JP5508847B2 - スクライブ装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、脆性材料基板の表面にスクライビングホイールを転動させることによって、スクライブラインを刻み、スクライブラインと共に厚み方向に伸びる垂直クラックを形成するスクライブ装置及び方法に関する。
近年の技術革新によって、省スペースで画面が平面であるフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、以下FPDという)が生み出されている。FPDを実現する技術には、二枚のガラス基板の間に液晶と呼ばれる特殊な物質を封入した液晶ディスプレイ、発光体をガラス基板に蒸着した有機EL(organic electroluminescence)ディスプレイ、二枚のガラス基板の間に高圧の希ガスを封入したプラズマディスプレイなどがある。
FPDに用いられるガラス基板は、大きいサイズのガラス基板(マザー基板)の表面にスクライブラインを形成し、次いでスクライブラインに沿ってガラス基板をブレイクすることによって所定の寸法に分断された単位基板となる。すなわち図21に示されるように、マザー基板Wの表面にスクライビングホイール1を転動させてスクライブラインSaを形成するスクライブライン形成工程と、スクライブラインSaが形成されたマザー基板Wの表面の反対側の面にブレイクバー2を押し当てて、垂直クラックを反対側の面まで到達させるブレイク工程と、を経ることによって、マザー基板Wが単位基板に分断される。なお、二枚のガラス基板を貼合せた液晶ディスプレイの場合、二枚のガラス基板それぞれにスクライブライン形成工程とブレイク工程とが行われる。
近年、FPDに用いられるガラス基板は、例えば0.7mm、0.5mm等厚みが薄くなってきて、より硬質になってきている。ガラス基板の薄型化及び硬質化は将来的にもより一層進むと予想されている。しかし従来の切断方法のように、スクライブライン形成工程後のブレイク工程において、ブレイクバーでガラス基板を叩くと、ガラス基板が硬質になったことが原因でガラス基板の切断面が破壊し、チッピングが発生するおそれがある。
この問題を解決するためには、スクライブラインを形成する段階で垂直クラックをガラス基板の深くまで浸透させる必要がある。垂直クラックが深く浸透すると、ブレイク工程がなくてもガラス基板を分断できるようになるからである。
垂直クラックを深く浸透させることができるスクライブ方法として、一方の出願人は図22に示されるように、円盤形状のスクライビングホイール3をガラス基板Wの表面上で転動させ、それと同時にスクライビングホイール3を振動させるスクライブ方法を研究開発している(特許文献1及び2)。このスクライブ方法において、振動が付与されるスクライビングホイール3には、円周稜線3aが滑らかなノーマルホイール(以下N刃と称する)が用いられる。
他方の出願人は、深い垂直クラックを形成できるスクライブ方法として、図23に示されるように、円盤形状のスクライビングホイール4の円周稜線4aに円周方向に交互に多数の溝6と突起7とが一定のピッチPで形成されたスクライビングホイール(以下P刃と称する)を用いたスクライブ方法を提案している(特許文献3参照)。このスクライブ方法において、P刃には振動を付与させていない。ガラス基板上をP刃が転動するとき、P刃の円周稜線4aの突起7がガラス基板に食い込むので、振動を付与しなくてもガラス基板に深い垂直クラックを形成できる。
他方の出願人は、図24に示されるように、スクライビングホイール8の円周稜線8aに一定のピッチPで形成された切欠き9の円周方向の長さaを突起10の円周方向の長さbよりも短くしたスクライビングホイール(以下A刃と称する)及びそれを用いたスクライブ方法を提案している(特許文献4参照)。このスクライブ方法においても、A刃の円周稜線8aの突起10がガラス基板に食い込むので、A刃には振動を付与させていない。A刃はN刃とP刃の中間のカテゴリのホイールである。A刃の切欠き9の数は、P刃ほど多くはない。
特開平9−278473号公報 特開平11−157860号公報 特許第3074143号公報 国際公開WO2007/4700号のパンフレット
