本発明は、アンテナエレメントと、地導体が形成されている基板と、該基板上に設けられており、該アンテナエレメントに給電する第1および第2の給電部と、第1および第2の給電部の何れが該アンテナエレメントに給電するかを切り替える切り替え部と、を備え、第1の給電部が該アンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部が該アンテナエレメントに給電しているときとでは、該地導体を流れる高周波電流の主方向が異なるアンテナ装置を提供する。
このように、本発明に係るアンテナ装置では、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときとで、上記地導体を流れる高周波電流の主方向が異なっているため、切り替え部を用いて、送受信する電波の主偏波を切り替えることができる。これにより、特殊なアンテナ形状を用いずとも、偏波ダイバーシチを実現することができる。
本発明に係るアンテナ装置は、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときとで、上記地導体を流れる高周波電流の主方向が異なっているように設計されているものであればよいが、例えば、以下のように第1および第2の給電部が配置されたものを好適に用いることができる。
すなわち、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときの主偏波が第1の方向であり、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときの主偏波が第1の方向と直交する第2の方向であるアンテナ装置を構成するときには、(1)第1の給電部を通り地導体を第1の方向に横断する第1の経路の電気長の中心と、第1の給電部との間の電気長の方が、第2の給電部を通り地導体を第1の方向に横断する第2の経路の電気長の中心と第2の給電部との間の電気長よりも短くなるように、第1および第2の給電部を配置し、(2)第1の給電部を通り地導体を第2の方向に横断する第3の経路において第1の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の給電部を通り上記地導体を第2の方向に横断する第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近くなるように、第1および第2の給電部を配置し、(3)第2の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和の方が、第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近くなるように、第2の給電部を配置することが好ましい。
ここで、(1)のように第1および第2の給電部を配置することにより、第1の給電部が、第1の経路の電気長の中心により近くなるように配置される。これにより、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第1の給電部から第1の方向に流れる電流は、第1の給電部から第1の経路の両端に向けて互いに逆相になるように流れ打ち消し合うため、首尾よく第2の方向を主偏波とすることができる。
一方、第2の給電部は、第2の経路の電気長の中心から離れるように配置される。これにより、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第2の給電部から第2の方向に流れる電流では、上述したような打ち消し合いが小さいか、生じない。それゆえ、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、首尾よく第1の方向を主偏波とすることができる。
ここで、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第2の方向の実効的な電気長は、第3の経路において第1の給電部を挟む両側の電気長の差分となり、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第2の方向の実効的な電気長は、第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分となる。
そのため、(2)のように第1および第2の給電部を配置することにより、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなる。
これにより、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときに、第2の方向に流れる電流の方が、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときに、第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向への偏波を、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向への偏波よりも強くすることができる。
また、(3)のように第2の給電部を配置することにより、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第1の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるため、第1の方向に流れる電流の方が、第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、首尾よく、第1の方向を主偏波とすることができる。
以上のように、(1)〜(3)のように給電部を配置することにより、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの主偏波を、第2の方向とすることができるとともに、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向への偏波よりも強くすることができる。また、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの主偏波を、第1の方向とすることができる。よって、主偏波の切り換えを好適に実現することができる。
以下、いくつかの実施形態によって本発明の構成のバリーエーションを説明する。本発明では、実施形態1〜7に示すように、グランド(地導体)が形成されている基板の一つの辺の中央に第1の給電部を配置し、同じ辺の端に第2の給電部を配置してもよし、実施形態8、9に示すように、その他の位置に給電部を配置してもよい。また、実施形態1〜7および9のように、給電部同士を結ぶ方向が、偏波方向の一つと重なっていてもよいし、実施形態8のように、給電部同士を結ぶ方向と、偏波方向とが異なっていてもよい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)に係るアンテナ装置1の構成を模式的に示す図であり、図2は、アンテナ装置1に流れる高周波電流を模式的に示す図である。両図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図1に示すように、アンテナ装置1は、グランド(地導体)が形成されている基板100、およびアンテナエレメント120を備えており、基板100上に、送受信回路110、第1の給電部130、第1の整合回路132、第2の給電部140、および第2の整合回路142を備えている。アンテナエレメント120は線状の形状を有しており、第1の給電部130および第2の給電部140は、それぞれ、アンテナエレメント120の互いに異なる端部に接続されている。
ここで、地導体を流れる高周波電流の方向および各給電部の位置を規定するために、基板100の基板面上に、互いに直交する第1の方向と第2の方向とを規定する。例えば、本実施形態の基板100のように、略矩形の基板を用いる場合には、例えば、短手方向および長手方向を、第1および第2の方向として用いることができる。このとき、短手方向および長手方向の何れを第1の方向とするかは、以下の条件によって定めることができる。
すなわち、基板100の地導体の第1の方向における電気長を第1の電気長とし、基板100の地導体の第2の方向における電気長を第2の電気長としたとき、アンテナエレメント120の電気長と第1の電気長との和の方が、アンテナエレメント120の電気長と第2の電気長との和よりも、アンテナエレメント120の使用周波数帯の半波長に近くなるように、第1および第2の方向を定めればよい。
アンテナエレメント120の使用周波数帯は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。
