JP5592515B2 - フッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、基材上にフッ素樹脂を含む層を配置して形成されるフッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法に関する。
例えば、半導体の製造工程において、ウェハなどのワークを把持して搬送する把持アーム(基材)の傷付きを防止するために、把持アームの表面にフッ素樹脂層によるコーティングを施す技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の方法によれば、フッ素樹脂コーティング用のフッ素樹脂として、耐薬品性および耐熱性に優れ、かつ摩擦係数の低いポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PCTFE)やポリテトラフルオロエチレン・パー・フルオロアルコキシ樹脂(PFA)などが用いられる。これらのフッ素樹脂が、ワークとの接触部分である把持アームの爪部に塗布されることにより、把持アーム表面に、フッ素樹脂によるコーティングが施される。このフッ素樹脂コーティングにより、把持アームとワークとの接触摩耗が低減され、把持アームの傷付きが抑制される。
上述したフッ素樹脂コーティングにおいて、耐久性を向上させるためには、基材およびフッ素樹脂コーティング間の接着性を高めることが有効である。その方法として、基材およびフッ素樹脂コーティング間に、接着性の高いクロムを成分とする金属系化成皮膜を下地として配置する方法がある。
特許第3164468号公報
しかしながら、このように作られたフッ素樹脂コーティングを長年使用すると、フッ素樹脂コーティングの表面において、ウェハとの接触や取扱い時の不注意などでその一部が欠けたり、貫通穴が形成される場合がある。このような場合、下地の金属化成皮膜に直接薬液が接触することにより、金属化成皮膜中の金属が薬液中に溶出し、溶出した金属が処理中のウェハ表面に付着してこれを汚染する。
このように、現在使用されているコーティング材料及び塗膜は、その下地塗膜の接着成分に金属成分が含有されているため、上塗り塗膜が使用中に何らかの外圧で破損したり穴が開いた場合、含有された金属の一部が溶融し薬液を汚染する。この現象は半導体製造プロセスでは致命傷になる。したがって、昨今では、基材との接着性を維持しつつ、メタルフリーでクリーン、かつピンホールレスが保証できる寿命の長い防食コーティングの開発が望まれている。
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、メタルフリーであり、かつ非導電性の表面を有する基材上でピンホール検査が実施可能なフッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、非導電性の表面を有する基材と、
基材上に配置される導電性の第1の層と、
第1の層上に配置され、フッ素樹脂で形成される第2の層とを備え、
第1の層および第2の層には金属が含まれない、フッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第2態様によれば、第2の層におけるピンホールの有無を判別するピンホール検査用のアース用端子をさらに備える、第1態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第3態様によれば、ピンホール検査用のアース用端子は、第1の層の表面において、第2の層から露出した露出部分である、第2態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第4態様によれば、ピンホール検査用のアース用端子は、第1の層と接続され、第2の層を貫通するように配置された導電性部分である、第2態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第5態様によれば、基材は非導電体で形成され、
第2の層を形成するフッ素樹脂はPCTFE、PFA、FEP、ETFE、EFEP、ECTFE、CPT、PVdFのいずれかである、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第6態様によれば、第2の層のフッ素樹脂は薬液浸透性が低いフッ素樹脂である、第1態様から第5態様のいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第7態様によれば、第2の層のフッ素樹脂はPCTFEである、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第8態様によれば、第1の層の体積固有抵抗値は1010Ωcm以下である、第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第9態様によれば、第1の層は耐熱性合成樹脂を含む、第1態様から第8態様のいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第10態様によれば、耐熱性合成樹脂は、PEEK、PI、PAI、PES、PBIのいずれかである、第9態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体を提供する。
