本発明の実施形態について、第1から第3までの各実施形態を挙げて、以下に説明する。なお何れの実施形態も、タッチパネルを備えたディスプレイ装置(液晶表示装置)に関するものである。
1.第1実施形態
まず本発明の第1実施形態について、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)にディスプレイ装置が接続された、PCシステム(処理システムの一形態)を例に挙げて、以下に説明する。
[PCシステムの構成等について]
図1は、当該PCシステムの外観図を、図2は、当該PCシステム(特にディスプレイ装置)の構成に係るブロック図を、それぞれ表している。これらの図に示すように、ディスプレイ装置1は、ケーブル3を用いてPC2に接続され、全体として、PCシステム9を形成している。
PC2は、一般的なパーソナルコンピュータの機能を有しており、またケーブル3を通じて、ディスプレイ装置1との通信を行う。より具体的には、PC2は、映像情報と音声情報を含んだ映像音声信号を、ディスプレイ装置1に送出する。またPC2は、ユーザによるタッチパネルの操作(タッチ操作)の情報を含んだタッチ操作信号を、ディスプレイ装置1から受取る。
これによりPC2は、タッチ操作に応じた各種処理を行うことが可能となっている。またPC2は、ディスプレイ装置1における、各種動作(起動動作や、スタンバイ状態への移行動作など)の制御を行うことも可能となっている。
ディスプレイ装置1は、図2に示すように、映像音声信号入力I/F11、音声処理回路12a、映像処理回路12b、スピーカ13、液晶パネル14、タッチパネル15、温度センサ16、操作部17、演算制御部18、ファン群19、およびタッチ操作信号出力I/F20などを備えている。
映像音声信号入力I/F11は、PC2から映像音声信号を受取り、後段側の音声処理回路12aおよび映像処理回路12bに送出する。また音声処理回路12aは、映像音声信号入力I/F11から受取った映像音声信号に基づいて、スピーカ13に音声を出力させるための音声信号を生成する。スピーカ13はこの音声信号を受取って、音声を出力する。
映像処理回路12bは、映像音声信号入力I/F11から受取った映像音声信号に基づいて、液晶パネル14に映像を表示させるための映像信号を生成する。液晶パネル14はこの映像信号を受取って、映像を表示する。より具体的には、液晶パネル14は、映像信号に応じて画素ごとの光の透過度合を調節し、不図示のバックライトの光を用いて映像を表示する。映像(画像)を形成する光は、透明であるタッチパネル15を介して、観察者に届けられることになる。
タッチパネル15は、静電容量方式のタッチパネルとして形成されており、液晶パネル14の前面側を覆うように(液晶パネル14の前面と向い合うように)配置されている。タッチパネル15は、静電容量の変化(静電容量が閾値を越えたかどうか)を検知するセンサが、パネルの各所に対応して設置されている。なおここでの閾値(以下も同様)は、指等の接触の有無を判断するための閾値であり、センサごとに可変に設定されている。
タッチパネル15は、静電容量の変化を検知することによって、パネル上の指等が触れた位置など(タッチ操作)を検出する。当該検出結果の情報(タッチ操作信号)は、タッチ操作信号出力I/F20を介して、PC2に送出されるようになっている。但し当該検出結果の情報は、まず演算制御部18に伝送され、演算制御部18からPC2へ送出されるようにしても構わない。
温度センサ16は、例えばサーミスタや熱電対によって形成されており、ディスプレイ装置1のタッチパネル15付近の温度(以下、「装置の温度」と略記することがある)を検知する。温度センサ16の検知結果の情報は、演算制御部18に伝送されるようになっている。
操作部17は、例えばリモコン信号の受信装置や商品選択スイッチによって形成されており、ユーザの操作を受付ける。操作内容を表す情報は、演算制御部18に伝送されるようになっている。
演算制御部18は、CPU[Central Processing Unit]やメモリ等によって形成されており、ディスプレイ装置1の機能を発揮させるために必要な、各種の演算処理や制御処理を実行する。なお、ディスプレイ装置1において実行される主な動作の内容については、改めて説明する。
ファン群19は、ディスプレイ装置1における環境条件(特に温度)の調節に用いられる、複数のファン(ファンA〜Fの、計6個のファン)から形成されている。なお、ファンA〜Cの3個のファンは、ディスプレイ装置1の筐体内への吸気を促す、吸気用ファン19aとなっており、ファンD〜Fの3個のファンは、ディスプレイ装置1の筐体外への排気を促す、排気用ファン19bとなっている。
これらのファンは、それぞれ独立して駆動させることが可能となっている。また防塵防水性能を確保するため、各ファンにはフィルタが取り付けられている。なおファン群19は、ファンAとファンD、ファンBとファンE、およびファンCとファンFの各組から形成されていると見ることができ、後述するようにファン群19は、主にこれらの組ごとに駆動するよう制御される。
また図3は、ディスプレイ装置1について上側から(図1に示すA方向に)見た構成図を表している。また図4は、ディスプレイ装置1について右側から(図1に示すB方向に)見た構成図を表している。また図5は、ディスプレイ装置1について左側から(図1に示すC方向に)見た構成図を表している。
これらの図に示すように、ディスプレイ装置1は、フロントキャビネットFCとバックキャビネットBCが前後方向に結合し、ほぼ一体的となった筐体を形成している。液晶パネル14は、バックキャビネットBCの前面側に配置されており、タッチパネル15は、液晶パネル14と前後方向に重なるように、フロントキャビネットFCに配置されている。また、吸気用ファン19a(ファンA〜C)と排気用ファン19b(ファンD〜F)は、それぞれ、バックキャビネットBCにおける一方の側面と他方の側面に配置されている。
