JP5566814B2 - 変倍光学系および撮像装置 - Google Patents

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本発明は、変倍光学系および撮像装置に関し、より詳しくは、ビデオカメラや電子スチルカメラ等に使用可能で、特に監視カメラ用途として好適に使用可能な変倍光学系および該変倍光学系を備えた撮像装置に関するものである。
従来、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を記録媒体とするビデオカメラや電子スチルカメラ、監視カメラなどの撮像装置に用いられる光学系として、CCTV(Closed-circuit Television)用変倍光学系が開発されている。このようなCCTV用変倍光学系として、4群構成のものは、鏡胴・変倍機構の簡素さおよび扱い易さ等の利点が多く、多くのものが提案されている(例えば、下記特許文献1〜4参照)。
特開2003−98434号公報 特開2004−325566号公報 特開2006−113387号公報 特開2009−180897号公報
ところで、近年では監視カメラ市場がとみに拡大してきたことから開発競争が激化しており、低照度の撮影条件下でも使用可能なように大口径比である等の高諸元を満たし、高い結像性能を有しながら、小型かつ低コストに構成されたレンズ系の開発が強く求められている。
また、昨今ではデジタルスチルカメラやムービーカメラの普及が進み、パーソナルコンピュータで撮影画像の画像処理を行い、モニター上で好みに応じて拡大視認するという画像鑑賞方法が一般的になってきており、これに伴い、画像の色滲みに対する要求が厳しくなってきている。デジタルカメラの分野では、画像処理技術を内蔵したものが増えてきたことから、コストの上昇をきたすレンズ構成で色滲みを解決するのではなく、デジタル処理により色滲みの少ない画像を撮像する技術で対応することが可能である。
このような背景から、監視用が主な用途であるCCTV分野でも、画像、特に色滲みに対する要求が厳しくなってきている。しかしながら、CCTV分野では、CCTV用カメラと装着レンズとの分業化が進んでいるため、デジタルカメラの分野の上記技術を適用することは難しく、結局、レンズ系自体で色滲みの発生を抑える必要が生じている。
従来知られている特許文献1〜3に記載のものは、色収差の補正が不十分である、または広角端におけるCCTV用として用いるにはF値が大きすぎるという不具合がある。また、特許文献4に記載のものは、第1レンズ群が4枚構成であり、第1レンズ群の外径が大きく、第2レンズ群の移動量が大きいことから、小型化および低コスト化が困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型かつ安価でありながら、F値が小さく、色収差が良好に補正されて、高い光学性能を有する変倍光学系および該変倍光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の変倍光学系は、物体側から順に、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を持ち、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、変倍時に固定されている絞りと、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を持ち、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備えた変倍光学系であって、第2レンズ群が、物体側から順に、負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと、正レンズとが配列された4枚構成であり、第4レンズ群が、物体側から順に、両凸レンズと、1枚または2枚の負レンズと、正レンズとが配列された3枚構成または4枚構成であり、第2レンズ群の焦点距離をfG2とし、広角端における全系の焦点距離をfwとし、第2レンズ群の正メニスカスレンズのd線に対するアッベ数をν2pとし、広角端から望遠端へ変倍するときの第2レンズ群の移動量をdz2とし、第4レンズ群の最も物体側の両凸レンズの焦点距離をf4pfとし、第4レンズ群の最も像側の正レンズの焦点距離をf4prとしたとき、下記条件式(1)〜(3)、(8A)を満たすことを特徴とするものである。
1.0<|fG2|/fw<1.4 … (1)
20<ν2p<60 … (2)
2.8<dz2/fw<3.5 … (3)
1.65≦f4pf/f4pr<2.7 … (8A)
本発明の変倍光学系の第1レンズ群は、物体側から順に、負レンズと、両凸レンズと、正メニスカスレンズとが配列された3枚構成であり、第1レンズ群の焦点距離をfG1とし、第1レンズ群の負レンズの焦点距離をf1nとし、該負レンズのd線に対するアッベ数をν1nとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすように構成することが好ましい。
1.5<|f1n|/fG1<2.6 … (4)
28<ν1n<33 … (5)
本発明の変倍光学系の第3レンズ群は、物体側から順に、両凸レンズと、負レンズとが配列された2枚構成であり、第3レンズ群の両凸レンズが少なくとも1面の非球面を有し、第3レンズ群の焦点距離をfG3とし、第3レンズ群の両凸レンズと負レンズの焦点距離をそれぞれf3p、f3nとしたとき、下記条件式(6)、(7)を満たすように構成することが好ましい。
4.0<fG3/fw<5.5 … (6)
0.3<|f3p/f3n|<0.6 … (7)
