以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
−車両走行制御装置100の構成−
図1は、本発明に係る車両走行制御装置100の一例のうち、区間情報、勾配値情報、制御情報等を生成して記録する部分を示すブロック図である。図2は、本発明に係る車両走行制御装置100の一例のうち、走行中の制御状態を設定する部分を示すブロック図である。図1、図2を参照して、車両走行制御装置100の構成を説明する。
車両走行制御装置100は、走行制御ECU1、HDD2及び入力部3を備えている。また、走行制御ECU1からの出力情報は、出力ECU4に対して出力され、出力ECU4によってパワートレイン5が制御される。
−入力部3の構成−
まず、入力部3について説明する。入力部3は、各種の信号、情報を走行制御ECU1へ出力するものであって、アクセルセンサ31、ブレーキセンサ32、加速度センサ33、車速センサ34、及び、ナビゲーションECU35を備えている。
アクセルセンサ31は、アクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)を検出するセンサであって、検出されたアクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)を示す信号は、走行制御ECU1(操作検出部101、操作情報取得部108等)へ出力される。なお、アクセルセンサ31は、「操作情報取得手段」の一部に相当する。
ブレーキセンサ32は、ブレーキペダルが踏み込まれているか否かを検出するセンサであって、検出されたブレーキペダルのON、OFFを示す信号(以下、ブレーキ信号ともいう)は、走行制御ECU1(操作検出部101、操作情報取得部108等)へ出力される。なお、ブレーキセンサ32は、「操作情報取得手段」の一部に相当する。
車速センサ34は、車速を検出するセンサであって、検出された車速信号は、走行制御ECU1(操作検出部101、状態設定部105、操作情報取得部108等)へ出力される。なお、車速センサ34は、「操作情報取得手段」の一部に相当する。
本実施形態では、車両の運転者によって行われた操作を示す操作情報が、アクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)、ブレーキ信号に対応する情報、及び、車速信号に対応する情報である場合について説明するが、前記操作情報が、前記3つの情報に加えて、更に、ステアリングホイールの回転角を示す操舵角情報を含む形態でもよい。
加速度センサ33は、車両に作用する加速度を検出するセンサであって、検出された加速度信号は、走行制御ECU1(勾配検出部102等)へ出力される。なお、本実施形態では、加速度センサ33によって検出された加速度は、車両が走行している道路の勾配値を検出するために用いられる。ここで、加速度センサ33は、「勾配検出手段」の一部に相当する。
ナビゲーションECU35は、GPS(Global Positioning System)を備え、HDD2(地図情報記憶部21)に格納された地図情報を用いて、車両の地図上の位置を特定し、モニタに表示するECUである。また、ナビゲーションECU35は、車両の地図上の位置情報を、走行制御ECU1(道路区画部104、状態設定部105等)へ出力する。
−パワートレイン5の構成−
パワートレイン5は、車両に駆動力を付与するものであって、エンジン51、及び、変速機52を備えている。エンジン51は、例えば、ガソリンエンジンであって、「駆動力源」に相当する。本実施形態では、駆動力源がエンジン51からなる場合について説明するが、駆動力源がエンジン及び電動機からなる形態でもよい。すなわち、車両が、ハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicle)である形態でもよい。
変速機52は、入力軸の回転を変速して出力軸に伝達するものであって、例えば、遊星歯車式多段変速機である。なお、変速機52は、例えば、変速比を無段階に調整するベルト式無段変速機など、その他の態様の変速機であってもよい。
−出力ECU4の構成−
出力ECU(Electronic Control Unit)4は、走行制御ECU1から入力される制御状態情報に基づいて、パワートレイン5を制御するものであって、エンジン51を制御するエンジンECU41と、変速機52を制御する変速機ECU42とを備えている。ここで、制御状態情報とは、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類の制御状態のうちのいずれか1つを示す情報である。
エンジンECU41は、走行制御ECU1から入力される制御状態情報に基づいて、エンジン51のインジェクタからのガソリン噴射量の制御等の各種制御を行うECUである。変速機ECU42は、走行制御ECU1から入力される制御状態情報に基づいて、変速機52のギア段(変速比)を制御するECUである。
例えば、変速機ECU42は、走行制御ECU1から「力行制御状態」が入力される場合には、走行制御ECU1から「惰行制御状態」が入力される場合と比較して、変速線(アップシフト変速線)を高車速側にシフトする。すなわち、「力行制御状態」が入力される場合には、「惰行制御状態」が入力される場合と比較して、加速時にアップシフトする車速値を増大させ、ギア比が大きく高トルク状態での走行を可能とする。また、例えば、変速機ECU42は、走行制御ECU1から「抑制制御状態」が入力される場合には、走行制御ECU1から「惰行制御状態」が入力される場合と比較して、変速線(ダウンシフト変速線)を高車速側にシフトする。すなわち、「抑制制御状態」が入力される場合には、「惰行制御状態」が入力される場合と比較して、減速時にダウンシフトする車速値を増大させ、ギア比が大きくエンジンブレーキが効き易い状態での走行を可能とする。
−HDD2の機能構成−
HDD(Hard disk drive)2は、種々の情報を読み書き自在に格納する不揮発性の記憶媒体であって、機能的に、地図情報記憶部21、路面情報記憶部22、操作履歴記憶部23、及び、制御情報記憶部24を備えている。
地図情報記憶部21は、予め地図情報を格納している機能部であって、格納された地図情報は、ナビゲーションECU35、走行制御ECU1の道路区画部104、状態設定部105等によって読み出される。
路面情報記憶部22は、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて、道路の勾配値を示す勾配値情報、及び、勾配値の微分値を示す情報(以下、「微分値情報」ともいう)を含む路面情報が書き込まれる機能部である。また、路面情報記憶部22は、道路が区画された区間を示す情報(以下、「区間情報」ともいう)を、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて格納する機能部である。ここで、路面情報記憶部22は、「路面情報記憶手段」の一部に相当する。更に、路面情報記憶部22は、区間情報に対応付けて、区間ごとの平均勾配値SAを示す情報を格納する。
また、路面情報記憶部22に格納される勾配値情報は、加速度センサ33によって検出された加速度に基づいて、走行制御ECU1の勾配検出部102によって求められて、書き込まれるものである。更に、路面情報記憶部22に格納される勾配値の微分値を示す情報は、走行制御ECU1の勾配微分部103によって求められて、書き込まれるものである。また、路面情報記憶部22に格納される区間情報は、走行制御ECU1の道路区画部104によって求められて、書き込まれるものである。また、路面情報記憶部22に格納された勾配値情報及び微分値情報は、走行制御ECU1の道路区画部104、状態設定部105等によって読み出される。更に、路面情報記憶部22に格納された区間情報は、状態設定部105等によって読み出される。また、路面情報記憶部22に格納された平均勾配値SAを示す情報は、道路区画部104によって求められて、書き込まれるものである。また、路面情報記憶部22に格納された平均勾配値SAを示す情報は、状態設定部105等によって読み出される。
操作履歴記憶部23は、過去の車両の走行時に車両の運転者によって行われた操作を示す操作情報である操作履歴情報が、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて書き込まれる機能部である。ここで、操作履歴記憶部23は、「操作履歴記憶手段」に相当する。また、操作履歴記憶部23に格納される操作情報は、アクセルセンサ31によって検出されたアクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)、ブレーキセンサ32によって検出されたブレーキ信号に対応する情報、及び、車速センサによって検出された車速信号に対応する情報であって、走行制御ECU1の操作検出部101によって操作履歴記憶部23に書き込まれるものである。更に、操作履歴記憶部23に格納された操作情報は、走行制御ECU1の状態修正部106等によって読み出される。
また、操作履歴記憶部23は、区間情報に対応付けて、区間ごとの平均車速値VAを示す情報を格納する。操作履歴記憶部23に格納される平均車速値VAを示す情報は、道路区画部104によって求められて、書き込まれるものである。また、操作履歴記憶部23に格納された平均車速値VAを示す情報は、状態設定部105等によって読み出される。
制御情報記憶部24は、走行制御ECU1の状態設定部105によって設定された制御状態情報(以下、「設定制御状態情報」ともいう)、及び、走行制御ECU1の状態修正部106によって修正された制御状態情報(以下、「修正制御状態情報」ともいう)が、走行制御ECU1の道路区画部104によって区画された区間情報と対応付けて書き込まれる機能部である。ここで、制御情報記憶部24は、「路面情報記憶手段」の一部に相当する。制御情報記憶部24に格納される設定制御状態情報及び修正制御状態情報は、走行制御ECU1の記録部107によって書き込まれる。また、制御情報記憶部24に格納された設定制御状態情報は、走行制御ECU1の状態設定部105によって読み出され、制御情報記憶部24に格納された修正制御状態情報は、走行制御ECU1の状態修正部106によって読み出される。
−走行制御ECU1の機能構成−
走行制御ECU1は、出力ECU4を介して、車両に搭載されたエンジン51及び変速機52を含むパワートレイン5を制御するECUである。また、走行制御ECU1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。CPUは、ROM等に格納された制御プログラム等を読み出して実行するものである。ROMは、制御プログラム等を予め格納するメモリである。RAMは、作業用メモリ、一時記憶メモリ等として使用されるメモリである。
走行制御ECU1は、ここでは、ROMに格納された制御プログラムを読み出して、CPUで実行することによって、機能的に、操作検出部101、勾配検出部102、勾配微分部103、道路区画部104、状態設定部105、状態修正部106、記録部107、操作情報取得部108、状態変更部109、制御切換部110、第1走行制御部111、及び、第2走行制御部112として機能するものである。
操作検出部101は、アクセルセンサ31から、アクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)を示す信号を取得し、ブレーキセンサ32から、ブレーキ信号を取得し、車速センサから車速信号を取得する機能部である。また、操作検出部101は、アクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)を示す情報、ブレーキ信号に対応する情報、及び、車速信号に対応する情報、を含む操作情報を、HDD2の操作履歴記憶部23に、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて書き込む。具体的には、操作検出部101は、前記操作情報を、ナビゲーションECU35によって特定された車両の地図上の位置に対応付けて、HDD2の操作履歴記憶部23に書き込む。
本実施形態では、操作検出部101が、過去の1回の走行によって取得された操作情報を、操作履歴情報として、HDD2の操作履歴記憶部23に記録する場合について説明するが、操作検出部101が、過去の複数回の走行によって取得された操作情報を、操作履歴情報として、HDD2の操作履歴記憶部23に記録する形態でもよい。この場合には、運転者の操作特性を更に反映した操作履歴情報を操作履歴記憶部23に記録することができる。また、この場合には、過去の複数回の走行によって取得された操作情報を、平均化処理等の統計処理を施して操作履歴記憶部23に記録することが好ましい。この場合には、運転者の操作特性を更に反映した操作履歴情報を、コンパクトに(操作履歴情報が格納される領域に対応する記憶容量の増大を回避して)操作履歴記憶部23に格納することができる。
また、1台の車両に対して複数人の運転者が定常的に運転する場合には、操作検出部101が、運転者ごとに区分して、操作履歴情報を操作履歴記憶部23に記録することが好ましい。この場合には、運転者ごとの操作特性を反映した操作履歴情報を操作履歴記憶部23に記録することができる。
勾配検出部102は、加速度センサ33によって検出された加速度信号に基づいて、車両が走行している道路の勾配値を求める機能部である。また、勾配検出部102は、求めた道路の勾配値情報を、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて、路面情報記憶部22に記録する。具体的には、勾配検出部102は、勾配値情報を、ナビゲーションECU35によって特定された車両の地図上の位置に対応付けて、HDD2の路面情報記憶部22に書き込む。ここで、勾配検出部102は、「勾配検出手段」の一部に相当する。
勾配微分部103は、勾配検出部102によって求められた道路の勾配値を微分することによって、道路の勾配値の微分値を求める機能部である。また、勾配微分部103は、求めた道路の勾配値の微分値に対応する情報(以下、「勾配微分値情報」ともいう)を、地図情報記憶部21に格納された地図情報と対応付けて、路面情報記憶部22に記録する。具体的には、勾配微分部103は、勾配微分値情報を、ナビゲーションECU35によって特定された車両の地図上の位置に対応付けて、HDD2の路面情報記憶部22に書き込む。ここで、勾配微分部103は、「勾配微分手段」に相当する。
