JP5529434B2 - 複合金属管の摩擦肉盛方法 - Google Patents
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また、特許文献2、3には、摩擦肉盛方法が開示されている。この摩擦肉盛方法は、肉盛材料を所定の回転速度に調節した後、肉盛材料の軸方向に圧力をかけて母材に接触させ、肉盛材料を十分に加熱させた時点で、母材に対し肉盛材料を移動させることにより、肉盛材料と母材との界面に定常的な摩擦熱を発生させ、肉盛材料を母材上に塑性的に圧着させて、摩擦肉盛層を形成する方法である。この方法を使用し、母材となる金属板の表面に摩擦肉盛層を形成する場合は、例えば、台上に母材の金属材料を配置し、肉盛材料を高速で回転させて母材に押付け、肉盛材料が摩擦熱で高温になり軟化した後、母材の金属材料を配置した台を水平に移動させて、摩擦肉盛層を母材の表面上に形成させている。
そこで、金属管への肉盛層の形成に、特許文献2、3に記載の摩擦肉盛方法を用いることを考えて実験を行ったが、この摩擦肉盛方法は、肉盛材料を母材に押圧しながら行うので、金属管に摩擦肉盛する場合は、金属管が潰れたりあるいは曲がる等の支障があった。
前記ニッケルクロム鉄合金は、Ni:58.0質量%以上、Cr:20.0質量%以上23.0質量%以下、Fe:0を超え5.0質量%以下を有し、
前記支持部材は、前記ボイラー用鋼管の内側対向面に拡縮手段によってそれぞれ当接する断面円弧状の支持面が形成された第1、第2の裏当て金具を有し、
前記ボイラー用鋼管に対して前記摩擦肉盛材料を、該ボイラー用鋼管の一表側を軸方向に沿って摩擦肉盛した後、該ボイラー用鋼管の180度裏側を軸方向に沿って摩擦肉盛する工程を、順次角度を変えて行い、以下の(1)式で表される、前記摩擦肉盛材料により摩擦肉盛して形成された摩擦肉盛金属の前記ボイラー用鋼管に対する希釈率を2質量%以下にする。
P=(Cw−Cf)/(Cp−Cf)×100 ・・・・(1)
ここで、Cw:ボイラー用鋼管に形成した摩擦肉盛金属の化学成分量(質量%)、Cf:摩擦肉盛に使用する摩擦肉盛材料の化学成分量(質量%)、Cp:母材となるボイラー用鋼管の化学成分量(質量%)、P:希釈(溶込み)率(質量%)
ここで、摩擦肉盛材料の直径が10mm未満の場合、母材の金属管材と摩擦肉盛材料の金属棒材や金属管材との接触面積が小さくなり、摩擦熱が十分発生しないため、母材の金属管材に孔が開いたり、また摩擦肉盛材料の金属棒材や金属管材が損傷したりする。一方、摩擦肉盛材料の直径が50mmを超える場合、金属棒材や金属管材を高速で回転する際のトルクが増大し、摩擦肉盛を行う装置への負荷が著しく過大になる。
また、摩擦肉盛材料の長さが50mm未満の場合、摩擦肉盛材料の交換頻度が頻繁になり、摩擦肉盛の作業性が大幅に低下する。逆に、摩擦肉盛材料の長さが300mmを超える場合、摩擦肉盛材料は高速で回転するため、その軸が振れたり、また座屈を起こして曲がったりする。
ここで、摩擦肉盛材料の回転速度が100rpm未満の場合、摩擦熱が十分得られないので、下限値を100rpmとした。なお、上限値は、摩擦肉盛が可能な回転数として、1000rpmとしたが、好ましくは、下限値を250rpm、上限値を350rpmにする。
押付け圧力も、上記した理由から、1MPa以上10MPa以下としたが、好ましくは、下限値を4MPa、上限値を8MPaにする。
ここで、摩擦肉盛材料(例えば、金属棒材や金属管材)の回転速度を大きくすると、摩擦肉盛材料は、高温になって著しく軟化するが、押付け圧力を増大させると、摩擦肉盛材料がバリになって金属管に形成する摩擦肉盛金属の外部へ排出され、この摩擦肉盛金属の厚みが必ずしも厚くならない。言い換えれば、摩擦肉盛材料の回転速度、押付け圧力、及び摩擦肉盛金属の厚みには、一定のバランス関係が維持されていることが推定される。
また、摩擦肉盛材料の送り速度が0.1mm/秒未満では、摩擦肉盛材料(例えば、金属棒材や金属管材)のみならず、母材の金属管も高温になって軟化し、金属管自体が変形したり、孔が開く等の損傷が発生する。一方、送り速度が10mm/秒を超えると、摩擦肉盛金属の厚みが著しく薄くなり、その性能が大幅に低下する。このため、摩擦肉盛材料の送り速度を0.1mm/秒以上10mm/秒以下としたが、好ましくは、下限値を1mm/秒、上限値を5mm/秒にする。
