JP5692583B2 - 潜熱回収型熱源機 - Google Patents
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Description
この潜熱回収型の熱源機は、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼装置と、主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器とを有しており、燃焼装置で生成された燃焼ガスが上流側から順番に、一次熱交換器、二次熱交換器を通過して外部に排気される構成とされている。
また、燃焼によって、空気中の窒素と酸素とが反応し、窒素酸化物が生成されるため、燃焼ガスには窒素酸化物が含まれている。
そのため、この種の潜熱回収型の熱源機は、酸性のドレンを中和する中和器が内蔵されており、発生したドレンは中和器で中和されてから外部に排水する構成とされている。
このように、中和器に導入される実質的なドレンの総量は、二次熱交換器で発生したドレンの量と、排気経路で発生したドレンの量の合計となるため、演算によるドレンの積算値(二次熱交換器で発生し得るドレン)との間に大きなずれが生じ、実際には報知される前に寿命が到来してしまっている場合があった。
一方、熱源機内部においては、一般的に、燃焼ガスの温度が低温に向かうほど、燃焼ガスに含まれた水蒸気の液化割合が増加する。
従って、排気経路内において、燃焼ガスの温度が異なれば、発生するドレン量も変化する。
そこで、本発明者らは、排気経路に温度センサを設け、その温度センサの検知温度に基づいて、排気経路のドレンの量を把握することを勘案した。これにより、排気部材の施工状態に関わらず、排気経路内の温度環境に応じたドレン量を演算することができるため、中和剤の寿命をより正確に判定することができる。
しかしながら、排気部材に設けた温度センサが破損したり、誤検知を行った場合、排気部材において発生するドレンの量を正確に把握することが不可能となり、結果的に演算によるドレンの量と、実際のドレンの発生量との間にずれが生じてしまうことが懸念される。
ここで、上記したように、排気部や排気流路でドレンが発生した場合、熱交換器で発生したドレンが中和器に導入されて中和されるため、中和器においては中和すべき実質的なドレンの量が増加する。そこで、本発明では、補正係数で中和剤の寿命を補正している。これにより、本発明では、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来を判定する際に、補正された寿命を基準として判定される。従って、本発明によれば、排気部や排気流路に発生するドレンを加味した実際の寿命に近いタイミングで外部に報知することができるため、中和剤の補充や交換、あるいは中和器自体の取り替え時期を最適なタイミングで行うことができる。
以上により、本発明によれば、予め算出された補正係数に基づいて中和剤の寿命の補正ができるため、排気部や排気流路で発生するドレンの量を、その都度温度センサの検知温度に基づいて演算する必要がない。即ち、排気部や排気経路に温度センサを設けることなく、排気部や排気流路で発生するドレンを加味した中和剤の寿命判定を行うことができる。これにより、温度センサの誤検知等による寿命判定の不具合の懸念がない上、寿命到来により中和されないドレンがそのまま外部に排水されるという不具合を回避することができる。
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、空気を燃焼部に導く給気経路を有し、排気部と排気流路は一連の排気経路を形成し、排気経路の先端部には排気トップが装着されるもので、前記補正係数には、排気経路が給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第1冷却補正係数、及び/又は、排気トップが給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第2冷却補正係数が備えられており、当該第1、第2冷却補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機である。
本実施形態の潜熱回収型熱源機(以下、単に熱源機とも言う)1は、配管系統等の構成については公知のそれと同様であるため、簡単に説明する。
燃焼装置2は、1つの筐体(缶体)5内に熱交換器22が内蔵され、さらに後述する熱交換器22を加熱する燃焼部3と、送風機6が設けられたものである。さらに、本実施形態では、燃焼装置2内部で発生するドレンを外部に排水するドレン排水系統7が設けられている。
燃料供給流路30は、バーナ4に接続された燃料用の流路であって、燃料供給流路30の中途には、燃料ガスの供給を断続することができる2つの電磁弁36、37が設けられ、さらに電磁弁36、37よりも上流側の位置には、ガス比例弁35や元ガス電磁弁34が設けられている。即ち、各弁34〜37の開閉を制御することで、各バーナ4に供給する燃料ガスの量を制御することを可能としている。
送風機6は、缶体5の下部に設けられており、各バーナ4に対して空気が供給可能な配置とされている。
