JP5517529B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
また、太陽電池等の直流電源は日射量や温度などの条件に加え、屋外に設置可能な直流電源の直列数によって電圧範囲が大きく異なる。このため、従来の電力変換装置では、入力電圧範囲が広範囲となり、所望の出力電圧が得られる運転動作範囲が狭くなるという問題点を有するものであった。
特に、直流電源として、太陽電池を用いて直流/直流変換を行う場合に好適な電力変換装置を提供することを目的とする。
また、短絡用スイッチおよびインバータ回路内の半導体スイッチ素子は、高周波スイッチングが不要であり、インバータ回路のスイッチングで扱う電圧を比較的小さい電圧にできる。このため、電力損失およびノイズの低減化と装置構成の小型軽量化とが促進された電力変換装置が実現できる。
また、直流電源の電圧に応じて複数の制御モードを切り替えることにより、昇圧比を広範囲に選択でき、広範囲の入力電圧に対して所望の出力電圧を安定して得ることができる効果がある。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による電力変換装置の主回路構成図である。
実施の形態1の電力変換装置は、図1に示すように、太陽電池等から成る直流電源1の出力に、インバータ回路20の交流側が直列接続される。インバータ回路20は、第1の単相インバータ20a、第2の単相インバータ20bの交流側を直列接続して構成され、各単相インバータ20a、20bの出力の総和を、インバータ回路20の出力として直流電源1からの直流電圧に重畳する。インバータ回路20を構成する第1、第2の単相インバータ20a、20bは、半導体スイッチ素子21〜24、31〜34および直流電圧源としての第1のコンデンサ25、第2のコンデンサ35から構成される。
ここで、半導体スイッチ素子21〜24、31〜34は、ダイオードが逆並列に接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やソース・ドレイン間にダイオードが内蔵されたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などを用いる。
なお、第1の単相インバータ20aにおける第1のコンデンサ25の設定電圧Vc1と第2の単相インバータ20bにおける第2のコンデンサ35の設定電圧Vc2との比は(Vc1:Vc2)=(1:2)とする。
第4区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にしてインバータ回路20は直流電力を放電し、直流電源1の電圧に重畳した電圧和で、電圧整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6を充電する。この平滑コンデンサ6の電圧Voが出力電圧で、この制御モードAでは昇圧比は4となる。
第3区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にしてインバータ回路20は直流電力を放電し、直流電源1の電圧に重畳した電圧和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6を充電する。この制御モードBでは昇圧比は3となる。
第2区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にしてインバータ回路20は直流電力を放電し、直流電源1の電圧に重畳した電圧和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6を充電する。この制御モードCでは昇圧比は2となる。
第2区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にして、直流電源1の電圧Vinと第1のコンデンサ25の電圧および第2のコンデンサ35の電圧との和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6に直流電圧240Vを充電する。
第2〜第4区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にしてインバータ回路20は直流電力を放電し、直流電源1の電圧に重畳した電圧和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6を充電する。この制御モードDでは昇圧比は1.3となる。
