH2基にて終端すると、ダングリングボンドに起因する欠陥準位が消失し、このように窒素原子若しくはNH基により架橋され、またはNH2基により終端されるダングリングボンドが増加することで全体の欠陥準位数が少なくなり、キャリア移動度が向上するためである。ここで、窒素の濃度は、1×1020cm−3乃至1×1021cm−3とするとよく、窒素はNH基またはNH2基の状態で存在することが好ましい。このような濃度とすることでシリコン原子のダングリングボンドを架橋しやすく、キャリア移動度が特に向上する。結晶性半導体層406のキャリア移動度が向上することで、TFTの電界効果移動度を向上させることができる。
同様に、バッファ層408にも窒素を含ませることが好ましく、より好ましくはNH基またはNH2基を含ませる。バッファ層408もオン電流の経路であるため、特に、隣り合う二つのシリコン原子のダングリングボンドを窒素原子若しくはNH基により架橋することで、ダングリングボンドによるキャリア移動度の低減が抑制されてキャリア移動度が向上し、オン電流が増大する。なお、NH2基は主に半導体内部のダングリングボンドの終端に寄与する。
なお、微結晶半導体領域406aと微結晶半導体領域406bは、窒素または水素の含有量が異なることがある。これは、微結晶半導体領域406aと微結晶半導体領域406bとの成膜条件が異なるためである。
なお、結晶性半導体層406は、ゲート絶縁層404に接する領域(微結晶半導体領域406a)と、錐形状の複数の突起(凸部)を有する領域(微結晶半導体領域406b)と、を有する。
ゲート絶縁層404と結晶性半導体層406の界面から、結晶性半導体層406の先端までの距離は、3nm以上80nm以下、好ましくは5nm以上30nm以下とするとよい。
なお、TFTを構成する他の層のそれぞれは、実施の形態1と同様の材料などにより形成すればよい。すなわち、ゲート電極層402は、実施の形態1におけるゲート電極層102に対応する。ゲート絶縁層404は、実施の形態1におけるゲート絶縁層104に対応する。不純物半導体層410は、実施の形態1における不純物半導体層110に対応する。ソース電極及びドレイン電極層412は、実施の形態1におけるソース電極及びドレイン電極層112に対応する。保護層414は、実施の形態1における保護層114に対応する。開口部416は、実施の形態1における開口部116に対応する。画素電極層418は、実施の形態1における画素電極層118に対応する。
なお、他の実施の形態と同様に更なるゲート電極を設けてもよい。図17に示す形態は、図2、図8及び図14などと同様に、更なるゲート電極層を設けた形態である。他の実施の形態と同様に、保護層414上のチャネル形成領域と重畳する領域に、更なるゲート電極層418Bが設けられている。更なるゲート電極層418Bは画素電極層418Aと同一の層であってもよいし、異なる層であってもよい。
次に、図16に示すTFTの作製方法について説明する。
まず、実施の形態1などと同様に、基板400上にゲート電極層402、ゲート絶縁層404、及び結晶性半導体膜450を形成する。
結晶性半導体膜450は、微結晶シリコン、微結晶シリコンゲルマニウム、微結晶ゲルマニウムなどによって、1nm以上20nm以下、好ましくは3nm以上10nmの厚さで形成するとよい。
結晶性半導体膜450は、プラズマCVD装置の反応室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスと水素を混合し、グロー放電プラズマを用いて形成する。または、これにHe、Ar、Ne、Krなどの希ガスを更に混合し、グロー放電プラズマを用いて形成する。反応室内に導入するガスは、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスの流量に対して、水素の流量を10〜2000倍、好ましくは10〜200倍に希釈して用いる。
シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスの代表例としては、シラン、ジシラン(化学式:Si2H6)、ゲルマン(化学式:GeH4)、ジゲルマン(化学式:Ge2H6)などがある。
なお、結晶性半導体膜450を形成する前に、CVD装置の反応室内を排気しながら、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスを導入して反応室内の不純物元素を除去するとよい。ゲート絶縁層404と結晶性半導体層406の界面における不純物元素を低減することができ、TFTの電気特性を向上させることができるためである。
次に、結晶性半導体膜450を成長させつつ、バッファ半導体膜452を形成する。そして、バッファ層408上に、一導電型を付与する不純物元素が添加された半導体膜(以下、不純物半導体膜454と記載する。)を形成する(図18(B)を参照)。
ここでは、結晶性半導体膜450の一部を結晶成長させつつ、他の部分の結晶成長を抑制することで、結晶性半導体膜450を成長させつつ、バッファ半導体膜452を形成する。なお、プラズマCVD装置の反応室内において、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスと水素を混合し、グロー放電プラズマにより結晶性半導体膜450を成長させつつ、バッファ半導体膜452を形成する。このとき、結晶性半導体膜450の初期の成膜条件よりも、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスに対する水素の流量を減らして結晶成長を抑制しつつ成膜することで、成膜初期ではほぼ全面が結晶成長し、徐々に結晶成長が抑制され、複数の錐形状の突起(凸部)が形成されることになる。そして、成膜後期では、バッファ半導体膜452が形成されることになる。
