JP5607596B2 - 軟白ねぎの栽培方法 - Google Patents
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従来の軟白ねぎの栽培方法としては地中で茎部を栽培する方法が知られているが、収穫時に土を掘るための大きな労力を必要とし、作業性が悪いという問題がある。
また、地上部で茎を栽培し、茎の周囲に土盛りをする方法もある。しかしながら、この方法では土寄せの必要から畝間の間隔を広く取る必要があり、畝間の間隔がたとえば約1mとなって、全体として単位面積あたりの栽培本数は多くない。また、土盛り頂部での光の遮断が不十分で軟白ねぎの緑色部と白色部との区分が明確でなくなるという問題もあり、盛り土くずれのために、栽培できる軟白ねぎの茎部長さに限界がある(茎部長さの上限が35cm程度)。さらに、土盛り作業は大きな労力を要する。
すなわち、本発明は、
(1)(i) 軟白ねぎの苗の1畝分が収容できる大きさの上方に空いた直方体形状の苗箱に土を入れ、幅方向中央に一列に軟白ねぎの苗を定植後、肥料、水を与えて生育させ、軟白ねぎの生育に伴い該軟白ねぎの軟白上端部を覆う高さまで充填材を入れる操作を1回以上行い、(ii) 充填材層の上面が苗箱の高さに近くなると、上部板囲い板を継ぎ足して、さらに、生育する軟白ねぎの軟白上端部を覆う高さまで充填材を入れる操作を1回以上行い、(iii) その後、軟白ねぎの生育にあわせて、上部板囲い板の継ぎ足し、充填材入れの操作を繰り返す、ことを特徴とする軟白ねぎの栽培方法、
(2)直方体形状の苗箱に代えて底部がない直方体形状の板囲いを使用し、苗を地植えする上記(1)に記載の軟白ねぎの栽培方法、
(3)充填材が、土、わらくず、もみがら、ポリエチレンペレット、及び発泡スチロール粒子の一種以上である上記(1)又は(2)に記載の軟白ねぎの栽培方法、
(4)当初の直方体形状が幅10〜30cm、長さ100〜500cm、高さ10〜30cmであり、前記上部板囲い板を複数回継ぎ足すことで得られた上部板囲いが幅5〜20cm、長さ100〜500cm、高さが40〜100cmである上記(1)〜(3)に記載の軟白ねぎの栽培方法、
(5)幅方向で近接させて置いた2〜4個の苗箱又は板囲いの組の複数組を、隣り合う2〜4個の苗箱又は板囲いの組を幅方向で50cm程度の間隔をあけて配置する上記(1)〜(4)に記載の軟白ねぎの栽培方法、
を提供するものである。
また、軟白ねぎの成長にあわせて上部板囲い板を継ぎ足して充填材を入れることを複数回繰り返すので、従来の土盛り法による軟白ねぎの長さの上限を越えて生育させることができ、茎部が太くて長く、まっすぐな軟白ねぎを作ることができる。
ここで、軟白ねぎの「軟白上端部」とは、軟白ねぎの白色の茎と緑色の葉との境界部分近傍をいう。
すなわち、軟白ねぎの苗の1畝分が収容できる苗箱の中で軟白ねぎを定植して生育させ、軟白ねぎの生育とともに、苗箱の上に上部板囲い板を継ぎ足して、生育する軟白ねぎの軟白上端部を覆うよう充填材を入れることを繰り返すものである。
なお、本明細書において、各種寸法の記載は、発明の説明を容易にするための一実施形態に関する例示的な記載であって、本発明はこれら記載に限定されるものではない。
苗箱は、底があってもよいし、なくてもよい。
前者の場合、軟白ねぎの苗の根の部分が十分に埋まる程度の量の肥沃な土を入れ、苗箱の幅方向中央に一列に軟白ねぎの苗を定植する。水はけのため、苗箱の底は数箇所の穴があいていることが好ましい。
後者、すなわち板囲いの場合、これが動かない程度に少し地面の中に挿し込み、軟白ねぎの苗を地植えする。
野菜工場、ベランダ等での栽培には、底がついていること、動かせることが必要であるため、前者の苗箱であることを要する。
角柱Bの取り付け位置が両端から0cmであれば、後述の上部板囲いは苗箱等の枠と同じ寸法のものが継ぎ足されることとなり、3〜5cm内側であれば、上部板囲いの幅が苗箱等の幅より狭くなり、幅方向両側に3〜5cmの苗箱等の露出部ができることとなる。
