JP5659496B2 - セメント量の推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてフレッシュコンクリートやフレッシュモルタルの単位セメント量を推定する際に用いられるセメント量の推定方法に関する。
フレッシュコンクリートを製造するにあたっては、セメント、水、細骨材、粗骨材といった構成材料をそれらの配合量が示方配合通りになるように配合して混練するが、かかる配合量を適切に管理することは、コンクリートの品質を確保する上で重要であり、特に、セメントと水は、コンクリートの強度と耐久性を支配する水セメント比に直接的に影響するため、それらの配合量を管理することはきわめて重要である。
フレッシュコンクリート中のセメント量を推定するには、フレッシュコンクリートの洗い分析試験方法(JISA1112)、塩酸溶解熱法(JCI-SE1)、自動洗い試験機による方法などがあり、フレッシュコンクリートの洗い分析試験方法においては、採取されたフレッシュコンクリートを洗いながら50mmのふるいで粗骨材とモルタルに分離して粗骨材の質量を求めるとともに、水中におけるモルタルと細骨材の見掛けの重量を測定することで、セメント量を推定する。
また、塩酸溶解熱法においては、フレッシュコンクリートから粗骨材を除いたモルタル分と塩酸との反応熱による温度差を利用することでセメント量を求めるものであり、自動洗い試験機による方法においては、分析供試体を自動的に水洗い分析するものであって、セメント分を凝集沈殿させることでセメント量を推定する手法である。
特開2001−289840号公報
しかしながら、フレッシュコンクリートの洗い分析試験方法では、ふるいわけや水中での重量測定が煩雑であり、塩酸溶解熱法では、試験の実施に相応の技術を要するのみならず、細骨材に石灰石や貝殻が含まれていると測定結果に誤差を生じ、自動洗い試験機による方法では、専用の大型装置が必要になるという問題をそれぞれ生じていた。
一方、セメント協会法(湿式分析)や誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)を用いる方法も知られているが、これらの方法は、硬化したコンクリート中のセメント量を推定する方法であるため、フレッシュコンクリートにはもちろん適用不可能である。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルに含まれるセメントの質量を、特に単位セメント量として簡易かつ一定の精度で推定することが可能なセメント量の推定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るセメント量の推定方法は請求項1に記載したように、セメント及び細骨材からなる分析対象試料の質量MTを計測し、
前記分析対象試料に含まれる元素であって、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び硫黄のうちのいずれかを対象元素として蛍光X線分析を行うことにより、前記分析対象試料の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rを求め、
前記セメントのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該セメントの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rc及び前記細骨材のみに対する蛍光X線分析で予め得られた該細骨材の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rsと、前記質量比Rとの間の関係式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs)/(Mc+Ms) (2a)
及び、次式、
T=Mc+Ms (3)
Mc;前記分析対象試料中のセメントの質量
Ms;前記分析対象試料中の細骨材の質量
から前記分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、フレッシュモルタルの質量Mを計測し、
前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに次式
Mw=M−MT (1)
から前記水の質量Mwを算出し、
前記Mc、前記Ms及び前記Mwを、次式、
Mcu=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a)
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρw;水の密度
に代入することによって、前記フレッシュモルタルの単位セメント量Mcuを算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、
前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに次式
Mw=M−MT (1)
から前記水の質量Mwを算出し、
前記Mg、前記Mc、前記Ms及び前記Mwを、次式、
Mcu′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρw;水の密度
に代入することによって、前記フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcu′を算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は請求項4に記載したように、セメント、細骨材及びフライアッシュからなる分析対象試料の質量MTを計測し、
前記分析対象試料に含まれる元素であって、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び硫黄のうちのいずれかを対象元素として蛍光X線分析を行うことにより、前記分析対象試料の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rを求め、
