JP5708222B2 - 力学量センサー - Google Patents

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Description

本発明は、力学量センサーに関する。特に半導体力学量センサーに関する。
基板に形成されたアンカー(固定部)と、アンカーに接続され、曲線のみからなる渦巻き形状を有する可動ビーム(可動梁)と、可動ビームの先端に接続された可動電極と、可動電極の周囲に形成され基板に固定された固定電極とを有する加速度センサーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。図1(a)は、このような従来技術に係る加速度センサーの上面図を示し、図1(b)は、加速度センサーのI−I断面線における垂直断面図を示している。符号11はアンカーであり、符号12は可動ビームであり、符号13は可動電極である。また、符号21−28は、固定電極である。また、符号31は基板である。
このような加速度センサーに加速度が加わると、可動電極13に力が加わることにより可動ビーム12が変形し、可動電極13と固定電極21−28のいずれかとが接触可能となる。可動電極13と固定電極21−28のいずれかとが接触すると、可動電極13は固定電極21−28のいずれかと導通し、アンカー11から、可動ビーム12および可動電極13を介して、固定電極21−28のいずれかまでの電流経路が形成される。したがって、アンカー11と固定電極21−28とに電圧を印加し、アンカー11と固定電極21−28との間の電流を検出することにより、加速度が加わったことを検出することができる。
このような加速度センサーは、例えば、ガスの流量メータに内蔵され、地震の発生時にガスを止めたり、自動車に搭載され、衝突の際にエアクッションを動作させたりするために使用することができる。また、加速度センサーの可動電極13が水平な状態から傾いた状態に変化したことを検出することもできる。
特開平11−242052号公報
Brian P. Oc’onnor、"The Effectof Crystallogaraphic Orientation on Ductile Material Removal in Silicon"、Master Thesis、2002年5月、The Pennsylvania State University、The Graduate School College of Engineering
従来技術に係る加速度センサーにおいては、大きな加速度が上下方向に加わると、可動12ビームと可動電極13とが上下方向に移動することとなる。これにより、図2(a)に示すように可動ビーム12と可動電極13とが基板31と接触する場合がある。このため、可動ビーム12と可動電極13とのいずれかまたは両方が損傷する場合がある。また逆に、図2(b)に示すように可動ビーム12と可動電極13とが上方に移動し、可動電極13が固定電極23に乗り上げてしまう場合がある。これにより、加速度センサーが正常に動作しなくなる場合がある。
従来技術に係る加速度センサーの上部に、基板などの構造物を設けて、可動ビーム12および可動電極13の変位を抑制することも行なわれているが、構造物との衝突により、可動ビーム12と可動電極13とのいずれかまたは両方が損傷するおそれがある。このため、可動ビーム12自体の上方、下方への変位量を小さくするように設計する必要がある。
本発明は上記の実情のもとに想到されたものであり、可動ビームの上下方向の動きを抑制して、信頼性のより高い力学量センサーを得ることを目的とする。
本発明の一実施形態として、基板に固定されたアンカーおよび固定電極と、前記アンカーと前記固定電極との間において、前記基板から離れて形成され、前記固定電極と接触すると前記固定電極と導通する可動電極と、前記アンカーに一端が接続され、前記可動電極に他端が接続され、かつ前記基板から離れて形成され、複数の直線ビームを含むビームとを有し、前記アンカーと前記固定電極と前記可動電極と前記ビームとは、せん断弾性率が異方性を有する結晶面方位を主面とするシリコン単結晶により構成され、前記複数の直線ビームの長手方向は、せん断弾性率が最小値となる方向と異なっていることを特徴とする力学量センサーを提供する。
本発明によれば、直線ビームの長手方向を可動ビームの材料となる物質のせん断弾性率を考慮して設定する事によって、可動ビームの上下方向の動きを抑制することが可能となる。したがって、信頼性のより高い力学量センサーを提供することができる。
従来の加速度センサーの上面図と断面図 従来の加速度センサーの不具合を説明する図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの断面図 直線ビームの撓みによる変形と捩れによる変形とを説明する図 シリコン単結晶のヤング率を示す図 シリコン単結晶のヤング率を示す図 シリコン単結晶のせん断弾性率を示す図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーのシミュレーションモデルの上面図 本発明の一実施形態に係る力学量センサーのシミュレーションモデルの上面図 従来の加速度センサーのシミュレーションモデルの上面図
以下、本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明は以下に説明する形態に限定されることはなく、種々変形を行なって実施することが可能である。また図面においては、上下、左右の縮尺を誇張して図示することにより、実際のものとは縮尺が異なる場合がある。
(実施形態1)
図3は、本発明の実施形態1に係る力学量センサーの上面図である。図3には、力学量センサーのアンカー301、可動電極302、アンカー301と可動電極302とを接続する4本のビーム、および固定電極341−348が示されている。図4は、図3のII−II断面線における断面図である。図4には、基板131、アンカー301、固定電極341、344、直線ビーム(符号304、306、308、310、312、314で示されるものを含む)、および可動電極302が示されている。
図3を参照すると、アンカー301と可動電極302との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるビームが4本形成されている。4本のビームそれぞれは、ジグザグ形状に形成され、互いに略90度の角をなして回転対称に形成されている。それぞれのビーム形状は九十九折り形状ということもできる。それぞれのビームの一端はアンカー301に接続され、他端は可動電極302に接続されている。アンカー301は略正方形であり、可動電極302は環状である。固定電極341−348は、可動電極302を取り囲んで配置されている。