なお筐体内の温度は、設置場所の気温やディスプレイ装置1の内部発熱などの影響を受ける。そのため当該温度は、0度以下から60度以上の広い幅で変動する可能性がある。
[PCシステムが実行する動作の概要について]
PCシステム9は上述した構成となっており、各種動作(処理)を実行する。PCシステム9が通常の動作状態において実行する主な動作としては、「映像音声出力処理」、「タッチ操作受付処理」、「タッチパネルの初期化処理」、および「温度調節動作」が挙げられる。
「映像音声出力処理」は、PC2から受取った映像音声信号に基づいて、ディスプレイ装置1が、映像の表示および音声の出力を行う処理である。既に説明したように、当該映像音声信号は、映像音声信号入力I/F11を経て、音声処理回路12aおよび映像処理回路12bに入力される。そして音声処理回路12aによって生成された音声信号に基づいて、スピーカ13が音声を出力する一方、映像処理回路12bによって生成された映像信号に基づいて、液晶パネル14が映像を表示する。
「タッチ操作受付処理」は、ユーザによるタッチパネル15のタッチ操作を受付ける処理である。タッチ操作がなされることにより、ディスプレイ装置1側においてタッチ操作信号が生成され、タッチ操作信号出力I/F20を通じて、PC2に送出される。これによりPC2は、各種動作に、タッチ操作の内容(ユーザの意図)を反映させることが可能となっている。
「タッチパネルの初期化処理」は、タッチパネル15による指等の接触の検出動作をより安定化させるべく、タッチパネル15の各所に対応して設置された各センサの閾値を、調節する処理である。タッチ操作信号出力I/F20は、当該各センサについて、環境条件の変化などによって生じた静電容量のオフセット(基準量からのズレ)を、継続的に監視するようになっている。
そしてタッチ操作信号出力I/F20は、この監視の結果に基づき、当該オフセットがキャンセルされるように閾値を調節する。つまり、当該オフセットを考慮した静電容量と当該閾値との差(センサ感度に相当する)が、ほぼ一定となるように、当該閾値が調節される。
なお当該閾値は、センサごとに異なる値とすることが可能である。そのためタッチパネルの初期化処理によれば、環境条件の変化だけでなく、例えばタッチパネル15の一部に異物が付着して当該オフセットが生じた場合(つまり、センサごとに異なる閾値を設定すべき場合)にも、対応可能となっている。
但し、タッチパネルの初期化処理があまりに頻繁になされると、指等の接触検出に支障が生じたり、各種処理が煩雑になったりするため、タッチパネルの初期化処理は、ある程度の間隔をおいて(本実施形態の場合は、十数秒の周期で)実行される。そこでタッチパネルの初期化処理においては、現時点から所定の時間T1(本実施形態の場合は、タッチパネルの初期化処理が実行される周期の半分)が経過した時点での静電容量のオフセットが予測され、この予測されたオフセットがキャンセルされるように、閾値が調節される。
ここで現時点における静電容量のオフセットをC1、現時点から所定の時間T2だけ前の時点における静電容量のオフセットをC2、とすれば、現時点から時間T1が経過した時点での静電容量のオフセットの予測量C3は、次の(2)式によって算出される。
C3=(現時点における静電容量のオフセットの変動速度)×T1
={(C1−C2)/T2}×T1 ・・・・・(2)式
なお「変動速度」は、単位時間あたりの変動の大きさを表す。
タッチパネルの初期化処理では、センサごとに、(2)式に基づいて予測量C3が算出され、閾値が調節される。タッチパネルの初期化処理が実行されると、各センサのセンサ感度がほぼ一定となるように修正されるため、タッチパネル15による指等の接触の検出動作が安定化する。
但し、静電容量のオフセットの変動速度が、急激に変化する事態が発生すると、(2)式に基づいた予測の精度が低下してしまい、閾値が適切に調節されないおそれがある。つまりタッチパネルの初期化処理が、当該変化に追従できない事態となり得る。この点、詳しくは後述するが、本実施形態にかかる温度調節動作の手順は、静電容量のオフセットの変動速度が急激に変化しないようにし、タッチパネルの初期化処理が適切に実行されるように配慮されている。なおタッチパネルの初期化処理を行うこと自体は公知であり、当該処理の具体的手法については、他の手法が採用されていても構わない。
[温度調節動作について]
「温度調節動作」は、ファン群19を駆動させることにより、ディスプレイ装置1の温度を調節する動作である。温度調節動作のより詳細な内容について、図6に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
演算制御部18は、予め定められている温度検出周期Ttempが経過する度に、温度検出周期Ttempの間の平均温度を、評価温度として算出するようになっている(ステップS1)。より具体的には、演算制御部18は、温度センサ16によって検知された温度の情報を、数秒程度の周期(温度検出周期Ttempより十分に短い周期)で、継続的に取得する。そして演算制御部18は、温度検出周期Ttempごとに、直前の温度検出周期Ttempの間に検知された各温度を平均し、この平均した温度を評価温度とする。なおその他、温度検出周期Ttempごとに検出される温度(その時点の温度)を、評価温度とするようにしても構わない。
評価温度を算出した後、演算制御部18は、現時点において冷却動作が実行中であるか否かに応じて(ステップS2)、次のように動作する。冷却動作の実行中ではない場合には(ステップS2のN)、演算制御部18は、評価温度が所定の冷却開始温度Temp1を超えているか否かを判別する(ステップS3)。
