JP5549154B2 - 中空成形品 - Google Patents
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Description
この種の合成樹脂製の中空成形品は、1次成形において、開口縁に接合部を有する一対の半中空体を射出成形し、2次成形において、それらの接合部に溶融樹脂を射出して接合するDSI(Die Slide Injection)で成形することが知られている(特許文献1、特許文献2)。
また、断面が、高さよりも十分に大きい寸法の幅の扁平形状の中空成形品では、内部を流れる水(流体)の圧力により、幅方向の中央部と両端に最も大きな曲げモーメントが作用する。
そこで、上述の特許文献1、2に開示されるように、中空成形品の幅方向の中央部に接合部が位置するように半中空体を設けたのでは、最も大きな曲げモーメントが作用するため、また、上述のDSI成形品の接合部の構造上、接合部の形状を大きくせざるを得ない。
その結果、中空成形品が大型化してしまい、エンジンルーム内の限られた狭いスペースに配置できなくなる不具合が生じる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、小型化を図る上で有利な中空成形品を提供することにある。
本実施の形態が適用された中空成形品10は、自動車のエンジンルーム内に設けられる冷却水循環用の管体であり、合成樹脂製で、DSI成形で形成されている。
中空成形品10は、高さHよりも十分に大きい寸法の幅Wを有する扁平な断面形状を呈している。そして、この扁平な断面形状で延在して管体を構成し、内部空間10Aが冷却水の流路となる。
中空成形品10は、幅W方向において分割され開口縁に接合部14を有する一対の半中空体12がそれらの接合部14が接合されることで構成されている。
管体部16は、均一の厚さで形成され、一対の半中空体12が接合された状態で中空成形品10の周方向に延在しまた長手方向に延在するように設けられている。
管体部16は、中空成形品10と同一の高さHを有し、また、中空成形品10の幅Wよりも短い寸法の幅を有している。
管体部16は、円弧状の側面部16Aと、側面部16Aの両端から延在し互いに対向する上面部16Bおよび下面部16Cとを有している。
接合部14には、相手の接合部14に合わされる接合面が形成され、また、接合面には溶融樹脂20を射出させるための凹部14Aが形成されている。
中空成形品10は、一対の半中空体12の凹部14Aに射出された溶融樹脂20により接合部14相互が一体化されることで成形されている。
補強リブ18は、一対の半中空体12が接合された状態で中空成形品10の長手方向に間隔をおいてそれぞれ中空成形品10の周方向に延在するように、各半中空体12に膨出形成されている。
補強リブ18は、各半中空体12の接合部14から幅方向の端部まで延在しており、接合部14付近では接合部と同じ高さで形成され、また、幅方向の端部に至るにつれて次第に高さと幅が減少するように設けられている。
この補強リブ18は、接合部14の接合強度を確保する観点から必要に応じて設けられる。
次に、2次成形で一対の半中空体12の接合部14を合わせ、それら半中空体12を重ねて接合部14を含めて型締めし、それらの接合部14の凹部14A内に溶融樹脂20を射出する。
そして、この溶融樹脂20により接合部14相互を一体化し、これにより中空成形品10が成形される。
本実施の形態では、接合部14を、中空成形品10の幅W方向の1/4の箇所に位置させた。
この接合部14を設ける幅W方向の1/4の箇所は、図2(A)で示すように、中空成形品10の中心点と中心として点対称となる位置に設けてもよく、あるいは、図2(A)で示すように、高さ方向の中央を通る中心線に対して対称な位置に設けてもよい。
ここで、図2の中空成形品10の管体部16の上半部について考察すると、管体部16の上半部は、両端が固定された固定梁と考えられ、また、内部空間10Aを流れる水(流体)の圧力が作用するのでこの固定梁に等分布荷重が作用すると考えられる。そうとすると、管体部16の上半部の中央で+の曲げモーメントが最大となり、管体部16の上半部の両端で−の曲げモーメントが最大となる。そして、管体部16の中央と両端との中間部の箇所に、曲げモーメントが0となる箇所が存在することになる。