なお、上記における各レンズの屈折力の符号や面形状は、当該レンズが非球面レンズの場合は近軸領域におけるものとする。
なお、上記におけるレンズ枚数は、構成要素となるレンズの枚数である。例えば、材質の異なる複数の単レンズが接合された接合レンズがある場合は、この接合レンズを構成する単レンズの枚数で数えるものとする。
本発明の撮像装置は、上記記載の本発明の変倍光学系を備えたことを特徴とするものである。
本発明の変倍光学系は、物体側から順に、変倍時に固定されている正の第1レンズ群と、光軸Zに沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、変倍時に固定されている絞りと、変倍時に固定されている正の第3レンズ群と、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う正の第4レンズ群とを備え、第2レンズ群および第4レンズ群のレンズ構成を好適に設定し、条件式(1)〜(3)、(8A)を満たすようにしているため、小型かつ安価な構成でありながら、小さなF値と、良好な色収差補正、および高い光学性能を実現することができる。
また、本発明の撮像装置は、本発明の変倍光学系を備えているため、小型で安価に構成でき、低照度での撮影が可能で、色滲みが少ない高画質の映像を得ることができる。
本発明の一実施形態にかかる変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図2(A)〜図2(C)は本発明の実施例1の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図3(A)〜図3(C)は本発明の実施例2の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図4(A)〜図4(C)は本発明の実施例3の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図5(A)〜図5(C)は本発明の実施例4の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図6(A)〜図6(C)は本発明の実施例5の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図7(A)〜図7(C)は本発明の実施例6の変倍光学系のレンズ構成を示す断面図 図8(A)〜図8(I)は本発明の実施例1の変倍光学系の各収差図 図9(A)〜図9(I)は本発明の実施例2の変倍光学系の各収差図 図10(A)〜図10(I)は本発明の実施例3の変倍光学系の各収差図 図11(A)〜図11(I)は本発明の実施例4の変倍光学系の各収差図 図12(A)〜図12(I)は本発明の実施例5の変倍光学系の各収差図 図13(A)〜図13(I)は本発明の実施例6の変倍光学系の各収差図 本発明の実施形態にかかる撮像装置の概略構成図
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に、本発明の一実施形態にかかる変倍光学系の構成例の断面図を示す。図1に示す構成例は、後述の実施例1の変倍光学系の広角端におけるレンズ配置に対応している。図1においては、左側が物体側、右側が像側である。
この変倍光学系は、光軸Zに沿って、物体側から順に、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第1レンズ群G1と、負の屈折力を持ち、光軸Zに沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群G2と、変倍時に固定されている開口絞りStと、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第3レンズ群G3と、正の屈折力を持ち、変倍および物体距離の変動に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群G4とを備えている。なお、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
この変倍光学系を撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、赤外線カットフィルタやローパスフィルタなどの各種フィルタを配置することが好ましいため、図1では、これらを想定した平行平板状の光学部材PPを第4レンズ群G4と像面Simとの間に配置した例を示している。
本発明の課題の1つである色滲みは、可視光域での各波長でのコマ収差のズレが大きいことに起因している。この主たる原因は、変倍に伴う軸上色収差の変化が大きいこと、及び中間変倍域での倍率色収差が大きいことが挙げられる。すなわち、色滲みを低減するには、第2レンズ群G2の移動によるこれらの収差変動を極力抑える必要がある。
一般に色収差の補正には、正負レンズの組合せが使用されるが、この正負レンズの合成焦点距離が正の場合には、その正レンズにはアッベ数が大きく且つ異常分散性を有する材料が用いられ、また負レンズには高分散材料の中で比較的アッベ数が大きな材料を用いられることが多い。逆に正負レンズの合成焦点距離が負の場合には、その正レンズにはアッベ数が小さな材料が用いられ、負レンズにはアッベ数が大きな材料を用いられることが多い。正負レンズの合成焦点距離が正の場合、負の場合ともに、組合せの正負レンズを構成する正レンズと負レンズのアッベ数の差が小さいほど色収差の二次スペクトルが小さくなる。
一方では、色収差を補正する場合、使用される正負レンズの材料のアッベ数の差が大きいほど、これら正負レンズの屈折力がともに弱くなる。これは、球面収差を小さく維持し、小さなF値を実現するには有効である。