そして超えていると判別されたときは(ステップS3のY)、演算制御部18は、冷却動作を開始させる(ステップS4)。なお冷却動作の具体的内容については、改めて説明する。一方、越えていないと判別されたときは(ステップS3のN)、演算制御部18は、ステップS1の動作を繰り返す。
また演算制御部18は、評価温度を算出した後、冷却動作が実行中である場合には(ステップS2のY)、評価温度が所定の冷却終了温度Temp2を下回っているか否かを判別する(ステップS5)。なお本実施形態では、冷却終了温度Temp2は、冷却開始温度Temp1より低い値とするが、双方を同じ値としても構わない。
そして下回っていると判別されたときは(ステップS5のY)、演算制御部18は、冷却停止動作を開始させる(ステップS4)。なお冷却停止動作の具体的内容については、改めて説明する。一方、下回っていないと判別されたときは(ステップS5のN)、演算制御部18は、ステップS1の動作を繰り返す。
ここで先述した冷却動作の具体的内容について説明する。冷却動作が開始されると、演算制御部18は先ず、ファンAとファンDの駆動を開始させる。これによりファンAとファンDが駆動し、ファン群19における他の各ファンは、未だ駆動していない状態となる。
そして演算制御部18は、ファンAとファンDの駆動を開始させてから所定時間(例えば20秒)の経過後に、ファンBとファンEの駆動を開始させる。これによりファンA、ファンB、ファンD、およびファンEが駆動し、ファン群19における他の各ファンは、未だ駆動しない状態となる。
そして演算制御部18は、ファンBとファンEの駆動を開始させてから更に所定時間(例えば20秒)の経過後に、ファンCとファンFの駆動を開始させる。これにより、ファン群19における全てのファンが、駆動している状態となる。なおその後は、冷却停止動作が開始されるまで、全てのファンが駆動している状態が維持される。このようにディスプレイ装置1は、冷却動作が開始されると、駆動させるファンの個数を段階的に増やすようになっている。
次に先述した冷却停止動作の具体的内容について説明する。冷却停止動作が開始されると、演算制御部18は先ず、ファンCとファンFの駆動を停止させる。これによりファンCとファンFは駆動せず、ファン群19における他の各ファンは、依然として駆動している状態となる。
そして演算制御部18は、ファンCとファンFの駆動を停止させてから所定時間(例えば20秒)の経過後に、ファンBとファンEの駆動を停止させる。これによりファンB、ファンC、ファンE、およびファンFが駆動せず、ファン群19における他の各ファンは、依然として駆動している状態となる。
そして演算制御部18は、ファンBとファンEの駆動を停止させてから更に所定時間(例えば20秒)の経過後に、ファンAとファンDの駆動を停止させる。これにより、ファン群19における全てのファンが駆動していない状態(つまり、冷却動作が実行されていない状態)となる。なおその後は、新たに冷却動作が開始されるまで、この状態が維持される。このようにディスプレイ装置1は、冷却停止動作が開始されると、駆動させるファンの個数を段階的に減らすようになっている。
なお、上述した温度検出周期Ttempが、タッチパネルの初期化処理が実行される周期より短く設定されていると、タッチパネルの初期化処理の精度が、低下してしまうおそれがある。そのため温度検出周期Ttempは、タッチパネルの初期化処理が実行される周期より、長く(概ね、3〜5倍程度に)設定されている。
以上に説明したようにディスプレイ装置1は、冷却動作および冷却停止動作において、駆動させるファンの個数を段階的に変化させるようになっている。そのため、ディスプレイ装置1は、全てのファンの駆動の開始や停止が一斉に(同時的に)なされる仕様(便宜的に、「一般仕様」と称する)のものに比べて、自機の温度の変化速度(単位時間あたりの変化度合)を小さくすることが可能となっている。
この点についてより理解容易とするため、各ケース(事例)を想定した場合における温度の変動状況について、図7および図8に示すグラフを参照しながら説明する。ここで、ケース1は温度調節動作がなされないとした場合、ケース2は上述の一般仕様であるとした場合、ケース3は本実施形態に係るディスプレイ装置の場合とする。なお各ケースとも、ファンの動作態様を除いて、同一の条件であるとする。
図7は、ある温度条件下での、ケース1とケース2についての装置の温度の変動状況を表している。なお本図(図8も同様)において、横軸は時間を、縦軸は温度をそれぞれ表している。ケース1(図7中の破線)の場合、装置内部の発熱あるいは外気温の上昇に伴い、装置の温度が大きく上昇している。ケース2(図7中の実線)の場合、装置の温度(評価温度)がTemp1を超えた時点(図7のTa)にて、全てのファンの駆動が一斉に開始される。
これにより装置は、冷却がなされていない状態から、急に勢いよく冷却される。そして装置の温度(評価温度)がTemp2を下回った時点(図7のTb)にて、全てのファンの駆動は一斉に停止される。これにより装置は、通常通りに冷却がなされている状態から、急に冷却が停止されることとなる。
また図8は、ケース3についての装置の温度の変動状況を、ケース1およびケース2と対比させた形態で表している。ケース3(図中の太い実線)の場合、装置の温度(評価温度)がTemp1を超えた時点(図8のTa)にて、冷却動作が開始される(ステップS4)。すなわち、先ずファンAとファンDの駆動が開始された後、所定時間が経過した時点(図8のT1)にて、ファンBとファンEの駆動も開始され、更に所定時間が経過した時点(図8のT2)にて、ファンCとファンFの駆動も開始される。
