まず、本発明の実施例1に係るレセプタクルコネクタについて図1乃至図7を参照しつつ説明する。図1乃至図3に示すレセプタクルコネクタは、テレビジョン受像機等の電子機器の基板10に実装され、該電子機器の外部インターフェースとして用いられるコネクタである。このレセプタクルコネクタは、第1、第2ボディ100a、100bと、複数の第1、第2、第3、第4コンタクト200a、200b、200c、200dと、シールドケース300とを備えている。以下、各部について詳しく説明する。
シールドケース300は、図1乃至図5に示すように、導電性を有する金属板が略角筒状にプレス成型されたものである。このシールドケース300は、底板部310と、天板部320と、一対の側板部330と、一対のロック片340とを有している。底板部310は天板部320に対向する略矩形状の板であって、その外面が基板10上に設置可能となっている。底板部310の幅方向の両端には、側板部330が立設されている。側板部330の上端の間が天板部320により連結されている。底板部310の奥行き寸法(後述する挿入方向γの長さ寸法)は、図3に示すように、天板部320及び側板部330の奥行き寸法よりも短くなっている。底板部310、天板部320の先端部及び側板部330の先端部がシールドケース300の内部空間を区画し、天板部320及び側板部330の後端部が、第1、第2ボディ100a、100bが後方から挿入され、収容される収容空間を区画している。なお、図4及び図5において、第1、第2ボディ100a、100bが前記収容空間に挿入される方向を挿入方向γとして表している。
また、底板部310の中央部には、図1(a)及び図2(a)に示すように、天板部320に向けて下向き略U字状に湾曲した湾曲部が設けられている。この湾曲部がシールドケース300の前記内部空間を第1、第2スロットα、βに仕切る仕切り部311となっている。また、仕切り部311の裏側には断面下向き略U字状の凹部312が形成されている。仕切り部311及び凹部312は、図5に示すように、底板部310の挿入方向γの先端から後端までの全域にわたって延存している。凹部312は、矩形状の上側凹部312aと、両縁部が下方に向けて漸次拡大する下側凹部312bとを有している。この下側凹部312bの両内面は、底板部310の外面に対して傾斜している。底板部310の外面の下側凹部312bの両内面との境界部分には、図5及び図6に示すように、第1、第2端部315a、315bを有する略U字状の第1凹部315が各々設けられている。この第1凹部315は第1、第2端部315a、315bの間の開放部が内側に向いている。下側凹部312bの両内面の底板部310の外面との境界部分には、第1凹部315の第1、第2端部315a、315bに連通する矩形状の一対の第2凹部316が各々設けられている。この第1、第2凹部315、316に区画された部分が基板10の一対のグランド電極11に各々半田接続可能なパッド317となっている。パッド317は、第1、第2パッド部317a、317bを有する。第1パッド部317aは底板部310の外面に設けられた部位である。第1パッド部317aの表面と底板部310の外面とは、高さ位置が同じになっている(すなわち、面一である。)。第2パッド部317bは下側凹部312bの両内面に設けられた部位であって、第1パッド部317aに対して傾斜している。第2パッド部317bの表面と下側凹部312bの両内面とは、高さ位置が同じになっている(すなわち、面一である。)。なお、グランド電極11は、第1パッド部317aに接触可能な部分と第2パッド部317b側に延設された部分とを有する略矩形状の表面電極である。
また、底板部310の第2スロットβ部分には、接合部318が設けられている。この接合部318はシールドケース300を構成する金属板の端部同士を接合しカシメた部分である。このように底板部310の第2スロットβ部分にシールドケース300の接合部を設けることにより、シールドケース300の第1、第2スロットα、β部分の強度低下を抑制している。第1スロットαの内形は、図7(a)に示すプラグコネクタ20のHDMI(High-Definition Multimedia Interface・登録商標) Type D用の接続部21又は図7(b)に示すプラグコネクタ30のHDMI Type D用の接続部31の外形に対応した形状となっている。また、第2スロットβの内形は、図7(a)に示すプラグコネクタ20のHDMI以外の規格に対応した接続部22又は図7(c)に示すプラグコネクタ40のHDMI以外の規格に対応した接続部41の外形に対応した形状となっている。すなわち、第1スロットαに接続部21又は接続部31が挿入可能となっており、第2スロットβに接続部22又は接続部41が挿入可能となっている。また、底板部310の第1、第2スロットα、β部分の後面は、図3(b)乃至図3(d)に示すように、第1ボディ100aの後述する一対の突脈150aの前面に当接する当止面313、314となっている。