図4を参照すると、アンカー301は基板131に固定されている。固定電極341、344も基板131に固定されている。他の固定電極342、343、346、347、348も基板131に固定されている。一方、4本のビーム(そのうちの1本のビームは、直線ビーム304、306、308、310、312、314、316を含む)および可動電極302は、基板131から離れている。可動電極702は、固定電極341−348と向き合い、対向している。
可動電極302に基板131と平行な力(図3の紙面に対して平行な方向の力)が加わると、ビームが変形することにより可動電極302が力の方向に向けて移動する。もし力の大きさが所定の大きさを超えると、可動電極302は、固定電極341−348のいずれか一以上と接触する。アンカー301、ビーム、可動電極302および固定電極341―348との材料を導電性とすると、アンカー301と固定電極341−348のいずれとの間にビームおよび可動電極302を介して電流経路ができる。電流経路の有無を検出することにより、可動電極302に所定の大きさを超えたという力学量を検出することができる。
4本のビームはそれぞれの形状が略同一であるので、そのうちの1本のビームについて図3および図4を参照して説明する。ビームは、アンカー接続部303と、直線ビーム304−316と、可動電極接続部317と、第1接続部321と、ビーム接続部322−333と、第2接続部334とを有する。
直線ビーム304、306、308、310、312、314、316は略平行に配置されている。直線ビーム304、306、308、310、312、314、316の順にアンカー301との距離が大きくなり、可動電極302との距離が小さくなっている。別の見方をすれば、直線ビーム304、306、308、310、312、314、316のそれぞれは、中心を同じとし、半径が異なる複数の同心円のいずれかに接するように配置されている。直線ビーム304、306、308、310、312、314、316のそれぞれと同心円との接点は略同一の直線上にある。また、この直線上にアンカー接続部303と可動電極接続部317とが配置されている。また、図3において、同心円の半径の大きさは略等差数列を形成しており、直線ビーム304、306、308、310、312、314の隣接する2つの直線ビームの間の距離は略等しい。ただし、本発明は、2つの直線ビームの間の距離が略等しいことに限定されるものではない。
アンカー接続部303の一端は、ビームの一端となる。アンカー接続部303の一端は、アンカー301に接続されている。アンカー接続部303の他端は、第1接続部321を介して、直線ビーム304の一端に接続されている。なお、アンカー接続部303が図3のように直線形状であれば、アンカー接続部303を直線ビームとすることができる。直線ビーム304の他端は、ビーム接続部322を介して、直線ビーム305の一端に接続されている。隣接する直線ビームは、対応するビーム接続部により接続されている。個々の接続関係については、その説明を省略する。直線ビーム316の他端は、第2接続部334を介して、可動電極接続部317の一端に接続されている。可動電極接続部317の他端は、可動電極302に接続されている。なお、可動電極接続部317が図3のように直線形状であれば、可動電極接続部317を直線ビームとすることができる。
一方、従来技術に係る加速度センサーのビームは、図1(a)に示すように曲線により構成された渦巻き形状であるため、以下に説明するシリコン単結晶の物性の異方性を利用して、可動ビームを設計することができなかった。
第1接続部321において、アンカー接続部303の他端と直線ビーム304の一端とが略垂直に接続されている。第2接続部334において、直線ビーム316の他端と可動電極接続部317の一端とが略垂直に接続されている。また、ビーム接続部322−333のそれぞれにおいて、隣接する直線ビームの一方の他端と他方の一端とが略垂直に接続されている。第1接続部321、ビーム接続部322−333および第2接続部334を順に見た場合、アンカー接続部303の他端から直線ビーム304の一端への方向、隣接する直線ビームの一方である長直線ビームの他端から他方である短直線ビームの一端への方向、および直線ビーム316の他端から可動電極接続部317の一端への方向は、右方および左方を交互に繰り返す。このため、本実施形態においては、ビームはジグザグ形状となっている。あるいはビームは九十九折り形状となっている。
図4に示すように、直線ビームの幅よりも直線ビームの高さを大きくすることにより、直線ビームが上下方向に撓む量を小さくすることができる。
なお、図3においては、アンカー301の形状は正方形であるが、アンカー301の形状は正方形に限定されることはなく、任意の形状とすることができる。例えば、楕円、あるいは、三角形、四角形などの多角形状とすることが可能である。また、図3においては1本のビームあたり13本の直線ビームが示されているが、任意の本数の直線ビームを用いることができ、したがって、任意の数のビーム接続部を用いることができる。また、図3において、アンカー接続部303および可動電極接続部317は直線形状のビームとなっているが、曲線形状のビームであってもよい。
図3において、左下に方向αと方向βとが示されている。この方向αと方向βとは互いに直交する方向であり、図3の紙面に対して平行な方向である。本実施形態においては、シリコン単結晶の表面となる主面内における方向に応じてせん断弾性率が変化し、方向αと方向βはせん断弾性率が最小となる方向として指定されている。直線ビームの長手方向は、方向αと方向βと一致しないように設定される。主面(100)面をとした場合には、後述するようにαは[110]であり、βはαと垂直な方向となる。なお、本発明ではビームを直線成分により構成することによって、従来の曲線状のビームに比べて方向αと方向βと一致しないように配置することが容易である。
主面内における方向に応じてヤング率が変化する場合には、せん断弾性率が最小となる方向を避けてヤング率が小さくなる方向を、直線ビームの長手方向とするとよい。なお、ここに、ヤング率はシリコン単結晶の主面に平行な方向におけるヤング率の値を意味し、せん断弾性率はシリコン単結晶の主面に垂直な方向のせん断弾性率の値をさす。