ここで、結晶成長を抑制する手段として、例えば、成膜に用いるガスに窒素を含むガスを混合することが挙げられる。
なお、成膜条件を途中で徐々に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。例えば、結晶性半導体膜450を成長させる際は、結晶性半導体膜450を形成する条件よりも、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガスに対する水素の流量が少ない条件とする。その後、更に、堆積性ガスに対する水素の流量を減らすことで、結晶性半導体膜450の結晶成長が抑制され、バッファ半導体膜452を形成することができる。更には、窒素を含むガスを混合してもよい。
このように、結晶性半導体膜450を成膜初期条件で形成した後に成膜条件を調整することで、複数の錐形状の突起を形成しつつ結晶性半導体膜450を成長させ、更にはバッファ半導体膜452を形成することができる。その後、バッファ半導体膜452上には不純物半導体膜454を形成する。
次に、不純物半導体膜454上にレジストマスク456を形成する(図18(C)を参照)。
次に、レジストマスク456を用いて、結晶性半導体膜450、バッファ半導体膜452及び不純物半導体膜454をエッチングしてパターン形成する。これにより、結晶性半導体層406、バッファ層458及び不純物半導体層460を有する薄膜積層体462を形成する(図19(D)を参照)。
次に、薄膜積層体462及びゲート絶縁層404上に導電膜464を形成する(図19(E)を参照)。
次に、導電膜464上にレジストマスク466を形成する(図19(F)を参照)。
次に、レジストマスク466をエッチングにしてソース電極及びドレイン電極層412をパターン形成する。
次に、レジストマスク466を用いて不純物半導体層460の一部をエッチングして、不純物半導体層410を形成する。このとき、バックチャネル部に存在するバッファ層458の一部もエッチングされる。その後、バックチャネル部の結晶性半導体層406を露出させるようにバッファ層458をエッチングする。このエッチングはドライエッチングによって行ってもよいし、ウエットエッチングによって行ってもよい。
ウエットエッチングを用いる場合には、エッチャントとして、例えばヒドラジン(化学式:N2H4)を用いることができる。更には、水酸化カリウム(化学式:KOH)、エチレンジアミン(化学式:NH2CH2CH2NH2)を含むエッチャントを用いてもよい。または、フッ酸(化学式:HF)と硝酸(化学式:HNO3)とを含むエッチャントを用いることもできる。その他、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAHとも呼ばれる。)水溶液を用いてもよい。
ドライエッチングを用いる場合には、ガス種として、例えば水素を含むガスを用いればよい。または、塩素、臭素若しくはヨウ素を含むガスを用いてもよく、塩化水素(化学式:HCl)、臭化水素(化学式:HBr)若しくはヨウ化水素(化学式:HI)などを含むガス用いてもよい。または、4フッ化メタン、6フッ化硫黄(化学式:SF6)、3フッ化窒素(化学式:NF3)、4フッ化シリコン(化学式:SiF4)、3フッ化ボロン、2フッ化キセノン(化学式:XeF2)、3フッ化塩素(化学式:ClF3)、4塩化シリコン(化学式:SiCl4)、3塩化リン(化学式:PCl3)若しくは3塩化ボロン(化学式:BCl3)などを含むガスを用いることができる。更には、4フッ化メタンと酸素の混合ガスまたは6フッ化硫黄と塩素の混合ガスを用いることができる。
その後、レジストマスク466を除去し、上記工程で露出した結晶性半導体層406の表面を酸化または窒化する処理を行う。このような処理として酸素または窒素が含まれる雰囲気中で行うプラズマ処理が挙げられる。このように露出した結晶性半導体層406の表面を酸化または窒化するため、TFTがオフしている時の電流を小さくすることができる。更には、結晶性半導体層406の表面は突起を有し、ソース領域とドレイン領域の間(バックチャネル部)における電流の経路が長いため、TFTがオフしている時の電流を小さくすることができる。
なお、ここでは結晶性半導体層406の表面を露出させるエッチングを、レジストマスク466が形成された状態で行ったが、これに限定されない。すなわち、ソース電極及びドレイン電極層412を形成した後にレジストマスク466を除去し、ソース電極及びドレイン電極層412をマスクとして用いて結晶性半導体層406の表面を露出させるエッチングを行ってもよい。
以上の工程により、図16に示すボトムゲート型のTFTを形成することができる(図20(G)を参照)。なお、図17に示すボトムゲート型のTFTについても作製工程は上記と同様である。
