JP5626854B2 - エタノールの生産方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エタノールの生産方法に関する。より詳細には、藻類を含む培地を用いるエタノールの生産方法に関する。
近年、化石燃料の枯渇が危惧される中、その代替燃料の開発が進められている。中でもバイオマスに由来するバイオエタノールが注目されている。バイオマスは、再生可能な資源であり、地球上に大量に存在し、そして使用しても大気中の二酸化炭素が増えず(カーボンニュートラル)、地球温暖化防止に寄与できるからである。
しかし、現在、生産されているバイオエタノールは、主にトウモロコシやサトウキビを原料としており、食糧との競合が問題となっている。
大気中の二酸化炭素の大部分は、森林の植物と海洋中の光合成生物とによって固定される。海洋をはじめとする水圏は、陸圏の12倍の面積を占め、水圏のバイオマスは全地球上の30〜50%にのぼる。陸圏のバイオマスは耕作地の限界や水資源の枯渇により収量が制限を受けるのに対して、水圏のバイオマスはこのような影響を受けることなく、季節に関係なく収穫できるという利点がある。しかし、水圏のバイオマスはこれまでほとんど利用されていない。したがって、水圏のバイオマス、中でも最も大きなバイオマスを形成する藍藻や緑藻などの藻類を有効利用できれば、地球温暖化防止に大きく寄与できる。
スピルリナ(Arthrospira)やクロレラ(Chlorella)など一部の藻類が、健康食品として利用されている。最近、淡水性緑藻のクラミドモナス(Chlamydomonas fasciata Ettl 437)からその細胞内に蓄積したデンプンを抽出し、このデンプンからエタノールを生産したことが報告されている(非特許文献1)。しかし、非特許文献1に記載の方法は、緑藻をバイオマスとして利用するが、緑藻内に蓄積したデンプンを一旦抽出する工程、デンプン分解酵素(グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼ)と酵母とを併用して同時糖化発酵を行う工程などを必要とし、工程が多く高コストである。
ところで、デンプンを炭素源として用いるエタノール発酵法としては、グルコアミラーゼを細胞表層に提示し、かつα−アミラーゼを分泌する形質転換酵母を用いて、無蒸煮デンプンから直接エタノールを発酵生産する技術が報告されている(特許文献1)。
特許第4189317号明細書
土井ら、農芸化学会2010年度東京大会抄録集、3XCp05
本発明は、バイオマスから効率的にエタノールを生産する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、グルコアミラーゼを細胞表層に提示し、かつα−アミラーゼを分泌する形質転換酵母によるエタノール発酵において、炭素源として藻類を用いることによって、他に炭素源が存在しない条件下でも効率的にエタノールを生産できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、エタノールの生産方法を提供し、該方法は、グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現するように形質転換された酵母を、藍藻を含む培地中で培養する工程を含む。
1つの実施態様では、上記グルコアミラーゼは上記酵母の細胞表層に提示され、かつ上記α−アミラーゼは上記酵母から分泌される。
1つの実施態様では、上記藍藻はスピルリナ属に属する。
1つの実施態様では、上記藍藻は破砕物の形態である。
本発明によれば、藻類を含む培地を用いる発酵によって、効率的にエタノールを生産する方法が提供される。このため、食糧と競合しない水圏のバイオマスを原料とするバイオエタノールの効率的な生産が可能となり、化石燃料の代替燃料を提供するとともに地球温暖化防止や食糧問題の解決に寄与できる。
粉末化スピルリナ錠剤からの発酵によるエタノール生産量の経時変化を示すグラフである。 培養スピルリナ破砕物からの発酵によるエタノール生産量の経時変化を示すグラフである。
(藻類)
本発明において、藻類とは、酸素発生型光合成を行う下等な生物をいう。本発明で用いる藻類は特に限定されない。藻類としては、例えば、真正細菌である藍藻(シアノバクテリア)、真核生物で単細胞生物である珪藻、黄緑藻、渦鞭毛藻など、多細胞生物である紅藻、褐藻、緑藻などが挙げられる。好ましくは、藍藻が用いられる。
