JP5664895B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Description
また、エンコーダの取り付け方により、出力パルスの位相誤差が発生し、この出力パルスに基づく検出方法では、速度検出値に位相誤差の影響が現れ、上述したようなトルクリプル等の問題を引き起こす。
図6において、ラッチ信号作成部21は、エンコーダから出力されるA相、B相という位相の異なった2種類のパルスからそれぞれの立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジを検出し、合計4種類のラッチ信号ED0〜ED3を作成する。角度計測カウンタ22は、ラッチ信号(4F)と電動機の回転方向を示すUP/DOWN信号とを用いてカウンタのUP,DOWNを行う。
CPU30では、速度演算周期ごとに角度計測値(データラッチ27−1〜27−4の値)と時間計測値(データラッチ28−1〜28−4の値)とを読み込み、後述するフローチャートに従って電動機の速度を検出する。
速度演算周期ごとにエッジの変化の有無を図6のエッジ保持部26により検出し、速度演算周期ごとにラッチしたエッジ変化情報保持部29の出力値F0〜F3をCPU30が読み込む。速度演算周期において一度でもエッジを検出していたら、カウント値の大小から最新のエッジを検索し、最新エッジに対応するデータラッチ27−1〜27−4の角度計測値とデータラッチ28−1〜28−4の時間計測値とを用いて、数式1に基づき速度ωを演算する。
また、速度演算周期内にパルスが一度も存在しなかった場合は、TOLDにサンプリング周期TSを加えて速度を推定する。
(1)角度計測カウンタ22によりエンコーダの出力パルスの数を計測しているので、速度演算周期ごとにパルスが多数存在するような高速域では、角度計測カウンタ22がオーバーフローして速度を検出できないことがある。
(2)(1)の問題に対して、角度計測カウンタ22のオーバーフローを防止するために、角度計測カウンタ22の測定可能な範囲に余裕をもたせると記憶容量が大きくなり、制御装置のコストが増大する。
(3)電動機に取り付けられるエンコーダのパルス数は数百から数十万まで様々であるため、上記(1)や(2)に記載した角度計測カウンタ22の制約から、エンコーダによっては使用できないものもある。すなわち、特許文献1による速度検出方法では汎用性に限界がある。
図3は、特許文献2に係る速度検出装置の構成を示しており、エッジ検出手段としてのラッチ信号作成部21は、エンコーダ(図示せず)から出力される位相の異なったA相パルス、B相パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジとを検出し、ラッチ信号ED0,ED1,ED2,ED3を作成する。
回転方向検出部32から出力される信号CW/CCWは、回転方向保持部33に入力され、速度演算周期信号(サンプリング信号)SMPLによりラッチされて回転方向検出信号CWDETとして出力される。
データラッチ25−1〜25−4には、時間計測カウンタ23から出力された時間計測値TDE0EN〜TDE3ENが入力されており、ラッチ信号ED0,ED1,ED2,ED3によってこれらの時間計測値TDE0EN〜TDE3ENを記憶し、次段のデータラッチ28−1〜28−4に送られる。上記時間計測カウンタ23は、速度演算周期に同期してゼロになるダウンカウンタである。
データラッチ28−1〜28−4では、速度演算周期信号SMPLによりラッチした時間計測値TDE0EN〜TDE3ENを、時間計測値T0EN〜T3ENとしてCPU30に送出する。
図4において、例えば時点(3)でA相パルスの立ち上がりエッジを信号ED0により検出したときに(ED0が「1」)、B相パルスが検出されない場合(B相パルスが「0」)は、正回転と判断して信号CW(=「1」)を出力する。一方、時点(4)においてB相パルスの立ち下がりエッジを信号ED3により検出したときに(ED3が「1」)、A相パルスが検出された場合(A相パルスが「1」)には、逆回転と判断して信号CCW(=「0」)を出力する。
