以下、図面を参照して本発明の分版処理設定装置の第1の実施形態を用いた孔版印刷システムについて詳細に説明する。本実施形態の孔版印刷システムは、プリンタドライバによる分版処理の設定方法に特徴を有するものであるが、まずは、その全体の概略構成について説明する。図1は、本実施形態の孔版印刷システムの全体概略構成図である。
本実施形態の孔版印刷システムは、図1に示すように、分版処理の設定条件を受け付けるとともに、原稿画像を表す画像データに対して分版処理を施し、PDL(Page Description language)データなどの印刷データに変換して出力するプリンタドライバ25を有するコンピュータ1と、コンピュータ1のプリンタドライバ25から出力された印刷データに基づいて、2色印刷、両面印刷および単色印刷を行う孔版印刷装置2とを備えている。
本実施形態の孔版印刷装置2は、図1に示すように、原稿の画像を読み取って画像データを出力する画像読取部10、コンピュータ1から出力された印刷データまたは画像読取部10で読み取られた画像データに基づいて孔版原紙Mに製版処理を施す第1および第2の製版部30,35、第1および第2の製版部30,35において製版された孔版原紙Mを用いて印刷用紙P1に印刷を施す第1および第2の印刷部40,50、第1の印刷部40に印刷用紙P1を給紙する給紙部20、第1の印刷部40において印刷された印刷済印刷用紙P2を反転して一旦ストックし、その後、所定のタイミングで第2の印刷部50に給紙する中間ストック部46と、第1の印刷部40において印刷された印刷済印刷用紙P2を第2の印刷部50側に搬送する中間搬送部60、第2の印刷部50によって印刷された印刷済印刷用紙P3が排出される排紙部80とを備えている。
画像読取部10は、原稿の画像情報を光電的に読み取るラインイメージセンサを有し、ラインイメージセンサで原稿を走査することによって原稿を読み取り、画像データを出力するものである。
第1の製版部30は、複数個の発熱体が一列に配列されてなるサーマルヘッド31を有し、孔版原紙ロールから繰り出された孔版原紙Mに対し、入力された印刷データに基づいてサーマルヘッド31を用いて製版処理を行うものである。
第2の製版部35も、第1の製版部30と同様に、サーマルヘッド36を有し、孔版原紙ロールから繰り出された孔版原紙Mに対し、入力された印刷データに基づいてサーマルヘッド36を用いて製版処理を行うものである。
なお、本実施形態の孔版印刷装置においては、2つの製版部を設けるようにしたが、これに限らず、1つの製版部のみを設け、この製版部を第1の製版部30と第2の製版部35の位置に移動させるようにしてもよい。
第1の印刷部40は、多孔金属板、メッシュ構造体などのインク通過性の円筒状の第1の印刷ドラム41と、印刷用紙P1を所定のプレス圧で第1の印刷ドラム41に圧接させる第1のプレスローラ42と、第1の印刷ドラム41から印刷済印刷用紙P2を分離させるとともに、その分離した印刷済印刷用紙P2を案内する第1の分離爪43とを備えている。そして、第1の印刷ドラム41は第1の製版部30において穿孔された製版済孔版原紙Mが巻き付けられて装着されるようになっている。
第2の印刷部50は、第1の印刷部40と同様に、円筒状の第2の印刷ドラム51と、印刷用紙P2を所定のプレス圧で第2の印刷ドラム51に圧接させる第2のプレスローラ52と、第2の印刷ドラム51から印刷済印刷用紙P3を分離させる第2の分離爪53とを備えている。そして、第2の印刷ドラム51は第2の製版部35において穿孔された製版済孔版原紙Mが巻き付けられて装着されるようになっている。
給紙部20は、印刷用紙P1が載置される給紙台21と、給紙台21より印刷用紙P1を一枚ずつ取り出して2次給紙ローラ23に向けて送り出す1次給紙ローラ22と、1次給紙ローラ22の搬送方向下流側に配置され、1次給紙ローラ22により搬送された印刷用紙P1の先端を一旦停止させ、所定のタイミングで印刷用紙P1を第1の印刷ドラム41と第1のプレスローラ42との間に送り出す2次給紙ローラ23とを備えている。
第1の印刷部40と中間ストック部46との間には、湾曲搬送部44が設置されている。湾曲搬送部44は、図1に示すように、搬送経路に沿った湾曲表面を有するガイド板を備えている。ガイド板の湾曲表面には、第1の印刷部40から送り出された印刷用紙P1を吸引する吸引口が設けられた搬送ベルトが設置されている。そして、この搬送ベルトを循環移動させるプーリー45が設けられている。湾曲搬送部44は、搬送ベルトの吸引口によって印刷済印刷用紙P2を吸引するとともに、プーリー45を回転させることによって搬送ベルトにより印刷済印刷用紙P2をガイド板の湾曲表面に沿って搬送し、中間ストック部46に送りこむものである。