第1の給電部130は、第1の給電部130がアンテナエレメント120に給電しているときに、基板100の地導体とアンテナエレメント120とで構成するダイポールアンテナの主偏波が第2の方向となるような位置に設けられている。このような位置は、基板100上の、第1の方向における中央付近であって、第2の方向における末端付近に存在する。後述するように、第1の方向における中央付近において給電すると、第1の方向において逆相電流が流れ、上記ダイポールアンテナの第1の方向の特性が弱くなる。一方、第2の方向へ流れる逆相電流は抑えられ、上記ダイポールアンテナの主偏波は、第2の方向となる。
一方、第2の給電部140は、第2の給電部140がアンテナエレメント120に給電しているときに、基板100の地導体とアンテナエレメント120とで構成するダイポールアンテナの主偏波が第1の方向となるような位置に設けられている。このような位置は、基板100上の、第1および第2の方向における末端付近に存在する。アンテナエレメント120の電気長と第1の電気長との和の方が、アンテナエレメント120の電気長と第2の電気長との和よりも、アンテナエレメント120の使用周波数帯の半波長に近いため、地導体上を第1の方向に流れる電流の方が、地導体上を第2の方向に流れる電流よりも強く(電力が大きく)なり、上記ダイポールアンテナの主偏波は、第1の方向となる。
したがって、第1の給電部130の位置は、基板100上の、第1の方向における中央部であって、第2の方向における端部とすることができる。本明細書において、「第1の方向における中央部であって、第2の方向における端部」とは、第1の方向における中央付近であって、第2の方向における末端付近であり、かつ、基板100の地導体とアンテナエレメント120とで構成するダイポールアンテナの主偏波が第2の方向となるような位置を指し、例えば、基板100の第1の方向において、一方の末端からの距離が、第1の方向における全体の電気長の40%以上、60%以下であることが好ましく、45%以上、55%以下であることが特に好ましい。また、基板100の第2の方向において、一方の末端からの距離が、第2の方向における全体の電気長の0%以上、10%以下であることが好ましく、0%以上、5%以下であることが特に好ましい。
また、第2の給電部140の位置は、基板100上の、第1および第2の方向における端部とすることができる。本明細書において、「第1および第2の方向における端部」とは、第1および第2の方向における末端付近であり、かつ、基板100の地導体とアンテナエレメント120とで構成するダイポールアンテナの主偏波が第1の方向となるような位置を指し、例えば、基板100の第1の方向において、一方の末端からの距離が、第1の方向における全体の電気長の0%以上、10%以下であることが好ましく、0%以上、5%以下であることが特に好ましい。また、基板100の第2の方向において、一方の端部からの距離が、第2の方向における全体の電気長の0%以上、10%以下であることが好ましく、0%以上、5%以下であることが特に好ましい。
なお、基板100には、地導体が形成されていない基板が付加または一体化されていてもよい。言い換えれば、アンテナ装置1が備える基板の一部の領域にしか地導体が形成されていない場合、上述した「地導体が形成されている基板」、すなわち基板100は、地導体が形成されている領域を指すことが意図される。例えば、図1に示す基板100において、地導体が、第1の方向における半分(第2の給電部140が存在する側)にしか存在しない場合には、第1の方向における中央部は、地導体が存在する部分の中央部を指し、第1の給電部130は、図1に示す位置よりも第2の給電部140よりに配置すべきである。
送受信回路110は、電波の送受信のための信号処理(A/D D/A変換、変復調、多重化/分離、および後述するようなスイッチ部の制御等)を行う回路であり、第1の給電部130または第2の給電部140においてアンテナエレメント120を給電する。
送受信回路110と、第1の整合回路132および第2の整合回路142とは、第1のスイッチ部(切り替え部)111によって接続されている。第1のスイッチ部111は、何れの整合回路を送受信回路110に接続するかを切り替えることができる。すなわち、第1の給電部130がアンテナエレメント120を給電するとき、送受信回路110と第1の整合回路132とを接続し、第2の給電部140がアンテナエレメント120を給電するとき、送受信回路110と第2の整合回路142とを接続する。
また、第1の給電部130と第1の整合回路132とは、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)131を介して接続されている。第2のスイッチ部131は、第1の給電部130がアンテナエレメント120を給電するとき、第1の整合回路132と第1の給電部130とを接続し、そうでないとき、第1の整合回路132と第1の給電部130との間を非接続とする。また、第2の給電部140と第2の整合回路142とは、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)141を介して接続されている。第3のスイッチ部141は、第2の給電部140がアンテナエレメント120を給電するとき、第2の整合回路142と第2の給電部140とを接続し、そうでないとき、第2の整合回路142と第2の給電部140との間を非接続とする。
以上のように、アンテナ装置1では、第1〜第3のスイッチ部(切り替え部)によって、第1の給電部130および第2の給電部140の何れがアンテナエレメント120を給電するかを切り替えることができる。これらのスイッチ部における切り替えは、例えば、送受信回路110が制御すればよい。
図1の(a)は、第1の給電部130がアンテナエレメント120を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部111は、送受信回路110と第1の整合回路132とを接続し、第2のスイッチ部131は、第1の整合回路132と第1の給電部130とを接続し、第3のスイッチ部141は、第2の整合回路142と第2の給電部140とを切断する。
第1の給電部130がアンテナエレメント120を給電するときの高周波電流の向きを図2の(a)に示す。図2の(a)に示すように、アンテナエレメント120を高周波電流133が流れるほか、基板100の地導体においても、第1の給電部130によって励起された高周波電流が流れる。
第1の給電部130は、上述したように、基板100の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流134が流れる。また、第1の給電部130は、上述したように、基板100の第1の方向における中央部に位置しているため、第1の方向における両端部へのそれぞれへと向かう高周波電流135および136が流れる。
ここで、高周波電流135および136は、互いに逆相の関係であるため、互いに打ち消し合い、非常に弱くなる。それゆえ、第1の給電部130がアンテナエレメント120を給電するときの高周波電流の主方向は、第2の方向となる。
なお、「地導体を流れる高周波電流」とは、第1の給電部130または第2の給電部140によって励起される電流を指し、その周波数は、基本的には、アンテナエレメント120の使用周波数帯と同じである。
また、本明細書において、高周波電流の主方向とは、逆相電流による打ち消し合いを考慮し、最も大きい電流が流れる方向を指すことが意図される。地導体を流れる高周波電流の主方向は、アンテナ装置において好適に送受信し得る主偏波の方向に対応する。
図1の(b)は、第2の給電部140がアンテナエレメント120を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部111は、送受信回路110と第2の整合回路142とを接続し、第3のスイッチ部141は、第2の整合回路142と第2の給電部140とを接続し、第2のスイッチ部131は、第1の整合回路132と第1の給電部130とを切断する。
第2の給電部140がアンテナエレメント120を給電するときの高周波電流の向きを図2の(b)に示す。図2の(b)に示すように、アンテナエレメント120を高周波電流143が流れるほか、基板100の地導体においても、第2の給電部140によって励起された高周波電流が流れる。
第2の給電部140は、上述したように、基板100の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流144が流れる。また、第2の給電部140は、上述したように、基板100の第1の方向における端部に位置しているため、第1の方向における他方の端部へ向かう高周波電流145が流れる。
ここで、上述したように、アンテナエレメント120の電気長と第1の電気長との和の方が、アンテナエレメント120の電気長と第2の電気長との和よりも、アンテナエレメント120の使用周波数帯の半波長に近い。アンテナエレメント120と、地導体とでダイポールアンテナを構成するため、その電気長がアンテナエレメント120の使用周波数帯の半波長に近い方向に、大きい電流が流れることになる。それゆえ、高周波電流145の方が、高周波電流144よりも大きくなり、第2の給電部140がアンテナエレメント120を給電するときの高周波電流の主方向は、第1の方向となる。