前記セメントのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該セメントの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rc、前記細骨材のみに対する蛍光X線分析で予め得られた該細骨材の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rs及び前記フライアッシュのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該フライアッシュの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rfと、前記質量比Rとの間の関係式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs+Mf・Rf)/(Mc+Ms+Mf) (2c)
及び、次式、
T=Mc+Ms+Mf (3c)
Mc;前記分析対象試料中のセメントの質量
Ms;前記分析対象試料中の細骨材の質量
Mf;前記分析対象試料中のフライアッシュの質量
ここで、Mf=Mc・(1−a)/a
a;セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合で既知
から前記分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、フレッシュモルタルの質量Mを計測し、
前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに次式
Mw=M−MT (1)
から前記水の質量Mwを算出し、
前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
Mcuf=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (4c)
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρf;フライアッシュの密度
ρw;水の密度
に代入することによって、前記フレッシュモルタルの単位セメント量Mcufを算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
Mfu=Mf/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (11)
に代入することによって前記フレッシュモルタルの単位フライアッシュ量Mfuを算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、
前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに次式
Mw=M−MT (1)
から前記水の質量Mwを算出し、
前記Mg、前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
Mcuf′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw)(4c′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρf;フライアッシュの密度
ρw;水の密度
に代入することによって、前記フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcuf′を算出するものである。
また、本発明に係るセメント量の推定方法は、前記Mg、前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
Mfu′=Mf/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (12)
に代入することによって前記フレッシュコンクリートの単位フライアッシュ量Mfu′を算出するものである。
フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルの主たる構成材料のうち、水は、骨材、特に細骨材の湿潤状態におけるばらつきに起因して計量誤差が生じやすいのに対し、セメントやフライアッシュは、質量管理が容易であるため、バッチ式で混練する限りにおいては、配合精度に問題が生じることは少ない。
一方、CSGダム等の施工で採用される連続練りの場合には、バッチ式と比べてセメントやフライアッシュの配合量のチェックが難しいため、間違った配合で混練される懸念があり、その管理が重要となる。
しかしながら、フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルにおけるセメント量の推定は、従来技術で述べたようにいずれの方法においても種々の問題を生じており、特に連続練りに適したセメント量の推定方法が未だ確立されていないのが現状である。
本出願人はかかる現状に鑑み、蛍光X線分析をセメント量の推定に用いることができないかに着眼して研究を進めた。
蛍光X線分析は、照射したX線のエネルギーによって内殻電子を励起し、それによって生じた空孔に外殻電子が遷移するときに放射されるX線(蛍光X線)の波長が元素に固有であることを利用し、その波長や強度を計測することで、試料内に含まれる元素を定性的あるいは定量的に分析するものである。
ここで、定量分析を行うためには、蛍光X線スペクトルの強度を測定する必要があるが、蛍光X線分析においては、共存する元素がX線エネルギーを吸収するため、対象元素からの蛍光X線スペクトルの強度とその元素の濃度とは、一般的には比例しない。
そのため、従来、相異なる濃度に対して蛍光X線スペクトルの強度を検量線として予め作成しておき、未知試料で得られた強度をその検量線に当てはまることで、未知試料の濃度を推定するしかなかった。
しかしながら、フレッシュモルタルに対して蛍光X線分析を行った結果、一般的に言われるところのマトリックス効果(上述した共存元素の吸収による影響)はほとんど観察されず、蛍光X線のスペクトル強度と、カルシウム、ケイ素といったフレッシュモルタルの構成材料濃度の濃度とがほぼ比例することが判明した。そして、これを基礎として、フレッシュコンクリートやフレッシュモルタルに含まれるセメントの質量、さらには単位セメント量を推定することに成功したものである。