天板部320は、図1に示すように、略矩形状の板部である。天板部320には、その一部がカットされ形成された2つの係止片321と、2つの係止片322とが設けられている。係止片321、322の先端部が下方に向けて円弧状に折り曲げられている。係止片321の先端部は、第1スロットαに挿入されたプラグコネクタ20の接続部21又はプラグコネクタ30の接続部31に弾性的に接触し、該接続部21又は接続部31を保持するようになっている。同様に、係止片322の先端部は、第2スロットβに挿入されたプラグコネクタ20の接続部22又はプラグコネクタ40の接続部41に弾性的に接触し、該接続部22又は接続部41を保持するようになっている。また、天板部320の係止片321、322の後方部分の一部は、切り下げられ、下方に凸の当止部323、324となっている。
側板部330の下端には、前側端子331と、後側端子332とが垂下されている。前側端子331は、底板部310の幅方向の両端部の一部分がカットされ、下方に向けて折り曲げられた片部材である。後側端子332は、底板部310の奥行き寸法を天板部320及び側板部330よりも短くするために切り落とされる板部の一部を切り落とされる前にカットし、下方に向けて折り曲げられた片部材である。前側端子331及び後側端子332は、基板10の図示しないスルーホール電極に各々挿入可能となっている。側板部330の後端にはロック片340が延設されている。
第1ボディ100aは絶縁樹脂製の射出成型品である。この第1ボディ100aは、図3乃至図5に示すように、本体部110aと、第1、第2凸部120a、130aと、一対のガイド部140aと、一対の突脈150aと、補強部材160aと、一対の係止凸部170aとを有している。本体部110aは断面視略矩形状の板体である。この本体部110aには、挿入方向γに貫通する複数の第1、第2孔部111a、112aが第1ボディ100aの幅方向に間隔をあけて一列で設けられている。また、本体部110aの挿入方向γの前面の上端部には、矩形状の切欠き部113a、114a(図3及び4参照)が設けられている。切欠き部113a、114aには、シールドケース300の当止部323、324が挿入され、該切欠き部113a、114aの奥側面に当止部323、324が前方から当接するようになっている。
また、本体部110aの挿入方向γの前面(ボディの第1面)の中央部には、第1、第2スロットα、βに挿入される板状の第1、第2凸部120a、130aが設けられている。この第1、第2凸部120a、130aの外形は、図7に示すプラグコネクタ20の接続部21、22の図示しない接続孔に嵌合し得る形状となっている。この第1、第2凸部120a、130aの下面には、複数の第1、第2長溝121a、131aが前記幅方向に間隔をあけて一列で設けられている。第1、第2凸部120a、130aの上面には、第1、第2孔部111a、112aに連通する複数の第3、第4長溝122a、132aが前記幅方向に間隔をあけて一列で設けられている。また、第1、第2、第3、第4長溝121a、122a、131a、132aは、挿入方向γに沿って延びている。第3長溝122aは、平面位置的に、隣り合う第1長溝121aの間に位置している。第4長溝132aは、平面位置的に、隣り合う第2長溝131aの間に位置している。換言すると、図2(a)に示すように、第1長溝121aと第3長溝122aとは千鳥配置されており、第2長溝131aと第4長溝132aとは千鳥配置されている。
また、本体部110aの前面の中央下端部には、図4に示すように、略L字状の補強部材160aが設けられている。この補強部材160aは、略三角柱のアーム部161aと、角柱の突起162aとを有している。アーム部161aは、本体部110aの前面から前方に延びた略三角柱である。突起162aは、アーム部161aの先端部に上方に向けて突設された角柱である。突起162aがシールドケース300の凹部312の上側凹部312aに嵌合し、アーム部161aが該凹部312の下側凹部312bに嵌合している。このように補強部材160aがシールドケース300の凹部312の一部に嵌合している。アーム部161aの下面には、円柱状の一対の係止凸部170aが設けられている。この係止凸部170aは基板10の図示しない係止孔に挿入可能になっている。
また、本体部110aには、図5に示すように、複数の第1、第2コンタクト200a、200bが各々前記幅方向に間隔をあけて一列で配列されている。第1コンタクト200aは、図3(b)に示すように、導電性を有する細長い金属板であって、埋設部210aと、接触部220aと、テール部230aとを有している。埋設部210aは本体部110aに埋設された下向き略L字状の部位であって、後端部が本体部110aから下方に突出している。接触部220aは、埋設部210aの先端に連続する直線状の部位であって、第1凸部120aの第1長溝121aに挿入されている。テール部230aは埋設部210aの後端に連続し且つ埋設部210aの後端部に対して直角に折り曲げられた平板状の部位である。第2コンタクト200bは、図3(d)に示すように、導電性を有する細長い金属板であって、埋設部210bと、接触部220bと、テール部230bとを有している。この第2コンタクト200bは、接触部220bが第2凸部130aの第2長溝131aに挿入されている以外、第1コンタクト200aと同じである。したがって、第2コンタクト200bの各部について、第1コンタクト200aと重複する説明は省略する。