このため、球面収差と色収差を共に良好に維持するためには、材料の選択が重要となる。異常分散材料は材料費・加工費ともに高コストとなるため、できるだけ外径を小さくすることが望ましい。例えば、第2レンズ群G2の負の屈折力を強くして、広角端から望遠端までの移動量を小さくすれば、広角側での軸外光束の第1レンズ群G1における光線高さが低くなり、レンズ径を小さくできるのでコストも抑えられる。
また、ある程度変倍比の大きな変倍光学系では、中間倍率での色収差や球面収差等の諸収差の変動を小さく抑えるには、変倍を司る第2レンズ群G2の構成が重要である。よって、第2レンズ群G2の負の屈折力が強く、且つ変倍時の収差変動が小さい構成を見出す必要がある。本発明の変倍光学系は、上記観点に基づいて考案されたものであり、第2レンズ群G2に特徴的な構成を有している。
本発明の実施形態にかかる変倍光学系の第2レンズ群G2は、物体側から順に、負レンズであるレンズL21と、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズであるレンズL22と、両凹レンズであるレンズL23と、正レンズであるレンズL24とが配列された4枚構成を採用している。
また、この変倍光学系は、第2レンズG2の焦点距離をfG2とし、広角端における全系の焦点距離をfwとし、第2レンズ群G2のレンズL22のd線に対するアッベ数をν2p、広角端から望遠端へ変倍するときの第2レンズ群G2の移動量をdz2としたとき、下記条件式(1)〜(3)を満たすように構成されている。
1.0<|fG2|/fw<1.4 … (1)
20<ν2p<60 … (2)
2.8<dz2/fw<3.5 … (3)
条件式(1)は、第2レンズ群G2の持つ負の屈折力が全系に及ぼす影響を制限するためのものである。条件式(1)の下限を下回ると、第2レンズ群G2の屈折力が強くなり、変倍時、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3を固定にするため第1レンズ群G1、第3レンズ群G3の正の屈折力が増大することになり、変倍に伴う収差変動が大きくなりすぎて、変倍全域での結像性能を均等性高く良好に維持することが困難になる。条件式(1)の上限を上回ると、広角端から望遠端まで変倍するときの第2レンズ群G2の移動量が大きくなりすぎて、レンズ全長が大きくなったり、第1レンズ群G1のレンズが大径化したりして小型化に反する。条件式(1)を満たすように構成することで、コンパクト性を損ねることなしに、変倍に伴う球面収差、像面湾曲、色収差等の変動が抑えられ、変倍域全域にわたり、画面全体で均等性高く良好な性能を維持することができる。
条件式(2)は、第2レンズ群G2の物体側から2番目に配置される正メニスカス形状のレンズL22のアッベ数の好適な範囲を規定するためのものである。第2レンズ群G2においては、広角端では軸外光線の高さが軸上光線の高さに比べて高くなっており、望遠端では逆に、軸上光線の高さが軸外の主光線の高さより高くなっている。これらの光線高さの差から生じる諸収差の変動を抑えるためには、第2レンズ群G2の最も物体側に強い負の屈折力を持つ負レンズを配した場合、正レンズをその直後に配してこの負レンズの持つ強い発散性を緩和すればよい。
ところが、第2レンズ群G2全体の負の屈折力を上記条件式(1)式を満たすように構成すると、第2レンズ群G2の負の屈折力をあまり強くすることはできず、その結果、第2レンズ群G2の正のレンズL22の屈折力もあまり強くすることはできない。そこで、この正のレンズL22を、物体側に凹面を向けたメニスカス形状にすることで、第2レンズ群G2の最も物体側に位置する負レンズの持つ強い発散性を緩和できるだけの十分な収斂性を持たせながら、正の屈折力があまり強くならない程度にすることができる。このような構成を採るとき、色収差を良好に保つためには、レンズL22の材質のd線に対するアッベ数の範囲に制限を加える必要が生じる。
条件式(2)の下限を下回ると、広角側での倍率色収差が増大し、望遠側では、軸上色収差が増大する。条件式(2)の上限を上回ると、中間変倍域から望遠側で条件式(2)の下限を下回った場合と逆向きに色収差が発生し、この色収差を補正するために第2レンズ群G2内の他のレンズ要素を変更すると、像面湾曲やコマ収差変動の増大に繋がり、全域で良好に性能を維持することができない。
条件式(3)は、レンズ系の小型化に関連したものであり、条件式(1)と相補関係にある。条件式(3)の下限を下回ると、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3の各群の屈折力が強くなり過ぎて、変倍全域での結像性能を良好に維持できない。条件式(3)の上限を上回ると、結像性能は良好に保てるが、レンズが大径化しコンパクト性を損ねることになり、監視用が主な用途であってもスペースが大きくとられ、好ましくない。
以上のように、第2レンズ群G2を、物体側から順に、負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと、正レンズとが配列された4枚構成とし、上記条件式(1)〜(3)を満たすように構成することで、レンズ系を大型化することなく、F値が小さく、色収差を含めた諸収差が良好に補正された高い光学性能を有する変倍光学系を安価に提供することができる。