本発明に係るセメント量の推定方法においては、まず、セメント及び細骨材からなる分析対象試料、又はセメント、細骨材及びフライアッシュからなる分析対象試料の質量MTを計測する。
次に、分析対象試料に対して蛍光X線分析を行うことにより、該分析対象試料の全体質量に対する対象元素の質量比Rを例えば酸化物換算で求める。
対象元素は、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び硫黄から適宜選択すればよいが、例えばセメントや細骨材に多く含まれているカルシウムやケイ素を選択することができる。
一方、分析対象試料に対する蛍光X線分析とは別に、構成材料単体に対する蛍光X線分析を該構成材料ごとに予め実施しておく。
すなわち、分析対象試料がセメント及び細骨材からなる場合においては、セメント単体及び細骨材単体に対して蛍光X線分析をそれぞれ行うことで、セメントのみの場合の質量比Rc及び細骨材のみの場合の質量比Rsを、対象元素を例えばカルシウムとしてそれぞれ計測しておく。
同様に、分析対象試料がセメント、細骨材及びフライアッシュからなる場合においては、セメント単体及び細骨材単体に加えて、フライアッシュ単体に対しても蛍光X線分析をそれぞれ行うことで、セメントのみの場合の質量比Rc、細骨材のみの場合の質量比Rs及びフライアッシュのみの場合の質量比Rfを、対象元素を例えばカルシウムとしてそれぞれ計測しておく。
このような構成材料ごとの計測を行う場合におけるセメント、細骨材あるいはフライアッシュは、原則として上述した分析対象試料の配合に用いられたものと同一のセメント、細骨材あるいはフライアッシュとするのが望ましいが、種類、産地等による誤差が無視し得るのであれば、必ずしも同一である必要はない。
次に、分析対象試料がセメント及び細骨材からなる場合においては、セメントのみの場合における特定元素の質量比Rc及び細骨材のみの場合における特定元素の質量比Rsと、それらが任意に混合されてなる分析対象試料内の特定元素の質量比Rとの間に次の関係式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs)/(Mc+Ms) (2a)
Mc;分析対象試料中のセメントの質量
Ms;分析対象試料中の細骨材の質量
が成立するとみなし得るので、かかる(2a)式及び次式、
T=Mc+Ms (3a)
から分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出する。
また、分析対象試料がセメント、細骨材及びフライアッシュからなる場合においては、セメントのみの場合における特定元素の質量比Rc、細骨材のみの場合における特定元素の質量比Rs及びフライアッシュのみの場合における特定元素の質量比Rfと、それらが任意に混合されてなる分析対象試料内の特定元素の質量比Rとの間に次の関係式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs+Mf・Rf)/(Mc+Ms+Mf) (2c)
Mc;分析対象試料中のセメントの質量
Ms;分析対象試料中の細骨材の質量
Mf;分析対象試料中のフライアッシュの質量
が成立するとみなし得るので、かかる(2c)式及び次式、
T=Mc+Ms+Mf (3c)
a=Mc/(Mc+Mf) (7)
a;セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合
から分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出する。
このようにすると、検量線を予め作成することなく、蛍光X線分析によって分析対象試料のセメント量Mcを迅速簡便にかつ一定の精度で推定することが可能になり、CSGダム等の施工で採用される連続練りの場合であっても、セメント量の変動を適切に管理することが可能となる。
上述した(2a)式は、構成材料単体のときの蛍光X線分析の結果、すなわちRc、Rsに、濃度低下割合、すなわちMc/(Mc+Ms)、Ms/(Mc+Ms)をそれぞれ乗じた上、それらの線形和をとった値が、実際の分析結果と等しくなると仮定して得られたものであり、(2c)式は、構成材料単体のときの蛍光X線分析の結果、すなわちRc、Rs、Rfに、濃度低下割合、すなわちMc/(Mc+Ms+Mf)、Ms/(Mc+Ms+Mf)、Mf/(Mc+Ms+Mf)をそれぞれ乗じた上、それらの線形和をとった値が、実際の分析結果と等しくなると仮定して得られたものであるが、蛍光X線分析は、元素の濃度とX線スペクトル強度が必ずしも比例しないため、(2a)式や(2c)式は、一般的には成立しない。
しかし、セメント及び細骨材が構成材料である場合、あるいはセメント、細骨材及びフライアッシュが構成材料である場合については、両式が良好に成立することを後述するようにあらたに実証することができたため、(2a),(2c)の各式を基礎としてセメント量を推定することが可能となる。
なお、(7)式に示すaは、セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合であるが、かかる質量割合は、セメントやフライアッシュが出荷される段階での管理項目であって、コンクリート工場から出荷される時点で既知の値として知り得るものであり、本発明では管理対象項目とはしない。
上述した発明においては、分析対象試料に水が含まれておらず、採取された分析対象試料中のセメント量を単に推定する方法であるが、フレッシュモルタルやフレッシュコンクリートの単位セメント量あるいは単位フライアッシュ量を推定するには以下の手順に従えばよい。
[フライアッシュを含まないフレッシュモルタルの場合]
まず、フレッシュモルタルの場合には、採取されたフレッシュモルタルに対し、その質量Mを計測し、次いで、フレッシュモルタルから水分を除去することで上述した分析対象試料とするとともに、該分析対象試料について計測された質量MTとの差、すなわち水分除去前後の質量差を、次式、
Mw=M−MT (1)
から水の質量Mwとして算出する。
次に、分析対象試料について計測されたMc及びMs並びに上述のMwを、次式、