中間ストック部46と第2の印刷部50との間には、中間ストック部46から搬出された印刷済印刷用紙P2をピックアップする3次給紙ローラ47と、3次給紙ローラ47によってピックアップされた印刷済印刷用紙P2を順次所定のタイミングで第2の印刷ドラム51と第2のプレスローラ52との間に送り出す4次給紙ローラ48とを備えている。
また、中間搬送部60は、図1に示すように、第1の印刷ドラム41によって印刷の施された印刷済印刷用紙P2を案内するゲート部材61と、ゲート部材61によって案内された印刷済印刷用紙P2を搬送する中間搬送ベルト部62と、中間搬送ベルト部62によって搬送された印刷済印刷用紙P2を第2の印刷ドラム側へ案内するフラップ部材63とを備えている。
排紙部80は、両面印刷済印刷用紙P3を排紙台81まで搬送する排紙送りベルト部72と、排紙送りベルト部72により搬送された両面印刷済印刷用紙P3が積載される排紙台81とを備えている。
次に、コンピュータ1のプリンタドライバ25について説明する。図2は、プリンタドライバ25の概略構成を示すブロック図である。なお、図2には、プリンタドライバ25の構成のうちの2色印刷の分版処理に関連する構成のみを示している。
プリンタドライバ25は、図2に示すように、構成要素識別部26、分版設定受付部27、色判別部28、および分版処理部29を備えている。
構成要素識別部26は、入力された画像データに基づいて、その画像データを構成する構成要素が、文字であることを示す情報を有する構成要素(以下、「文字構成要素」という)であるか、イラストであることを示す情報を有する構成要素(以下、「イラスト構成要素」という)であるか、または写真画像であることを示す情報を有する構成要素(以下、「写真画像構成要素」という)であるかを識別するものである。構成要素の種類の識別方法については、たとえば、OS(オペレーションシステム)やアプリケーションから受け取る画像データのデータ形式や画像データの描画命令などによって識別することができる。たとえば、構成要素がBMP(ビットマップ)やJPEGなどの汎用画像データ形式の場合には、このデータ形式の情報が写真画像であることを示す情報として、その構成要素は写真画像構成要素であると識別し、これらのデータ形式以外のものについては文字構成要素またはイラスト構成要素と識別する。なお、構成要素の種類の識別方法については、これに限らず、その他の公知の方法を採用することができる。
分版設定受付部27は、構成要素識別部26において識別された各構成要素に対して、その構成要素の種類に応じた分版処理の設定条件を受け付けるものである。具体的には、文字構成要素またはイラスト構成要素に対してはその色に応じた単色が割り当てられるようなスポットカラー分版処理の設定を受け付け、写真画像構成要素に対しては上記スポットカラー分版処理の設定または2色を用いた疑似カラーが割り当てられるような疑似カラー分版処理の設定を選択可能に受け付けるものである。なお、分版処理の設定方法については、後で詳述する。
色判別部28は、画像データの各構成要素の色を判別し、その色の情報を分版処理部29に出力するものである。色の情報としては、たとえば、色相、彩度、明度などの情報がある。
分版処理部29は、分版設定受付部27において受け付けられた分版処理の設定条件および色判別部28において判別された色情報に基づいて、各構成要素の画像データに対して分版処理を施し、2色のうちの一方の色で印刷される第1の印刷データを生成して第1の製版部30に出力し、他方の色で印刷される第2の印刷データを生成して第2の製版部35に出力するものである。
次に、本実施形態の孔版印刷システムの作用について説明する。なお、本発明は、2色印刷における分版処理に特徴を有するものであるのでその点を中心に説明する。
最初に、図3の左に示すような原稿画像を表す画像データに基づいて、2色印刷の分版処理を行う場合の作用について説明する。すなわち、原稿画像に、カラー写真画像P1を表す構成要素と、黒文字(ABC)を表す構成要素と、赤文字(DEF)を表す構成要素とが含まれる場合の2色印刷の分版処理について説明する。
まず、上述したような原稿画像を表す画像データが構成要素識別部26に入力され、構成要素識別部26において構成要素の種類が識別される。具体的には、カラー写真画像P1を表す構成要素については写真画像構成要素であると識別され、黒文字(ABC)を表す構成要素および赤文字(DEF)を表す構成要素については文字構成要素であると識別される。そして、構成要素識別部26において識別された各構成要素の情報については分版処理部29に出力される。