こうして得られた回転方向検出信号は、回転方向保持部33において速度演算周期信号SMPLによりラッチされ、回転方向検出信号CWDETとしてCPU30に送られる。
なお、図4において、TCHNGは回転方向が変化した時点を示している。
図5の時点(1)において、図示するサンプルタイミングによれば、最新のエッジは信号ED0によるA相パルスの立ち上がりエッジである。これは、エッジ変化検出信号EDF0〜EDF3から、EDF0が「1」であり、その他のEDF1〜EDF3が「0」であることから判断する。ここで、図5ではEDF0の値のみを図示し、EDF1〜EDF3を省略してある。
また、速度演算周期に対応する時間計測カウンタ23の最大値をTmaxとし、前回値T0EN0から今回値T0EN1までの間にEDF0がゼロであったサンプリング回数をN0として、これらをCPU30のメモリに記憶しておき、数式2に基づいて速度nを演算する。
すなわち、電力変換器によって駆動される電動機の速度を検出する場合、エンコーダの出力パルスが密になる高速域では、電力変換器の出力電圧の位相を演算する際に速度検出値の演算周期の遅れから位相遅れが発生する。特に、永久磁石同期電動機等を駆動する場合には、永久磁石の磁束軸との誤差が発生し、トルク制御誤差となる。このようにトルク誤差が発生すると、電動機を流れる電流が増加して電動機の損失が増大し、効率が低下することもあり、好ましくない。
図8は、一般的な速度制御システムの構成図である。同図において、101,103は減算手段、102は速度制御手段、104は電流制御手段、105,107は座標変換手段、106は速度検出手段である。
速度制御系と電流制御系とでは、対象とする電動機の時定数が異なるため(速度制御系では機械系の時定数となり、電流制御系の電気的な時定数に比べて数倍遅い)、制御周期を変えて演算している。このように制御周期を変える方法によれば、マイクロプロセッサなどの演算負荷を分散して制御装置のコストを低減できるため、広く用いられている。一般的に速度制御系の制御周期(前述した速度演算周期信号SMPLに相当)は、電流制御系の制御周期の4〜10倍に設計されている。
そこで本発明の解決課題は、特許文献2に係る従来技術に対して最小限の回路を追加することで、特に高速域における位相ずれを防止して高精度な速度制御を可能にした電動機の制御装置を提供することにある。
電動機に取り付けられたエンコーダの出力パルスから電動機の回転速度を演算し、その速度検出値が速度指令に一致するように第1の制御周期に従って速度制御を行うことにより電動機の電流指令を生成する速度制御系と、
電動機の電流検出値が電流指令に一致するように第1の制御周期よりも短い第2の制御周期に従って電流制御を行うことにより電力変換器の出力電圧指令を生成する電流制御系と、
電力変換器の出力電圧位相を用いて前記出力電圧指令及び電流検出値を座標変換する手段と、
を備えた制御装置において、
前記出力パルスのエッジを検出するエッジ検出手段と、
検出されたエッジに基づいて電動機の回転方向を検出する回転方向検出手段と、
第1の制御周期に同期した時間を計測する時間計測手段と、
前記エッジ検出手段の出力により前記時間計測手段の時間計測値を保持する時間記憶手段と、
第1の制御周期内の前記エッジの変化状態を検出しエッジ変化情報として保持するエッジ変化情報保持手段と、
第1の制御周期ごとに保持された回転方向、時間計測値、及び前記エッジ変化情報を用いて電動機の回転速度を演算する演算手段と、
前記出力パルスのエッジのうち少なくとも一つのエッジの数をカウントする計数手段と、
この計数手段によるカウント値を第2の制御周期ごとに保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記カウント値から前記出力電圧位相を演算する第1の位相演算手段と、
前記第1の制御周期により演算された速度検出値から前記出力電圧位相を演算する第2の位相演算手段と、
を有し、
電動機の回転速度が高い場合には前記第1の位相演算手段により、電動機の回転速度が低い場合には前記第2の位相演算手段により、前記出力電圧位相を演算することを特徴とする。