また、本体部110aの下面には一対の突脈150aが設けられている。この突脈150aがシールドケース300の底板部310の当止面313、314に前方から当接している。また、本体部110aの挿入方向γの後面(ボディの第2面)の幅方向の両端部には一対のガイド部140aが設けられている。ガイド部140aの上面はシールドケース300の天板部320に当接している。これにより、第1ボディ100a及びこれに組み合わされた第2ボディ100bのシールドケース300の天板部320に対する平行度が向上している。また、本体部110aの後面には、図5に示すように、第1、第2孔部111a、112aの間と第2孔部112aの外側とに嵌合穴部115aが各々設けられている。
第2ボディ100bは、図3乃至図5に示すように、絶縁樹脂製の射出成型品であって、本体部110bと、一対の嵌合凸部120bと、一対の山部130bとを有している。本体部110bは、断面視略L字状の部位であって、その幅寸法が第1ボディ100aのガイド部140aの間の寸法よりも若干小さくなっている。この第2ボディ100bが第1ボディ100aのガイド部140aの間に挿入され、第1、第2ボディ100a、100bが挿入方向γに前後に組み合わせられている。本体部110bの挿入方向γの前面には、図4に示すように、嵌合穴部115aに対応する位置に一対の嵌合凸部120bが設けられている。この嵌合凸部120bは、円柱状の突起であって、第1ボディ100aの嵌合穴部115aに嵌合している。嵌合凸部120bが嵌合穴部115aに嵌合することにより、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で維持されている。また、本体部110bの挿入方向γの後面の幅方向の両端部には、一対の山部130bが設けられている。この山部130bの先端部は、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、第1ボディ100aのガイド部140aよりも後方に突出する高さ寸法を有している。この山部130bの先端部に、シールドケース300の略L字状に折り曲げられたロック片340が当接している。これにより、シールドケース300の収容空間に収容された第1、第2ボディ100a、100bが、ロック片340と、底板部310の仕切り部311、当止面313、314、及び天板部320の当止部323、324との間で挟持され、上記収容空間内に固定されている。なお、図4及び図5では、ロック片340は折り曲げる前の真っ直ぐな状態で表している。
本体部110bには、図4に示すように、複数の第3、第4コンタクト200c、200dが各々幅方向に第1、第2孔部111a、112aと同じ間隔で一列に配列されている。第3、第4コンタクト200c、200dは第1、第2コンタクト200a、200b上側位置(すなわち、異なる高さ位置)に配置されている。第3コンタクト200cは、図3(a)に示すように、導電性を有する細長い金属板であって、埋設部210cと、接触部220cと、テール部230cとを有している。埋設部210cは、本体部110bに埋設された部位であって、斜めに傾斜した中間部と、この中間部に対して折り曲げられた先端部と、前記中間部に対して折り曲げられ、下方に垂下された後端部とを有している。この埋設部210cの先端部及び中間部が本体部110b内に埋設されている。埋設部210cの後端部は本体部110bから下方に突出している。接触部220cは埋設部210cの先端に連続し且つ本体部110bの前面から突出した平板である。この接触部220cは、第1接触部220aよりも第1ボディ100aの本体部110aの厚み分長い。この接触部220cが第1ボディ100aの第1孔部111a及び第3長溝122aに挿入されている。テール部230cは埋設部210cの後端に連続し且つ埋設部210cの後端部に対して直角に折り曲げられた平板状の部位である。第4コンタクト200dは、図3(c)に示すように、導電性を有する細長い金属板であって、埋設部210dと、接触部220dと、テール部230dとを有している。この第4コンタクト200dは、接触部220dが第2凸部130aの第4長溝132aに挿入されている以外、第3コンタクト200cと同じである。したがって、第4コンタクト200dの各部について、第3コンタクト200cと重複する説明は省略する。
第1長溝121aに挿入された接触部220aと第3長溝122aに挿入された接触部220cとは千鳥配置されている。換言すると、第3コンタクト200cの接触部220cが、平面位置的に、隣り合う第1コンタクト200aの接触部220aの間に配置されている。この接触部220a、220cは、第1凸部120aと共に第1スロットαに挿入され、該第1スロットαに挿入されるプラグコネクタ20の接続部21又はプラグコネクタ30の接続部31の下側、上側コンタクトに接触可能となっている。同様に、第2長溝131aに挿入された接触部220bと第4長溝132aに挿入された接触部220dとは千鳥配置されている。換言すると、第4コンタクト200dの接触部220dが、平面位置的に、隣り合う第2コンタクト200bの接触部220bの間に配置されている。この接触部220b、220dは、第2凸部130aと共に第2スロットβに挿入され、該第2スロットβに挿入されるプラグコネクタ20の接続部22又はプラグコネクタ40の接続部41の下側、上側コンタクトに接触可能となっている。また、テール部230a、230cは、下面が同一高さとなっており且つ挿入方向γに前後二列に配列されている。テール部230b、230dも、下面が同一高さとなっており且つ挿入方向γに前後二列に配列されている。テール部230a、230b、230c、230dが基板10の図示しない表面電極に各々半田接続可能となっている。