図5は、ヤング率およびせん断弾性率と直線ビームの左右の撓み量および捩れ量との関係を説明する図である。図5(a)では、説明のため一つの直線ビームを図示している。上述したように実際には複数の直線ビームがビーム接続部により接続されている。直線ビームの長手方向の長さをLとし、上下方向の長さである高さをtとし、長手方向と上下方向との両方に直交する方向の長さである幅をwとする。このとき、複数の直線ビームをビームに対して水平方向に力Pが加わるとする。すると、各直線ビームは水平方向に変位するとともに、複数の直線ビームで構成されるビームでは捻れによって上下方向に変位する。長手方向の周りに加わるトルクをTとする。このとき、直線ビームの水平方向の変位量uと捩れ量θとのそれぞれは、図5(b)に示される式により計算される。ここに、Eは、水平方向(図5の紙面に対して左右の方向)のヤング率の値であり、Gは、上下方向(図5の紙面に対して上下の方向)のせん断弾性率である。
図5(b)に示されるように、水平方向の変位量uと捩れ量θは、それぞれ、ヤング率Eとせん断弾性率Gとに反比例する。ビームの上下方向の変位に寄与する捻れ量θを小さくするには、せん断弾性率Gを大きい値とするとよい。さらに可動電極302の水平方向の変位量を確保しつつ、可動電極302の上下方向の変位量を小さくするには、ヤング率を小さくし、かつせん断弾性率を大きくなるようにするとよい。
図6は、非特許文献1のFigure2.7の引用である。シリコンの結晶格子における面方向[100]、[010]および[001]を、3つの直交する座標軸に対応させ、ヤング率の大きさを原点からの距離により示すグラフである。
面方向[100]、[010]および[001]ならびにその逆方向においてヤング率が最小になっている。よって、直線ビームの長手方向を[100]、[010]および[001]ならびにその逆方向と平行となる形成した場合は、ビームの水平方向の変形量を最も大きくすることができる。
図7は、主面の結晶面方位が(100)であるシリコン単結晶のヤング率の大きさを表すグラフである。このグラフは、図6に示す立体を、原点と面方向[100]および[010]とを含む平面で切断した断面に対応している。
図8は、主面の結晶面方位が(100)であるシリコン単結晶のせん断弾性率の大きさのグラフを示す。図8によれば、面方向[100]および[010]ならびにその逆方向において、せん断弾性率が最大となることがわかる。
主面の結晶面方位が(100)であるシリコン単結晶を用いる場合には、直線ビームの長手方向は、面方向[100]または[010]に一致するように設定することが好ましい。結晶面方位が(100)であるシリコンウェーハの場合において、劈開面の方向は[110]に沿う。また、結晶面方位が(100)であるシリコンウェーハでは、劈開面の方向[110]はせん断弾性率が最大となる方向と45度の角度をなし、かつせん断弾性率が最小となる方向と一致する。直線ビームを劈開面の方向[110]に一致させないようにすることで、劈開による破損を抑制しつつ上下方向への変位を抑制することができる。劈開による破損を抑制する観点から、[110]に対して3度〜87度の範囲にある方向に直線ビームの長手方向を設定するのが好ましい。直線ビームの長手方向をヤング率が最小となり、かつせん断弾性率が最大となる方向である面方向[100]および[010]と同じにするのがさらに好ましい。
なお、シリコンウェーハなどのシリコン単結晶の主面内においてヤング率とせん断弾性率とのいずれか又は両方が異方性を備えるのは、(100)である場合に限定されず、例えば(110)である場合も知られている。
本実施形態に係る力学量センサーの製造方法は次の通りである。少なくとも上面が絶縁性である基板上に、シリコンの膜を配置する。例えば、シリコンウェーハをシリコンの膜として基板上に貼り合わせたり、シリコン単結晶を形成したりする。また、基板は、SOI(Silicon On Insulator)基板であってもよく、SOI基板の活性層を、ここでいうシリコンの膜とすることができる。
このシリコンの膜を上方からエッチングを行なうことにより、シリコンの膜を固定電極341−348、アンカー301、ビームおよび可動電極302の形状とする。その後、シリコンの膜の横方向からサイドエッチングを行ない、ビームおよび可動電極302を基板より切り離し、図3および図4に示す構造を得ることができる。
(シミュレーションの結果)
本実施形態に係る力学量センサーについて、アンカー301および可動電極302の形状および大きさを一定とし、長直線ビーム間の距離、直線ビームの厚さ、直線ビームの幅、シリコンの膜の上面の結晶面方位、ビームの本数、直線ビームが、結晶面方位が(100)であるシリコンウェーハの劈開面(110)となす角のそれぞれを変化させた場合について、水平方向に1Gの加速度を加えたときにおける可動電極の水平方向の変位量と上下方向に1Gの加速度を加えたときにおける可動電極の上下方向の変位量とを、有限要素法によるシミュレーションによって求めた。水平方向とは、図3の紙面に対して水平な方向であり、図4の紙面に対して左右の方向であり、上下方向とは、図3の紙面に対して垂直な方向であり、図4の紙面に対して上下の方向である。
長直線ビーム間の距離は、50μm、100μm、または150μmと変化させた。直線ビームの厚さは、50μm、100μm、または150μmと変化させた。直線ビームの幅は、5μm、10μm、または15μmと変化させた。ビームの本数は、2本または4本と変化させた。シリコンの膜の上面の結晶面方位は、(100)面、(110)面、または(111)面と変化させた。直線ビームが劈開面となす角は、0度、30度、15度、または45度と変化させた。
(長直線ビーム間の距離を変化させた場合の可動電極の変位量について)
直線ビームの厚さを50μm、直線ビームの幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが結晶面となす角を45度と固定し、長直線ビーム間の距離を50μm、100μm、または150μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表1の通りとなった。
ここに、「変位量の比」とは、水平方向変位量に対する垂直方向変位量の比である(以下においても同じ。)。変位量の比が小さいほど、水平方向変位量に対する垂直方向変位量が小さくなることとなる。したがって、ビームの水平方向の移動量に比較して垂直方向の移動量が小さいことを示す。したがって、変位量の比が小さいほど、本発明の課題の解決のためには、好ましいこととなる。