第2レンズ群G2のレンズL21は、像側に曲率半径の絶対値の小さい面を向けるよう構成することが好ましい。かかる構成によれば、広角側での軸外光束がレンズL21の物体側の面へ入射するときの該面の法線とのなす角度と、レンズL21の像側の面から射出するときの該面の法線とのなす角度とをほぼ同じにすることが可能となり、これにより、軸外収差の発生を最小限に抑えることができる。レンズL21は、例えば、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズあるいは両凹レンズとすることができる。レンズL24は、像側に曲率半径の絶対値の大きい面を向けるよう構成することが好ましい。レンズL24は例えば、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズあるいは両凸レンズとすることができる。レンズL23とレンズL24は接合されていてもよく、接合した場合には小型化と色収差の補正に有利となる。
次に、この変倍光学系の他のレンズ群について説明する。当然のことながら、第2レンズ群と他のレンズ群は相関関係を有するものであり、また、以下に詳述するように、第1レンズ群G1、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4の構成を最適化することで本発明の課題の解決に貢献することができる。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、負レンズであるレンズL11と、両凸レンズであるレンズL12と、正メニスカスレンズであるレンズL13とが配列された3枚構成とすることが好ましい。
第1レンズ群G1が上記3枚構成を有する場合、第1レンズ群G1の焦点距離をfG1とし、第1レンズ群G1のレンズL11の焦点距離をf1nとし、レンズL11のd線に対するアッベ数をν1nとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことが好ましい。
1.5<|f1n|/fG1<2.6 … (4)
28<ν1n<33 … (5)
上述した第1レンズ群G1の好ましい構成を採用することにより、コストを抑えつつ、特に中間変倍域から望遠端にかけての色収差の発生を抑えることができる。レンズ系の価格を抑えるためには、構成枚数の最少化と、レンズの大径化を極力抑えることである。第1レンズ群G1の、物体側から順に、負のレンズ、正の両凸レンズ、正のメニスカスレンズを配列した3枚構成は、性能とコストのバランスから導かれる最も簡素で好適な構成である。
条件式(4)は、第1レンズ群G1における負レンズの屈折力に関する条件を規定するものである。条件式(4)の下限を下回ると、特に望遠端の軸上色収差が補正過剰となり、使用材質のアッベ数を大きくして補わなければならなくなる。そうすると色消し条件から、対抗する第1レンズ群G1内の正レンズの屈折力が強くなり、2枚の正レンズだけでは球面収差を良好に補正することが困難になるとともに、組立誤差の許容量が小さくなり、製造性が低下し、高コストになる。これを回避するためには、第1レンズ群G1全体の焦点距離を大きくするしかないが、そうした場合、全系の変倍比を維持するためには、第2レンズ群G2の負の屈折力を弱くし、かつ第2レンズ群G2の移動量を大きくしなければならなくなり、全系の大型化が避けられなくなる。
条件式(4)の上限を上回ると、逆に軸上色収差が補正不足となり、アッベ数の小さな材質を使用して補うことになるが、二次スペクトルが悪くなり、目立つ長波長側の色収差を抑えると短波長側の色収差が悪くなり、色滲みが出やすくなる。
条件式(5)は、第1レンズ群G1における負レンズの材質のアッベ数に関するものであり、条件式(4)と相補的な関係にある。条件式(5)の下限を下回ると、負レンズの屈折力を強くしなくてもよいが、中間変倍域から望遠端にかけて二次スペクトルを良好に補正できず、色滲みが出やすくなる。条件式(5)の上限を上回ると、色消しのため、負レンズ、正レンズの屈折力が強くなりすぎて、球面収差が補正不足となり、結像性能を良好に維持できなくなる。結像性能を良好に維持するために、例えば正レンズを3枚する等してレンズ枚数を増加させると、コストアップに繋がる。
第1レンズ群のレンズL11は例えば、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとすることができる。レンズL13は例えば物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとすることができる。レンズL11とレンズL12は接合されていてもよく、接合した場合には小型化と色収差の補正に有利となる。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸レンズであるレンズL31と、負レンズであるL32とが配列された2枚構成とすることが好ましい。その際に、レンズL31が少なくとも1面の非球面を有することが好ましい。
第3レンズ群G3が上記2枚構成を有する場合、第3レンズ群G3の焦点距離をfG3とし、第3レンズ群G3のレンズL31とレンズL32の焦点距離をそれぞれf3p、f3nとしたとき、下記条件式(6)、(7)を満たすことが好ましい。
4.0<fG3/fw<5.5 … (6)
0.3<|f3p/f3n|<0.6 … (7)
この変倍光学系では、第3レンズ群G3に所定の正の屈折力を持たせることで、広角端から望遠端において第1レンズ群G1から第3レンズ群G3までの光学系をほぼアフォーカルとし、正レンズ群である第4レンズ群G4の像側の結像点を固定するための変倍時・フォーカス時の第4レンズ群G4の移動量を適度に抑えることができる。
