以下に本発明の内容を実施例によって、従来例と比較しながら説明する。
実施例1は、下側に平面ベタの対向電極107を配置し、層間絶縁膜108を介してスリット120を有する画素電極109を上側に配置した構成のIPSについてである。図1は本実施例における画素の平面構成であり、図2は図1のA−A’断面図である。図1および図2において、配向膜110は光配向によって配向制御を行っている。図3は、同じ電極構成を有する従来例の画素の平面図であり、図4は、図3のB−B’断面図である。図3および図4に示す従来例では、配向膜110はラビングによって配向制御を行っている。
本発明の特徴を説明するために、まず、従来構成である、図3および図4について説明する。図3において、縦方向に延在する映像信号線20と横方向に延在する走査線10とで囲まれた領域に画素領域が形成されている。走査線10の上に画素電極109への映像信号の供給を制御するTFTが形成されている。図3において、走査線10がTFTのゲート電極を兼ねており、走査線10の上にa−Siによる半導体層102が形成されている。半導体層102の上に、映像信号線20から分岐したドレイン電極103が形成され、ドレイン電極103と対向してソース電極104が形成されている。ソース電極104は、画素領域に延在し、コンタクトホール111によって画素電極109と接続する。
図3において、ソース電極104は、コンタクトホール111において、遮光膜として働くために、画素領域において、8角形状となっており、大きな面積を占めている。コンタクトホール111は8角形状のソース電極104によって下から覆われており、バックライトからの光はコンタクトホール111には当たらない構成となっている。
図3において、画素領域では、下側に平面ベタで対向電極107が形成され、図3では図示しない層間絶縁膜を挟んで上側にスリット120を有する画素電極109が形成されている。画素電極109は、コンタクトホール111のコンタクト部113において、ソース電極104と接続している。図3において、対向電極107は、点線で示すように、ソース電極104よりも一回り大きな領域を避けて形成されている。すなわち、点線で囲まれた台形上の領域では、液晶の制御は行われない。
したがって、この部分は、図3では図示しない対向基板200におけるブラックマトリクス201によってバックライトからの光は遮光される。つまり、図3に示す構成では、点線で示す台形の部分は、画像形成には寄与しないので、開口率を低下させ、延いては透過率、輝度を低下させることになる。図3において、画像形成に寄与する領域は、斜線で示した領域である。
図4は図3のB−B’断面図である。図4において、TFT基板100の上に、図示しないTFTで使用される、ゲート絶縁膜101が形成され、その上にTFTから延在してきたソース電極104が形成されている。この部分のソース電極104は、図3に示すように、幅が広くなっており、バックライトからの光を遮光する。ソース電極104を覆って、無機パッシベーション膜105が形成され、その上に平坦化膜を兼ねた有機パッシベーション膜106が形成されている。
有機パッシベーション膜106には画素電極109がソース電極104とのコンタクトをとるためのコンタクトホール111が形成されている。有機パッシベーション膜106に形成されたコンタクトホール111は画素電極109とソース電極104とをコンタクトさせるための下穴と、それよりも径の大きい上穴と、下穴と上穴を結ぶ内壁112が構成されている。画素電極109の段差部の断線を防止するために内壁112のテーパは大きくすることが出来ず、例えば、45度以下である。したがって、有機パッシベーション膜106は2μm程度と厚いために、有機パッシベーション膜106に形成されたコンタクトホール111の上穴の径は非常に大きくなる。
有機パッシベーション膜106の上には、平面ベタで対向電極107が形成されている。対向電極107は、コンタクトホール111を避けた領域に形成されている。対向電極107は1個の画素だけでなく、他の画素にも共通して形成されて、コモン電圧が印加されている。対向電極107の上に層間絶縁膜108が形成され、層間絶縁膜108の上にはスリット120を有する画素電極109が形成されている。無機パッシベーション膜105、層間絶縁膜108にはコンタクトホール111が形成され、画素電極109とソース電極104とは、コンタクトホール111のコンタクト部113において導通している。画素電極109を覆って配向膜110が形成されている。画素電極109および対向電極107は透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。
図4において、液晶層300を挟んで、対向基板200が配置している。対向基板200には、ブラックマトリクス201、カラーフィルタ202が形成され、これらを覆って、オーバーコート膜203が形成され、その上に配向膜110が形成されている。図4において、TFT基板100側も対向基板200側も配向膜110はラビングによって配向処理が行われている。