N刃を振動させながらスクライブするスクライブ方法にあっては、N刃がガラス基板上を滑らずに転動するならば、深い垂直クラックを形成することができるし、ガラス基板に与えるダメージ(ガラス基板の表面の水平クラック)も小さくすることができる。しかし、ガラス基板が硬質になればなるほど、N刃の円周稜線が滑らかなので、N刃がガラス基板の表面を転動せずに滑ってしまうケースが多くなる傾向がある。N刃が滑ると、いくら振動を付与しても安定した垂直クラックを形成することはできない。
出願人は、N刃をガラス基板に食い込ませて転動させるための実験を重ねた。その結果、N刃を15kHz〜20kHzの高周波数で振動させると、N刃をガラス基板に食い込ませて転動させることができ、深い垂直クラックを形成させることができた。しかし、N刃を高周波数で振動させると、N刃の摩耗も進行する。この他にも、ガラス基板の外側からガラス基板上にN刃が乗り上がるようにしても、N刃をガラス基板に食い込ませることができる。しかし、N刃がガラス基板に乗り上げるとき、N刃がガラス基板にダメージを与えてしまう。ダメージを与えないように、ガラス基板の内側にN刃を載せ、このN刃を載せた位置からスクイブラインを刻もうとしたら、やはりN刃の食い付きが甘くなり、N刃が滑ってしまう。このように、硬質のガラス基板を、N刃を振動させながらスクライブする方法には限界があった。
他方、P刃を用いたスクライブ方法にあっては、ガラス基板に押し付けるだけでP刃の円周稜線の突起がガラス基板に食い込むので、P刃が確実にガラス基板上を転動する。よって、振動を付与しなくてもガラス基板に深い垂直クラックを形成できる。しかしその反面、N刃と比較して、P刃の突起がガラス基板に与えるダメージがあり、ガラス基板の表面の水平クラックが発生する場合がある。
A刃を用いたスクライブ方法にあっては、P刃よりもガラス基板に与えるダメージ(ガラス基板の表面の水平クラック)の発生を少なくすることができる。しかし、A刃はP刃ほど深い垂直クラックを形成することができない。A刃に付与する荷重を大きくすれば垂直クラックを深く形成することができるが、ガラス基板に与えるダメージも大きく、限界がある。
そこで本発明は、硬質のガラス基板などの脆性材料基板にダメージ(脆性材料表面の水平クラック)を与えることなく、より深い垂直クラックを形成することができる新たなスクライブ装置及び方法を提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、回転軸を共有する二つの円錐の底部が交わって円周稜線が形成され、この円周稜線に沿って円周方向に交互に複数の切欠き及び突起が形成され、前記突起は前記円周稜線が切り欠かれて残った円周方向に長さを有する前記円周稜線の部分で構成され、前記切欠きの円周方向の長さは前記突起の円周方向の長さよりも短いスクライビングホイールと、前記スクライビングホイールが前記回転軸の回りを回転できるように前記スクライビングホイールを保持すると共に、前記スクライビングホイールを脆性材料基板の表面に対して交差する方向に振動させる振動アクチュエータを有するスクライブヘッドと、前記スクライブヘッドを前記脆性材料基板の表面に沿って移動させる移動機構と、を備えるスクライブ装置であって、前記振動アクチュエータは、前記スクライビングホイールが前記脆性材料基板の表面から離れた状態において、前記スクライビングホイールを5〜20μmの振幅、1〜3kHzの周波数で振動させ、前記スクライブ装置はさらに、前記スクライビングホイールを0.1〜0.3MPaの圧力で前記脆性材料基板に押し付ける加圧機構を備え、前記振動アクチュエータは、磁気ひずみの特性を利用して、電気振動を機械振動に変換する超磁歪素子を有するスクライブ装置である。