JP5557324B2 - ダイボンド剤及び光半導体装置 - Google Patents
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Description
(B)硬化剤 (A)成分中のエポキシ基1当量に対し(B)成分中の反応性を有する基が0.4〜1.5当量となる量
(C)レーザー回折法で測定される累積頻度99%の粒径20μm以下を持ち、かつ比表面積0.2〜1.5m2/gを持つ導電性粉末 (A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し350〜800質量部
(D)硬化触媒 (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.05〜3質量部
を含有することを特徴とするダイボンド剤、ならびに該ダイボンド剤の硬化物を備える光半導体装置に関するものである。
本発明の(A)成分は、上記式(1)で示され、少なくとも主鎖の両末端に上記式(2)で表わされる(3,5−ジグリシジルイソシアヌリル)アルキル基を備えることを特徴とする(A−1)オルガノポリシロキサンからなる。上記式(1)中、R1は互いに独立に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6の置換または非置換の1価炭化水素基である。1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ノルボニル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基が挙げられる。また、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部を酸素、窒素、硫黄、ハロゲン等を有する基で置換していてもよく、例えば、3,3,3−トリフロロプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−アミノプロピル基などであってもよい。特に、メチル基、フェニル基が好ましく、R1で示される基の合計モルに対する90モル%以上がメチル基であることが好ましい。
(B)硬化剤は、(A)成分のエポキシ基と反応し架橋構造を形成する。該硬化剤としては、一般的に使用されるアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤のいずれであってもよいが、硬化物の光透過性、耐熱性、耐光性を向上するためには酸無水物系硬化剤を使用するのが望ましい。
導電性粉末はレーザー回折法で測定される累積頻度99%の粒径(d99)20μm以下、好ましくは5μm〜20μm、より好ましくは10〜20μmを持ち、かつ、比表面積0.2〜1.5m2/g、好ましくは0.4〜1.2m2/g、より好ましくは0.5〜1.0m2/gを持つ事を特徴とする。d99が上記上限値を超えると、ディスペンサーのニードル目詰まり、スクリーン印刷のメッシュ目詰りなど作業性に問題が生じることにより好適な電気特性が得られなくなる。また、比表面積が上記下限値より小さいと、接合界面での導電性粉末の面積が少なくなり硬化物の接触抵抗値が上昇するため好ましくない。また、比表面積が上記上限値より大きいと、接合界面での樹脂面積が少なくなり接合強度が弱くなるため好ましくない。
本発明の組成物は、硬化反応を円滑に、かつ短時間で完了させるために(D)硬化触媒を含む。該硬化触媒としては、第四級ホスホニウム塩の1種又は2種以上、特に下記式(6)で示される化合物及び/又は下記式(7)で示される化合物を含む第四級ホスホニウム塩のうち1種又は2種以上を用いることが好ましい。これにより、透明で表面タック性がなく、リフロー試験時に変色しない、高い実装信頼性を有する硬化物を得ることができる。下記式(6)及び(7)で示される化合物以外の第四級ホスホニウム塩の例としては、第四級ホスホニウムのブロマイド塩(「U−CAT5003」(商標)サンアプロ社製)を挙げることができる。
本発明の組成物は硬化物の接着力向上の目的で接着付与剤を添加することができる。該接着付与剤としてはエポキシ系シランカップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤が好適であり、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランが挙げられる。配合量は(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜3質量部、好ましくは0.1〜1.5質量部とするのがよい。
本発明の組成物は硬化物の耐熱性向上の目的で、酸化防止剤を添加することができる。該酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することが出来る。該酸化防止剤の配合量は(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜5質量部であるのがよい。該酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−プロパン−1,3−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6,6’−ジ−tert−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、2,2’−エチリデンビス[4,6−ジ−tert−ブチルフェノール]、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、6,6’−ジ−tert−ブチル−4,4’−チオジ−m−クレゾール、ジフェニルアミン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−1−ベンゾピラン−6−オール、2’,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド、ジドデシル 3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル 3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。
[合成例1]
攪拌羽根、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと還流管を取り付けた0.5Lセパラブルフラスコに、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート157.0g(0.56モル)と、下記式(8)
攪拌羽根、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと還流管を取り付けた2Lセパラブルフラスコに、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート281g(1.0モル)と、下記式(9)
下記表1に示す組成及び配合(質量部)で、各成分をミキサーで十分混合し、さらに三本ロールで混練りしてダイボンド剤を調製した。表中の各成分は以下のとおりである。尚、下記記載において累積頻度99%の粒径(d99)はレーザー回折法で測定したものである。