次に、分版設定受付部27によって、図4に示すような印刷設定のためのユーザーインターフェースがコンピュータ1のモニタ(図示省略)に表示される。そして、2色印刷を行う場合には、ユーザーによって「2色プリント」のラジオボタンが選択され、第1の印刷ドラム41によって印刷される色と第2の印刷ドラム51によって印刷される色とがそれぞれ選択される。そして、「分版方法」のプルダウンメニューによって「マニュアル分版」が選択され、「詳細設定」ボタンが押されると、マニュアル分版設定のための別のウィンドウ画面がさらに表示される。
そして、マニュアル分版設定画面においては、文字構成要素およびイラスト構成要素に対する分版処理の設定と、写真画像構成要素に対する分版処理の設定とがそれぞれ別個に選択可能になっている。
そして、上述したように、分版設定受付部27は、文字構成要素およびイラスト構成要素に対してはスポットカラー分版処理の設定を受け付け、写真画像構成要素に対してはスポットカラー分版処理の設定または疑似カラー分版処理の設定を選択可能に受け付けるものであるが、ここでは、文字構成要素に対してはスポットカラー分版処理の設定(無彩色→ドラム1、有彩色→ドラム2)を受け付け、写真画像構成要素に対しては疑似カラー分版処理の設定(黒→ドラム1、赤系→ドラム2)を受け付けるものとする。そして、分版設定受付部27おいて受け付けられた分版処理の設定条件は分版処理部29に出力される。なお、マニュアル分版設定画面において設定可能なその他の条件については、後で詳述する。
そして、色判別部28において、各構成要素について色の判別が行われ、その色の情報が分版処理部29に出力される。
上述したようにして、分版処理部29には、各構成要素について、その種類の情報と分版設定の情報と色の情報とが入力される。分版処理部29はこれらの情報に基づいて、各構成要素について分版処理を施す。
具体的には、カラー写真画像P1を表す構成要素については、写真画像構成要素として識別され、分版設定として疑似カラー分版設定(黒→ドラム1、赤系→ドラム2)が設定されているので、その色情報に基づいて、カラー写真画像P1を表す画像データから黒成分の画像データと赤系成分の画像データとが抽出され、黒成分の画像データに基づいて第1の製版部30に出力される第1の印刷データが生成されるとともに、赤系成分の画像データに基づいて第2の製版部35に出力される第2の印刷データが生成される。なお、疑似カラー分版設定の場合、黒成分の画像データと赤系成分の画像データとを重なり合わせた疑似カラーによってカラー写真画像P1を表す構成要素が表現されるように各画像データが抽出される。
一方、黒文字(ABC)を表す構成要素および赤文字(DEF)を表す構成要素については、文字構成要素として識別され、分版設定としてスポットカラー分版設定(無彩色→ドラム1、有彩色→ドラム2)が設定されているので、無彩色である黒文字(ABC)を表す画像データに基づいて第1の製版部30に出力される第1の印刷データが生成されるとともに、有彩色である赤文字(DEF)を表す画像データに基づいて第2の製版部35に出力される第2の印刷データが生成される。
図3に、第1の製版部30に出力される第1の印刷データSD1と、第2の製版部35に出力される第2の印刷データSD2を模式的に表したものを示す。
ここで、図3に示すような原稿画像のように、写真画像構成要素と識別された構成要素が、カラー写真画像を表す構成要素である場合には、特に問題なく分版処理が施され、その印刷結果も適切なものとなるが、写真画像構成要素と識別される構成要素は、必ずしもカラー写真画像を表すものであるとはいえない。
たとえば、企業のロゴマークやオリンピックの5輪のマークのような、マークを構成する部品が単色で表わされるものもBMPのデータ形式などで作成される場合があるため、写真画像構成要素と識別される場合がある。企業のロゴマークは、その性質としては、文字やイラストに近く、疑似カラー分版処理を行って印刷するのには適していない。たとえば、企業のロゴマークをコーポレートカラーで印刷する場合には、疑似カラー分版処理を行ってしまうと、不要なインクの混色が発生し、コーポレートカラーで印刷することができない問題が生じる。たとえば、第1の印刷ドラム41にコーポレートカラーのインクを使用し、第2の印刷ドラム51に黒のインクを使用した場合には、コーポレートカラーに黒を混ぜた色でロゴマークが印刷されてしまう。
