JP5603064B2 - 遮熱性に優れた織編物および繊維製品 - Google Patents
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その際、前記フィラメント糸Aがポリエステルからなることが好ましい。また、前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条であることが好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWf
は緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
また、本発明によれば、前記の織編物を用いてなる、スポーツウエア、アウトドアウェア、紳士衣服、婦人衣服、作業衣、カーテン、テント、タープ、傘、帽子、日よけシート、および日よけネットの群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
まず、フィラメント糸A(以下、「ナノファイバー」と称することもある。)において、その単繊維径(単繊維の直径)が10〜1000nm(好ましくは100〜900nm、特に好ましくは550〜900nm)の範囲内であることが肝要である。かかる単繊維径を単繊維繊度に換算すると、0.000001〜0.01dtexに相当する。該単繊維径が10nmよりも小さい場合は繊維強度が低下するため実用上好ましくない。逆に、該単繊維径が1000nmよりも大きい場合は、近赤外線に対して優れた遮熱効果が得られず好ましくない。ここで、単繊維の断面形状が丸断面以外の異型断面である場合には、外接円の直径を単繊維径とする。なお、単繊維径は、透過型電子顕微鏡で繊維の横断面を撮影することにより測定が可能である。また、単繊維繊度のばらつきが−20%〜+20%の範囲内であることが好ましい。
前記フィラメント糸Aと他の糸条とは、複合糸として織編物に含まれていてもよいし、両者が引き揃えられて含まれていてもよいし、両者が交編または交織されていてもよい。
また、織編物の目付けとしては、優れた遮熱性を得る上で30g/m2以上(より好ましくは30〜300g/m2)であることが好ましい。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWf
は緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
ここで、織編物の遮熱性としては、島津製作所製「UV3100S MPC−3100」で、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率を測定して、40%以下であることが好ましい。
乾燥処理後のポリマーを紡糸時のルーダー溶融温度に設定したオリフィスにセットして5分間溶融保持したのち、数水準の荷重をかけて押し出し、そのときのせん断速度と溶融粘度をプロットした。そのプロットをなだらかにつないで、せん断速度−溶融粘度曲線を作成し、せん断速度が1000秒−1の時の溶融粘度を見た。
海・島成分の各々0.3φ−0.6L×24Hの口金にて1000〜2000m/分の紡糸速度で糸を巻き取り、さらに残留伸度が30〜60%の範囲になるように延伸して、84dtex/24filのマルチフィラメントを作製する。これを各溶剤にて溶解しようとする温度で浴比100にて溶解時間と溶解量から減量速度を算出した。
丸編地を液体窒素に浸漬して固まらせた後カットした後、断面(縦61μm×横80μm、面積4880μm2)を電子顕微鏡で10箇所撮影し(倍率1500倍)、100本以上のフィラメント糸Aが凝集密着したフィラメント糸A塊の合計個数をカウントした。合計個数が0個の場合を合格とし、1個以上の場合を不合格とした。
丸編地を電子顕微鏡で写真撮影した後、n数5で単繊維径を測定しその平均値を求めた。
JIS L 1096 8.5に従って測定した。
JIS L1096 6.4.2に従って測定した。
島津製作所製「UV3100S MPC−3100」で、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率を測定した。
温度20℃、湿度65%RHの室内で、一辺が20cmの正方形状の織編物を試料とし、長さ10cmの4本の支柱で試料の四隅を支え、試料を床に対して水平に固定した。試料に対し垂直上方34cmの位置にランプ(パナソニック製レフ電球 ハイランプ屋外用(RF110V450WH))を固定した。そして、光を照射する前の試料中央部の5cm下方の空間温度(T0)を測定した。次いで、ランプをONにし、照射開始15分後の試料中央部の5cm下方の空間温度(T1)を測定した。そして、T1とT0との温度差(T1−T0)を算出した。温度差(T1−T0)が7℃以下であれば、遮熱性が良好であるとする。
下記式により織物のカバーファクターCFを求めた。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWf
は緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。]