ここで、摩擦肉盛金属の1パス当りにおける平均肉厚は、摩擦肉盛材料の回転速度、押付け圧力、及び送り速度によって決定づけられる。発明者らが多くの実験を行い、試行錯誤で見出した結果によると、摩擦肉盛金属の1パス当りにおける平均肉厚は、0.1mm以上10mm以下の範囲であることが判明した。
前記摩擦肉盛材料により形成した摩擦肉盛金属の前記母材に対する希釈率が2質量%以下である。
また、母材と摩擦肉盛材料との境界は完全に圧着しているので、接合や溶射等と比較して十分な接合強度を確保できる。
更には、金属管の内部に出し入れ可能な支持部材を配置して、金属管の表面から摩擦肉盛材料を摩擦肉盛しているので、金属管の変形を最小限に抑えることができる。
しかも、金属管に対する摩擦肉盛の順序について、一表側の摩擦肉盛を行った後、その裏側を摩擦肉盛するので、金属管の曲がり変形を最小にすることができる。
図1(A)、(B)、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る複合金属管の摩擦肉盛方法は、母材となる金属管(即ち、ボイラー用鋼管)10の内部11に金属管10の凹みを防止する出し入れ可能な支持部材12を配置し、母材とは異なる摩擦肉盛材料(肉盛金属)13を、高速で回転させながら金属管10の外側表面に高圧力で押付け、かつ一定速度で金属管10の外側表面を移動させて、摩擦肉盛し、複合金属管14を製造する方法である。以下、詳しく説明する。
この金属管10は、例えば、発電用ボイラー管、プラント用熱交換器等に用いられる鋼管である。例えば、表1に示すボイラ・熱交換器用炭素鋼鋼管(JIS G 3461)、ボイラ・熱交換器用合金鋼鋼管(JIS G 3462)、及びボイラ・熱交換器用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3463)がある(3規格、47種類)。
この支持部材12は、金属管10の内側対向面にそれぞれ当接し、金属管10を内側から支持する裏当て金具15、16を有している。各裏当て金具15、16は、金属管10の軸方向に渡って同一形状となっており、金属管10の内面17に当接する側に、断面形状が円弧状の支持面18、19が形成されている。なお、裏当て金具15と裏当て金具16との間には、拡縮手段(図示しない)が配置され、各裏当て金具15、16を、金属管10の内面17に当接及び離脱させることが可能な構成となっている。
これにより、金属管10に対し、支持部材12の裏当て金具15、16側から力が加わっても、金属管10に潰れや曲がり等が発生することを抑制、更には防止できる。
摩擦肉盛材料13には、耐食性と耐摩耗性を有するニッケルクロム鉄合金(Ni−Cr−Fe合金)を使用できる。このニッケルクロム鉄合金には、例えば、Ni:58.0質量%以上、Cr:20.0質量%以上23.0質量%以下、Fe:0質量%又は0を超え5.0質量%以下のものを使用できる。具体的には、JIS G 4904の熱交換器用継目無ニッケルクロム鉄合金管に記載のNCF600TB、NCF625TB、NCF690TB、やJIS G 4901の耐食耐熱超合金棒に記載のNCF600、NCF625、NCF690である。
なお、摩擦肉盛材料は、金属管材で構成してもよい。摩擦肉盛材料に金属管材を使用する場合は、金属管材の内部から補助材料を供給できる。この補助材料には、例えば、不活性ガスや添加材がある。このように、摩擦肉盛材料に金属管材を使用する場合、摩擦肉盛材料の押付け圧力は断面積Sに比例し、摩擦肉盛材料の幅(直径)は金属管材の直径に比例するので、押付け圧力を小さくして比較的幅広ビードの肉盛を行うことができる。
上記した方法は、金属棒材の中央に貫通孔を設けて、補助材料を供給する方法でも実施できる。