軟白ねぎが伸びてきたところで該軟白ねぎの軟白上端部を覆うよう充填材を入れる。
充填材としては、土でもよく、わらくず、もみがら、ポリエチレンペレット、発泡スチロール粒子などであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
充填材は、遮光の役割をして、茎部(葉鞘部)を白くし、また、軟白ねぎが倒れることなく真直ぐに伸びることを助ける。このような作用をするので、充填材として土を用いる場合はやせた土でもよい。
なお、充填材としてわらくず、もみがら、ポリエチレンペレット、発泡スチロール粒子などを用いるときは、収穫後の洗浄が簡単になるという利点がある。
軟白ねぎの茎部(葉鞘部)の成長にあわせ、充填材は1回当たり約5〜10cmの層厚みで入れる。また、肥料は適宜施すのが好ましい。
苗箱等の2つの端部板の上部には、高さが5〜12cmで長さが5〜20cmの板を角柱Bの上に木ねじや接着剤を用いて貼り付ける。苗箱等の2つの長さ方向側部板の上方には、高さが5〜12cmで長さが100〜500cmの板を角柱Bの内側にはめ込む。
かくして、幅方向5〜20cm、長さ方向100〜500cm、高さ5〜12cmの上部板囲いCが継ぎ足される。
なお、苗箱等の幅方向は10〜30cmであり、継ぎ足す上部板囲いCの幅方向は5〜20cmであって、苗箱等の幅は、継ぎ足す上部板囲いCと同じ幅でもよいが、Cよりも幅が大きいことが好ましく、そのときは、苗箱等の土の露出部分から軟白ねぎの根部分へ肥料等を施すことができる。
目標とする茎部長さの軟白ねぎを得るためには、上部板囲い板の継ぎ足しは4〜6回程度である。
この、目標とする茎部長さの軟白ねぎを得る段階の、上部板囲い板を複数回継ぎ足した上部板囲いCは幅5〜20cm、長さ100〜500cmで、高さは40〜100cmである。
かくして、白い茎部が太くて長く、真直ぐな軟白ねぎを得ることができ、茎部長さが35cm以上の軟白ねぎを容易に作ることができる。
B 角柱
C 上部板囲い
a 苗箱あるいは板囲いの幅
b 苗箱あるいは板囲いの長さ、上部板囲いの長さ
c 上部板囲いの幅
h1 苗箱あるいは板囲いの高さ
h2 角柱の上部高さ
Claims (5)
- (i) 軟白ねぎの苗の1畝分が収容できる大きさの上方に空いた直方体形状の苗箱に土を入れ、幅方向中央に一列に軟白ねぎの苗を定植後、肥料、水を与えて生育させ、軟白ねぎの生育に伴い該軟白ねぎの軟白上端部を覆う高さまで充填材を入れる操作を1回以上行い、
(ii) 充填材層の上面が苗箱の高さに近くなると、高さ5〜12cmの上部板囲い板を継ぎ足して、さらに、生育する軟白ねぎの軟白上端部を覆う高さまで層厚み5〜10cmで充填材を入れる操作を1回以上行い、
(iii) その後、軟白ねぎの生育にあわせて、前記の上部板囲い板の継ぎ足し、前記の充填材入れの操作を繰り返す、
ことを特徴とする軟白ねぎの栽培方法であって、
前記の上部板囲い板の各継ぎ足し操作は、苗箱の4隅に立設された角柱上に端部板を貼り付け、角柱の内側に側部板をはめこむものである、
軟白ねぎの栽培方法。 - 直方体形状の苗箱に代えて底部がない直方体形状の板囲いを使用し、苗を地植えする請求項1に記載の軟白ねぎの栽培方法。
- 充填材が、土、わらくず、もみがら、ポリエチレンペレット、及び発泡スチロール粒子の一種以上である請求項1又は2に記載の軟白ねぎの栽培方法。
- 当初の直方体形状が幅10〜30cm、長さ100〜500cm、高さ10〜30cmであり、前記上部板囲い板を複数回継ぎ足すことで得られた上部板囲いが幅5〜20cm、長さ100〜500cm、高さが40〜100cmである請求項1〜3に記載の軟白ねぎの栽培方法。
- 幅方向で近接させて置いた2〜4個の苗箱又は板囲いの組の複数組を、隣り合う2〜4個の苗箱又は板囲いの組を幅方向で50cm程度の間隔をあけて配置する請求項1〜4に記載の軟白ねぎの栽培方法。
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