この数式3によれば、例えば、極対数pが2の電動機を対象とした時にラッチ42から入力されるカウント値Nが1024であり、電流制御系の制御周期の間でエッジを1回検出した場合は、移動量Δθが0.01227〔rad〕、すなわち0.01227〔rad〕だけ位相が進んだことを意味する。
また、本実施形態では、A相パルス、B相パルスの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのうち少なくとも一つのエッジを検出すればいいので、特許文献2に係る従来技術に対してカウンタ41及びラッチ42を追加し、CPU30による演算内容を変更するだけで容易に実現可能である。
特許文献2では、電流制御系の位相について触れていないが、一般的には速度と角度との関係から、数式5により位相の移動量Δθを演算することができる。
すなわち、電流制御系の制御周期で変化が起こったときに、数式3では次の電流制御系の制御周期で位相の変化を演算することができるが、数式5によれば、速度制御系の制御周期で速度検出値nの変化が起きてから、電流制御系の制御周期で平均化するため、制御周期の差による時間遅れが数式3に対して大きくなる。
高速領域では、カウント値Nが1以上になるため、数式4に代入するΔθを数式3とするために、切替手段51にてΔθAを選択する。一方、低速領域では、Nが0となることもあり、数式3ではΔθがゼロになって位相の変化がないことになる。しかし、実際の速度はゼロではない場合もあるので、数式4に代入するΔθを数式5とするために、切替手段51にてΔθBを選択する。
以上のように、本実施形態によれば、電動機の速度範囲に応じて電流制御系の制御周期を考慮しつつ位相を求めることで、位相ずれがなく低速域から高速域まで高精度な速度制御を行うことができる。
23:時間計測カウンタ
25−1〜25−4:データラッチ
26:エッジ保持部
28−1〜28−4:データラッチ
29:エッジ変化情報保持部
30:CPU
31:コントローラ
32:回転方向検出部
33:回転方向保持部
41:カウンタ
42:ラッチ
51:切替手段
101,103:減算手段
102:速度制御手段
104:電流制御手段
105,107:座標変換手段
106:速度検出手段
Claims (1)
- 電力変換器により可変速駆動される電動機の制御装置であって、
電動機に取り付けられたエンコーダの出力パルスから電動機の回転速度を演算し、その速度検出値が速度指令に一致するように第1の制御周期に従って速度制御を行うことにより電動機の電流指令を生成する速度制御系と、
電動機の電流検出値が電流指令に一致するように第1の制御周期よりも短い第2の制御周期に従って電流制御を行うことにより電力変換器の出力電圧指令を生成する電流制御系と、
電力変換器の出力電圧位相を用いて前記出力電圧指令及び電流検出値を座標変換する手段と、
を備えた制御装置において、
前記出力パルスのエッジを検出するエッジ検出手段と、
検出されたエッジに基づいて電動機の回転方向を検出する回転方向検出手段と、
第1の制御周期に同期した時間を計測する時間計測手段と、
前記エッジ検出手段の出力により前記時間計測手段の時間計測値を保持する時間記憶手段と、
第1の制御周期内の前記エッジの変化状態を検出しエッジ変化情報として保持するエッジ変化情報保持手段と、
第1の制御周期ごとに保持された回転方向、時間計測値、及び前記エッジ変化情報を用いて電動機の回転速度を演算する演算手段と、
前記出力パルスのエッジのうち少なくとも一つのエッジの数をカウントする計数手段と、
この計数手段によるカウント値を第2の制御周期ごとに保持する保持手段と、
前記保持手段により保持された前記カウント値から前記出力電圧位相を演算する第1の位相演算手段と、
前記第1の制御周期により演算された速度検出値から前記出力電圧位相を演算する第2の位相演算手段と、
を有し、
電動機の回転速度が高い場合には前記第1の位相演算手段により、電動機の回転速度が低い場合には前記第2の位相演算手段により、前記出力電圧位相を演算することを特徴とする電動機の制御装置。
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