これにより装置の冷却は、徐々に(比較的緩やかに)強くなる。そして装置の温度(評価温度)がTemp2を下回った時点(図8のT3)にて、冷却停止動作が開始される(ステップS6)。すなわち、先ずファンCとファンFの駆動が停止された後、所定時間が経過した時点(図8のT4)にて、ファンBとファンEの駆動も停止され、更に所定時間が経過した時点(図8のT5)にて、ファンAとファンDの駆動も停止される。これにより装置の冷却は、徐々に(比較的緩やかに)弱くなる。
その結果、図8(特に、点線で囲まれた部分)に示すように、本実施形態に係る温度調節動作によれば、特に冷却動作の開始時の前後、および冷却停止動作の開始時の前後の期間において、装置の温度の変化速度が、一般仕様の場合に比べて、緩やかに変化することとなる。なお装置の温度の変化速度が緩やかに変化すると、それだけ、タッチパネル15の各センサにおける静電容量のオフセットの変動速度も、緩やかに変化する。ディスプレイ装置1は、このような温度調節動作を行うため、先述の(2)式を用いたタッチパネルの初期化処理を、出来るだけ適切に実行することが可能となっている。
またディスプレイ装置1に準じた構成のテスト機を用い、各種の動作条件について、タッチパネルにおけるセンサの誤検知数(指等が触れていない状態で、静電容量が閾値を越えた回数)を測定したところ、以下の表1に示す通りの結果が得られた。なお当該テスト機のタッチパネルは、112(=縦8×横14)個の領域に分けられ、領域ごとにセンサを有するものとした。そして装置の温度が所定パターンで上昇する環境において、各センサの3分間の誤検知数をカウントし、その合計を測定結果とした。
ここで動作条件Aと動作条件Bは、各センサの初期の閾値を比較的低い値に設定し、逆に動作条件Cと動作条件Dは、各センサの初期の閾値を比較的高い値に設定している。また動作条件Aと動作条件Cは、冷却動作において全て(3組)のファンの駆動の開始が一斉になされる態様(一般仕様の動作条件)とし、動作条件Bと動作条件Dは、冷却動作において一組のファンの駆動開始後、20秒後に他の一組のファンの駆動が開始され、更に20秒後に最後の一組のファンの駆動が開始される態様(本実施形態に準じた動作条件)としている。
表1に示す測定結果によれば、本実施形態に係る温度調節動作が実行されることにより、一般仕様のものに比べて、タッチパネルにおけるセンサの誤検知を顕著に低減させることが可能と言える。
[ディスプレイ装置の起動動作等について]
ディスプレイ装置1が使用される際には、先ずディスプレイ装置1についての起動動作(所謂、電源ONの動作)が実行される。ディスプレイ装置1は、スタンバイ状態(消費電力を低減させるため、主要な動作が休止した状態)から、起動動作を経て通常の動作状態に移行し、先述した各種動作を実行するようになる。PCシステム9では、PC2が、ディスプレイ装置1における起動動作やスタンバイ状態への移行動作を、制御することが可能となっている。
ところでタッチパネル15は、タッチ操作を容易とするべく(ユーザにとっての、タッチパネル15と液晶パネル14との視差を少なくするように)、液晶パネル14に近接して配置される。例えば、液晶パネル14のサイズが40インチ程度の場合、双方の距離は通常、1〜2cm程度に設定される。
そのためディスプレイ装置1の起動動作においては、タッチパネル15は、液晶パネル14に生ずる電気的ノイズの影響を受け易くなる。また更に起動動作においては、各装置が発熱することによって、装置の温度が急変する。起動動作において、タッチパネル15が電気的ノイズおよび発熱の影響を同時的に受けると、タッチパネル15の動作は非常に不安定となり、タッチ操作の誤動作などが生じ易くなるおそれがある。
そこでPCシステム9においては、このような不具合を出来るだけ回避するべく、以下に示す手順により、ディスプレイ装置1の起動動作を実現させることが可能となっている。
PC2は、ディスプレイ装置1の起動動作の開始指示(ユーザによる指示)がなされると、ディスプレイ装置1に対して、第1次起動信号を送出する。一方、ディスプレイ装置1は、電源OFFの状態において、PC2からの第1次起動信号の受信を待機している。
そして第1次起動信号を受取ると、ディスプレイ装置1は先ず、自機が有する各装置のうち、液晶パネル14を除いた部分の起動動作(例えば駆動電力の供給や初期化などであり、一部の装置の起動動作と見ることができる)を開始させる。またディスプレイ装置1は、当該動作を開始させた後、温度センサ16の検知情報(温度の情報)を、継続的にPC2へ送出するとともに、PC2からの第2次起動信号の受信を待機する。
PC2は、第1次起動信号を送出した後、ディスプレイ装置1からの検知情報を受取り、ディスプレイ装置1の温度が安定した状態となったか(予め設定された一定条件が満たされたか)を監視しながら待機する。そして安定した状態となったら、PC2は、第2次起動信号を、ディスプレイ装置1に送出する。
そしてディスプレイ装置1は、第2次起動信号を受取ると、液晶パネル14の起動動作(残りの装置の起動動作)を開始させる。この起動動作が完了することにより、ディスプレイ装置1の起動動作は終了する。なお液晶パネル14だけでなく、他の装置(バックライトなど)の起動動作も、第2次起動信号が受取られた後に開始されるようにしても構わない。
上述したようにPCシステム9では、液晶パネル14(もしくは、液晶パネル14とその他の一部の装置)の起動のタイミングと、その他の各装置の起動のタイミングを、ずらすことが可能となっている。その結果、タッチパネル15が、電気的ノイズおよび発熱の影響を同時的に受けるという事態を出来るだけ回避し(つまり、双方の影響を時期的に分散させて)、タッチ操作の誤動作などを極力抑えることが可能となっている。