図4のTFT基板100において、画素電極109に映像信号が印加されると、画素電極109に形成されたスリット120を介して電気力線が発生し、液晶分子301を回転させてバックライトからの光の透過を制御する。すなわち、液晶分子301は、当初は、配向膜110によって初期配向されているが、横電界によって、初期配向の位置から回転することによって光の透過が制御される。
配向膜110は、表面が平坦であれば、ラビングによって配向制御を行うことが出来るが、図4に示すコンタクトホール111の部分では凹部となっているので、この部分は、ラビングによる配向制御を行うことが出来ない。配向制御が行われない部分1101はバックライトからの光が漏れてコントラストを低下させるので、遮光を行う必要がある。図4においては、この遮光をソース電極104によって行っている。
図4において、対向電極107は、コンタクトホール111を避けた形で形成されている。つまり、液晶分子301が映像信号によって制御できるのは、対向電極107が形成されている部分までである。ラビング配向の乱れ1101は、コンタクトホール111の内側のみでなく、コンタクトホール111の周辺も生ずるので、この部分は、画素の透過領域からは除外する必要がある。したがって、この部分は、対向基板200に形成されたブラックマトリクス201によって遮光している。つまり、図4の斜線で示したハッチング領域は対向電極107の形成されていない範囲によって規定され、この領域は、対向基板200に形成されたブラックマトリクス201の領域とほぼ一致する。画面の輝度を向上させるためには、図4における斜線の範囲を小さくする必要があるが、従来のように、配向膜110をラビング処理している場合は、限界がある。
図1は本発明の実施例1の画素を示す平面図である。図1が従来例である図3と異なる点は、ソース電極104が画素領域において面積が広がっていない点である。すなわち、図1においては、ソース電極104が遮光膜として作用している面積は、図3に比べて極めて小さくなっている。図1において、画像形成に寄与する領域を斜線で示している。この斜線の面積は、図3の場合に比べて、大きくなっている。この分、図1の構成においては、開口率を向上させ、延いては透過率、輝度を向上させることが出来る。つまり、図1においては、配向膜110の配向制御を光配向によって行っているために、コンタクトホール111の内部まで、液晶分子301の配向を行うことが出来、コンタクトホール111の内壁112の傾斜部も画像形成のための透過領域として使用することが出来るからである。図1におけるその他の構成は、図3と同じであるので、説明を省略する。
図2は図1のA−A’断面図である。図2が従来例である図4と大きく異なる点は、遮光膜として働くソース電極104の幅が非常に小さいことである。したがって、図2に示す遮光範囲は図4に比べて非常に小さくなっており、その分、画素の透過率を上げ、輝度を向上させることが出来る。
図2において、このように、ソース電極104による遮光膜の面積を小さくすることが出来るのは、本実施例においては、配向膜110の配向に、光配向を用いているからである。光配向は、偏光紫外線を照射することによって、配向膜110の配向制御を行うものである。光配向は、ラビングによる配向と異なり、コンタクトホール111のような凹部における配向膜110に対しても配向制御を行うことが出来る。
すなわち、図2において、コンタクトホール111の内壁112の傾斜部における配向膜110に対しても良好な配向制御をすることが出来るので、コンタクトホール111内部においても、液晶分子301を制御し、画像形成に寄与させることが出来る。したがって、図2の構成においては、ソース電極104は遮光膜としての役割は必要ないので、電気的なコンタクトをとるための必要最小限の面積で足りる。つまり、その分、画素における透過率を向上させることが出来る。
図2において、対向電極107は、図4と同様に、コンタクトホール111の周辺にまでしか形成されていない。しかし、配向膜110に配向制御が行われていれば、液晶の弾性効果によって、対向電極107の形成されていない部分の液晶分子301に対しても回転動作を行わせることが出来るので、画像形成に寄与させることが出来る。また、図2において、対向基板200には、ブラックマトリクス201は必ずしも形成する必要は無い。
以上説明したように、本実施例においては、ソース電極104による遮光面積を従来例に比べて大幅に小さくすることが出来るので、画素の透過率を向上させることが出来、画面輝度を向上させることが出来る。
実施例2は、実施例1とは逆に、下側に平面ベタの画素電極109を配置し、層間絶縁膜108を介してスリット120を有する対向電極107を上側にした構成のIPSについて本発明を適用した場合である。図5は本実施例における画素の平面構成であり、図6は図1のC−C’断面図である。本実施例である図5および図6においても、配向膜110は光配向によって配向制御を行っている。図7は、同じ電極構成を有する従来例の画素の平面図であり、図8は、図7のD−D’断面図である。図7および図8に示す従来例では、配向膜110はラビングによって配向制御を行っている。