本発明の第11態様によれば、基材と基材上に配置される第1および第2の層とを備えるフッ素樹脂コーティング構造体を製造する方法であって、
非導電性の表面を有する基材上に、導電性の第1の層を形成する第1工程と、
第1の層上に第2の層を形成する第2工程とを含み、第2の層はフッ素樹脂で形成され、第1の層および第2の層には金属が含まれないフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法を提供する。
本発明の第12態様によれば、第2工程において、導電性の第1の層からアースした状態にて、静電粉体塗装により第1の層上に第2の層を形成する、第11態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法を提供する。
本発明の第13態様によれば、第2工程において、第1の層の一部を露出させるように第2の層を形成して、露出部分を、第2の層におけるピンホールの有無を判別するためのピンホール検査用のアース用端子とする、第11態様又は第12態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法を提供する。
本発明の第14態様によれば、第2工程後に、第1の層の露出部分を被覆する第3工程をさらに含む、第13態様に記載のフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法を提供する。
本発明によれば、メタルフリーであり、かつ非導電性の表面を有する基材上でピンホール検査が実施可能なフッ素樹脂コーティング構造体およびその方法を提供することができる。
本発明の実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体の断面図 本実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体の部分断面図 本実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体のフローチャート 本実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法の手順を示す断面図 静電粉体塗装の説明図 実施例および比較例に用いる装置の断面図 実施例および比較例の結果を示す図 各種フィルムの水蒸気透過率 変形例にかかるフッ素樹脂コーティング構造対の部分断面図 変形例にかかるフッ素樹脂コーティング構造対の部分断面図
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態)
本発明の実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体1は、図1に示すように、基材2と、第1の層3と、第2の層4とを備える。
基材2は、コーティングされる対象物であり、本実施の形態では、半導体を製造するための薬液処理工程において使用される、ウェハを収納して運搬するための石英製ウェハキャリアが用いられる。本実施の形態では、基材2として石英製のものを用いているが、これに限らず、SiC、セラミック、金属酸化物など、非導電性の表面を有するものであれば他の材質でできたものを用いても良い。また、ウェハキャリア以外にも、半導体製造用の薬液処理工程において使用される基材、アーム、洗浄槽(薬液を貯留する槽)、あるいは半導体製造以外の用途に用いられる各種の被処理体などを用いても良い。
第1の層3は、基材2上に配置される層であり、基材2を被覆している。本実施の形態における第1の層3は、耐熱性合成樹脂であるポリアミドイミド(PAI)と、フッ素樹脂であるPCTFEと、導電性材料であるカーボンナノチューブ(CNT)との3種類の混合物により形成される。第1の層3は、導電性材料のCNTを含むことにより導電性を有する。また、第1の層3には金属が含まれない。本実施の形態における第1の層3の厚みは、例えば10μm−60μmに設定される。
第2の層4は、第1の層3上に配置される層であり、第1の層3を被覆している。本実施の形態における第2の層4はフッ素樹脂であるPCTFEで形成される。第2の層4の厚みは、用途によって適した膜厚に変更され、本実施の形態では、例えば50μm−1000μmに設定される。