表1によれば、長直線ビーム間の距離が小さくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがって、長直線ビーム間距離は小さいのが好ましい。ただし、長直線ビーム間距離が50μmより小さくなると、シリコンの膜を上方からエッチングする際に、長直線ビームを形成することが困難となると考えられる。したがって、長直線ビーム間の距離は、50μm以上、150μm以下が好ましい。より好ましくは50μm以上、100μm以下とするとよい。
(直線ビームの厚さを変化させた場合の可動電極の変位量について)
長直線ビーム間の距離を100μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)メイン、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、直線ビームの厚さを50μm、100μm、または150μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表2の通りとなった。
表2によれば、直線ビームの厚さが大きくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがて、直線ビームの厚さは大きいのが好ましい。ただし、直線ビームの厚さが150μmより大きくなると、シリコンの膜を上方からエッチングする際のアスペクト比が大きくなり、直線ビームを形成することが困難となると考えられる。したがって、直線ビームの厚さは、50μm以上、150μm以下が好ましい。より好ましくは100μm以上、150μm以下とするとよい。
(直線ビーム幅を変化させた場合の可動電極の変位量について)
長直線ビーム間距離を100μm、直線ビームの厚さを50μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、直線ビームの幅を5μm、10μm、または15μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表3の通りとなった。
表3によれば、直線ビームの幅が小さくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがって、直線ビームの幅は小さいのが好ましい。ただし、直線ビームの幅が5μmより小さくなると、シリコンの膜を上方からのエッチングが困難となると考えられる。したがって、直線ビームの幅は、5μm以上、10μm以下が好ましい。
(シリコンの膜の上面の結晶の面方位を変化させた場合の可動電極の変位量について)
長直線ビーム間距離を100μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビームの幅を5μm、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、シリコンの膜の上面の結晶の面方位を(100)面、(110)面、または(111)面と変化させた場合の可動電極の変位量は表4の通りとなった。
表4によれば、面方位は(100)面が好ましく、次に(110)面が好ましいこととなった。面方位(111)面が変位量の比が最も大きくなるのは、面方位(100)面、(110)面、(111)面の中では、ヤング率(主面に平行な方向におけるヤング率)が最も大きく、せん断弾性率(主面に垂直な方向のせん断弾性率)が最も小さいからである。また、面方位(111)面はそれぞれの異方性はないため、どの角度(劈開面となす角度)に直線ビームを形成しても変位量の比は小さくならない。
(ビーム本数を変化させた場合の可動電極の変位量について)
長直線ビーム間距離を100μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビームの幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶の面方位を(100)面、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、ビーム本数を2または4と変化させた場合の可動電極の変位量は表5の通りとなった。ビーム本数が2本の場合には、2本のビームは略180°の角をなすようにした。
表5によれば、ビーム本数が少ないほど、変位量の比が小さくなる。したがって、ビーム本数は少ないのが好ましい。ただし、ビーム本数が2の場合には、ビームと90度の角をなす方向における可動電極の傾きを抑制することが困難であると考えられるので、ビーム本数は3または4が好ましいと考えられる。
(直線ビームが劈開面となす角を変化させた場合の可動電極の変位量について)
長直線ビーム間距離を100μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビームの幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を0度、15度、30度、45度と変化させた場合の可動電極の変位量は表6の通りとなった。
表6によれば、直線ビームが劈開面となす角が45度に近づくほど、変位量の比が小さくなる。したがって、直線ビームが劈開面となす角は45度であることが好ましい。
(まとめ)
以上のシミュレーションの結果をまとめると、長直線ビーム間距離は小さいのが好ましく(例えば50μm以上150μm以下)、直線ビームの厚さは大きいのが好ましく(例えば100μm以上150μm以下)、直線ビームの幅は小さいのが好ましく(例えば5μm以上10μm以下)、シリコンの膜の上面の結晶方位は(100)面が好ましく、ビーム本数は3または4が好ましく、直線ビームが劈開面となす角は45度であることが好ましい。
(実施形態2)
図9は、本発明の実施形態2に係る力学量センサーの上面図である。本実施形態に係る力学量センサーのアンカー901、可動電極902、アンカー901と可動電極902とを接続するビーム、および固定電極921−928を有する。アンカー901と可動電極902との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるビームが4本形成されている。4本のビームそれぞれは、同じ向きに巻いている渦巻き形状に形成されている。それぞれのビームの一端はアンカー901に接続され、他端は可動電極902に接続されている。アンカー901は略正方形であり、可動電極902は環状の形状となっている。固定電極921−928は、可動電極902を取り囲んで配置されている。本実施形態と、実施形態1との違いは、本実施形態においては、ビームの形状が渦巻き形状となっている点である。アンカー901および固定電極921−928が基板に固定され、ビームおよび可動電極902が基板から離れている点、可動電極902が固定電極921−928と向き合い、対向している点は実施形態1と同じである。そこで、実施形態1と同じ点についての説明は以下、省略する。