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のスクライブ装置において、前記スクライブヘッドは、前記振動アクチュエータが取り付けられる本体部と、前記スクライビングホイールが前記回転軸の回りを回転できるように保持するホルダと、前記振動アクチュエータの振動を前記ホルダに伝達すると共に、外周面に軸線方向に伸びる転動体転走溝が形成されるスプラインシャフトと、前記本体部に設けられ、前記スプラインシャフトの前記転動体転走溝に対向する軸線方向に伸びる負荷転動体転走溝を含む転動体循環経路を有し、前記スプラインシャフトが振動するのを案内するスプライン外筒と、前記スプライン外筒の前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備えることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、回転軸を共有する二つの円錐の底部が交わって円周稜線が形成され、この円周稜線に沿って円周方向に交互に複数の切欠き及び突起が形成され、前記突起は前記円周稜線が切り欠かれて残った円周方向に長さを有する前記円周稜線の部分で構成され、前記切欠きの円周方向の長さは前記突起の円周方向の長さよりも短いスクライビングホイールを、磁気ひずみの特性を利用して電気振動を機械振動に変換する超磁歪素子を用いて、脆性材料基板の表面に対して交差する方向に振動させながら、前記スクライビングホイールを前記脆性材料基板の表面上を転動させ、前記スクライビングホイールを1〜3kHzの周波数で、かつ前記脆性材料基板の表面から離れた状態では5〜20μmの振幅となる条件で振動させながら、前記スクライビングホイールを0.1〜0.3MPaの圧力で前記脆性材料基板に押し付ける脆性材料基板のスクライブ方法である。
請求項1に記載の発明によれば、脆性材料基板への食い付きの安定性という面で問題のないA刃を用い、なおかつA刃に振動を付与するので、脆性材料基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。従来から脆性材料基板の分断には、スクライブ装置とブレイク装置が必要であったが、スクライブ装置で深い垂直クラックを形成することでブレイク装置を不要にすることもできる。ユーザに対しては、より安価な設備として供給できるというメリットもある。
また、従来のN刃を振動させるときの条件よりも低い荷重、大きな振幅、低い周波数でA刃を振動させることで、脆性材料基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。
さらに、振動アクチュエータが超磁歪素子を有するので、広い周波数帯域で比較的大きな変位を安定して得ることができる。周波数が変化しても安定した振幅が得られるので、スクライビングホイールの振動を安定させることができる。
請求項に記載の発明によれば、スプラインシャフトとスプライン外筒とで構成されるスプライン装置が、振動アクチュエータの所望方向の振動をロスなくスクライビングホイールに伝えると共に、振動アクチュエータの所望方向以外の振動を抑制する。
請求項に記載の発明によれば、脆性材料基板への食い付きの安定性という面で問題のないA刃を用い、なおかつA刃に振動を付与するので、脆性材料基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。
また、従来のN刃を振動させるときの条件よりも低い荷重、大きな振幅、低い周波数でA刃を振動させるので、A刃がガラス基板上を滑ることなく転動するという元々の特性に加えて、脆性材料基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、従来のN刃を振動させるときの条件よりも低い荷重、大きな振幅、低い周波数でA刃を振動させるので、A刃がガラス基板上を滑ることなく転動するという元々の特性に加えて、脆性材料基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。
本発明の一実施形態におけるスクライブ装置の概略斜視図 Z軸移動機構及びスクライブヘッドを示す正面図 スクライブヘッドの断面図 スクライブヘッドの他の例の断面図 振動アクチュエータの断面図 超磁歪素子の振動の振動特性の一例を示すグラフ スプライン装置の斜視図 スクライビングホイールの進行方向からみた正面図 スクライビングホイールの側面図 図9の部分拡大図 図9の部分拡大図 スクライビングホイールの他の例を示す図 スクライビングホイールの切欠きの他の例を示す図 スクライビングホイールの特性の比較を示す図 t=0.7mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データ t=0.5mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データ t=0.5mmの硬質ガラスをクロスカットしたときの実験データ(連結タイプのスクライブヘッド) t=0.5mmの硬質ガラスをクロスカットしたときの実験データ(分離タイプのスクライブヘッド) 各ヘッドのスクライブ特性を比較した実験データ t=0.2mmのサンマップ(商品名)を敷いた場合のt=0.5mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データ 従来のスクライブ方法の工程図 従来のN刃を示す図 従来のP刃を示す図 従来のA刃を示す図