また、ユーザーによっては写真画像を表わす画像データに対してフルカラーではなく、モノクロ(グレースケール)を割り当てたい場合もある。モノクロは濃淡のみで表現できる色なので、疑似カラー分版処理を行ったのでは、上述したような位置ずれのデメリットしか発生しない。
そこで、本実施形態の孔版印刷システムにおいては、写真画像構成要素と識別された構成要素に対しても疑似カラー分版設定だけでなく、スポットカラー分版設定をすることができるようにしている。具体的には、図4に示したマニュアル分版設定画面の写真画像構成要素のプルダウンメニューの内容が、図5の表に示すような内容に設定されており、10種類のスポットカラー分版設定が新たに追加されている。この写真画像構成要素のプルダウンメニューを用いて分版処理を行う作用について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、原稿画像を表す画像データが構成要素識別部26に入力され、構成要素識別部26において各構成要素の種類が識別され、その情報が分版処理部29に出力される(S10)。
次に、分版設定受付部27によって、図4に示すようなマニュアル分版設定画面が表示され、ユーザーによって文字構成要素およびイラスト構成要素の分版処理の条件と、写真画像構成要素の分版処理の条件とがプルダウンメニューによって選択される。写真画像構成要素について選択可能な分版処理の条件は、図5に示すような内容になっており、また、文字構成要素およびイラスト構成要素について選択可能な分版処理の条件は、図7に示すような内容となっている。
具体的には、写真画像構成要素については、写真画像構成要素の全ての色成分の画像データを用いて第1の製版部30(ドラム1)の印刷データに割り当てる設定と、写真画像構成要素の全ての色成分の画像データを用いて第2の製版部35(ドラム2)の印刷データに割り当てる分版設定と、6種類の疑似カラー分版設定と、10種類のスポットカラー分版設定のいずれか1つが選択可能になっている。
そして、ユーザーによって図5に示す分版設定の中からいずれか1つが選択され、その選択された分版処理の設定条件が分版処理部29に出力される(S12)。
次に、色判別部28において、各構成要素について色の判別が行われ、その色の情報も分版処理部29に出力される(S14、S18)。
そして、分版処理部29は、構成要素が写真画像構成要素である場合には、写真画像構成要素について選択された分版処理の設定条件と色情報とに基づいて分版処理を施す(S16)。具体的には、たとえば、写真画像構成要素について、ユーザーによってスポットカラー分版設定(赤系→ドラム1、その他→ドラム2)が選択された場合には、写真画像構成要素の色情報に基づいて、赤系成分の画像データと赤系以外(たとえば、白や青や緑)の色成分の画像データとが抽出され、赤系成分の画像データに基づいて第1の製版部30の第1の印刷データが生成されるとともに、赤系以外の色成分の画像データに基づいて第2の製版部35の第2の印刷データが生成される。なお、スポットカラー分版設定の場合、赤系成分の画像データとそれ以外の色成分の画像データは重なりを持つことなく、それぞれ別の範囲を表す印刷データが生成されるものとする。したがって、たとえば、写真画像構成要素が、白のバックに赤系の色のロゴマークが描かれたものである場合には、そのロゴマークの部分は第1の印刷データに割り当てられ、ロゴマーク以外の部分が第2の印刷データに割り当てられることになる。これによりロゴマークの色が混色されたり、ロゴマークに位置ずれが生じたりするのを防止することができる。
また、たとえば、写真画像構成要素がモノクロ写真画像を表すものである場合には、ユーザーによってスポットカラー分版設定(グレースケール→ドラム1、その他→ドラム2)が選択される。そして、モノクロ写真画像を表す画像データの全てが第1の印刷データに割り当てられることになる。これによりモノクロ写真画像において位置ずれが生じるのを防ぐことができる。なお、写真画像構成要素が、たとえば、フルカラーの写真画像を表すものである場合には、ユーザーによって疑似カラー分版設定が選択されるが、その作用については上記で説明したので省略する。