本発明の特徴を説明するために、まず、従来構成である、図7および図8について説明する。図7において、映像信号線20と走査線10で囲まれた電極構成の他は図3と同様である。図7が図3と異なる点は、点線で示す画素電極109が平面ベタで形成され、その上に、図7では図示しない層間絶縁膜を介して、スリット120を有する対向電極107が形成されていることである。
図7において、点線で示す画素電極109は、TFTから延在して画素領域においてソース電極104を覆っている。スリット120を有する対向電極107は1個の画素だけでなく、他の画素にも共通して形成されて、コモン電圧が印加される。対向電極107に形成されたスリット120はソース電極104およびコンタクトホール111をも覆っている。
図7の構成では、コンタクトホール111において、バックライトからの光は8角形状のソース電極104によって遮蔽されている。図7においても配向膜110の配向制御はラビングによって行われているので、コンタクトホール111周辺では配向乱れ1101による光漏れを防止するために、ソース電極104はコンタクトホール111よりも大きく形成されている。図7において画像形成に寄与する領域は斜線で示している。
図8は図7のD−D’断面図である。図8において、有機パッシベーション膜106の形成までは図4と同様であるので、説明を省略する。図8において、有機パッシベーション膜106を形成後、コンタクトホール111を形成する。その後、有機パッシベーション膜106のコンタクトホール111内において、無機パッシベーション膜105にコンタクトホール111を形成する。図8では、有機パッシベーション膜106と無機パッシベーション膜105のコンタクトホールは別々のマスクを用いて形成されているが、有機パッシベーション膜106にコンタクトホール111を形成した後、有機パッシベーション膜106をレジストにして無機パッシベーション膜105のコンタクトホールを形成することも出来る。
その後、有機パッシベーション膜106およびコンタクトホール111を覆って画素電極109を被着する。画素電極109および対向電極107はITO(Indium Tin Oxide)で形成する。本実施例での画素電極109は平面ベタで形成されている。画素電極109はコンタクトホール111のコンタクト部113において、ソース電極104とコンタクトしている。
その後、層間絶縁膜108を形成し、その上にスリット120を有する対向電極107を形成する。対向電極107およびスリット120はコンタクトホール111内にも形成される。対向電極107の上には、液晶を配向させるための配向膜110が形成される。配向膜110はラビングによって配向制御が行われており、コンタクトホール111およびその周辺においては、配向乱れ1101が生じているので、この部分から光漏れを防止するために、ソース電極104はコンタクトホール上穴よりも広い面積で形成される。すなわち、図8において、斜線で示されるバックライトの遮光領域はソース電極104によって規定されている。
図8において、対向基板200の構成は図4で説明したのと同様である。ただし、図8におけるブラックマトリクス201の領域は、ソース電極104によって規定されている遮光領域とほぼ一致しているので、図4の場合よりも小さくなっている。それでも、ソース電極104の面積が大きいので、その分、画素を形成するための光透過領域は制限されている。
図5は本実施例における画素を示す平面図である。図5が従来例である図7と異なる点は、ソース電極104が画素領域において面積が広がっていない点である。すなわち、図5においては、ソース電極104が遮光膜として作用している面積は、図7に比べて極めて小さくなっている。
図5において、画像形成に寄与する領域を斜線で示している。この斜線の面積は、図7の場合に比べて、大きくなっている。この分、図5の構成においては、画面の透過率、輝度を向上させることが出来る。これは、図5においては、配向膜110の配向制御を光配向によって行っているために、コンタクトホール111の内部まで、液晶分子301の配向を行うことが出来、コンタクトホール111の内壁112の傾斜部も画像形成のための透過領域として使用することが出来るからである。図5におけるその他の構成は、図7と同じであるので、説明を省略する。
図6は図5のC−C’断面図である。図6が従来例である図8と大きく異なる点は、遮光膜として働くソース電極104の幅が非常に小さいことである。したがって、図6において斜線で示す遮光範囲は図8に比べて非常に小さくなっており、その分、画素の透過率を上げ、輝度を向上させることが出来る。
図6において、このように、ソース電極104による遮光膜の面積を小さくすることが出来るのは、図6においては、光配向を用いているからである。すなわち、図6において、コンタクトホール111の内壁112の傾斜部における配向膜110に対しても配向制御することが出来るので、コンタクトホール111内部においても、液晶分子301を制御し、画像形成に寄与させることが出来る。
