以下に本発明の実施形態を図面により説明するが、本実施形態は以下に説明する実施形態に限られるものではない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(立体画像視認用眼鏡)
図1は、立体画像視認用眼鏡1の概要図である。立体画像視認用眼鏡1は、右眼用シャッタ3、左眼用シャッタ4と眼鏡フレーム2とを有する。
右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4には、入射する光の透過率を制御する機能を有するエレクトロクロミック(Electrochromic)素子を用いた偏光制御素子が備えられている。
(偏光制御素子)
偏光制御素子の、典型的な構成の例の模式図を図2に示す。偏光制御素子110は、偏光制御膜及び電荷供給手段を有し、具体的には、第一の電極101、第一の電極101上の電解質層102、電解質層102上の偏光制御膜103、及び偏光制御膜103上の第二の電極104を有する。
電荷供給手段は、偏光制御膜中の色素に電荷を供給する手段であり、電解質層102、及び第一の電極101、及び第二の電極104で構成される。対向する第一の電極101と第二の電極104との間に電圧をかけることで、偏光制御膜103に電荷を供給することができる。
後述するように偏光制御膜103の色素が、電解質層を介して電荷を授受することで、偏光制御膜の偏光特性が変化する。
偏光制御素子110は、このように第一の電極101、電解質層102、偏光制御膜103、及び第二の電極104を有し、第一の電極101、電解質層102、及び第二の電極104の透過率は高く、後述するように直線偏光を透過させる際の偏光制御膜103の透過率も高い。従って、従来の液晶シャッタに比べて高い光利用効率を得ることができる。
電極としては、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが使用でき、用途にもよるが透明電極であることが好ましい。前記金属酸化物としては、例えば、ITO(In2O3−SnO2)、酸化錫、酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム等が挙げられる。電極の膜厚は、特に制限されるものではないが、通常10〜500nm、好ましくは50〜300nmの範囲にあり、表面抵抗(抵抗率)は特に制限されるものではないが、通常500Ω/cm2以下が好ましく、特に50Ω/cm2以下の範囲にあることが好ましい。電極の形成には、公知の手段を任意に採用することができるが、電極を構成する金属および/又は金属酸化物等の種類により、採用する手段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法等が採用される。
電解質層は、対向する電極の間に位置し、両極間の電荷輸送を行う機能を有する層であり、室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している層が好ましく用いられる。電解質層は電解質組成物からなる。電解質組成物は、電解質物質を含有し、さらに溶媒を含有することが好ましい。電解質物質としては塩類、酸類、アルカリ類が使用できる。電解質組成物の形態としては、上記電解質物質を含有する上記溶媒からなる液体の状態、ゲル状、固体状の形態がある。偏光制御素子は、基板上に形成されて基板と共に用いられることが好ましい。
(偏光制御膜)
偏光制御膜は、偏光特性の制御が電荷の授受により行われる、電荷制御型偏光制御膜であり、偏光制御素子は、偏光特性の制御が電荷の授受により行われる、電荷制御型偏光制御素子である。本実施形態では、偏光制御膜の状態を、色素が発色状態であって偏光特性を有する状態と、色素が消色状態であって偏光特性を示さない状態とを、可逆的に電荷の授受により制御できる。
即ち、電圧非印加時と電圧印加時とにおいて、色素が発色状態で偏光制御膜が偏光特性を有する状態、すなわち所定の偏光方向の直線偏光を透過する状態と、色素が消色状態で偏光制御膜が偏光特性を有さない状態、すなわち全ての偏光を透過させる状態とが、可逆的に変化する態様が好ましい態様である。
偏光特性を有する状態における、所定の偏光方向を有する直線偏光の偏光度Pは、透過させる直線偏光の光強度YPと、透過させる直線偏光に直交する偏光方向を有する直線偏光の光強度YCとで、(1)式のように表される。
P=(YP−YC)/(YP+YC)×100 (1)
偏光度Pは、例えば、偏光フィルム測定装置VAP−7070D(日本分光株式会社製)で測定可能である。偏光度は80以上100未満が好ましい。
(2色性色素)
偏光制御膜には2色性色素が採用される。2色性色素は、電荷の授受により分子の光吸収スペクトルが可逆的に変化する性質を有する。
電荷の授受により分子の光吸収スペクトルが可逆的に変化するとは、色素分子が電荷を授受することで、色素が吸収する光の波長または強度が可逆的に変化することである。本実施形態においては、波長範囲400nm〜1800nmの範囲において、0.01V以上、1000V以下の電圧を、電解質の存在下に印加することで、光吸収スペクトルが、吸光度変化(吸光度(吸光度が変化したときの特定波長における吸光度の大きな方の吸光度)/吸光度(その波長における吸光度の小さい方の吸光度))が2以上、となるように変化する電圧範囲及び波長範囲を有する色素をいう。好ましくは、7以上となるように、変化するものであり、より好ましくは、10以上となるように、変化するものである。