第2〜第4区間では、短絡用スイッチ4をオフ状態にする。まず、第2区間では、直流電源1の電圧Vinと第1のコンデンサ25の電圧との和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6に直流電圧240Vを充電する。第3区間では、直流電源1の電圧Vinと第2のコンデンサ35の電圧との和で、第1のコンデンサ25を60Vまで再度充電すると共に、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6に直流電圧240Vを充電する。そして、第4区間では、直流電源1の電圧Vinと第1のコンデンサ25の電圧との和で、整流ダイオード5を介して平滑コンデンサ6に直流電圧240Vを充電する。
また、各制御モードA〜Dにおいて、第1、第2の単相インバータ20a、20bは、第1、第2のコンデンサ25、35が充放電動作による電力授受をバランスさせるように出力制御される。
図7に示すように、出力電圧Voの電圧変動率は±20%の範囲に収まる。
また、短絡用スイッチ4のオン/オフ切り換え時に、インバータ回路20は、直流電圧の充電/放電動作を切り替えるように制御される。このため、短絡用スイッチ4およびインバータ回路20内の半導体スイッチ素子21〜24、31〜34は、高周波スイッチングが不要であり、インバータ回路20は、スイッチングで扱う電圧を平滑コンデンサ6の設定電圧よりも低くできる。従って、電力損失およびノイズの低減化と装置構成の小型軽量化とが促進された電力変換装置が実現できる。
複数の制御モードA〜Dは、複数の単相インバータ20a、20bの出力制御および短絡用スイッチ4のオンオフ制御の組み合わせから設定されるもので、制御モード毎に決まる昇圧比を広範囲に設定することができる。この場合、1.3〜4までの4段階の昇圧比が設定されている。
このため、昇圧比が広範囲に選択でき、広範囲の入力電圧(電圧Vin)に対して出力電圧Voの電圧変動を抑制でき、所望の出力電圧Voが得られる。
例えば、図2で示す制御モードAによる制御では、インバータ回路20の充電期間のうち、第1の単相インバータ20aの正電圧出力期間、および第2の単相インバータ20bの負電圧出力期間をそれぞれ長く(短く)調整すると、第1のコンデンサ25の電圧を低く(高く)、第2のコンデンサ35の電圧を高く(低く)調整できて電圧比を調整できる。
上述した実施の形態1の電力変換装置においては、第1および第2の単相インバータ(以下ビット1、ビット2と呼ぶ)を用い、それらの出力電圧の組合わせを一定周期内で切り替えることにより、負荷側に昇圧された電圧を供給することを説明した。
しかし、各ビットインバータの出力電圧の組合わせを一定周期内で切り替える際、以下のような問題点が考えられる。
図9には、電力変換器の配線の浮遊インダクタンスLを記載している。
図9では、ビット1を利用してビット2を充電するパターン(期間A)から、ビット1、ビット2を利用して負荷側のコンデンサを充電するパターン(期間B)に切り替える状態を示している。この例では、期間Aから期間Bに切り替えるタイミングにデッドタイムTdを設けている。デッドタイムTdでは、ビット1およびビット2のスイッチの全てをオフとしている。
つまり、Td期間に入ると、インダクタンスLは、負荷側のコンデンサC0、ビット1、ビット2のコンデンサC1、C2を充電するように電流が連続し、やがてインダクタンスLのエネルギーがなくなると動作が止まる。そして、次にTd期間が終わり期間Bに入ると、インダクタンスLの電流が徐々に増加して行き、やがて定常状態を迎え、電流が一定の値となる。
デッドタイムTdから期間Bへの移行の際、入力電圧Vinは太陽電池の特性に従って電圧が変化する。まず、Td期間に入りインダクタンスLの電流、すなわち太陽電池の電流が低下すると、電池の特性に従って電圧が増加し、電流ixがゼロになると電池特性の最大電圧の値となる。期間Bに入ると電池特性の最大電圧からスタートし、電流の増加に従って電圧が低下し、Vin=Vout-Vbit1-Vbit2が成り立つ点(つまりVin=60V)で定常状態を迎える。
インダクタンスLの電流が定常状態を迎えた以降は、スナバコンデンサ102のΔV分の電圧は、放電抵抗104を通して回路に放出され、完全な定常状態となる。このとき、放電抵抗では1/2ΔV2のエネルギーを消費することになる。
上述の実施の形態2によれば、直流電源としての太陽電池からはほぼ最大電力が取り出せることになるが、期間Bに入り1/2ΔV2分の電力消費を生じてしまうことになる。
この発明の実施の形態3は、この電力消費を抑えるための技術に関するものである。