以下、上述した構成のレセプタクルコネクタの組み立て手順について説明する。まず、図4及び図5に示すように、第1ボディ100aに第1、第2コンタクト200a、200bの埋設部210a、210bを、第2ボディ100bに第3、第4コンタクト200c、200dの埋設部210c、210dをインサート成形により埋設する。これにより、第1、第2コンタクト200a、200bが第1ボディ100aに幅方向に一列で配列され、第3、第4コンタクト200c、200dが第2ボディ100bに幅方向に一列で配列される。このとき、第1、第2コンタクト200a、200bの接触部220a、220bが第1ボディ100aの第1、第2長溝121a、131aに挿入される。
その後、第1、第2ボディ100a、100bを相対的に接近させ、第2ボディ100bの第3、第4コンタクト200c、200dの接触部220c、220dを第1ボディ100aの第1、第2孔部111a、112a及び第3、第4長溝122a、132aに挿入する。これにより、接触部220aと接触部220cとが異なる高さ位置で千鳥配置され、接触部220bと接触部220dとが異なる高さ位置で千鳥配置される。これと共に、第1ボディ100aの一対のガイド部140aに第2ボディ100bの幅方向の両端をガイドさせつつ、該第2ボディ100bを第1ボディ100aのガイド部140aの間に挿入する。すると、第2ボディ100bの嵌合凸部120bが第1ボディ100aの嵌合穴部115aに嵌合する。これにより、第1、第2ボディ100a、100bが挿入方向γに前後に組み合わされ、テール部230a、230cが同一高さで且つ挿入方向γに前後二列に配置されると共に、テール部230b、230dが同一高さで且つ挿入方向γに前後二列に配置される。
その後、第1ボディ100aの補強部材160aをシールドケース300の凹部312に挿入し、該補強部材160aの突起161aを凹部312の上側凹部312aに、アーム部162aを下側凹部312bに嵌合させる。このとき、補強部材160aが凹部312に挿入方向γにガイドされる。これと共に、側板部330に沿って真っ直ぐな状態のロック片340の間に、第1、第2ボディ100a、100bを挿入する。このとき、第1ボディ100aの幅方向の両端がロック片340にガイドされつつ、第1、第2ボディ100a、100bがシールドケース300の収容空間に後方から挿入方向γに沿って挿入され、第1ボディ100aの第1、第2凸部120a、130aがシールドケース300の第1、第2スロットα、βに挿入される。すると、第1ボディ100aの本体部110aの前面が仕切り部311に当接する。これと共に、第1ボディ100aの突脈150aがシールドケース300の底板部310の当止面313、314に各々当接し、シールドケース300の天板部320の当止部323、324が第1ボディ100aの切欠き部113a、114aに挿入され、該切欠き部113a、114aの奥側面に当接する。また、第1ボディ100aのガイド部140aがシールドケース300の天板部320に当接する。
この状態で、ロック片340を内側に各々折り曲げ、第2ボディ100bの山部130bに各々当接させる。これにより、ロック片340と、底板部310の仕切り部311、当止面313、314、及び天板部320の当止部323、324との間で第1、第2ボディ100a、100bが挟持され、第1、第2ボディ100a、100bがシールドケース300の収容空間に収容された状態で固定される。
このように組み立てられたレセプタクルコネクタは次のように基板10に実装される。まず、シールドケース300の前側端子331と後側端子332を基板10の上記スルーホール電極に各々挿入する。これと共に、第1ボディ100aの係止凸部170aを基板10の上記係止孔に各々挿入し係止させる。すると、シールドケース300の底板部310の外面が基板10上に設置され、シールドケース300のパッド317が基板10の一対のグランド電極11に各々接触すると共に、テール部230a、230b、230c、230dが基板10の上記表面電極上に各々接触する。その後、前側端子331と後側端子332を基板10の前記スルーホール電極に、パッド317を一対のグランド電極11に、テール部230a、230b、230c、230dが基板10の前記表面電極に各々半田付けする。このとき、パッド317の第2パッド部317bとグランド電極11とに半田フィレットが形成される。なお、シールドケース300は、基板10の前記スルーホール電極及びグランド電極11を通じて、該基板10のグランドラインに電気的に接続され、シールド機能を発揮する。