図1に示すように、第1の層3の表面には、第2の層4から被覆されず一部露出した露出部分16が形成される。露出部分16は、後述するピンホール検査および静電粉体塗装の際にそれぞれのアース用端子として機能する部分である。
上述のように構成されたフッ素樹脂コーティング構造体1によれば、基材2は第1の層3と第2の層4とで覆われてコーティングされ、最外層である第2の層4はフッ素樹脂から形成される。このように基材2にフッ素樹脂コーティングを施すことにより、基材2が他の物体と接触して損傷させるといった不具合を解消することができる。
また、本実施の形態では、基材2上に配置される第1の層3および第2の層4には金属が含まれていない(メタルフリー)ため、これらの層から金属が溶出して周囲の薬液などを汚染するという溶出リスクはない。このように、メタルフリーによるクリーンなフッ素樹脂コーティングを実現することができる。
半導体の微細パターン化の進行に対応するには、使用するフッ素樹脂や加工する環境の高純度化、クリーン化など高度な対応が必要であるため、フッ素樹脂コーティング構造体1に金属が含まれないようにするメタルフリーが強く望まれている。本実施の形態によるフッ素樹脂コーティング構造体1によれば、そのようなメタルフリーを実現することができる。なお、本明細書におけるメタルフリーのフッ素樹脂被膜構造体1とは、単体の金属や金属化合物などの金属成分を添加せずに作成されるフッ素樹脂被膜構造体1のことをさす。
また、本実施の形態では、フッ素樹脂で形成される第2の層4の下に導電性の第1の層3を配置している。このように、フッ素樹脂層の下に導電層を配置することにより、フッ素樹脂層である第2の層4にピンホールが形成されているか否かを判定するピンホール試験を実施することができる。具体的には、図2に示すように、テスター25から延びる2つの端子17、18を、第1の層3および第2の層4のそれぞれの表面に設置する。その後、テスター25から2つの端子17、18間に電圧を印加する。第2の層4にピンホール19が存在する場合(図2に示す場合)には、ピンホール19を介して、第1の層3が導電層として通電しスパークが生じる。このスパークの発生の有無により、ピンホール19の存否を判定することができる。
また、本実施の形態では、第1の層3の表面に形成された露出部分16を、ピンホール検査時におけるアース用端子として確保している。これにより、第1の層3を導電層として第2の層4におけるピンホールの有無を判別するピンホール検査を安定的に実施することができる。なお、上述したアース用端子は、地面や地面以外の物体に接続される。
また、第1の層3は体積固有抵抗値が1010Ω以下となるように形成されている。これにより、ピンホール検査時において第1の層3が確実に通電するため、ピンホール検査を安定的に実施することができる。好ましくは、第1の層3の体積固有抵抗値を10Ω以下とすることにより、ピンホール検査をさらに安定的に実施することができる。
また、本実施の形態においては、第2の層4を形成するフッ素樹脂として、耐薬品性に優れ、薬液浸透性の極めて低いPCTFEが用いられている。フッ素樹脂コーティング構造体1の最外層である第2の層4を極めて薬液浸透性の低いPCTFEで形成することにより、石英を腐食するような薬液(例えばフッ酸)にフッ素樹脂コーティング構造体1が浸漬される場合において、薬液の浸透によるダメージを抑制することができる。したがって、フッ素樹脂コーティング構造体1の寿命を長くすることができる。なお、第2の層4を形成するフッ素樹脂の種類およびその薬液浸透性に関するデータについては後述する。また、本明細書における耐薬品性とは、半導体製造工程時のウェハの洗浄用に用いられる薬液などに対する耐性を意味する。
次に、本実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体1の製造方法の具体的な手順について説明する。この説明にあたって、フッ素樹脂コーティング構造体1の製造方法の手順を示すフローチャートを図3に示し、図3のフローチャートに示すそれぞれの手順を説明するためのフッ素樹脂コーティング構造体1の断面図を図4に示す。
(基材準備工程)
まず、図3のフローチャートのステップS1に示すように、基材2を準備する。具体的には、図4(a)に示すように、石英などにより形成される非導電性の(表面を有する)基材2を準備する。
(第1の層塗布工程)
次に、基材2上に第1の層3を塗布する(ステップS2)。具体的には、第1の層3の材料となるPAI、PCTFEおよびCNTを混合した液状材料を基材2上に塗布する。塗布方法としては例えば、棒状のアプリケータを用いて基材2上の液状材料を引き伸ばす方法や、噴射器を用いて噴射する方法などがあるが、これら以外にも様々な塗布およびその他の方法を適用することができる。なお、本実施の形態では、基材2を完全に被覆するようにして、第1の層3の塗布を行う。
