以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る運転支援装置について説明する。なお、本実施形態では、当該運転支援装置が車両(具体的には、乗用車を想定し、以下、自車両mvと称す)に搭載される例について説明する。
本発明に係る運転支援装置は、自車両mvに搭載されたカメラを用いて、当該自車両mvが走行している走行環境を示す情報を認識し、後述するLKA制御およびLDW制御の少なくとも一方の制御を変更するものである。
なお、詳細は後述するが、自車両mvが走行している走行環境を示す情報とは、自車両mvが走行している走行環境に設置されたインフラ設備等であり、例えば、規制等を示す文字看板やイラストで描かれた看板(いわゆる道路標識)、路面上に描かれた文字やイラスト(いわゆる道路標示)などである。
さらに、以下の説明において、LKA制御およびLDW制御等の総称として車線維持制御と称すことがある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る運転支援装置について説明する。図1は、当該運転支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、運転支援装置は、運転支援ECU(Electrical Control Unit)1を備えている。この運転支援ECU1には、レーダ装置2と、カメラ3と、車速検出装置4と、操舵トルク検出装置5と、ブレーキ装置6と、ウィンカースイッチ7と、LKA(Lane keep Assist)メインスイッチ8と、LDW(Lane Departure Warning)メインスイッチ9と、電動パワーステアリング(Electric Power Steering、以下、略してEPSと称す)10と、エンジンECU(Electrical Control Unit)11と、表示装置12と、音声出力装置13とが接続されている。
運転支援ECU1は、レーダ装置2、カメラ3、車速検出装置4、操舵トルク検出装置5、およびブレーキ装置6、ウィンカースイッチ7、LKAメインスイッチ8、LDWメインスイッチ9等から出力される情報を用いて、自車両mvに搭載されたEPS10、エンジンECU11、表示装置12および音声出力装置13等を制御し、ドライバーの運転をサポートする。
レーダ装置2は、自車両mvの所定の位置(例えば、前照灯や方向指示器などが搭載されている位置)に設置され、自車両mvの外側に向けて電磁波を照射し、自車両mv前方の周囲を監視している。具体的には、レーダ装置2は、自車両mvの前方の周囲に向けて電磁波を照射し、当該レーダ装置2の検出範囲内に存在するターゲット(他車両、自転車、歩行者、建造物などの物体)を検出する。そして、レーダ装置2は、例えば、自車両mvの前方および側方周囲に存在するターゲットを検出し、当該ターゲットを検出した信号を、運転支援ECU1に出力する。
カメラ3は、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラ等であり、自車両mvの前方を撮像する。そして、カメラ3は、例えば、所定時間間隔で自車両mvの前方を撮像し、当該撮像した画像を運転支援ECU1に出力する。なお、カメラ3が設置される位置は、自車両mvの前方を撮像するため、当該自車両mvの進行方向に向けられており、ドライバーの運転の妨げにならない、例えばバックミラー裏側等に設置される。
車速検出装置4は、自車両mvが走行する際の車速を検出する。そして、車速検出装置4は、検出した車速を運転支援ECU1に出力する。また、操舵トルク検出装置5は、例えば、自車両mvのステアリングハンドルに接続されたステアリングロッドに取り付けられている。そして、操舵トルク検出装置5は、当該ステアリングハンドルに与えられた操舵トルクを検出し、当該検出した操舵トルクを運転支援ECU1に出力する。さらに、ブレーキ装置6は、自車両mvのブレーキに取り付けられ、ドライバーが行うブレーキ操作をアシストしたり、ドライバーがブレーキ操作を行ったりした場合、当該ブレーキが駆動、操作されたことを示す情報を運転支援ECU1に出力する。
ウィンカースイッチ7は、方向指示器を点灯させるためのスイッチであり、自車両mvのドライバーが方向指示器を点灯させたり消灯させたりした場合、当該操作をしたことを示す情報を運転支援ECU1に出力する。
LKAメインスイッチ8およびLDWメインスイッチ9は、LKA制御およびLDW制御を開始させるためのスイッチである。具体的には、LKAメインスイッチ8およびLDWメインスイッチ9は、自車両mvのドライバーが運転席に着席した状態で操作できる位置に設置される。そして、ドライバーが上記各スイッチをそれぞれ操作することにより、運転支援ECU1によって各制御(LKA制御および/またはLDW制御)がそれぞれ開始される。なお、LKAメインスイッチ8およびLDWメインスイッチ9は、一例であり、例えば、ドライバーが操作して、運転支援ECU1に対して、車線維持制御を開始または中止させることができるものであればよい。
EPS10は、ドライバーが行うハンドル操作を補助したり、自車両mvが走行すべきレーンから逸脱する可能性が高い場合などに運転支援ECU1からの指示に従って自車両mvが上記走行すべきレーンを走行するようにドライバーのハンドル操作を支援する。また、エンジンECU11は、自車両mvのエンジンを制御するための装置であり、運転支援ECU1からの指示に従って、自車両mvのエンジンのトルクを制御する。つまり、EPS10およびエンジンECU11は、自車両mvを動的に制御する装置である。
なお、図1には、一例として、EPS10とエンジンECU11とを示したが、動的に制御する装置は、これに限られるものではない。例えば、自車両mvと物体との衝突が避けられないと運転支援ECU1が判断した場合に、自車両mvの乗員の拘束性を高め、被害を低減するシートベルト装置や座席シート等も含まれる。
表示装置12は、一例として、自車両mvの運転席に着席して当該自車両mvを運転するドライバーから視認可能な位置(運転席前面の計器盤112の中)に設けられる、液晶ディスプレイ、発光ダイオード(LED)、有機ELディスプレイなどの表示媒体である(図2参照)。また、表示装置12は、ハーフミラー(反射ガラス)を運転席前面のフロントガラスの一部に設け、当該ハーフミラーに情報等の虚像を蛍光表示するヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display)等、他の表示装置(それぞれ図示せず)であってもよい。これによって、自車両mvのドライバーは、運転席に着席し正面(走行方向)を向いたまま、表示装置12に表示された情報を確認することができる。なお、表示装置12に表示される情報については後述する。