例えば、一例として後述する例示化合物1では、590nmにある吸収極大が、4Vの電圧の印加によって、吸光度変化が11.6であった。吸光度の変化は、例えば色素を溶解した電解質を透明な電極で挟み、これに電圧をかけ、電圧をかける前後の吸光度を測定することで得られる。
吸光度は、光が媒質に入射した際、媒質が吸収する程度を表す尺度であり、吸収の極大値を有する波長が測定可能な分光光度計により測定した値である。
好ましくは、吸収スペクトルの変化は、特に制限はないが、その吸収極大値の波長が、400nm〜1800nmの領域から、200nm〜1600nmへと可逆的に変化するものが好ましく用いられる。より好ましくは、400nm〜800nmの領域と200nm〜400nmの領域を可逆的に変化するものである。
例えば、一例として後述する例示化合物1では、酸化還元反応により2色性色素の電子状態が変化するため、吸収波長領域が変化し、590nmの吸収極大が、400nm以下へ吸収波長極大がシフトした。
図3に、光吸収スペクトルの変化の例として、吸収極大を示す波長が変化する場合の吸収スペクトルの変化を模式的に示す。
図3に、縦軸を吸光度、横軸を波長として、電圧を印加する前の吸収スペクトルAと、電圧を印加した後の吸収スペクトルBとを示した。
色素としては、特に電荷の授受で、可視領域において、発色状態と、消色状態をとりうるものが好ましく、発色状態と消色状態を、電荷の授受で可逆的にとりうる色素が好ましく用いられる。
電荷の授受の具体的態様としては、例えば電極と色素の電荷の授受による酸化還元反応が挙げられる。
本実施形態における2色性色素とは、吸収異方性を有する色素、即ち透過光が色素の遷移モーメントの方向によって異なる色素であり、且つ電荷の授受により生じた光吸収スペクトルの変化により吸収異方性の大きさが変化する色素である。
即ち、分子の遷移モーメントの方向と、遷移モーメントと直交する方向の光吸収強度が異なる波長範囲を有する色素であり、下記の2色性測定により、2色性比が3以上である領域を有するものをいう。例えば、液晶分子のような棒状骨格、板状骨格、円盤状骨格のもので誘電異方性を持つ2色性色素や、分子凝集や重合などによって、分子配向が特定方向に制限される2色性色素などが好適に用いることができる。
2色性比(D)は、偏光フィルム測定装置VAP−7070D(日本分光株式会社製)で測定することによって得られた値である。
2色性色素としては、例えば、機能性色素(講談社サイエンティフィク)p157−159に記載の色素や特許第4074105号明細書の段落(0093)〜(0101)に記載の色素などが挙げられ、これらの中でも特に、色素の遷移モーメントと色素の分子軸の角度が±10度以内または90度±10度以内である色素が好適であり、例えば、金属−有機物錯体、特に金属−ビスターピリジン錯体などを好適に用いることができる。
好適に用いられる化合物としては、例えば下述する化合物が挙げられる。
配位高分子であり、下記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有する化合物。
一般式(1)中、M1及びM2は金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X1及びX2は窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むX1とX2を連結する基を表す。
さらに、前記配位高分子が金属イオンと下記一般式(2)で表される化合物を含有する化合物が挙げられる。
一般式(2)中、Jは単なる結合手または2価の連結基を表し、Z1〜Z4はそれぞれC=N部と共に5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
[前記一般式(1)で表される化合物]
前記一般式(1)において、M1及びM2は金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。
前記一般式(1)において、M1及びM2で表される金属イオンとしては、配位高分子を形成するものであれば特に制限はないが、VIII族、Ib族、IIb族、IIIa族、IVa族、Va族、VIa族、VIIa族の金属原子から選ばれる遷移金属イオンが好ましい。具体的にはNi、Cu、Co、Mn、Zn、Fe、Ru、Ti、Pd、Ptの2価の金属イオンが挙げられ、さらに好ましくはNi、Cu、Co、Mn、Fe、Ruの2価の金属イオンが挙げられ、特に好ましくはFeの2価の金属イオンである。
前記一般式(1)において、X1及びX2は窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。X1及びX2は窒素原子が好ましい。
前記一般式(1)において、Lは炭素原子を含むX1とX2を連結する基を表すが、Lは、X1及びX2と共に二官能性の有機配位子を形成する。二官能性の有機配位子としては、例えば、ビスターピリジン、ビスフェナントロリン、ビスビピリジン等を挙げることができる。