また、分版処理部29は、構成要素が文字構成要素またはイラスト構成要素である場合には、これらの構成要素について選択されたスポットカラー分版処理の設定条件と色情報とに基づいてスポットカラー分版処理を施す(S20)。具体的には、たとえば、文字構成要素またはイラスト構成要素について、ユーザーによってスポットカラー分版処理の設定(有彩色→ドラム1、無彩色→ドラム2)が選択された場合には、文字構成要素またはイラスト構成要素の色情報に基づいて、有彩色の画像データと無彩色の画像データとが抽出され、有彩色の画像データに基づいて第1の製版部30の第1の印刷データが生成されるとともに、無彩色の画像データに基づいて第2の製版部35の第2の印刷データが生成される。なお、スポットカラー分版設定の場合、有彩色の画像データと無彩色の画像データは重なりを持つことなく、それぞれ別の範囲を表す印刷データが生成されるものとする。したがって、たとえば、文字構成要素が、白のバックに赤色の文字が描かれたものである場合には、その文字の部分は第1の印刷データに割り当てられ、文字以外の部分が第2の印刷データに割り当てられることになる。
また、たとえば、原稿画像が図8に示すようなものであり、青イラストと赤イラストが写真画像構成要素である場合、すなわち、見かけ上はイラストであるがそのデータ形式がBMPである場合には、写真画像構成要素のプルダウンメニューにおいては、たとえば、スポットカラー分版設定(赤系→ドラム1、その他→ドラム2)やスポットカラー分版設定(青系→ドラム1、その他→ドラム2)が選択される。そして、スポットカラー分版設定(赤系→ドラム1、その他→ドラム2)が選択された場合には、赤イラストの画像データに基づいて第1の製版部30の第1の印刷データが生成され、青イラストの画像データに基づいて第2の製版部35の第2の印刷データが生成される。また、スポットカラー分版設定(青系→ドラム1、その他→ドラム2)が選択された場合には、青イラストの画像データに基づいて第1の製版部30の第1の印刷データが生成され、赤イラストの画像データに基づいて第2の製版部35の第2の印刷データが生成される。なお、黒文字については、文字構成要素について設定された分版設定の条件に基づいて第1の印刷データまたは第2の印刷データに割り当てられる。
また、たとえば、原稿画像が図9に示すようなものであり、青イラストと赤イラストとモノクロ写真画像が写真画像構成要素である場合には、写真画像構成要素のプルダウンメニューにおいては、たとえば、スポットカラー分版設定(グレースケール→ドラム1、その他→ドラム2)が選択される。そして、モノクロ写真画像の画像データに基づいて第1の製版部30の第1の印刷データが生成され、青イラストと赤イラストの画像データに基づいて第2の製版部35の第2の印刷データが生成される。なお、黒文字については、文字構成要素について設定された分版設定の条件に基づいて第1の印刷データまたは第2の印刷データに割り当てられる。
次に、本発明の印刷条件設定装置の第2の実施形態を用いた孔版印刷システムについて詳細に説明する。本実施形態の孔版印刷システムは、第1の実施形態の孔版印刷システムに対し、プリンタドライバ25の構成のみが異なる。本実施形態の孔版印刷システムのプリンタドライバ25は、図10に示すように、さらにハーフトーン処理の設定条件を受け付けるハーフトーン処理設定受付部90とハーフトーン処理設定受付部90で受け付けられたハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部91とを備えている。
ここで、本実施形態の孔版印刷システムのハーフトーン処理部91で行われるハーフトーン処理としては、誤差拡散処理と網点処理とべた処理とがある。これらの処理で「想」という文字に対してハーフトーン処理を施した一例を図11に示す。図11に示すように、誤差拡散処理については、階調性の再現は網点に比べて少し劣るが、文字の形状などの再現性に優れている。また、網点処理については、階調性の再現性に優れるが、文字の形状などの再現性が良くない。また、べた処理については、文字の濃度に関係なくべたで印刷されるが、黒以外の文字も黒文字と同じ結果になる。
このような各処理の長所および短所を考慮して、従来は、各構成要素の種類毎について、それぞれ図12に示すような種類のハーフトーン処理が設定可能であった。たとえば、文字構成要素については、誤差拡散処理、網点処理またはべた処理が選択可能であり、イラスト構成要素については、網点処理のみが設定可能であり、写真画像構成要素については、網点処理または誤差拡散処理が選択可能であった。
より具体的には、図13に示すようなユーザーインターフェースの画面が表示され、写真画像構成要素については、「スクリーニング」のプルダウンメニューにおいて、網点処理または誤差拡散処理の選択を受け付け、文字構成要素については、「文字処理」のラジオボタンによって誤差拡散処理、網点処理またはべた処理の選択を受け付けるようになっていた。すなわち、写真画像構成要素と文字構成要素とについては任意にハーフトーン処理の種類の選択を受け付けることができるようになっていた。なお、写真画像構成要素については、網点処理を行う場合の網点の線数と角度も任意に設定可能となっている。