以上のように、第1の給電部130がアンテナエレメント120に給電するときと、第2の給電部140がアンテナエレメント120に給電するときとでは、地導体を流れる高周波電流の主方向が異なる。よって、何れの給電部がアンテナエレメント120を給電するかを切り替えることにより、上記高周波電流の主方向を切り替え、送受信する電波の主偏波を切り替えることができる。よって、本実施形態に係るアンテナ装置1では、偏波ダイバーシチを好適に実現することができる。
本実施形態に係るアンテナ装置1ではまた、アンテナエレメント120の形状が線状である。図19は、説明のために、本実施形態に係るアンテナ装置1を携帯電話端末に適用した場合(図19の(a))と、本実施形態に係るアンテナエレメント120に代えて、特許文献1に記載のアンテナエレメント1020を用いた場合(図19の(b))とを比較する図である。図19に示すように、特許文献1に記載のアンテナエレメント1020を用いた場合に比べ、本実施形態に係るアンテナエレメント120を用いることにより、装置内でアンテナエレメントが占有する面積、体積等が小さくなり、装置の設計の自由度が向上し、また、装置の小型化が容易になっていることがわかる。
もちろん、本発明に係るアンテナ装置は、上述したように、線状のアンテナエレメントに限定されず、どのようなアンテナエレメントを備えていてもよく、特許文献1に記載のアンテナエレメントを備えていてもよい。すなわち、本発明は、給電部を切り替えることにより、基板に形成された地導体を流れる高周波電流の主方向を制御するものであればよく、アンテナエレメントの形状は特に限定されない。
なお、アンテナエレメント120は、第1の給電部130および第2の給電部140から給電可能な位置に設ければよいが、上述したように、アンテナエレメント120の下部に、地導体が形成されていないことが好ましく、図1に示すように、基板100の外側に設けてもよい。また、図19の(a)に示すように基板上にアンテナエレメント120を設ける場合は、基板のアンテナエレメント120の下部からは地導体を形成しないようにしてもよい。
なお、本発明に係るアンテナ装置は、アンテナを備えている装置であれば特に限定されず、例えば、携帯電話端末、PDA等の携帯無線端末、または、備え付けの無線通信装置等、無線通信を行う装置一般に適用することができる。また、本発明に係るアンテナ装置は、当然、用途に合わせ、上述した構成部材以外の部材を備えていてもよく、例えば、通信用のアプリケーションの実行等を行うための回路部またはCPU部、音声入力を受け付ける音声入力部(送話部)、音声を出力するためのスピーカ(受話部)、操作入力を受け付けるボタン、タッチパネル等の入力部、表示のためのLCD等の表示部、筐体、バッテリー等を適宜備えることができる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)に係るアンテナ装置2の構成を模式的に示す図であり、図4は、アンテナ装置2に流れる高周波電流を模式的に示す図である。両図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図3に示すように、アンテナ装置2は、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と同様、基板200、およびアンテナエレメント220を備えており、基板200上に、送受信回路210、第1のスイッチ部(切り替え部)211、第1の給電部230、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)231、第1の整合回路232、第2の給電部240、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)241および第2の整合回路242を備えている。
また、アンテナ装置2は、さらに、第3の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)252、第4のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)251、第4の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)262、および第5のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)261を備えており、この点において、第1の実施形態に係るアンテナ装置1と異なっている。以下、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、第1の実施形態と異なる部分について詳細に説明する。
第4のスイッチ部251は、アンテナエレメント220と、第3の整合回路252とをつなぎ、アンテナエレメント220と、第3の整合回路252との間の導通または非導通を切り替える。第3の整合回路252は、アンテナエレメント220のインピーダンスを整合させるための整合回路であり、第4のスイッチ部251を介して、アンテナエレメント220につながっており、他方で地導体に接地されている。
第5のスイッチ部261は、アンテナエレメント220と、第4の整合回路262とをつなぎ、アンテナエレメント220と、第4の整合回路262との間の導通または非導通を切り替える。第4の整合回路262は、アンテナエレメント220のインピーダンスを整合させるための整合回路であり、第5のスイッチ部261を介して、アンテナエレメント220につながっており、他方で地導体に接地されている。
アンテナエレメント220の両端部には、それぞれ第1の給電部230および第2の給電部240と接続しており、その内側において、それぞれ第4のスイッチ部251および第5のスイッチ部261と接続している。
図3の(a)は、第1の給電部230がアンテナエレメント220を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部211は、送受信回路210と第1の整合回路232とを接続し、第2のスイッチ部231は、第1の整合回路232と第1の給電部230とを接続し、第3のスイッチ部241は、第2の整合回路242と第2の給電部240とを切断し、第4のスイッチ部251は、第3の整合回路252とアンテナエレメント220とを接続し、第5のスイッチ部261は、第4の整合回路262とアンテナエレメント220とを切断する。
第1の給電部230がアンテナエレメント220を給電するときの高周波電流の向きを図4の(a)に示す。図4の(a)に示すように、アンテナエレメント220を高周波電流233が流れる。このとき、第4のスイッチ部251および第3の整合回路252を介して基板200の地導体へと高周波電流234が流れる。このように、第1の給電部230がアンテナエレメント220を給電するとき、アンテナエレメントは逆Fアンテナとして動作する。
また、基板200の地導体においても、第1の給電部230によって励起された高周波電流が流れる。第1の給電部230は、基板200の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流235が流れる。また、第1の給電部230は、基板200の第1の方向における中央部に位置しているため、第1の方向における両端部へのそれぞれへと向かう高周波電流236および237が流れる。また、アンテナエレメント220から第4のスイッチ部251を介して基板200に流れた高周波電流は、第1の方向における両端部へのそれぞれへと向かう高周波電流238および239となる。
ここで、高周波電流236と237、および、高周波電流238と239は、互いに逆相の関係であるため、互いに打ち消し合い非常に弱くなる。それゆえ、第1の給電部230がアンテナエレメント220を給電するときの高周波電流の主方向は、第2の方向となる。
図3の(b)は、第2の給電部240がアンテナエレメント220を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部211は、送受信回路210と第2の整合回路242とを接続し、第2のスイッチ部231は、第1の整合回路232と第1の給電部230とを切断し、第3のスイッチ部241は、第2の整合回路242と第2の給電部240とを接続し、第4のスイッチ部251は、第3の整合回路252とアンテナエレメント220とを切断し、第5のスイッチ部261は、第4の整合回路262とアンテナエレメント220とを接続する。
第2の給電部240がアンテナエレメント220を給電するときの高周波電流の向きを図4の(b)に示す。図4の(b)に示すように、アンテナエレメント220を高周波電流243が流れる。このとき、第5のスイッチ部261および第4の整合回路262を介して基板200の地導体へと高周波電流244が流れる。このように、第2の給電部240がアンテナエレメント220を給電するとき、アンテナエレメントは逆Fアンテナとして動作する。