図6に示すように、対向電極107のスリット120は、コンタクトホール111の内壁112にも形成され、層間絶縁膜108を挟んで画素電極109と対向しているので、コンタクトホール111の内部においても液晶分子301を制御することが出来る。図6の構成においては、ソース電極104は遮光膜としての役割は必要ないので、電気的なコンタクトをとるための必要最小限の面積で足りる。したがって、その分、画素における透過率を向上させることが出来る。
図6において、斜線で示す遮光領域はソース電極104によって規定されており、対向基板200における対応する部分にブラックマトリクス201は必ずしも形成する必要は無い。このように、本実施例においては、コンタクトホール111の内部も透過領域として画素形成に使用することが出来るので、液晶表示装置の輝度を向上させることが出来る。
実施例3は、実施例2と同じように、下側に平面ベタの画素電極109を配置し、絶縁膜108を介してスリット120を有する対向電極107を上側にした構成のIPSについて本発明を適用した場合である。図9は本実施例における画素の平面構成であり、図10は図9のE−E’断面図である。本実施例である図9および図10においても、配向膜110は光配向によって配向制御を行っている。図11は、同じような電極構成を有する従来例の画素の平面図であり、図12は、図11のF−F’断面図である。図11および図12に示す従来例では、配向膜110はラビングによって配向制御を行っている。
本発明の特徴を説明するために、まず、従来構成である、図11および図12について説明する。図11が図7と大きく異なる点は、図11では図示されていないが画素電極109と無機絶縁膜105の間に有機パッシベーション膜が形成されていないことである。
図11において、点線で示す画素電極109は、TFTから延在して画素領域においてソース電極104を覆っている。スリット120を有する対向電極107は1個の画素だけでなく、他の画素にも共通して形成されて、コモン電圧が印加される。対向電極107に形成されたスリット120はソース電極104およびコンタクトホール部113をも覆っている。
図11の構成では、コンタクトホール部113において、バックライトからの光は4角形状のソース電極104によって遮蔽されている。図11においても配向膜110の配向制御はラビングによって行われているので、コンタクトホール部113周辺では配向乱れ1101による光漏れを防止するために、ソース電極104はコンタクトホール部113よりも大きく形成されている。図11において画像形成に寄与する領域は斜線で示している。
図12は図11のF−F’断面図である。図12において、無機パッシベーション膜105を形成後、コンタクトホール113を形成する。
その後、無機パッシベーション膜105およびコンタクトホール113を覆って画素電極109を被着する。画素電極109および対向電極107はITO(Indium Tin Oxide)で形成する。本実施例での画素電極109は平面ベタで形成されている。画素電極109はコンタクトホール部113において、ソース電極104とコンタクトしている。
その後、層間絶縁膜108を形成し、その上にスリット120を有する対向電極107を形成する。対向電極107はコンタクトホール部113を覆うように形成される。対向電極107の上には、液晶を配向させるための配向膜110が形成される。配向膜110はラビングによって配向制御が行われており、コンタクトホール部113およびその周辺においては、配向乱れ1101が生じているので、この部分から光漏れを防止するために、ソース電極104はコンタクトホール上穴よりも広い面積で形成される。すなわち、図12において、斜線で示されるバックライトの遮光領域はソース電極104によって規定されている。
図12において、対向基板200の構成は図8で説明したのと同様である。ただし、図12におけるブラックマトリクス201の領域は、ソース電極104によって規定されている遮光領域とほぼ一致しているが、ソース電極104の面積が大きいので、その分、画素を形成するための光透過領域は制限されている。
図9は本実施例における画素を示す平面図である。図9の従来例である図11と異なる主な点は、ソース電極104が画素領域において面積が広がっていない点である。すなわち、図9においては、ソース電極104が遮光膜として作用している面積は、図11に比べて極めて小さくなっている。
図9において、画像形成に寄与する領域を斜線で示している。この斜線の面積は、図11の場合に比べて、大きくなっている。この分、図9の構成においては、画面の透過率、輝度を向上させることが出来る。これは、図9においては、配向膜110の配向制御を光配向によって行っているために、段差の大きなコンタクト部113の上部まで、液晶分子301の配向を行うことが出来、コンタクト部113の傾斜部のソース電極ぎりぎりまで画像形成のための透過領域として使用することが出来るからである。図9におけるその他の構成は、図11とほとんど同じであるので、説明を省略する。