なおこのような起動動作がなされる場合、一般的な起動動作(各装置の起動が同時的に進行する)がなされる場合に比べ、起動時間がやや長くなる傾向にあるが、ディスプレイ装置1を商業用に使うような場合には、このことは殆ど問題にならないと言える。またディスプレイ装置1において、起動動作が実行中であるか否かを表示するための表示手段(例えばLED)を設けておくようにしても良い。このようにすれば、ユーザは、現時点において、ディスプレイ装置1の起動動作が実行中であるか否かを、一目で把握することが可能となる。
[タッチ操作の無効化処理について]
ディスプレイ装置1において、起動動作やスタンバイ状態への移行動作がなされる際は、その他の状況に比べて、液晶パネル14における電気的ノイズが発生し易い。先述したように、このような電気的ノイズは、タッチ操作の誤検出の要因となる。
一方で、PC2は、ディスプレイ装置1の制御あるいはディスプレイ装置1との情報交換を行うため、ディスプレイ装置1における起動動作やスタンバイ状態への移行動作がなされるタイミングを把握することが可能である。そこでPCシステム9においては、タッチ操作の誤検出が起こり易いと考えられる期間において、PC2が、タッチ操作の無効化処理(タッチ操作を無視する処理)を行うようになっていても良い。
例えば、ディスプレイ装置1における起動動作の開始時から一定期間(例えば数十秒)が経過するまでの期間、および、ディスプレイ装置1におけるスタンバイ状態への移行動作の開始時から一定期間(例えば数十秒)が経過するまでの期間の各々(もしくは一方)において、PC2が、タッチ操作の無効化処理を行うようにすれば良い。このようにすれば、仮にタッチ操作の誤検出が起きたとしても、この誤検出がPC2の動作に反映されることを未然に防ぐことが出来るため、PCシステム9の動作の安定性を保つことが可能となる。
[温度以外の環境条件について]
本実施形態に係るPCシステム9(特にディスプレイ装置1)では、環境条件として、温度が考慮される仕様となっている。但しこれは一例であって、温度の代わりに、或いは温度に加えて、他の環境条件である湿度や圧力(筐体内の圧力)が考慮されるようにしても良い。
環境条件として湿度が考慮される場合は、ディスプレイ装置1に湿度センサが設置され、温度調節動作と同様の方針(環境条件の調節の強さを、段階的に変化させることなど)により、湿度を調節する動作が実行される。また環境条件として圧力が考慮される場合は、ディスプレイ装置1に圧力センサが設置され、温度調節動作と同様の方針により、圧力を調節する動作が実行される。
なお湿度を調節する手法としては、ファン群19を駆動させる手法(温度の変化に伴って湿度も変化する)が一例として挙げられ、圧力を調節する手法としては、吸気用ファン19aと排気用ファン19bの回転数を変える手法が一例として挙げられる。また温度、湿度、および圧力のうちの何れか二つ、或いは全ての環境条件が、総合的に考慮されるようになっていても良い。
[冷却機構の具体的形態について]
以上までに説明した通り、ディスプレイ装置1は、自機を冷却する冷却機構を有していると言える。この冷却機構は、ファン群19を回転させ、その筐体内部に外部から空気を送り込むことで、自機を冷却するものとなっている。
ところでディスプレイ装置1において、特に液晶パネル14は、バックライトによって強く熱せられることになる。そのため、ディスプレイ装置1においては、液晶パネル14の特性の劣化防止などを図るため、液晶パネル14を冷却することが特に重要である。また温度変化によるタッチパネル15の誤動作を防ぐため、タッチパネル15を冷却することも重要といえる。
そこで液晶パネル14とタッチパネル15の両方を効率良く冷却するため、ディスプレイ装置1における冷却機構は、これらの間に空気を通す機構となっている。より具体的には、図9(ディスプレイ装置1の断面図を表す)に示すように、ディスプレイ装置1の筐体内部において、空気を流すための流路(空間)SPが設けられている。
ファン群19が回転すると、吸気用ファン19aから排気用ファン19bへ向かう方向に、流路SPにおいて送風が行われる。また図9に示すように、液晶パネル14の前面および前面ガラス21(光を透過させる部材の一種)の背面は、流路SPを形成する壁面の一部となっている。すなわち流路SPには、液晶パネル14と前面ガラス21との間の空間が含まれている。また、前面ガラス21の前面側にはタッチパネル15が貼り付けられている。
ファン群19が回転することによって、液晶パネル14と前面ガラス21との間に設けられた空間に空気流が発生する。その結果、流路SPを流れる空気が、液晶パネル14およびタッチパネル15から熱を奪い、当該空気流によって、液晶パネル14およびタッチパネル15を効率良く冷却することが可能となっている。但し当該冷却機構の具体的形態は、このような形態に限定されるものではなく、他の形態とすることも可能である。
[その他]
以上に説明した通り、第1実施形態に係るディスプレイ装置1は、温度(ディスプレイ装置1の環境条件の一つ)を検出する機能部と、この検出の結果に基づいて、温度を調節するための温度調節動作を実行する機能部を備えている。そしてこの温度調節動作を実行する機能部は、当該調節の強さ(勢い)を段階的に変化させるようになっている。
より具体的には、ディスプレイ装置1は、検出された温度が所定値Temp1を超えたときに、駆動させるファンの個数を段階的に増大させる一方、検出された温度が所定値Temp2を下回ったときに、駆動させるファンの個数を段階的に減少させるようになっている。このようにディスプレイ装置1は、駆動させるファンの個数を段階的に変化させることにより、当該調節の強さを段階的に変化させるようになっている。