第2の給電部240は、基板200の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流245が流れる。また、第2の給電部240は、基板200の第1の方向における端部に位置しているため、第1の方向における他方の端部へ向かう高周波電流246が流れる。また、アンテナエレメント220から第5のスイッチ部261を介して基板200に流れた高周波電流は、第1の方向における他方の端部へ向かう高周波電流247となる。
ここで、上述したように、アンテナエレメント220の電気長と第1の電気長との和の方が、アンテナエレメント220の電気長と第2の電気長との和よりも、アンテナエレメント220の使用周波数帯の半波長に近いため、高周波電流246の方が、高周波電流245よりも大きくなり、また、第1の方向に高周波電流247も流れるため、第2の給電部240がアンテナエレメント220を給電するときの高周波電流の主方向は、第1の方向となる。
以上のように、第1の給電部230がアンテナエレメント220に給電するときと、第2の給電部240がアンテナエレメント220に給電するときとでは、地導体を流れる高周波電流の主方向が異なる。よって、何れの給電部がアンテナエレメント220を給電するかを切り替えることにより、上記高周波電流の主方向を切り替え、送受信する電波の主偏波を切り替えることができる。また、アンテナエレメント220を逆Fアンテナとして構成することができるため、アンテナの特性を向上させることができる場合がある。例えば、アンテナ装置2の筐体が手で持たれた場合のアンテナの特性の劣化を抑制することが可能である場合もある。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)に係るアンテナ装置3の構成を模式的に示す図である。同図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図5に示すように、アンテナ装置3は、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と同様、基板300、およびアンテナエレメント320を備えており、基板300上に、送受信回路310、第1のスイッチ部(切り替え部)311、第1の給電部330、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)331、第1の整合回路332、第2の給電部340、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)341、第2の整合回路342、第4のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)351、および第3の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)352を備えている。ただし、アンテナ装置3は、第5のスイッチ部および第4の整合回路を備えておらず、この点において、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と異なっている。
アンテナ装置3では、第1の給電部330がアンテナエレメント320を給電するときのみ、アンテナエレメント220が逆Fアンテナとして動作する。このように、何れか一方の給電部からアンテナエレメントを給電するときのみ、アンテナエレメントが逆Fアンテナとして動作するように構成してもよい。
(第4の実施形態)
図6は、本発明の一実施形態(第4の実施形態)に係るアンテナ装置4の構成を模式的に示す図である。同図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図6に示すように、アンテナ装置4は、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と同様、基板400、およびアンテナエレメント420を備えており、基板400上に、送受信回路410、第1のスイッチ部(切り替え部)411、第1の給電部430、第2のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)431、第1の整合回路432、第2の給電部440、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)441、第2の整合回路442、第5のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)461、および第4の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)462を備えている。ただし、アンテナ装置3は、第4のスイッチ部および第3の整合回路を備えておらず、この点において、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と異なっている。
アンテナ装置4では、第2の給電部440がアンテナエレメント420を給電するときのみ、アンテナエレメント420が逆Fアンテナとして動作する。このように、何れか一方の給電部からアンテナエレメントを給電するときのみ、アンテナエレメントが逆Fアンテナとして動作するように構成してもよい。
(第5の実施形態)
図7は、本発明の一実施形態(第5の実施形態)に係るアンテナ装置5の構成を模式的に示す図であり、図8は、アンテナ装置5に流れる高周波電流を模式的に示す図である。両図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図7に示すように、アンテナ装置5は、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と同様、基板500、およびアンテナエレメント520を備えており、基板500上に、送受信回路510、第1のスイッチ部(切り替え部)511、第1の給電部530、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)531、第1の整合回路532、第2の給電部540、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)541、第2の整合回路542、第3の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)552、第4のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)551、第4の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)562、および第5のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)561を備えている。
アンテナエレメント520の両端部には、それぞれ第4のスイッチ部551および第5のスイッチ部561と接続しており、その内側において、それぞれ第1の給電部530および第2の給電部540と接続している。この点において、第2の実施形態に係るアンテナ装置2と異なっている。以下、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、第2の実施形態と異なる部分について詳細に説明する。
図7の(a)は、第1の給電部530がアンテナエレメント520を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部511は、送受信回路510と第1の整合回路532とを接続し、第2のスイッチ部531は、第1の整合回路532と第1の給電部530とを接続し、第3のスイッチ部541は、第2の整合回路542と第2の給電部540とを切断し、第4のスイッチ部551は、第3の整合回路552とアンテナエレメント520とを接続し、第5のスイッチ部561は、第4の整合回路562とアンテナエレメント520とを切断する。
第1の給電部530がアンテナエレメント520を給電するときの高周波電流の向きを図8の(a)に示す。図8の(a)に示すように、アンテナエレメント520を高周波電流533が流れる。このとき、第4のスイッチ部551および第3の整合回路552を介して基板500の地導体へと高周波電流534が流れる。このように、第1の給電部530がアンテナエレメント520を給電するとき、アンテナエレメントは変形逆Fアンテナとして動作する。
また、基板500の地導体においても、第1の給電部530によって励起された高周波電流が流れる。第1の給電部530は、基板500の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流535が流れる。また、第1の給電部530は、基板500の第1の方向における中央部に位置しているため、第1の方向における両端部へのそれぞれへと向かう高周波電流536および537が流れる。また、アンテナエレメント520から第4のスイッチ部551を介して基板500に流れた高周波電流は、第1の方向における両端部へのそれぞれへと向かう高周波電流538および539となる。