このようなレセプタクルコネクタによる場合、補強部材160aがシールドケース300の仕切り部311の裏側の凹部312に部分的に嵌合しているので、スロットαにプラグコネクタ30の接続部31が又はスロットβにプラグコネクタ40の接続部41が挿入され、こじられたとしても、仕切り部311周辺の変形を抑止することができると共に、接合部318が外れ、開放されるのを抑止することができる。よって、本コネクタのこじり強度の向上を図ることができる。また、補強部材160aが第1ボディ100aの本体部110aの前面に突設されているので、第1、第2ボディ100a、100bをシールドケース300に挿入する際に、補強部材160aをシールドケース300の凹部312に嵌合させることができる。よって、本コネクタの組み立て工数の低減を図ることができる。
また、シールドケース300の底板部310の外面及び仕切り部311の裏側の凹部312の下側凹部312bの両内面に、第1、第2凹部315、316が設けられただけであり、第1、第2凹部315、316に区画された部分がパッド317となっている。このパッド317の第1パッド部317aは底板部310の外面と面一であるので、底板部310の外面を基板10上に設置したとしても、底板部310の外面と基板10との間に隙間が生じない。また、第1パッド部317aは略U字状の第1凹部315に囲われているので、半田接続時に半田が底板部310の外面と基板10との間に広がるのを抑止することができ、底板部310の接合部318からシールドケース300内に侵入するのを抑止することができる。また、パッド317の第2パッド部317bは第1パッド部317aに対して傾斜しているので、第2パッド部317bに半田を塗布することにより、大きな半田フィレットを形成することができる。よって、本レセプタクルコネクタの中央部の基板剥離強度を向上させることができる。しかも、シールドケース300の前側端子331及び後側端子332が基板10のスルーホール電極に各々半田接続されているので、本レセプタクルコネクタの両端部の基板剥離強度を向上させることができる。このように本レセプタクルコネクタは全体として高い基板剥離強度を有する構成となっている。
また、底板部310の外面と基板10との間に隙間が生じないので、本レセプタクルコネクタの実装高さの低減を図ることもできる。更に、パッド317は、第1、第2凹部315、316に囲われた部分であることから、底板部310の外面及び仕切り部311の裏側の凹部312の下側凹部312bの両内面に、シールドケースの一部を切り下げて接続用端子が作成される場合のように開口が形成されない。よって、半田接続時に底板部310の中央部及び仕切り部311からシールドケース300内に半田やフラックスが侵入する抑制することができる。また、底板部310の中央部及び仕切り部311に前記開口が形成されることによるシールドケース300のこじり強度の低下を抑制することができる。
次に、本発明の実施例2について図7乃至図12を参照しつつ説明する。図8及び図9に示すレセプタクルコネクタは、実施例1と同様のテレビジョン受像機等の電子機器の基板10に実装され、該電子機器の外部インターフェースとして用いられるコネクタである。このレセプタクルコネクタは、第1、第2ボディ100a’、100b’の形状が第1、第2ボディ100a、100bの形状と相違し、且つシールドケース300’の形状がシールドケース300の形状と相違している以外、実施例1のレセプタクルコネクタと略同じである。よって、その相違点についてのみ詳しく説明し、重複する説明については省略する。なお、第1、第2ボディ及びシールドケースの符号については、’を付して実施例1の第1、第2ボディ及びシールドケースと区別する。
シールドケース300’は、底板部310’の仕切り部311’及び凹部312’の形状が実施例1のシールドケース300と相違している。以下、その相違点についてのみ詳しくは説明する。底板部310’の中央部は、図8乃至図12に示すように、下向きY字状に湾曲した湾曲部が設けられている。この湾曲部がシールドケース300’の内部空間を第1、第2スロットα、βに区切る断面下向きY字状の仕切り部311’となっている。また、仕切り部311’の裏側には断面略三角形状の凹部312’(仕切り部の凹面)が形成されている。仕切り部311’及び凹部312’は、図12に示すように、底板部310’の挿入方向γの先端から後端までの全域にわたって延存している。凹部312’の両内面は、底板部310’の外面に対して傾斜している。底板部310’の外面の凹部312’の両内面との境界部分には、第1、第2端部315a’、315b’を有する略U字状の第1凹部315’が各々設けられている。この第1凹部315’は第1、第2端部315a’、315b’の間の開放部が内側に向いている。凹部312’の両内面の底板部310’の外面との境界部分には、第1凹部315’の第1、第2端部315a’、315b’に連通する矩形状の一対の第2凹部316’が各々設けられている。この第1、第2凹部315’、316’に区画された部分が基板10の一対のグランド電極11に各々半田接続可能なパッド317’となっている。