(焼成工程)
次に、第1の層3の焼成処理を行う(ステップS3)。具体的には、図示しない加熱手段を用いて、基材2上の第1の層3を例えば約200度に加熱する。これにより、図4(b)に示すように基材2上に第1の層3を固着させる。本ステップS3の実施により、第1の層3の形成が完了する(第1工程)。
(第2の層塗布工程)
次に、第1の層3上に第2の層4を塗布する(ステップS4)。具体的には、図5に示すような、静電粉体塗装による塗布を行う。より具体的には、図5に示すように、塗布対象物である第1の層3をアースした状態(図中の符号20で示される部分)にて、第1の層3に対して、噴射用のガン21から粉体状のPCTFE22を噴射する。
ここで静電粉体塗装においては、第1の層3をアースすることにより第1の層3がプラス極となるため、マイナスに帯電されたPCTFE22の粉体塗料が均一な厚みで、第1の層3に強く塗着する。なお、本実施の形態では、第1の層3を完全に被覆するのではなく、第1の層3を少なくとも部分的に被覆するようにして、PCTFE22(第2の層4)の塗布を行う。これにより、第2の層4から一部露出する露出部分16が第1の層3の表面に形成される。
(焼成工程)
次に、第2の層4の焼成処理を行う(ステップS5)。具体的には、ステップS3と同様に、図示しない加熱手段を用いて、第1の層3上の第2の層4を例えば約300度以上に加熱する。これにより、第1の層3上に第2の層4を固着させる。ステップS4およびステップS5はその後、複数回ずつ繰り返しても良い。
上述したように、ステップS1−S5を実施することにより、基材2と、基材2上に配置される第1の層3と第2の層4とを備えるフッ素樹脂コーティング構造体1を製造することができる。本実施の形態にかかるフッ素樹脂コーティング構造体1の製造方法によれば、メタルフリー、かつピンホール検査が実施可能なフッ素樹脂コーティング構造体1を製造することができる。
また、本実施の形態では、第2の層4を静電粉体塗装により塗布・形成しているため、第2の層4の厚みをより均一にすることができるとともに、良好な塗着効果を得ることができる。さらに、1回当たりの塗布量も多くすることができるため、重ね塗りを行う回数を減らすこともできる。
静電粉体塗装は、塗布対象物としては、導電性を有するものに限られる。本実施の形態ではこのような従来の知見に反して、非導電性の(表面を有する)基材2に対する静電粉体塗装を実施している。本実施の形態の製造方法では、非導電性の基材2とフッ素樹脂層の第2の層4との間に、導電性を有する第1の層3を配置している。このような配置によれば、基材2および第2の層4間の接着層(プライマー層)である第1の層3から、静電粉体塗装用にアースすることができる。これにより、基材2が非導電性であっても静電粉体塗装を実施することができる。
また、本実施の形態では、第1の層3の表面に第2の層4から露出する露出部分16を形成するとともに、露出部分16を静電粉体塗装時におけるアース用端子として用いている。このように、第1の層3における露出部分16を、静電粉体塗装時におけるアース用端子として確保することにより、静電粉体塗装を安定的に実施することができる。さらに本実施の形態では、露出部分16を、前述したピンホール検査時におけるアース用端子としても利用している。このように、露出部分16を静電粉体塗装時およびピンホール検査時の両方におけるアース用端子として利用しているため、効率的なフッ素樹脂コーティング構造体1の製造方法を実現することができる。
また、本実施の形態では、第1の層3が耐熱性合成樹脂を含むことにより、焼成処理の加熱に起因してフッ素樹脂コーティング構造体1の強度が低下することを抑制することができる。なお、本明細書でいう耐熱性とは、約200℃〜300℃で数時間〜数十時間行われる焼成処理に耐えられる程の耐熱性をいう。
(実施例)
次に、上述したフッ素樹脂コーティング構造体1における第2の層4に用いられるフッ素樹脂に関して、薬液浸透性を比較する実験を行った実施例および比較例について説明する。
まず、本実験に用いる装置5について、図6を用いて説明する。図6に示すように、チューブ状のフッ素樹脂として、内部に塩酸6が充填されたチューブ7を用意する。さらにそのチューブ7を囲むように試験管8を配置する。チューブ7と試験管8との間には、純水の溶液9を入れる。さらに試験管8内の溶液9が外部に漏れないように、チューブ7と試験管8との両端部、および試験管8の側部に設けられた開口10をそれぞれ、シリコン栓11、12、13により封止する。この状態にて装置5を放置すると、チューブ7内にある塩酸6が徐々にフッ素樹脂(チューブ7)に浸透してチューブ7外部へ溶出する。溶出した塩酸6は試験管8内の溶液9と混ざるため、溶液9内の塩酸6の濃度は経過日数ごとに上昇する。本実施例および比較例では、試験管8のシリコン栓13から溶液9をサンプリングしてその塩酸濃度を測定することにより、フッ素樹脂のそれぞれの種類ごとに塩酸の溶出量を検証した。
