JP5597181B2 - 歯付きベルト - Google Patents
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Description
本発明は、歯付きベルトに関し、特に高温、高負荷環境下や、油や水に接触する環境下で使用される歯付きベルトに関する。
従来、RFL処理やゴム糊処理により、歯布の劣化を防止して、ベルトの耐久性を向上させる技術が広く知られている。しかし、水や油がベルトに掛かる環境下や、高温環境下では、RFLやゴム糊等の処理剤は、劣化しやすく、十分に歯布を保護することができない。そのため、歯布に含浸した処理剤は早期に摩耗され、プーリが歯布の繊維材料に直接接触することとなり、歯布にクラック等が生じ、ベルトの耐久性が低下する。
また、例えば、特許文献1に開示されるように、RFL処理液に、芳香族エポキシ樹脂が添加され、歯布の引張強度が向上させられる構成も知られている。しかし、RFLをベースとした処理液は、エポキシ樹脂が付加的に添加されても、歯布の耐水、耐熱、耐油性等を十分に向上させることができず、高温、高負荷環境下や、油や水に接触する環境下で使用されるベルトの耐久性を十分に向上させることはできない。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、歯布の耐摩耗性や耐油・耐水性を向上させて、高温・高負荷環境下や、油や水に接触するような環境下で使用されても、耐久性が良好になる歯付きベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る歯付きベルトは、一方の面側に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられたベルト本体と、そのベルト本体の一方の面に被覆された歯布とを備え、歯布が、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤、及びゴム成分を含む処理剤組成物で処理されたことを特徴とする。
エポキシ樹脂は、例えば、脂肪族型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びフェノキシ型エポキシ樹脂から成る群から選択される少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、これらのうち脂肪族型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂から成る群から選択される少なくとも1つのエポキシ樹脂を含むことが好ましい。また、上記硬化剤は、好ましくはイミダゾール系硬化剤である。
ゴム成分はラテックスであるとともに、歯布は、処理剤組成物が水によって希釈されたものによって含浸処理されることが好ましい。また、ゴム成分は、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(HNBR)や水素添加カルボキシル化ニトリルゴム(HXNBR)であることが好ましい。さらに、エポキシ樹脂とゴム成分(例えば、ラテックス)の重量比は、例えば、1:9〜9:1である。
ベルト本体の歯布に接着される部分は、ゴムと、レゾルシノールと、メラミン化合物とを含むゴム組成物が加硫されて成形されたものであることが好ましい。また、ベルト本体の歯布に接着される部分のゴムは、HNBRやHXNBRを含むことがより好ましい。
上記エポキシ樹脂、エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤、及びゴム成分を含む処理剤組成物で処理された歯布は、その外表面が、さらにエポキシ樹脂の硬化物によって被覆されていても良い。
本発明に係る歯付きベルトの製造方法は、一方の面側に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられたベルト本体と、そのベルトの本体の一方の面に被覆された歯布とを備える歯付きベルトの製造方法であって、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤、及びゴム成分を含む処理剤組成物で歯布を処理し、その処理された歯布に未加硫ゴムシートを重ねた後、加硫成形して歯付きベルトを得ることを特徴とする。
本発明においては、歯付きベルトの歯布処理を改良することにより、ベルトの耐水、耐熱、耐油性等が向上するので、ベルトが高温・高負荷環境下や水や油に接触する環境下で使用されても、歯付きベルトの耐久性が良好なものとなる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態における歯付きベルトを示す。歯付きベルト10は、無端状に形成されて、例えば内燃機関等において、従動及び原動プーリ(不図示)に掛け回されて使用されるものである。歯付きベルト10は、原動プーリのトルク(駆動力)を、噛み合い伝動により従動プーリに伝動させるタイミングベルトである。
図1は、本発明の一実施形態における歯付きベルトを示す。歯付きベルト10は、無端状に形成されて、例えば内燃機関等において、従動及び原動プーリ(不図示)に掛け回されて使用されるものである。歯付きベルト10は、原動プーリのトルク(駆動力)を、噛み合い伝動により従動プーリに伝動させるタイミングベルトである。
歯付きベルト10は、一方の面側に設けられた歯ゴム11と、他方の面側に設けられた背ゴム12により一体的に形成されたベルト本体13と、歯ゴム11と背ゴム12との境界部分において、スパイラル状に巻かれ、ベルトの長手方向に延在して埋設される心線14とを備える。
歯ゴム11は、ベルト本体13の一方の面側に、ベルトの長手方向に沿って歯部15と歯底部16を交互に形成するものである。歯ゴム11は、歯部15の大部分を占めるとともに背ゴム12の上に積層され、歯部15の形状に応じた形状を有する芯ゴム部17と、その芯ゴム部17の上に積層され、歯ゴム11の表面に配置される薄厚の歯表面ゴム部18とを備える。歯表面ゴム部18の表面(すなわち、ベルト本体13の一方の面)には、歯ゴム11を被覆する歯布20が接着される。
芯ゴム部17には、ナイロン繊維、ナイロンを変性した変性ナイロン繊維、アラミド繊維等から成り、繊維長0.5〜10mm程度の短繊維25が混入される一方、歯表面ゴム部18及び背ゴム12には、短繊維が混入されていない。そのため、芯ゴム部17のモジュラスは、歯表面ゴム部18及び背ゴム12のモジュラスよりも高くなる。なお、芯ゴム部17には、歯ゴム11の強度をより向上させるために、アラミド短繊維が混入されることが好ましい。