本実施形態では、勾配検出部102及び勾配微分部103が、それぞれ、過去の1回の走行によって取得された勾配値情報及び勾配微分値情報を、HDD2の路面情報記憶部22に記録する場合について説明するが、勾配検出部102及び勾配微分部103が、過去の複数回の走行によって取得された勾配値情報及び勾配微分値情報を、HDD2の路面情報記憶部22に記録する形態でもよい。この場合には、更に正確な勾配値情報及び勾配微分値情報を路面情報記憶部22に記録することができる。また、この場合には、過去の複数回の走行によって取得された勾配値情報及び勾配微分値情報を、平均化処理等の統計処理を施して路面情報記憶部22に記録することが好ましい。この場合には、更に正確な勾配値情報及び勾配微分値情報を、コンパクトに(勾配値情報及び勾配微分値情報が格納される領域に対応する記憶容量の増大を回避して)路面情報記憶部22に格納することができる。
道路区画部104は、路面情報記憶部22に格納された勾配値情報に基づいて、過去に走行された道路を、勾配値の絶対値が予め設定された閾値未満の区間である平坦区間、上り勾配値が前記閾値以上の区間である上り勾配区間、及び、下り勾配値の絶対値が前記閾値以上の区間である下り勾配区間の3種類の区間に区画する機能部である。また、道路区画部104は、路面情報記憶部22に格納された勾配値情報、及び、勾配微分値情報に基づいて、上り勾配区間の前後、及び、下り勾配区間の前後につなぎ区間を設定する機能部である。ここで、道路区画部104は、「道路区画手段」に相当する。なお、道路区画部104による道路の具体的な区画方法については、図4、図5を参照して後述する。また、道路区画部104は、道路を区画して求めた区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間、つなぎ区間)を示す情報である区間情報を、路面情報記憶部22に書き込むものである。
また、道路区画部104は、平坦区間については、当該区間内における勾配値の平均値である平均勾配値SAを求め、上り勾配区間、及び、下り勾配区間については、その前後に設定されたつなぎ区間を除く区間(以下、「メイン区間」ともいう:図8参照)内における勾配値の平均値ある平均勾配値SAを求め、区間情報と対応付けて、路面情報記憶部22に書き込む。更に、道路区画部104は、3種類の区間ごとの平均車速値VAを求め、区間情報と対応付けて、操作履歴記憶部23に書き込む。
状態設定部105は、道路の勾配値を示す勾配値情報を含む路面情報に基づいて、道路区画部104によって区画された平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間の区間ごとに、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類の制御状態のうち、のいずれか1つの制御状態を設定する機能部である。ここで、状態設定部105は、「状態設定手段」に相当する。具体的には、状態設定部105は、平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間の3種類の区間ごとに、前記勾配値が予め設定された力行判定閾値以上である場合に前記力行制御状態を設定し、前記勾配値が予め設定された抑制判定閾値未満である場合に前記抑制制御状態を設定し、前記勾配値が前記抑制判定閾値以上であって且つ前記力行判定閾値未満である場合に前記惰行制御状態を設定する。
本実施形態では、状態設定部105が、平坦区間、上り勾配区間に含まれるメイン区間、及び、下り勾配区間に含まれるメイン区間の区間ごとに、各区間内における平均勾配値SAに基づいて、制御状態を設定する場合について説明するが、状態設定部105が、平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間の区間ごとに、各区間内における勾配値の平均値に基づいて、制御状態を設定する形態でもよい。この場合には、道路区画部104による処理が簡略化される。
また、力行判定閾値及び抑制判定閾値は、3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間)ごとの平均車速値VAに対応付けて予め設定されている。ここで、区間ごとの平均車速値VAとは、操作履歴記憶部23に格納された過去の走行時の3種類の区間ごとの車速値の平均値である(図13参照)。また、力行判定閾値及び抑制判定閾値と、区間ごとの平均車速値VAとの関係については、図7を用いて後述する。
また、状態設定部105は、道路区画部104によって上り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該上り勾配区間に設定された制御状態と同一の制御状態を設定し、道路区画部104によって下り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該下り勾配区間に設定された制御状態と同一の制御状態を設定する。
本実施形態においては、状態設定部105は、制御情報記憶部24から対応する制御状態を読み出すことによって、制御状態を設定する。すなわち、状態設定部105は、上述のように、過去の走行時に取得され、路面情報記憶部22に格納された勾配値情報、及び、操作履歴記憶部23に格納された車速情報に基づいて、道路区画部104によって区画された区間ごとに、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類の制御状態のうち、のいずれか1つの制御状態を設定する(図3のステップS105参照)。そして、設定された制御状態は、記録部107によって、道路区画部104によって区画された区間情報と対応付けて、制御情報記憶部24に書き込まれる(図3のステップS111参照)。更に、状態設定部105は、パワートレイン5を制御するために用いられる設定制御状態を、制御情報記憶部24から読み出すことによって、設定制御状態を選択する(図15のステップS507参照)。
状態修正部106は、状態設定部105によって設定された制御状態を、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報に基づいて、他の制御状態に修正する機能部である。ここで、状態修正部106は、「状態修正手段」に相当する。
状態修正部106は、状態設定部105によって惰行制御状態が設定されているときに、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、惰行制御状態が設定された区間内での操作履歴が予め設定された抑制修正条件を満たす場合に、惰行制御状態を抑制制御状態に修正する。例えば、惰行制御状態が設定された区間内で、運転者によってブレーキがON状態とされた時間が、予め設定された閾値時間以上である(抑制修正条件に相当する)場合に、状態修正部106は、惰行制御状態を抑制制御状態に修正する(図9、図11参照)。
また、状態修正部106は、状態設定部105によって惰行制御状態が設定されたときに、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、惰行制御状態が設定された区間内での操作履歴が予め設定された力行修正条件を満たす場合に、惰行制御状態を力行制御状態に修正する。例えば、惰行制御状態が設定された区間内で、運転者によってアクセルが踏み込まれた時間が、予め設定された閾値時間以上である(力行修正条件に相当する)場合に、状態修正部106は、惰行制御状態を力行制御状態に修正する(図9、図10参照)。
更に、状態修正部106は、状態設定部105によって抑制制御状態が設定されたときに、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、抑制制御状態が設定された区間内での操作履歴が予め設定された惰行修正条件を満たす場合に、抑制制御状態を惰行制御状態に修正する。例えば、抑制制御状態が設定された区間内で、運転者によってアクセルが踏み込まれた時間が、予め設定された閾値時間以上である(惰行修正条件に相当する)場合に、状態修正部106は、抑制制御状態を惰行制御状態に修正する(図9、図12参照)。
加えて、状態修正部106は、上り勾配区間に設定された制御状態が修正された場合に、当該上り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該上り勾配区間の修正後の制御状態と同一の制御状態に修正し、下り勾配区間に設定された制御状態が修正された場合に、当該下り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該下り勾配区間の修正後の制御状態と同一の制御状態に修正する(図10〜図12参照)。
本実施形態においては、状態修正部106は、制御情報記憶部24から対応する制御状態を読み出すことによって、制御状態を修正する。すなわち、状態修正部106は、道路区画部104によって区画された区間ごとに、上述のように、過去の走行時に取得され、操作履歴記憶部23に格納された操作情報に基づいて、状態設定部105によって設定された制御状態を修正する(図3のステップS109参照)。そして、修正された制御状態は、記録部107によって、道路区画部104によって区画された区間情報と対応付けて、制御情報記憶部24に書き込まれる(図3のステップS111参照)。更に、状態修正部106は、パワートレイン5を制御するために用いられる修正制御状態を、制御情報記憶部24から読み出すことによって、修正制御状態を選択する(図15のステップS503参照)。
記録部107は、過去の車両の走行時に勾配検出部102によって検出された勾配値に基づいて、道路区画部104によって区画された3種類の区間ごとに、それぞれ対応する勾配値情報を、地図情報と対応付けて、路面情報記憶部22に書き込む機能部である。ここで、記録部107は、「記録手段」に相当する。また、記録部107は、道路区画部104によって区画された3種類の区間ごとに、状態設定部105によって設定された制御状態(設定制御状態)、及び、状態修正部106によって修正された制御状態(修正制御状態)を、地図情報と対応付けて、制御情報記憶部24に書き込む。
操作情報取得部108は、車両の走行中に、該車両の運転者によって行われた操作を示す操作情報を、順次取得する機能部である。ここで、操作情報取得部108は、「操作情報取得手段」の一部に相当する。また、操作情報取得部108は、具体的には、アクセルセンサ31から、アクセルペダルの踏み込み量(又は、アクセル開度θ)を示す信号を取得して、対応する情報(以下、「アクセル操作情報」ともいう)を生成し、ブレーキセンサ32から、ブレーキ信号を取得して、対応する情報(以下、「ブレーキ操作情報」ともいう)を生成し、車速センサから車速信号を取得して、対応する情報(以下、「車速情報」ともいう)を生成する。すなわち、操作情報取得部108は、車両の走行中に、操作情報として、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、及び、車速情報を順次取得する。
本実施形態においては、操作情報取得部108が、操作情報として、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、及び、車速情報を取得する場合について説明するが、操作情報取得部108が、アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、及び、車速情報に加えて、ステアリングホイールの回転角を示す操舵角情報を取得する形態でもよい。
状態変更部109は、3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間)ごとに、操作情報取得部108によって取得された操作情報に基づいて、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)を、他の制御状態に変更する機能部である。ここで、状態変更部109は、「状態変更手段」に相当する。
具体的には、状態変更部109は、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が力行制御状態である区間において、操作情報取得部108によって取得された操作情報が予め設定された力行継続条件を満たさない場合に、当該区間内の制御状態を、惰行制御状態に変更する。ここで、力行継続条件は、例えば、アクセルOFFの状態が予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していることである(図16参照)。
また、状態変更部109は、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が抑制制御状態である区間において、操作情報取得部108によって取得された操作情報が予め設定された抑制継続条件を満たさない場合に、当該区間内の制御状態を、惰行制御状態に変更する。ここで、抑制継続条件は、例えば、ブレーキOFFの状態が予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していることである(図16参照)。
また、状態変更部109は、道路区画部104によって、上り勾配区間又は下り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間において、操作情報取得部108によって取得された操作情報に基づいて、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)を、他の制御状態に変更する。
具体的には、状態変更部109は、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が力行制御状態又は惰行制御状態である区間から、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が抑制制御状態である区間までの間のつなぎ区間であって、当該つなぎ区間内で、操作情報取得部108によって取得された操作情報が予め設定された抑制変更条件を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態を、抑制制御状態に変更する。ここで、抑制変更条件は、例えば、ブレーキONの状態が予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していることである(図18参照)。