[前記一般式(2)で表される化合物]
前記一般式(2)において、Jは単なる結合手または2価の連結基を表す。2価の連結基として、例えば、置換基を有してもよいアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等)、置換基を有してもよいシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)、置換基を有してもよいアルケニレン基(例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等)、エチニレン基、置換基を有してもよいアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)、カルボニル基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子(例えば、チオエーテル基、スルホニル基等)、あるいはこれらの連結基の組み合わせ(例えば、アラルキレン基、エステル基、アルコシカルボニル基、カルバモイル基、アミド基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ジスルフィド基、ヒドラジノ基、アゾ基等)を挙げることができる。Jはアリーレン基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基または1,4−フェニレン基同士の組み合わせが特に好ましい。
前記一般式(2)において、Jで表される2価の連結基が有してもよい置換基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。これらの置換基は、同様の置換基によってさらに置換されていてもよい。
前記一般式(2)において、Z1〜Z4はそれぞれC=N部と共に5または6員の含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。含窒素複素環の具体例として、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾイミダゾール環等の各環を挙げることができる。好ましくはピリジン環、ベンゾイミダゾール環であり、特に好ましくはピリジン環である。これらの環は置換基を有してもよく、置換基としては前記Jで表される2価の連結基が有してもよい置換基と同様の基を挙げることができ、さらに同様の置換基によって置換されていてもよい。また、Z1〜Z4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
さらに、前記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有する化合物が好ましく用いられる。
前記一般式(1)において、M1及びM2は金属イオンを表し、それぞれ同じであっても異なっていても良く、X1及びX2は窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、それぞれ同じであっても異なっていても良い。Lは炭素原子を含むX1とX2を連結する基を表す。
前記一般式(1)において、M1、M2、X1、X2及びLとしては、例えば、上述で説明したものと同様のものを挙げることができ、さらに、上述で説明したものと同様のカウンターアニオンを有してもよい。
前記一般式(1)で表される部分構造を主鎖に有する異方性色素膜用配位高分子は、直線性に優れており、吸収異方性の観点から異方性色素膜、特に偏光機能を必要とする偏光膜に有用である。さらに、配位高分子の主軸の末端基や側方置換基の種類や組み合わせを選択することで、配位高分子とそれと組み合わせる高分子材料や配位高分子同士の分子間相互作用を任意に制御することが可能である。また、配位高分子は、耐熱性にも優れていることから、耐熱性が必要とされる種々の用途の異方性色素膜に用いることができる。
以下に、2色性色素の具体例を示すが、2色性色素はこれらに限定されるものではない。尚、例示化合物として記載の構造式中のnは、括弧内の構造が複数個繰り返していることを意味する。
上記のような色素は、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば、Synthesis2006,No.17,2873−2878、特開2007−112769号公報に記載の方法を参考にして、配位子および配位高分子を合成することができる。
(配向)
偏光制御膜は、配向された、上述した2色性色素を含有する。
配向された、とは色素分子(以下単に色素とも称する)が、一定の方向性を有して配置されていることであり、偏光フィルム測定装置VAP−7070D(日本分光株式会社製)で測定したときに、偏光度50以上であることをいう。
配向された2色性色素を有する偏光制御膜は、液体状膜であってもよいし、固体状膜であってもよい。
偏光制御膜とは、その厚さが、50nm〜500μmであり、特に100nm〜10μmであることが好ましい。
色素を配向させる方法としては、電場、磁場、風の流れ、液体の流れ、斜め蒸着、ラビング、光配向膜、基材凹凸、濡れ性の違い、剪断などを用いた方法が挙げられる。