オルガノポリシロキサンI:合成例1で調製したオルガノポリシロキサン(エポキシ当量370g/eq)
オルガノポリシロキサンII:合成例2で調製したオルガノポリシロキサン(エポキシ当量320g/eq)
(A−2)シロキサン結合を有しないエポキシ樹脂
エポキシ樹脂I:トリグリシジルイソシアヌレート(TEPIC−S、日産化学工業(株)製、MW=297、エポキシ当量99g/eq)
エポキシ樹脂II:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−828、三菱化学(株)製、MW=340、エポキシ当量170g/eq)
エポキシ樹脂III:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YX8000、三菱化学(株)製、MW=348、エポキシ当量174g/eq)
(B)硬化剤
4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(リカシッドMH、新日本理化(株)製、
MW=166、無水カルボン酸当量166g/eq)
(C)導電性粉末
銀粉1:フレーク状、平均粒径2.4μm、比表面積0.7m2/g、d99:18μm(AgC−239、福田金属箔粉工業(株)製)
銀粉2:フレーク状、平均粒径8.3μm、比表面積0.35m2/g、d99:40μm(AgC−237、福田金属箔粉工業(株)製)
銀粉3:フレーク状、平均粒径5.5μm、比表面積1.7m2/g、d99:20μm(Ag−XF301、福田金属箔粉工業(株)製)
(D)硬化触媒
第四級ホスホニウム塩(U−CAT5003、サンアプロ(株)製)
(E)接着付与剤
接着付与剤1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学工業(株)製)
接着付与剤2:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM803、信越化学工業(株)製)
(F)その他の成分
酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](アデカスタブAO−60、(株)ADEKA製)
東機産業製E型回転粘度計にて、23℃で1rpmと10rpmでの粘度を測定した。
上記(a)で測定した1rpmと10rpmでの粘度の比を求めた。
Agメッキ基板(42アロイ)に組成物を0.1mg程度塗布し、その上に2mm×2mm角のSiチップを置き、180℃で1.5時間加熱して硬化し、試験片を各組成物につき5個ずつ作成した。Dage社製4000ボンドテスターを用いて該試験片の剪断接着強度を測定し、5個の試験片の平均値を求めた。
上記接着強度試験にて作成した各試験片の、Agメッキ基板とSiチップとのギャップ間距離(ボンドライン)を接着断面から計測し、ギャップ間距離が10μm未満であるものを○、10μm以上20μm未満であるものを△、20μm以上であるものを×とした。
JIS K 6911に基づき硬化物の体積抵抗率(25℃)を測定した。
光半導体素子を載置する円状凹部を有し、その底部が銀メッキされたLED用プレモールドパッケージ(3mm四方、厚さ1mm、凹部の内径2.6mm)を用意した。該パッケージの該底部に、各ダイボンド剤をスタンピングにより転写し、その上にダイボンディング装置を用いてInGaN系青色発光素子を搭載した。次に180℃、1.5時間で各ダイボンド剤を硬化させた。さらに、該発光素子を金ワイヤーにて外部電極に接続した。その後、シリコーンハイブリッド樹脂組成物(LPS−7418、信越化学工業(株)社製)を凹部に充填し、100℃で1時間、さらに150℃で4時間硬化させて発光素子を封止した。該光半導体装置を各10個作製し、以下の(f)及び(g)の試験に用いた。結果を表1に示す。
上記の方法で得られた光半導体装置のうち5個を、温度サイクル試験(―40℃〜125℃、各20分間を1000サイクル及び2000サイクル)に用い、顕微鏡でクラックの有無を観察し、クラックが発生した試験片数/総試験片数を数えた。
上記の方法で得られた光半導体装置のうち他の5個を、高温高湿下(65℃、95%RH)で、50mA通電して500時間LEDを点灯した後、LED素子と前記凹部の底部との間に剥離等の接着不良の有無、クラック発生の有無、及びチップ周りの接着層の変色の有無を顕微鏡で観察した。
Claims (10)
- (A)(A−1)下記式(1)で表され、少なくとも主鎖の両末端に下記式(2)で表される(3,5−ジグリシジルイソシアヌリル)アルキル基を備えるオルガノポリシロキサン 100質量部
(B)硬化剤 (A)成分中のエポキシ基1当量に対し(B)成分中の反応性を有する基が0.4〜1.5当量となる量
(C)レーザー回折法で測定される累積頻度99%の粒径20μm以下を持ち、かつ比表面積0.2〜1.5m2/gを持つ導電性粉末 (A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対し350〜800質量部
(D)硬化触媒 (A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し0.05〜3質量部
を含有することを特徴とするダイボンド剤。 - (A)成分がさらに(A−2)シロキサン結合を有しないエポキシ化合物もしくは樹脂を(A−1)オルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜100質量部となる量で含有する請求項1に記載のダイボンド剤。
- (A−2)シロキサン結合を有しないエポキシ化合物もしくは樹脂が、脂環式エポキシ化合物もしくは樹脂、イソシアヌレート環を含有するエポキシ化合物もしくは樹脂である請求項2に記載のダイボンド剤。
- (C)導電性粉末が銀粉である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイボンド剤。
- (C)導電性粉末が平均粒子径1〜10μmを持つ、請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイボンド剤。
- さらに(E)接着付与剤を(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜3質量部含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイボンド剤。
- (E)接着付与剤がエポキシ系シランカップリング剤またはメルカプト系シランカップリング剤である請求項6に記載のダイボンド剤。
- (B)成分が酸無水物系硬化剤である請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイボンド剤。
- (D)成分がホスホニウム塩である請求項1〜8のいずれか1項に記載のダイボンド剤。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のダイボンド剤の硬化物を備える光半導体装置。
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