そして、たとえば、図14に示すような、モノクロ写真画像と、赤色の「りんご大安売り」および青色の「5個特価200円」」の文字を含む原稿画像を印刷する場合には、ユーザーは、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定として誤差拡散処理を設定することが可能である。
しかしながら、「りんご大安売り」および「5個特価200円」の文字は原稿画像の見かけ上では、文字構成要素と判断されるが、実際には、写真画像構成要素として構成されている場合がある。すなわち、これらの文字のデータ形式がBMPであったり、描画命令が写真画像構成要素に対するものであったりする場合がある。
このような場合に、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定として誤差拡散処理が設定された場合、文字の背景部分には誤差拡散処理が施され、文字の背景部分の周辺はイラスト構成要素なので網点処理が施されてしまう。すなわち、隣接する範囲について互いに異なる種類のハーフトーン処理が施されてしまい、図15に示すように、不連続性が現れてしまう。なお、図16に、図15の「り」の左上あたりの境界部分の拡大図を示す。
また、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定として、イラスト構成要素と同じ網点処理が設定されたとしても、網点処理の線数と角度としてイラスト構成要素の網点処理と異なる値が設定された場合には、やはり隣接する範囲について互いに異なる種類のハーフトーン処理が施されてしまい、図17に示すように、不連続性が現れてしまう。なお、図18に、図17の「り」の左上あたりの境界部分の拡大図を示す。
また、上述したような問題を解決するには、ユーザーが、写真画像構成要素とイラスト構成要素とのハーフトーン処理を同じ処理に設定するようにすればよいが、設定項目が多く、不均一性を防ぐことをユーザーが意識しながら設定するのは困難である。
また、上述したような不連続性の問題が生じるのは、構成要素が見かけ上、文字またはイラストと判断されるが、実際は、写真画像構成要素である場合である。一方、このような場合、第1の実施形態の孔版印刷システムにおいては、写真画像構成要素に対してスポットカラー分版を設定可能なようにしたので、本実施形態の孔版印刷システムにおいては、写真画像構成要素の分版設定として、スポットカラー分版が選択された場合には、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定画面をグレーアウトさせることによって、ユーザーによる任意の設定を受け付けないようにする。そして、さらに写真画像構成要素のハーフトーン処理がイラスト構成要素のハーフトーン処理と同じになるように自動的に設定する。
以下、本実施形態の孔版印刷システムにおけるハーフトーン処理の作用について、図19のフローチャートを参照しながらより具体的に説明する。
まず、原稿画像を表す画像データが構成要素識別部26に入力され、構成要素識別部26において各構成要素の種類が識別され、その情報が分版処理部29およびハーフトーン処理部91に出力される(S30)。
次に、分版設定受付部27によって、図4に示すようなマニュアル分版設定画面が表示され、ユーザーによって文字構成要素およびイラスト構成要素の分版処理の設定条件と、写真画像構成要素の分版処理の設定条件とがプルダウンメニューによって選択される(S32)。写真画像構成要素について選択可能な分版処理の設定条件は、第1の実施形態の孔版印刷システムと同様である。
そして、ユーザーによって選択された分版処理の設定条件は、分版処理部29、ハーフトーン処理設定受付部90に出力される。
次に、色判別部28において、各構成要素について色の判別が行われ、その色の情報も分版処理部29に出力される(S34、S42、S50)。
そして、分版処理部29は、構成要素が写真画像構成要素である場合には、写真画像構成要素について選択された分版設定の情報と色情報とに基づいて分版処理を施す。具体的には、たとえば、写真画像構成要素について、ユーザーによってスポットカラー分版設定が選択された場合には、写真画像構成要素の色情報に基づいて、スポットカラー分版処理を行って第1の製版部30の第1の印刷データを生成するとともに、第2の製版部35の第2の印刷データを生成する(S36)。なお、写真画像構成要素に対するスポットカラー分版処理の作用については第1の実施形態と同様である。