藍藻としては、例えば、クロオコッカス目(Chroococcales)、プレウロカプサ目(Pleurocapsales)、ユレモ目(Oscillatoriales)、ネンジュモ目(Nostocales)、スティゴネマ目(Stigonematales)、グロエオバクター目(Gloeobacterales)に属する藍藻が挙げられる。好ましくはユレモ目スピルリナ属(Spirulina)またはアルスロスピラ属(Arthrospira)に属する藍藻、より好ましくはスピルリナ・プラテンシス(Spirulina platensis)またはアルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira)が用いられる。なお、本明細書では、スピルリナ属またはアルスロスピラ属をスピルリナという場合がある。
藻類によって貯蔵する炭水化物が異なる。緑藻および紅藻はデンプンを貯蔵し、藍藻はグリコーゲンを貯蔵する。特に、藍藻の炭水化物中には、グリコーゲンが約50%含有される。
藻類は、バイオマスとして利用できる限り、形態は特に限定されない。市販されている藻類の乾燥物をそのまま用いてもよい。または、培養した藻類を回収して、そのまま用いてもよく、あるいは乾燥物として用いてもよく、さらに破砕物として用いてもよい。藻類から炭水化物を抽出する工程は不要である。
藻類の培養は、当業者が通常用いる方法により好気的条件下で行われる。例えば、屋外の池で太陽光の下培養するオープンポンド方法、人工光を照射しながら培養槽内で通気攪拌培養する方法が挙げられる。
スピルリナの培養に用いる培地は、特に限定されないが、SOT培地(T. OgawaおよびG. Terui、J. Ferment. Technol.、1970年、第48巻、pp.361-367)が好ましい。培養温度は、通常20〜40℃であり、好ましくは30〜36℃である。培養槽を用いる場合は、通常12〜24時間の明期と0〜12時間の暗期、好ましくは18〜24時間の明期と0〜6時間の暗期とからなる明暗周期を設定する。明期に照射する人工光の光強度は、用いる藻類によって適宜決定され得るが、通常5〜400μmol・photon・m−2−1であり、好ましくは50〜200μmol・photon・m−2−1である。光強度が20μmol・photon・m−2−1未満の場合または1000μmol・photon・m−2−1を超える場合は、藻類の増殖速度が著しく低下する。光源は特に限定されない。通気速度は、培養液1Lに対し、0.5〜3L/分、好ましくは0.8〜2L/分である。藻類の培養期間は、通常5〜14日間であり、好ましくは7〜10日間である。
藻類の乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、凍結乾燥法が挙げられる。藻類の粉砕方法としては、特に限定されないが、例えば、粉砕機を用いる方法、乳鉢を用いる方法が挙げられる。
(グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現する形質転換酵母)
本発明において、グルコアミラーゼとは、デンプンの非還元末端からグルコース単位を切り離していくエキソ型の加水分解酵素をいう。このような活性を有していれば、その起源は限定されないが、リゾプス属(Rhizopus)およびアスペルギルス属(Aspergillus)などのカビ由来のグルコアミラーゼが好ましい。例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)由来のグルコアミラーゼが好適に用いられる。
本発明において、α−アミラーゼとは、デンプンのα1,4−グルコシド結合を加水分解するエンド型の酵素をいう。このような活性を有していれば、その起源は限定されず、例えば、動物(唾液、膵臓など)、植物(麦芽など)、微生物由来のα−アミラーゼが用いられる。微生物由来のα−アミラーゼとしては、バチラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)に由来するものが挙げられる。
本発明で用いる酵母は、グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現するように形質転換された酵母である。好ましくはグルコアミラーゼを細胞表層に提示し、かつα−アミラーゼを分泌するように形質転換された酵母である。このような酵母は、グルコアミラーゼを発現する組換えDNAと、α−アミラーゼを発現する組換えDNAとを酵母に導入することにより得られる。
形質転換に用いる酵母は、特に限定されないが、好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。