パッド317’は、第1、第2パッド部317a’、317b’を有する。第1パッド部317a’は底板部310’の外面に設けられた部位である。第1パッド部317a’の表面と底板部310’の外面とは、高さ位置が同じになっている(すなわち、面一である。)。第2パッド部317b’は凹部312’の両内面に設けられた部位であって、第1パッド部317a’に対して傾斜している。第2パッド部317b’の表面と凹部312’の両内面とは、高さ位置が同じになっている(すなわち、面一である。)。なお、図8乃至図12中、318’は接合部、320’は天板部、330’は側板部、340’はロック片、321’、322’は係止片、323’、324’は当止部、331’は前側脚部、332’は後側脚部である。
第1ボディ100a’は、本体部110a’の第2孔部112a’及び第4長溝132a’の配列、本体部110a’の嵌合穴部115a’が設けられている箇所、本体部110a’に嵌合凸部116a’が新に設けられている点、補強部材160a’の形状及び一対の係止凸部170a’が設けられている箇所が実施例1の第1ボディ100aと相違している。以下、その相違点についてのみ詳しく説明する。第2孔部112a’及び第4長溝132a’は、図11及び図12に示すように、本体部110a’に該第2孔部112a’及び第4長溝132a’の列の真ん中に間隔を開けて設けられている。このため、第4コンタクト200dの埋設部210dも、第2ボディ100b’の本体部110b’に該第4コンタクト200dの列の真ん中に間隔を開けて埋設されている。補強部材160a’は本体部110aの前面に突設された略三角柱状の突脈である。補強部材160a’の長さ寸法は凹部312’の挿入方向γの長さ寸法と同じである。よって、補強部材160a’は凹部312’の全部に嵌合している。また、係止凸部170a’は一対のガイド部140a’の下面に突設されている。この係止凸部170a’も基板10の図示しない係止孔に各々挿入可能となっている。嵌合凸部116a’は、本体部110a’の挿入方向γの後面の中央部に突設された直方体状の突起である。この嵌合凸部116a’の後面に一対の嵌合穴部115a’が設けられている。なお、図9乃至図12中、120a’は第1凸部、130a’は第2凸部、150a’は突脈、111a’は第1孔部、113a’、114a’は凹部、121a’は第1長溝、122a’は第2長溝、131a’は第3長溝である。
第2ボディ100b’は、本体部110b’の挿入方向γの前面の中央部に嵌合凹部111b’が新に設けられている点及び嵌合凸部120b’が設けられている箇所が実施例1の第2ボディ100bと相違している。以下、その相違点についてのみ詳しく説明する。嵌合凹部111b’は略矩形状の窪みであって、嵌合凸部116a’が嵌まり込んでいる。この嵌合凹部111b’の底面には、一対の嵌合凸部120b’が設けられている。この嵌合凸部120b’が嵌合凸部116a’の後面の嵌合穴部115a’に各々嵌合している。また、本体部110b’及び山部130b’が、図10に示すように、シールドケース300’の天板部320’の下面に当接している。
以下、上述した構成のレセプタクルコネクタの組み立て手順について説明する。まず、図11及び図12に示すように、第1ボディ100a’に第1、第2コンタクト200a、200bの埋設部210a、210bを、第2ボディ100b’に第3、第4コンタクト200c、200dの埋設部210c、210dをインサート成形により埋設する。これにより、第1、第2コンタクト200a、200bが第1ボディ100a’に幅方向に一列で配列され、第3、第4コンタクト200c、200dが第2ボディ100b’に幅方向に一列で配列される。このとき、第1、第2コンタクト200a、200bの接触部220a、220bが第1ボディ100a’の第1、第2長溝121a’、131a’に挿入される。
その後、第1、第2ボディ100a’、100b’を相対的に接近させ、第2ボディ100b’の第3、第4コンタクト200c、200dの接触部220c、220dを第1ボディ100a’の第1、第2孔部111a’、112a’及び第3、第4長溝122a’、132a’に挿入する。これにより、接触部220aと接触部220cとが異なる高さ位置で千鳥配置され、接触部220bと接触部220dとが異なる高さ位置で千鳥配置される。これと共に、第1ボディ100a’の一対のガイド部140a’に第2ボディ100b’の幅方向の両端をガイドさせつつ、該第2ボディ100b’を第1ボディ100a’のガイド部140a’の間に挿入する。すると、第1ボディ100a’の嵌合凸部116a’が第2ボディ100b’の嵌合凹部111b’に嵌まり込むと共に、第2ボディ100b’の嵌合凸部120b’が第1ボディ100a’の嵌合穴部115a’に各々嵌合する。これにより、第1、第2ボディ100a’、100b’が挿入方向γに前後に組み合わされ、テール部230a、230cが同一高さで且つ挿入方向γに前後二列に配置されると共に、テール部230b、230dが同一高さで且つ挿入方向γに前後二列に配置される。