音声出力装置13は、各種情報を音声で自車両mvのドライバーに提供するものである。具体的には、音声出力装置13は、運転支援ECU1からの指示に応じた警告や情報をドライバーに報知する。また、音声出力装置13は、具体的には、自車両mvに備わっているスピーカー等である。
なお、運転支援ECU1からの指示に応じた警告を行う装置は、音声出力装置13に限られず、例えば、運転支援ECU1からの指示に従って、座席シートやステアリングハンドル等に振動を加え、自車両mvのドライバーに警告をする振動装置(図示せず)等も含まれる。
(第1の実施形態)
次に、図3〜図10を参照しつつ、本発明に係る第1の実施形態について説明する。具体的には、本発明に係る第1の実施形態は、カメラ3により撮像された画像を認識し、予め定められた条件に従って自車両mvが走行している道路標識を表示装置12に表示させたり、予め定められた条件に従って上記車線維持制御の条件を変更したりするものである。
以下、図3を参照しつつ、第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。図3は、第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図3に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがON)されることによって開始される。また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがOFF)されることによって終了される。なお、以下の説明において、イグニッションスイッチをIGと称す。
図3のステップS11において、運転支援ECU1は、IGがONであるか否かを判断する。そして、IGがONであると判断した場合(YES)、次のステップS12に処理を進める。一方、運転支援ECU1は、IGがONではない、つまりIGがOFFであると判断した場合(NO)、当該フローチャートでの処理を終了する。
ステップS12において、運転支援ECU1は、自車両mvの車両情報を取得する。なお、当該ステップS12において、運転支援ECU1が取得する車両情報とは、例えば、車線維持制御を行わせるためのスイッチ(例えば、LKAメインスイッチ8やLDWメインスイッチ9等)が、ドライバーによって押下されていることを示す情報などである。
ステップS13において、運転支援ECU1は、車線維持制御を開始するか否かを判断する。具体的には、運転支援ECU1は、上記ステップS12で取得した車両情報を参照して、車線維持制御を開始するか否かを判断する。そして、例えば、運転支援ECU1は、上記ステップS12で取得した車両情報から、例えばLKAメインスイッチ8やLDWメインスイッチ9がドライバーによって押下されている場合など、判断を肯定し(YES)、次のステップS14に処理を進める。一方、例えば、運転支援ECU1は、ステップS12で取得した車両情報から、例えばLKAメインスイッチ8やLDWメインスイッチ9がドライバーによって押下されていなかった場合など、判断を否定し(NO)、上記ステップS12に処理を戻す。
図3のステップS14において、運転支援ECU1は、カメラ3が撮像した画像を取得する。具体的には、運転支援ECU1は、カメラ3によって撮像された自車両mv前方の画像を当該カメラ3から取得する。そして、運転支援ECU1は、次のステップS15に処理を進める。
ステップS15において、運転支援ECU1は、カメラ3によって撮像された自車両mv前方の画像について画像処理を行う。具体的には、当該ステップS15において、運転支援ECU1は、自車両mvの前方の道路標識を認識する処理を行う。以下、ステップS15において行われる処理について説明する。
図4は、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した、自車両mvの前方画像14の一例を示した図である。ステップS15において、運転支援ECU1は、上記前方画像14の所定方向(例えば、縦方向)にソーベルフィルタ処理を施し、当該処理後のソーベル画像内における輝度の差を用いて、当該ソーベル画像内から縦方向のエッジ点を抽出する処理を行う。なお、このとき、運転支援ECU1は、上記前方画像14において道路標識が存在する範囲を推定してもよい。
具体的には、上記前方画像14において道路標識が存在する範囲の推定に関して、例えば、当該運転支援装置が搭載された自車両mvが左側通行である日本国内で使用される場合、当該自車両mvの進行方向の左側に存在する物体は道路標識である可能性が高いとして、当該物体は道路標識であると推定してもよいし、自車両mvが走行している走行路面上に描かれた区画線(特に左側区画線)の位置を基準として、道路標識が存在すると推定してもよい。つまり、車両が走行する走行路面に設置されている標識は、当該走行路面において、どの位置(高さ)に設置されていることが多いのか等を予め運転支援ECU1の記憶部(図示せず)に記憶させておき、カメラ3の撮像画像(例えば前方画像14)中で道路標識を認識する範囲を予め決めておいてもよい。
そして、運転支援ECU1は、上記前方画像14から道路標識15を探す。例えば、運転支援ECU1は、当該運転支援ECU1内の図示しない記憶部に予め記憶されている道路標識のテンプレートを参照して、上記前方画像14から抽出されたエッジ点およびエッジラインと上記テンプレートとでパターンマッチング処理を行うことに上記前方画像14から道路標識15を認識する。
例えば、運転支援ECU1内の図示しない記憶部には、図5に示すような道路標識のテンプレートが予め記憶されている。ここで、運転支援ECU1内の図示しない記憶部に記憶されているテンプレートの一例を説明する。例えば、図5の(a)は、自動車専用道路を示す道路標識の一例である。また、図5に示してある自動車専用道路を示す道路標識以外の説明、つまり他の道路標識についての説明は後述の説明において適宜する。
なお、図5で示した道路標識は一例であり、実際には、運転支援ECU1内の図示しない記憶部には、日本国内および外国において存在しうる道路標識のテンプレートが予め記憶されていてもよい。
また、上述した説明は、運転支援装置が搭載された車両が左側通行である日本国内で使用される場合を想定したが、これに限らず、同様の考え方で自車両mv(車両)が右側通行である外国においても道路標識を認識することができる。さらに、カメラ3が撮像した画像から道路標識を認識する手法は一例であり、上述した例に限らず既知の手法を用いても構わない。
以下の説明において、特に断りのない限り、まず自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14中の道路標識15は、自動車専用道路を示す標識(例えば図5の(a))であると、言い換えると、自車両mvの前方には自動車専用道路を示す標識が設置されていると仮に想定して、図3のステップS16から説明を続ける。