Mcu=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a)
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρw;水の密度
に代入することによって、フレッシュモルタルの単位セメント量Mcuを算出する。
なお、以下の説明においては、フライアッシュを含まないフレッシュモルタルから水分が除去された分析対象試料を、特にモルタル乾燥試料と呼ぶ。
[フライアッシュを含まないフレッシュコンクリートの場合]
フレッシュコンクリートの場合には、採取されたフレッシュコンクリートに対し、該フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、次いで、フレッシュモルタルから水分を除去することで上述した分析対象試料とするとともに、該分析対象試料について計測された質量MTとの差、すなわち水分除去前後の質量差を、次式、
Mw=M−MT (1)
から水の質量Mwとして算出する。
次に、分析対象試料について計測されたMc及びMs並びに上述のMg、Mwを、次式、
Mcu′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρw;水の密度
に代入することによって、フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcu′を算出する。
[フライアッシュを含むフレッシュモルタルの場合]
フライアッシュを含むフレッシュモルタルの場合には、採取されたフレッシュモルタルに対し、その質量Mを計測し、次いで、フレッシュモルタルから水分を除去することで上述した分析対象試料とするとともに、該分析対象試料について計測された質量MTとの差、すなわち水分除去前後の質量差を、次式、
Mw=M−MT (1)
から水の質量Mwとして算出する。
次に、分析対象試料について計測されたMc、Ms及びMf並びに上述のMwを、次式、
Mcuf=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (4c)
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρf;フライアッシュの密度
ρw;水の密度
に代入することによって、フレッシュモルタルの単位セメント量Mcufを算出する。
なお、Mc、Ms、Mf及びMwを、次式、
Mfu=Mf/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (11)
に代入することによってフレッシュモルタルの単位フライアッシュ量Mfuを算出することができる。
なお、以下の説明においては、フライアッシュを含むフレッシュモルタルから水分が除去された分析対象試料を、特にフライアッシュ含有乾燥試料と呼ぶ。
[フライアッシュを含むフレッシュコンクリートの場合]
フライアッシュを含むフレッシュコンクリートの場合には、採取されたフレッシュコンクリートに対し、該フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、次いで、フレッシュモルタルから水分を除去することで上述した分析対象試料とするとともに、該分析対象試料について計測された質量MTとの差、すなわち水分除去前後の質量差を、次式、
Mw=M−MT (1)
から水の質量Mwとして算出する。
次に、分析対象試料について計測されたMc、Ms及びMf並びに上述のMg、Mwを次式
Mcuf′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw)(4c′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρf;フライアッシュの密度
ρw;水の密度
に代入することによって、フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcuf′を算出する。
なお、Mg、Mc、Ms、Mf及びMwを、次式、
Mfu′=Mf/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (12)
に代入することによってフレッシュコンクリートの単位フライアッシュ量Mfu′を算出することができる。
第1実施形態に係るセメント量の推定方法を実施する手順を示したフローチャート。 第2実施形態に係るセメント量の推定方法を実施する手順を示したフローチャート。 フレッシュモルタルにおいて対象元素の質量比と材料濃度との線形性を実証するグラフ。 フライアッシュを含んだフレッシュモルタルにおいて対象元素の質量比と材料濃度との線形性を実証するグラフ。
以下、本発明に係るセメント量の推定方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るセメント量の推定方法の実施手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係るセメント量の推定方法を用いてフレッシュコンクリートに含まれているセメント量を単位セメント量として推定するには、まず、コンクリート打設現場、例えばCSGダムの施工現場で稼働している連続練りミキサーからフレッシュコンクリートを採取する(ステップ101)。
次に、採取されたフレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測する(ステップ102)。
次に、フレッシュモルタルから水分を除去することで、分析対象試料であるモルタル乾燥試料とする(ステップ103)。水分除去は、電子レンジを用いた加熱で簡易に行うことができるが、加熱温度や加熱時間については、水和反応ができるだけ進行しないように注意する。
次に、モルタル乾燥試料の質量MTを計測するとともに、水分除去前後の質量差を次式、
Mw=M−MT (1)
で算出することにより、水の質量Mwを算出する(ステップ104)。
次に、振動ミル装置等でモルタル乾燥試料を粉砕する(ステップ105)。