芯ゴム部17において短繊維25は、歯部15の中央領域では、ほぼベルトの厚さ方向に配向されると共に、その中央領域から歯面に近づくにつれて、歯面に沿うように厚さ方向に対して傾いて配向され、歯部15の頂部近傍や歯底部16近傍ではほぼベルトの長手方向に沿って配向される。
歯表面ゴム部18は、ゴムと、各種添加剤とを含有するするゴム組成物が加硫されて成形されたものである。このゴム組成物は、ゴムとして水素添加ニトリルゴム(HNBR)を主成分として含むものであるが、水素添加カルボキシル化ニトリルゴム(HXNBR)やニトリルゴム(NBR)等の他のゴム成分を含んでいても良い。
歯表面ゴム部18を成形するためのゴム組成物には、マトリックスとして、上記ゴムに加えて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩を含んでいても良い。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩は、例えば、マトリックス(ゴム及びα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩の合計重量)に対して、0.2〜0.4程度含有される。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属とがイオン結合したものであり、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては例えばアクリル酸、メタクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸が使用され、好ましくはメタクリル酸が使用される。金属としては例えば亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛等が使用され、好ましくは亜鉛が使用される。そして、例えば上記金属塩としてはジメタクリル酸亜鉛が使用される。
歯表面ゴム部18を成形するためのゴム組成物は、さらに内添型接着剤として、レゾルシノールとメラミン化合物を含有することが好ましい。本実施形態では、歯表面ゴム部18にこれら化合物が配合されることにより、加硫時の加熱等によってメラミン化合物やレゾルシノールが重合されて網目構造が構築されて、歯ゴム11の表面の引裂強度等が高められる。また、後述するエポキシ−ゴム処理剤組成物によって含浸処理された歯布20に対する歯表面ゴム部18の接着強度が高められる。
上記メラミン化合物としては、例えば、アミノ基の少なくとも一部がメトキシメチル化されたメラミン化合物であって、具体的には、ヘキサメトキシメチロールメラミン、その部分縮合物であるオリゴマー、又はこれら混合物である、ヘキサメトキシメチロールメラミン化合物が使用される。このようなメラミン化合物は、その25℃における粘度(DIN19268による)が3000〜8000mPa・s程度となるものが好ましい。
レゾルシノールは、ゴム組成物のマトリックス100重量部に対して、0.3〜8重量部、好ましくは0.5〜4.5重量部、より好ましくは1.5〜3.0重量部配合される。また、メラミン化合物は、レゾルシノールよりも配合部数(重量)が少ないことが好ましく、ゴム組成物のマトリックス100重量部に対して、0.2〜5重量部、好ましくは0.3〜2.7重量部、より好ましくは0.9〜1.8重量部配合される。メラミン化合物やレゾルシノールの配合量が、上記範囲よりも多くなると、引裂強度や破断強度等が良好になりにくくなる一方で、上記範囲より少ないと接着強度が向上しにくくなる。
歯表面ゴム部18を成形するためのゴム組成物は、シリカを含むことが好ましい。シリカとしては、微粒子又は粉末状等のものが使用される。本実施形態では、シリカに含まれる水分によって、メラミン化合物からホルムアルデヒドが供与され、そのホルムアルデヒドによりレゾルシノールが重合されるとともに、メラミン化合物も重合され、上記したように接着力や引裂強度等が良好となる。シリカは、ゴム組成物のマトリックス100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは20〜40重量部である。
歯表面ゴム部18を形成するためのゴム組成物は、添加物として、さらに、加硫剤、可塑剤、滑剤、カーボンブラック等の公知のゴム添加剤を含む。本実施形態では、加硫剤としては、有機過酸化物系の加硫剤が使用されることが好ましい。
歯表面ゴム部18を成形するためのゴム組成物は、以下のように用意される。まず、シリカ等の加硫剤及び内添型接着剤(レゾルシノール及びメラミン化合物)以外のゴム組成物の添加剤が、好ましくは下記一次練りより高い温度で、ゴムと共に混練される。次いで、上記内添型接着剤が加えられさらに混練(一次練り)される。この一次練りでは、混練温度は100℃以上であることが好ましく、これにより、シリカの水分が組成物中に放出され、上記したように、メラミン化合物からホルムアルデヒドが供与されやすくなる。一次練りを終えた混合物にはさらに加硫剤が添加され、加硫剤の加硫温度未満(一次練りの混練温度未満)で混練されてゴム組成物が得られる(二次練り)。このゴム組成物は、シート状にされて、歯表面ゴムシート18’(図2参照)として使用される。ただし、ゴムの混練方法は、この方法に限定されず、例えば、加硫剤以外の添加剤が一次練りや二次練りで適宜添加されても良い。
芯ゴム部17は、上記したレゾルシノール及びメラミン化合物が配合されない一方、短繊維25が混入されたゴム組成物から形成されたものであるが、その他の構成は、歯表面ゴム部18と同様であって良い。また、芯ゴム部17のゴム成分は、歯表面ゴム部18と同様に、HNBRを主成分とすることが好ましいが、もちろん、HXNBRやNBR等の他のゴム成分を含んでいても良い。
背ゴム12は、従来公知の歯付きベルトの背ゴムに使用されるゴムと同様のものが使用されて良いが、短繊維が混入されていないことが好ましい。また、背ゴム12に使用されるゴムは、歯ゴム11と同様に、HNBRを主成分とすることが好ましく、必要に応じてその他のゴム成分を含んでいても良い。
歯布20は、特に限定されないが、例えば、ベルトの長手方向に沿って延びる第1の糸(例えば緯糸)と、ベルトの幅方向に沿って延びる第2の糸(例えば経糸)とが織られて構成された織物である。歯布20は、例えば、第1の糸が伸縮性糸、第2の糸が非伸縮性糸で構成され、ベルトの長手方向に伸縮性を有しており、予成形される際にコルゲート状に成形されやすくなる。本実施形態では、ベルト表面の強度を向上させるために、歯布20を構成する少なくとも一部の繊維が、アラミド繊維であることが好ましく、例えば第1の糸の少なくとも一部がアラミド繊維であることが好ましい。