図3の説明に戻って、ステップS16において、運転支援ECU1は、上記ステップS15で自車両mvの前方の道路標識を認識する処理を行った結果、信頼度の値はC1以上であるか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、当該ステップS16の判断を肯定した場合(YES)、次のステップS17に処理を進める。一方、運転支援ECU1は、当該ステップS16での判断を否定した場合(NO)、ステップS110に処理を進める。
ステップS17において、運転支援ECU1は表示を実行する。具体的には、当該ステップS17において、運転支援ECU1は、表示装置12を制御し、例えば計器盤112の中に設けられた液晶ディスプレイに自動車専用道路の標識のイラストや、図5の(a)を模した画像を表示する。そして、運転支援ECU1は、次のステップS18に処理を進める。
ステップS18において、運転支援ECU1は、上記ステップS15で自車両mvの前方の道路標識を認識する処理を行った結果、信頼度の値はC2以上であるか否かを、さらに判断する。そして、運転支援ECU1は、当該ステップS18の判断を肯定した場合(YES)、次のステップS19に処理を進める。一方、運転支援ECU1は、当該ステップS18での判断を否定した場合(NO)、ステップS110に処理を進める。
なお、上記ステップS18における信頼度の値は、上記ステップS16における信頼度の値よりも大きい値である(信頼度の値C2>信頼度の値C1)。
ここで、上記ステップS16およびステップS18における信頼度について説明する。上記ステップS16およびステップS18における信頼度とは、上記ステップS15において、運転支援ECU1がカメラ3によって撮像された自車両mv前方の画像について画像処理を行った結果、上記前方画像14から道路標識15を正しく認識・識別できたか否かの度合いを示す値のことである。一例として、信頼度の値が1〜10の範囲で設定されていると仮に想定し、上記信頼度の値が大きいほど、信頼度が高いとする。そして、上述したように、運転支援ECU1が、当該運転支援ECU1内の図示しない記憶部に予め記憶されている道路標識のテンプレートを参照する。その後、例えば、上記前方画像14から抽出されたエッジ点およびエッジラインと上記テンプレートとでパターンマッチング処理を行った結果、一致度に応じて信頼度が決定される。そして、当該一致度が高かった場合、信頼度の値は大きくなる、つまり上記前方画像14に示された道路標識15は、自動車専用道路を示す標識である可能性が高いと判断されることになる。
このように、運転支援ECU1は、まず、画像処理における信頼度の値がC1以上であった場合に表示を実行し、さらに信頼度の値がC2以上であった場合に表示し、さらに後述する車線維持制御の条件を変更する。
なお、仮に、上記ステップS16での画像処理における信頼度評価を第1の評価、上記ステップS18での画像処理における信頼度評価を第2の評価と称する。また、上述したように、信頼度の値は、信頼度の値C2>信頼度の値C1の関係にあるので、第2の評価の基準は第1の評価の基準に比べて厳しく設定されている。つまり、第1の評価の基準を満たした場合、運転支援ECU1は、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、自動車専用道路を示す標識である可能性が高いと判断し、表示を行う。さらに、第2の評価の基準を満たした場合、運転支援ECU1は、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、自動車専用道路を示す標識である可能性が、より高いと判断し、後述するステップS19での処理で車線維持制御を自動車専用道路に対応したものに変更する。
言い換えると、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、自動車専用道路を示す標識である可能性が低かった場合、表示や車線維持制御の条件の変更は行わない。
図3の説明に戻って、ステップS19において、運転支援ECU1は、車線維持制御の条件を変更し、次のステップS110に処理を進める。
具体的には、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、自動車専用道路を示す標識であるとの基準を満たしたので、運転支援ECU1は、車線維持制御を自動車専用道路に対応したものに変更する。
車線維持制御、特にLKA制御は、自車両mvが安全に上記レーン内を走行できるように、EPS10が小さな操舵力を連続的に付加し上記レーン中央付近を走行できるように支援するものである。しかし、自動車専用道路を走行する自車両mvは、一般道を走行している場合と比べて自動車専用道路では、不要動作が発生しにくい。従って、安全に上記レーン内を走行するための、EPS10による操舵力は、強くても煩わしさを与えにくい。
そのため、ステップS19において、運転支援ECU1は、自車両mvが安全にレーン内を走行できるように付加される操舵力を一般道にて行われるものと比べて強くするようにLKA制御の条件を変更する。つまり、前方画像14における道路標識15は、自動車専用道路を示す標識である基準を満たした場合は、自車両mvは自動車専用道路を走行しているものと想定して、自動車専用道路以外の走行路面を走行している場合とは異なり、自車両mvが安全にレーン内を走行できるように付加される操舵力を強いものに変更する。
さらに、車線維持制御、特にLDW制御は、一般的に自車両mvのドライバーが意図せずに、レーンから逸脱しそうであると判断した場合や、逸脱すると判断した場合、事前に自車両mvのドライバーに対して、音声出力装置13等を介して警告を行うものである。具体的には、例えば、T秒後に自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達すると判断した場合等である。つまり、T秒後には自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達する(区画線を逸脱する)ことが予想されるので、予め自車両mvのドライバーに対して警告を行うものである。しかし、自動車専用道路を走行する自車両mvは、一般道を走行している場合と比べて自動車専用道路では、不要動作が発生しにくい。従って、自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達する旨の警告をするタイミングは、一般道を走行している場合と比べて早いタイミングで行っても煩わしさを与えにくい。