また、状態変更部109は、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が惰行制御状態又は抑制制御状態である区間から、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が力行制御状態である区間までの間のつなぎ区間であって、当該つなぎ区間内で、操作情報取得部108によって取得された操作情報が予め設定された力行変更条件を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態を、力行制御状態に変更する。ここで、力行変更条件は、例えば、アクセルONの状態が予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していることである(図18参照)。
更に、状態変更部109は、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が力行制御状態又は抑制制御状態である区間から、状態修正部106によって修正された制御状態(又は、状態設定部105によって設定された制御状態)が惰行制御状態である区間までの間のつなぎ区間であって、当該つなぎ区間内で、操作情報取得部108によって取得された操作情報が予め設定された惰行変更条件を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態を、惰行制御状態に変更する。ここで、惰行変更条件は、例えば、ブレーキOFFで且つアクセルOFFの状態が予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していることである(図18参照)。
第1走行制御部111は、状態修正部106によって修正された制御状態(修正制御状態)に基づいて、パワートレイン5を制御する機能部である。ここで、第1走行制御部111は、「第1走行制御手段」に相当する。また、第1走行制御部111は、修正制御状態が、状態変更部109によって変更された場合には、変更後の制御状態に基づいて、パワートレイン5を制御する。
第2走行制御部112は、状態設定部105によって設定された制御状態(設定制御状態)に基づいて、パワートレイン5を制御する機能部である。ここで、第2走行制御部112は、「第2走行制御手段」に相当する。また、第2走行制御部112は、設定制御状態が、状態変更部109によって変更された場合には、変更後の制御状態に基づいて、パワートレイン5を制御する。
制御切換部110は、予め設定された制御切換条件を満たす場合に、第1走行制御部111による制御から第2走行制御部112による制御に切り換える機能部である。ここで、制御切換部110は、「制御切換手段」に相当する。また、制御切換条件は、例えば、状態変更部109によって変更された制御状態で走行している時間の、状態修正部106によって修正された制御状態で走行している時間に対する比率が、予め設定された閾値比率以上であることである(図15参照)。
このようにして、第1走行制御部111によって(状態修正部106によって修正された制御状態に基づいて)パワートレイン5が制御される場合には、道路の勾配値Sを示す勾配値情報を含む路面情報、及び、運転者によって行われた操作を示す操作情報である操作履歴情報に基づいて、パワートレイン5が制御されるため、運転者自身が行った過去の操作に適合したパワートレインの制御を行うことができるので、運転者の違和感を軽減することができる。
−操作履歴情報に基づく処理(前処理)−
以下、図1、図3〜図13を参照して、過去の走行時の操作情報である操作履歴情報に基づいて、図1に示す車両走行制御装置100が、区間情報、勾配値情報、制御情報等を生成して記録する処理について説明する。図3は、図1に示す車両走行制御装置100が、区間情報、勾配値情報、制御情報等を生成して記録する動作の一例を示すフローチャートである。まず、図3を参照して、区間情報、勾配値情報、制御情報等を生成して記録する動作を説明する。なお、図3に示すフローチャートでは、便宜上、路面情報記憶部22には、勾配検出部102によって検出された勾配値S、及び、勾配微分部103によって算出された勾配微分値ΔSが予め記録され、操作履歴記憶部23には、操作検出部101によって検出された操作履歴情報が予め記録されている場合について説明する。また、図3に示す処理は、図14のフローチャートに示す処理に先立って行われる前処理である。
まず、ステップS101において、道路区画部104によって、道路を平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間、及び、つなぎ区間に区画するための勾配種別等が決定される。ここで、勾配種別は、勾配検出部102に検出された勾配値S、及び、勾配微分部103によって算出された勾配微分値ΔSに基づいて、図4に示す7種類に分類される。
図4は、図3に示すフローチャートのステップS101において、道路を平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間、及び、つなぎ区間に規定する勾配種別の一例を示す図表である。図4に示す図表において、上側の行から順に、道路の高低変化の形態を模式的に示す図、勾配種別、勾配検出部102に検出された勾配値S、勾配微分部103によって算出された勾配微分値ΔS、及び、勾配種別を示す番号(以下、「勾配種別番号」ともいう)Nである。ここで、勾配値Sが「0」は、平坦であることを示し、勾配値Sが「+」は、上り勾配であることを示し、勾配値Sが「−」は、下り勾配であることを示している。また、勾配微分値ΔSが「0」は、勾配値Sの変化がないことを示し、勾配値Sが「+」は、道路の高低変化が下に凸であることを示し、勾配微分値ΔSが「−」は、道路の高低変化が上に凸であることを示している。
また、図4に示すように、平坦区間には、勾配種別番号Nとして「5」が設定され、上り勾配区間のうち、上り始めのつなぎ区間には、勾配種別番号Nとして「6」が設定され、メイン区間には、勾配種別番号Nとして「7」が設定され、上り終りのつなぎ区間には、勾配種別番号Nとして「8」が設定されている。更に、下り勾配区間のうち、下り始めのつなぎ区間には、勾配種別番号Nとして「4」が設定され、メイン区間には、勾配種別番号Nとして「3」が設定され、下り終りのつなぎ区間には、勾配種別番号Nとして「2」が設定されている。
図4に示すように、道路が7つの勾配種別に区分されるが、勾配検出部102に検出された勾配値S、勾配微分部103によって算出された勾配微分値ΔSに基づいて、単純に、図4に示す7つの勾配種別に区分すると、車両の振動、道路の凹凸等に基づいて、道路が不適切な程に細かい区分に区画されてしまうため、道路区画部104は、図5を用いて以下に説明する処理を実行することによって、道路を区画する。
図5は、図3に示すフローチャートのステップS101において実行され、道路を図4に示す7つの勾配種別に区画する処理の一例を規定する状態遷移図である。図5には、図4に示す7つの勾配種別番号N(N=2〜8)に、それぞれ対応する状態STN(N=2〜8)が表記されている。そして、状態STN間に、遷移することを示す矢印と、遷移するために満たすべき条件である遷移条件が記載されている。ここで、矢印には、太線で示す矢印と、太線ではない(細線の)矢印とが記載されている。太線で示す矢印は、当該矢印で示す遷移が発生した地図上の地点が、道路区画部104によって3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)の境界地点であると判定される地点(図8の高さHのグラフにおける◇印が記載された地点)であることを示している。一方、太線ではない(細線の)矢印は、道路区画部104によって3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)の境界地点であるとは判定されない地点であることを示している。
例えば、前回の状態が状態ST5(勾配種別=平坦)である場合には、今回の勾配値Sが、予め設定された閾値S_out_max(例えば、2%)より大きく、且つ、今回の勾配微分値ΔSが、予め設定された閾値ΔS_out_max(例えば、10m当り0.12%)より大きい場合に、状態ST6(勾配種別=上り始めのつなぎ区間)へ遷移する。この場合の矢印は、太線で示す矢印であるため、矢印で示す遷移が発生した地図上の地点が、道路区画部104によって、平坦区間と上り勾配区間との境界と判定される地点であることを示している。
また、例えば、前回の状態が状態ST6(勾配種別=上り始めのつなぎ区間)である場合には、今回の勾配値Sが、予め設定された閾値S_in_max(例えば、1.5%)より大きく、且つ、今回の勾配微分値ΔSが、予め設定された閾値ΔS_in_max(例えば、10m当り0.1%)より小さい場合に、状態ST7(勾配種別=上り勾配区間のメイン区間)へ遷移する。この場合の矢印は、太線で示す矢印ではないため、矢印で示す遷移が発生した地図上の地点が、道路区画部104によって、区間の境界とは判定されない地点であることを示している。
更に、例えば、前回の状態が状態ST7(勾配種別=上り勾配区間のメイン区間)である場合には、今回の勾配値Sが、予め設定された閾値S_in_max(例えば、1.5%)より大きく、且つ、今回の勾配微分値ΔSが、予め設定された閾値ΔS_out_min(例えば、10m当り−0.12%)より小さい場合に、状態ST8(勾配種別=上り終りのつなぎ区間)へ遷移する。この場合の矢印は、太線で示す矢印ではないため、矢印で示す遷移が発生した地図上の地点が、道路区画部104によって、区間の境界とは判定されない地点であることを示している。
また、例えば、前回の状態が状態ST8(勾配種別=上り終りのつなぎ区間)である場合には、今回の勾配値Sが、予め設定された閾値S_in_max(例えば、1.5%)より小さい場合に、状態ST5(勾配種別=平坦区間)へ遷移する。この場合の矢印は、太線で示す矢印であるため、矢印で示す遷移が発生した地図上の地点が、道路区画部104によって、上り勾配区間と平坦区間との境界であると判定される地点であることを示している。
このようにして、図5に示す状態遷移図に基づいて、道路区画部104によって7つの状態STNに区画されると共に、3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)の境界地点が求められる。
また、図5に示す8つの閾値の一例を下記に示す。
(S_out_max)=2.0%
(S_out_min)=−2.0%
(S_in_max)=1.5%
(S_in_min)=−1.5%
(ΔS_out_max)=(10m当り0.12%)
(ΔS_out_min)=(10m当り−0.12%)
(ΔS_in_max)=(10m当り0.1%)
(ΔS_in_min)=(10m当り−0.1%)
ここで、上記8つの閾値は、道路区画部104による区画処理の際に、状態STN間でのチャタリングの発生を防止するべく設定されている。例えば、状態ST6から状態ST7へ遷移するための勾配微分値ΔSの遷移条件は、閾値S_in_max(例えば、1.5%)より大きいことであるのに対して、状態ST7から状態ST6へ遷移するための勾配微分値ΔSの遷移条件は、閾値S_out_max(例えば、2.0%)より大きいことである。すなわち、一旦遷移すると遷移先の状態に維持されるように、上記8つの閾値が設定されているのである。すなわち、上記8つの閾値は、いわゆるヒステリシス状に遷移するべく設定されているのである。
再び、図3に示すフローチャートに戻って、車両走行制御装置100が、区間情報、勾配値情報、制御情報等を生成して記録する処理について説明する。ステップS103において、道路区画部104によって、境界地点の地図上の位置から、道路が3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)に区画される。また、道路区画部104によって、道路を区画して求めた区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)を示す情報である区間情報が、路面情報記憶部22に書き込まれる。更に、道路区画部104によって、3種類の区間ごとの平均勾配値SAが求められ、区間情報と対応付けて、路面情報記憶部22に書き込まれる。加えて、道路区画部104によって、3種類の区間ごとの平均車速値VAが求められ、区間情報と対応付けて、操作履歴記憶部23に書き込まれる。
次に、ステップS105において、状態設定部105によって、上記3種類の区間ごとの勾配値情報に基づいて、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類の制御状態のうち、のいずれか1つの制御状態を設定する処理である制御状態設定処理が実行される。なお、上記制御状態設定処理の詳細について、図6、図7を参照して後述する。
そして、ステップS105において、状態修正部106によって、上記3種類の区間ごとに、対応する操作履歴情報が操作履歴記憶部23から読み出される。次いで、ステップS109において、状態修正部106によって、ステップS107で読み出された操作履歴情報に基づいて、上記3種類の区間ごとに、ステップS105において設定された制御状態を、他の制御状態に修正する処理である制御状態修正処理が実行される。なお、上記制御状態修正処理の詳細について、図9〜図12を参照して後述する。
次に、ステップS111において、記録部107によって、上記3種類の区間ごとに、ステップS105で設定された制御状態を示す情報(設定制御状態情報)、及び、ステップS109で修正された制御状態を示す情報(修正制御状態情報)等が、制御情報記憶部24に書き込まれ、処理が終了される。なお、制御情報記憶部24に書き込まれた設定制御状態情報、修正制御状態情報等の一例については、図13を用いて後述する。
このようにして、過去の車両の走行時に検出された勾配値Sに基づいて、走行中の道路が平坦区間、上り勾配区間、及び、下り勾配区間の3種類の区間に区画され、区画された3種類の区間ごとに、それぞれ対応する勾配値情報が、路面情報記憶部22に書き込まれるため、ナビゲーションシステム等で使用される地図情報に含まれている勾配値情報よりも詳細な勾配値情報に基づいて前記3種類の区間に区画することができるので、前記3種類の区間に正確に且つ細かく区画することができる。したがって、正確に且つ細かく区画された区間ごとの修正制御状態に基づいてパワートレイン5が制御されるため、運転者の違和感を更に軽減することができる。