以下に比較例1および実施例1、2における主要なプロセス条件を示す。
(比較例1)
フッ素樹脂の種類: PFA
フッ素樹脂の外径: 1/2inch
フッ素樹脂の内径: 3/8inch
フッ素樹脂の厚み: 1.6mm
水との接触表面積: 55.829cm
(実施例1)
フッ素樹脂の種類: PCTFE
フッ素樹脂の外径: 10mm
フッ素樹脂の内径: 7mm
フッ素樹脂の厚み: 1.5mm
水との接触表面積: 43.960cm
(実施例2)
フッ素樹脂の種類: FEP
フッ素樹脂の外径: 13mm
フッ素樹脂の内径: 10mm
フッ素樹脂の厚み: 1.5mm
水との接触表面積: 57.148cm
これらのプロセス条件に基づいて、薬液浸透試験を行った結果、図7に示す結果が得られた。
図7は、フッ素樹脂から溶出した塩酸の溶出量(μg/cm)の推移を示す。図7に示すように、125日経過時点での塩酸の溶出量は、比較例1が15.6μg/cm、実施例1が0.3μg/cm、実施例2が9.0μg/cmとなった。この結果より、フッ素樹脂の薬液浸透性は、PCTFEおよびFEPの方がPFAよりも低く、特にPCTFEの方は極めて低いということがわかった。
本明細書における、薬液浸透性の低いフッ素樹脂とは、塩酸の溶出量が実施例1、2に用いられたPCTFEおよびFEPと同じ、若しくはそれ以下であるフッ素樹脂を含むものとする。
さらに上記実施例の他に、フッ素樹脂の薬液浸透性に関するデータを、図8に示す。図8は、温度40℃、湿度95%RH、フッ素樹脂の厚みを100μmの条件下で実験を行った場合の各種フィルムについて、水蒸気の透過率である透湿度(g/m・d)を示す。
図8に示すように、PCTFEの透湿度が0.1g/m・d以下で、FEPの透湿度が1g/m・d以下あるのに対し、PFAの透湿度は1g/m・d以上である。
本明細書における、薬液浸透性の低いフッ素樹脂とは、透湿度がPCTFEおよびFEPと同じ、若しくはそれ以下であるフッ素樹脂を含むものとする。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、図9に示すように、ピンホール検査が終わった後、第1の層3の表面に被覆部分23を形成し、第1の層3の露出部分16を被覆するようにしても良い。すなわち、第2の層4を形成する第2工程後に、第1の層3の露出部分16を被覆する第3工程を実施しても良い。
また、本実施の形態では、基材2が石英で形成される場合について説明したが、非導電性の表面を有するものであれば他の材料で形成されていても良く、例えば、メッキ処理や溶射処理等により表面のみが非導電性である金属などを用いることもできる。
また、本実施の形態では、第1の層3の耐熱性合成樹脂としてPAIを用いているが、これに限らず、PEEK、PI、PES、PBIなど他の耐熱性合成樹脂を用いても良い。
また、本実施の形態では、第1の層3に含まれる導電性材料としてCNTを用いているが、これに限らず、導電性カーボンなどその他の導電性材料を用いても良い。
また、本実施の形態では、第1の層3および第2の層4に含まれるフッ素樹脂としてPCTFEを用いているが、これに限らず例えば、FEP、PFA、ETFE、EFEP、ECTFE、CPT、PVdFなどその他のフッ素樹脂を用いても良い。
また、本実施の形態では、基材2上に第1の層3を配置する場合について説明したが、これに限らず例えば、基材2と第1の層3との間に、非導電性の中間層を形成しても良い。
また、本実施の形態では、第1の層3の表面に露出部分16を設け、露出部分16を静電粉体塗装時およびピンホール検査時のアース用端子として用いる場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、第1の層3を第2の層4で完全に被覆することにより、第1の層3の表面に露出部分16を形成しないようにも良い。このとき、図10に示すように、第2の層4の一部に、第2の層4を貫通して第1の層3に接続される導電性部分24を形成し、その導電性部分24をピンホール検査時におけるアース用端子として用いることで、第1の層3から外部に電気を取り出すようにしても良い。あるいは、第2の層4に配線を貫通させて、その配線を介して第1の層3から外部に電気を取り出すようにしても良い。あるいは、第1の層3の端面からアースをとるようにしても良い。
また、本実施の形態では、基材2が第1の層3によって完全に覆われる場合について説明したが、これに限らず例えば、基材2の一部分が第1の層3から露出するような場合であっても良い。