そのため、ステップS19において、運転支援ECU1は、自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達する旨の警告をするタイミングを一般道にて行われるものと比べて早くなるようにLDW制御の条件を変更する。具体的には、運転支援ECU1は、一般道では1秒後に自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達すると判断した場合に警告していたものを、例えば2秒後に自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達すると判断した場合に警告するようにLDW制御の条件を変更する。これによって、運転支援ECU1は、自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達する旨の警告をするタイミングを早いものにすることができる。
このようにすることで、例えば、自動車専用道路を走行している場合に操舵アシストの操舵力を一般道を走行している場合と比べて強くしたり、自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達する旨の警告をするタイミングを一般道を走行している場合と比べて早くしたりすることができる。従って、自車両mvの走行環境に応じたLKA制御およびLDW制御を行うことができ、より安全なドライビングを支援することができる。
図3の説明に戻って、ステップS110において、運転支援ECU1は、自車両mvのIGがOFFされたか否かを判断する。そして、IGがOFFであると判断した場合(YES)、当該フローチャートでの処理を終了する。一方、運転支援ECU1は、自車両mvのIGがOFFされていないと判断した場合(NO)、上記ステップS12に処理を戻す。
ところで、自車両mvの走行環境、つまり前方画像14における道路標識15に応じて、上記ステップS19においてLKA制御およびLDW制御の条件をそれぞれ変更することが望まれる場面は、上述した自動車専用道路に限られない。つまり、車線維持制御において、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から当該自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものの存在を示す道路標識の場合、LKA制御およびLDW制御の条件をそれぞれ変更してもよい。
以下、図面を参照しつつ、車線維持制御において、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から当該自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものの存在を示す道路標識の場合についてのLKA制御およびLDW制御の条件の変更態様について説明する。つまり、走行路面に描かれた右側区画線および左側区画線以外の存在のため、自車両mvの走行すべきレーンの認識精度が低下する可能性を示唆する道路標識の場合についのLKA制御およびLDW制御の条件の変更態様について説明する。
まず、図5の(b)および(c)に示したような横断歩道があることを示す道路標識が挙げられる。この場合についても、LKA制御およびLDW制御の条件をそれぞれ変更してもよい。
ここで、図6、および再度図3を参照して、横断歩道があることを示す道路標識の場合における、LKA制御およびLDW制御の条件の変更態様について説明する。図6は、横断歩道のある走行路面の一例を示した図である。例えば、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、横断歩道があることを示す標識(例えば図5の(b)、(c))であると想定し、図3のステップS18の処理が肯定された後の処理から説明する。なお、この場合、図3のステップS11〜ステップS18の処理は、上述した処理と同様に行えばよいので説明は省略し、図3のステップS19からの処理について説明する。
図3のステップS19において、自車両mvに搭載されたカメラ3が撮像した当該自車両mvの前方画像14における道路標識15は、横断歩道を示す標識である基準を満たしたので、運転支援ECU1は、車線維持制御を横断歩道に対応したものに変更する。具体的には、以下の通りである。
上述したように、車線維持制御は、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)を認識し、自車両mvが安全に当該レーン内を走行できるように然るべき措置を行ったり(LKA制御)、当該レーンから逸脱しそうであると判断した場合や、逸脱すると判断した場合、事前に自車両mvのドライバーに対して、音声出力装置13等を介して警告を行ったり(LDW制御)するものである。つまり、車線維持制御は、自車両mvが走行している走行路面に描かれた右側区画線および左側区画線を自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から認識することにより行われる。
そのため、図6の破線Lで囲み示したように、横断歩道のために走行路面に描かれた白線を自車両mvが走行している右側区画線および/または左側区画線と認識してしまう可能性があり、自車両mvの走行すべきレーンの認識精度が低下することがある。そこで、運転支援ECU1は、車線維持制御を自車両mvの走行路面に横断歩道があるとしたものに変更する。
具体的には、運転支援ECU1は、自車両mvが安全に当該走行レーン内を走行できるように付加される操舵力を一般道にて行われるものと比べて弱くするようにLKA制御の条件を変更する。つまり、自車両mvは横断歩道のある走行路面を走行している、または走行しようとしているものと想定して、運転支援ECU1は、自車両mvが安全に当該レーン内を走行できるように付加される操舵力が弱くなるように一時的にLKA制御の条件を変更したり、一時的に操舵アシストを禁止したりする。また、運転支援ECU1は、LDW制御(具体的には警告)を一時的に禁止する。
さらに、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものが走行路面上に存在するであろうことを示す道路標識として、図7に示す各標識も挙げることができる。具体的には、図7に示す各標識も横断歩道があることを示す道路標識の場合と同様の車線維持制御の条件の変更が行われる。以下、図7を参照しつつ、さらに説明する。
図7は、横断歩道があることを示す道路標識の場合と同様の車線維持制御の条件の変更が行われる例の一覧表であり、各標識と当該標識の場合におけるLKA制御、LDW制御を示すものである。なお、上述したので説明は省略するが、図7に再度、図5の(b)および(c)に示したような横断歩道があることを示す道路標識を示した。
図7の(d)示すように示したような踏切があることを示す道路標識の場合についても、横断歩道があることを示す道路標識と同様に自車両mvが安全に当該走行レーン内を走行できるように付加される操舵力が弱くなるように一時的に変更したり、操舵アシストを一時的に禁止したり、LDW制御を一時的に禁止してもよい。