また、前記3種類の区間ごとの設定制御状態及び修正制御状態が、制御情報記憶部24に予め書き込まれているため、図15を用いて後述するように、制御情報記憶部24から、現在走行中の区間に対応する設定制御状態が読み出されることによって、設定制御状態が設定され、同様にして修正制御状態に修正されるので、簡素な構成で迅速に制御状態を設定すると共に修正することができる(図15のステップS503、ステップS507参照)。
図6は、図3に示すフローチャートのステップS105において実行され、制御状態を設定する処理である制御状態設定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て、状態設定部105によって実行される。また、以下の処理は、道路区画部104によって区画された3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)ごとに実行される。
まず、ステップS201において、道路区画部104によって区画された3種類の区間のうち、いずれか1つの区間が選択され、当該区間内の平均勾配値SAが、路面情報記憶部22から読み出され、予め設定された力行判定閾値SH1以上であるか否かの判定が行われる。ステップS201でYESの場合には、処理がステップS203に進められ、ステップS201でNOの場合には、処理がステップS205に進められる。
ステップS203において、当該区間の制御状態が「力行制御状態」に設定され、処理がステップS211に進められる。ステップS205において、区間内の平均勾配値SAが、予め設定された抑制判定閾値SH2未満であるか否かの判定が行われる。ステップS205でYESの場合には、処理がステップS207に進められ、ステップS205でNOの場合には、処理がステップS209に進められる。
ステップS207において、当該区間の制御状態が「抑制制御状態」に設定され、処理がステップS211に進められる。ステップS209において、当該区間の制御状態が「惰行制御状態」に設定され、処理がステップS211に進められる。
ステップS211において、全区間について、制御状態の設定処理が終了したか否かの判定が行われる。ステップS211でYESの場合には、処理が図3に示すフローチャートのステップS107に進められ、ステップS211でNOの場合には、処理がステップS201に戻され、ステップS201以降の処理が繰り返し実行される。
このようにして、道路区画部104によって区画された3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)ごとに、状態設定部105によって、各区間の平均勾配値SAと、予め設定された力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2との大小関係に基づいて、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類の制御状態のうち、のいずれか1つの制御状態が設定される。したがって、力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2を適正な値に設定することによって、簡素な構成で適正な制御状態を設定することができる。
本実施形態においては、状態設定部105が、3種類の区間ごとの平均勾配値SAに基づいて、制御状態を設定する場合について説明するが、状態設定部105が、3種類の区間ごとの最大勾配値又は最小勾配値に基づいて、制御状態を設定する形態でもよい。
図7は、図6に示す制御状態設定処理において使用する力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2の一例を示すグラフである。図7に示すグラフの縦軸は、区間内の平均勾配値SAであって、横軸は区間内の平均車速値VAである。グラフG1は、力行判定閾値SH1を示すグラフであり、グラフG2は、抑制判定閾値SH2を示すグラフである。本実施形態においては、力行判定閾値SH1を規定するグラフG1は、アクセル開度θが10%の状態での加速度曲線(加速度が「0」の曲線)である。また、抑制判定閾値SH2を規定するグラフG2は、アクセル開度θが0%の状態での加速度曲線(加速度が「0」の曲線)である。グラフG1の上方の領域が、力行制御状態に設定される領域A1であり、グラフG1とグラフG2とで挟まれた領域が、惰行制御状態に設定される領域A2であり、グラフG2の下方の領域が、抑制制御状態に設定される領域A3である。
グラフG1に示すアクセル開度θが10%の状態での加速度曲線は、車速が大きくなる程(ここでは、平均車速値VAが大きくなる程)、空気抵抗、路面抵抗が大きくなるため、右下がりの曲線となる。同様にして、グラフG2に示すアクセル開度θが0%の状態での加速度曲線も、右下がりの曲線となる。更に、グラフG2に示すアクセル開度θが0%の状態での加速度曲線では、低速走行状態(例えば、5km/hr以下)では、クリープ現象によって車両に駆動力が作用して、車両に加速度が付与されるため、急峻な右下がりの曲線となっている。
このようにして、力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2が、道路区画部104によって区画された3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)ごとの平均速度値VAに対応付けて予め設定されているため、力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2を適正な値に設定することができるので、更に適正な制御状態を設定することができる。
本実施形態では、図7に示すように、力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2が、3種類の区間ごとの平均速度値VAに対応付けて予め設定されている場合について説明するが、力行判定閾値SH1及び抑制判定閾値SH2が、固定値として予め設定されている形態(例えば、力行判定閾値SH1が、3.5%に予め設定され、抑制判定閾値SH2が、−5%に予め設定されている形態)でもよい。この場合には、状態設定部105による制御状態設定処理が簡略化される。
図8は、図5に示す状態遷移図に基づいて実行される道路の区画処理の結果、及び、図6に示す制御状態設定処理において設定された制御状態の一例を示す説明図である。図の横軸は、距離Dであって、縦軸は、上側から順に、道路の高さ(高度)H、勾配値S、勾配微分値ΔS、勾配種別番号N、区間、及び、設定制御状態である。なお、高さHの変化を示すグラフ上の◇印は、区間の境界地点を示すものであり、勾配値Sの変化を示すグラフ上の●印は、つなぎ区間とメイン区間との境界を示すものであり、勾配種別番号Nの変化を示すグラフ上の★印は、勾配種別番号Nが変化する地点を示すものである。
まず、地点D1において、勾配値Sは「0」であり、勾配微分値ΔSも「0」であるため、勾配種別番号Nが平坦区間を示す「5」に設定される。次に、地点D2において、勾配値Sが「+」に変化すると共に、勾配微分値ΔSが「+」に変化するため、勾配種別番号Nが上り始めのつなぎ区間を示す「6」に設定される。そして、地点D3において、勾配値Sが「+」のままで、勾配微分値ΔSが「0」に変化するため、勾配種別番号Nが上り勾配区間のメイン区間を示す「7」に設定される。次いで、地点D4において、勾配値Sが「+」のままで、勾配微分値ΔSが「−」に変化するため、勾配種別番号Nが上り終りのつなぎ区間を示す「8」に設定される。
そして、地点D5において、勾配値Sは「0」に変化し、勾配微分値ΔSも「0」に変化するため、勾配種別番号Nが平坦区間を示す「5」に設定される。次に、地点D6において、勾配値Sが「−」に変化すると共に、勾配微分値ΔSも「−」に変化するため、勾配種別番号Nが下り始めのつなぎ区間を示す「4」に設定される。そして、地点D7において、勾配値Sが「−」のままで、勾配微分値ΔSが「0」に変化するため、勾配種別番号Nが下り勾配区間のメイン区間を示す「3」に設定される。次いで、地点D8において、勾配値Sが「−」のままで、勾配微分値ΔSが「+」に変化するため、勾配種別番号Nが下り終りのつなぎ区間を示す「2」に設定される。
そして、地点D9において、勾配値Sが「0」に変化し、勾配微分値ΔSも「0」に変化するため、勾配種別番号Nが平坦区間を示す「5」に設定される。次に、地点D10において、勾配値Sが「−」に変化すると共に、勾配微分値ΔSも「−」に変化するため、勾配種別番号Nが下り始めのつなぎ区間を示す「4」に設定される。そして、地点D11において、勾配値Sが「−」のままで、勾配微分値ΔSが「0」に変化するため、勾配種別番号Nが下り勾配区間のメイン区間を示す「3」に設定される。次いで、地点D12において、勾配値Sが「−」のままで、勾配微分値ΔSが「+」に変化するため、勾配種別番号Nが下り終りのつなぎ区間を示す「2」に設定される。そして、地点D13において、勾配値Sが「0」に変化し、勾配微分値ΔSも「0」に変化するため、勾配種別番号Nが平坦区間を示す「5」に設定される。
このようにして、道路区画部104によって、以下のように区画される。地点D1から地点D2までの区間、及び、地点D5から地点D6までが平坦区間に区画される。また、地点D2から地点D5までの区間が上り勾配区間に区画され、そのうち、地点D3から地点D4までの区間がメイン区間に区画される。更に、地点D6から地点D9までの区間、及び、地点D10から地点D13までの区間が下り勾配区間に区画され、そのうち、地点D7から地点D8までの区間、及び、地点D11から地点D12までの区間がメイン区間に区画される。
なお、図8には、便宜上、車速は記載されていないが、ここでは、上り勾配区間の平均勾配値SAが、図7にて規定される力行判定閾値SH1以上であるとして、上り勾配区間に対して状態設定部105によって「力行制御状態」が設定されている。同様にして、下り勾配区間の平均勾配値SAが、図7にて規定される抑制判定閾値SH2未満であるとして、下り勾配区間に対して、状態設定部105によって「抑制制御状態」が設定されている。また、平坦区間の平均勾配値SAが、図7にて規定される力行判定閾値SH1未満、且つ、抑制判定閾値SH2以上であるとして、平坦区間に対して、状態設定部105によって「惰行制御状態」が設定されている。
このようにして、過去の車両の走行時に検出された勾配値S、及び、勾配値Sから算出された勾配微分値ΔSに基づいて、上り勾配区間の前後、及び、下り勾配区間の前後につなぎ区間が設定され、設定された区間に対して、設定制御状態が設定されるため、前記3種類の区間に加えてつなぎ区間を区画することができるので、道路を更に細かく区画することができる。したがって、更に細かく区画された区間ごとの制御状態(設定制御状態、又は、修正制御状態)に基づいてパワートレイン5が制御されるため、運転者の違和感を更に軽減することができる。
また、上り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該上り勾配区間の設定制御状態と同一の制御状態が設定され、下り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該下り勾配区間の設定制御状態と同一の制御状態が設定され、同様にして、修正制御状態に修正されるため、つなぎ区間の設定制御状態及び修正制御状態を簡素な構成で適正に決定することができる。
本実施形態では、状態設定部105が、上り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該上り勾配区間の設定制御状態と同一の制御状態を設定し、下り勾配区間の前後に設定されたつなぎ区間に、当該下り勾配区間の設定制御状態と同一の制御状態を設定する場合について説明したが、状態設定部105が、つなぎ区間にその他の方法で、制御状態を設定する形態でもよい。例えば、状態設定部105が、つなぎ区間に、当該つなぎ区間の直後の(車両進行方向に後続する)区間に設定された設定制御状態と同一の制御状態を設定する形態でもよい。この場合には、3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)に設定された設定制御状態が、それぞれ、車両進行方向の反対側に拡張されるべく、つなぎ区間の設定制御状態が設定されるため、早めにパワートレイン5の制御状態が変更されることになるので、つなぎ区間に更に適正な制御状態を設定することができる可能性がある。
図9は、図3に示すフローチャートのステップS109において実行され、制御状態を修正する処理である制御状態修正処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て、状態修正部106によって実行される。また、以下の処理は、道路区画部104によって区画された3種類の区間(平坦区間、上り勾配区間、下り勾配区間)ごとに実行される。
まず、ステップS301において、道路区画部104によって区画された3種類の区間のうち、いずれか1つの区間が選択され、当該区間の設定制御状態が「惰行制御状態」であるか否かの判定が行われる。ステップS301でYESの場合には、処理がステップS303に進められ、ステップS301においてNOの場合には、処理がステップS311に進められる。
ステップS303において、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、当該区間内の操作履歴情報が、予め設定された「抑制修正条件」を満たすか否かの判定が行われる。ここでは、「抑制修正条件」は、例えば、当該区間内において、ブレーキがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率であるブレーキON時間比率が、予め設定された閾値比率(例えば、10%)より大であるとの条件である。ステップS303でYESの場合には、処理がステップS305に進められ、ステップS303においてNOの場合には、処理がステップS307に進められる。
ステップS305において、制御状態が、「惰行制御状態」から「抑制制御状態」に修正され、処理がステップS319に進められる。