符号の説明
11…テーブル
13…Y軸移動機構(移動機構)
24,44…スクライブヘッド
25…X軸移動機構(移動機構)
32…荷重印加シリンダ(加圧機構)
34…スクライビングホイール
35…振動アクチュエータ
36…本体部
37…スプラインシャフト
37b…ボール転走溝(転動体転走溝)
38…ホルダ
39…スプライン外筒
46…超磁歪素子
52…ボール(転動体)
54a…ボール循環経路(転動体循環経路)
60…回転軸
61…円錐台
62…円周稜線
64…切欠き
65…突起
W…脆性材料基板
以下添付図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
本発明において加工の対象となる脆性材料基板の形態、材質、用途、及び大きさについては特に限定されるものではない。例えば単板からなる基板又は二枚以上の基板を貼り合わせた貼合せ基板であってもよく、またこれらの内部に薄膜あるいは半導体材料を付着させたり、含ませたりしたものであってもよい。表面に薄膜等が付着していても、スクライブ装置によるスクライブの対象になる。
本発明の脆性材料の材質としては、ガラス、セラミックス、半導体(シリコン等)、サファイヤ等が挙げられ、その用途としては液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、電界放出型ディスプレイパネル(FED)等のフラットパネルディスプレイが挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態におけるスクライブ装置の概略斜視図を示す。ガラス基板などの脆性材料基板Wはスクライブ装置のテーブル11上に載置される。テーブル11上には、脆性材料基板Wを吸着する複数の吸着孔が設けられる。テーブル11は基礎フレーム12上に設けられた移動機構であるY軸移動機構13によってY方向に移動される。
Y軸移動機構13は、Yステージ14と、Yステージ14をY方向に駆動させるボールねじ機構又はリニアモータなどの駆動手段15と、Yステージ14がY方向に直線運動するのを案内するリニアガイド16と、から構成される。
Y軸移動機構13のYステージ14上には、θ軸回転機構18(不図示)を介してテーブル11が取り付けられる。θ軸回転機構18は、テーブル11を水平面内で旋回させる。
基礎フレーム12上にはコラム22が設けられている。コラム22はスクライブヘッド24の移動方向であるX方向に伸びる。コラム22には、スクライブヘッド24をX方向に移動させる移動機構であるX軸移動機構25が設けられている。
X軸移動機構25は、Xステージ26(図2参照)と、Xステージ26をX方向に駆動させるボールねじ機構又はリニアモータなどの駆動手段と、Xステージ26がX方向に直線運動するのを案内するリニアガイド27と、から構成される。
図2は、X軸移動機構25のXステージ26に取り付けられるZ軸移動機構28及びスクライブヘッド24を示す。Z軸移動機構28は、Zステージ29と、Zステージ29をZ方向に駆動させるボールねじ機構30と、Zステージ29がZ方向に直線運動するのを案内するリニアガイド31と、から構成される。
Zステージ29には、加圧機構である荷重印加シリンダ32が取り付けられる。荷重印加シリンダ32のロッド32aには、スクライブヘッド24が取り付けられる。Zステージ29に対するスクライブヘッド24の上下方向の移動は図示しないリニアガイドによって案内される。