また、図7の(e)に示したような路面電車レーン(路面電車軌道)内走行可を示す道路標識や、右左折レーンがあること示す標識(図7の(f)では一例として左折レーンがあることを示す標識を示した)や、図7の(g)に示したような工事中を示す標識や、図7の(h)、(i)に示したような交差点があることを示すような標識や、図7の(j)に示したようなロータリーがあることを示す標識の場合、運転支援ECU1は、自車両mvが安全に当該走行レーン内を走行できるように付加される一時的に操舵アシストを禁止したり、LDW制御を一時的に禁止してもよい。
なお、図7の(e)〜(j)に示した標識の場合は、自車両mvが安全に当該レーン内を走行できるように付加される操舵力が弱くなるように一時的にLKA制御の条件を変更せず、操舵アシストを禁止するのが好ましい。これは、図7の(b)〜(d)の標識の場合に比べて、走行路面に描かれた白線等を自車両mvが走行している右側区画線および/または左側区画線と認識してしまう可能性がより高くなるためである。
例えば、図7の(g)に示したような工事中を示す標識がある走行路面の場合、当該走行路面上には工事用のパイロンが設置されていたり、工事のために走行路面上の右側区画線、左側区画線が不規則な描かれ方をしている場合があり、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線とを正確に認識できない可能性が大きいからである。
また、交差点内は、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線とが描かれておらず、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像中には当該右側区画線と左側区画線とが存在しないことがあり、車線維持制御においてレーンの基準になる右側区画線と左側区画線とを認識できない可能性がある。そのため、図7の(h)、(i)に示したような交差点があることを示すような標識の場合、自車両mvが安全に当該レーン内を走行できるように付加される操舵力が弱くなるように一時的にLKA制御の条件を変更せず、操舵アシストを禁止するのが好ましい。
このように、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から当該自車両mvの走行すべき走行レーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものの存在を示す道路標識の場合についてもLKA制御およびLDW制御の条件変更を行うので、自車両mvの走行環境に応じたLKA制御およびLDW制御を行うことができ、より安全なドライビングを支援することができる。
また、車線維持制御において、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から当該自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものの存在を示す道路標識以外に、道路環境によって走行レーンの基準となる右側区画線および/または左側区画線自体が変化することを示す道路標識の場合も、LKA制御およびLDW制御の条件をそれぞれ変更してもよい。
以下、図面を参照しつつ、車線維持制御において、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から当該自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線および/または左側区画線自体が変化することを示す道路標識の場合についてのLKA制御およびLDW制御の条件の変更態様について説明する。
まず、図8の(k)に示したような合流を示す道路標識が挙げられる。以下、図9および図10を参照して、合流を示す道路標識の場合におけるLKA制御およびLDW制御の条件の変更態様について説明する。
図9は、合流区間を走行している自車両mvおよび他車両ovの一例を示した図である。具体的には、図9は、自車両mvは本線を走行しており、他車両ovは当該本線に合流するために合流車線を走行している様子を示した図である。
まず、図9について説明する。図9に示すように、他車両ovは本線に合流するために合流車線を矢印arS1方向に走行していると仮に想定する。この場合、自車両mvのドライバーは、安全のため、本線に合流しようとしてくる他車両ovとの間隔をとるため矢印arCに示すように、右側(他車両ovが進入してくる方向とは逆の方向)に操舵トルクを加え易い傾向がある。一方で、LKA制御は自車両mvが本線の中央付近を走行するようにEPS10によって、小さな操舵力が付加される。そのため、ドライバーの上記のようなハンドル操作を妨げることになる。そこで、運転支援ECU1は、図8の(k)に示したような合流を示す道路標識の場合、本線の中央付近を走行するように付加される操舵力が弱くなるように一時的にLKA制御の条件を変更したり、操舵アシストを一時的に禁止したりする。
また、自車両mvのドライバーが、安全のため、本線に合流しようとしてくる他車両ovとの間隔をとるために右側方向に寄ると、右側区画線RL1に近づいてしまうためLDW制御(具体的には警告)がなされることもある。そこで、運転支援ECU1は、図8の(k)に示したような合流を示す道路標識の場合、LDW制御の警告をするタイミングを遅くしたり、LDW制御を一時的に禁止したりする。
次に、図10について説明する。図10は、本線に合流するために合流車線を矢印arS2方向に走行している自車両mvの一例を示した図である。上述したように、車線維持制御は、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーンを認識し然るべき措置を行うものである。図10において、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線は、右側区画線RL2および左側区画線LL2である。
しかしながら、本線に合流するために、矢印arS2方向に自車両mvが走行した場合、車線維持制御では、図10に示すように、合流車線の終了を示す破線Rfを自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線として認識してしまう可能性がある。言い換えると、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーンを認識する際に、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線を、左側区画線LL2および破線Rfとしてしまう可能性がある。
そのため、矢印arS2方向に走行している自車両mvからすると、破線Rfが当該自車両mvに寄ってくるため、LKA制御では、自車両mvが左側区画線LL2と破線Rfとの間を走行するようにEPS10によって、左側区画線LL2方向に小さな操舵力が付加されることになる。また、図10に示すように、仮に自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線を、左側区画線LL2および破線Rfとしてしまった場合、左側区画線LL2と破線Rfとの間隔は次第に狭くなるので(図10の間隔w1から間隔w2)、自車両mvの走行すべき走行レーンを認識することができなり、LKA制御が終了してしまうこともある。