また、本実施の形態では、ピンホール検査として、2つの端子17、18を有するテスター23を用いて第1の層3および第2の層4のそれぞれの表面に端子17、18を配置する場合について説明したが、これに限らず例えば、第2の層4を水に浸漬させた状態にて第1の層3に通電が生じるか否かを判定することにより、ピンホールの有無を判定する方法などを採用しても良い。
なお、上記様々な実施の形態のうちの任意の実施の形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、基材上にフッ素樹脂を含む層を配置して形成されるフッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法に適用することができる。特に、ウェハキャリアなど、半導体製造工程においてウェハを洗浄するための薬液とともに使用される基材を対象とするフッ素樹脂コーティング構造体およびその製造方法に適用することができる。
1 フッ素樹脂基材
2 基材
3 第1の層
4 第2の層
5 装置
6 塩酸
7 チューブ
8 試験管
9 溶液
10 開口
11 シリコン栓
12 シリコン栓
13 シリコン栓
16 露出部分
17 端子
18 端子
19 ピンホール
20 アース部分
21 ガン
22 粉体状PCTFE
23 被覆部分
24 導電性部分
25 テスター

Claims (12)

  1. 非導電性の表面を有する基材と、
    基材上に配置される導電性の第1の層と、
    第1の層上に配置され、フッ素樹脂で形成される第2の層とを備え、
    第1の層および第2の層には金属が含まれず、
    第2の層におけるピンホールの有無を判別するピンホール検査用のアース用端子をさらに備える、フッ素樹脂コーティング構造体。
  2. ピンホール検査用のアース用端子は、第1の層の表面において、第2の層から露出した露出部分である、請求項に記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  3. ピンホール検査用のアース用端子は、第1の層と接続され、第2の層を貫通するように配置された導電性部分である、請求項に記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  4. 基材は非導電体で形成され、
    第2の層を形成するフッ素樹脂はPCTFE、PFA、FEP、ETFE、EFEP、ECTFE、CPT、PVdFのいずれかである、請求項1からのいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  5. 第2の層のフッ素樹脂は薬液浸透性が低いフッ素樹脂である、請求項1からのいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  6. 第2の層のフッ素樹脂はPCTFEである、請求項1からのいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  7. 第1の層の体積固有抵抗値は1010Ωcm以下である、請求項1からのいずれか1つに記載のフッ素樹脂被膜コーティング構造体。
  8. 第1の層は耐熱性合成樹脂を含む、請求項1からのいずれか1つに記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  9. 耐熱性合成樹脂は、PEEK、PI、PAI、PES、PBIのいずれかである、請求項に記載のフッ素樹脂コーティング構造体。
  10. 基材と基材上に配置される第1および第2の層とを備えるフッ素樹脂コーティング構造体を製造する方法であって、
    非導電性の表面を有する基材上に、導電性の第1の層を形成する第1工程と、
    第1の層上に第2の層を形成する第2工程とを含み、
    第2の層はフッ素樹脂で形成され、第1の層および第2の層には金属が含まれず、
    第2工程において、第1の層の一部を露出させるように第2の層を形成して、露出部分を、第2の層におけるピンホールの有無を判別するためのピンホール検査用のアース用端子とする、フッ素樹脂コーティング構造体の製造方法。
  11. 第2工程において、導電性の第1の層からアースした状態にて、静電粉体塗装により第1の層上に第2の層を形成する、請求項10に記載のフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法。
  12. 第2工程後に、第1の層の露出部分を被覆する第3工程をさらに含む、請求項10又は11に記載のフッ素樹脂コーティング構造体の製造方法。
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