ここで、高周波電流536と537、および、高周波電流538と239は、互いに逆相の関係であるため、互いに打ち消し合い非常に弱くなる。それゆえ、第1の給電部530がアンテナエレメント520を給電するときの高周波電流の主方向は、第2の方向となる。
図7の(b)は、第2の給電部540がアンテナエレメント520を給電するときの構成を示している。示すように、第1のスイッチ部511は、送受信回路510と第2の整合回路542とを接続し、第2のスイッチ部531は、第1の整合回路532と第1の給電部530とを切断し、第3のスイッチ部541は、第2の整合回路542と第2の給電部540とを接続し、第4のスイッチ部551は、第3の整合回路552とアンテナエレメント520とを切断し、第5のスイッチ部561は、第4の整合回路562とアンテナエレメント520とを接続する。
第2の給電部540がアンテナエレメント520を給電するときの高周波電流の向きを図8の(b)に示す。図8の(b)に示すように、アンテナエレメント520を高周波電流543が流れる。このとき、第5のスイッチ部561および第4の整合回路562を介して基板500の地導体へと高周波電流544が流れる。このように、第2の給電部540がアンテナエレメント520を給電するとき、アンテナエレメントは変形逆Fアンテナとして動作する。
第2の給電部540は、基板500の第2の方向における端部に位置しているため、第2の方向における他方の端部へ向かう高周波電流545が流れる。また、第2の給電部540は、基板500の第1の方向における端部に位置しているため、第1の方向における他方の端部へ向かう高周波電流546が流れる。また、アンテナエレメント520から第5のスイッチ部561を介して基板500に流れた高周波電流は、第1の方向における他方の端部へ向かう高周波電流547となる。
ここで、上述したように、アンテナエレメント520の電気長と第1の電気長との和の方が、アンテナエレメント520の電気長と第2の電気長との和よりも、アンテナエレメント520の使用周波数帯の半波長に近いため、高周波電流546の方が、高周波電流545よりも大きくなり、また、第1の方向に高周波電流547も流れるため、第2の給電部540がアンテナエレメント520を給電するときの高周波電流の主方向は、第1の方向となる。
以上のように、第1の給電部530がアンテナエレメント520に給電するときと、第2の給電部540がアンテナエレメント520に給電するときとでは、地導体を流れる高周波電流の主方向が異なる。よって、何れの給電部がアンテナエレメント520を給電するかを切り替えることにより、上記高周波電流の主方向を切り替え、送受信する電波の主偏波を切り替えることができる。また、アンテナエレメント520を変形逆Fアンテナとして構成することができるため、アンテナエレメント520を逆Fアンテナとして構成した場合と同様、アンテナの特性を向上させることができる場合がある。例えば、アンテナ装置5の筐体が手で持たれた場合のアンテナの特性の劣化を抑制することが可能である場合もある。
(第6の実施形態)
図9は、本発明の一実施形態(第6の実施形態)に係るアンテナ装置6の構成を模式的に示す図である。同図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図9に示すように、アンテナ装置6は、第5の実施形態に係るアンテナ装置5と同様、基板600、およびアンテナエレメント620を備えており、基板600上に、送受信回路610、第1のスイッチ部(切り替え部)611、第1の給電部630、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)631、第1の整合回路632、第2の給電部640、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)641、第2の整合回路642、第4のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)651、および第3の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)652を備えている。ただし、アンテナ装置6は、第5のスイッチ部および第4の整合回路を備えておらず、この点において、第5の実施形態に係るアンテナ装置5と異なっている。
アンテナ装置6では、第1の給電部630がアンテナエレメント620を給電するときのみ、アンテナエレメント620が変形逆Fアンテナとして動作する。このように、何れか一方の給電部からアンテナエレメントを給電するときのみ、アンテナエレメントが変形逆Fアンテナとして動作するように構成してもよい。
(第7の実施形態)
図10は、本発明の一実施形態(第7の実施形態)に係るアンテナ装置7の構成を模式的に示す図である。同図において、(a)および(b)はそれぞれ異なる給電部からアンテナエレメントを給電するときの様子を示す。
図10に示すように、アンテナ装置7は、第5の実施形態に係るアンテナ装置5と同様、基板700、およびアンテナエレメント720を備えており、基板700上に、送受信回路710、第1のスイッチ部(切り替え部)711、第1の給電部730、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)731、第1の整合回路732、第2の給電部740、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)741、第2の整合回路742、第5のスイッチ部(アンテナ地導体間切り替え部)761、および第4の整合回路(アンテナ地導体間整合回路)762を備えている。ただし、アンテナ装置7は、第4のスイッチ部および第3の整合回路を備えておらず、この点において、第5の実施形態に係るアンテナ装置5と異なっている。
アンテナ装置7では、第2の給電部740がアンテナエレメント720を給電するときのみ、アンテナエレメント720が変形逆Fアンテナとして動作する。このように、何れか一方の給電部からアンテナエレメントを給電するときのみ、アンテナエレメントが変形逆Fアンテナとして動作するように構成してもよい。
また、何れか一方の給電部からアンテナエレメントを給電するときは、アンテナエレメントが逆Fアンテナとして動作し、他方の給電部からアンテナエレメントを給電するときは、アンテナエレメントが変形逆Fアンテナとして動作するように構成してもよい。
(第8の実施形態)
図11は、本発明の一実施形態(第8の実施形態)に係るアンテナ装置8の構成を模式的に示す図である。
図11に示すように、アンテナ装置8は、グランド(地導体)が形成されている基板800、およびアンテナエレメント820を備えており、基板800上に、送受信回路810、第1のスイッチ部(切り替え部)811、第1の給電部830、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)831、第1の整合回路832、第2の給電部840、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)841、および第2の整合回路842を備えている。
アンテナエレメント820は線状の形状を有しており、第1の給電部830および第2の給電部840は、それぞれ、アンテナエレメント820の互いに異なる端部に接続されている。各部の構成は、その配置以外は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。また、図11の(a)は、第1の給電部830からアンテナエレメント820を給電するときの様子を示し、(b)は、第2の給電部840からアンテナエレメント820を給電するときの様子を示す。
ここで、地導体を流れる高周波電流の方向および各給電部の位置を規定するために、基板800の基板面上に、互いに直交する第1の方向と第2の方向とを規定する。本実施形態においては、基板800の長手方向および短手方向とは異なるように、第1の方向と第2の方向とを規定する。具体的には、図11における経路A(第1の経路)および経路C(第2の経路)に平行な方向を第1の方向とし、経路B(第3の経路)および経路D(第4の経路)に平行な方向を第2の方向とする。
なお、経路Aは、第1の給電部830を通り、第1の方向に基板800の地導体を横断する経路である。経路Bは、第1の給電部830を通り、第2の方向に基板800の地導体を横断する経路である。経路Cは、第2の給電部840を通り、第1の方向に基板800の地導体を横断する経路である。経路Dは、第2の給電部840を通り、第2の方向に基板800の地導体を横断する経路である。
そして、本実施形態では、以下のように第1の給電部830および第2の給電部840を配置することにより、第1の給電部830がアンテナエレメント820を給電するときは主偏波を第2の方向とし、第2の給電部840がアンテナエレメント820を給電するときは主偏波を第1の方向とすることができる。
なお、図12〜図14は、アンテナ装置8の構成を部分的に示す図である。図13および図14において、(a)は、第1の給電部830からアンテナエレメント820を給電するときの様子を示し、(b)は、第2の給電部840からアンテナエレメント820を給電するときの様子を示す。