Z軸移動機構28によってスクライブヘッド24のスクライビングホイール34を下降させると、脆性材料基板Wにスクライビングホイール34を当接させることができる。荷重印加シリンダ32は、スクライビングホイール34が脆性材料基板Wを押す圧力を調整する。スクライブヘッド24には振動アクチュエータ35が組み込まれる。振動アクチュエータ35はスクライビングホイール34の振動の振幅及び周波数を調整する。脆性材料基板Wにスクライビングホイール34を当接させた状態で、X軸移動機構25によってスクライブヘッド24をX方向に移動させると、脆性材料基板Wの表面にX方向に伸びるスクライブラインを刻み付けることができる。
なお、X方向に伸びるスクライブラインを形成した後、テーブルをY方向に所定のピッチで移動させ、再びX方向に伸びるスクライブラインを形成することで、X方向に伸びる平行な複数本のスクライブラインを形成することができる。またθ軸回転機構によって脆性材料基板Wを90度回転させることで、縦横に複数本のスクライブラインを形成することができる。
図3は、スクライブヘッド24の断面図を示す。スクライブヘッド24は、振動アクチュエータ35と、振動アクチュエータ35が取り付けられる本体部36と、スクライビングホイール34を回転可能に保持するホルダ38と、振動アクチュエータ35の振動をホルダ38に伝達するスプラインシャフト37と、スプラインシャフト37が振動するのを案内するスプライン外筒39と、を備える。
本体部36は上下に二分割されていて、筒状下部36bと、蓋状上部36aを結合して構成される。筒状下部36bと蓋状上部36aとの間に振動アクチュエータ35のフランジが挟まれている。振動アクチュエータ35のロッド35aには、連結部37aを介してスプラインシャフト37が連結される。振動伝達のロスを無くすために、振動アクチュエータ35のロッド35aとスプラインシャフト37の連結部37aとはねじ結合される。スプラインシャフト37は垂直方向に伸び、その下端部が筒状下部36bから露出している。横方向の変位を抑制するためにスプラインシャフト37の振動はスプライン外筒39によって案内される。スプライン外筒39は筒状下部36bに収容される。
スプラインシャフト37の下端には、T形状のホルダ38が取り付けられる。ホルダ38はスプラインシャフト37にねじ結合される。ホルダ38は下端部が二股に分かれている。ホルダ38の下端部には回転軸が設けられ、回転軸にスクライビングホイール34が回転可能に支持される。
図4は、スクライブヘッドの他の例を示す。この例のスクライブヘッド44は、図3に示されるスクライブヘッド24と異なり、振動アクチュエータ35とスプラインシャフト37とが分離されている。振動アクチュエータ35のロッド35aの横変位をスプラインシャフト37に伝達することなく、縦変位のみをスプラインシャフト37に伝達するためである。スプラインシャフト37の振動をロッド35aの振動に追従させるため、スプラインシャフト37をロッド35aに付勢する付勢手段として皿ばね40が設けられる。皿ばね40は、スプラインシャフト37の上端の大径部37cと、筒状下部36bの中間小径部36cとの間に介在して設けられる。
図5は、振動アクチュエータ35の断面図を示す。振動アクチュエータ35は、磁気ひずみの特性を利用して、電気振動を機械振動に変換する超磁歪素子46を有する。振動アクチュエータ35の円筒ケースには、同心円状に超磁歪素子46、コイル47、バイアス磁石48が収容されている。超磁歪素子46はコイル47やバイアス磁石48からの磁界に応じて寸法を変化させる。コイル47に流す電流を所定の周期で振動させると、超磁歪素子46も所定の周期で振動する。超磁歪素子46の振動はケース49の下部に設けたロッド35aに伝達される。ロッド35aの振動は直線ベアリング50によって案内される。ケース49の底部にはロッド35aの振動を超磁歪素子46の振動に追従させるための皿ばね51が設けられる。
図6は、超磁歪素子46の振動の振動特性の一例を示すグラフである。横軸は交流電流の周波数であり、縦軸は変位量である。この例において、振動アクチュエータ35のコイルには、±1.4Aの交流電流が供給される。縦軸には、交流電流の周波数を1〜5kHzの範囲で変化したときの変位量が示されている。図6中のグラフは、図5に示される垂直方向の変位量である。この図から3.5kHz付近の周波数において垂直方向の変位量にわずかなピークが生ずるが、周波数が変化しても安定した変位量が得られることがわかる。