ステップS307において、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、当該区間内の操作履歴情報が、予め設定された「力行修正条件」を満たすか否かの判定が行われる。ここでは、「力行修正条件」は、例えば、当該区間内において、アクセルがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率であるアクセルON時間比率が、予め設定された閾値比率(例えば、50%)より大であって、且つ、アクセル開度θの区間内の平均値である平均アクセル開度θAが、予め設定された閾値開度(例えば、10%)より大であるとの条件である。ステップS307でYESの場合には、処理がステップS309に進められ、ステップS307においてNOの場合には、処理がステップS315に進められる。
ステップS309において、制御状態が、「惰行制御状態」から「力行制御状態」に修正され、処理がステップS319に進められる。
ステップS311において、当該区間の設定制御状態が「抑制制御状態」であるか否かの判定が行われる。ステップS311でYESの場合には、処理がステップS313に進められ、ステップS311においてNOの場合には、処理がステップS315に進められる。
ステップS313において、操作履歴記憶部23に格納された操作履歴情報のうち、当該区間内の操作履歴情報が、予め設定された「惰行修正条件」を満たすか否かの判定が行われる。ここでは、「惰行修正条件」は、例えば、当該区間内において、アクセルがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率であるアクセルON時間比率が、予め設定された閾値比率(例えば、20%)より大であって、且つ、アクセル開度θの区間内の平均値である平均アクセル開度θAが、予め設定された閾値開度(例えば、5%)より大であるとの条件である。ステップS313でYESの場合には、処理がステップS317に進められ、ステップS313においてNOの場合には、処理がステップS315に進められる。
ステップS315において、設定制御状態が修正されずに維持され、処理がステップS319に進められる。ステップS317において、制御状態が、「抑制制御状態」から「惰行制御状態」に修正され、処理がステップS319に進められる。
ステップS319において、道路区画部104によって区画された全ての区間について、制御状態の修正処理が終了したか否かの判定が行われる。ステップS319でYESの場合には、処理が図3に示すフローチャートのステップS111に進められ、ステップS319でNOの場合には、処理がステップS301に戻され、ステップS301以降の処理が繰り返し実行される。
図10〜図12は、図9に示す制御状態修正処理の具体例を示す説明図である。図10は、「惰行制御状態」から「力行制御状態」に修正される場合の一例を示す説明図である。図の横軸は、距離Dであって、縦軸は、上側から順に、道路の高さ(高度)H、アクセル開度θ、設定制御状態、及び、修正制御状態である。
ここでは、地点D20から地点D21までの区間は、道路区画部104によって上り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「力行制御状態」が設定されている。また、地点D21から地点D22までの区間は、道路区画部104によって平坦区間として区画され、状態設定部105によって「惰行制御状態」が設定されている。更に、地点D22以降の区間は、道路区画部104によっての上り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「力行制御状態」が設定されている。
また、図2を用いて上述のように、変速機ECU42は、走行制御ECU1から力行制御状態が入力される場合には、走行制御ECU1から惰行制御状態が入力される場合と比較して、変速線(アップシフト変速線)を高車速側にシフトする。よって、図10に示すように、「力行制御状態」が設定された区間の後の「惰行制御状態」が設定された区間では、アップシフト変速線が低車速側にシフトするため、アップシフトする可能性がある。そして、アップシフトすると、「惰行制御状態」が設定された区間の後の「力行制御状態」が設定された区間において、アップシフト変速線が高車速側にシフトしても、ダウンシフト変速線は変化しないため、ギア比が大きい状態となり、「力行制御状態」が設定された区間(上り勾配区間)において充分なトルクが得られない虞がある。
一方、運転者は、前方に上り勾配区間があると、平坦区間においてもアクセル開度θを図10に示すように例えば、15%以上の状態に維持する操作を行う場合がある。このような場合には、図9に示すフローチャートのステップS307において説明した「力行修正条件」を満たすと判定され、状態修正部106によって、制御状態が、「惰行制御状態」から「力行制御状態」に修正される。
このようにして、「惰行制御状態」が設定された区間内での操作履歴が予め設定された「力行修正条件」を満たす場合に、「惰行制御状態」が「力行制御状態」に修正されるため、適正な制御状態に修正する(上記平坦区間でのアップシフトの発生を防止する)ことができる。
本実施形態では、力行修正条件が、アクセルON時間比率及び平均アクセル開度θAによって規定されている場合について説明したが、力行修正条件が、その他の操作条件によって規定されている形態でもよい。例えば、力行修正条件が、アクセルON時間比率又は平均アクセル開度θAによって規定されている形態でもよい。この場合には、力行修正条件を満たすか否かの判定処理が簡略化される。また、例えば、力行修正条件が、アクセルON時間比率及び平均アクセル開度θAに加えて、ブレーキON時間比率(ブレーキがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率)によって規定されている形態(例えば、ブレーキON時間比率=「0」との条件が付加されている形態)でもよい。この場合には、更に適正な制御状態に修正することができる。
図11は、「惰行制御状態」から「抑制制御状態」に修正される場合の一例を示す説明図である。図の横軸は、距離Dであって、縦軸は、上側から順に、道路の高さ(高度)H、ブレーキのON/OFF、設定制御状態、及び、修正制御状態である。
ここでは、地点D30から地点D31までの区間は、道路区画部104によって下り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「抑制制御状態」が設定されている。また、地点D31から地点D32までの区間は、道路区画部104によって平坦区間として区画され、状態設定部105によって「惰行制御状態」が設定されている。更に、地点D32以降の区間は、道路区画部104によって下り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「抑制制御状態」が設定されている。
また、図2を用いて上述のように、変速機ECU42は、走行制御ECU1から抑制制御状態が入力される場合には、走行制御ECU1から惰行制御状態が入力される場合と比較して、変速線(ダウンシフト変速線)を高車速側にシフトする。よって、図11に示すように、「抑制制御状態」が設定された区間の後の「惰行制御状態」が設定された区間では、ダウンシフト変速線が低車速側にシフトするため、アップシフトする可能性がある。そして、アップシフトすると、「惰行制御状態」が設定された区間の後の「抑制制御状態」が設定された区間において、ダウンシフト変速線が高車速側にシフトしても、ギア比が小さい状態が維持され、「抑制制御状態」が設定された区間(下り勾配区間)において充分なエンジンブレーキが得られない虞がある。
一方、運転者は、前方に下り勾配区間があると、平坦区間においてもブレーキを図10に示すようにONする操作を行う場合がある。このような場合には、図9に示すフローチャートのステップS303において説明した「抑制修正条件」を満たすと判定され、状態修正部106によって、制御状態が、「惰行制御状態」から「抑制制御状態」に修正される。
このようにして、「惰行制御状態」が設定された区間内での操作履歴が予め設定された「抑制修正条件」を満たす場合に、「惰行制御状態」が「抑制制御状態」に修正されるため、適正な制御状態に修正する(上記平坦区間でのアップシフトの発生を防止する)ことができる。
本実施形態では、抑制修正条件が、ブレーキON時間比率によって規定されている場合について説明したが、抑制修正条件が、その他の操作条件によって規定されている形態でもよい。例えば、抑制修正条件が、ブレーキON時間比率に加えて、アクセルON時間比率(アクセルがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率)によって規定されている形態(例えば、アクセルON時間比率=「0」との条件が付加されている形態)でもよい。この場合には、更に適正な制御状態に修正することができる。
図12は、「抑制制御状態」から「惰行制御状態」に修正される場合の一例を示す説明図である。図の横軸は、距離Dであって、縦軸は、上側から順に、道路の高さ(高度)H、アクセル開度θ、設定制御状態、及び、修正制御状態である。
ここでは、地点D40から地点D41までの区間は、道路区画部104によって下り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「抑制制御状態」が設定されている。また、地点D41から地点D42までの区間は、道路区画部104によって下り勾配区間として区画され、状態設定部105によって「抑制制御状態」が設定されている。更に、地点D42以降の区間は、道路区画部104によって平坦区間として区画され、状態設定部105によって「惰行制御状態」が設定されている。
また、図2を用いて上述のように、変速機ECU42は、走行制御ECU1から抑制制御状態が入力される場合には、走行制御ECU1から惰行制御状態が入力される場合と比較して、変速線(ダウンシフト変速線)を高車速側にシフトする。よって、図12に示すように、「抑制制御状態」が設定された区間の後の「抑制制御状態」が設定された区間では、ダウンシフト変速線が低車速側にシフトした状態が維持されるため、ダウンシフトする可能性がある。そして、ダウンシフトすると、「抑制制御状態」が設定された区間の後の「惰行制御状態」が設定された区間において、ダウンシフト変速線が高車速側にシフトしても、アップシフト変速線は変化しないため、ギア比が大きい状態となり、「惰行制御状態」が設定された区間(平坦区間)において燃費が悪化する虞がある。
一方、運転者は、前方に平坦区間があると、下り勾配区間においてもアクセル開度θを図12に示すように例えば、5%以上の状態に変更する操作を行う場合がある。このような場合には、図9に示すフローチャートのステップS313において説明した「惰行修正条件」を満たすと判定され、状態修正部106によって、制御状態が、「抑制制御状態」から「惰行制御状態」に修正される。
このようにして、「抑制制御状態」が設定された区間内での操作履歴が予め設定された「惰行修正条件」を満たす場合に、「抑制制御状態」が「惰行制御状態」に修正されるため、適正な制御状態に修正する(上記下り勾配区間でのダウンシフトの発生を防止する)ことができる。
本実施形態では、惰行修正条件が、アクセルON時間比率及び平均アクセル開度θAによって規定されている場合について説明したが、惰行修正条件が、その他の操作条件によって規定されている形態でもよい。例えば、惰行修正条件が、アクセルON時間比率又は平均アクセル開度θAによって規定されている形態でもよい。この場合には、惰行修正条件を満たすか否かの判定処理が簡略化される。また、例えば、惰行修正条件が、アクセルON時間比率及び平均アクセル開度θAに加えて、ブレーキON時間比率(ブレーキがONされた時間の区間全体の走行時間に対する比率)によって規定されている形態(例えば、ブレーキON時間比率=「0」との条件が付加されている形態)でもよい。この場合には、更に適正な制御状態に修正することができる。
図13は、図3に示すフローチャートによってHDD2に記録された情報の一例を示す図表である。図13において、上側の行から順に、区間情報、路面情報、操作履歴情報、及び、制御状態情報である。区間情報は、道路区画部104によって生成され、路面情報記憶部22に格納された情報であって、区間ID情報、開始地点ID情報、終了地点ID情報、区間距離情報、及び、区間の種類識別情報を含んでいる。
区間ID情報は、区間を識別する情報である。開始地点ID情報は、区間IDに対応する区間の開始地点を識別する情報であって、地図情報に含まれる道路上の1つの地点を識別可能に設定された情報である。終了地点ID情報は、区間IDに対応する区間の終了地点を識別する情報であって、地図情報に含まれる道路上の1つの地点を識別可能に設定された情報である。区間距離情報は、区間IDに対応する区間の道路に沿った距離を示す情報である。区間の種類識別情報は、上り勾配区間、平坦区間、下り勾配区間の3種類の区間のうち、いずれか1つを示す情報である。
路面情報は、道路区画部104によって生成され、路面情報記憶部22に格納された情報であって、メイン区間の後方側のつなぎ区間に関する情報(以下、後方側つなぎ区間情報という)と、メイン区間に関する情報(以下、メイン区間情報ともいう)と、メイン区間の前方側のつなぎ区間に関する情報(以下、前方側つなぎ区間情報ともいう)とを含んでいる。後方側つなぎ区間情報、メイン区間情報、及び、前方側つなぎ区間情報は、それぞれ、区間に含まれる距離を示す情報、及び、区間内の平均勾配値を示す情報を含んでいる。
操作履歴情報は、道路区画部104によって生成され、操作履歴記憶部23に格納された情報であって、運転者ごとに区分されて、区間初速度情報、区間終速度情報、区間内最高速度情報、区間内最低速度情報、区間内平均速度情報、区間内平均アクセル開度情報、区間内アクセルON時間比率情報、及び、区間内ブレーキON時間比率情報を含んでいる。図13では、運転者が、ドライバA、ドライバBの二人である場合について記載しているが、運転者が、3人以上である形態でもよい。
区間初速度情報は、上り勾配区間、平坦区間、下り勾配区間の3種類の区間において、その始点位置における車速を示す情報である。区間終速度情報は、上記3種類の区間において、その終点位置における車速を示す情報である。区間内最高速度情報は、上記3種類の区間において、その区間内の最高速度を示す情報である。区間内最低速度情報は、上記3種類の区間において、その区間内の最低速度を示す情報である。区間内平均速度情報は、上記3種類の区間において、その区間内の平均速度を示す情報である。区間内平均アクセル開度情報は、上記3種類の区間において、アクセル開度θの平均値を示す情報である。区間内アクセルON時間比率情報は、上記3種類の区間において、アクセルがONされている走行時間の、区間全体の走行時間に対する比率を示す情報である。区間内ブレーキON時間比率情報は、上記3種類の区間において、ブレーキがONされている走行時間の、区間全体の走行時間に対する比率を示す情報である。