その後、第1ボディ100a’の補強部材160a’をシールドケース300’の凹部312’に嵌合させる。このとき、補強部材160a’が凹部312’に挿入方向γにガイドされる。これと共に、側板部330’に沿って真っ直ぐな状態のロック片340’の間に、第1、第2ボディ100a’、100b’を挿入する。このとき、第1ボディ100a’の幅方向の両端がロック片340’にガイドされつつ、第1、第2ボディ100a’、100b’がシールドケース300’の収容空間に後方から挿入方向γに沿って挿入され、第1ボディ100a’の第1、第2凸部120a’、130a’がシールドケース300’の第1、第2スロットα、βに挿入される。すると、第1ボディ100a’の本体部110b’の前面が仕切り部311’に当接する。これと共に、第1ボディ100a’の突脈150a’がシールドケース300’の底板部310’の当止面313’、314’に各々当接し、シールドケース300’の天板部320’の当止部323、324’が第1ボディ100a’の切欠き部113a’、114a’に挿入され、該切欠き部113a’、114a’の奥側面に当接する。また、ガイド部140a’、本体部110b’及び山部130b’の上面がシールドケース300’の天板部320’に当接する。
この状態で、ロック片340’を内側に各々折り曲げ、第2ボディ100b’の山部130b’に各々当接させる。これにより、ロック片340’と、底板部310’の仕切り部311’、当止面313’、314’及び天板部320’の当止部323’、324’との間で第1、第2ボディ100a’、100b’が挟持され、第1、第2ボディ100a’、100b’がシールドケース300’の収容空間に収容された状態で固定される。
このように組み立てられたレセプタクルコネクタは次のように基板10に実装される。まず、シールドケース300’の前側端子331’と後側端子332’を基板10の上記スルーホール電極に各々挿入する。これと共に、第1ボディ100a’の係止凸部170a’を基板10の上記係止孔に各々挿入し係止させる。すると、シールドケース300’の底板部310’の外面が基板10上に設置され、シールドケース300’のパッド317’が基板10の一対のグランド電極11に各々接触する。これと共に、テール部230a、230b、230c、230dが基板10の上記表面電極上に各々接触する。その後、前側端子331’と後側端子332’を基板10の前記スルーホール電極に、パッド317’を一対のグランド電極11に、テール部230a、230b、230c、230dが基板10の前記表面電極に各々半田付けする。このとき、パッド317’の第2パッド部317b’とグランド電極11とに半田フィレットが形成される。
このようなレセプタクルコネクタによる場合、補強部材160a’がシールドケース300’の仕切り部311’の裏側の凹部312’に嵌合しているので、スロットαにプラグコネクタ30の接続部31が又はスロットβにプラグコネクタ40の接続部41が挿入され、こじられたとしても、仕切り部311’周辺の変形を抑止することができると共に、接合部318’が外れ、開放されるのを抑止することができる。また、補強部材160a’が凹部312’の全部に嵌合しているので、実施例1のコネクタよりも本コネクタのこじり強度を向上させることができる。また、補強部材160a’が第1ボディ100a’の本体部110a’の前面に突設されているので、第1、第2ボディ100a’、100b’をシールドケース300’に挿入する際に、補強部材160a’をシールドケース300’の凹部312’に嵌合させることができる。よって、本コネクタの組み立て工数の低減を図ることができる。その他については、上記実施例1のレセプタクルコネクタと同様の効果を得ることができる。
なお、上述したレセプタクルコネクタは、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
上記実施例1及び2では、シールドケースは導電性を有する金属板がプレス成型されたものであるとしたが、導電性を有する筒体であって、その内部空間にボディを収容し得るものである限り任意に設計変更することが可能である。例えば、前記シールドケースは、絶縁樹脂やセラミック材等の絶縁材を筒状とし、その外面に導電性を有する金属を蒸着させたものや、導電性を有する金属を筒状に鋳造したものを用いることが可能である。
また、実施例1及び2では、底板部の湾曲部が、シールドケースの内側に湾曲し、シールドケースの底板部の挿入方向の先端(第1端)から後端(第2端)までの全域にわたって延びており且つシールドケースの内部空間を第1、第2スロットとして仕切る仕切り部として機能するとした。しかし、前記湾曲部はシールドケースの一部が内側に湾曲し且つ前記ボディの挿入方向に延びている限り任意に設計変更することが可能である。よって、前記湾曲部は天板部や側板部に設けることが可能である。また、前記湾曲部はシールドケースの底板部、天板部又は側板部の挿入方向の先端(第1端)から後端(第2端)にわたる全域に延存している必要はない。更に、図13に示すコネクタのように、シールドケース300’’の底板部310’’の湾曲部を相手方コネクタのキー溝に嵌合可能なキー部311’’として用いることが可能である。キー部311’’が前記キー溝に嵌合することで、キー溝を有していないコネクタや異なるキー溝を有するコネクタの誤挿入を防止することができる。このように湾曲部をキー部311’’として用いたとしても、キー部311’’の裏側の凹部312’’の少なくとも一部にボディ100’’の本体部110’’の挿入方向の前面に突設された補強部材160’’が嵌合することにより、キー部311’’を補強し、上記実施例1及び2と同様の効果を得ることができる。また、前記湾曲部は、仕切り部やキー部としての機能を有している必要はなく、その他の役割を有しているものや特段の役割を有しておらず、デザイン上シールドケースに設けられているものであっても良い。なお、図13中、320’’は天板部、330’’は側板部を示している。