その後、このTFTを覆って保護層414を形成し、保護層414の一部をエッチングして開口部416を形成する(図20(H)を参照)。その後、保護層314上に開口部416を介して接続されるように画素電極層418を形成する(図20(I)を参照)。
なお、本実施の形態では結晶性半導体層406とバッファ層408を有するTFTを用いて説明したが、これに限定されない。
以上のように、実施の形態1などと同様に、電界効果移動度が高く、オン電流が十分に大きいTFTを得ることができる。
なお、本実施の形態では多階調マスクを用いない場合の作製方法を説明したが、これに限定されず、実施の形態2と同様に多階調マスクを用いてもよい。多階調マスクを用いると、使用するフォトマスクの枚数が減り、作製工程数が大幅に削減されることになる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4にて説明したTFTを搭載した表示パネルまたは発光パネルの一形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態の表示装置または発光装置では、画素部に接続される信号線駆動回路及び走査線駆動回路は別の基板(例えば、半導体基板またはSOI基板など)上に設けて接続してもよいし、画素回路と同一基板上に形成してもよい。
なお、別途形成した場合の接続方法は特に限定されるものではなく、公知のCOG法、ワイヤボンディング法またはTAB法などを用いることができる。なお、接続する位置は、電気的な接続が可能であるならば、特に限定されない。そして、コントローラ、CPU及びメモリなどを別途形成し、画素回路に接続しても良い。
図21は、表示装置のブロック図を示す。図21に示す表示装置は、表示素子を備えた画素を複数有する画素部500と、各画素を選択する走査線駆動回路502と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路503と、を有する。
なお、表示装置は図21に示す形態に限定されない。すなわち、信号線駆動回路は、シフトレジスタとアナログスイッチのみを有する形態に限定されない。シフトレジスタとアナログスイッチに加え、バッファ、レベルシフタ、ソースフォロワなど、他の回路を有していてもよい。なお、シフトレジスタ及びアナログスイッチは必ずしも設ける必要はなく、例えば、シフトレジスタの代わりにデコーダ回路のような信号線の選択ができる別の回路を有していてもよいし、アナログスイッチの代わりにラッチなどを有していてもよい。
図21に示す信号線駆動回路503は、シフトレジスタ504及びアナログスイッチ505を有する。シフトレジスタ504には、クロック信号(CLK)とスタートパルス信号(SP)とが入力されている。クロック信号(CLK)とスタートパルス信号(SP)とが入力されると、シフトレジスタ504においてタイミング信号が生成され、アナログスイッチ505に入力される。
なお、アナログスイッチ505には、ビデオ信号(video signal)が供給される。アナログスイッチ505は、入力されるタイミング信号に従ってビデオ信号をサンプリングし、後段の信号線に供給する。
図21に示す走査線駆動回路502は、シフトレジスタ506及びバッファ507を有する。更には、レベルシフタを有していてもよい。走査線駆動回路502において、シフトレジスタ506にクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファ507において緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。一の走査線には、1ラインのすべての画素トランジスタのゲートが接続されている。そして、動作時には1ライン分の画素トランジスタを一斉にオンにしなくてはならないので、バッファ507は大きな電流を流すことが可能な構成とする。
フルカラーの表示装置において、R(赤)、G(緑)、B(青)に対応するビデオ信号を、順にサンプリングして対応する信号線に供給する場合、シフトレジスタ504とアナログスイッチ505とを接続するための端子数は、アナログスイッチ505と画素部500の信号線を接続するための端子数の1/3程度に相当する。よって、アナログスイッチ505を画素部500と同一基板上に形成することで、アナログスイッチ505を画素部500と異なる基板上に形成した場合に比べて、別途形成した基板の接続に用いる端子の数を抑えることができ、接続不良の発生確率を抑えて歩留まりを高めることができる。
なお、図21の走査線駆動回路502は、シフトレジスタ506及びバッファ507を有するが、これに限定されず、シフトレジスタ506のみで走査線駆動回路502を構成してもよい。
なお、図21に示す構成は、表示装置の一形態を示したものであり、信号線駆動回路と走査線駆動回路の構成はこれに限定されない。
次に、表示装置の一形態に相当する液晶表示パネル及び発光パネルの外観について、図22及び図23を参照して説明する。図22は、第1の基板511上に形成された結晶性半導体層を有するTFT520及び液晶素子523を、第2の基板516との間にシール材515によって封止した、パネルの上面図を示す。図22(B)は、図22(A)のK−Lにおける断面図に相当する。図23は発光装置の場合を示す。なお、図23は、図22と異なる部分についてのみ符号を付している。