そこで、ドライバーの違和感を低減させるために、運転支援ECU1は、図8の(k)に示したような合流を示す道路標識の場合、付加される操舵力が弱くなるようにLKA制御条件を一時的に変更したり、一時的に操舵アシストを禁止したりする。また、運転支援ECU1は、LDW制御の警告をするタイミングを遅くしたり、LDW制御を一時的に禁止したりする。
なお、図9および図10の説明では、車両が左側通行である国(例えば日本国内)を想定、つまり自車両mvの左側から合流のため他車両ovが進入してくる場合を想定したが、これに限らず、車両が右側通行である国(例えば米国、欧州など)、つまり自車両mvの右側から合流のため他車両ovが進入してくる場合も適用できることは言うまでもない。
また、道路環境によって走行レーンの基準となる右側区画線および/または左側区画線自体が変化することを示す道路標識として、図8の(l)に示したような車線数減少を示す道路標識や、図8の(m)に示したような車線幅減少を示す道路標識等も挙げることができる。図8の(l)および(m)で示した標識がある走行路面においても、同様に、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーンを認識する際に、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線を誤認識してしまう可能性がある。つまり、図8の(l)および(m)で示した標識がある走行路面においても、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線が変化するために、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線を誤認識してしまう可能性がある。
この場合も、運転支援ECU1は、ハンドルに付加される操舵力が弱くなるようにLKA制御を一時的に変更したり、一時的に操舵アシストを禁止したりする。また、運転支援ECU1は、LDW制御の警告をするタイミングを遅くしたり、LDW制御を一時的に禁止したりしてもよい。
さらに、自車両mvの走行すべきレーンの基準となる区画線を誤認識してしまう可能性がある走行路面を示す道路標識として、図8の(n)に示したような路面凹凸があることを示す道路標識等も挙げることができる。例えば、図8の(n)に示したような路面凹凸があることを示す道路標識がある走行路面を自車両mvが走行する場合、路面凹凸のため自車両mvが上下に揺れ動くことにより当該自車両mvに搭載されたカメラ3も上下に揺れ動くことが予想される。
そのため、自車両mvに搭載されたカメラ3は、当該自車両mv前方の画像を正確に撮像できなくなり、結果として自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線とを正確に認識できない可能性がある。そこで、この場合も、運転支援ECU1は、付加される操舵力が弱くなるようにLKA制御条件を一時的に変更したり、一時的に操舵アシストを禁止したりしてもよい。また、運転支援ECU1は、LDW制御の警告をするタイミングを遅くしたり、LDW制御を一時的に禁止したりしてもよい。
なお、運転支援ECU1の指示により、LDW制御、特に、振動装置により警告をする場合は、路面の凹凸のため振動装置による振動に自車両mvのドライバーは気付かないことがあるので、振動装置による振動の強さを大きくしてもよい。
なお、上述したような、道路環境によって走行レーンの基準となる右側区画線および/または左側区画線自体が変化することを示す道路標識とは異なり、例えば、図8の(o)に示したような速度制限を示す道路標識等の場合も、車線維持制御の条件を変更してもよい。
なお、図8の(o)では、一例として、制限速度が50km/hであることを示す道路標識を示した。例えば、制限速度が30km/hである道路(制限速度が30km/hであることを示す道路標識のある道路)と、制限速度が60km/hである道路(制限速度が60km/hであることを示す道路標識のある道路)とを比較すると、一般的に制限速度が60km/hである道路の方が、制限速度が30km/hである道路に比べてインフラ設備(区画線等)が比較的整備されていることが多い。言い換えると、一般的に制限速度が30km/hである道路の方は、制限速度が60km/hである道路に比べてインフラ設備(区画線等)が劣ることがある。そのため、インフラ設備(区画線等)が劣っている道路では、自車両mvに搭載されたカメラ3は、当該自車両mv前方の画像を正確に撮像できなくなり、結果として自車両mvの走行すべきレーンの基準となる右側区画線と左側区画線とを正確に認識できない可能性がある。
そこで、制限速度を示す標識を認識した結果、制限速度が、例えば、30km/h以下の道路標識であった場合、運転支援ECU1は、付加される操舵力が弱くなるようにLKA制御条件を一時的に変更したり、一時的に操舵アシストを禁止したりしてもよい。また、運転支援ECU1は、LDW制御の警告をするタイミングを遅くしたり、LDW制御を一時的に禁止したりしてもよい。
(第2の実施形態)
次に、図11〜図14を参照しつつ、本発明に係る第2の実施形態について説明する。具体的には、本発明に係る第2の実施形態は、カメラ3により撮像されたから画像から道路標識を認識する。そして、当該認識された道路標識が、例えば、図11の(p)に示したような対向車線を分けるセンターラインの位置を示す標識(以下、単に中央線を示す標識と称す)であった場合、上記車線維持制御、特にLDW制御の条件を変更するものである。
以下、図12を参照しつつ、第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。図12は、第2の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートである。図12に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図12に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがON)されることによって開始される。また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがOFF)されることによって終了される。なお、以下の説明において、イグニッションスイッチをIGと称す。
なお、以下、図12の説明において、上述した第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートの処理と異なる点についてのみ説明する。