これにより、金属管10の軸方向に沿って1パスの摩擦肉盛金属20が形成されるが、この摩擦肉盛金属20の1パス当りにおける平均肉厚は、0.1mm以上10mm以下の範囲内、好ましくは、1mm以上5mm以下の範囲内にある。
まず、上記したように、支持部材12の一方の裏当て金具15が当接する金属管10の頂面に対し、金属管10の軸方向に沿って第1回目の摩擦肉盛を行い、摩擦肉盛金属20を形成する。
そして、第3回目に形成する摩擦肉盛金属20の幅方向の一端部が、第2回目の摩擦肉盛で形成した摩擦肉盛金属20の幅方向の他端部に、摩擦肉盛金属20の長さ方向に渡って重なるように、金属管10を回転させた後、金属管10の軸方向に沿って第3回目の摩擦肉盛を行う。
なお、第3回目以降の摩擦肉盛を行うに際しては、摩擦肉盛を行う領域の金属管10の内面17に、支持部材12の裏当て金具15又は裏当て金具16が配置されるように、必要に応じて支持部材12も金属管10の軸心を中心に回転させる。
また、上記した方法では、金属管10に対して摩擦肉盛材料13を、金属管10の一表側を軸方向に沿って摩擦肉盛した後、この金属管10の180度裏側を、軸方向に沿って摩擦肉盛した場合について説明した。しかし、金属管10を180度回転させることなく、隣合う摩擦肉盛金属の幅方向の一端部が、その長さ方向に渡って重なるように、金属管10を順次所定角度ずつ回動させて、摩擦肉盛を行ってもよい。
しかし、第2回目の摩擦肉盛を行った後、第3回目の摩擦肉盛を、第1回目に形成した摩擦肉盛金属に隣合うように(第3回目の摩擦肉盛と第4回目の摩擦肉盛を入れ替えて、以降の摩擦肉盛も同様)行ってもよい。また、第2回目の摩擦肉盛を行った後、第3回目の摩擦肉盛を、第1回目で形成した摩擦肉盛金属又は第2回目で形成した摩擦肉盛金属とは、金属管の軸心を中心として90度回動させた位置で行ってもよい。
従って、長尺の金属管の主要部全長(肉盛層形成領域)に渡って摩擦肉盛を行う場合は、前記したように、金属管に対して1パス区間の全周の摩擦肉盛を行った後、この金属管を長さ方向に移動させ、次の区間の全周の摩擦肉盛をすることを繰返す。
これにより、長尺の金属管に対しても、作業性よく容易に、金属管の表面に摩擦肉盛層を形成できる。
なお、複合金属管14の隣合う摩擦肉盛金属20が重なった部分は、機械加工により研削し、その表面状態を滑らかにするのが好ましい。
この希釈率は、「編者:社団法人溶接学会、書名:第2版 溶接・接合便覧、発行所:丸善株式会社、発行日:平成15年2月25日、肉盛溶接法(P.658)」に記載された以下に示す算出式で得られる。
P=(Cw−Cf)/(Cp−Cf)×100
ここで、
Cw:金属管に形成した摩擦肉盛金属の化学成分量(質量%)
Cf:摩擦肉盛に使用する摩擦肉盛材料の化学成分量(質量%)
Cp:母材となる金属管の化学成分量(質量%)
P:希釈(溶込み)率(質量%)
そして、複合金属管14は、摩擦肉盛金属20のビッカース硬さがHv300以上(上限は、Hv500程度)である。これにより、損傷が発生し易い環境下においても、長期に渡って複合金属管を使用できる。
更に、複合金属管14は、常温で3時間王水中に浸漬した後の摩擦肉盛金属20の表面粗さが100μm以下である。これにより、長期に渡って外観や高温耐食性が良好な複合金属管を提供できる。
摩擦肉盛装置30は、金属管10の内側に支持部材31を当接させて金属管10を内側から支持すると共に、高速回転させた摩擦肉盛材料13を金属管10の外面上の接合部へ押し付け、金属管10をその長さ方向へ移動させながら金属管10の外面を摩擦肉盛した後、金属管10を回動(回転)又は移動させて金属管10の外面を順次摩擦肉盛することで、金属管10の外面の一部又は全部に摩擦肉盛層21を形成する装置である。なお、ここでは、回転する摩擦肉盛材料13を金属管10の上方から押し付けて摩擦肉盛を行う場合について、以下に説明するが、他の方向から行ってもよい。