次に、粉砕されたモルタル乾燥試料に対して蛍光X線分析を行うことにより、該モルタル乾燥試料の全体質量に対する対象元素の質量比Rを求める(ステップ106)。
蛍光X線分析は、市販されている携帯型の蛍光X線分析装置から適宜選択するととに、対象元素としては、セメント及び細骨材に共通の含有元素であるカルシウムやケイ素とするのがよい。
一方、上述したモルタル乾燥試料に対する蛍光X線分析とは別に、セメント単体及び細骨材単体に対して個別に蛍光X線分析を行うことにより、セメントにおける対象元素の質量比cと、細骨材における対象元素の質量比Rsをそれぞれ計測しておく(ステップ107)。
なお、細骨材単体に対する蛍光X線分析を行うにあたっては、モルタル乾燥試料に対する蛍光X線分析と同条件となるよう、必要に応じて振動ミル装置等で同様に粉砕しておく。
モルタル乾燥試料に対して得られる質量比Rや、セメント単体及び細骨材単体に対してそれぞれ得られる質量比Rc、Rsは、例えば酸化物換算の質量比として得られるが、本実施形態に係るセメント量の推定方法は、後で詳述するようにセメント単体及び細骨材単体の計測値に対するモルタル乾燥試料の計測値、いわば相対値を用いるため、R、Rc、Rsのすべてが酸化物換算であれば何ら差し支えはない。
セメント単体及び細骨材単体に対する蛍光X線分析は、種類や産地等に起因するばらつきを防止すべく、連続練りが開始される前に予め混練に使用されるセメントや細骨材に対して行うのが望ましい。
次に、次式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs)/(Mc+Ms) (2a)
T=Mc+Ms (3a)
Mc;モルタル乾燥試料中のセメントの質量
Ms;モルタル乾燥試料中の細骨材の質量
を用いて、モルタル乾燥試料中のセメントの質量Mc及び細骨材の質量Msを算出する(ステップ108)。(2a)式の成立の根拠については後述する。
なお、(2a)式及び(3a)式は、Mc及びMsについての二元連立方程式であるので、次式に示す解に既知の値であるRc及びRs並びに計測値であるMT及び質量比Rを代入することで、Mc及びMsを求めるのがよい。
Mc=MT・(R−Rs)/(Rc−Rs) (13-1)
Ms=MT・(Rc−R)/(Rc−Rs) (13-2)
次に、求められたセメントの質量Mc及び細骨材の質量Msを、粗骨材の質量Mg及び水の質量Mwとともに、次式、
Mcu′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρw;水の密度
に代入し、フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcuを得る(ステップ109)。
以上説明したように、本実施形態に係るセメント量の推定方法によれば、検量線を予め作成することなく、蛍光X線分析によってフレッシュコンクリートの単位セメント量を迅速簡便にかつ一定の精度で推定することが可能になり、CSGダム等の施工で採用される連続練りの場合であっても、単位セメント量の変動を適切に管理することが可能となる。
本実施形態では、蛍光X線分析の対象となる試料を連続練りミキサーから採取するようにしたが、これに代えてバッチ式ミキサーから試料を採取し、該ミキサー内のフレッシュコンクリートの単位セメント量を推定することももちろん可能である。
また、本実施形態では、フレッシュコンクリートの単位セメント量を推定するようにしたが、フレッシュモルタルの単位セメント量を推定するには、粗骨材の除去プロセス及び該粗骨材の質量Mgを計測するプロセスを省略するとともに、(4a′)式に代えて、次式、
Mcu=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a)
を用いてフレッシュモルタルの単位セメント量Mcuを算出すればよい。
また、本実施形態では、水分が含まれたフレッシュコンクリートの単位セメント量を推定するようにしたが、別プロセスで水分が既に除去されてなるセメント及び細骨材からなる分析対象試料に対し、その採取量に含まれるセメント量を推定する場合には、(2a)式及び(3a)式を用いて、分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出するようにすればよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と実質同一の手順については同一の式番号あるいはステップ番号を付与してその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るセメント量の推定方法の実施手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係るセメント量の推定方法を用いてフレッシュコンクリートに含まれているセメント量を単位セメント量として推定するには、まず、第1実施形態と同様、連続練りミキサーからフレッシュコンクリートを採取する(ステップ111)。
次に、採取されたフレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測する(ステップ112)。
次に、フレッシュモルタルから水分を除去することで、分析対象試料であるフライアッシュ含有乾燥試料とする(ステップ113)。水分除去は、電子レンジを用いた加熱で簡易に行うことができるが、加熱温度や加熱時間については、水和反応ができるだけ進行しないように注意する。
以下、ステップ104と同様にフライアッシュ含有乾燥試料の質量MTの計測及び水の質量Mwの算出を行い(ステップ114)、ステップ105と同様にフライアッシュ含有乾燥試料を粉砕した後(ステップ115)、ステップ106と同様、粉砕されたフライアッシュ含有乾燥試料に対して蛍光X線分析を行うことにより、該フライアッシュ含有乾燥試料の全体質量に対する対象元素の質量比Rを算出する(ステップ116)。
一方、ステップ107と同様、セメント単体、細骨材単体及びフライアッシュ単体に対して個別に蛍光X線分析を行うことにより、セメントにおける対象元素の質量比Rcと、細骨材における対象元素の質量比Rsと、フライアッシュにおける対象元素の質量比Rfをそれぞれ計測しておく(ステップ117)。
次に、次式、