島成分としてポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1200ポイズ、艶消し剤の含有なし)、海成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸6モル%と数平均分子量4000のポリエチレングリコール6重量%を共重合したポリエチレンテレフタレート(280℃における溶融粘度が1750ポイズ)を用い(溶解速度比(海/島)=230)、海:島=30:70、島数=836の海島型複合未延伸糸を、紡糸温度280℃、紡糸速度1500m/分で溶融紡糸して一旦巻き取った。
得られた未延伸糸を、延伸倍率2.5倍でローラー延伸し、次いで150℃で熱セットし、海島型複合延伸糸(フィラメント糸A用マルチフィラメント)として巻き取った。得られた海島型複合延伸糸は56dtex/10filであり、透過型電子顕微鏡TEMによる繊維横断面を観察したところ、島の形状は丸形状でかつ島の径は700nmであった。
そして、該織物を50℃にて湿熱処理した後、海島型複合延伸糸の海成分を除去するために、2.5%NaOH水溶液で、55℃にて31%減量(アルカリ減量)した。その後、常法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の経糸および緯糸全量が均一性に優れたナノファイバー(単繊維径700nmのフィラメント糸A)により構成されていることを確認した。
得られた織物において、織物のカバーファクターCFは2470、厚みは0.15mm、目付は95g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は26%であり、前記T1とT0の温度差は4.9℃と小さく遮熱性に優れるものであった。
次いで、前記織物を用いて、日傘製品を縫製して実用したところ、遮熱性に優れるものであった。
実施例1と同様にしてフィラメント糸A用糸条として海島型複合延伸糸56dtex/10filを得た。
次いで、通常のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント仮撚加工糸(56デシテックス/144フィラメント、単繊維径0.39μm)を150回/m(S方向)にて撚糸した糸条を経糸に全量配し、前述の海島型複合延伸糸を無撚にて緯糸に全量配し、経密度151本/2.54cm、緯密度134本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、湿熱加工、乾熱加工を行った。この際のアルカリ減量率は17%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の緯糸全量が均一性に優れたナノファイバーにより構成されていることを確認した。
得られた織物において、織物のカバーファクターCFは2200、厚みは0.2mm、目付は150g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は37%であり、前記T1とT0の温度差は5.9℃と小さく遮熱性に優れるものであった。
実施例1と同様にしてフィラメント糸A用糸条として海島型複合延伸糸56dtex/10filを得た。次いで、該延伸糸2本と通常のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(33dtex/12fil、単繊維径16.1μm)とインターレース加工にて混繊糸を得た。
該混繊糸を300回/m(S方向)にて撚糸し、経糸に全量配し、一方、通常のポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント仮撚捲縮加工糸(56dtex/144fil、単繊維径0.39μm)を2本引き揃え300回/m(S方向)にて合撚後、緯糸に全量配し、経密度171本/2.54cm、緯密度67本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により5枚サテン組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、湿熱加工、乾熱加工を行った。この際のアルカリ減量率は21%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の経糸に均一性に優れた極細繊維が含まれていることを確認した。
得られた織物において、織物のカバーファクターCFは3626、厚みは0.33mm、目付は177g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は29%であり、前記T1とT0の温度差は5.3℃と小さく遮熱性に優れるものであった。
実施例1と同様にしてフィラメント糸A用糸条として海島型複合延伸糸56dtex/10filを得た。
次いで、28ゲージの通常の経編機を使用して、前述の海島型複合延伸糸をフロント筬とミドル筬に用い、ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(33dtex/12fil、単繊維径16.1μm)をバック筬に用い、サテン組織(バック:10/21、ミドル:10/34、フロント:10/34による編方)によりサテン組織の経編生機を得た。