第3レンズ群G3内の正レンズを物体側に配設すれば、全系のバックフォースを必要以上に長くしなくて済み、第3レンズ群G3の残る負レンズと組み合わせることで、広角端の軸上色収差や像面特性の平坦化に寄与できる。特に第3レンズ群G3は、広角端から中変倍域で軸上光束の光線高さが最も高く、開口絞りStが近傍に配設されているので、像面特性への影響を少なくしながら球面収差や軸上色収差の補正を行いやすいレンズ群であり、上記第3レンズ群G3の好ましい構成は全系の結像性能を纏めるに重要な構成である。
この時、第3レンズ群G3の最も物体側の正レンズを非球面レンズとすれば、変倍に伴う球面収差の変動を良好に抑えることができる。なお、第1レンズ群G1から第3レンズ群G3までの光学系をほぼアフォーカルにするために、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成像点近傍に第3レンズ群G3の前側焦点が位置するように構成する必要があり、第3レンズ群G3の焦点距離はこの点を考慮する必要がある。
条件式(6)は、上記事情を反映したものである。広角端と望遠端とで第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の合成像点をほぼ一致させるとき、所定の変倍比を得るためには、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2各々の正、負の屈折力が強くなるほど、合成像点は第3レンズ群G3に近づき、従って第3レンズ群G3の焦点距離も小さくなる。
上述した第3レンズ群G3の物体側から順に正レンズ、負レンズを配置した構成は、前側主点位置を第2レンズ群G2の方向に押しやる効果が有り、第3レンズ群G3の焦点距離を更に短くする効果を持つ。これにより、全変倍域における第1レンズ群G1〜第3レンズ群G3の合成像点の移動量を小さく抑えることができるので、第1レンズ群G1〜第4レンズ群G4の合成像点を一定にするための第4レンズ群G4の光軸方向の移動量が小さくすることができ、レンズ系全体の小型化、および第4レンズ群G4のレンズの小径化に大いに貢献できる。
条件式(6)の下限を下回ると、第1レンズ群G1〜第3レンズ群G3の各屈折力が強くなり、変倍に伴う収差変動が大きくなり、全系の結像性能を均一性良く、且つ良好に維持することが困難になる。条件式(6)の上限を上回ると、第1レンズ群G1〜第3レンズ群G3の各屈折力が弱くなり、レンズ系が大型化しコンパクト化を達成できない。
条件式(7)は、第3レンズ群G3の正レンズの焦点距離と負レンズの焦点距離との比を絶対値で規定したものである。条件式(7)の下限を下回ると、正の屈折力が強くなりすぎて、広角側の軸上色収差の補正のために負レンズのアッベ数を小さくしなければならず、広角側での軸上色収差における二次スペクトルが大きくなって、色滲みを助長してしまう。条件式(7)の上限を上回ると、第3レンズ群G3の焦点距離が長くなって、全系のコンパクト性を損ねてしまうか、ペッツバール和を0に近い値にできなくなり良好な像面特性が得られなくなる。
第3レンズ群G3が上記2枚構成を採る場合は、収差補正上、2枚とも単レンズとすることが好ましい。第3レンズ群G3のレンズL32は例えば、負メニスカスレンズとすることができる。レンズL31を両凸レンズとし、レンズL32を負メニスカスレンズとすることで、条件式(7)を満たすことが容易になる。
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズであるレンズL41と、負レンズであるレンズL42と、正レンズであるレンズL43とが配列された3枚構成とすることが好ましい。あるいは、第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸レンズと、2枚の負レンズと、正レンズとが配列された4枚構成とすることが好ましい。
第4レンズ群G4が上記3枚構成または4枚構成を有する場合、第4レンズ群G4の最も物体側の両凸レンズの焦点距離をf4pfとし、第4レンズ群G4の最も像側の正レンズの焦点距離をf4prとしたとき、下記条件式(8)を満たすことが好ましい。
0.3<f4pf/f4pr<2.7 … (8)
第4レンズ群G4を物体側から順に、正、負、正レンズの3枚構成、あるいは正、負、負、正レンズの4枚構成にすることで、簡易な構成でありながら、小さなF値を実現するとともに結像性能も良好に維持することができる。
条件式(8)は、第4レンズ群G4の最も物体側の正レンズと最も像側の正レンズの焦点距離の比の好適な範囲を規定するものである。全変倍域において、最も像側の正レンズよりも最も物体側の正レンズの方が、軸外収差よりも球面収差に対する利きが強く、逆に、最も物体側の正レンズよりも最も像側の正レンズの方が、球面収差よりも軸外収差に対する利きが球面収差より強い。画面全域で結像性能を良好にするためには、両方のバランス取りが重要である。
条件式(8)の下限を下回ると、第4レンズ群G4の最も物体側の正レンズの屈折力が強くなりすぎて全変倍域にわたり球面収差が補正不足となり、第4レンズ群G4内のレンズ形状を変更しても良好な光学性能を得ることができない。条件式(8)の上限を上回ると、最も像側の正レンズの屈折力が強くなりすぎて像面倒れが生じてしまう。全変倍域で全画面での結像性能を良好に維持するためには、この条件式(8)を満たすように構成することが必要である。