偏光制御膜としては、色素のみからなってもよいし、バインダーなどを含有する態様でもよい。
また、樹脂と色素とを含有する色素組成物を膜状にして、この膜を延伸することで、色素が配向された偏光制御膜を得ることができる。
また、配向材と色素とを含有する色素組成物を、電場、磁場、風の流れ、液体の流れ、斜め蒸着、ラビング、光配向膜、基材凹凸、濡れ性の違い、剪断、延伸などの処理をすることで、色素が配向された偏光制御膜を得ることができる。
配向の態様としては、面内一軸配向であることが好ましい。
面内一軸配向とは、膜内の色素が、光軸または吸収軸を有し、その軸が、色素溶液を塗工する基材面に対し平行であり、色素溶液または色素膜に、電場、磁場、風の流れ、液体の流れ、斜め蒸着、ラビング、光配向膜、基材凹凸、濡れ性の違い、剪断、延伸などの処理をすることにより、形成することができる。
(立体画像視認用眼鏡の構成と動作)
図4から図7を用いて立体画像視認用眼鏡の構成と動作について説明する。立体画像視認用眼鏡は右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4に備えられたエレクトロクロミック素子における直線偏光を透過させる方向の偏光軸の方向の採用の仕方や、偏光板の付加に態様によって複数の構成を用いることができる。以下、各シャッタの偏光軸とはエレクトロクロミック素子の偏光軸のことを指すものとする。
図4は、互いに平行であり、直線偏光を透過させる方向の偏光軸D1,D2を有する右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とを有する立体画像視認用眼鏡1と入射光との関係を示す模式図である。図4(a)は、電圧を印加しない場合の偏光の挙動を示す模式図であり、図4(b)は、電圧を印加する場合の偏光の挙動を示す模式図である。
平行な偏光軸を有しておれば、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸は、どちらの方向を向いていても良い。同図では、同図中に示した軸方向についてY方向の偏光軸を有しているものとする。係る偏光軸を有する右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とに偏光軸D1,D2に対して垂直な偏光方向を有し互いに平行な偏光方向の偏光P1,P2を入射させ、各シャッタへ印加する電圧を制御する。
図4(a)のように、各シャッタに電圧を印加しない場合、右眼用シャッタ3に入射する偏光P1と、左眼用シャッタ4に入射する偏光P2とは、各々偏光軸D1,D2と垂直な偏光方向を有するので、透過率が理想的には0になり、各々右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とに遮光される。
一方、図4(b)のように、各シャッタに電圧を印加する場合、各シャッタは、全ての偏光を透過させるので、右眼用シャッタ3に入射する偏光P1と、左眼用シャッタ4に入射する偏光P2とは、各々右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とを透過する。
このように、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4に入射する偏光P1,P2が平行な偏光方向を有する場合、平行な偏光軸を有する二つのシャッタを用いることで、透過率を制御することができる。
図5は、互いに垂直な偏光軸D3,D4を有する右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とを有する立体画像視認用眼鏡1と入射光との関係を示す模式図である。図5(a)は、電圧を印加しない場合の偏光の挙動を示す模式図であり、図5(b)は、電圧を印加する場合の偏光の挙動を示す模式図である。
垂直な偏光軸を有しておれば、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸は、どちらの方向を向いていても良い。同図では、右眼用シャッタ3の偏光軸D3はX方向を向いており、左眼用シャッタ4の偏光軸D4はY方向を向いている。係る偏光軸を有する右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とに該偏光軸と偏光方向が垂直な偏光方向を有し、互いに垂直な偏光方向を有する偏光P1,P2を入射させ、各シャッタへ印加する電圧を制御する。
図5(a)のように、各シャッタに電圧を印加しない場合、右眼用シャッタ3に入射する偏光P1と、左眼用シャッタ4に入射する偏光P2とは、各々偏光軸D3,D4と垂直な偏光方向を有するので、透過率が理想的には0になり、各々右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とに遮光される。
一方、図5(b)のように、各シャッタに電圧を印加する場合、各シャッタは、全ての偏光を透過させるので、右眼用シャッタ3に入射する偏光P1と、左眼用シャッタ4に入射する偏光P2とは、各々右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とを透過する。