そして、次に、ハーフトーン処理設定受付部90によって、図13に示すようなハーフトーン処理の設定を行う設定画面が表示されるが、このとき写真画像構成要素についてスポットカラー分版が設定された場合には、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定画面はグレーアウトされ、ユーザーによる任意の設定が受け付け不可能になる(S38)。そして、写真画像構成要素の印刷データに対しては、イラスト構成要素と同じハーフトーン処理(網点)が施される(S40)。
また、写真画像構成要素について、ユーザーによって疑似カラー分版設定が選択された場合には、写真画像構成要素の色情報に基づいて、疑似カラー分版処理を行って第1の製版部30の第1の印刷データを生成するとともに、第2の製版部35の第2の印刷データを生成する(S44)。なお、疑似カラー分版処理の作用については第1の実施形態と同様である。
そして、次に、ハーフトーン処理設定受付部90によって、図13に示すようなハーフトーン処理の設定を行う設定画面が表示されるが、このとき写真画像構成要素について疑似カラー分版が設定された場合には、写真画像構成要素のハーフトーン処理の設定画面はアクティブになり、ユーザーによる任意の設定が受け付け可能になる(S46)。そして、写真画像構成要素の印刷データに対しては、ユーザーによって選択されたハーフトーン処理が施される(S48)。
また、分版処理部29は、構成要素が文字構成要素またはイラスト構成要素である場合には、文字構成要素およびイラスト構成要素について選択されたスポットカラー分版設定の情報と色情報とに基づいてスポットカラー分版処理を施す(S52)。なお、文字構成要素およびイラスト構成要素に対するスポットカラー分版処理の作用については第1の実施形態と同様である。
そして、次に、ハーフトーン処理設定受付部90によって、図13に示すようなハーフトーン処理の設定を行う設定画面が表示され、ユーザーによって文字構成要素に対するハーフトーン処理の種類が選択される。
そして、ハーフトーン処理部91は、構成要素が文字構成要素である場合には(S54)、その構成要素に対してユーザーによって選択された種類のハーフトーン処理を施し(S56)、構成要素がイラスト構成要素である場合には(S54)、イラスト構成要素用のハーフトーン処理(網点処理)を施す(S40)。
上述したようにしてハーフトーン処理を施すことによって、図20に示すように、イラスト構成要素と写真画像構成要素との境界の不連続性をなくすことができる。
次に、上記第1および第2の実施形態において生成された印刷データに基づいて、孔版印刷装置2において2色印刷を行う作用について説明する。
次に、本実施形態の孔版印刷装置2における2色印刷の作用について図1および図11を参照しながら説明する。
まず、コンピュータ1のプリンタドライバ25において生成された第1の印刷データおよび第2の印刷データと、2色印刷であることを示す印刷処理条件とが孔版印刷装置2に出力される。
そして、上記第1の印刷データは第1の製版部30に出力され、その第1の印刷データに基づいて第1の製版部30のサーマルヘッド31を用いて孔版原紙Mに対して穿孔が施されて製版処理が行われる。
また、同様にして第2の印刷データが第2の製版部35に出力され、その第2色の印刷データに基づいて第2の製版部35のサーマルヘッド36を用いて孔版原紙Mに対して穿孔が施されて製版処理が行われる。
そして、第1の製版部30において製版処理の施された版は、第1の印刷ドラム41に巻着され、第2の製版部35において製版処理の施された版は、第2の印刷ドラム51に巻着され、印刷動作が実行される。
具体的には、インク供給ポンプ(図示省略)により第1および第2の印刷ドラム41,51の内側にインクが供給され、第1および第2の印刷ドラム41,51が回転駆動される。そして、第1および第2の印刷ドラム41,51の回転に同期して所定のタイミングにて印刷用紙P1が1次給紙ローラ22によって給紙台21から繰り出され、一旦2次給紙ローラ23に当接してたるみを形成した後、所定のタイミングで2次給紙ローラ23により図1における左から右へ搬送され、第1の印刷ドラム41と第1のプレスローラ42との間に供給される。そして、第1の印刷ドラム41の外周面に巻き付けられている製版済孔版原紙Mに対し、印刷用紙P1が第1のプレスローラ42によって圧接されることにより印刷用紙P1に対して第1色の孔版印刷が行われる。