まず、本実施形態では、図12に示すように、第1の給電部830と経路Aの電気長の中心Eとの間の電気長の方が、第2の給電部840と経路Cの電気長の中心Fとの間の電気長よりも短くなるように第1の給電部830および第2の給電部840が配置されている。なお、経路における電気長の中心とは、経路の両端からの電気長が等しい位置を指す。
経路における電気長の中心付近に給電部を設けた場合、当該給電部から経路の両側へ流れる電流が互いに逆相となり、打ち消しあう。それゆえ、上記のように構成することにより、第1の給電部830がアンテナエレメント820を給電するときにおける第1の方向の電流の打ち消しあいの方が、第2の給電部840がアンテナエレメント820を給電するときにおける第1の方向の電流の打ち消しあいよりも大きくなる。そのため、第1の給電部830がアンテナエレメント820を給電するときは、第1の方向における逆相電流の打ち消しあいが大きく、第2の方向が主偏波となる。一方、第2の給電部840がアンテナエレメント820を給電するときは、第1の方向における逆相電流の打ち消しあいが小さい(または無い)ため、第1の方向を首尾よく主偏波とすることができる。
また、本実施形態では、第1の給電部830がアンテナエレメント820に給電しているときの、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント820の電気長との和の方が、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント820の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるようになっている。ここで、アンテナエレメント820と地導体とはダイポールアンテナを構成するため、その電気長が使用周波数帯の半波長に近い方向に、大きい電流が流れることになる。したがって、本実施形態では、第1の給電部830がアンテナエレメント820に給電しているときに第2の方向に流れる電流の方が、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときに第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第1の給電部830がアンテナエレメント820に給電しているときの主偏波を首尾よく第2の方向にすることができる。また、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの主偏波を、首尾よく第2の方向以外の方向にすることができる。
なお、第1の給電部830がアンテナエレメント820に給電しているときの地導体における第2の方向の実効的な電気長とは、逆相電流による打消し合いを考慮した電気長を指し、経路Bにおいて第1の給電部830を挟む両側の電気長の差分(の絶対値)となる。具体的には、図13の(a)における、経路B1および経路B2の電気長の差分を指す。同様に、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの地導体における第2の方向の実効的な電気長は、経路Dにおいて第2の給電部840を挟む両側の電気長の差分(の絶対値)となり、図13の(b)における、経路D1および経路D2の電気長の差分を指す。従って、経路B1、B2、D1およびD2が上述した条件を満たすように、第1の給電部830および第2の給電部840を配置すればよい。
また、本実施形態では、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの、地導体における第1の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント820の電気長との和の方が、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント820の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるようになっている。従って、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているとき、第1の方向に流れる電流の方が、第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの主偏波を、首尾よく第1の方向にすることができる。
なお、第2の給電部840がアンテナエレメント820に給電しているときの地導体における第1の方向の実効的な電気長は、経路Cにおいて第2の給電部840を挟む両側の電気長の差分(の絶対値)となり、図14の(a)における、経路C1および経路C2の電気長の差分を指す。従って、経路C1、C2、D1およびD2が上述した条件を満たすように、第2の給電部840を配置すればよい。
以上のように、本実施形態では、主偏波の切り換えを好適に実現することができる。
なお、本実施形態においても、第2〜第7の実施形態と同様に、アンテナエレメント820を逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして構成してもよい。すなわち、アンテナ装置8は、さらに、一つまたは二つのアンテナ地導体間整合回路およびアンテナ地導体間切り替え部を備えていてもよい。アンテナ地導体間整合回路は、アンテナエレメント820のインピーダンスを地導体に対して整合させるための整合回路であり、地導体およびアンテナ地導体間切り替え部に接続するものであればよい。また、アンテナエレメント820の両端部には、上述したように、それぞれ第1の給電部830および第2の給電部840が接続しているので、アンテナ地導体間切り替え部は、その内側または外側に接続すればよい。
(第9の実施形態)
図15は、本発明の一実施形態(第9の実施形態)に係るアンテナ装置9の構成を模式的に示す図である。また、図16〜図18は、アンテナ装置9の構成を部分的に示す図である。
図15に示すように、アンテナ装置9は、グランド(地導体)が形成されている基板900、およびアンテナエレメント920を備えており、基板900上に、送受信回路910、第1のスイッチ部(切り替え部)911、第1の給電部930、第2のスイッチ部(切り替え部、第1の切り替え要素)931、第1の整合回路932、第2の給電部940、第3のスイッチ部(切り替え部、第2の切り替え要素)941、および第2の整合回路942を備えている。
アンテナエレメント920は線状の形状を有しており、第1の給電部930および第2の給電部940は、それぞれ、アンテナエレメント920の互いに異なる端部に接続されている。各部の構成は、その配置以外は第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。また、図15、図17および図18の(a)は、第1の給電部930からアンテナエレメント920を給電するときの様子を示し、(b)は、第2の給電部940からアンテナエレメント920を給電するときの様子を示す。
ここで、地導体を流れる高周波電流の方向および各給電部の位置を規定するために、基板900の基板面上に、互いに直交する第1の方向と第2の方向とを規定する。本実施形態においては、基板900の長手方向および短手方向とは異なるように、第1の方向と第2の方向とを規定する。具体的には、図15における経路A(第1の経路)および経路C(第2の経路)に平行な方向を第1の方向とし、経路B(第3の経路)および経路D(第4の経路)に平行な方向を第2の方向とする。
なお、経路Aは、第1の給電部930を通り、第1の方向に基板900の地導体を横断する経路である。経路Bは、第1の給電部930を通り、第2の方向に基板900の地導体を横断する経路である。経路Cは、第2の給電部940を通り、第1の方向に基板900の地導体を横断する経路である。経路Dは、第2の給電部940を通り、第2の方向に基板900の地導体を横断する経路である。
そして、本実施形態でも、第8の実施形態と同様の条件を満たすように第1の給電部930および第2の給電部940を配置することにより、第1の給電部930がアンテナエレメント920を給電するときは主偏波を第2の方向とし、第2の給電部940がアンテナエレメント920を給電するときは主偏波を第1の方向とすることができる。
すなわち、図16に示すように、第1の給電部930と経路Aの電気長の中心Eとの間の電気長の方が、第2の給電部940と経路Cの電気長の中心Fとの間の電気長よりも短くなるように第1の給電部930および第2の給電部940が配置されている。
また、第1の給電部930がアンテナエレメント920に給電しているときの、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント920の電気長との和の方が、第2の給電部940がアンテナエレメント920に給電しているときの、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント920の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるようになっている。すなわち、図17の(a)における経路B1および経路B2の電気長の差分とアンテナエレメント920の電気長との和の方が、図17の(b)における経路D1および経路D2の電気長の差分とアンテナエレメント920の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるように第1の給電部930および第2の給電部940が配置されている。