第4レンズ群G4は、全レンズを単レンズとしてもよく、その場合は球面収差の補正や像面特性において有利となる。第4レンズ群G4が上述した好ましい3枚構成を採る場合は、第4レンズ群G4のレンズL42は像側に曲率半径の絶対値の小さい面を向けるよう構成することが好ましい。レンズL42が像側に曲率半径の絶対値の小さい面を向けるよう構成した場合には、アフォーカルに近い光束を正レンズであるレンズL41で受けて後続の負レンズであるレンズL42で射出するとき、軸上光束の入射光線高さと射出光線高さの差を大きくして、全系のバックフォーカスを適度に小さくでき、且つペッツバール和を0に近い値にすることができて、全系の像面湾曲を抑制して像の平坦化に寄与することができる。レンズL42は、例えば、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとすることができる。レンズL43は例えば、両凸レンズ、あるいは像側に平面を向けた平凸レンズとすることができる。
第4レンズ群G4が上述した好ましい4枚構成を採る場合は、第4レンズ群G4の2枚の負レンズは物体側から順に、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズとすることができ、最も像側の正レンズは例えば、両凸レンズ、あるいは物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとすることができる。
本変倍光学系は、上記条件式(1)〜(8)それぞれに代えて下記条件式(1−1)〜(8−1)それぞれを満たすことがより好ましい。条件式(1−1)〜(8−1)それぞれを満たすことにより、条件式(1)〜(8)それぞれを満たすことにより得られる効果をさらに高めることができる。なお、好ましい態様としては、必ずしも条件式(1−1)〜(8−1)全てを同時に満たす必要はなく、条件式(1−1)〜(8−1)のいずれか1つ、または任意の組合せを満たせばよい。
1.1<|fG2|/fw<1.3 … (1−1)
21<ν2p<58.5 … (2−1)
3.0<dz2/fw<3.4 … (3−1)
1.6<|f1n|/fG1<2.4 … (4−1)
29<ν1n<32 … (5−1)
4.2<fG3/fw<5.2 … (6−1)
0.35<|f3p/f3n|<0.55 … (7−1)
0.50<f4pf/f4pr<2.55 … (8−1)
本変倍光学系が厳しい環境において使用される場合には、保護用の多層膜コートが施されることが好ましい。さらに、保護用コート以外にも、使用時のゴースト光低減等のための反射防止コートを施すようにしてもよい。
図1に示す例では、レンズ系と像面Simとの間に光学部材PPを配置した例を示したが、ローパスフィルタや特定の波長域をカットするような各種フィルタ等を配置する代わりに、各レンズの間にこれらの各種フィルタを配置してもよく、あるいは、いずれかのレンズのレンズ面に、各種フィルタと同様の作用を有するコートを施してもよい。
次に、本発明の変倍光学系の数値実施例について説明する。なお、実施例1〜6のうち、実施例1〜4は本発明の実施例であるが、実施例5、6は本発明に関する参考例である。実施例1の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図2(A)、図2(B)、図2(C)に示す。図2(A)〜図2(C)においては、光学部材PPも合わせて示しており、左側が物体側、右側が像側であり、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
同様に、実施例2の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図3(A)、図3(B)、図3(C)に示し、実施例3の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図4(A)、図4(B)、図4(C)に示し、実施例4の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図5(A)、図5(B)、図5(C)に示し、実施例5の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図6(A)、図6(B)、図6(C)に示し、実施例6の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端でのレンズ配置をそれぞれ図7(A)、図7(B)、図7(C)に示す。
実施例1の変倍光学系の基本レンズデータを表1に、変倍に関するデータを表2に、非球面データを表3に示す。同様に、実施例2〜6の変倍光学系の基本レンズデータ、変倍に関するデータ、非球面データをそれぞれ表4〜表18に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜6のものについても基本的に同様である。
表1の基本レンズデータにおいて、Siの欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示し、Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、Ndiの欄にはi番目の面とi+1番目の面との間の媒質のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄には最も物体側の光学要素を1番目として像側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線に対するアッベ数を示している。
なお、曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(開口絞り)という語句を記載しており、像面に相当する面の面番号の欄には面番号とともに(像面)という語句を記載している。