第1の基板511上に設けられた画素部512と、走査線駆動回路514と、を囲んで、シール材515が設けられている。画素部512及び走査線駆動回路514の上には、第2の基板516が設けられている。よって画素部512及び走査線駆動回路514は、第1の基板511とシール材515と第2の基板516とによって、液晶層518または充填材531と共に封止されている。なお、第1の基板511上のシール材515によって囲まれている領域とは異なる領域に信号線駆動回路513が実装されている。なお、信号線駆動回路513は、別途用意された基板上に結晶性半導体層を有するTFTにより設けられたものである。なお、本実施の形態では、結晶性半導体層を有するTFTを用いた信号線駆動回路513を、第1の基板511に貼り合わせる場合について説明するが、単結晶半導体を用いたTFTで信号線駆動回路を形成し、貼り合わせることが好ましい。図22では、信号線駆動回路513に含まれる、結晶性半導体層で形成されたTFT519を例示する。
第1の基板511上に設けられた画素部512は、複数のTFTを有しており、図22(B)には、画素部512に含まれるTFT520を例示している。走査線駆動回路514も、複数のTFTを有しており、図22(B)では、走査線駆動回路514に含まれるTFT519を例示している。なお、本実施の形態の発光装置においては、TFT520は駆動用トランジスタであってもよいし、電流制御用トランジスタであってもよいし、消去用トランジスタであってもよい。TFT520は実施の形態1で説明したTFTに相当する。なお、これに代えて実施の形態2乃至実施の形態4にて説明したTFTを用いてもよい。
なお、液晶素子523が有する画素電極522は、TFT520と配線528を介して電気的に接続されている。そして、液晶素子523の対向電極527は第2の基板516上に設けられている。画素電極522と対向電極527と液晶層518が重なっている部分が、液晶素子523に相当する。
なお、発光素子530が有する画素電極は、TFT520のソース電極またはドレイン電極と、配線を介して電気的に接続されている。そして本実施の形態では、発光素子530の共通電極と透光性を有する導電性材料層が電気的に接続されている。なお、発光素子530の構成は、本実施の形態に示した構成に限定されない。発光素子530の構成は、発光素子530から取り出す光の方向や、TFT520の極性などに応じて決定することができる。
なお、第1の基板511及び第2の基板516の材料としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックスまたはプラスチックなどを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムなどを用いることができる。または、アルミニウム箔をPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いてもよい。
スペーサ521はビーズスペーサであり、画素電極522と対向電極527との間に間隔(セルギャップ)を確保するために設けられている。なお、絶縁層を選択的にエッチングすることで得られるスペーサ(ポストスペーサ)を用いていてもよい。
別途形成された信号線駆動回路513と、走査線駆動回路514及び画素部512に与えられる各種の信号(電位)は、FPC517(Flexible Printed Circuit)から引き回し配線524及び引き回し配線525を介して供給される。
図22では、接続端子526が、液晶素子523が有する画素電極522と同じ導電層から形成されている。引き回し配線524及び引き回し配線525は、配線528と同じ導電層で形成されている。ただし、これに限定されない。
接続端子526とFPC517が有する端子は、異方性導電層529を介して電気的に接続されている。
なお、図示していないが、本実施の形態に示した液晶表示装置は、配向膜及び偏光板を有し、更にカラーフィルタや遮光層などを有していても良い。
図23では、接続端子526が、発光素子530が有する画素電極と同じ導電層により設けられている。引き回し配線525は、配線528と同じ導電層により設けられている。ただし、これに限定されない。
なお、発光素子530からの光の取り出し方向に位置する基板である第2の基板は透光性の基板を用いる。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムなどの透光性を有する材料からなる基板を用いる。発光素子530からの光の取り出し方向が第1の基板の方向である場合には、第1の基板として透光性基板を用いる。
充填材531としては、窒素やArなどの不活性な気体、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂などを用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。ここでは、例えば、窒素を用いるとよい。
なお、発光素子の射出面に偏光板、円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)またはカラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよく、偏光板または円偏光板に反射防止層を設けてもよい。