本発明において、グルコアミラーゼを酵母の細胞表層に提示させる方法は、適宜決定され得、例えば、細胞表層局在タンパク質のGPIアンカー(特開平11−290078号公報)や糖鎖結合タンパク質ドメイン(国際公開第02/085935号)を利用することができる。これらの方法に用いられる細胞表層局在タンパク質としては、例えば、酵母の性凝集タンパク質であるα−またはa−アグルチニン、FLOタンパク質(例えば、FLO1、FLO2、FLO4、FLO5、FLO9、FLO10およびFLO11)、アルカリホスファターゼが挙げられる。
GPIアンカーを用いてグルコアミラーゼを細胞表層に提示する方法は、例えば、分泌シグナル配列をコードするDNA−グルコアミラーゼ遺伝子−GPIアンカー付着認識シグナルをコードするDNAからなる組換えDNAを用いる。この組換えDNAから発現され、細胞膜外に分泌されたグルコアミラーゼはGPIアンカー付着認識シグナルを介して細胞膜のGPIアンカーと結合する。GPIアンカー付着認識シグナル配列としては、例えば、酵母のα−アグルチニンのC末端から数えて320アミノ酸の配列中に存在するGPIアンカー付着認識シグナル配列が利用される。
糖鎖結合タンパク質ドメインを用いてグルコアミラーゼを細胞表層に提示する方法は、例えば、グルコアミラーゼを細胞表層局在タンパク質(凝集機能ドメイン)のN末端側、C末端側、またはN末端側とC末端側との両方に結合させた組換えDNAを用いる。この組換えDNAから発現され、細胞膜外に分泌されたグルコアミラーゼは糖鎖結合タンパク質ドメインが有する複数の糖鎖が細胞壁中の糖鎖と相互作用を行うことによって、細胞表層に留まる。凝集機能ドメインとしては、例えば、レクチン、レクチン様タンパク質などの糖鎖結合部位が挙げられ、代表的には、GPIアンカータンパク質の凝集機能ドメインが挙げられる。
組換えDNAに用いられる分泌シグナル配列は、特に限定されず、グルコアミラーゼの分泌シグナルでもよいし、細胞表層局在タンパク質の分泌シグナル配列でもよいし、グルコアミラーゼを細胞外へ導くことができる他の分泌シグナル配列でもよい。例えば、グルコアミラーゼの分泌シグナル配列、酵母のα−またはa−アグルチニンの分泌シグナル配列、リパーゼの分泌シグナル配列が好適に用いられる。酵素活性に影響を及ぼさなければ、細胞表層提示後に分泌シグナル配列およびプロ配列の一部または全部がN末端に残ってもよい。
本発明において、α−アミラーゼを酵母から分泌させる方法は、適宜決定され得、例えば、分泌シグナル配列をコードするDNA−α−アミラーゼ遺伝子からなる組換えDNAを用いる。
上記組換えDNAの合成および結合は、当業者が通常用いる方法により行われる。
上記組換えDNAはプラスミドの形態であることが望ましい。例えば、酵母の2μmプラスミドの複製起点(Ori)とColE1の複製起点とを有するプラスミドが好適に用いられる。プラスミドは、プラスミドの調製および形質転換体の検出を容易にする点で、選択マーカーと大腸菌用の複製遺伝子とを有することが好ましい。選択マーカーとしては、例えば、薬剤耐性遺伝子、栄養要求性遺伝子が挙げられる。薬剤耐性遺伝子としては、例えば、アンピシリン耐性遺伝子(Amp)、カナマイシン耐性遺伝子(Kan)が挙げられるが、特に限定されない。栄養要求性遺伝子としては、例えば、N−(5'−ホスホリボシル)アントラニル酸イソメラーゼ(TRP1)遺伝子、トリプトファンシンターゼ(TRP5)遺伝子、リンゴ酸β−イソプロピル脱水素酵素(LEU2)遺伝子、イミダゾールグリセロールリン酸脱水素酵素(HIS3)遺伝子、ヒスチジノール脱水素酵素(HIS4)遺伝子、ジヒドロオロト酸脱水素酵素(URA1)遺伝子、オロチジン−5−リン酸デカルボキシラーゼ(URA3)遺伝子が挙げられるが、特に限定されない。酵母用の複製遺伝子は必ずしも必要ない。プラスミドは、グルコアミラーゼ遺伝子およびα−アミラーゼ遺伝子を酵母で発現させるために適切なプロモーターおよびターミネーターを有することが好ましい。プロモーターおよびターミネーターとしては、例えば、GAPDH(グリセルアルデヒド3’−リン酸脱水素酵素)、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK(ピルビン酸キナーゼ)、TPI(トリオースリン酸イソメラーゼ)のプロモーターおよびターミネーターが挙げられるが、特に限定されない。これらのプロモーターとターミネーターとの間にグルコアミラーゼ遺伝子およびα−アミラーゼ遺伝子を挿入する。プラスミドは、相同組換えに必要な遺伝子を有することが好ましい。相同組換えに必要な遺伝子としては、Trp1、LEU2、HIS3、URA3が挙げられるが、特に限定されない。プラスミドは、必要に応じて分泌シグナル配列を有することが好ましい。以上のようなプラスミドとしては、例えば、R. Yamadaら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、2009年、第85巻、pp.1491-1498に記載のpδWGPSBA、pδUPGGluRAGが挙げられる。