図12のステップS26において、運転支援ECU1は、カメラ3によって撮像された自車両mv前方の画像について画像処理を行った結果(図12のステップS25)、当該自車両mvの前方画像における道路標識は、中央線を示す標識であるか否かを判断する。
そして、運転支援ECU1は、当該ステップS26の判断を肯定した場合(YES)、つまり、自車両mvの前方画像における道路標識は、中央線を示す標識であった場合、次のステップS27に処理を進める。一方、運転支援ECU1は、当該ステップS26の判断を否定した場合(NO)、ステップS28に処理を進める。
ステップS27において、運転支援ECU1は、上記車線維持制御、特にLDW制御の条件を変更する。
例えば、図13に示すように、自車両mvが、矢印arS3方向に直進していると仮に想定する。この場合、運転支援ECU1は、左側区画線LL3と中央線CLとを認識し、LKA制御中は、自車両mvが当該左側区画線LL3と中央線CLとの間を走行するようにEPS10によって、小さな操舵力が付加される。一方、LDW制御中は、自車両mvが左側区画線LL3または中央線CLから逸脱しそうであると判断した場合や、逸脱すると判断した場合、事前に自車両mvのドライバーに対して、音声出力装置13等を介して警告が行われる。
ところで、一般的に、自車両mvが区画線を逸脱した場合に想定される被害の規模は、例えば、図13に示すように、左側区画線LL3を逸脱した場合に比べて中央線CLを逸脱した場合の方が大きくなる傾向がある。つまり、左側区画線LL3を逸脱した場合に比べて中央線CLを逸脱した場合、図13に示したように、矢印arS4方向に直進してくる対向車(他車両ov)と自車両mvとの正面衝突が予想される。その被害規模は、左側区画線LL3を逸脱した場合に想定される路外停止物(ガードレール等)との衝突と比べてが大きい。
そこで、中央線を示す標識が認識された場合、LDW制御において、より安全なドライビングを支援するため、自車両mvの前輪が中央線CLに到達する旨の警告をするタイミングは、自車両mvの前輪が左側区画線LL3に到達する旨の警告をするタイミングに比べて、早いタイミングで行う。
具体的には、運転支援ECU1は、ステップS27において、例えば、1秒後に自車両mvの前輪が右側区画線、または左側区画線に到達すると判断した場合に警告していたものを、自車両mvの進行方向右側の区画線(図13の例では中央線CL)については、例えば、2秒後に自車両mvの進行方向右側の区画線に自車両mvの前輪が到達すると判断した場合に警告するように、LDW制御の条件を変更する。
なお、図13の説明では、車両が左側通行である国(例えば日本国内)を想定、つまり中央線が自車両mvの右側にある場合を想定したが、これに限らず、車両が右側通行である国(例えば米国、欧州など)、つまり中央線が自車両mvの左側にある場合も適用できることは言うまでもない。
このようにすれば、自車両mvが、例えば、中央線CLを逸脱しそうである場合に、当該自車両mvのドライバーに対して早期にLDW制御(具体的には警告)がなさるので、より安全なドライビングを支援することができる。なお、中央線であるか否かを当該中央線の形状や色彩等、具体的には、実線と破線とを区別したり、白線と黄色線とを区別したりして認識する手法もあるが、中央線の形状や色彩等は各国異なることがあり、処理が複雑になる。そのため、上述したように、カメラ3により撮像されたから画像から中央線を示す標識を認識した場合に、LDW制御の条件を変更する手法は、形状や色彩等から中央線を認識する手法に比べて簡便である。
なお、カメラ3により撮像されたから画像から道路標識を認識し、当該認識された道路標識に応じて、上記車線維持制御、特にLDW制御の条件を変更する標識は、上述した中央線を示す標識に限られない。例えば、図11の(r)に示す交互通行を示す標識も挙げることができる。
図14は、交互通行の道路を自車両mvが走行している場面を示した図である。交互通行の道路では、一般的に、自車両mvのドライバーは、図14の破線で示すような当該交互通行の道路の中央付近を走行するのではなく、図14の実線で示すように当該交互通行の道路の左側に寄って走行することが多い。つまり、自車両mvを運転するドライバーは、対向車が向かってきた場合、安全にすれ違うことのできるように、予め道路の左側に寄って走行することが多い。
そこで、交互通行を示す標識が認識された場合、LDW制御においては、自車両mvの前輪が左側区画線LL4に到達する旨の警告をするタイミングは、自車両mvの前輪が右側区画線RL4に到達する旨の警告をするタイミングに比べて、遅いタイミングで行う。
さらに、上述したように、LKA制御は、例えば、図14で示した場合では、右側区画線LL4と左側区画線RL4との中間のエリアを設定し、当該エリアを走行できるように支援するものである。交互通行を示す標識が認識された場合、右側区画線LL4と左側区画線RL4との中間のエリアではなく、当該エリアをやや左側に設定してもよい。
これによって、対向車が向かってきた場合、安全にすれ違うことのできるように、予め道路の左側に寄って走行していることによる不要なLDW制御を抑制することができたり、自車両mvが左側区画線LL4と右側区画線RL4との間を走行するようにEPS10によって、当該右側区画線LL4と左側区画線RL4との中間のエリア方向に小さな操舵力が付加されることがなくなる。
(第3の実施形態)
次に、図15〜図17を参照しつつ、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
一般的に、LKA制御では、自車両mvが安全に走行レーン内を走行できるようにカーブ半径に応じた操舵力を付加する。ここで、区画線からカーブ半径を求める方法の一例を説明する。
例えば、運転支援ECU1は、図15に示すように、右側区画線RL5と左側区画線LL5とから車線幅Wを求め、当該車線幅Wから自車両mvが走行するときの目標軌道となる、仮想的な中央線ALを設定する。そして、運転支援ECU1は、当該設定した仮想的な中央線ALと自車両mvとのズレ幅Dを算出する。
なお、この処理の一例として、図15に示すように、運転支援ECU1は、自車両mvの重心Gから横に線を引いたときに、上記仮想的な中央線ALと交わる点Pを求める。さらに、運転支援ECU1は、上記重心Gから上記点Pまでの距離を横方向のズレ幅Dとして算出する。
さらに、運転支援ECU1は、上記重心Gから上記自車両mvの進行方向に引いた線と上記点Pでの接線とがなす角θ(以下、ヨー角θと称す)、すなわち、上記仮想的な中央線ALに対する上記自車両mvの向きを算出する。そして、運転支援ECU1は、自車両mvが現在走行している道路の上記仮想的な中央線ALと少しだけ過去に走行していた道路の上記仮想的な中央線ALとに基づいて、当該仮想的な中央線ALを円弧として近似し、当該円弧の半径を求めることによってカーブ半径Rを算出する。