4本のビームは形状が略同一なので、そのうちの一本のビームについて説明する。ビームは、アンカー接続部903と、直線ビーム904−907と、接続部908、ビーム接続部909―911とを有する。
直線ビーム904−907は隣接する直線ビームが互いにビーム接続部909−911のいずれかを介して略垂直に配置されている。直線ビーム904、905、906、907の順にアンカー901との距離が大きくなり、可動電極902との距離が小さくなっている。別の見方をすれば、直線ビーム904、905、906、907のそれぞれは中心を同じとし、半径が異なる複数の同心円のいずれかに接している。同心円の中心と、直線ビーム904、905、906、907のそれぞれと同心円との接点と、を結ぶ線分は、直線ビームの同心円との接点を結ぶ隣接する線分が略垂直となっている。
アンカー接続部903の一端は、ビームの一端となる。アンカー接続部903の他端は、接続部908を介して、直線ビーム904の一端に接続されている。直線ビーム904の他端は、ビーム接続部909を介して、直線ビーム905の一端に接続されている。直線ビーム905の他端は、ビーム接続部910を介して、直線ビーム906の一端に接続されている。直線ビーム906の他端は、ビーム接続部911を介して、直線ビーム907の一端に接続されている。直線ビーム907の他端は、ビームの他端となる。直線ビーム907の他端は、可動電極902に接続されている。
接続部908において、アンカー接続部903の他端と直線ビーム904の一端とが略垂直に接続されている。ビーム接続部909−911のそれぞれにおいて、隣接する直線ビームの一方の他端と他方の一端とが略垂直に接続されている。接続部908、ビーム接続部909、910、911を順にたどる場合、アンカー接続部903の他端から直線ビーム904の一端への方向、隣接する直線ビームの一方の他端から他方の一端への方向は、右方のみである。このため、本実施形態においては、ビームは渦巻き形状となっている。なお、接続部908、ビーム接続部909、910、911を順にたどる場合、アンカー接続部903の他端から直線ビーム904の一端への方向、隣接する直線ビームの一方の他端から他方の一端への方向が左方のみであってもよい。
(シミュレーションの結果)
本実施形態に係る力学量センサーについて、アンカー901および可動電極902の形状および大きさを一定とし、平行に隣接する直線ビーム間の距離、直線ビームの厚さ、直線ビームの幅、シリコンの膜の上面の結晶面方位、ビームの本数、直線ビームが劈開面となす角のそれぞれを変化させた場合について、水平方向に1Gの加速度を加えたときにおける可動電極の水平方向の変位量と上下方向に1Gの加速度を加えたときにおける可動電極の上下方向の変位量とを、実施形態1と同様の有限要素法によるシミュレーションによって求めた。
平行に隣接する直線ビーム間の距離は、100μm、200μm、または300μmと変化させた。直線ビームの厚さは、50μm、100μm、または150μmと変化させた。直線ビームの幅は、5μm、10μm、または15μmと変化させた。ビームの本数は、2本または4本と変化させた。シリコンの膜の上面の結晶面方位は、(100)面、(110)面、または(111)面と変化させた。直線ビームが劈開面となす角は、0度、15度、15度または45度と変化させた。
(直線ビーム間距離を変化させた場合の可動電極の変位量について)
直線ビームの厚さを50μm、直線ビームの幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、隣接する平行な直線ビーム間の距離を100μm、200μmまたは300μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表7の通りとなった。
表7によれば、隣接する平行な直線ビーム間の距離が大きくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがって、隣接する平行な直線ビーム間の距離は大きいのが好ましい。ただし、隣接する平行な直線ビーム間の距離が300μmになると、水平方向変位量が極端に小さくなり、物理量センサーの感度が低下すると考えられる。したがって、隣接する平行な直線ビーム間の距離は、100μm以上200μm以下が好ましい。
(直線ビームの厚さを変化させた場合の可動電極の変位量について)
直線ビーム間距離を200μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、直線ビームの厚さを50μm、100μm、または150μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表8の通りとなった。
表8によれば、直線ビームの厚さが大きくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがって、直線ビームの厚さは大きいのが好ましい。ただし、直線ビームの厚さが150μmより大きくなると、シリコンの膜の上面からのエッチングのアスペクト比が大きくなり、エッチングが困難となると考えられる。したがって、直線ビームの厚さは150μm以下が好ましい。
(直線ビームの幅を変化させた場合の可動電極の変位量について)
隣接する平行な直線ビーム間距離を200μm、直線ビームの厚さを50μm、シリコンの膜の上面の結晶の面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、直線ビーム間の幅を5μm、10μm、または15μmと変化させた場合の可動電極の変位量は表9の通りとなった。
表9によれば、直線ビームの幅が小さくなるほど、変位量の比が小さくなる。したがって、直線ビームの幅は小さいのが好ましい。ただし、直線ビームの幅が5μmより小さくなると、エッチングが困難となると考えられる。したがって直線ビームの幅は5μm以上、10μm以下であることが好ましい。
(シリコンの膜の上面の結晶面方位を変化させた場合の可動電極の変位量について)
隣接する平行な直線ビーム間距離を200μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビーム間の幅を5μm、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、(110)面、または(111)面と変化させた場合の可動電極の変位量は表10の通りとなった。