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態5にて説明した表示パネルまたは発光パネルを搭載した電子機器について図面を参照して説明する。このような電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用のモニタ、電子ペーパー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
電子機器として、例えば電子ペーパーが挙げられる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカードなどの各種カードにおける表示などに適用することができる。電子機器の一例を図24(A)に示す。
図24(A)は、電子書籍の一例を示している。図24(A)に示す電子書籍は、筐体600及び筐体601で構成されている。筐体600及び筐体601は、蝶番604により一体になっており、開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍と同様に扱うことができる。
筐体600には表示部602が組み込まれ、筐体601には表示部603が組み込まれている。表示部602及び表示部603は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図24(A)では表示部602)に文章を表示し、左側の表示部(図24(A)では表示部603)に画像を表示することができる。表示部602及び表示部603は、実施の形態5に示した表示パネルまたは発光パネルを適用することができる。
図24(A)では、筐体600に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体600は、電源入力端子605、操作キー606、スピーカ607などを備えている。操作キー606は、例えば頁を送る機能を備えることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。なお、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、図24(A)に示す電子書籍には、電子辞書としての機能を持たせてもよい。
図24(A)に示す電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成を備えていてもよい。無線通信により、電子書籍サーバから所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることもできる。
図24(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、図24(B)に示すデジタルフォトフレームは、筐体611に表示部612が組み込まれている。表示部612は、各種画像を表示することが可能であり、例えば、デジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。表示部612は、実施の形態5に示した表示パネルまたは発光パネルを適用することができる。
なお、図24(B)に示すデジタルフォトフレームは、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とするとよい。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部612に表示させることができる。
図24(B)に示すデジタルフォトフレームは、無線で情報を送受信出来る構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
図24(C)は、テレビジョン装置の一例を示している。図24(C)に示すテレビジョン装置は、筐体621に表示部622が組み込まれている。表示部622により、映像を表示することができる。ここでは、スタンド623により筐体621を支持した構成を示している。表示部622は、実施の形態5に示した表示パネルまたは発光パネルを適用することができる。
図24(C)に示すテレビジョン装置の操作は、筐体621が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。リモコン操作機が備える操作キーにより、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部622に表示される映像を操作することができる。リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、図24(C)に示すテレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、片方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図24(D)は、携帯電話機の一例を示している。図24(D)に示す携帯電話機は、筐体631に組み込まれた表示部632の他、操作ボタン633、操作ボタン637、外部接続ポート634、スピーカ635、及びマイク636などを備えている。表示部632は、実施の形態5に示した表示パネルまたは発光パネルを適用することができる。
図24(D)に示す携帯電話機は、表示部632がタッチパネルであってもよく、指などの接触により、表示部632の表示内容を操作することができる構成を有していてもよい。この場合、電話の発信、或いはメールの作成などは、表示部632を指などで接触することにより行うことができる。