上記実施例1では、補強部材が湾曲部の裏側の凹部の一部に嵌合し、上記実施例2では、補強部材が仕切り部の裏側の凹部の全部に嵌合するとしたが、前記補強部材は前記湾曲部の裏側の凹部の一部に少なくとも嵌合していれば良い。例えば、図14に示すように、補強部材160a’’’の挿入方向γの長さ寸法を凹部312’の挿入方向γの長さ寸法より短くし、補強部材160a’’’が凹部312’の一部に嵌合するように構成することも可能である。また、上述した補強部材は第1ボディの挿入方向の前面に突設されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ボディと別体の補強部材を湾曲部の裏側の凹部に嵌合させるようにしても良い。また、前記補強部材は、金属材料やセラミック材等のボディよりも硬い材料で構成することができる。前記補強部材はボディに開設した孔に圧入させたり、ボディにインサート成形したりすることによりボディに取り付けることが可能である。
上記実施例1及び2では、シールドケースは第1、第2スロットを有しているとしたが、図13に示すコネクタのように、シールドケース300’’’が一つのスロットα’’を有した構成とすることが可能である。また、シールドケースに複数の湾曲部を設けたり、別途作成した仕切り板をシールドケース内に取り付けたり、湾曲部及び仕切り板の双方を用いたりすることにより、3以上のスロットを有する構成とすることが可能である。また、シールドケースが複数のスロットを有する構成である場合であっても、前記仕切り板を用いてシールドケースの内部空間を仕切り、シールドケースの湾曲部をキー部等として用いることが可能である。
上記実施例1及び2では、パッドを区画する第1、第2凹部が底板部の外面と凹部の下側凹部の両内面との境界部分に設けられているとしたが、第1、第2凹部は、シールドケースの第1面とこの第1面に連続しており且つ該第1面に対して傾斜又は直角な第2面との境界部分に設けられている限りどのような部分に設けても良い。例えば、シールドケースの側板部の外面を底板部の外面に対して傾斜又は直角とし、第1、第2凹部を前記底板部の外面及び前記側板部の外面の境界部分に設けることが可能である。実施例1及び2では、第2凹部は、略矩形状であるとしたが、第1凹部の第1、第2端部に連通する限りどのような形状であっても良い。例えば、第2凹部を湾曲させ、その先端部同士を連通させるようにしても構わない。上記実施例1及び2で示したパッドは、その一例を示したものであって、前記第1、第2凹部の形状に応じて適宜変更可能である。なお、第1、第2凹部及びパッドは、必要なければ、省略することが可能である。
上記実施例1及び2では、シールドケースは一対の前側端子及び後側端子を有しているとしたが、これに限定されるものではない。前側端子及び後側端子は省略可能であり、また、前側端子及び後側端子の何れか一方のみとすることも可能である。
上記実施例1及び2では、本発明に係るコネクタは、第1、第2ボディを備えているとしたが、少なくとも一つのボディを備えていれば良い。また、本発明に係るコネクタは、コンタクトについても少なくとも一種類のコンタクトを備えていれば良い。コンタクトは、ボディに埋設されている必要はなく、ボディに設けられた孔に挿入されるようになっていても良い。上記実施例1及び2では、コンタクトのテール部は、挿入方向に前後二列で配列されているとしたが、一列で配列することも可能である。また、テール部を垂下させ、基板のスルーホール電極に接続させることも可能である。
なお、上記実施例1及び2におけるレセプタクルコネクタの各部を構成する素材、形状、個数や寸法等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1及び2では、本発明の第1スロットは、HDMI Type Dに、第2スロットはHDMI以外の規格に対応するとしたが、前記第1、第2スロットは、Type D以外のHDMIの規格、HDMI以外の規格、また、相手側コネクタに応じて適宜設計変更することが可能である。例えば、第1、第2スロットの内形を同じとし、同じ相手側コネクタが接続可能とすることも可能である。また、本発明は、レセプタクルコネクタだけでなく、基板の端部にケーブルを接続することによりプラグコネクタとすることも可能である。また、上記実施例1及び2では、電子機器としてはテレビジョン受像機を例に挙げたが、これに限定されるものではない。