表10によれば、面方位は(100)面が好ましく、次に(110)面が好ましいこととなった。面方位(111)面が変位量の比が最も大きくなるのは、上述したように、面方位(100)面、(110)面、(111)面の中では、ヤング率が最も大きく、せん断弾性率が最も小さいからである。また、面方位(111)面はそれぞれの異方性はなく、どの角度に直線ビームを形成しても変位量の比が小さくならない。
(ビーム本数を変化させた場合の可動電極の変位量について)
隣接する平行な直線ビーム間距離を200μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビーム間の幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、直線ビームが劈開面となす角を45度と固定し、ビーム本数を2または4と変化させた場合の可動電極の変位量は表11の通りとなった。
表11によれば、ビーム本数が大きいほど、変位量の比が小さくなる。したがって、ビーム本数は大きいのが好ましく、例えば、4本とするのがよい。
(直線ビームが劈開面となす角を変化させた場合の可動電極の変位量について)
隣接する平行な直線ビーム間距離を200μm、直線ビームの厚さを50μm、直線ビーム間の幅を5μm、シリコンの膜の上面の結晶面方位を(100)面、ビーム本数を4、直線ビームが劈開面となす角を0度、15度、30度または45度と変化させた場合の可動電極の変位量は表12の通りとなった。
表12によれば、直線ビームが劈開面となす角が45度に近いほど、変位量の比が小さくなる。したがって、直線ビームが劈開面となす角は45度であることが好ましい。
(まとめ)
以上のシミュレーションの結果をまとめると、ビーム間距離は大きいのが好ましく(例えば100μm以上200μm以下)、直線ビームの厚さは大きいのが好ましく(例えば100μm以上150μm以下)、直線ビームの幅は小さいのが好ましく(例えば5μm以上10μm以下)、シリコンの膜の上面の結晶の面方位は(100)面が好ましく、ビーム本数は4以上が好ましく、直線ビームが劈開面となす角は45度であることが好ましい。
なお、実施形態1および実施形態2において、隣接する直線ビームが互いに垂直に接続されているので、直線ビーム方向は2つである。このため、水平方向の変位を求める際に、直線ビームの方向によって変位量が異なるようにも思える。しかし、直線ビームの方向に対して、0度、15度、30度の方向に力を加えるシミュレーションを行なったが、水平方向の移動量は0.107%の違いが生じるだけであった。したがって、水平方向の可動電極の変位には異方性はないと考えられる。
また、直線ビームが劈開面となす角は、45度に限定されることはない。シミュレーションの結果として掲載しなかったが、直線ビームが劈開面となす角が3度以上87度以上あれば実用上問題ないと考えられる結果が得られた。
(種々の変形例)
以下、上述した本発明の実施形態に係る力学量センサーの変形例を説明する。
図10は、第1の変形例に係る力学量センサーのアンカー1001、ビーム、可動電極1002および固定電極1041−1048の上面図である。図10には、実施形態1のように、アンカーと可動電極との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるジグザグ形状あるいは九十九折り形状のビームが4本示されている。
図10には、4本のビームのうち、1本のビームの各部分についてアンカー接続部として符号1003を付し、接続部として符号1021を付し、直線ビームとして符号1004−1017を付し、ビーム接続部として1022−1034を付した。これらの接続関係は、実施形態1と同様なので説明を省略する。
なお、図10において直線ビームの長手方向は上下方向、左右方向と一致しているが、これは本変形例の特徴を見やすくするなどのためであり、図10の下部に示されるように例えば、αとβとが[100]と[010]とである場合に、直線ビームの長手方向は、αとβと異なり、ヤング率とせん断弾性率とのいずれかまたは両方が大きくなる方向となっている(第2の変形例、第4の変形例、第5の変形例、第6の変形例においても同様である)。
本変形例では、可動電極1002の形状が実施形態1と異なり、ビームが配置される部分において可動電極1002が一部切り欠かれた凸部分1035、1036の間にビームが配置されていることが特徴の一つとなっている。これにより、可動電極の質量を大きくすることができ、小さな加速度でも可動電極大きな変位を生じさせることができ、力学量センサーの感度を上げることができる。
特に、本変形例では、直線ビーム1006、1008、1010、1012、1014の長さは略同一となり、直線ビーム1005、1009、1013が略同一直線の上に配置され、直線ビーム1007、1011、1015も別の略同一直線の上に配置されている。これにより、ビーム接続部1003から直線ビーム1016までのビームを挟む可動電極の内側の凸部分1036、1035の大きさを大きくすることができ、可動電極の質量を大きくすることができる。これにより小さな加速度でも可動電極に大きな変位を生じさせることができ、力学量センサーの感度を上げることができる。
図11は、第2の変形例に係る力学量センサーのアンカー1101、ビーム、可動電極1102および固定電極1141−1148の上面図である。図11には、実施形態1に示したように、アンカー1101と可動電極1102との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるジグザグ形状あるいは九十九折り形状のビームが4本示されている。本変形例では、可動電極1102は、略正方形に略円形の開口が設けられ、開口の部分にビームが配置されている。開口は略円形である必要はなく、略正方形などの矩形であってもよいし、任意の形状とすることもできる。
図11には、4本のビームのうち、1本のビームの各部分についてアンカー接続部として符号1103を付し、接続部として符号1121を付し、直線ビームとして符号1104−1115を付し、ビーム接続部として1122−1132を付した。これらの接続関係は、実施形態1と同様なので説明を省略する。
本変形例では、可動電極は円環形状ではなく、矩形状、特に正方形の形状となっている。これにより、可動電極が固定電極に接触した場合の接触面積を大きくすることができ、物理量の検出をより確実に行なうことができる。ビームは、ジグザグ形状あるいは九十九折り形状の代わりに、図6に示すように、渦巻き形状とすることもできる。