表示部632の画面は主として3つのモードがある。第1のモードは、画像の表示を主とする表示モードであり、第2のモードは、文字などの情報の入力を主とする入力モードである。第3のモードは表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話の発信、或いはメールを作成する場合には、表示部632を、文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合には、表示部632の画面の大部分を使用してキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
図24(D)に示す携帯電話機の内部に、ジャイロ、加速度センサなどの傾きを検出するセンサを備えた検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦または横)を判別して、表示部632の表示情報を自動的に切り替える構成とすることもできる。
なお、画面モードの切り替えは、表示部632への接触、または筐体631の操作ボタン637の操作により行われる構成とすればよい。または、表示部632に表示される画像の種類によって切り替える構成としてもよい。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える構成にすればよい。
なお、入力モードにおいて、表示部632の光センサで検出される信号を検知し、表示部632のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替える構成としてもよい。
表示部632は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部632を掌や指で触れ、掌紋及び指紋などをイメージセンサで撮像することで、本人認証を行うことができる。または、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
上記実施の形態にて説明したように、ゲート絶縁層に接する半導体層が結晶性半導体層である場合に、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、または酸化窒化シリコンではなく、酸化シリコンによりゲート絶縁層を形成すると結晶性が向上し、好ましい。これはゲート絶縁層表面に窒素が存在しないためだと考えられる。そこで、シリコンが窒素原子を含む場合と酸素原子を含む場合について古典分子動力学法により計算を行った。その結果について以下に説明する。
ここで、古典分子動力学法では、原子間相互作用を特徴づける経験的ポテンシャルを定義することで、各原子に働く力を評価した。各原子に古典的力学法則を適用し、ニュートンの運動方程式を数値的に解くことで、各原子の運動(時間発展)を決定論的に追跡した。
計算モデルと計算条件について説明する。非晶質半導体層中にシリコンの結晶核が生じた後の結晶成長の様子を調べるために、非晶質シリコン層中に不純物(ここでは、窒素と酸素)を含まない場合(図25(A)を参照)と、窒素原子を含む場合(図25(B)を参照)と、酸素原子を含む場合(図25(C)を参照)について計算モデルを作製した。なお、図25(B)及び(C)では窒素原子または酸素原子を、シリコン原子とは異なるトーンにして示している。
図25に示す3つの計算モデルについて、温度を1025℃とし、図25(A)及び(C)では1n秒間の古典分子動力学計算を行った。構造変化の様子をそれぞれ図26乃至図28に示す。図26は、非晶質シリコン層中に不純物を含まない場合についての構造変化の様子を示す。図27は、非晶質シリコン層中に窒素原子を含む場合の構造変化の様子を示す。図28は、非晶質シリコン層中に酸素原子を含む場合の構造変化の様子を示す。なお、図26乃至図28において、点線で囲まれた部分は結晶が形成された領域を示す。
図26によると、非晶質シリコン層中に不純物を含まない場合には結晶は問題なく成長する。図27によると、非晶質シリコン層中に窒素原子が存在すると結晶成長は阻害され、窒素原子はシリコン結晶に取り込まれることなく結晶粒界付近に存在している。図28によると、非晶質シリコン層中に酸素原子が存在すると、不純物を含まない場合よりも結晶成長は遅くなるが、酸素原子はシリコン結晶中に取り込まれており、結晶性は非晶質シリコン層中に窒素原子が存在する場合よりも良好である。
従って、非晶質シリコン層中に酸素原子が存在してもシリコンの結晶成長はほとんど阻害されないが、非晶質シリコン層中に窒素原子が存在するとシリコンの結晶成長は阻害され、結晶性が低下するといえる。
すなわち、酸化シリコン膜(珪酸エチルを用いて形成された酸化シリコン膜)上では、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜上に比べて、非晶質シリコン層中に含まれる窒素原子が少ないため、結晶性が良いと考えられる。
なお、計算の結果、不純物を含まない場合のシリコンの結晶成長速度は1.1nm/n秒、窒素原子を含む場合のシリコンの結晶成長速度は0.21nm/n秒、酸素原子を含む場合のシリコンの結晶成長速度は0.80nm/n秒と算出された。