この治具テーブル33には、摩擦肉盛が行われる金属管10を位置決めする複数の金属管荷重受け治具36と、この金属管荷重受け治具36の両側に配置され、金属管荷重受け治具36に載置された金属管10の位置決め(クランプのみ)を行うフリー側チャック37、及び金属管10の回転及び位置決め(回転とクランプ)を行う駆動側チャック38とが設けられている。なお、駆動側チャック38には、NC回転テーブル(回転用モータ)39が設けられ、金属管10をその軸心を中心として回転(回動)できる構成となっている。これにより、金属管10は、治具テーブル33に固定されて位置決めされる。
金属管10内に配置される支持部材31のフリー側チャック37側には、シャフト41が接続され、金属管10内から突出したシャフト41が、支持部材用支持治具42により吊り下げ支持されている。また、この支持部材用支持治具42の近傍には、金属管10を吊り下げ支持する金属管用支持治具43が配置されている。
このシャフト41の端部には、シャフト41の回転(回動)用モータ(サーボモータ)44が接続されている。
この裏当て金具45は、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM)で構成され、金属管10の軸方向の裏当て金具45の長さL1が例えば300〜800mm程度である。なお、裏当て金具45は、支持部材31の長さ方向中央部を中心として左右対称となっている。
裏当て金具45は、金属管10の軸心を中心として2つに分割された同一形状の分割金具部46、47を有している。この2つの分割金具部は異なる形状でもよい。
また、分割金具部46(分割金具部47も同様)の支持面48と反対側(軸心側)には、軸方向にガイド溝54(ガイド溝55も同様)が形成され、分割金具部46の上下方向の厚み(溝底部の厚み)が、その長さ方向中央部に向かって徐々に厚くなるようにテーパー状となって、傾斜面50、51が形成されている。この傾斜面50(傾斜面51も同様)は、その傾斜角度θ2を、分割金具部46の長さ方向に1度以上10度以下(好ましくは、下限を2度、上限を5度)の範囲にして傾斜させている。
テーパー金具52、53は、例えば、銅又は銅合金で構成された同一形状のものである。このテーパー金具52とテーパー金具53は、支持部材31の長さ方向中央部を中心として対向配置され、長さL2が、裏当て金具45の長さL1の半分よりも短く(例えば50〜180mm程度)なっている。
また、テーパー金具52(テーパー金具53も同様)は、軸方向と直交する断面が長方形となっており、上下方向の幅(分割金具部46、47と接触する面間の距離)が、支持部材31の長さ方向中央部に向かって徐々に狭くなるように縮幅している(楔機構を形成している)。
この分割金具部46、47の傾斜面50は、それぞれ分割金具部46、47の長さ方向に渡って凹状となったガイド溝54、55内(即ち、溝底)に形成され、このガイド溝54内にテーパー金具52(テーパー金具53も同様)の上部が、ガイド溝55内にテーパー金具52の下部が、それぞれ摺動自在に嵌め込まれている。なお、テーパー金具にガイド溝を形成することもでき、この場合、ガイド溝内に分割金具部の上部及び下部を摺動自在に嵌め込む。
この回転軸部56には雄ねじ部が形成され、この雄ねじ部が、テーパー金具52、53の軸心方向に形成された雌ねじ部に螺合し、回転軸部56とテーパー金具52、53とを連結している。なお、この雄ねじ部と雌ねじ部で、ねじ機構57が構成されている。このねじ機構57は、台形ねじであるが、角ねじ又はボールねじでもよい。
回転軸部56には、支持部材31の長さ方向中央部を中心として両側、即ちテーパー金具52側に右ねじ、テーパー金具53側に左ねじが、それぞれ同ピッチで形成され、回転軸部56を一方向に回転させることで、対向するテーパー金具52とテーパー金具53を近づけ又は遠ざけることができる。なお、右ねじと左ねじは逆でもよい。
このように構成することで、支持部材31の使用にあっては、回転軸部56を回転させることで、対向するテーパー金具52、53を、金属管10の長さ方向で近づけ又は遠ざけて、裏当て金具45への押圧力を調整し、金属管10の径方向の裏当て金具45の幅を調節できる。
また、テーパー金具と回転軸部の熱膨張の差により、テーパー金具と回転軸部のねじのピッチがずれる恐れもあるので、テーパー金具を、その長さ方向に2又は3以上に分割し、例えば、1ピッチ又は2ピッチ以上の隙間をあけて、回転軸部に螺合させるとよい。これにより、熱膨張の差を隙間で吸収でき、テーパー金具に対する回転軸部の回転をスムーズにできる。