R=(Mc・Rc+Ms・Rs+Mf・Rf)/(Mc+Ms+Mf) (2c)
及び、次式、
T=Mc+Ms+Mf (3c)
a=Mc/(Mc+Mf) (7)
Mc;フライアッシュ含有乾燥試料中のセメントの質量
Ms;フライアッシュ含有乾燥試料中の細骨材の質量
Mf;フライアッシュ含有乾燥試料中のフライアッシュの質量
a;セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合
からフライアッシュ含有乾燥試料中のセメントの質量Mc、細骨材の質量Ms及びフライアッシュの質量Mfを算出する(ステップ118)。(2c)式の成立の根拠については後述する。
なお、(2c)、(3c)及び(7)の各式は、Mc、Ms及びMfについての三元連立方程式であるので、次式に示す解に既知の値であるR、Rc及びRsを代入することで、Mc、Ms及びMfを求めるのがよい。
Mc=MT・(R−Rs)
/(Rc−Rs/a+(1−a)・Rf/a) (13-1′)
Ms=MT・(−R/a+Rc+(1−a)・Rf/a)
/(Rc−Rs/a+(1−a)・Rf/a) (13-2′)
Mf=MT・(R−Rs)・(1−a)/a
/(Rc−Rs/a+(1−a)・Rf/a) (13-3′)
次に、求められたセメントの質量Mc、細骨材の質量Ms及びフライアッシュの質量Mfを、粗骨材の質量Mg及び水の質量Mwとともに、次式、
Mcuf′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw)(4c′)
ρg;粗骨材の密度
ρc;セメントの密度
ρs;細骨材の密度
ρf;フライアッシュの密度
ρw;水の密度
に代入し、フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcuf′を得る(ステップ119)。
なお、単位フライアッシュ量は、次式、
Mfu′=Mf/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (12)
で求めることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るセメント量の推定方法によれば、検量線を予め作成することなく、蛍光X線分析によってフレッシュコンクリートの単位セメント量を迅速簡便にかつ一定の精度で推定することが可能になり、CSGダム等の施工で採用される連続練りの場合であっても、単位セメント量の変動を適切に管理することが可能となる。
本実施形態では、蛍光X線分析の対象となる試料を連続練りミキサーから採取するようにしたが、これに代えてバッチ式ミキサーから試料を採取し、該ミキサー内のフレッシュコンクリートの単位セメント量を推定することももちろん可能である。
また、本実施形態では、フレッシュコンクリートの単位セメント量を推定するようにしたが、フレッシュモルタルの単位セメント量を推定するには、粗骨材の除去プロセス及び該粗骨材の質量Mgを計測するプロセスを省略するとともに、(4c′)式に代えて、次式、
Mcuf=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (4c)
を用いてフレッシュモルタルの単位セメント量Mcufを算出すればよい。
なお、その場合の単位フライアッシュ量は(12)式に代えて、次式、
Mfu=Mf/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (11)
によって算出することができる。
また、本実施形態では、水分が含まれたフレッシュコンクリートの単位セメント量を推定するようにしたが、別プロセスで水分が既に除去されてなるセメント、細骨材及びフライアッシュからなる分析対象試料に対し、その採取量に含まれるセメント量を推定する場合には、(2c)式及び(3c)式を用いて、分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出するようにすればよい。
次に、本実施形態に係るセメント量の推定方法を用いてフレッシュコンクリートの単位セメント量を推定した結果を実施例1及び実施例2で、(2a)式、(2c)式の成立性に関する実証試験を実施例3でそれぞれ説明する。
作成した供試体を表1に示す。
Figure 0005659496
供試体は計5つで、No.1〜No.4は、セメント、細骨材及び水を主構成材料とし、No.5は、セメント、細骨材、フライアッシュ及び水を主構成材料とするものである。
No.1〜No.4は、供試体番号が大きくなるにつれてセメント量が多くなるように配合されたものであり、No.4を除く供試体はフレッシュモルタル、No.4はセメントペーストである。
供試体を作成するにあたり、No.1〜No.4については、供試体1種類ごとに100cc分、No.5については200ccをそれぞれ計量し、それらをハンドミキサーで混練した後、50gを採取して試料皿にとり、電子レンジで加熱して水分の除去を行った。
電子レンジによる水分除去は、計5分の乾燥時間を5回に分け、1分加熱しては取り出して攪拌する作業を5回繰り返すことで、供試体の均一化を図るとともに、練り始めてから電子レンジによる水分除去までの作業時間を90分以内とすることで、水和反応の進行による影響を極力排除した。
次に、各供試体を乳鉢を用いてすり潰し、振動ミルにかけて均一な粉体とした後、蛍光X線分析を行った。蛍光X線分析は、島津製作所製の蛍光X線分析装置(XRF−1700)を用いた。
セメント単体、細骨材単体及び供試体No.1〜No.4に対する蛍光X線分析の結果(酸化物換算)を表2に示す。
Figure 0005659496
同表からわかるように、セメント単体に対する蛍光X線分析の結果は、酸化物換算の質量比でCaOが67.0%となり、細骨材単体に対する結果は同じく2.07%となった。一方、各供試体のCaOの質量比は、No.1で16.9%、No.2で28.8%、No.3で46.4%、No.4で66.8%となった。
これらの結果を用いて、供試体No.2のセメント量を以下のように推定する。
まず、採取した供試体が50g、水分除去後の質量が41.7gであったので、
=50g
T=41.7g
Mw=8.3g
となる。