より具体的には、一次熱交換器11は、燃焼部3で燃料ガスが燃焼されて発生した燃焼ガスの主に顕熱を回収して湯水を加熱する熱交換器であり、二次熱交換器12は、一次熱交換器11より燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、主に燃焼ガスに含まれる水蒸気の潜熱を回収して湯水を加熱する熱交換器である。また、熱交換器22に流れる湯水は、二次熱交換器12側から一次熱交換器11側に流れる。
従って、図示しない給水源から供給された水は、まず比較的温度の低い燃焼ガスが流れる二次熱交換器12で加熱され、その後、高温の燃焼ガスが流れる一次熱交換器11で加熱される。
また、排気流路形成部材10の突端部には、公知の排気トップ15が装着されている。
図示しないリモコンの運転スイッチがオンの状態で、給湯栓45が操作されると、図示しない給水源から水が供給され、給水流路25を介して熱交換器22に導入される。このとき、入水温度センサ32や流量センサ31によって、熱交換器22に導入される湯水の入水温度Tiが検知されると共に、単位時間当たりの流量が検知される。そして、流量センサ31による検知流量がMOQ(燃焼装置を作動することができる最低限の単位時間当たりの流量)以上であることが確認されると、燃焼量が演算されて燃焼動作が開始される(フィードフォワード制御)。
即ち、出湯温度Toの検知後においては、出湯温度Toを加味した燃焼量に補正されて燃焼が行われる(フィードバック制御)。以後、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の組み合わせ制御によって、燃焼量が制御され、設定温度Tsに調整された湯が安定的に出湯される。
本実施形態では、二次熱交換器12に発生するドレンに加えて、排気経路8に発生するドレンを加味して、予め中和剤の寿命を補正でき、その補正された寿命を基準に中和剤の寿命到来の判定を可能としている。具体的には、燃焼装置2における実際の稼働時間及び燃焼量に基づいて、二次熱交換器12で発生するドレンの量が演算され、その演算されたドレン量と、補正された寿命とを比較している。
なお、この報知信号は、視覚に訴えるものや、聴覚に訴えるものが挙げられる。
そのため、本実施形態では、排気経路8の施工状態をいくつかに分類し、分類した項目ごとに特定の補正係数kとして割り当て、施工状態に応じて選択的にいずれかの補正係数kを採用できる構成とされている。
以下に、本実施形態に採用された補正係数ki、kc、ks、klについて説明する。
断熱補正係数kiは、排気経路8の断熱環境の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、断熱補正係数kiは、排気経路8の外周に断熱材が取り付けられているか否かの条件で選択可能なもので、断熱材が取り付けられていない場合は、補正係数として0.96〜0.98、好ましくは0.97を適応させることができ、断熱材が取り付けられている場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、断熱補正係数kiを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8に断熱材が取り付けられていない場合の中和剤の寿命たる限界値R1は、排気経路8に断熱剤が取り付けられている場合の限界値R2よりも値が小さくなる。
冷却補正係数kcは、排気経路8や排気トップ15の内部構造の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、冷却補正係数kcには、排気経路8が給気経路を備えた二重管式か否かの条件で選択可能な第1冷却補正係数kc1と、排気トップ15が給気経路を備えた二重管式か否かの条件で選択可能な第2冷却補正係数kc2がある。
具体的には、第1冷却補正係数kc1は、排気経路8が給気経路の一部を備えた二重管式の場合に、補正係数として0.93〜0.95、好ましくは0.94を適応させることができ、排気経路8に給気経路がなく、当該排気経路8が通常の単管式の場合に、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。さらに、第2冷却補正係数kc2は、排気トップ15が給気経路の一部を備えた二重管式の場合に、補正係数として0.96〜0.98、好ましくは0.98を適応させることができ、排気トップ15に給気経路がなく、当該排気トップ15が通常の単管式の場合に、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、冷却補正係数kcを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8や排気トップ15の構造に二重管式が採用された場合の中和剤の寿命たる限界値R3は、排気経路8や排気トップ15の構造が単管式が採用された場合の限界値R4よりも値が小さくなる。