また、第2の給電部940がアンテナエレメント920に給電しているとき、地導体における第1の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント920の電気長との和の方が、地導体における第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメント920の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるようになっている。すなわち、図18の(a)における経路C1および経路C2の電気長の差分とアンテナエレメント920の電気長との和の方が、図18の(b)における経路D1および経路D2の電気長の差分とアンテナエレメント920の電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなるように第2の給電部940が配置されている。
上述したそれぞれの条件の効果は、第8の実施形態において説明したとおりである。これにより、本実施形態でも、主偏波の切り換えを好適に実現することができる。
なお、本実施形態においても、第2〜第8の実施形態と同様に、アンテナエレメント920を逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして構成してもよい。すなわち、アンテナ装置9は、さらに、一つまたは二つのアンテナ地導体間整合回路およびアンテナ地導体間切り替え部を備えていてもよい。アンテナ地導体間整合回路は、アンテナエレメント920のインピーダンスを地導体に対して整合させるための整合回路であり、地導体およびアンテナ地導体間切り替え部に接続するものであればよい。また、アンテナエレメント920の両端部には、上述したように、それぞれ第1の給電部930および第2の給電部940が接続しているので、アンテナ地導体間切り替え部は、その内側または外側に接続すればよい。
(まとめ)
以上のように、本発明に係るアンテナ装置は、アンテナエレメントと、地導体が形成されている基板と、該基板上に設けられており、該アンテナエレメントに給電する第1および第2の給電部と、第1および第2の給電部の何れが該アンテナエレメントに給電するかを切り替える切り替え部と、を備え、第1の給電部が該アンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部が該アンテナエレメントに給電しているときとでは、該地導体を流れる高周波電流の主方向が異なることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の給電部および第2の給電部の何れか一方が、上記アンテナエレメントを給電する。第1の給電部および第2の給電部の何れが上記アンテナエレメントに給電するかは、上記切り替え部によって切り替えられる。第1の給電部および第2の給電部は上記基板上に設けられており、当該基板には地導体が形成されているため、第1の給電部または第2の給電部が上記アンテナエレメントを給電する際には、当該地導体に高周波電流が流れる。本発明に係るアンテナ装置では、この地導体を流れる高周波電流の主方向に沿った偏波方向を有する電波を好適に送受信することができるため、切り換え部にて給電位置を切り換えて当該高周波電流の主方向を制御することにより、送受信する電波の主偏波を切り替えることができる。すなわち、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときとで、上記地導体を流れる高周波電流の主方向を異ならせることにより、上記切り替え部を用いて、送受信する電波の主偏波を切り替え、偏波ダイバーシチを実現することができる。このとき、アンテナエレメントの形状に制限がないため、偏波ダイバーシチを実現する装置における設計の自由度を向上させることができる。
上記アンテナ装置では、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記地導体を流れる高周波電流の主方向は第1の方向となり、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記地導体を流れる高周波電流の主方向は第1の方向と直交する第2の方向となり、第1の給電部を通り上記地導体を第1の方向に横断する第1の経路の電気長の中心と、第1の給電部との間の電気長の方が、第2の給電部を通り上記地導体を第1の方向に横断する第2の経路の電気長の中心と第2の給電部との間の電気長よりも短くなるように、第1および第2の給電部が配置されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第1の方向となり、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第2の方向となるため、送受信する電波の主偏波を切り替え、偏波ダイバーシチを好適に実現することができる。
ここで、上記の構成によれば、第1の給電部が、第1の経路の電気長の中心により近くなるように配置される。これにより、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第1の給電部から第1の方向に流れる電流は、第1の給電部から第1の経路の両端に向けて互いに逆相になるように流れ打ち消し合うため、首尾よく第2の方向を主偏波とすることができる。
一方、第2の給電部は、第2の経路の電気長の中心から離れるように配置される。これにより、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第2の給電部から第2の方向に流れる電流では、上述したような打ち消し合いが小さいか、生じない。それゆえ、首尾よく第1の方向を主偏波とすることができる。
よって、上記の構成によれば、上述した主偏波の切り換え(第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第1の方向となり、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第2の方向となる)を好適に実現することができる。
上記アンテナ装置では、第1の給電部を通り上記地導体を第2の方向に横断する第3の経路において第1の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の給電部を通り上記地導体を第2の方向に横断する第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近くなるように、第1および第2の給電部が配置されていることが好ましい。
ここで、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第2の方向の実効的な電気長は、第3の経路において第1の給電部を挟む両側の電気長の差分となる。同様に、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第2の方向の実効的な電気長は、第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分となる。
それゆえ、上記の構成によれば、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなる。そのため、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときに第2の方向に流れる電流の方が、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているときに第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているときの方が第2の方向への偏波が強くなり、上述した主偏波の切り換え(第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第1の方向となり、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第2の方向となる)を好適に実現することができる。
上記アンテナ装置では、第2の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和の方が、第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分と、上記アンテナエレメントの電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近くなるように、第2の給電部が配置されていることが好ましい。