歯布20は、エポキシ樹脂(プレポリマー)と、エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤と、ゴム成分とを含むエポキシ−ゴム処理剤組成物を希釈液(溶媒)で希釈した処理液によって含浸処理されたものである。上記処理剤組成物に含まれるゴム成分は、ラテックスであることが好ましく、また処理剤組成物を希釈するための溶媒としては水が好ましい。ただし、希釈溶媒はトルエン、MEK(メチルエチルケトン)等の有機溶剤等であっても良く、上記処理液は、未加硫ゴムポリマー、エポキシ樹脂及び硬化剤を含むエポキシ−ゴム処理剤組成物を有機溶媒で希釈したものであっても良い。また、エポキシ−ゴム処理剤組成物は、この組成物に含まれるゴム成分を加硫するための加硫剤を含んでいても良い。加硫剤を含む処理液によって含浸処理された歯布は、後述するゴム加硫時の加熱により、前記ゴム成分が加硫剤により加硫され、歯布の耐油膨潤性や耐熱性が一段と向上する。
上記含浸処理は、例えば、歯布が処理液に浸漬された後、加熱乾燥により水等の溶媒が蒸発されることにより行われる。ここでの加熱は、上記溶媒を短時間で気化し、加熱乾燥時にエポキシ樹脂をできるだけ硬化させないようにするために、比較的高い温度で短時間で行われることが好ましく、例えば後述する加硫時の加熱温度よりも高い温度で行われる。歯布20に付着されたエポキシ樹脂は、熱硬化性エポキシ樹脂であり、後述するゴム加硫時の加熱により硬化剤により硬化され、歯布20の表面には、エポキシ樹脂の硬化物とラテックス等のゴム成分による被膜が形成される。
エポキシ−ゴム処理剤組成物に含まれるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で使用されても良いが、2種以上が使用されても良い。なお、エポキシ樹脂は、その数平均分子量が300以上であることが好ましい。ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)により測定したポリスチレン換算の値をいう。
エポキシ−ゴム処理剤組成物を希釈するための溶媒が水である場合には、エポキシ樹脂は、水溶性であることが好ましく、それにより、エポキシ樹脂は処理液において溶解するので、処理液の取り扱い性が良好になり、均一な被膜を形成しやすくなる。例えば、上記例示したエポキシ樹脂のうち、脂肪族型エポキシ樹脂は、水溶性を示すものが多く、通常、溶媒として水を含む処理液において水溶媒に溶解する。
また、脂肪族型エポキシ樹脂は、硬化物による被膜の硬さを適切なものとしやすく、歯ゴムとの接着性を高めつつ、ベルトの耐久性を容易に向上させることができる。脂肪族型エポキシ樹脂としては、例えばポリグリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリセリン系のものが挙げられる。また、エポキシ樹脂は、硬化剤による硬化によって網目構造が構築できるように、官能基(エポキシ基)を3つ以上有することが好ましい。
エポキシ−ゴム処理剤組成物において、エポキシ樹脂とゴム成分の重量比(固形分重量比)は、例えば、エポキシ樹脂:ゴム成分が9:1〜1:9であり、好ましくは7:3〜3:7である。また、例えばエポキシ樹脂が上記したような脂肪族型である場合には、歯布20の硬さを適切にしつつ、接着性能を良好にするために、エポキシ樹脂の配合重量がゴム成分の配合重量以上であることが好ましい。一方、ノボラック型等の芳香族系では、少量で歯布20が硬直になりやすいので、被膜の硬さを適切にしつつ、接着性能を良好にするためには、エポキシ樹脂の配合重量をゴム成分の配合重量以下とすることが好ましい。
エポキシ−ゴム処理剤組成物に含まれる硬化剤としては、上記各エポキシ樹脂を硬化できるものであれば良いが、例えば、触媒系硬化剤であるイミダゾール系硬化剤が使用されることが好ましい。触媒系硬化剤は、触媒的にエポキシ環同士を直接反応させて、エポキシ樹脂を重合する。また、硬化剤は、エポキシ樹脂と同様に、水に可溶で、処理液において溶解していたほうが良い。
また、エポキシ−ゴム処理剤組成物に含まれるゴム成分としては、特に限定されるわけでないが、HNBRで形成される歯表面ゴム部18との接着性を向上させるために、NBR、HNBR、又はHXNBRが使用されることが好ましく、すなわちNBRラテックス、HNBRラテックス、又はHXNBRラテックスが使用されることが好ましい。
さらに、エポキシ−ゴム処理剤組成物に含まれる、ゴム成分を加硫するための加硫剤としては、特に限定するわけではないが、歯布の耐油膨潤性や耐熱性を向上させるために、アミン系加硫剤、パーオキサイド加硫剤、イオウ系加硫剤が使用されることが好ましい。
また、エポキシ−ゴム処理剤の歯布20への付着量(固形分)は、例えば5〜200g/m2であり、好ましくは20〜100g/m2である。付着量が5g/m2より少ないとベルトの耐水、耐熱、耐油性等の性能向上効果が乏しく、付着量が200g/m2より多いと歯布の剛性が高くなりすぎて、帆布クラックの発生や心線の屈曲性能の低下を招く。
次に、図2を用いて本実施形態における歯付きベルト10の製造方法を説明する。上記したように、エポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理された歯布20は、まず、従来公知の方法により、歯部23及び歯底部24を交互に有するコルゲート状に予成形される。
次いで、コルゲート状の歯布20の一方の面22’の上に、歯表面ゴムシート18’及び芯ゴムシート17’がこの順に圧着され、ゴム付き歯布28が得られる。このとき、歯表面ゴムシート18’及び芯ゴムシート17’は、歯布20に向けて押圧されることにより、歯部23上に相対的に厚く圧着される一方、歯底部24上に相対的に薄く圧着される。なお、芯ゴムシート17’に混入される短繊維25は、長手方向に沿って配合していたものが、図2から明らかなように、圧着されるときに適宜傾き、歯付きベルト10における短繊維と略同様に配向されることになる。
その後、歯付きモールド30に、ゴム付き歯布28が巻き付けられる。歯付きモールド30は、円筒形状を有し、その外周面に凹部31と凸部32が周方向に沿って交互に設けられたものであって、ゴム付き歯布28の各歯部23は、各凹部31の内部に配置される。なお、ゴム付き歯布28の各歯部23は、通常、凹部31に完全に一致した形状となっておらず、歯部23と凹部31の間には隙間がある。