制御状態情報は、状態設定部105及び状態修正部106によって生成され、記録部107によって、制御情報記憶部24に書き込まれる情報であって、設定制御状態情報、及び、修正制御状態情報を含んでいる。設定制御状態情報は、状態設定部105によって設定された制御状態であって、力行制御状態、抑制制御状態及び惰行制御状態のうち、いずれか1つの制御状態を示す情報である。修正制御状態情報は、状態修正部106によって修正された制御状態であって、力行制御状態、抑制制御状態及び惰行制御状態のうち、いずれか1つの制御状態を示す情報である。なお、修正制御状態情報は、運転者ごとの操作履歴情報に基づいて状態修正部106によって修正されるため、運転者ごとに(ここでは、ドライバA用、ドライバB用として)記憶されている。
−操作情報に基づく処理−
以下、図2、図14〜図19を参照して、図2に示す車両走行制御装置100が、走行中の操作情報に基づいて、出力ECU4に対して出力する制御状態を選択する処理について説明する。図14は、図2に示す車両走行制御装置100が、出力ECU4に対して出力する制御状態を選択する処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS401において、制御切換部110によって、第1走行制御部111による制御、及び、第2走行制御部112による制御のいずれか一方を選択する処理である制御切換処理が実行される。第1走行制御部111による制御が選択された場合には、設定制御部105によって設定された制御状態(設定制御状態)に基づいて、パワートレイン5が制御され、第2走行制御部112による制御が選択された場合には、状態修正部106によって修正された制御状態(修正制御状態)に基づいて、パワートレイン5が制御される。なお、制御切換処理の具体的内容については、図15を参照して後述する。
次に、ステップS403において、操作情報取得部108によって、走行中の操作情報(アクセル操作情報、ブレーキ操作情報、車速情報等)が順次取得される。
そして、ステップS405において、状態変更部109によって、道路区画部104により区画された3種類の区間(上り勾配区間、下り勾配区間、及び、平坦区間)ごとに、区間内の制御状態を変更する処理である制御状態変更処理Aが実行される。なお、制御状態変更処理Aの具体的内容については、図16、図17を参照して後述する。
次いで、ステップS407において、状態変更部109によって、道路区画部104により区画されたつなぎ区間ごとに、つなぎ区間内の制御状態を変更する処理である制御状態変更処理Bが実行される。なお、制御状態変更処理Aの具体的内容については、図18、図19を参照して後述する。ステップS407の処理が終了した場合には、処理が、ステップS401に戻され、ステップS401以降の処理が繰り返し実行される。
−制御切換処理−
図15は、図14に示すフローチャートのステップS401において実行される制御切換処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、特に明記しない限り制御切換部110によって実行される。
まず、ステップS501において、運転者が、該車両の運転者として登録済みのものであるか否かの判定が行われる。具体的には、例えば、運転席のシート位置を選択する選択スイッチを備える場合には、どの選択スイッチが選択されたかに基づいて、登録済みの運転者であるか否かの判定が行われる。ステップS501でYESの場合には、処理がステップS503に進められる。ステップS501でNOの場合には、処理がステップS507に進められる。
本実施形態においては、ドライバAとドライバBとが登録されている(図13参照)ため、上記選択スイッチがドライバAに対応するシート位置を選択する状態である場合に、運転者が登録済みのドライバAであると判定し、上記選択スイッチがドライバBに対応するシート位置を選択する状態である場合に、運転者が登録済みのドライバBであると判定し、その他のシート位置が選択された場合には、運転者が登録済みのものではないと判定する。
本実施形態においては、運転席のシート位置を選択する選択スイッチに基づいて、運転者が登録済みのものであるか否かの判定する場合について説明するが、その他の情報(例えば、運転者の顔画像情報、指紋情報等)に基づいて、運転者が登録済みのものであるか否かの判定する形態でもよい。運転者の顔画像情報、指紋情報等に基づいて、運転者が登録済みのものであるか否かの判定する場合には、更に正確に運転者が登録済みのものであるか否かを判定することができる。
ステップS503において、状態修正部106によって、ステップS501において判定された登録済みの運転者(ここでは、ドライバA又はドライバB)に対応する修正制御状態が選択される。具体的には、状態修正部106によって、制御情報記憶部24から走行中の車両の位置に対応する区間の修正制御状態が読み出されて選択される。
そして、ステップS505において、予め設定された「制御切換条件」を満たすか否かの判定が行われる。ステップS505でYESの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS403に進められる。この場合には、ステップS503において選択された修正制御状態に基づいて、第1走行制御部111による制御が実行されることになる。ステップS505でNOの場合には、処理がステップS507に進められる。具体的には、「制御切換条件」は、ここでは、状態修正部106によって修正された制御状態(修正制御状態)で走行している時間(以下、制御ON時間ともいう)が、状態変更部109によって変更された制御状態(変更制御状態)で走行している時間(以下、制御OFF時間ともいう)より長いことである。
ステップS507において、状態設定部105によって、制御情報記憶部24から走行中の車両の位置に対応する区間の設定制御状態が読み出されて選択されて、処理が図14に示すフローチャートのステップS403に進められる。この場合には、ステップS507において選択された設定制御状態に基づいて、第2走行制御部112による制御が実行されることになる。
このようにして、予め設定された「制御切換条件」を満たす場合に、パワートレイン5の制御が、修正制御状態に基づいた制御(第1走行制御部111による制御)から、設定制御状態に基づいた制御(道路の勾配値に基づき制御状態が設定される制御:第2走行制御部112による制御)に切り換えられるため、修正制御状態に基づいた制御を継続することが適切ではない場合に、運転者の違和感を軽減することが可能となる。ここで、修正制御状態に基づいた制御を継続することが適切ではない場合とは、例えば、操作履歴情報に対応する運転者が過去に行った操作操作と、運転者が行っている操作とが、何らかの事情(例えば、運転者の心理状態の相違、走行している道路状態の相違等)により乖離している場合であって、このような場合には、修正制御状態で制御される時間が短くなり、変更制御状態で制御される時間の方が長くなる。
また、ここでは、制御ON時間が制御OFF時間より長い場合に、修正制御状態に基づいた制御から、設定制御状態に基づいた制御(道路の勾配値に基づき制御状態が設定される制御)に切り換えられるため、適正なタイミングで制御状態を切り換えることができるので、運転者の違和感を更に軽減することができる。
本実施形態においては、制御ON時間及び制御OFF時間に基づいて、「制御切換条件」を満たすか否かの判定が行われる場合について説明するが、その他の情報に基づいて、「制御切換条件」を満たすか否かの判定が行われる形態でもよい。例えば、運転者による制御切換を指示する操作が受け付けられた場合に、「制御切換条件」を満たすと判定する形態でもよい。この場合には、更に運転者の意図に合致した制御を行うことができる。
また、本実施形態においては、「制御切換条件」が、制御ON時間が制御OFF時間より長いことである場合について説明するが、「制御切換条件」が、制御ON時間の制御OFF時間に対する比率が、予め設定された閾値比率以上であることである形態でもよい。この場合には、閾値比率を適正値に設定することによって、更に運転者の意図に合致した制御を行うことができる。
−制御状態変更処理A−
図16、図17は、図14に示すフローチャートのステップS405において実行され、道路区画部104により区画された3種類の区間(上り勾配区間、下り勾配区間、及び、平坦区間)ごとに、区間内の制御状態を変更する処理である制御状態変更処理Aの一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て状態変更部109によって実行される。
まず、図16に示すフローチャートのステップS601において、区間が更新されたか否かの判定が行われる。すなわち、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行されたタイミングでの車両の走行地点が含まれる区間と、今回の制御状態変更処理Aが実行されるタイミングでの車両の走行地点が含まれる区間とが相違するか否かに応じて、区間が更新されたか否かが判定される。ステップS601でYESの場合には、処理がステップS603に進められる。ステップS601でNOの場合には、処理が、図17に示すフローチャートのステップS625に進められる。
ステップS603において、実行されている制御状態が力行制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS603でYESの場合には、処理がステップS605に進められ、NOの場合には、処理がステップS611に進められる。
ステップS605において、操作情報に基づいて、予め設定された「力行継続条件」が成立するか否かの判定が行われる。「力行継続条件」とは、操作情報に基づいて、力行制御状態を継続することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、20%)以上である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続しているとの条件である。ステップS605でYESの場合には、処理がステップS607に進められ、ステップS605でNOの場合には、処理がステップS609に進められる。
ステップS607において、制御状態として力行制御状態が継続され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS609において、制御状態が力行制御状態から惰行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。なお、力行制御状態から変更された惰行制御状態を、以下の説明では、「力行離脱惰行制御状態」という。
ステップS611において、実行されている制御状態が抑制制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS611でYESの場合には、処理がステップS613に進められ、ステップS611でNOの場合には、処理がステップS619に進められる。
ステップS613において、操作情報に基づいて、予め設定された「抑制継続条件」が成立するか否かの判定が行われる。「抑制継続条件」とは、操作情報に基づいて、抑制制御状態を継続することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、0%)以下である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していること、又は、ブレーキONの状態であるとの条件である。ステップS613でYESの場合には、処理がステップS615に進められ、ステップS613でNOの場合には、処理がステップS617に進められる。
ステップS615において、制御状態として抑制制御状態が継続され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS617において、制御状態が抑制制御状態から惰行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。なお、抑制制御状態から変更された惰行制御状態を、以下の説明では、「抑制離脱惰行制御状態」という。
ステップS619において(実行されている制御状態が惰行制御状態である場合に)、予め設定された「完全惰行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。「完全惰行変更条件」とは、操作情報に基づいて、惰行制御状態を予め設定された「完全惰行状態」に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、0%)以下である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続しているとの条件である。ステップS619でYESの場合には、処理がステップS621に進められ、ステップS619でNOの場合には、処理がステップS623に進められる。
ステップS621において、制御状態が惰行制御状態から「完全惰行制御状態」に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。ここで、「完全惰行制御状態」とは、アクセル開度θが0であって、且つ、ブレーキがOFF状態であることを前提としてパワートレイン5を制御する制御状態である。
ステップS623において、制御状態として惰行制御状態が維持され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
図17に示すフローチャートのステップS625において、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行された結果、選択された制御状態が力行制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS625でYESの場合には、処理がステップS627に進められ、ステップS625でNOの場合には、処理がステップS629に進められる。