図10は図9のE−E’断面図である。図10が従来例である図12と大きく異なる点は、遮光膜として働くソース電極104の大きさが小さいことである。したがって、図10において斜線で示す遮光範囲は図12に比べて非常に小さくなっており、その分、画素の透過率を上げ、輝度を向上させることが出来る。
図10において、このように、ソース電極104による遮光膜の面積を小さくすることが出来るのは、図10においては、光配向を用いているからである。すなわち、図10において、コンタクト領域113の段差傾斜部112における配向膜110に対しても配向制御することが出来るので、段差傾斜部112においても、液晶分子301を制御し、画像形成に寄与させることが出来る。
図10の構成においては、ソース電極104は遮光膜としての役割は必要ないので、電気的なコンタクトをとるための必要最小限の面積で足りる。したがって、その分、画素における透過率を向上させることが出来る。
図10において、斜線で示す遮光領域はソース電極104によって規定されており、対向基板200における対応する部分にブラックマトリクス201は必ずしも形成する必要は無い。このように、本実施例においては、コンタクト部113の傾斜領域112のソース電極104のぎりぎりまで透過領域として画素形成に使用することが出来るので、液晶表示装置の輝度を向上させることが出来る。
実施例4は、実施例1と同じように、下側に平面ベタの対向電極107を配置し、ゲート絶縁膜101および無機パッシベーション膜105を介してスリット120を有する画素電極109を上側に配置した構成のIPSについてである。図13は本実施例における画素の平面構成であり、図14は図13のG−G’断面図である。図13および図14において、配向膜110は光配向によって配向制御を行っている。
本発明の特徴を説明するために、まず、画素の平面構成である、図13について説明する。図13が図1と異なる主な点は、図13では図示されていないが対向電極107の下層に有機パッシベーション膜が形成されていないことである。
図13において、点線で示す対向電極107は、TFTから延在している画素領域においてソース電極104と重なっている。ソース電極104は画素領域に延在し、コンタクトホール部113によってスリット120を有する画素電極109に接続する。
図13の構成は、コンタクトホール部113において、バックライトからの光は4角形状のソース電極104によって遮蔽されている。図13において画像形成に寄与する領域は斜線で示している。
図14において、画素領域では、下側に平面ベタで対向電極107が形成され、その上のゲート絶縁膜101、さらに無機パッシベーション膜105を挟んで上側にスリット120を有する画素電極109が形成されている。無機パッシベーション膜105にはコンタクトホールが形成され、画素電極109とソース電極104とは、コンタクト部113において導通している。画素電極109を覆って配向膜110が形成されている。画素電極109および対向電極107は透明導電膜であるITO(Indium Tin Oxide)で形成されている。
本実施例においては、実施例1同様、配向膜110の配向に、光配向を用いている。光配向は、ラビングによる配向と異なり、コンタクトホール部113のような凹部における段差領域112の配向膜110に対しても配向制御を行うことが出来る。
したがって、図14の構成においては、ソース電極104の近傍まで良好な液晶配向が得られるため、対向基板200には、ソース電極に対応する領域を遮光カバーするブラックマトリクス201は形成されていない。つまり、ソース電極ぎりぎりまで液晶表示が可能であり、その分、画素における透過率、輝度を向上させることが出来る。
配向膜110をラビングによって配向制御を行った場合には、段差部分に良好な配向制御を行うことが困難であるため、段差部分周辺に液晶の配向乱れによる光漏れが発生し易い。その場合には、段差近傍の液晶配向乱れ起因の光漏れを防止するために、対向基板200に形成するブラックマトリクス201は段差部分を覆うように大きく形成する必要がある。
以上説明したように、本実施例においては、光配向を用いることで、ラビング配向膜を使う場合にソース電極104周辺の段差により発生する液晶の配向乱れによる光漏れを小さく抑制することが出来るので、対向基板200のブラックマトリクス201をソース電極104に対応する領域を覆うように遮光する必要が無く、ブラックマトリクスの面積を小さくすることが出来る。したがって、画素の透過率を向上させることが出来、画面輝度を向上させることが出来る。
実施例1、2、3および4は、IPS方式の液晶表示装置について本発明を適用した例である。しかし、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置においても、画素電極109とソース電極104を接続するためのコンタクトホール111が画素領域における透過率低下の原因となっていることは同様である。VA方式における特別な態様においては、コンタクトホール111内部も画素形成のための透過領域として使用することが出来る。