そして、第1の印刷ドラム41が所定の角度だけ回転して印刷用紙P1への第1色の孔版印刷が終了すると、その印刷済印刷用紙P2は第1の分離爪43により第1の印刷ドラム41から分離され、第1の分離爪43の下面の案内面に沿って中間搬送ベルト部62に向かって搬送される。なお、2色印刷時におけるゲート部材61の位置は、図1に示すように、湾曲搬送部44に形成された逃げ部に入り込むように移動させられている。
そして、印刷済印刷用紙P2は、ゲート部材61の先端部以外の上側案内面に沿って搬送され、引き続き搬送ベルトによって搬送される。そして、印刷済印刷用紙P2は、さらにフラップ部材63の上側の案内面によって案内されて第2の印刷ドラムに向けて搬送される。
ここで、2色印刷時においては、フラップ部材63は、フラップ部材63の上側の案内面によって案内される印刷済印刷用紙P2の先端が、第2の印刷ドラム51の所定の印刷開始位置Pに当接するような位置に移動させられている。
そして、フラップ部材63の上側の案内面によって案内された印刷済印刷用紙P2は、印刷ドラム51の印刷開始位置Pに当接した後、第2の印刷ドラム51と第2のプレスローラ52との間に供給される。
そして、第2の印刷ドラム51の外周面に巻き付けられている製版済孔版原紙Mに対し、印刷済印刷用紙P2の印刷面が第2のプレスローラ52によって圧接されることにより印刷済印刷用紙P2の印刷面に対して第2色の孔版印刷が行われる。
そして、第2の印刷ドラム51が所定の角度だけ回転して印刷済印刷用紙P2の印刷面への第2色の孔版印刷が終了すると、その2色印刷済印刷用紙P3は第2の分離爪53により第2の印刷ドラム51から分離され、その分離された2色印刷済印刷用紙P3は、排紙送りベルト部72により排紙台81まで搬送され、排紙台81に積載される。
また、両面印刷時においては、ゲート部材61が上方に移動し、2色印刷時と同様にして第1の印刷ドラム41によって印刷された印刷済印刷用紙P2が、ゲート部材61の下側案内面に沿って搬送され、引き続き湾曲搬送部44によって中間ストック部46に搬送される。
そして、印刷済印刷用紙P2は、中間ストック部46に一定期間だけストックされた後、印刷面が下側に向けられた状態(印刷されていない面が上側)で中間ストック部46から排出され、3次給紙ローラ47によってピックアップされ、一旦4次給紙ローラ48に当接してたるみを形成した後、所定のタイミングで4次給紙ローラ48によって第2の印刷ドラムに向けて搬送される。
このときフラップ部材63は、フラップ部材63の下側の案内面によって案内される印刷済印刷用紙P2の先端が、第2の印刷ドラム51の所定の印刷開始位置Pに当接するような位置に移動させられている。すなわち、2色印刷時におけるフラップ部材63の位置よりも上側の位置に移動させられている。その他の作用については2色印刷時と同様である。
また、単色印刷時の作用については、第2の印刷ドラム51において印刷を行わないようにすることを除いては、2色印刷の作用と同様である。
なお、上記第2の実施形態においては、写真画像構成要素についてスポットカラー分版が設定された場合には、写真画像構成要素のハーフトーン処理とイラスト構成要素のハーフトーン処理とが自動的に同じ処理になるようにしたが、たとえば、文字構成要素のハーフトーン処理とイラスト構成要素のハーフトーン処理とが共通のプルダウンメニューなどで選択可能になっている場合には、その共通のプルダウンメニューで選択されたハーフトーン処理と写真画像構成要素のハーフトーン処理とが自動的に同じ処理になるように設定するようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態においては、写真画像構成要素についてスポットカラー分版が設定された場合には、写真画像構成要素のハーフトーン処理とイラスト構成要素のハーフトーン処理とが自動的に同じ処理になるようにしたが、ハーフトーン処理に限らず、たとえば、写真画像構成要素のガンマ補正とイラスト構成要素のガンマ補正とが自動的に同じになるようにしてもよい。
また、上記実施形態の説明においては、コンピュータ1から出力された印刷データに基づいて、孔版印刷装置2が単色印刷、2色印刷および両面印刷を行う場合を説明したが、これに限らず、孔版印刷装置2の画像読取部10によって読み取られた画像データに基づいて、第1および第2の実施形態のようにして印刷データを生成し、その印刷データに基づいて印刷処理を行うようにしてもよい。