ここで、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第1の方向の実効的な電気長は、第2の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分となり、逆相電流による打消し合いを考慮した地導体における第2の方向の実効的な電気長は、第4の経路において第2の給電部を挟む両側の電気長の差分となる。
それゆえ、上記の構成によれば、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第1の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和の方が、第2の方向の実効的な電気長とアンテナエレメントの電気長との和よりも、使用周波数帯の半波長に近くなる。そのため、第1の方向に流れる電流の方が、第2の方向に流れる電流よりも大きくなる。それゆえ、第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、第1の方向が主偏波となり、上述した主偏波の切り換え(第2の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第1の方向となり、第1の給電部がアンテナエレメントに給電しているとき、主偏波は第2の方向となる)を好適に実現することができる。
上記アンテナ装置では、上記基板の基板面は、第1の方向、および第1の方向と直交する第2の方向によって規定され、上記地導体は、第1の方向に第1の電気長を有し、第2の方向に第2の電気長を有しており、上記アンテナエレメントの電気長と第1の電気長との和の方が、上記アンテナエレメントの電気長と第2の電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近く、第1の給電部は、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記地導体の第1の方向に逆相電流が生じ、上記アンテナエレメントおよび地導体によって構成されるダイポールアンテナの主偏波が第2の方向になるような位置に設けられており、第2の給電部は、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記地導体の第1の方向に流れる電流の方が、第2の方向に流れる電流よりも強くなり、上記ダイポールアンテナの主偏波が第1の方向になるような位置に設けられていることが好ましく、第1の給電部は、上記基板上の、第1の方向における中央部であって、第2の方向における端部に設けられており、第2の給電部は、上記基板上の、第1および第2の方向における端部に設けられていることがより好ましい。
上記の構成によれば、上記アンテナエレメントが給電されているときに、上記地導体を流れる高周波電流の主方向は、以下のようなものとなる。まず、第1の給電部が上記アンテナエレメントを給電しているときについて説明する。このとき、第1の給電部が、上記基板の第1の方向における電気長の中央付近に位置している場合、第1の方向における上記高周波電流は、第1の方向において給電部から互いに逆相となる電流が流れるため打ち消しあい弱くなる。一方、第1の給電部が、上記基板の第2の方向における末端付近に位置している場合、第2の方向における上記高周波電流は、第2の方向における他方の端部へ向けて励起され、打ち消し合いはほとんど生じない。このように、第1の方向には逆相電流を生じさせ、第2の方向への逆相電流を抑制することにより、上記地導体を流れる高周波電流の主方向は第2の方向とすることができる。
一方、第2の給電部が上記アンテナエレメントを給電しているときは、第2の給電部が、上記基板の第1および第2の方向における末端付近に位置している場合、第1および第2の方向へそれぞれ高周波電流が励起され、打ち消し合いはほとんど生じない。ところで、上記基板と上記アンテナエレメントとは結合してダイポールアンテナとして働く。そのため、上記アンテナエレメントの電気長と第1の電気長との和の方が、上記アンテナエレメントの電気長と第2の電気長との和よりも、上記アンテナエレメントの使用周波数帯の半波長に近い場合、第1の方向に流れる高周波電流の方が、第2の方向に流れる高周波電流よりも大きくなる。このように、第1および第2の方向へ逆相電流を抑制することにより、地導体の第1の方向に流れる電流の方が、第2の方向に流れる電流よりも強くなり、上記地導体を流れる高周波電流の主方向は第1の方向となる。
以上のように、上記の構成によれば、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときとで、上記地導体を流れる高周波電流の主方向を首尾よく異ならせることができる。
上記アンテナ装置は、上記アンテナエレメントのインピーダンスの整合をとるための整合回路として、第1の給電部につながっている第1の整合回路と、第2の給電部につながっている第2の整合回路とを備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記アンテナエレメントは、第1の整合回路によってインピーダンスが整合される。また、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているとき、上記アンテナエレメントは、第2の整合回路によってインピーダンスが整合される。上述したように、本発明に係るアンテナ装置では、第1の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときと、第2の給電部が上記アンテナエレメントに給電しているときとで、上記地導体とエレメントで構成されるダイポールアンテナの電気長が異って見えるため、インピーダンスも異なり、上記アンテナエレメントのインピーダンスの整合のための整合回路としては、別々の整合回路を用いることが好ましい。
上記アンテナ装置では、上記切り替え部は、第1の給電部と第1の整合回路との間に、第1の給電部と第1の整合回路との導通または非導通を切り替える第1の切り替え要素を備え、第2の給電部と第2の整合回路との間に、第2の給電部と第2の整合回路との導通または非導通を切り替える第2の切り替え要素を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、使用する給電部と整合回路とを導通し、使用しない給電部と整合回路とを非導通とすることができるため、アンテナエレメントから使用しない給電部を介して整合回路に意図しない電流が流れることを避け、アンテナエレメントを用いた送受信を好適に行うことができる。
上記アンテナ装置は、上記アンテナエレメントと上記地導体とをつなぎ、上記アンテナエレメントと上記地導体との導通または非導通を切り替えるアンテナ地導体間切り替え部をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、必要に応じて上記アンテナエレメントを上記地導体に導通させることができる。これにより、上記アンテナエレメントを逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして首尾よく動作させることができる。
すなわち、任意の給電部の片側の近傍にアンテナ地導体間切り替え部を設け、当該給電部が上記アンテナエレメントを給電するときには、当該アンテナ地導体間切り替え部において上記アンテナエレメントと上記地導体とを導通させることにより、上記アンテナエレメントを逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして動作させることができる。そして、他方の給電部が上記アンテナエレメントを給電するときには、当該アンテナ地導体間切り替え部において上記アンテナエレメントと上記地導体とを非導通とすることにより、他方の給電部が上記アンテナエレメントを給電するときの、上記アンテナエレメントの動作を妨げない。以上のように、上記アンテナエレメントを逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして動作させることにより、アンテナの特性を向上させることができる。なお、アンテナエレメントの両側の近傍と地導体とを、それぞれ別個のアンテナ地導体間切り替え部を介して接続してもよく、この場合、何れの給電部から給電した場合も、アンテナエレメントを逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして動作させることができる。
上記アンテナ装置は、上記アンテナ地導体間切り替え部と上記地導体との間に、上記アンテナエレメントと上記地導体との間でインピーダンスを整合させるためのアンテナ地導体間整合回路をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、アンテナエレメントを逆Fアンテナまたは変形逆Fアンテナとして好適に動作させることができる。