また、上述した実施形態のR、Rc及びRsは、それぞれ、
R =28.8%
Rc=67.0%
Rs= 2.07%
となるので、これらを(13−1)式と(13−2)式に当てはめると、
Mc=17.1g
Ms=24.6g
となる。
次に、ρc=3.16、ρs=2.63とし、(4a)式に代入すると、
Mcu=742 kg/m
となる。
一方、供試体No.2の実際の単位セメント量は、721kg/mであるので、誤差εは、
ε=(742−721)/721
=0.029=2.9%
となり、良好な精度で単位セメント量を推定できることがわかった。
供試体No.5に対する蛍光X線分析の結果(酸化物換算)を表3に示す。
Figure 0005659496
同表からわかるように、フライアッシュ単体に対する蛍光X線分析の結果は、酸化物換算の質量比でCaOが3.37%となり、供試体No.5のCaOの質量比は、No.5で5.76%となった。
表2で説明したように、セメント単体に対する結果は、67.0%、細骨材単体に対する結果は、2.07%となったので、供試体No.5のセメント量は、以下のように推定される。
なお、a(セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合)は、0.7とした。
まず、採取した供試体が50g、水分除去後の質量が46.4gであったので、
=50g
T=46.4g
Mw=3.6g
となる。
また、上述した実施形態のR、Rc、Rf及びRsは、それぞれ、
R = 5.76%
Rc=67.0%
Rf= 3.37%
Rs= 2.07%
となるので、これらを(13−1′)式、(13−2′)式及び(13−3′)式に当てはめると、
Mc= 2.61g
Ms=42.7g
Mf= 1.12g
となる。
次に、ρc=3.16、ρs=2.63、ρf=2.24とし、(4c)式に代入すると、
Mcuf=123.6 kg/m
となる。
同様に、単位フライアッシュ量は、次式、
Mfuf=Mf/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (11)
で求められ、同様に計算すると、53kg/mとなり、セメント量と合わせた単位結合材量は、176.7kg/mとなった。
一方、供試体No.5の実際の単位セメント量は、119kg/m、単位フライアッシュ量は、51kg/mであるので、単位結合材量は、170kg/mとなり、誤差εは、
ε=(176.7−170)/170
=0.039=3.9%
となり、良好な精度で単位結合材量を推定できることがわかった。
上述の(2a)式は、構成材料単体のときの蛍光X線分析の結果、すなわちRc、Rsに、濃度低下割合、すなわちMc/(Mc+Ms)、Ms/(Mc+Ms)をそれぞれ乗じた上、それらの線形和をとった値が、実際の分析結果と等しくなると仮定して得られたものであり、(2c)式は、構成材料単体のときの蛍光X線分析の結果、すなわちRc、Rs、Rfに、濃度低下割合、すなわちMc/(Mc+Ms+Mf)、Ms/(Mc+Ms+Mf)、Mf/(Mc+Ms+Mf)をそれぞれ乗じた上、それらの線形和をとった値が、実際の分析結果と等しくなると仮定して得られたものである。
一方、蛍光X線分析は、上述したように元素の濃度とX線スペクトル強度が必ずしも比例しないため、(2a),(2c)式は一般的には成立しない。
しかし、フレッシュコンクリートあるいはフレッシュモルタルに関する限り、両式が良好に成立する。
図3は、フライアッシュを含まないフレッシュモルタルにおける蛍光X線分析で得られた質量比と単位セメント量との関係を分析対象元素ごとに示したグラフであり、蛍光X線分析によって実際に得られた質量比とそのときの単位セメント量を四角のプロットで示す一方、セメント単体で得られた蛍光X線分析の結果(Rc)と細骨材単体で得られた蛍光X線分析の結果(Rs)を(2a)式に代入して得られる、質量比Rと単位セメント量との関係を曲線で示してある。
同様に、図4は、フライアッシュを含むフレッシュモルタルにおける蛍光X線分析で得られた質量比と単位セメント量との関係を分析対象元素ごとに示したグラフであり、蛍光X線分析によって実際に得られた質量比とそのときの単位セメント量を四角のプロットで示す一方、セメント単体で得られた蛍光X線分析の結果(Rc)と細骨材単体で得られた蛍光X線分析の結果(Rs)とフライアッシュ単体で得られた蛍光X線分析の結果(Rf)を(2c)式に代入して得られる、質量比Rと単位結合材量との関係を曲線で示してある。
これらの図でわかるように、比較的含有量が多いカルシウムとケイ素の場合においては、四角のプロットと曲線とが良く一致していることがわかる。これは、フレッシュモルタルを蛍光X線分析で元素分析する限りにおいて、カルシウムあるいはケイ素の濃度と蛍光X線のスペクトル強度が比例すると考えて差し支えないことを裏付けるものであり、(2a)、(2c)式の成立性あるいは妥当性を実証するものである。

Claims (8)

  1. セメント及び細骨材からなる分析対象試料の質量MTを計測し、
    前記分析対象試料に含まれる元素であって、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び硫黄のうちのいずれかを対象元素として蛍光X線分析を行うことにより、前記分析対象試料の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rを求め、
    前記セメントのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該セメントの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rc及び前記細骨材のみに対する蛍光X線分析で予め得られた該細骨材の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rsと、前記質量比Rとの間の関係式、
    R=(Mc・Rc+Ms・Rs)/(Mc+Ms) (2a)
    及び、次式、
    T=Mc+Ms (3a)
    Mc;前記分析対象試料中のセメントの質量
    Ms;前記分析対象試料中の細骨材の質量