次いで、芯ゴムシート17’の上に心線14が螺旋状に巻き付けられ、心線14の上にさらに背ゴムシート12’が巻き付けられる。その後、歯付きモールド30は、加硫釜(不図示)内に収容される。なお、背ゴムシート12’、芯ゴムシート17’及び歯表面ゴムシート18’は、加硫成型後に、背ゴム12、芯ゴム部17及び歯表面ゴム部18となる未加硫ゴムシートである。
加硫釜内において、歯付きモールド30上に巻き付けられたゴム付き歯布28等は、例えばスチームにより加熱され、加硫釜内に設けられた加硫バッグ等によって外側から内側に向けて加圧される。この加圧・加熱により、凹部31内部の隙間は完全になくなり、また、ゴムシート12’、17’、18’等が加硫されることにより、歯布20、ゴムシート12’、17’、18’及び心線14が一体化され、ベルトスラブが得られる。また、この加熱により、歯布20に付着されていたエポキシ−ゴム処理剤組成物は、エポキシ樹脂(プレポリマー)が硬化剤によって硬化されるとともに、ゴム成分が好ましくは組成物中の加硫剤により加硫され、歯布20は、エポキシ樹脂の硬化物と加硫されたゴム成分によって被膜される。ベルトスラブは、歯付きモールド30から取り外され、適宜研磨等された後、所定幅に裁断されることにより、歯付きベルト10(図1参照)となる。
以上のように本実施形態では、歯布20がエポキシ樹脂−ゴム成分によって被膜されることにより、歯布の耐水、耐熱、耐油性や、耐摩耗性が高められるので、ベルトが高温・高負荷環境下や水や油に接触する環境下で使用されても、歯付きベルトの耐久性が良好なものとなる。また、歯布20が接着する歯表面ゴム部18には、所定の内添型接着剤が配合されるので、歯ゴム11と、エポキシ樹脂−ゴム成分によって被膜された歯布20との接着強度をより良好にし、ベルトの耐久性をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態では、歯布20の外表面21、すなわち、歯表面ゴム部18に接着される面とは反対側の面は、以下に示すように、さらに、エポキシ樹脂の硬化物によって被覆されていても良い。
エポキシ樹脂の硬化物による被覆は、エポキシ樹脂(プレポリマー)及び硬化剤が溶剤等で希釈されたエポキシ樹脂液が、歯布20の外表面にコートされた後、上記した加硫成形時の加熱によりエポキシ樹脂が硬化されて形成される。歯布20にコートされたエポキシ樹脂液に含まれる溶剤は、加硫前に自然乾燥等によって揮発されることが好ましい。なお、エポキシ樹脂液のコートは、上記したエポキシ−ゴム処理剤組成物によってすでに含浸処理された歯布に対して行われる。
このエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で使用されても良いが、2種以上が使用されても良い。エポキシ樹脂としては、これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、又はノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(プレポリマー)は、その融点が常温(25℃)より高いいわゆる固体タイプであることが好ましい。固体タイプのものが使用されると、歯布20にコートされた硬化前のエポキシ樹脂液は、溶剤が揮発されるとべたつきが発生しにくく、取り扱い性が良好になる。ただし、エポキシ樹脂は、溶融されないと硬化されにくいため、その融点は、加硫時の加熱温度よりも低いほうが良い。
また、エポキシ樹脂の硬化物の耐熱性を良好にするために、JIS K7236に基づくエポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜7000g/eqであることが好ましく、150〜5000g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、硬化剤によって硬化されるものであって、その硬化剤としては、アミン類の硬化剤、酸無水物系硬化剤、フェノールノボラック系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ジシアンジアミド系硬化剤等が挙げられ、これらは単独で使用されても良いが、2種以上が使用されても良い。
硬化剤としては、これらの中でも触媒系硬化剤であるイミダゾール系硬化剤が好ましい。触媒系硬化剤であるイミダゾール系硬化剤は、触媒的にエポキシ環同士を直接反応させて、エポキシ樹脂を重合させるため、硬化物の硬度を高めやすく、これにより、歯布20の外表面21の摩擦係数を下げやすくなる。また、その添加量が少なくて済むため、歯布20にコートされた硬化前のエポキシ樹脂液は、溶剤が揮発されると、べたつきにくく取り扱い性に優れる。
エポキシ樹脂の硬化物は、特に限定されるわけではないが、高温下でも高い硬度を維持して歯表面に良好な摩擦係数を与えることにより、歯布20の耐摩耗性を良好にするために、比較的高い軟化点を有することが好ましく、具体的には、軟化点は110℃以上であることが好ましい。なお、軟化点は、熱機械分析装置「TMA/SS120U」(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、測定温度範囲:30℃〜350℃、荷重100mN、昇温5℃/分の条件で測定されるものである。
エポキシ樹脂の硬化物は、厚くしすぎると、割れ等が生じ、歯欠けの起点となるおそれがある。そのため、歯布20へのエポキシ樹脂液(すなわち、エポキシ樹脂の硬化物)の付着量(固形分)は、比較的少ないほうが良く、例えば10〜50g/m2程度である。また、歯布20は通常織布であるためその表面に織目による凹凸があるが、上記付着量は、硬化物によって被覆された後もその凹凸が表面(外表面21)に残るような量であることが好ましい。エポキシ樹脂の硬化物で被覆された外表面21に、織目の凹凸に基づく凹凸があると、特にベルト(歯布20)が油に接触しない状態で使用される場合に、異音の発生が抑制されやすくなる。
以上のように、本実施形態では、歯布20の外表面21がエポキシ樹脂の硬化物によって被覆されると、外表面21の摩擦係数が高温環境下でも良好となるため、高温環境下における歯布20の耐摩耗性を向上させることができる。さらに、エポキシ樹脂の被覆により、歯布20の強度は向上され、歯部15の変形に伴う内部発熱も抑制される。したがって、ベルト耐久性、特に高温、高負荷環境下におけるベルトの耐久性をさらに良好にすることが可能になる。