そのため、ディスプレイ装置1は、温度の変化速度を極力緩やかな状態に抑えつつ、温度の調節が弱すぎることによる不具合を回避することが可能となっている。そのためディスプレイ装置1は、タッチパネルの誤動作を低減させるように、温度を適切に調節するものとなっている。
なお、温度の調節の強さを段階的に変化させる具体的手法としては、駆動させるファンの個数を段階的に変化させる手法の他、種々の手法が採用され得る。例えば、ファンの回転数を段階的に変化させる手法や、ファン以外の温度調節装置(コンプレッサを用いた冷却装置やペルチェ素子など)を設置しておき、当該温度調節装置による調節の強さを段階的に変化させる手法などが採用され得る。
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について、自動販売機の本体(以下、単に「本体」と称する)に取付けられた形態(内蔵された形態)で用いられるディスプレイ装置、ならびに自動販売機を例に挙げて、以下に説明する。
[自動販売機の構成等について]
図10は、当該自動販売機の外観図である。また図11は、当該自動販売機におけるディスプレイ装置の配置状態を示す図である。また図12は、当該自動販売機の構成に係るブロック図である。これらの図に示すように、ディスプレイ装置1は、本体5の内部に取り付けられており、全体として、自動販売機10を形成している。
本体5は、商品選択スイッチ53(ユーザが購入希望の商品を選択する部分)、演算制御装置55、貨幣処理機構56、および商品搬送機構57などを備えており、全体的として、略直方体の形状となっている。
なおユーザに用いられる各部(51〜54)は、本体5の前面(ユーザに相対する面)に備えられている。また本体5には、その前面に露出させるようにディスプレイ装置1を取り付けるための取付機構や、ディスプレイ装置1との通信を可能とするための接続端子なども設けられている。
なお演算制御装置55は、CPUやメモリ等によって形成されており、本体5の機能を発揮させるために必要な、各種の演算処理や制御処理を実行する。
また貨幣処理機構56は、貨幣の処理に関わる機構であり、貨幣投入口51(ユーザが貨幣を投入する部分)および貨幣返却口52(ユーザが釣銭などを受取る部分)の他、貨幣の搬送装置、貨幣の収納庫(投入された貨幣や釣銭が収納される部分)、および金種を識別する装置などが含まれる。
また商品搬送機構57は、自動販売機10が取り扱っている商品の搬送に関わる機構であり、商品取出口54(ユーザが商品を受取る部分)の他、商品の収納庫(予め商品が収納される部分)や商品の搬送装置などが含まれる。
なおディスプレイ装置1の構成は、本体5に取付けられる仕様となっている点(直立させるためのスタンドが省略されている点など)を除き、基本的に第1実施形態のものと同等であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
[自動販売機が実行する動作の概要について]
自動販売機10は上述した構成となっており、各種動作(処理)を実行する。自動販売機10が通常の動作状態において実行する主な動作としては、「商品販売処理」、「映像音声出力処理」、「タッチ操作受付処理」、「タッチパネルの初期化処理」、および「温度調節動作」が挙げられる。
「商品販売処理」は、ユーザ(商品を購入しようとする者)の求めに応じて、商品を販売する処理であり、一般的な自動販売機において行われる処理と同等のものである。商品販売処理は主に、演算制御装置55が、貨幣処理機構56および商品搬送機構57を制御することによって実現される。商品販売処理は、概ね、以下に示す手順で進められる。
演算制御装置55は、貨幣投入口51に投入された貨幣の金額をカウントするとともに、商品選択スイッチ53の押下を待機する。そして何れかの商品選択スイッチ53が押下されると、演算制御装置55は、押下された商品選択スイッチ53に対応する商品の設定額が、カウントされた金額以下である場合に、この商品を、商品の収納庫から商品取出口54に搬送させる。また演算制御装置55は、カウントされた金額と商品の設定額との差額分の貨幣(釣銭)を、貨幣の収納庫から貨幣返却口52に搬送させる。このような商品販売処理が実行されることにより、自動販売機10は、商品の無人販売が可能となっている。
「映像音声出力処理」は、本体5(特に演算制御装置55)から受取った映像音声信号に基づいて、ディスプレイ装置1が、映像の表示および音声の出力を行う処理である。音声の出力や映像の表示がどのようにして行われるかは、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
なお本体5においては、商品の宣伝等を表す映像および音声の情報(コンテンツ情報)が、予め複数種記録されている。演算制御装置55は、このコンテンツ情報に基づいて、映像音声信号を適宜生成し、ディスプレイ装置1に出力するようになっている。
「タッチ操作受付処理」は、ユーザによるタッチパネル15のタッチ操作を受付ける処理である。タッチ操作がなされることにより、ディスプレイ装置1側においてタッチ操作信号が生成され、タッチ操作信号出力I/F20を通じて、本体5(特に演算制御装置55)に送出される。これにより演算制御装置55は、各種動作に、タッチ操作の内容(ユーザの意図)を反映させることが可能となっている。
例えば、タッチ操作によって、各種コンテンツ情報の何れかが選択可能とされる。そして何れかが選択されたとき、演算制御装置55は、映像音声出力処理の実行時に、この選択されたコンテンツ情報に基づいた映像音声信号をディスプレイ装置1に出力する。これによりユーザは、興味のあるコンテンツを視聴することが可能となる。