このように、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4に入射する偏光P1,P2が垂直な偏光方向を有する場合、互いに垂直な偏光軸を有する二つのシャッタを用いることで、透過率を制御することができる。
図6は、立体画像視認用眼鏡1の各シャッタに偏光板を付加されてなる立体画像視認用眼鏡5の模式図である。図6(a)は、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の前方に偏光板6,8を付加されてなる立体画像視認用眼鏡5の模式図を示し、図6(b)は、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸D5,D6と、偏光板6,8の偏光軸D7,D8が各々垂直な関係であることを示す模式図である。
偏光軸D5,D6は、平行で有ればどちらの方向を向いていても良い。
図7は、係る立体画像視認用眼鏡5と入射光との関係を示す模式図である。図7(a)は、電圧を印加しない場合の偏光の挙動を示す模式図であり、図7(b)は、電圧を印加する場合の偏光の挙動を示す模式図である。
立体画像視認用眼鏡5では、各シャッタへの入射光は無偏光状態(以下、円偏光状態も無偏光状態を含むものとする)であるものとする。右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸の関係は問わない。同図では、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸が平行な場合を示している。
係る立体画像視認用眼鏡5に無偏光状態偏光P1,P2を入射させ、各シャッタへ印加する電圧を制御する。
図7(a)のように、各シャッタに電圧を印加しない場合、偏光板6,8を出射した光は直線偏光となっており、各直線偏光は、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4に遮光される。
一方、図7(b)のように、各シャッタに電圧を印加する場合、各シャッタは、全ての偏光を透過させるので、右眼用シャッタ3に入射する直線偏光と、左眼用シャッタ4に入射する直線偏光とは、各々右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とを透過する。
このように、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4に入射する光が無偏光状態の場合、偏光板を付加した立体画像視認用眼鏡5を用いることで、無偏光状態の光の透過率を制御することができる。
(立体画像表示装置)
次いで、立体画像視認用眼鏡1,5を用いた立体画像表示装置21,22,23について説明する。
図8は、立体画像表示装置21の概要図である。立体画像表示装置21は、2次元ディスプレイ10、立体画像視認用眼鏡1、全体制御回路7、及びEC制御回路9を有する。
立体画像視認用眼鏡1には図4を用いて説明したタイプを用いる。すなわち、立体画像視認用眼鏡1には、平行な偏光軸D1,D2を有するエレクトロクロミック(Electrochromic)素子を用いた右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4が備えられている。
2次元ディスプレイ10は、直線偏光を射出する表示装置であり、液晶ディスプレイが好ましく用いられる。偏光板を用いて直線偏光を射出させるようにすれば、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイ、及びエレクトロルミネセンス(Electro Luminescence)ディスプレイなどの無偏光状態の光を射出する表示装置をも採用することができる。2次元ディスプレイ10には、2枚のフィールドに、左眼用画像LIと右眼用画像RIとがそれぞれ割り当てられてあり、時系列でこれらが交互に高速に切り替わって表示される。左眼用画像LIと右眼用画像RIとは視差画像である。図8では、2次元ディスプレイ10上に例示として立方体を右から見た右眼用画像RI(点線)と、左から見た左眼用画像LI(実線)とが表示されている。
全体制御回路7は、2次元画像から3次元画像を生成する3次元画像生成回路であるとともに、2次元ディスプレイ上に表示させる左眼用画像LIと右眼用画像RIとの表示タイミングと、後述する立体画像視認用眼鏡1のエレクトロクロミック素子を制御するEC制御回路9とを制御する。
図9は、全体制御回路7の構成図である。全体制御回路7には、映像信号が入力される映像信号入力端子30が設けられる。映像とは、例えば時間的に連続した静止画像の集合である。
映像信号は、右眼用と左眼用の2系統に分離され、映像信号は遅延手段31で所定の遅延処理が施された後、切替手段33に供給される。切替手段33は2次元ディスプレイ10とEC制御回路9とに出力する。
映像信号は、最終的に合成されて立体画像として出力されるが、元画像は立体画像ではなく通常の平面画像が入力される。