図15は、本発明が適用されるVA方式の液晶表示装置の断面模式図である。図15において、画素電極109が形成されたTFT基板100と対向電極107が形成された対向基板200との間に液晶層300および配向材料400が挟持されている。液晶材料と液晶分子301を配向させるための配向材料として光反応性モノマーとが混入されたものがTFT基板100と対向基板200の間に封入されると、液晶材料と配向材料とが分離し、TFT基板100あるいは対向基板200に近いところに配向材料層400が形成され、配向材料層400と配向材料層400との間に液晶層300が形成される。
または、誘電率異方性が負の液晶材料と光反応性モノマーの混合材料をセルに封入する代わりに、光硬化性の側鎖置換基を有する配向膜材料からなる薄膜層をTFT基板並びに対向するCF基板上に事前に形成しておくことも可能であり、そうすることで上記と同様に電界印加と光照射による液晶の初期配向を制御することが可能である。
TFT基板100における画素電極109には、スリット状のスペースが形成されている。このスペースの形成は、後で、配向材料層400によって液晶配向を初期化するための所定の電界を印加するためである。図15において、画素電極109と対向基板200の間に電圧が生じていなければ液晶分子301は、垂直に配向している。
図16は図15の状態に対して画素電極109と対向電極107との間に電圧を加えた場合を示している。画素電極109に形成されたスリット状スペースの影響によって、電界に乱れが生じ、この電界分布にしたがって、負の誘電率異方性の液晶分子301が、図16にように配向する。この状態で、TFT基板100側から紫外線を照射する。使用する配向材料は紫外線によって固化する性質を有していているので、TFT基板100付近の液晶分子301は、図16のような配向をしたまま固定される。これによって液晶分子301に対して、所定の約88〜89度のプレチルト角の初期配向を行うことが出来る。したがって、図16の画素電極109と対向電極107の間に縦電界を形成することで、配向の乱れたドメインを生ずることなく、液晶分子301を回転させてバックライトからの光の透過を制御するVA方式の液晶表示装置を動作させることが出来る。
図17は、従来のVA方式の液晶表示装置の断面図である。図17において、有機パッシベーション膜106の上には画素電極109が形成されている。対向電極107にはブラックマトリクス201およびカラーフィルタ202を覆ってオーバーコート膜203が形成され、その上に対向電極107が形成されている。
図17において、画素電極109とソース電極104を接続するためのコンタクトホール111においては、液晶分子301に対して所定の初期配向を行うことが出来ないので、ソース電極104の面積を大きくして、バックライトからの光を遮光している。すなわち、この遮光部の分だけ、透過率が小さくなり、輝度を低下させている。
図18は本発明によるVA方式の断面図である。図18において、画素における電極構造は、ソース電極104が小さくなっている他は図17の場合と同様である。図18において、画素電極109の表面と対向電極107の表面には、配向材料層400が形成され、配向材料層400と配向材料層400の間に液晶層300が挟持されている。この構成は図15で説明したとおりである。画素電極109と対向電極107との間に電圧を印加すると、TFT基板100付近の負の誘電率異方性を持つ液晶分子301が電界の影響によって配向する。この状態で、図16で説明したように、TFT基板100側から紫外線を照射すると配向材料層400が固化し、TFT基板100付近の液晶分子301の配向が固定され、初期される。
この現象は、図15のような電極配置のみでなく、図18に示すコンタクトホール111においても同様である。すなわち、配向材料層400はコンタクトホール111の内部にも形成され、電圧を印加することによって液晶分子301は、コンタクトホール111の内部において、電界に適応した状態で初期配向を受ける。特に望ましくは、図19の平面図に記載されているように、コンタクトホール内部までスリット電極パターンを形成することで初期配向のための電界印加処理とUV照射により、コンタクトホール内部まで均一な液晶初期配向を安定に形成することが出来る。これによって、コンタクトホール111の内部においても、配向不良領域を形成することなく、一様な液晶配向が得られることから画像を形成するための透過領域として使用することが出来る。また、コンタクトホール領域にも電界で液晶配向の初期化をするためのスリット電極パターンが形成されていることが望ましい。
したがって、本実施例においては、ソース電極104を遮光膜として使用する必要が無くなるので、ソース電極104は、コンタクトホール領域においても、導通をとるための最小限の面積でよい。また、ソース電極104に対応する部分の対向電極107には必ずしもブラックマトリクス201を形成する必要は無い。このように、本発明を適用することによって、VA方式の液晶表示装置において、透過率を向上させることが出来、画面輝度を向上させることが出来る。