また、外表面21にエポキシ樹脂の硬化物が被覆されたことにより、ベルトの耐油性も向上するため、ベルト10が油に接触する用途で使用される場合にベルトの耐久性をさらに良好にすることができる。さらに、歯布20は、ベルト本体13に接着される内表面側には、エポキシ樹脂の硬化物が被覆されないので、エポキシ樹脂の硬化物によって、ベルト本体13と歯布20の接着性が低下することはない。一方、エポキシ樹脂液の塗布は、エポキシ−ゴム処理剤組成物によって含浸処理された歯布20に対して行われるので、エポキシ樹脂の硬化物被覆の歯布20への密着性は良好になりやすい。
また、本実施形態において、歯付きベルト10は、図1の構成に限定されず、例えば歯表面ゴム部18にも短繊維が混入されても良いし、芯ゴム部17に短繊維が混入されなくても良い。
さらには、歯表面ゴム部18は省略され、歯ゴムが芯ゴム部17のみによって形成されても良い。ただし、この場合、芯ゴム部17に、上記した内添型接着剤(レゾルシノールとメラミン化合物)が配合されていたほうが良い。勿論、歯布に接着される歯表面ゴム部18や芯ゴム部17には、上記した2つの内添型接着剤が配合されなくても良い。
さらに、芯ゴム部17と背ゴム12の間には、心線14を内部に埋設する接着ゴム部等が設けられても良い。また、歯布20は予成形されなくても良い。
なお、上記実施形態において、芯ゴム部17、歯表面ゴム部18、背ゴム12を構成するゴムは、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)等の上記したHNBR、NBR、HXNBR以外のゴム成分を含んでいてもよいし、HNBR以外のゴム成分を主成分としてもよい。
以下、本発明の具体的な例として実施例を示すが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、歯布として経糸と緯糸が2/2の綾織で織られた織布を用意した。経糸は、110dtexのナイロンのフィラメント糸から構成される非伸縮性糸であるとともに、緯糸は、470dtexのウレタン弾性糸から成る芯糸の周りに、220dtexのパラアラミド繊維糸(商品名.テクノーラ)から成る中間糸を巻き回し、その中間糸の周りにさらに110dtexのナイロン繊維から成るカバー糸を巻き回した複合糸から構成される伸縮性糸であった。後述する工程で、経糸は、ベルトの幅方向に沿って延在させ、緯糸はベルトの長手方向に沿って延在させた。
まず、歯布として経糸と緯糸が2/2の綾織で織られた織布を用意した。経糸は、110dtexのナイロンのフィラメント糸から構成される非伸縮性糸であるとともに、緯糸は、470dtexのウレタン弾性糸から成る芯糸の周りに、220dtexのパラアラミド繊維糸(商品名.テクノーラ)から成る中間糸を巻き回し、その中間糸の周りにさらに110dtexのナイロン繊維から成るカバー糸を巻き回した複合糸から構成される伸縮性糸であった。後述する工程で、経糸は、ベルトの幅方向に沿って延在させ、緯糸はベルトの長手方向に沿って延在させた。
また、エポキシ樹脂としてのポリグリセロールポリグリシジルエーテル(商品名.デナコール EX−521、ナガセケムテック社製)70重量部(固形分換算)と、硬化剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾール3.5重量部(固形分換算)と、NBRラテックス30重量部(固形分換算)とを混合し、かつ固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して得たエポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を用意した。上記歯布を、この溶液に浸漬後、180℃で5分間乾燥させて、歯布にエポキシ−ゴム処理剤組成物を付着させた。歯布へのエポキシ−ゴム処理剤組成物の付着量(固形分)は、40g/m2であった。
次に、歯表面ゴムシートとして表1に示す配合のゴム組成物から成るゴムシートを用意するとともに、芯ゴムシートとして、ゴム成分100重量部に対して繊維長1mmのアラミド短繊維が12重量部混入されたHNBRから形成された未加硫ゴムを用意した。そして、上記のようにエポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理された歯布をコルゲート状に予成形した後に、歯表面ゴムシート及び芯ゴムシートをこの順に、歯布の一方の面に圧着して、ゴム付き予成形歯布を得た。
※1 各数値は、重量部を示す。
※2 HNBRは水素添加率96%のものを使用した。
※3 メラミン化合物は、25℃における粘度(DIN19268による)が5500mPa・sであって、ヘキサメトキシメチロールメラミンの部分縮合物であるオリゴマーを使用した。
その後、歯付きモールドに、ゴム付き予成形歯布、ガラスコードから成る心線、及び短繊維未混入のHNBRにより形成された背ゴムシートを巻き付けて、これらを加硫釜内で温度160℃で30分間加硫成型してベルトスラブを得た。ベルトスラブを研磨後裁断し、幅19.1mm、歯数92のRU歯型の歯付きベルトを得た。
[実施例2]
実施例2は、ゴムシートが圧着される一方の面とは反対側の面である歯布の他方の面を、エポキシ樹脂の硬化物により被覆させた点を除いて実施例1と同様であった。すなわち、実施例2では、まず、実施例1と同様に、エポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理された歯布を得た。次いで、歯布の他方の面に、ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210g/eq)100重量部を、MEK(メチルエチルケトン)500重量部で希釈し、さらに硬化剤としてイミダゾール系硬化剤3重量部を添加して得たエポキシ樹脂液を、付着量(固形分)が20g/m2となるように、エアスプレーコーティングによりコートした。その後、常温(25℃)にて歯布を放置することによりMEKを揮発させた。次いで、このエポキシ樹脂液でコートされた歯布を用いて、実施例1と同様に、歯付きベルトを作製した。
実施例2は、ゴムシートが圧着される一方の面とは反対側の面である歯布の他方の面を、エポキシ樹脂の硬化物により被覆させた点を除いて実施例1と同様であった。すなわち、実施例2では、まず、実施例1と同様に、エポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理された歯布を得た。次いで、歯布の他方の面に、ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量210g/eq)100重量部を、MEK(メチルエチルケトン)500重量部で希釈し、さらに硬化剤としてイミダゾール系硬化剤3重量部を添加して得たエポキシ樹脂液を、付着量(固形分)が20g/m2となるように、エアスプレーコーティングによりコートした。その後、常温(25℃)にて歯布を放置することによりMEKを揮発させた。次いで、このエポキシ樹脂液でコートされた歯布を用いて、実施例1と同様に、歯付きベルトを作製した。