ステップS627において、操作情報に基づいて、予め設定された「惰行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。「惰行変更条件」とは、操作情報に基づいて、力行制御状態から惰行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がない」か否かを判定する条件である。具体的には、「惰行変更条件」は、例えば、
車速が予め設定された閾値車速(例えば、90km/hr)以上、又は、予め設定された閾値車速(例えば、20km/hr)未満であること、
又は、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、5%)以下である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していること、
又は、区間初速度に対して予め設定された閾値速度(例えば、7km/hr)以上減速しており、且つ、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、0%)以下であることとの条件である。ステップS627でYESの場合には、処理がステップS633に進められ、ステップS627でNOの場合には、処理がステップS635に進められる。
ステップS629において、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行された結果、選択された制御状態が力行離脱惰行制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS629でYESの場合には、処理がステップS631に進められ、ステップS629でNOの場合には、処理がステップS637に進められる。
ステップS631において、操作情報に基づいて、予め設定された「力行復帰条件」が成立するか否かの判定が行われる。「力行復帰条件」とは、操作情報に基づいて、力行離脱惰行制御状態から力行制御状態に戻すことが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がある」か否かを判定する条件である。具体的には、「力行復帰条件」は、例えば、
区間内の残距離が予め設定された閾値距離(例えば、150m)以上であって、車速が予め設定された閾値車速(例えば、20km/hr)以上、且つ、予め設定された閾値車速(例えば、90km/hr)未満であること、
又は、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、15%)以上である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していること、
又は、区間初速度に対する減速度が予め設定された閾値速度(例えば、4km/hr)未満でおり、且つ、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、5%)以上であることとの条件である。ステップS631でYESの場合には、処理がステップS635に進められ、ステップS631でNOの場合には、処理がステップS633に進められる。
ステップS633において、制御状態として力行離脱惰行制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS635において、制御状態として力行制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS637において、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行された結果、選択された制御状態が抑制制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS637でYESの場合には、処理がステップS639に進められ、NOの場合には、処理がステップS641に進められる。
ステップS639において、操作情報に基づいて、予め設定された「惰行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。「惰行変更条件」とは、操作情報に基づいて、抑制制御状態から惰行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がある」か否かを判定する条件である。具体的には、「惰行変更条件」は、例えば、
アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、1%)以上である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、1秒)以上継続していること、
又は、予め設定された閾値時間(例えば、5秒)以上継続して燃料供給停止(フューエルカット)状態ではないこと、
又は、車速が予め設定された閾値車速(例えば、30km/hr)未満であること、
又は、燃料供給停止(フューエルカット)状態ではなく、且つ、区間内残距離が予め設定された閾値距離(例えば、150m)以上であり、且つ、次の区間が抑制制御状態ではないこととの条件である。ステップS639でYESの場合には、処理がステップS645に進められ、ステップS639でNOの場合には、処理がステップS647に進められる。
ステップS641において、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行された結果、選択された制御状態が抑制離脱惰行制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS641でYESの場合には、処理がステップS643に進められ、ステップS641でNOの場合には、処理がステップS649に進められる。
ステップS643において、操作情報に基づいて、予め設定された「抑制復帰条件」が成立するか否かの判定が行われる。「抑制復帰条件」とは、操作情報に基づいて、惰行制御状態から抑制制御状態に戻すことが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がない」か否かを判定する条件である。具体的には、「抑制復帰条件」は、例えば、
アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、0%)以下である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、3秒)以上継続しており、且つ、車速が予め設定された閾値車速(例えば、60km/hr)以上であり、且つ、区間初速度に対する減速度が燃料供給停止(フューエルカット)状態による減速度(例えば、5km/hr)より大きく、且つ、下り勾配区間であり、且つ、区間内残距離が予め設定された閾値距離(例えば、150m)以上であること、
又は、燃料供給停止(フューエルカット)状態であることとの条件である。ステップS643でYESの場合には、処理がステップS647に進められ、ステップS643でNOの場合には、処理がステップS645に進められる。
ステップS645において、制御状態として抑制離脱惰行制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS647において、制御状態として抑制制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS649において、前回の図16、図17に示すフローチャートに示す制御状態変更処理Aが実行された結果、選択された制御状態が惰行制御状態であるか否かの判定が行われる。ステップS649でYESの場合には、処理がステップS651に進められ、ステップS649でNOの場合には、処理がステップS653に進められる。
ステップS651において、操作情報に基づいて、予め設定された「惰行継続条件」が成立するか否かの判定が行われる。「惰行継続条件」とは、操作情報に基づいて、惰行制御状態を維持することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がある」か否かを判定する条件である。具体的には、「惰行継続条件」は、例えば、アクセル開度θが、予め設定された開度閾値(例えば、1%)以上である状態が、予め設定された閾値時間(例えば、0.2秒)以上継続しているとの条件である。ステップS651でYESの場合には、処理がステップS655に進められ、ステップS651でNOの場合には、処理がステップS657に進められる。
ステップS653において(実行されている制御状態が完全惰行制御状態である場合に)、操作情報に基づいて、予め設定された「完全惰行継続条件」が成立するか否かの判定が行われる。「完全惰行継続条件」とは、操作情報に基づいて、完全惰行制御状態を維持することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、操作情報に基づいて、運転者の「力行意図がない」か否かを判定する条件である。具体的には、「完全惰行継続条件」は、例えば、
走行している道路が高速道路であって、且つ、アクセル開度θが、「0」であること、
又は、アクセル開度θが、「0」であって、且つ、車速が予め設定された閾値車速(例えば、60km/hr)より大であって、且つ、下り勾配区間であって、且つ、区間内の残距離が予め設定された閾値距離(例えば、200m)以上であることとの条件である。ステップS653でYESの場合には、処理がステップS657に進められ、ステップS653でNOの場合には、処理がステップS655に進められる。
ステップS655において、制御状態として惰行制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
ステップS647において、制御状態として完全惰行制御状態が選択され、処理が図14に示すフローチャートのステップS407へ進められる。
このようにして、車両の走行中に順次取得された操作情報に基づいて、修正制御状態(又は、設定制御状態)が、他の制御状態に変更され、変更された制御状態(以下、「変更制御状態」という)に基づいて、パワートレイン5が制御されるため、車両の走行中に運転者自身が行っている操作に適合したパワートレイン5の制御を行うことができるので、運転者の違和感を更に軽減することができる。
また、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である上り勾配区間において、例えば、アクセルが踏み込まれているとの条件(力行継続条件に相当する)を満たさない場合に、惰行制御状態に変更されるため、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作(ここでは、アクセルをOFF状態にするという操作)に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
更に、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である下り勾配区間において、例えば、ブレーキが踏み込まれている、又は、アクセルがOFF状態であるとの条件(抑制継続条件に相当する)を満たさない場合に、惰行制御状態に変更されるため、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作(ここでは、例えば、アクセルを踏み込むという操作)に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
本実施形態において、力行継続条件、抑制継続条件、完全惰行変更条件、惰行変更条件、力行復帰条件、抑制復帰条件、惰行継続条件、完全惰行継続条件について、それぞれの一例を示したが、上記条件以外の条件が予め設定されている形態でもよい。
また、本実施形態においては、力行制御状態から惰行制御状態に変更された制御状態を力行離脱制御状態とし、抑制制御状態から惰行制御状態に変更された制御状態を抑制離脱制御状態として、通常の惰行制御状態と区別して扱っているが、通常の惰行制御状態と区別しないで処理する形態でもよい。この場合には、制御状態変更処理Aの処理が簡略化される(図17に示すフローチャートの処理が不要となる)。
更に、本実施形態においては、「完全惰行制御状態」との制御状態を特殊な惰行制御状態として選択する場合について説明したが、制御状態が、力行制御状態、抑制制御状態、及び、惰行制御状態の3種類に限定される形態(「完全惰行制御状態」との制御状態を有さない形態)でもよい。この場合には、制御状態変更処理Aの処理が簡略化される。
−制御状態変更処理B−
図18は、図14に示すフローチャートのステップS407において実行され、つなぎ区間内の制御状態を変更する処理である制御状態変更処理Bの一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は、全て、状態変更部109によって実行される。
まず、ステップS701において、車両が走行中の区間(以下、現区間ともいう)が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である区間における終端のつなぎ区間であるか否かの判定が行われる。ステップS701でYESの場合には、処理がステップS703に進められ、ステップS701でNOの場合には、処理がステップS715に進められる。
ステップS703において、現区間の次に車両が走行する区間(以下、次区間ともいう)が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS703でYESの場合には、処理がステップS705に進められ、ステップS703でNOの場合には、処理がステップS709に進められる。