映像信号入力端子30から入力された映像信号は、右眼用と左眼用の2系統に分離され、遅延手段31を構成する右眼用遅延回路311及び左眼用遅延回路312にそれぞれ入力される。右眼用遅延回路311は、映像信号の画像に対し映像信号の走査期間を基準として1水平走査期間(=1H)+Δ1だけ遅延して出力する。一方、左眼用遅延回路312は、映像信号の画像を1水平走査期間(=1H)−Δ1だけ遅延して出力する。ここで1Hは、1水平走査ラインの走査期間であり、Δ1はこの1水平走査期間を基準とする1〜数μsec(例えば2μsec)の正の遅延量を有しており、1水平走査期間の映像を元にこの映像信号は±Δ1だけ走査方向の前後に移動することになる。
右眼用画像については、1H+Δ1の遅延処理により画像を画面上で水平に右方向へ一定量だけずらす作用が得られる。これに対して左眼用画像は、1H−Δ1の遅延処理により画像を画面上で水平に左方向に一定量だけずらす作用が得られる。このように、Δ1で示される遅延量は、画面上の左から右へ走査される1水平走査ラインに対し走査方向に対する正方向側(+Δ1)及び負方向(−Δ1)側でそれぞれ画像の定位位置をそれぞれ水平な逆方向にずらすこととなる。
これら両遅延回路311,312は、内部にラインメモリを有しデジタルの映像信号を水平走査の2ライン分一時記憶し、入力された水平走査1ラインに対し前記1H±Δ1の遅延処理を行い出力する。具体的には、一方のラインメモリに書き込まれた1水平走査ラインの映像信号を構成するビットデータ列中から遅延量±Δ1に対応するビット部分を先頭として読み出し出力する。この1ラインの遅延処理中(読み出し出力時)に入力された次の(2ライン目)1水平走査ラインの映像信号は、他方のラインメモリに一時格納される。このように2ライン分のラインメモリを交互に使用して画像全体に相当する複数ラインについて横にずらす遅延処理が繰り返し実行される。
右眼用画像と左眼用画像は、切替手段6で1フィールド毎交互に切り換えられ2次元ディスプレイ10に出力される。この切替時にはフィールド切替信号を出力する。2次元ディスプレイ10は、NTSC方式等による画像信号を表示する表示面を有するテレビジョン等のディスプレイで構成され、右眼用画像と左眼用画像を前記1フィールド毎に切り換え交互に表示する。
映像信号の風景の画像は遅延手段31による遅延処理(遅延量±Δ1)によって、2次元ディスプレイ10の表示面より奥方に広がる立体感を有して表示される。即ち、遅延手段31における遅延処理(1H±Δ1)により、右眼用画像は+Δ1の分だけ遅延され画面上で右方向にずれることになる一方、左眼用画像は−Δ1の分だけ遅延され画面上で左方向にずれることになり、これら両画像は遅延前に比してΔ1の2倍の距離だけ互いに離れることとなる。
この結果、表示画像のうち、例えば映像信号から生成される画像の中の物体は、右眼用画像と左眼用画像を重ね合わせた状態においては2・(Δ1)の間隔を有することとなり、この映像信号による風景は、全体が2次元ディスプレイ10の表示面より奥方向に引っ込んだ立体画像として観察できる。
なお、右眼用画像と左眼用画像とは任意の遅延時間を設定し、一方を遅延させ、一方を進ませた時間にさせた画像を出力させてもよい。例えば、回転する物体の映像の場合、時間に応じて物体が回転する。右眼と左眼には、回転する物体が映るが、右眼と左眼には視差のある画像が映り、この視差を回転角の相違であることから、時間が遅延した画像、時間が進んだ画像を右眼と左眼とが見ることになる。従って、時間差のある画像を表示させることで、視差画像を形成することができる。
全体制御回路7は、このように左眼用画像LIと右眼用画像RIとを時系列に交互に2次元ディスプレイ10に表示させる。時系列に表示させる速度は少なくとも人間が連続画像として視認できる速度であり、例えば30分の1秒間隔である。
EC制御回路9は、立体画像視認用眼鏡1のエレクトロクロミック素子を制御する。具体的には、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とに備えられたエレクトロクロミック素子に印加する電圧を制御し、エレクトロクロミック素子の光学特性を制御する。
全体制御回路7とEC制御回路9とは、2次元ディスプレイ10と立体画像視認用眼鏡1の何れかに配置される。全体制御回路7は、好ましくは、2次元ディスプレイ10に一体化して配置され、EC制御回路9は立体画像視認用眼鏡1に一体化して配置される。なお、ここに言う全体制御回路7の2次元ディスプレイへの一体化は、全体制御回路の機能を有する変換機を2次元ディスプレイに接続してなる場合も含む。EC制御回路9が立体画像視認用眼鏡1を制御する上で立体画像視認用眼鏡1に近接させることで電圧ノイズの影響が回避される。全体制御回路7は、好ましくは、2次元ディスプレイ10に一体化して配置され、EC制御回路9は立体画像視認用眼鏡1に一体化して配置された場合、全体制御回路7とEC制御回路9との通信のための接続は、有線でもよいし、無線でもよい。使用者の利便性の上では、全体制御回路7とEC制御回路9とは無線で通信されることが望ましい。無線で通信する場合には、全体制御回路7とEC制御回路9とに無線通信手段を設ける。
次いで、立体画像表示装置21の動作を説明する。
2次元ディスプレイ10は、視差画像である左眼用画像LIと右眼用画像RIとを時系列に交互に表示する。