[比較例1]
歯布をエポキシ−ゴム処理剤組成物により含浸処理する代わりに、ゴム糊により含浸処理をした点を除いて実施例1と同様に実施した。なお、ゴム糊は、ゴム成分をHNBRとし、フェノールレジンが加えられたものであった。また、歯布へのゴム糊の付着量(固形分)は、50g/m2であった。
歯布をエポキシ−ゴム処理剤組成物により含浸処理する代わりに、ゴム糊により含浸処理をした点を除いて実施例1と同様に実施した。なお、ゴム糊は、ゴム成分をHNBRとし、フェノールレジンが加えられたものであった。また、歯布へのゴム糊の付着量(固形分)は、50g/m2であった。
[比較例2]
歯布をエポキシ−ゴム処理剤組成物によって含浸処理する代わりに、RFLにより含浸処理した点を除いて実施例1と同様に実施した。なお、RFLは、RF/ラテックスの重量比が1/5で、ラテックス成分がNBRラテックスであった。歯布へのRFL付着量(固形分)は、50g/m2であった。
歯布をエポキシ−ゴム処理剤組成物によって含浸処理する代わりに、RFLにより含浸処理した点を除いて実施例1と同様に実施した。なお、RFLは、RF/ラテックスの重量比が1/5で、ラテックス成分がNBRラテックスであった。歯布へのRFL付着量(固形分)は、50g/m2であった。
[走行試験]
図3は、走行試験機のレイアウトを示す。上記実施例、比較例の歯付きベルトについて、この走行試験機を用いて走行試験を実施した。走行試験機40は、20歯・直径60mmの原動歯付きプーリ41と、40歯・直径121mmの従動歯付きプーリ42、43と、直径80mmの平テンショナプーリ44を有する。歯付きベルト10を、プーリ41〜43に掛け回し、ベルトの緩み側でテンショナプーリ44によって外周側から張力を付与した状態で、1歯当りに作用される荷重を9.2N/mmとして4000rpmで走行させた。試験は120℃環境下で行い、ベルトが破損されるまでの運転時間を耐久時間として測定した。そして、比較例2のベルトの耐久時間を100とした場合の各ベルトの耐久時間比を図4に示す。
図3は、走行試験機のレイアウトを示す。上記実施例、比較例の歯付きベルトについて、この走行試験機を用いて走行試験を実施した。走行試験機40は、20歯・直径60mmの原動歯付きプーリ41と、40歯・直径121mmの従動歯付きプーリ42、43と、直径80mmの平テンショナプーリ44を有する。歯付きベルト10を、プーリ41〜43に掛け回し、ベルトの緩み側でテンショナプーリ44によって外周側から張力を付与した状態で、1歯当りに作用される荷重を9.2N/mmとして4000rpmで走行させた。試験は120℃環境下で行い、ベルトが破損されるまでの運転時間を耐久時間として測定した。そして、比較例2のベルトの耐久時間を100とした場合の各ベルトの耐久時間比を図4に示す。
[耐水走行試験]
走行試験において、環境温度を80℃に変更するとともに、所定位置でベルトに1リットル/時間で水を掛けるようにして、200時間ベルトを運転させた。試験前、試験後の歯布の厚さを測定して、試験前の歯布厚さから試験後の歯布厚さを引いた値を、水掛け状態運転時の歯布の摩耗量として評価した。そして、比較例2のベルトの歯布摩耗量を100とした場合の各ベルトの歯布摩耗比を図5に示す。ただし、実施例2、比較例1については本試験を実施していない。
走行試験において、環境温度を80℃に変更するとともに、所定位置でベルトに1リットル/時間で水を掛けるようにして、200時間ベルトを運転させた。試験前、試験後の歯布の厚さを測定して、試験前の歯布厚さから試験後の歯布厚さを引いた値を、水掛け状態運転時の歯布の摩耗量として評価した。そして、比較例2のベルトの歯布摩耗量を100とした場合の各ベルトの歯布摩耗比を図5に示す。ただし、実施例2、比較例1については本試験を実施していない。
[耐油走行試験]
走行試験において、環境温度を130℃に変更するとともに、所定位置でベルトにエンジンオイルを掛け、また、1歯当りに作用される荷重を8N/mm、回転数を5400rpmにしてベルトを走行させ、ベルトが破断するまでの運転時間を測定した。そして、比較例2のベルトの運転時間を100とした場合の各ベルトの運転時間比を図6に示す。ただし、実施例2については、本試験については実施していない。
走行試験において、環境温度を130℃に変更するとともに、所定位置でベルトにエンジンオイルを掛け、また、1歯当りに作用される荷重を8N/mm、回転数を5400rpmにしてベルトを走行させ、ベルトが破断するまでの運転時間を測定した。そして、比較例2のベルトの運転時間を100とした場合の各ベルトの運転時間比を図6に示す。ただし、実施例2については、本試験については実施していない。
[接着強度]
次に、以下のように、接着試験用サンプルA〜Hを作成し、エポキシ−ゴム処理剤組成物において、エポキシ樹脂とラテックスの比率を変更したときの接着強度の変化を確認した。
次に、以下のように、接着試験用サンプルA〜Hを作成し、エポキシ−ゴム処理剤組成物において、エポキシ樹脂とラテックスの比率を変更したときの接着強度の変化を確認した。
[サンプルA]
実施例1と同様のエポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液で含浸処理した歯布を用意し、その歯布を表1の配合を有するゴム組成物からなる厚さ4mmのゴムシートに、160℃、20分間、圧力40kgfで加硫接着させて、幅25mm、長さ120mmの接着試験用サンプルAを得た。
実施例1と同様のエポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液で含浸処理した歯布を用意し、その歯布を表1の配合を有するゴム組成物からなる厚さ4mmのゴムシートに、160℃、20分間、圧力40kgfで加硫接着させて、幅25mm、長さ120mmの接着試験用サンプルAを得た。
[サンプルB]
固形分換算でポリグリセロールポリグリシジルエーテル50重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.5重量部、NBRラテックス50重量部となるように各材料の配合量を変更して、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルBを得た。