表1の基本レンズデータにおいて、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれ可変1、可変2、可変3、可変4と記載している。可変1は第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔であり、可変2は第2レンズ群G2と開口絞りStとの間隔であり、可変3は第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔であり、可変4は第4レンズ群G4と光学部材PPとの間隔である。
表2の変倍に関するデータに、広角端、中間焦点距離状態、望遠端それぞれにおける、可変1、可変2、可変3、可変4、焦点距離、F値、全画角の値を示す。表2では、中間焦点距離状態、焦点距離、F値、全画角それぞれを中間、f、FNo.、2ωと表記している。基本レンズデータおよび変倍に関するデータにおいて、角度の単位としては度を用い、長さの単位としてはmmを用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
表1の基本レンズデータでは、非球面は面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表3の非球面データは、これら非球面に関する非球面係数を示すものである。表3の非球面データの数値の「E−n」(n:整数)は「×10−n」を意味する。非球面係数は、以下の式(A)で表される非球面式における各係数κ、Am(m=4、6、8、10)の値である。ただし、式(A)におけるΣはm(m=4、6、8、10)の項に関する和を意味する。
Zd=C・h/{1+(1−κ・C・h1/2}+ΣAm・h … (A)
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からのレンズ面までの距離)
C:近軸曲率
κ、Am:非球面係数(m=4、6、8、10)
Figure 0005566814
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実施例1〜6の変倍光学系の条件式(1)〜(8)に対応する値を表19に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、上記の変倍におけるデータの表および下記の表19に示す値はこの基準波長におけるものである。
Figure 0005566814
実施例1の変倍光学系の各収差図を図8(A)〜図8(I)に示す。図8(A)、図8(B)、図8(C)はそれぞれ広角端における球面収差、像面湾曲、歪曲収差(ディストーション)を示し、図8(D)、図8(E)、図8(F)はそれぞれ中間焦点距離状態における球面収差、像面湾曲、歪曲収差(ディストーション)を示し、図8(G)、図8(H)、図8(I)はそれぞれ望遠端における球面収差、像面湾曲、歪曲収差(ディストーション)を示す。
球面収差の図ではd線に関する収差を実線で、g線(波長435.8nm)に関する収差を短い破線で、C線(波長656.3nm)に関する収差を長い破線で示している。像面湾曲の図では、d線、g線、C線に関する収差を示し、サジタル方向については実線で、タンジェンシャル方向については点線で示している。歪曲収差の図はd線に関するものである。球面収差の図の縦軸はF値に対応する。像面湾曲と歪曲収差の図において、縦軸は像高(単位はmm)であり、縦軸の最小値は0である。
像高0は光軸上であるから、像高0におけるサジタル方向とタンジェンシャル方向の像面湾曲の値は一致する。像面湾曲の図の像高0における収差曲線の波長ごとの配列順は、球面収差の図の縦軸の最も下の位置における収差曲線の波長ごとの配列順と同じである。例えば、図8(A)の球面収差の図の縦軸の最も下の位置においては、左から順に、d線、g線、C線の収差曲線が並んでおり、図8(B)の像面湾曲の図の像高0の位置においては、同様に左から順に、d線のサジタル方向とタンジェンシャル方向、g線のサジタル方向とタンジェンシャル方向、C線のサジタル方向とタンジェンシャル方向の収差曲線が並んでいる。
なお、歪曲収差の図はTVディストーションで記載してある。光軸に垂直な平面物体の光学系によって結ばれる光軸に垂直な物体像のゆがみの程度を歪曲収差として表すが、写真レンズ等は一般的な、理想像高と実像高との差を理想像高で割った数値を百分率で表したものであるのに対して、TVレンズの分野ではこれとは異なった定義式を用い、これをTVディストーションとして区別している。この定義によれば、TV画面における長辺の曲がり量を対象として歪曲量として扱う。
具体的には、TVディストーションDTVは、長辺の曲がりの深さΔhを垂直画面長2hで割って百分率で表したもので、下記式の通り表される。
DTV=Δh/2h×100
歪曲収差図は、光軸からの実像高Yを光軸中心からの画面4対角方向の4点とし、これらの4点で結ばれた平面像の物体側での矩形平面物体を想定し、この像の長辺の中央部での実像高がhであり、対角上の点の光軸までの垂直高さからの差がΔhである。従って、画面の縦横比で異なる数値になるが、図8(C)、図8(F)、図8(I)に示す歪曲収差の図では、TV画面で一般的な3:4の比率で算出したものとなっている。
同様に、実施例2の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端における各収差図を図9(A)〜図9(I)に示し、実施例3の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端における各収差図を図10(A)〜図10(I)に示し、実施例4の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端における各収差図を図11(A)〜図11(I)に示し、実施例5の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端における各収差図を図12(A)〜図12(I)に示し、実施例6の変倍光学系の広角端、中間焦点距離状態、望遠端における各収差図を図13(A)〜図13(I)に示す。