また例えば、タッチ操作によって、購入希望の商品が選択可能とされる。これにより、タッチパネル45に、商品選択スイッチ53としての役割をもたせることが可能となる。なおこの場合、商品選択スイッチ53の設置を省略することも可能である。
また、自動販売機10が通常の動作状態において実行する主な動作としては、上述した動作の他、「タッチパネルの初期化処理」および「温度調節動作」が挙げられる。これらの動作の内容は、第1実施形態で説明したものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
なお第1実施形態では、PC2(或いは、PC2とディスプレイ装置1)が動作主体となって、ディスプレイ装置1の起動動作や、タッチ操作の無効化処理が実行されるようになっていたが、本実施形態においても、同様の動作が実行されるようにしても構わない。この場合、当該動作については、PC2の代わりに、本体5(特に演算制御部55)が動作主体となるようにすれば良い。
またディスプレイ装置1は、本体5とは独立して動作するようになっていても構わない。演算制御装置55が有している一部の機能(コンテンツ情報に基づいて映像音声信号を生成する機能や、タッチ操作信号を処理する機能など)を、演算制御部18に備えさせておくことにより、ディスプレイ装置1を、本体5とは独立して動作させることも可能である。
3.第3実施形態
次に本発明の第3実施形態について、自動販売機の一構成要素として用いられるディスプレイモジュール(これまでに説明した、ディスプレイ装置に準じた機能をもつモジュール)、ならびに自動販売機を例に挙げて、以下に説明する。
[自動販売機の構成等について]
図13は、当該自動販売機10の構成に係るブロック図である。この図に示すように、ディスプレイモジュール4は、自動販売機10の一構成要素(部品)として設けられている。なおディスプレイ装置1がディスプレイモジュール4に置換わった点を除き、自動販売機の外観などについては、第2実施形態と基本的に同等であるため、ここでは説明を省略する。
図13に示す通り、自動販売機10は、商品選択スイッチ53、演算制御装置55、貨幣処理機構56、商品搬送機構57、およびディスプレイモジュール4などを備えている。なお商品選択スイッチ53、貨幣処理機構56、および商品搬送機構57は、第2実施形態のものと同等である。
演算制御装置55は、CPUやメモリ等によって形成されており、自動販売機10の機能を発揮させるために必要な、各種の演算処理や制御処理を実行する。演算制御装置55は、貨幣処理機構56や商品搬送機構57だけでなく、ディスプレイモジュール4に対しても直接的に制御を行う。またディスプレイモジュール4は、スピーカ43、液晶パネル44、タッチパネル45、温度センサ46、およびファン群49などを備えている。
スピーカ43は、演算制御装置55から音声信号を受取るようになっており、この音声信号に基づいて音声を出力する。また液晶パネル44は、演算制御装置55から映像信号を受取るようになっており、この映像信号に基づいて映像を表示する。より具体的には、液晶パネル44は、この映像信号に応じて画素ごとの光の透過度合を調節し、バックライトの光を用いて映像を表示する。
タッチパネル45は、静電容量方式のタッチパネルとして形成されており、液晶パネル44の前面側(観察者に近い側)に配置されている。なお液晶パネル44とタッチパネル45との間には、空間が設けられている。
またタッチパネル45は、静電容量の変化(静電容量が閾値を越えたかどうか)を検知するセンサが、パネルの各所に対応して設置されている。なお当該閾値は、指等の接触の有無を判断するための閾値であり、センサごとに可変に設定されている。また当該閾値は、演算制御装置55からタッチパネル45へ伝送されるパネル制御信号に従って、調節されるようになっている。
タッチパネル45は、静電容量の変化を検知することによって、パネル上の指等が触れた位置など(タッチ操作)を検出する。当該検出結果の情報(タッチ操作信号)は、演算制御装置55に送出されるようになっている。
温度センサ46は、例えばサーミスタや熱電対によって形成されており、タッチパネル45付近の温度を検知する。温度センサ46の検知結果の情報は、温度信号として、演算制御装置55に伝送されるようになっている。
ファン群49は、ディスプレイモジュール4の冷却に用いられる、複数のファン(ファンA〜Fの、計6個のファン)から形成されている。なお、ファンA〜Cの3個のファンは、ディスプレイモジュール4の筐体内への吸気を促す、吸気用ファン49aとなっており、ファンD〜Fの3個のファンは、ディスプレイモジュール4の筐体外への排気を促す、排気用ファン49bとなっている。
これらのファンは、後述する温度調節動作の実行時に、演算制御装置55から伝送されるファン制御信号に従って、それぞれ独立して駆動するようになっている。また防塵防水性能を確保するため、各ファンにはフィルタが取り付けられている。なおファン群49は、ファンAとファンD、ファンBとファンE、およびファンCとファンFの各組から形成されていると見ることができ、後述するようにファン群49は、主にこれらの組ごとに駆動するよう制御される。
なお、ディスプレイモジュール4の筐体内には、第1実施形態のものと同等の冷却機構(図9を参照)が設けられている。すなわち、ファン群49が回転することにより、液晶パネル44とタッチパネル45との間の空間において、送風が行われるようになっている。
[自動販売機が実行する動作の概要について]
自動販売機10は上述した構成となっており、各種動作(処理)を実行する。自動販売機10が通常の動作状態において実行する主な動作としては、「商品販売処理」、「映像音声出力処理」、「タッチ操作受付処理」、「タッチパネルの初期化処理」、および「温度調節動作」が挙げられる。なお「商品販売処理」の内容については、第2実施形態のものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