酵母に組換えDNAを導入する方法は特に限定されない。例えば、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法、プロトプラスト法が挙げられる。導入された組換えDNAは、プラスミドの形態で存在してもよく、または酵母の染色体に挿入された形態あるいは酵母の染色体に相同組換えにより組み込まれた形態で存在してもよい。
組換えDNAが導入された酵母は、選択マーカーで選択され、発現されたグルコアミラーゼまたはα−アミラーゼの活性を測定することにより選択される。グルコアミラーゼが細胞表層に提示されていることは、グルコアミラーゼに対する抗体を用いて確認できる。
以上のように作製されたグルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現する形質転換酵母を接合または細胞融合することにより、n倍体(nは2以上の整数)の形質転換酵母を作製することができる。接合または細胞融合は、当業者が通常用いる方法により行われる。n倍体の形質転換酵母は、1倍体の形質転換酵母より、グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼの発現量が多いため、効率的なエタノールの生産に寄与し得る。
(エタノール発酵)
本発明のエタノールの生産方法は、藻類を含む培地を用い、グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現する形質転換酵母を培養する工程を含む。培地は、藻類を含む限り、特に限定されない。好ましくは、藻類を実質的に唯一の炭素源として含む培地を用いる。ここで、「藻類を実質的に唯一の炭素源として含む培地」とは、培地中に藻類が存在しない条件下では酵母が増殖できない程度に藻類以外の炭素源が存在しない培地をいう。藻類は窒素源ともなり得る。培地中の藻類の初期濃度は、通常40〜150乾燥重量/L、好ましくは50〜100乾燥重量/Lである。培地のpHは、好ましくは約4〜約6、最も好ましくは約5である。他の培養条件は、当業者により適宜決定され得る。好気的培養時の培地中の溶存酸素濃度は、好ましくは約0.5〜約6ppm、より好ましくは約1〜約4ppm、最も好ましくは約2ppmである。培養温度は、約20〜約45℃、好ましくは約25〜約35℃、最も好ましくは約30℃である。酵母菌体量が10g(湿潤量)/L以上、好ましくは25g(湿潤量)/L以上、より好ましくは37.5g(湿潤量)/L以上になるまで培養することが好ましく、培養時間は約20〜約50時間程度である。形質転換酵母は、発酵に供する前に好気的条件下で培養することにより、その菌体量を増加させ得る。
培地中に生産されたエタノールは、当業者が通常用いる方法により、回収、分離および精製される。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1:粉末化スピルリナ錠剤からの発酵試験)
スピルリナ錠剤(井藤漢方製薬株式会社製スピルリナ100)を、粉砕機(大阪ケミカル株式会社製ワンダーブレンダー)を用いて粉末化した。
リゾプス・オリザエ由来グルコアミラーゼを細胞表層に提示し、かつストレプトコッカス・ボビス由来α−アミラーゼを分泌する4倍体の形質転換酵母サッカロマイセス・セレビシエMNIV/δGS(R. Yamadaら、Appl. Microbiol. Biotechnol.、2009年、第85巻、pp.1491-1498)を、20g/LのD−グルコースを含むYP培地(酵母エキス(Yeast Extract)10g/L,ポリペプトン(Poly-Peptone)20g/L)を用いて、30℃にて好気条件下で48時間前培養した。次いで、培養液を3000×gにて5分間遠心分離し、酵母を沈殿として回収した。この酵母を滅菌水への懸濁と3000×gにて5分間の遠心分離とにより2度洗浄した後、滅菌水に懸濁した。この酵母懸濁液および上記粉末化スピルリナ錠剤をYP培地に添加して、酵母およびスピルリナの最終濃度がそれぞれ50g乾燥重量/Lおよび150g乾燥重量/Lになるように調整した。この混合液を用いて、溶存酸素濃度が約1〜4ppmの微好気条件下30℃にて、500rpmで発酵を開始した。