固形分換算でポリグリセロールポリグリシジルエーテル50重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.5重量部、NBRラテックス50重量部となるように各材料の配合量を変更して、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルBを得た。
[サンプルC]
固形分換算でポリグリセロールポリグリシジルエーテル30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1.5重量部、NBRラテックス70重量部となるように各材料の配合量を変更して、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルCを得た。
固形分換算でポリグリセロールポリグリシジルエーテル30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1.5重量部、NBRラテックス70重量部となるように各材料の配合量を変更して、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルCを得た。
[サンプルD]
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコール EX−521)100重量部(固形分換算)と、2−エチル−4−メチルイミダゾール5重量部(固形分換算)とを混合し、かつ固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して、ラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液を用意した。エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液で含浸処理する代わりに、このラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液によって歯布を含浸処理した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルDを得た。
ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(デナコール EX−521)100重量部(固形分換算)と、2−エチル−4−メチルイミダゾール5重量部(固形分換算)とを混合し、かつ固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して、ラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液を用意した。エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液で含浸処理する代わりに、このラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液によって歯布を含浸処理した点を除いてサンプルAと同様に、接着試験用サンプルDを得た。
[サンプルE]
エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を、エポキシ樹脂としてのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名.デナコール EM−160、ナガセケムテック社製)70重量部(固形分換算)と、硬化剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾール3.5重量部(固形分換算)と、NBRラテックス30重量部(固形分換算)とを混合し、かつ固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して作製したものに変更した点を除いて、サンプルAと同様に、接着試験用サンプルEを得た。
エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を、エポキシ樹脂としてのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名.デナコール EM−160、ナガセケムテック社製)70重量部(固形分換算)と、硬化剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾール3.5重量部(固形分換算)と、NBRラテックス30重量部(固形分換算)とを混合し、かつ固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して作製したものに変更した点を除いて、サンプルAと同様に、接着試験用サンプルEを得た。
[サンプルF]
固形分換算でクレゾールノボラック型エポキシ樹脂50重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.5重量部、NBRラテックス50重量部となるように各材料の配合量を変更し、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いて、サンプルEと同様に、接着試験用サンプルFを得た。
固形分換算でクレゾールノボラック型エポキシ樹脂50重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール2.5重量部、NBRラテックス50重量部となるように各材料の配合量を変更し、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いて、サンプルEと同様に、接着試験用サンプルFを得た。
[サンプルG]
固形分換算でクレゾールノボラック型エポキシ樹脂30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1.5重量部、NBRラテックス70重量部となるように各材料の配合量を変更し、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いて、サンプルEと同様に、接着試験用サンプルGを得た。
固形分換算でクレゾールノボラック型エポキシ樹脂30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール1.5重量部、NBRラテックス70重量部となるように各材料の配合量を変更し、エポキシ−ゴム処理剤組成物の溶液を作製した点を除いて、サンプルEと同様に、接着試験用サンプルGを得た。
[サンプルH]