「映像音声出力処理」は、演算制御装置55から受取った映像信号および音声信号に基づいて、ディスプレイモジュール4が、映像の表示および音声の出力を行う処理である。すなわち演算制御装置55がこれらの信号を出力すると、スピーカ43がこの音声信号に基づいた音声を出力し、液晶パネル44がこの映像信号に基づいた映像を表示する。
なお演算制御装置55においては、商品の宣伝等を表す映像および音声の情報(コンテンツ情報)が、予め複数種記録されている。演算制御装置55は、このコンテンツ情報に基づいて、映像信号および音声信号を適宜生成し、ディスプレイモジュール4に出力するようになっている。
「タッチ操作受付処理」は、ユーザによるタッチパネル45のタッチ操作を受付ける処理である。タッチ操作がなされることにより、タッチパネル45においてタッチ操作信号が生成され、演算制御装置55に送出される。これにより演算制御装置55は、各種動作に、タッチ操作の内容(ユーザの意図)を反映させることが可能となっている。
例えば、タッチ操作によって、各種コンテンツ情報の何れかが選択可能とされる。そして何れかが選択されたとき、演算制御装置55は、映像音声出力処理の実行時に、この選択されたコンテンツ情報に基づいた映像信号および音声信号を、ディスプレイモジュール4に出力する。これによりユーザは、興味のあるコンテンツを視聴することが可能となる。
また例えば、タッチ操作によって、購入希望の商品が選択可能とされる。これにより、タッチパネル45に、商品選択スイッチ53としての役割をもたせることが可能となる。なおこの場合、商品選択スイッチ53の設置を省略することも可能である。
「タッチパネルの初期化処理」は、タッチパネル45による指等の接触の検出動作をより安定化させるべく、タッチパネル45の各所に対応して設置された各センサの閾値を、調節する処理である。演算制御装置55は、当該各センサについて、環境条件の変化などによって生じた静電容量のオフセット(基準量からのズレ)を、継続的に監視するようになっている。
そして演算制御装置55は、この監視の結果に基づき、当該オフセットがキャンセルされるように閾値を調節する。つまり、当該オフセットを考慮した静電容量と当該閾値との差(センサ感度に相当する)が、ほぼ一定となるように、当該閾値が調節される。なおタッチパネルの初期化処理のより詳細な内容については、第1実施形態における「タッチパネルの初期化処理」と同等である。
「温度調節動作」は、ファン群49を駆動させることにより、ディスプレイモジュール4の温度を調節する動作である。なお温度調節動作の内容については、演算制御部18によって行われる動作が、演算制御装置55によって行われる点を除き、第1実施形態における「温度調節動作」と同等である。演算制御装置55は、先述したステップS1〜S6までの一連の処理を実行し、ファン制御信号を出力することにより、先述した冷却動作や冷却停止動作が実行されるようにする。
4.その他
以上までに説明した通り、ディスプレイ装置1(ディスプレイモジュール4も同様)は、画像が形成されるように、バックライトの透過度合を調節する液晶パネルと、液晶パネルの前面と向い合うように配置された、静電容量方式のタッチパネルと、を備え、画像を形成する光が、タッチパネルを介して観察者に届けられるようにされている。そして更にディスプレイ装置1は、液晶パネルとタッチパネルとの間に設けられた空間への送風を行う、冷却機構を備え、この冷却機構は、当該送風の強さを段階的に変化させるようになっている。
そのためディスプレイ装置1によれば、液晶パネルとタッチパネルの双方を効率良く冷却することが可能となっている。そして更にディスプレイ装置1によれば、冷却の強さを段階的に変化させることで、タッチパネルの誤動作(タッチパネルの感度の不均一化)を極力低減させることが可能となっている。
またディスプレイ装置1に設けられた冷却機構は、複数のファンのうちの少なくとも一つを駆動させることによって送風を行うものであり、駆動させるファンの個数を段階的に変化させることにより、送風の強さを段階的に変化させるようになっている。
なお送風の強さを段階的に変化させるにあたって、他の手法が採用されるようにしても構わない。例えば冷却機構を、一または複数のファンを駆動させることによって送風を行うものとしておき、ファンの回転速度を段階的に変化させることにより、送風の強さを段階的に変化させるようにしても構わない。
またディスプレイ1によって行われる温度調節動作によれば、評価温度(検出された自機の温度)が冷却開始温度Temp1(第1閾値)を超えたときに、送風が開始され(ステップS4の動作を参照)、冷却終了温度Temp2(第2閾値)を下回ったときに、送風が終了される(ステップS6の動作を参照)。そして送風の開始の際には、送風が段階的に強くされ、送風の終了の際には、送風が段階的に弱くされるようになっている。
また第2および第3実施形態によれば、ディスプレイ装置1或いはディスプレイモジュール4が、自動販売機に取付けられた(内蔵された)形態で用いられるようになっている。これにより、当該自動販売機の利用者を対象として、タッチ操作を受付けたり、各種のコンテンツ(映像や音声)を提供したりすることが可能となっている。但しディスプレイ装置やディスプレイモジュールが取付けられる機器としては、自動販売機に限定されない。これらはニーズに応じて、様々な機器に取付けられた形態で用いることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。