その後、該編物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、湿熱加工、乾熱加工を行った。この際のアルカリ減量率は25%であった。
得られた編物を走査型電子顕微鏡SEMで編物表面および経断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、編物に均一性に優れた極細繊維が含まれていることを確認した。
得られた編物において、厚みは0.53mm、目付は233g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は24%であり、前記T1とT0の温度差は4.3℃と小さく遮熱性に優れるものであった。
経糸および緯糸に、艶消し剤(二酸化チタン)を2.5重量%含みそれ以外の無機微粒子を含まないポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント84dtex/36fil(帝人ファイバー(株)製、単繊維径14.8μm)を全量配し、通常のレピア織機を用いて、経密度115本/2.54cm、緯密度96本/2.54cmの織密度にて、常法の製織方法により平組織の織物生機を得た。
次いで、該織物生機に定法の湿熱加工、乾熱加工を行った。
得られた織物において、厚みは0.2mm、目付は101g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は56%であり、前記T1とT0の温度差は7.7℃と大きく遮熱性は劣るものであった。
実施例1と同様にしてフィラメント糸A用糸条として海島型複合延伸糸56dtex/10filを得た。
次いで、該延伸糸1本を経糸および緯糸に全量配し、経密度151本/2.54cm、緯密度134本/2.54cmの織密度にて、通常の製織方法により平組織の織物生機を得た。
その後、該織物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、湿熱加工、乾熱加工を行った。この際のアルカリ減量率は31%であった。
得られた織物を走査型電子顕微鏡SEMで織物表面および経糸および緯糸断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、織物の経糸および緯糸全量が均一性に優れたナノファイバー(単繊維径700nmのフィラメント糸A)により構成されていることを確認したが、得られた織物において、厚みは0.08mm、目付は98g/m2、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は42%(範囲より大)であり、前記T1とT0の温度差は7.2℃と大きく遮熱性は劣るものであった。
実施例1と同様にしてフィラメント糸A用糸条として海島型複合延伸糸56dtex/10filを得た。
次いで、該延伸糸を3本引き揃え70回/m(S方向)にて撚糸し、28ゲージの通常の経編機を使用して、前述の海島型複合延伸糸の合撚糸をフロント筬に用い、ポリエチレンテレフタレートからなるマルチフィラメント(56dtex/12fil、単繊維径20.9μm)をバック筬に用い、サテン組織(バック:10/21、フロント:10/45による編方)によりサテン組織の経編生機を得た。
その後、該編物を実施例1と同様の方法で、湿熱処理、アルカリ減量加工、湿熱加工、乾熱加工を行った。この際のアルカリ減量率は26%であった。
得られた編物を走査型電子顕微鏡SEMで編物表面および経断面を観察したところ、海成分は完全に溶解除去されており、編物に均一性に優れた極細繊維が含まれていることを確認したが、得られた編物において、波長780nm〜2μmの範囲の近赤外線に対する平均透過率は23%、前記T1とT0の温度差は4.2℃と十分小さいものであったが、厚みは0.65mm、目付は320(範囲より大)g/m2と大きく、繊維製品(日傘)にしたところ、重量が大きすぎ、実用にはやや劣るものであった。
Claims (6)
- 単繊維径が10〜1000nmであり、かつフィラメント数が2000本以上のフィラメント糸Aを含む織編物であって、織編物の厚さが0.1〜1.0mmの範囲内であることを特徴とする遮熱性に優れた織編物を用いてなる日傘。
- 前記フィラメント糸Aがポリエステルからなる、請求項1に記載の日傘。
- 前記フィラメント糸Aが、海成分と島成分とからなる海島型複合繊維の海成分を溶解除去して得られた糸条である、請求項1または請求項2に記載の日傘。
- 織編物が、下記式に定義するカバーファクターCFが1200以上の織物である、請求項1〜3のいずれかに記載の日傘。
CF=(DWp/1.1)1/2×MWp+(DWf/1.1)1/2×MWf
[DWpは経糸総繊度(dtex)、MWpは経糸織密度(本/2.54cm)、DWf
は緯糸総繊度(dtex)、MWfは緯糸織密度(本/2.54cm)である。] - 織編物の目付けが30g/m2以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の日傘。
- 織編物に対する、波長0.78〜2μmの近赤外線の平均透過率が40%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の日傘。
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