したがって、接合部14を、中空成形品10の幅W方向の中央と両端との中間部に位置させることにより、内部空間10Aを流れる水(流体)の圧力により生じる曲げモーメントが0となる箇所の近傍に接合部14が位置することになる。
すなわち、凹部14Aの容積を小さくできるので接合部14を小型化できる。
したがって、大きな流路面積を確保しつつ中空成形品10の小型化を図る上で有利となる。
特に、DIS成形では、中空成形品10の内部空間10A寄りに位置する接合部14の箇所14B(図2(A)参照)は、溶融樹脂20により接合できず、双方の接合部14が合わされた状態に留まる構造となり、接合強度を確保する観点から接合部14をもともと大型化せざるを得ない事情があることから、接合部14を一体化させるための強度を小さい値で足りるようにし、接合部14を小型化できるようにすることはDIS成形で大きな意義を持つ。
また、接合部14から幅W方向の端部に至る補強リブ18を膨出形成したので、接合部14を引き離す方向に力が作用しても、この力の一部を補強リブ18で受けることができ、接合部14の接合強度を確保する上で有利となる。
接合部14を、中空成形品10の幅W方向の1/5に位置させた実施例1と、幅W方向の1/4に位置させた実施例2と、幅W方向の2/5に位置させた実施例3とをそれぞれ5つずつ製作した。
また比較例として、接合部14を、中空成形品10の幅W方向の中央(1/2)に位置させた比較例1と、幅W方向の9/20に位置させた比較例2と、幅W方向の1/10に位置させた比較例3と、幅W方向の両端に位置させた比較例4とをそれぞれ5つずつ製作した。
なお、図4において破壊圧力の欄に記載されている数値は指数化されており、比較例1における破壊圧力を100とし、数値が大きいほど破壊圧力が大きいことを示している。
比較例1、4では、最も大きな曲げモーメントが作用する箇所に接合部14が位置しているので、最も小さな圧力で破壊されることが分かる。
比較例2、3では、最も大きな曲げモーメントが作用する箇所の近傍に接合部14が位置しているので、やはり小さな圧力で破壊されることが分かる。
特に、接合部14を、幅W方向の中央と両端との中心箇所である、中空成形品10の幅W方向の1/4に位置させた実施例2では、破壊される際の圧力が最も大きい値となっている。
したがって、図4からも、本実施の形態によれば、接合部14を小型化でき、大きな流路面積を確保しつつ中空成形品10の小型化を図る上で有利となることが明らかである。
Claims (4)
- 高さよりも大きい寸法の幅を有する扁平な断面形状を呈して前記高さ方向および前記幅方向に直交する長手方向に延在しDSI成形により製造される合成樹脂製の中空成形品であって、
前記中空成形品は、幅方向において分割され射出成形により成形された一対の半中空体からなり、
前記一対の半中空体は、前記一対の半中空体が接合された状態で前記中空成形品の周方向および長手方向に延在し前記中空成形品の幅よりも短い寸法の幅を有する管体部と、接合部とを含んで構成され、
前記管体部は、円弧状の側面部と、前記側面部の両端から延在し互いに対向する上面部および下面部とを有し、
前記接合部は、前記上面部および前記下面部の端部に、前記中空成形品の内部から離れる方向に膨出形成され、前記管体部の長手方向の全長にわたって延在し、
前記接合部に、前記中空成形品の内部の外側で相手の前記接合部に合わされる接合面が形成されると共に、前記接合面に、前記中空成形品の内部から離れた箇所で溶融樹脂を射出させるための凹部が前記接合部の全長にわたって形成され、
前記中空成形品は、前記一対の半中空体の前記凹部に射出された溶融樹脂により前記接合部相互が一体化されることで成形され、
前記一対の半中空体は、それらの接合部が、前記中空成形品の幅方向の中央と両端との間の中間部に位置するように設けられている、
中空成形品。 - 前記中空成形品の延在方向に間隔をおいてそれぞれ前記中空成形品の周方向に延在する補強リブが前記一対の半中空体に設けられている、
請求項1記載の中空成形品。 - 前記接合部は前記中空成形品の幅の1/4に位置する箇所に設けられている、
請求項1または2記載の中空成形品。 - 前記接合部は前記中空成形品の幅の1/5から2/5の範囲に位置する箇所に設けられている、
請求項1または2載の中空成形品。
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