設置補正係数ksは、排気経路8の設置環境の違いに応じて用意された補正係数Kである。即ち、設置補正係数ksは、排気経路8の一部あるいは全部が屋外に位置するか否かの条件で選択可能なもので、排気経路8の一部あるいは全部が屋外に位置する場合は、補正係数として0.93〜0.95、好ましくは0.94を適応させることができ、排気経路8の一部あるいは全部が屋内に位置する場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、設置補正係数ksを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8が屋外に位置する場合の中和剤の寿命たる限界値R5は、排気経路8が屋内に位置する場合の限界値R6よりも値が小さくなる。
延長補正係数klは、排気経路8の長さの違いに応じて用意された補正係数Kである。具体的には、延長補正係数klは、排気経路8の長さは一定値(本実施形態では6m)を超えるか否かの条件で選択可能なもので、排気経路8の長さが一定値以上の場合は、補正係数として0.95〜0.97、好ましくは0.96を適応させることができ、排気経路8の長さが一定値より短い場合は、補正係数として0.99〜1.00、好ましくは1.00を適応させることができる。このように、延長補正係数klを用いて中和剤の寿命が補正されると、排気経路8の長さが一定値以上の場合の中和剤の寿命たる限界値R7は、排気経路8の長さが一定値より短い場合の限界値R8よりも値が小さくなる。
なお、入力手段56において、一旦、入力情報をリセットするような場合には、2つの入力スイッチ58、59を長押しする。
2 燃焼装置
3 燃焼部
8 排気経路
9 排気部
10 排気流路形成部(排気流路)
12 二次熱交換器(熱交換器)
15 排気トップ
16 ディップスイッチ(入力手段)
29 中和器
56 入力手段
k 補正係数
ki 断熱補正係数
kc 冷却補正係数
ks 設置補正係数
kl 延長補正係数
Claims (6)
- 燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、
中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、
排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、
前記補正係数には、排気経路における断熱環境に応じた断熱補正係数が備えられており、当該断熱補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機。 - 燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、
中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、
空気を燃焼部に導く給気経路を有し、
排気部と排気流路は一連の排気経路を形成し、排気経路の先端部には排気トップが装着されるもので、
前記補正係数には、排気経路が給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第1冷却補正係数、及び/又は、排気トップが給気経路の一部を備えた二重管式であるか否かで割り当てられた第2冷却補正係数が備えられており、当該第1、第2冷却補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機。 - 燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する燃焼部と、主に燃焼ガスの潜熱を回収する熱交換器と、潜熱が回収された際に発生するドレンが導入され当該ドレンを中和する中和剤が充填された中和器とを有し、燃焼部における燃焼量及び稼働時間に基づいて中和剤の寿命の到来判定を行い報知する機能を備えた潜熱回収型熱源機であって、
前記熱交換器を通過した燃焼ガスを外部に導く排気部を有し、当該排気部及び/又は排気部より下流側に接続され外部と連通した排気流路の構造及び/又は設置環境に応じて補正係数が割り当てられており、
中和剤の寿命を前記補正係数を用いて補正でき、
排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、
前記補正係数には、排気経路の一部あるいは全部が屋外か否かで割り当てられた設置補正係数が備えられており、当該設置補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする潜熱回収型熱源機。 - 排気部と排気流路は一連の排気経路を形成するもので、
前記補正係数には、排気経路の長さに応じた延長補正係数が備えられており、当該延長補正係数は、選択的に用いることが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の潜熱回収型熱源機。 - 割り当てられた補正係数を複数用いる場合、各補正係数を乗じて算出された値を複合補正係数として用いること特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の潜熱回収型熱源機。
- 割り当てられた補正係数を入力可能な入力手段を有し、
入力手段は、ディップスイッチであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の潜熱回収型熱源機。
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