培地中に生産されたエタノールを、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて経時的に定量した。発酵液試料を採取し、20000×gにて5分間遠心分離した。次いで、上清を回収し、アセトンで100倍に希釈してGC−MS(株式会社島津製作所製GCMS−QP2010)を用いて分析した。
(分析条件)
注入口:230℃、スプリット比:1/10
注入量:1μL
カラム:DB−FFAP(Agilent technologies社製;内径0.25mm、長さ60m、膜厚0.50μm)
キャリアガス:ヘリウムガス
流速:1mL/分
オーブン:40℃(1分間)→(9分間)→170℃→(40分間)→230℃
インターフェース:230℃
イオン源:250℃
検出器電圧:0.95kv
検出範囲:m/z20−150
得られたマスクロマトグラムにおいて、エタノールを示すm/z45のピークについて、ソフトウェア(株式会社島津製作所製GCMSsolution)を用いてピークエリアを求めた。希釈した各種濃度のエタノール標品を用いて作成したエタノール濃度とピークエリアとの関係を示す検量線に基づいて、ピークエリアからエタノール濃度を定量した。各試料につきGC−MSによる分析を2回行い、2回の定量値の平均値の経時変化を図1に示す。
図1から明らかなように、23時間の発酵により、150g乾燥重量/Lの粉末化スピルリナ錠剤から7g/Lのエタノールを生産することができた。
(実施例2:スピルリナの培養および培養スピルリナ破砕物の調製)
スピルリナ・プラテンシス(Spirulina platensis;独立行政法人国立環境研究所より入手)をSOT培地(T. OgawaおよびG. Terui、J. Ferment. Technol.、1970年、第48巻、pp.361-367)8Lに、20g/Lの濃度で接種し、25℃にて5L/分の通気速度および50μmol・photon・m−2−1の光強度の明期16時間と暗期8時間との明暗周期で10日間培養した。培養開始10日目の培養液をナイロンフィルター(Millipore社製:孔径30μm)で濾過し、スピルリナを回収した。回収したスピルリナを2Lのイオン交換水で洗浄した後、液体窒素で凍結させ、次いで凍結乾燥機(LABCONCO社製Freezone2.5plus)による処理に36時間供した。得られた凍結乾燥物を乳鉢により磨砕し、培養スピルリナ破砕物を得た。
(実施例3:培養スピルリナ破砕物からの発酵試験)
粉末化スピルリナ錠剤の代わりに実施例2で得られた培養スピルリナ破砕物を用い、酵母およびスピルリナの最終濃度がそれぞれ50g乾燥重量/Lおよび48g乾燥重量/Lになるように調整した以外は、実施例1と同様にして、発酵を開始し、培地中に生産されたエタノールを経時的に定量した。結果を図2に示す。
図2から明らかなように、3時間の発酵により、48g乾燥重量/Lの培養スピルリナ破砕物から0.36g/Lのエタノールを生産することができた。
本発明によれば、藻類を含む培地を用いる発酵によって、効率的にエタノールを生産する方法が提供される。このため、食糧と競合しない水圏のバイオマスを原料とするバイオエタノールの効率的な生産が可能となり、化石燃料の代替燃料を提供するとともに地球温暖化防止や食糧問題の解決に寄与できる。

Claims (6)

  1. エタノールの生産方法であって、
    グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現するように形質転換された酵母を、実質的に唯一の炭素源として藍藻を含む培地中で培養する工程
    を含む、方法。
  2. エタノールの生産方法であって、
    グルコアミラーゼおよびα−アミラーゼを発現するように形質転換された酵母を、藍藻乾燥物を添加した培地中で培養する工程
    を含む、方法。
  3. 前記藍藻乾燥物が、実質的に唯一の炭素源である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記グルコアミラーゼが前記酵母の細胞表層に提示され、かつ前記α−アミラーゼが前記酵母から分泌される、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 前記藍藻がスピルリナ属に属する、請求項1から4のいずれかの項に記載の方法。
  6. 前記藍藻が破砕物の形態である、請求項1からのいずれかの項に記載の方法。
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