これにより、裏当て金具45で金属管10を支持することができる。
なお、テーパー金具は、支持部材の長さ方向中央部を中心として対向配置させることなく、1つのテーパー金具のみを使用してもよい。この場合、その形状に応じて、裏当て金具は前記した裏当て金具の半分の長さになる。
また、テーパー金具を、金属管の長さ方向に渡って複数配置してもよい。この場合、その形状に応じて、裏当て金具の長さを決定する。
この裏当て金具71は、例えば、クロムモリブデン鋼(SCM)で構成され、金属管10の長さ方向の長さが例えば300〜800mm程度である。また、裏当て金具71は、金属管10の内面17に当接する側に、断面形状が円弧状の支持面72が形成され、その反対側には、金属管10の長さ方向に渡って、位置決めのための凹部73が形成されている。
この裏当て金具71の支持面72は、摩擦肉盛を行うに際し、金属管10を内側から支持するための面であるため、金属管10を正断面視した場合、金属管10の軸心を中心として、90度以上150度以下(好ましくは、下限を100度、更には110度、上限を140度、更には130度)の範囲内で規定するとよい。
この楕円形金具74の断面(楕円形状)の長径は、この長軸が金属管10の径方向に配置され、長径の両外面が、裏当て金具71の凹部73内とその反対側に位置する金属管10の内面17にそれぞれ当接した場合、金属管10の内面17に裏当て金具71の支持面72が当接する長さに設定されている。一方、楕円形金具74の短径は、この短軸が金属管10の径方向に配置された場合、金属管10の内面17から裏当て金具71の支持面72が離れる長さに設定されている。
なお、楕円形金具74には、この楕円形金具74を回動自在とする回転軸部が取付けられている。
なお、図5(B)に示す第3の変形例に係る支持部材75のように、断面が多角形(ここでは、八角形)の直線部分に丸みを持たせた形状の楕円形金具(操作手段の一例)76を使用することもできる。
更に、図4(C)に示す第4の変形例に係る支持部材77について説明するが、裏当て金具78として、金属管10の軸心を中心として2つに分割された分割金具部79、80を有するものを使用してもよい。この分割金具部79、80は、同一形状であり、前記した裏当て金具71と同様、金属管10の内面17と当接する面とは反対側に、分割金具部79、80の長さ方向に渡って、位置決めのための凹部81、82が形成されている。
この楕円形金具83の断面(楕円形状)の長径は、この長軸が金属管10の径方向に配置され、その長径の両外面が、分割金具部79、80の凹部81、82内にそれぞれ当接した場合、金属管10の内面17に分割金具部79、80が当接する長さに設定されている。一方、楕円形金具83の断面の短径は、この短軸が金属管10の径方向に配置された場合、金属管10の内面17から分割金具部79、80が離れる長さに設定されている。
以上により、回転軸部を所定角度(ここでは、90度)回動し、楕円形金具74、76、83を回動させて、摩擦肉盛材料が押し付けられる金属管10を裏当て金具71、78で支持し、金属管10に摩擦肉盛層21が形成された複合金属管14を製造できる。
まず、実施例に係る複合金属管の摩擦肉盛方法を用いて摩擦肉盛された複合金属管と、比較例に係るMIG溶接法により肉盛溶接された複合金属管について、形成された肉盛層の希釈率を比較した結果について説明する。
ここで、使用する摩擦肉盛材料の寸法と化学成分、摩擦肉盛金属(肉盛層)の形成条件、形成された摩擦肉盛金属の寸法と化学成分、及び希釈率を、表2に示す。なお、実施例はφ25、長さ150mmの摩擦肉盛材料を用いて摩擦肉盛を行い、また比較例はワイヤーを用いてMIG溶接をした。また、肉盛層を形成した母材の金属管には、前記した表1に記載のJIS G 3461のSTB 340を用いた。この化学成分量は、Ni:0.01質量%、Cr:0.01質量%、Fe:99.2質量%である。