また、本変形例では、可動電極は円環形状ではなく、矩形状となっているので、図10のように、可動電極の内部に凸形状の部分を設けなくても、可動電極の質量を大きくすることが可能となる。
図12は、第3の変形例に係る力学量センサーのアンカー1201、ビーム、可動電極1202および固定電極1231−1238の上面図である。図12には、アンカー1201と可動電極1202との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるジグザグ形状あるいは九十九折り形状のビームが4本示されている。
4本のビームは形状が略同一であるので、そのうちの1本のビームについて説明する。ビームは、直線ビーム1203−1211とビーム接続部1221−1228とを有する。直線ビーム1203の一端はアンカー1201に接続され、他端はビーム接続部1203により、鋭角をなして直線ビーム1204の一端に接続されている。直線ビーム1204の他端はビーム接続部1222により、鋭角をなして直線ビーム1205の一端に接続されている。直線ビーム1205の他端はビーム接続部1223により鋭角をなして直線ビーム1206の一端に接続されている。直線ビーム1206の他端は、ビーム接続部1224により鋭角をなして直線ビーム1207の一端に接続されている。直線ビーム1207の他端は、ビーム接続部1225により鋭角をなして直線ビーム1208の一端に接続されている。直線ビーム1208の他端は、ビーム接続部1226により鋭角をなして直線ビーム1209の一端に接続されている。直線ビーム1209の他端は、ビーム接続部1227により鋭角をなして直線ビーム1210の一端に接続されている。直線ビーム1210の他端はビーム接続部1228により直線ビーム1211の一端に接続されている。直線ビーム1211の他端は可動電極1202に接続されている。
ビーム接続部1221、1222、1223、1224、1225、1226、1227、1228を順に見た場合、隣接する直線ビームの一方の他端から他方の一端への方向は、右方および左方を交互に繰り返す。このため、本変形例においては、ビームはジグザグ形状あるいは九十九折り形状となっている。
別の見方をすれば、アンカー1201との距離が大きくなるにしたがって、直線ビーム1203−1211の長さが大きくなっている。アンカー1201から離れるにしたがってより長い直線ビームを配置するスペースが得られるので、水平方向への変位が大きいビームが得られる。
本変形例では、上述の実施形態、変形例と異なり、隣接する直線ビームが略垂直に接続されていない。これにより、直線ビームの本数を減らすことができる。
図13は、第4の変形例に係る力学量センサーのアンカー1301、ビーム、可動電極1302および固定電極1321−1328の上面図である。図13には、アンカー1301と可動電極1302との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるジグザグ形状あるいは九十九折り状の形状のビームが4本示されている。
4本のビームは形状が略同一であるので、そのうちの1本のビームについて説明する。ビームは、アンカー接続部1303と、第1接続部1311と、直線ビーム1304−1308と、第2接続部1316と、可動電極接続部1309と、ビーム接続部1312−1315とを有する。アンカー接続部1303の一端はアンカー1301に接続され、他端は、第1接続部1311を介して直線ビーム1304の一端に接続されている。直線ビーム1304の他端はビーム接続部1312を介して直線ビーム1305の一端に接続されている。直線ビーム1305の他端は、ビーム接続部1313を介して直線ビーム1306の一端に接続されている。直線ビーム1306の他端は、ビーム接続部1314を介して直線ビーム1307の一端に接続されている。直線ビーム1307の他端は、ビーム接続部1315を介して直線ビーム1308の一端に接続されている。直線ビーム1308の他端は、第2接続部1316を介して可動電極接続部1309の一端に接続されている。可動電極接続部1309の他端は可動電極1302に接続されている。
本変形例では、直線ビーム1304、1305、1306、1307、1308の順にアンカー1301との距離が大きくなり、可動電極1302との距離が小さくなる。別の見方をすれば、直線ビーム1304、1305、1306、1307、1308は、実施形態1と同様に、中心が同じであり半径が異なる複数の同心円のいずれかに接する。また、直線ビーム1304、1305、1306、1307、1308と同心円のいずれかとの接点は同一の直線上にある。
実施形態1と本変形例との違いは、ビーム接続部1312−1315が、中心角が略180度の円弧の形状となっている点である。これにより、ビーム接続部が接続する直線ビームは略平行となっている。ただし、本変形例において、ビーム接続部の形状は、中心角が略180度の円弧の形状に限られることはなく、例えば中心角は180度より小さくてもよい。また、円弧である必要はなく、放物線などの任意の曲線とすることができる。
また、第1接続部1311、第2接続部1316は円弧や曲線の形状となっていてもよい。
本変形例では、曲線形状のビーム接続部が用いられていることにより、ビームが変形した際にビーム接続部に加わる応力を分散させることができ、ビームの破損を防止することができる。
図14は、第5の変形例に係る力学量センサーのアンカー1401、ビーム、可動電極1402および固定電極1421−1428の上面図である。図14には、実施形態1と同様に、アンカー1401と可動電極1402との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成されるジグザグ形状あるいは九十九折り形状のビームが4本示されている。
図14においては、4本のビームのうち、1本のビームの各部分についてアンカー接続部として符号1403、直線ビームとして符号1405−1413、接続部として符号1421、ビーム接続部として符号1422−1430を付した。これらの接続関係は、実施形態1と同様なので説明を省略する。
本変形例では、実施形態1として説明した内容と異なり、直線ビーム1405−1413の幅が異なり、アンカー1401に近い直線ビームほど幅が大きくなっている。これにより、ビームが変形した際に、アンカーとビームとが接続されている部分に加わる応力による破損を防止することができる。同様に、可動電極に近い部分の幅をアンカーに近い部分よりも大きくすることにより、可動電極とビームとが接続されている部分に加わる応力による破損を防止することができる。また、アンカーと可動電極との中間の位置の幅を、アンカーまたは可動電極に近い位置の幅よりも小さくすることもできる。これにより、力学量センサーの感度を調整することができる。