ステップS705において、操作情報に基づいて、予め設定された「抑制変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「抑制変更条件」とは、操作情報に基づいて、抑制制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、現区間の平均勾配値SAに基づいて予め設定された開度閾値(例えば、20%)未満であること、又は、アクセル開度θの単位時間当りの変化率が予め設定された閾値変化率(例えば、0.5秒後にアクセル開度θが「0」となる変化率)未満であるとの条件である。ステップS705でYESの場合には、処理がステップS707に進められ、ステップS705でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS707において、つなぎ区間における制御状態が、力行制御状態から抑制制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS709において、次区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が惰行制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS709でYESの場合には、処理がステップS711に進められ、ステップS709でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS711において、操作情報に基づいて、予め設定された「惰行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「惰行変更条件」とは、操作情報に基づいて、惰行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、現区間の平均勾配値SAに基づいて予め設定された開度閾値(例えば、10%)未満であるとの条件である。ステップS711でYESの場合には、処理がステップS713に進められ、ステップS711でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS713において、つなぎ区間における制御状態が、力行制御状態から惰行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS715において、現区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が惰行制御状態である区間の終端に後続するつなぎ区間(惰行制御状態である区間と力行制御状態である区間との間のつなぎ区間、又は、惰行制御状態である区間と抑制制御状態である区間との間のつなぎ区間)であるか否かの判定が行われる。ステップS715でYESの場合には、処理がステップS717に進められ、ステップS715でNOの場合には、処理がステップS729に進められる。
ステップS717において、次区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS717でYESの場合には、処理がステップS719に進められ、ステップS717でNOの場合には、処理がステップS723に進められる。
ステップS719において、操作情報に基づいて、予め設定された「抑制変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「抑制変更条件」とは、操作情報に基づいて、抑制制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、ブレーキがONである時間が予め設定された時間閾値(例えば、0.5秒)以上であるとの条件である。ステップS719でYESの場合には、処理がステップS721に進められ、ステップS719でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS721において、つなぎ区間における制御状態が、力行制御状態から抑制制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS723において、次区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS723でYESの場合には、処理がステップS725に進められ、ステップS723でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS725において、操作情報に基づいて、予め設定された「力行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「力行変更条件」とは、操作情報に基づいて、力行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、現区間の平均勾配値SAに基づいて予め設定された開度閾値(例えば、10%)以上であるとの条件である。ステップS725でYESの場合には、処理がステップS727に進められ、ステップS725でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS727において、つなぎ区間における制御状態が、抑制制御状態から力行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS729において、現区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である区間における終端のつなぎ区間であるか否かの判定が行われる。ステップS729でYESの場合には、処理がステップS731に進められ、ステップS729でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS731において、次区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が惰行制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS731でYESの場合には、処理がステップS733に進められ、ステップS731でNOの場合には、処理がステップS737に進められる。
ステップS733において、操作情報に基づいて、予め設定された「惰行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「惰行変更条件」とは、操作情報に基づいて、惰行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、ブレーキがOFFであるとの条件である。ステップS733でYESの場合には、処理がステップS735に進められ、ステップS733でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS735において、つなぎ区間における制御状態が、抑制制御状態から惰行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS737において、次区間が、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である区間であるか否かの判定が行われる。ステップS737でYESの場合には、処理がステップS739に進められ、ステップS737でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS739において、操作情報に基づいて、予め設定された「力行変更条件」が成立するか否かの判定が行われる。ここで、「力行変更条件」とは、操作情報に基づいて、力行制御状態に変更することが適切であるか否かを判定する条件であって、ここでは、例えば、アクセル開度θが、現区間の平均勾配値SAに基づいて予め設定された開度閾値(例えば、10%)以上であるとの条件である。ステップS739でYESの場合には、処理がステップS741に進められ、ステップS739でNOの場合には、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
ステップS741において、つなぎ区間における制御状態が、抑制制御状態から力行制御状態に変更され、処理が図14に示すフローチャートのステップS401にリターンされる。
このようにして、車両の走行中に順次取得された操作情報に基づいて、つなぎ区間の修正制御状態(又は、設定制御状態)が、他の制御状態(変更制御状態)に変更され、変更制御状態に基づいて、パワートレイン5が制御されるため、車両の走行中に運転者自身が行っている操作に適合したパワートレイン5の制御をつなぎ区間においても行うことができるので、運転者の違和感を更に軽減することができる。
また、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態又は惰行制御状態である区間から、修正制御状態(又は、設定制御状態)が抑制制御状態である区間までの間のつなぎ区間において、例えば、アクセル開度θが「0」であるとの条件(抑制変更条件に相当する)を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態が、抑制制御状態に変更されるため、当該つなぎ区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作(ここでは、例えば、アクセルをOFF状態にするという操作)に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
更に、修正制御状態(又は、設定制御状態)が惰行制御状態である区間から、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態である区間までの間のつなぎ区間において、例えば、アクセル開度θが予め設定された閾値以上であるとの条件(力行変更条件に相当する)を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態が、力行制御状態に変更されるため、当該つなぎ区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作(ここでは、例えば、アクセルを踏み込むという操作)に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
加えて、修正制御状態(又は、設定制御状態)が力行制御状態又は抑制制御状態である区間から、修正制御状態(又は、設定制御状態)が惰行制御状態である区間までの間のつなぎ区間において、例えば、ブレーキが「OFF」であるとの条件(惰行変更条件に相当する)を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態が、惰行制御状態に変更されるため、当該つなぎ区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作(ここでは、例えば、ブレーキをOFF状態にするという操作)に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
本実施形態では、抑制変更条件、力行変更条件及び惰行変更条件の一例を示したが、抑制変更条件、力行変更条件及び惰行変更条件は、上記条件に限定されず、適宜、変更することが可能である。抑制変更条件、力行変更条件及び惰行変更条件を、適正な条件に設定することによって、つなぎ区間の制御状態を適正な制御状態に変更することができる。
図19は、図18に示す制御状態変更処理Bの具体例を示す説明図である。図19は、つなぎ区間の制御状態が「力行制御状態」から「惰行制御状態」に変更される場合の一例を示す説明図である。図の横軸は、距離Dであって、縦軸は、上側から順に、道路の高さ(高度)H、アクセル開度θ、修正制御状態、及び、変更制御状態である。
ここでは、地点D50から地点D51までの区間は、修正制御状態として「力行制御状態」が選択されているメイン区間である。地点D51から地点D52までの区間は、修正制御状態として「力行制御状態」が選択されているつなぎ区間である。地点D52から地点D53までの区間は、修正制御状態として「惰行制御状態」が選択されているメイン区間である。地点D53から地点D54までの区間は、修正制御状態として「抑制制御状態」が選択されているつなぎ区間である。地点D54以降の区間は、修正制御状態として「抑制制御状態」が選択されているメイン区間である。
すなわち、車両が地点D51から地点D52までの区間を走行しているときには、現区間が、制御状態として力行制御状態が選択された区間における終端のつなぎ区間であって、次区間が制御状態として惰行制御状態が選択された区間であるため、「惰行変更条件」を満たす場合に、制御状態が惰行制御状態に変更される。ここでは、「惰行変更条件」は、アクセル開度θが、現区間の平均勾配値SAに基づいて予め設定された開度閾値θ1(例えば、10%)未満であるとの条件である。よって、「惰行変更条件」を満たした時点以降のつなぎ区間の制御状態が、力行制御状態から惰行制御状態に変更される。
このようにして、修正制御状態が力行制御状態である区間から、修正制御状態が惰行制御状態である区間までの間のつなぎ区間において、惰行変更条件を満たす場合に、当該つなぎ区間内の制御状態が、惰行制御状態に変更されるため、当該つなぎ区間において、車両の走行中に運転者自身が行っている操作に適合したパワートレイン5の制御を行うことができる。
−他の実施形態−
本実施形態では、操作検出部101、勾配検出部102、勾配微分部103、道路区画部104、状態設定部105、状態修正部106、記録部107、操作情報取得部108、状態変更部109、制御切換部110、第1走行制御部111、及び、第2走行制御部112が、機能部として構成されている場合について説明したが、操作検出部101、勾配検出部102、勾配微分部103、道路区画部104、状態設定部105、状態修正部106、記録部107、操作情報取得部108、状態変更部109、制御切換部110、第1走行制御部111、及び、第2走行制御部112のうちの少なくとも1つが、電子回路等のハードウェアによって構成されている形態でもよい。
本実施形態では、地図情報記憶部21、路面情報記憶部22、操作履歴記憶部23、及び、制御情報記憶部24が、HDD2における機能部として構成されている場合について説明したが、地図情報記憶部21、路面情報記憶部22、操作履歴記憶部23、及び、制御情報記憶部24のうちの少なくとも1つが、その他の種類の不揮発性の記憶媒体(例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等)における機能部として構成されている形態でもよい。
本実施形態では、走行制御ECU1が出力ECU4を介してパワートレイン5を制御する場合について説明したが、走行制御ECU1が直接パワートレイン5を制御する形態でもよいし、走行制御ECU1とパワートレイン5との間に、直列に接続された複数のECUが介設されている形態でもよい。