2次元ディスプレイからの光は直線偏光であり、立体画像視認用眼鏡1の右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸は、2次元ディスプレイからの光の偏光方向と直交していることから、上記したように、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4は2次元ディスプレイからの光の透過率を制御することができる。
立体画像視認用眼鏡1は、2次元ディスプレイ10が右眼用画像RIを表示している間は右眼用シャッタ3が入射光を透過し、左眼用シャッタ4が入射光を遮光する。そして、2次元ディスプレイ10が左眼用画像LIを表示している間は左眼用シャッタ4が入射光を透過し、右眼用シャッタ3が入射光を遮光する。2次元ディスプレイ10が左眼用画像LIまたは右眼用画像RIを表示するタイミングと、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とが入射光を透過しまたは遮光するタイミングはEC制御回路9が制御する。
偏光度については、例えば右眼には右眼用画像RIの光強度が左眼用画像LIの光強度より少なくとも5倍以上入射することが望ましいので、80以上100未満の偏光度が望ましい。
観察者は立体画像視認用眼鏡1を装着し、視差に合わせた位置で、2次元ディスプレイ10を観察することで、立体画像を視認できる。
係る立体画像表示装置21によれば、上記のように、各光シャッタの全ての偏光を透過させる場合、すなわち、色素が消色状態で偏光制御膜が偏光特性を有さない状態では、直線偏光である入射光の偏光角の相違によって、所望の光の光量に変化が生じることはない。そのため、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とが入射光を透過させる時に、立体画像視認用眼鏡1がXY平面内で回転しても、所望の光の透過率が変化することはない。従って、光を透過させる光シャッタが立体画像表示装置21の立体画像の視認性に与える影響は少なく、観察者は良好な立体画像を視認できる。
また、従来の液晶シャッタに比べて立体画像視認用眼鏡1は光利用効率が高いので、立体画像表示装置21も従来の立体画像表示装置に比べて高い光利用効率を得ることができる。
次いで、立体画像表示装置22について説明する。図10は、立体画像表示装置22の概要図である。立体画像表示装置22と立体画像表示装置21との相違点は、2次元ディスプレイには上記した2次元ディスプレイ11を有する点と、立体画像視認用眼鏡1の右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4の偏光軸が相直交する点である。
2次元ディスプレイ11は、バックライトK1、偏光板K2、液晶層K3、偏光板K4、及びλ/2板アレイK5を有する。偏光板K2と偏光板K4とは直交ニコル配置されている。
λ/2板アレイK5には、偏光板K4を出射した直線偏光が、LI1からLI4のY方向の偏光方向を有する直線偏光に変換されるような偏光軸を有するλ/2板と、RI1からRI4のX方向の偏光方向を有する直線偏光に変換されるような偏光軸を有するλ/2板とが交互に配置されている。
尚、RI1からRI4に配置されるλ/2板は、空気を含む光学的等方性光学板が配置されていてもよい。
液晶層K3とλ/2板アレイK5とは、同図に示すように、右眼用画像RIと左眼用画像LIに対応して短冊状に区切られた像が合成されている。λ/2板アレイK5においては、右眼用画像RIと左眼用画像LIに対応して相直交する偏光軸を有する二つの偏光板が並列されている。立体画像視認用眼鏡1で2次元ディスプレイ11を観察することで、右眼には右眼用画像RI、左眼には左眼用画像LIが観察される。なお、2次元ディスプレイ11において、バックライトK1、偏光板K2、液晶層K3の部分を発せられる光が直線偏光でない2次元ディスプレイ、例えばプラズマディスプレイを用いることもできる。
右眼用シャッタS3と左眼用シャッタS4とが入射光を透過しまたは遮光するタイミングはEC制御回路9が制御する。
偏光度については、例えば右眼には右眼用画像RIの光強度が左眼用画像LIの光強度より少なくとも5倍以上入射することが望ましいので、80以上100未満の偏光度が望ましい。
係る立体画像表示装置22によれば、上記のように立体画像表示装置として用いることができるとともに、全ての光シャッタに電圧を印加して全ての偏光を透過させることで、2次元ディスプレイ11に視差のない2次元画像を表示させて2次元画像を視認することができる。このように2次元画像を視認する場合、従来の立体画像視認用眼鏡を使用する場合に比べて高い光利用効率を得ることができる。
なお、立体画像視認用眼鏡1の立体画像表示装置21,22,23の側の面と、立体画像表示装置21,22,23の立体画像視認用眼鏡1の側の面に、各々位相差板を積層しても良い。係る位置に例えばλ/4板を設ければ、視認性の回転角依存を抑制することができる。
次いで、立体画像表示装置23について説明する。図11は、立体画像表示装置23の概要図である。立体画像表示装置23と立体画像表示装置21との相違点は、2次元ディスプレイには無偏光状態の光を射出する2次元ディスプレイ12を有する点と、立体画像視認用眼鏡5を有する点である。