図15は、第6の変形例に係る物理量センサーのアンカー1501、ビーム、可動電極1511−1518の上面図である。図15においては、実施形態2と同様に、アンカーと可動電極との間に、直線ビームとビーム接続部とにより構成される渦巻き形状のビームが4本示されている。
本変形例では、隣接する平行な直線ビーム間の距離が一様ではない。すなわち、間隔1502、間隔1503、間隔1504の順序で大きさが小さくなっている。このようにビーム間の距離を変化させることにより、ビームの変形量を制御し、力学量センサーの感度を調整することができる。
以上、本発明の一実施形態の変形例をいくつか説明したが、本発明は、これらの変形例に限定されることはなく、これらの変形例をさらに変形して実施することもできる。また、複数の変形例の特徴を組み合わせて実施することもできる。例えば、アンカーの形状は正三角形、正方形、正六角形である必要はない。また、可動電極が環状の形状となっていること、ビームが3〜6本であること、固定電極が8個である必要はなく、種々に変形することができる。
また、本発明の実施形態、変形例に係る力学量センサーは、傾き等を検知することができ、種々の力学量を検出することが可能である。
(直線ビームを用いる場合と曲線のビームを用いる場合との比較)
本発明の一実施形態においては、直線ビームを用いている。直線ビームを用いることにより、ヤング率、せん断弾性係数が大きくなる方向に直線ビームを配置することができる。一方、図1に示す従来技術に係る加速度センサーでは曲線のビームが用いられるので、ヤング率、せん断弾性係数の異方性を利用することができない。以下では、直線ビームを用いる場合と曲線のビームを用いる場合との比較をするために、シミュレーションを行なった結果について説明する。
図16は、本発明の実施形態に係る第1のモデル(実施形態2に対応)のアンカー、ビームおよび可動電極の上面図であり、図17は、本発明の実施形態に係る第2のモデル(実施形態1に対応)のアンカー、ビームおよび可動電極の上面図であり、図18は、従来技術に係る第3のモデルのアンカー、ビームおよび可動電極の上面図である。
第1〜3のモデルに共通なパラメータは次の通りである。アンカー、ビームおよび可動電極は、厚さが50μmのシリコンであり、ビームの幅は15μmである。また、可動電極は、外周の形状が、半径Rが1685μmとなる円である。これをまとめると表13のようになる。
第1のモデルにおいて、可動電極は、一辺の長さLが2200μmの正方形の開口を有し、アンカーは、一辺の長さSが400μmの正方形の形状をしている。また、ビームを4本形成し、それぞれのビームは直線形状のアンカー接続部と4本の直線ビームを有し、アンカー接続部および4本の直線ビームの隣接するものは略90度の角をなし、ビーム全体は渦巻き形状となっている。また、隣接する平行な直線ビーム間の距離Dは200μmである。また、直線ビームは、劈開面に対して45度をなしている。
第2のモデルにおいて、可動電極は、半径L/2が1385μmの開口を有し、アンカーは、一辺の長さSが400μmの正方形の形状をしている。また、ビームを4本形成し、直線ビームのうち、長直線ビーム間の距離Dは100μmである。また、直線ビームは、劈開面に対して45度をなしている。
第3のモデルにおいて、可動電極は、半径L/2が1385μmの開口を有し、アンカーは、半径が700μmの円形状を有している。また、ビームは1本の渦巻き形状であり、ビーム間の距離Dが140μmとなる渦巻き形状である。
以上説明した第1のモデル、第2のモデル、第3のモデルのパラメータを示すと表14のようになる(表13に示したものを除く)。
以上のモデルに対して、一辺の長さの平均が10μmの三角錐を用いた有限要素法により、水平方向と垂直方向とのそれぞれに1Gの加速度を加えた場合の、可動電極の変位量を計算した。その結果は、以下に示す表15となった。
表15に示されるように、直線ビームを有する第1のモデルおよび第2のモデルのいずれにおいても、従来の曲線のビームのみを有する第3のモデルよりも、変動量の比は小さくなっている。すなわち、本発明の実施形態に係る力学量センサーにおいては、水平方向に対する垂直方向の変位量は、従来技術に係る加速度センサーよりも相対的に小さくなり、課題が解決されることがわかる。
301 アンカー
341−348 固定電極
302 可動電極
305−316 直線ビーム
323−333 ビーム接続部

Claims (7)

  1. 基板に固定されたアンカーおよび固定電極と、
    前記アンカーと前記固定電極との間において、前記基板から離れて形成され、前記固定電極と接触すると前記固定電極と導通する可動電極と、
    前記アンカーに一端が接続され、前記可動電極に他端が接続され、かつ前記基板から離れて形成され、複数の直線ビームを含むビームとを有し、
    前記アンカーと前記固定電極と前記可動電極と前記ビームとは、せん断弾性率が異方性を有する結晶面方位を主面とするシリコン単結晶により構成され、前記複数の直線ビームの長手方向は、せん断弾性率が最小値となる方向と異なっていることを特徴とする力学量センサー。
  2. 前記主面の結晶面方位は、(100)面または(110)面であることを特徴とする請求項1に記載の力学量センサー。
  3. 前記複数の直線ビームの長手方向は、前記シリコン単結晶の劈開面に対して3度以上87度以下の角度を成すことを特徴とする請求項1または2に記載の力学量センサー。
  4. 前記シリコン単結晶は、前記主面と平行な方向においてヤング率が異方性を有し、
    前記複数の直線ビームの長手方向は、ヤング率が最小値となり、かつ前記主面と垂直な方向においてせん断弾性率が最大値となる方向に一致することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の力学量センサー。
  5. 前記複数の直線ビームは、前記アンカーを中心とする複数の同心円を仮定したときに、該同心円に接するように配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の力学量センサー。
  6. 前記ビームは、九十九折形状であることを特徴とする請求項5に記載の力学量センサー。
  7. 前記ビームは、直線により構成された渦巻き形状であることを特徴とする請求項5記載の力学量センサー。
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