図6(A)には、摩擦肉盛された複合金属管(実施例1)の肉盛層を表面から約1mm研磨した面の金属組織の一例を、(B)には、肉盛溶接された複合金属管(比較例1)の同様の面における金属組織の一例を、それぞれ示している。なお、各複合金属管の金属組織は、王水に3時間浸漬させた後の状態を示している。
図6(A)、(B)から、摩擦肉盛された複合金属管の金属組織は密(一様に微細な結晶粒)であったが、MIG溶接した複合金属管の金属組織は、均一でないことが判った。
図7(A)に示すように、実施例1の複合金属管の表面粗さは、20μm以下の非常に小さい範囲内で推移し、表面が非常に平滑であることが分かった。一方、図7(B)に示すように、比較例1の複合金属管の表面粗さは、最大で300μm程度であり、実施例1と比較して非常に大きく、表面の凹凸が大きいことが判った。
一方、比較例1の試験片は、重量と厚みのいずれも、腐食減量が大きかった。
また、表3の腐食試験2から、実施例1の試験片は、比較例1の試験片と比較して、表面粗さを大幅に小さくできることを確認できた(表面粗さ:100μm以下)。
なお、実施例1の試験片は、摩擦肉盛金属のビッカース硬さがHv350(Hv300以上)であり、使用に際して充分な硬度を備えることも確認できた。
例えば、前記実施の形態に係る複合金属管の摩擦肉盛方法に用いた装置構成は、この実施の形態の装置構成に限定されるものではなく、摩擦肉盛時に金属管を内部から支持し、しかも摩擦肉盛の終了後に金属管から取出せるものであれば、その他の装置構成であっても、本発明は適用される。
Claims (3)
- 母材となるボイラー用鋼管の内部に該ボイラー用鋼管の凹みを防止する出し入れ可能な支持部材を配置し、耐食性又は耐摩耗性を有し前記母材とは異なるニッケルクロム鉄合金からなって、直径が10mm以上50mm以下、長さが50mm以上300mm以下の金属棒材又は金属管材からなる摩擦肉盛材料を、回転速度が100rpm以上1000rpm以下の高速で回転させながら、押付け圧力が1MPa以上10MPa以下の高圧力で前記ボイラー用鋼管の外側表面に押付け、かつ送り速度が0.1mm/秒以上10mm/秒以下内の一定速度で該ボイラー用鋼管の外側表面を移動させて、摩擦肉盛する複合金属管の摩擦肉盛方法であって、
前記ニッケルクロム鉄合金は、Ni:58.0質量%以上、Cr:20.0質量%以上23.0質量%以下、Fe:0を超え5.0質量%以下を有し、
前記支持部材は、前記ボイラー用鋼管の内側対向面に拡縮手段によってそれぞれ当接する断面円弧状の支持面が形成された第1、第2の裏当て金具を有し、
前記ボイラー用鋼管に対して前記摩擦肉盛材料を、該ボイラー用鋼管の一表側を軸方向に沿って摩擦肉盛した後、該ボイラー用鋼管の180度裏側を軸方向に沿って摩擦肉盛する工程を、順次角度を変えて行い、以下の(1)式で表される、前記摩擦肉盛材料により摩擦肉盛して形成された摩擦肉盛金属の前記ボイラー用鋼管に対する希釈率を2質量%以下にすることを特徴とする複合金属管の摩擦肉盛方法。
P=(Cw−Cf)/(Cp−Cf)×100 ・・・・(1)
ここで、Cw:ボイラー用鋼管に形成した摩擦肉盛金属の化学成分量(質量%)、Cf:摩擦肉盛に使用する摩擦肉盛材料の化学成分量(質量%)、Cp:母材となるボイラー用鋼管の化学成分量(質量%)、P:希釈(溶込み)率(質量%) - 請求項1記載の複合金属管の摩擦肉盛方法において、前記摩擦肉盛材料で形成した摩擦肉盛金属の1パス当りにおける平均肉厚は、0.1mm以上10mm以下の範囲であることを特徴とする複合金属管の摩擦肉盛方法。
- 請求項2記載の複合金属管の摩擦肉盛方法において、前記ボイラー用鋼管の軸方向に沿って行う摩擦肉盛の1パス当りの長さは、100mm以上1000mm以下の範囲であって、前記ボイラー用鋼管に対して1パス区間の全周の摩擦肉盛を行った後、該ボイラー用鋼管を長さ方向に移動させ、次の区間の摩擦肉盛をすることを繰返して、長尺の前記ボイラー用鋼管の主要部全長の摩擦肉盛を行うことを特徴とする複合金属管の摩擦肉盛方法。
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