    から前記分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出することを特徴とするセメント量の推定方法。
  2. フレッシュモルタルの質量Mを計測し、
    前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに、次式、
    Mw=M−MT (1)
    から前記水の質量Mwを算出し、
    前記Mc、前記Ms及び前記Mwを、次式、
    Mcu=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a)
    ρc;セメントの密度
    ρs;細骨材の密度
    ρw;水の密度
    に代入することによって、前記フレッシュモルタルの単位セメント量Mcuを算出する請求項1記載のセメント量の推定方法。
  3. フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、
    前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに、次式、
    Mw=M−MT (1)
    から前記水の質量Mwを算出し、
    前記Mg、前記Mc、前記Ms及び前記Mwを、次式、
    Mcu′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mw/ρw) (4a′)
    ρg;粗骨材の密度
    ρc;セメントの密度
    ρs;細骨材の密度
    ρw;水の密度
    に代入することによって、前記フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcu′を算出する請求項1記載のセメント量の推定方法。
  4. セメント、細骨材及びフライアッシュからなる分析対象試料の質量MTを計測し、
    前記分析対象試料に含まれる元素であって、カルシウム、ケイ素、アルミニウム、鉄及び硫黄のうちのいずれかを対象元素として蛍光X線分析を行うことにより、前記分析対象試料の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rを求め、
    前記セメントのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該セメントの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rc、前記細骨材のみに対する蛍光X線分析で予め得られた該細骨材の全体質量に対する前記対象元素の質量比Rs及び前記フライアッシュのみに対する蛍光X線分析で予め得られた該フライアッシュの全体質量に対する前記対象元素の質量比Rfと、前記質量比Rとの間の関係式、
    R=(Mc・Rc+Ms・Rs+Mf・Rf)/(Mc+Ms+Mf) (2c)
    及び、次式、
    T=Mc+Ms+Mf (3c)
    Mc;前記分析対象試料中のセメントの質量
    Ms;前記分析対象試料中の細骨材の質量
    Mf;前記分析対象試料中のフライアッシュの質量
    ここで、Mf=Mc・(1−a)/a
    a;セメント及びフライアッシュの合計質量に対するセメントの質量割合で既知
    から前記分析対象試料中のセメントの質量Mcを算出することを特徴とするセメント量の推定方法。
  5. フレッシュモルタルの質量Mを計測し、
    前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに、次式、
    Mw=M−MT (1)
    から前記水の質量Mwを算出し、
    前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
    Mcuf=Mc/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (4c)
    ρc;セメントの密度
    ρs;細骨材の密度
    ρf;フライアッシュの密度
    ρw;水の密度
    に代入することによって、前記フレッシュモルタルの単位セメント量Mcufを算出する請求項4記載のセメント量の推定方法。
  6. 前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
    Mfu=Mf/(Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (11)
    に代入することによって前記フレッシュモルタルの単位フライアッシュ量Mfuを算出する請求項5記載のセメント量の推定方法。
  7. フレッシュコンクリートから粗骨材を除去するとともに該粗骨材の質量Mgと残りのフレッシュモルタルの質量Mとをそれぞれ計測し、
    前記フレッシュモルタルから水が除去されたものを前記分析対象試料とするとともに、次式、
    Mw=M−MT (1)
    から前記水の質量Mwを算出し、
    前記Mg、前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
    Mcuf′=Mc/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (4c′)
    ρg;粗骨材の密度
    ρc;セメントの密度
    ρs;細骨材の密度
    ρf;フライアッシュの密度
    ρw;水の密度
    に代入することによって、前記フレッシュコンクリートの単位セメント量Mcuf′を算出する請求項4記載のセメント量の推定方法。
  8. 前記Mg、前記Mc、前記Ms、前記Mf及び前記Mwを、次式、
    Mfu′=Mf/(Mg/ρg+Mc/ρc+Ms/ρs+Mf/ρf+Mw/ρw) (12)
    に代入することによって前記フレッシュコンクリートの単位フライアッシュ量Mfu′を算出する請求項7記載のセメント量の推定方法。
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