立体画像視認用眼鏡5においては、2次元ディスプレイ12が右眼用画像RIを表示している間は、偏光板6を通過した直線偏光が右眼用シャッタ3を透過するように、右眼用シャッタ3に電圧を印加し、左眼用シャッタ4に電圧を印加しないで、偏光板8を通過した直線偏光が遮光される。
また、立体画像視認用眼鏡5においては、2次元ディスプレイ12が左眼用画像LIを表示している間は、偏光板8を通過した直線偏光が左眼用シャッタ4を透過するように、左眼用シャッタ4に電圧を印加し、右眼用シャッタ3に電圧を印加しないで、偏光板6を通過した直線偏光が遮光される。
右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とが入射光を透過しまたは遮光するタイミングはEC制御回路9が制御する。
偏光度については、例えば右眼には右眼用画像RIの光強度が左眼用画像LIの光強度より少なくとも5倍以上入射することが望ましいので、80以上100未満の偏光度が望ましい。
観察者は立体画像視認用眼鏡1を装着し、視差に合わせた位置で、2次元ディスプレイ10を観察することで、立体画像を視認できる。
係る立体画像表示装置23によれば、上記のように、各光シャッタの全ての偏光を透過させる場合、すなわち、色素が消色状態で偏光制御膜が偏光特性を有さない状態では、直線偏光である入射光の偏光角の相違によって、所望の光の光量に変化が生じることはない。そのため、右眼用シャッタ3と左眼用シャッタ4とが入射光を透過させる時に、立体画像視認用眼鏡5がXY平面内で回転しても、所望の光の透過率が変化することはない。従って、光を透過させる光シャッタが立体画像表示装置23の立体画像の視認性へ与える影響は少なく、観察者は良好な立体画像を視認できる。
また、従来の液晶シャッタに比べて立体画像視認用眼鏡5は光利用効率が高いので、立体画像表示装置23も従来の立体画像表示装置に比べて高い光利用効率を得ることができる。
なお、立体画像視認用眼鏡1,5の2次元ディスプレイ10,11の側の面と、2次元ディスプレイ10,11の立体画像視認用眼鏡1,5の側の面に、各々位相差板を積層しても良い。係る位置に例えばλ/4板を設ければ、視認性の回転角依存を抑制することができる。
以上のように本実施形態によれば、右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有し、双方のシャッタが各々偏光軸を有するエレクトロクロミック素子を備え、エレクトロクロミック素子は、電圧非印加時に、所定の偏光方向の直線偏光のみ透過し、電圧印加時に、全ての偏光を透過する立体画像視認用眼鏡と、2次元画像から3次元画像を生成する3次元画像生成回路と、偏光軸と直交する直線偏光を発する右眼用画像と左眼用画像とを時系列で交互に表示する2次元画像表示装置と、右眼用シャッタと左眼用シャッタとに備えられたエレクトロクロミック素子の各々に電圧を印加するタイミングと、前記右眼用画像と前記左眼用画像とを表示させるタイミングを合わせる制御回路と、を有することで、光利用効率を悪化させず、回転角によって視認性に与える影響が少ない立体画像表示装置を提供することができる。
また、本実施形態によれば、右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有し、双方のシャッタがエレクトロクロミック素子を備え、該エレクトロクロミック素子は、電圧非印加時に、所定の偏光方向の直線偏光のみ透過し、電圧印加時に、全ての偏光を透過し、右眼用シャッタと左眼用シャッタとに備えられたエレクトロクロミック素子の各々に、偏光軸の方向が各エレクトロクロミック素子の偏光方向と直交する偏光板を有する立体画像視認用眼鏡と、2次元画像から3次元画像を生成する3次元画像生成回路と、右眼用画像と左眼用画像とを時系列で交互に表示する2次元画像表示装置と、右眼用シャッタと左眼用シャッタとに備えられたエレクトロクロミック素子の各々に電圧を印加するタイミングと、右眼用画像と左眼用画像とを表示させるタイミングを合わせる制御回路と、を有することで、光利用効率を悪化させず、回転角によって視認性に与える影響が少ない立体画像表示装置を提供することができる。
また、本実施形態によれば、右眼用シャッタと左眼用シャッタとを有し、双方のシャッタがエレクトロクロミック素子を備え、エレクトロクロミック素子は、電圧非印加時に、所定の偏光方向の直線偏光のみ透過し、電圧印加時に、全ての偏光を透過し、右眼用シャッタと左眼用シャッタに、受光する画像の偏光方向と相直交する偏光軸を具備し偏光軸が相直交するエレクトロクロミック素子を備えた立体画像視認用眼鏡と、2次元画像から3次元画像を生成する3次元画像生成回路と、相直交する偏光方向を有する直線偏光を各々射出する右眼用画像と左眼用画像とが交互に並列された2次元画像表示装置と、右眼用画像と左眼用画像の表示のタイミングを合わせる制御回路と、を有することで、光利用効率を悪化させず、回転角によって視認性に与える影響が少ない立体画像表示装置を提供することができる。
また、本実施形態によれば、エレクトロクロミック素子を透過させる直線偏光の偏光度が、80以上100未満であることから、例えば右眼には左眼用画像の光強度に比べて5倍以上の光強度を有する右眼用画像を入射させることができ、立体画像の観察において良好な視認性を得ることができる。