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(デナコール EM−160)100重量部(固形分換算)と、2−エチル−4−メチルイミダゾールを5重量部(固形分換算)とを混合し、固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して、ラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液を用意した。エポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理する代わりに、このラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液によって歯布を含浸処理した点を除いてサンプルEと同様に、接着試験用サンプルHを得た。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(デナコール EM−160)100重量部(固形分換算)と、2−エチル−4−メチルイミダゾールを5重量部(固形分換算)とを混合し、固形分濃度が14重量%となるように水で希釈して、ラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液を用意した。エポキシ−ゴム処理剤組成物で含浸処理する代わりに、このラテックスを含有しないエポキシ処理剤組成物の溶液によって歯布を含浸処理した点を除いてサンプルEと同様に、接着試験用サンプルHを得た。
接着試験用サンプルA〜Hを用いて、JISK6256−1:2006に準拠して、常温環境下(23℃)、高温環境下(120℃)における歯布−ゴムシート間の剥離強さを測定した。その結果を図7、8に示す。
図4〜6に示すように、エポキシ−ゴム処理剤によって歯布を処理した実施例1のベルトは、ゴム糊やRFL処理で歯布を処理した比較例1、2のベルトよりも、高温高負荷環境下や、水ないし油接触環境下のいずれにおいてもベルト寿命や耐摩耗性が良好となった。また、実施例2のようにエポキシ樹脂被覆を形成した場合には、さらにベルト寿命が良好となることが理解できる。
また、図7、8に示すように、エポキシ樹脂の硬化物のみから硬化被膜を形成したサンプルでは、剥離強さが十分に向上しなかった一方、エポキシ樹脂−ゴムで歯布を被膜したサンプルでは、剥離強さが向上した。特に、脂肪族型では、エポキシ樹脂の重量をラテックスの重量以上にしたサンプルA、Bで剥離強さが良好になるとともに、ノボラック型では、いずれのサンプルでも剥離強さが良好となった。
なお、サンプルE、F、Hにおいて、歯布は、その手触りにより比較的硬直になっていることが確認でき、そのため、サンプルE、Fは、剥離強さが良好であるものの、耐久性不足等の性能低下が生じるおそれがある。それに対して、サンプルA、B、Gにおける歯布は、それほど硬直になっておらず、また、剥離強さも良好で、ベルトの耐久性等の性能を向上させやすいと考えられる。
10 歯付きベルト
13 ベルト本体
20 歯布
21 外表面
13 ベルト本体
20 歯布
21 外表面
Claims (13)
- 一方の面側に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられたベルト本体と、そのベルト本体の一方の面に被覆された歯布とを備え、前記歯布が、エポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤、及びゴム成分とを含む処理剤組成物で処理されたことを特徴とする歯付きベルト。
- 前記エポキシ樹脂は、脂肪族型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びフェノキシ型エポキシ樹脂から成る群から選択される少なくとも1つのエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記エポキシ樹脂は、脂肪族型エポキシ樹脂及びノボラック型エポキシ樹脂から成る群から選択される少なくとも1つのエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載の歯付きベルト。
- 前記硬化剤は、イミダゾール系硬化剤であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記ゴム成分は、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム又は水素添加カルボキシル化ニトリルゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記エポキシ樹脂とゴム成分の重量比は、1:9〜9:1であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記処理剤組成物の歯布への付着量(固形分)は、5〜200g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記ゴム成分は、ラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記処理剤組成物が、さらに前記ゴム成分を加硫するための加硫剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記ベルト本体の歯布に接着される部分は、ゴムと、レゾルシノールと、メラミン化合物とを含むゴム組成物が加硫されて成形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記ベルト本体の歯布に接着される部分を構成するゴムは、水素添加ニトリルゴム又は水素添加カルボキシル化ニトリルゴムを含むことを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 前記処理剤組成物で処理された歯布は、その外表面が、さらにエポキシ樹脂の硬化物によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の歯付きベルト。
- 一方の面側に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられたベルト本体と、そのベルトの本体の一方の面に被覆された歯布とを備える歯付きベルトの製造方法であって、
エポキシ樹脂、前記エポキシ樹脂を硬化させるための硬化剤、及びゴム成分を含む処理剤組成物で前記歯布を処理し、その処理された歯布に未加硫ゴムシートを重ねた後、加硫成形して歯付きベルトを得る歯付きベルトの製造方法。
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