図12からわかるように、スナバ回路に太陽電池が充電する期間のうち最も大きいものは、期間Bにおいて浮遊インダクタンスLの電流を定常状態まで持っていくための領域(以後Trizeと称す)である。Trizeを短くすることができれば、ΔVを抑制することができ、放電抵抗での電力消費を抑制できる。
元々、Trizeは、インダクタンスLの電流を立ち上げるための期間であり、インダクタンスLの電流が本来ゼロでなければ、立ち上げる電流の幅が小さくなるからTrizeを小さくすることが可能である。
図13は、TdをTfallより小さくした場合の波形を示している。Td期間中にインダクタンスLの電流がゼロまで到達しないから、Trizeが小さくなっていることがわかる。
Trizeが小さくなればΔVも小さくなり、ΔVの2乗に比例する放電抵抗での損失が低減することになる。
Vout+ΣVビットn=Ldi/dt (nはビットの総数)
Tfall=(Vout+ΣVビットn)×I/L (Iは定常状態での電流)
従って、Td<(Vout+ΣVビットn)×I/L と選んでおけばよい。
但し、太陽電池の日射量によって動作点が変化し、Iが変化するため全域で上記式を満足することは困難である。よって、目安として、最大動作ポイントにおいて、上式を満足するように設計すればほぼ電力損失を無視できるレベルまで抑えることができる。
別の見方をすれば、太陽電池は最大日射量の30〜75%の領域でほとんど動作する。そのため、30〜75%の電流条件において、上式を満足するよう設計するのが良い。
本発明は、これら実施の形態の構成、動作に限定されるものでなく、本発明の範囲内にある限り、別な構成、動作へ変更を加えて実施してもよい。
20 インバータ回路、20a 第1の単相インバータ、20b 第2の単相インバー
タ、21〜24、31〜34 半導体スイッチ素子、25 第1のコンデンサ(直流電
圧源)、35 第2のコンデンサ(直流電圧源)
Vin 直流電源電圧、VbIt1 第1の単相インバータ出力、VbIt2 第2の単相イン
バータ出力。
Claims (6)
- 各々半導体スイッチ素子と直流電圧源とを有する複数の単相インバータの交流側を直列接続して構成され、該交流側を直流電源の出力端子間に直列接続して上記各単相インバータの出力の総和を上記直流電源の出力に重畳して出力するインバータ回路と、上記インバータ回路の後段に整流素子を介して接続され、該インバータ回路から直流電力が供給される負荷側の平滑コンデンサと、上記インバータ回路の出力端子に一端が接続され、他端が上記平滑コンデンサの負極に接続された短絡用スイッチとを備え、一定の周期内で切り替わる上記各単相インバータの出力制御および上記短絡用スイッチのオンオフ制御の組み合わせから成る複数の制御モードを予め設定し、上記直流電源の電圧に応じて上記制御モードを切り替えて用いることにより昇圧比を選択し、上記インバータ回路における直流電圧源の充放電を利用して直流/直流変換を行うものであって、
上記直流電源と上記インバータ回路の交流側入力端子との間に上記直流電源と並列に一方向性のスナバ回路を設け、上記制御モードにおける単相インバータの出力制御の切り替え時の、少なくとも1つ以上の単相インバータがオフ状態となるデッドタイム期間において、上記直流電源の電圧上昇によるインバータ回路入力側の電圧変化を抑制するようにしたことを特徴とする電力変換装置。 - 上記一方向性のスナバ回路は、ダイオードとコンデンサを直列に接続し、上記ダイオードの両端に放電抵抗を備えた構成であることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 上記デッドタイム期間は、回路の電流がゼロになる前に終了するよう設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
- 上記デッドタイム期間Tdは、以下の式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力変換装置。
Td<(出力電圧+単相インバータの直流電圧の総和)×I/L
但し、Lは回路の浮遊インダクタンス、IはTd期間以前に流れていた回路の電流。 - 上記Iは電力変換装置の定格電流の30%以下であることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
- 上記直流電源は太陽電池であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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