以上が自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を求める方法の一例である。本発明に係る第3の実施形態は、カメラ3により撮像されたから画像から、例えば高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値(例えば、図16に示したカーブ半径を示す標識ではR=500)を認識し、自車両mvに搭載されたカメラ3により撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)を認識する際のフィルタ処理の条件を変更するものである。
以下、図17を参照しつつ、第3の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1において行われる処理の流れの一例を説明する。図17は、第3の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートである。図17に示すフローチャートは、例えば、運転支援ECU1が当該運転支援ECU1内に備えられている図示しない記憶部に記憶されている所定のプログラムを実行することにより行われる。また、図17に示すフローチャートの処理は、運転支援ECU1の電源がON(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがON)されることによって開始される。また、当該フローチャートに示した処理は、運転支援ECU1の電源がOFF(例えば、運転支援装置が搭載された自車両mvのイグニッションスイッチがOFF)されることによって終了される。なお、以下の説明において、イグニッションスイッチをIGと称す。
なお、以下、図17の説明において、上述した第1の実施形態に係る運転支援装置の運転支援ECU1における処理の流れの一例を示したフローチャートの処理と異なる点についてのみ説明する。
図17のステップS35において、運転支援ECU1は、カメラ3によって撮像された自車両mv前方の画像について画像処理を行い、例えば、高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値を認識する。
ステップS36において、運転支援ECU1は、高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値はR以上であるか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、当該ステップS36での判断を肯定した場合(YES)、次のステップS37においてカーブフラグをONにセットする。一方、運転支援ECU1は、当該ステップS36での判断を否定した場合(NO)、次のステップS38においてカーブフラグをOFFにセットする。
ステップS39において、運転支援ECU1は、カーブフラグはONであるか否かを判断する。そして、運転支援ECU1は、当該ステップS39での判断を肯定した場合(YES)、次のステップS310でフィルタ処理(A)にセットする。一方、運転支援ECU1は、当該ステップS39での判断を否定した場合(NO)、次のステップS311でフィルタ処理(B)にセットする。
なお、フィルタ処理(A)にセットとは、運転支援ECU1が、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を求めるときに、カメラ3により撮像されたから画像について画像処理をする際のローパスフィルタのカットオフ周波数を、例えば、5Hzにセットする。一方、フィルタ処理(B)にセットとは、運転支援ECU1が、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を求めるときに、カメラ3により撮像されたから画像について画像処理をする際のローパスフィルタのカットオフ周波数を、例えば、1Hzにセットする。
つまり、カーブが急になればなるほど(カーブ半径の値が大きいほど)、運転支援ECU1が、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を求める処理が安定するので、高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値により、自車両mvがカーブ区間に入ることが予め分かっている場合、運転支援ECU1は、フィルタを緩める。これによって、運転支援ECU1が、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を求める処理の負荷を低減することができる。
なお、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を算出したときの値と、高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値とが相違した場合、運転支援ECU1は、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を算出したときの値を優先させる。つまり、自車両mvの走行路面に描かれた区画線からカーブ半径を算出したときの値より、高速道路等に設置してあるカーブ半径を示す標識に示されている数値の方が大きかった場合、運転支援ECU1は、フィルタを緩める処理は行わない。
また、上述した第1〜第3の各実施形態では道路標識を認識する例を説明したが、例えば、路面上に描かれた文字等によっても車線維持制御の条件を変更してもよい。
さらに、上述の説明では、車両を運転するドライバーに見せることを目的とした道路標識(規制等を示す文字看板やイラストで描かれた看板等である)や路面上に描かれた文字などに応じて車線維持制御の条件を変更した。しかしながら、車両を運転するドライバーに見せることを目的としないものをカメラによって認識し、車線維持制御の条件を変更してもよい。例えば、(画像処理によって認識ができる)単なる記号等を描いた看板等を車線維持制御の条件のために設置することができる場合、当該記号等に応じて設定された車線維持制御の条件に変更してもよい。
なお、運転支援ECU1は、認識することのできた道路標識に応じて、自車両mvに搭載されたカメラにより撮像されたから画像から自車両mvの走行すべきレーン(右側区画線と左側区画線との間のエリア)を認識する処理を変化させてもよい。例えば、図7に示した各標識は、自車両mvの走行すべき走行レーンの基準となる右側区画線と左側区画線との認識の妨げとなるようなものが走行路面上に存在するであろうことを示すものであるため、例えば、図3の上記ステップS18での判断が肯定された場合、LKA制御およびLDW制御の条件を変更するのではなく、一時的に中断してもよいし、高速道路を示す標識等が認識された場合は、カメラ3の感度を高めてもよい。
上記実施形態で説明した態様は、単に具体例を示すものであり、本願発明の技術的範囲を何ら限定するものではない。よって、本願の効果を奏する範囲において、任意の構成を採用することが可能である。