以上のデータから、実施例1〜6の変倍光学系は全て、条件式(1)〜(8)を満たし、F値が約1.7と小さく、変倍比が約10倍であり、色収差を含めた各収差が良好に補正されて高い光学性能を有することがわかる。
次に、本発明の実施形態にかかる撮像装置について説明する。図14に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態の変倍光学系を用いた撮像装置の概略構成図を示す。撮像装置としては、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を記録媒体とする監視カメラ、ビデオカメラ、電子スチルカメラ等を挙げることができる。
図14に示す撮像装置10は、変倍光学系1と、変倍光学系1の像側に配置されたフィルタ2と、変倍光学系によって結像される被写体の像を撮像する撮像素子3と、撮像素子3からの出力信号を演算処理する信号処理部4と、変倍光学系1の変倍とその変倍によるフォーカス調整を行うためのズーム制御部5とを備える。
変倍光学系1は、変倍時に固定されている正の第1レンズ群G1と、光軸Zに沿って移動することにより変倍を行う負の第2レンズ群G2と、開口絞りStと、変倍時に固定されている正の第3レンズ群G3と、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う正の第4レンズ群G4とを有するものである。図14では各レンズ群を概略的に示している。撮像素子3は、変倍光学系1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、その撮像面は変倍光学系の像面に一致するように配置される。撮像素子3としては例えばCCDやCMOS等を用いることができる。
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、非球面係数等の値は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
1 変倍光学系
2 フィルタ
3 撮像素子
4 信号処理部
5 ズーム制御部
10 撮像装置
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
L11〜L13、L21〜L24、L31、L32、L41〜L43 レンズ
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Z 光軸

Claims (4)

  1. 物体側から順に、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第1レンズ群と、負の屈折力を持ち、光軸に沿って移動することにより変倍を行う第2レンズ群と、変倍時に固定されている絞りと、正の屈折力を持ち、変倍時に固定されている第3レンズ群と、正の屈折力を持ち、変倍に伴う像面位置の補正および合焦を行う第4レンズ群とを備えた変倍光学系であって、
    前記第2レンズ群が、物体側から順に、負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズと、両凹レンズと、正レンズとが配列された4枚構成であり、
    前記第4レンズ群が、物体側から順に、両凸レンズと、1枚または2枚の負レンズと、正レンズとが配列された3枚構成または4枚構成であり、
    前記第2レンズ群の焦点距離をfG2とし、広角端における全系の焦点距離をfwとし、前記第2レンズ群の前記正メニスカスレンズのd線に対するアッベ数をν2pとし、広角端から望遠端へ変倍するときの前記第2レンズ群の移動量をdz2とし、前記第4レンズ群の前記両凸レンズの焦点距離をf4pfとし、前記第4レンズ群の最も像側の前記正レンズの焦点距離をf4prとしたとき、下記条件式(1)〜(3)、(8A)を満たすことを特徴とする変倍光学系。
    1.0<|fG2|/fw<1.4 … (1)
    20<ν2p<60 … (2)
    2.8<dz2/fw<3.5 … (3)
    1.65≦f4pf/f4pr<2.7 … (8A)
  2. 前記第1レンズ群が、物体側から順に、負レンズと、両凸レンズと、正メニスカスレンズとが配列された3枚構成であり、
    前記第1レンズ群の焦点距離をfG1とし、前記第1レンズ群の前記負レンズの焦点距離をf1nとし、該負レンズのd線に対するアッベ数をν1nとしたとき、下記条件式(4)、(5)を満たすことを特徴とする請求項1記載の変倍光学系。
    1.5<|f1n|/fG1<2.6 … (4)
    28<ν1n<33 … (5)
  3. 前記第3レンズ群が、物体側から順に、両凸レンズと、負レンズとが配列された2枚構成であり、前記第3レンズ群の前記両凸レンズが少なくとも1面の非球面を有し、
    前記第3レンズ群の焦点距離をfG3とし、前記第3レンズ群の前記両凸レンズと前記負レンズの焦点距離をそれぞれf3p、f3nとしたとき、下記条件式(6)、(7)を満たすことを特徴とする請求項1または2記載の変倍光学系。
    4.0<fG3/fw<5.5 … (6)
    0.3<|f3p/f3n|<0.6 … (7)
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の変倍光学系を備えたことを特徴とする撮像装置。
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