なお振動子として、超磁歪素子46の替わりにピエゾアクチュエータを使用することも可能である。ただし、ピエゾアクチュエータを使用すると、特定の周波数で変位量が大きくなり、共振が生じ易いことに留意する必要がある。共振点付近でピエゾアクチュエータを振動させると、横方向の振れも大きくなるから、共振点を避けた周波数でピエゾアクチュエータを振動させるのが望ましい。
図7は、スプラインシャフト37とスプライン外筒39とを備えるスプライン装置を示す。スプラインシャフト37の外周面には、軸線方向に伸びる複数条の転動体転走溝であるボール転走溝37bが形成される。スプラインシャフト37は炭素鋼、クロム鋼、又はステンレス鋼からなる。ボール52が転がり運動するので、ボール転走溝37bは研削加工されると共に熱処理される。
スプライン外筒39は、スプラインシャフト37に遊嵌された筒体53と、スプラインシャフト37と筒体53との間に転がり運動可能に介在される複数のボール52と、筒体53に組み込まれ、複数のボール52を循環させるサーキット状のボール循環経路(転動体循環経路)を有する保持器54と、を備える。
筒体53の内周面には、スプラインシャフト37のボール転走溝37bに対向して軸線方向に伸びる複数条の負荷ボール転走溝(負荷転動体転走溝)が形成される。筒体53は炭素鋼、クロム鋼、又はステンレス鋼からなる。ボール52が転がり運動するので、負荷ボール転走溝は研削加工されると共に熱処理される。筒体53の軸線方向の両端には、筒体53に保持器54を組み付けるための止め輪55が設けられる。保持器54には、サーキット状のボール循環経路54aが形成される。サーキット状のボール循環経路54aは、ボール転走溝37bと負荷ボール転走溝との間の負荷ボール転走路と、一対のU字状の方向転換路と、負荷ボール転走路と平行に伸びる戻し通路とから構成される。
スプライン外筒39に対するスプラインシャフト37の相対的な直線運動に伴い、ボール52がスプラインシャフト37のボール転走溝37bと筒体53の負荷ボール転走溝との間を転がり運動する。筒体53の負荷ボール転走溝の長手方向の端まで転がったボールは、保持器54によってボール転走溝37bから掬い上げられる。そしてボール52は、保持器54のU字状の方向転換路を経由した後、向きを変えて負荷ボール転走溝と平行に伸びる戻し通路に入る。戻し通路を通過したボールは、反対側の方向転換路を経由した後、再びボール転走溝37b上に戻される。
図8及び図9は、スクライビングホイール34を示す。図8は、スクライビングホイール34の進行方向からみた正面図であり、図9は、図8の側面図である。スクライビングホイール34は、回転軸60を供給する二つの円錐台61の底部が交わって円周稜線62が形成された外周縁部63と、円周稜線62に沿って円周方向に形成された複数の切欠き64及び突起65を有する(図10参照)。円周稜線62は、軸心から半径方向外方に向かって研削加工が施されることによって形成され、研削加工が施された外周縁部63の表面には研削条痕が残る。外周縁部63は、収束角度(α)を有して形成される。
スクライビングホイール34は、スクライビングホイール34を軸支するための図示しないピンが貫通する軸孔66を有するディスク状のホイールである。スクライビングホイール34の材質は、超硬合金、焼結ダイヤモンド、セラミックスあるいはサーメットが好ましい。
外周縁部63は二つの円錐台61の斜面によって構成される。円周稜線62を形成するための研削加工に由来して、外周縁部63には研削条痕が残る。斜面の中心線平均粗さRaが0.45μm以下になるように加工が施される。ここで「中心線平均粗さRa」とは、JIS B 0601で規定された工業製品の表面粗さを表すパラメータの一つであり、対象物の表面からランダムに抜き取った算術平均値である。円周稜線62は、外周縁部63を構成する円錐台61の斜面の上記研削条痕によって形成される微細な凹凸を有する。凹凸の中心線平均粗さRaは0.40μm以下である。
図10及び図11は、図9の部分拡大図を示す。スクライビングホイール34の切欠き64は、ピッチPで形成され、その円周方向の長さaが、突起65の円周方向の長さbよりも短い。突起65は、円周稜線62が切り欠かれて残った、円周方向に長さを有する円周稜線62の部分(突起)で構成される。
切欠き64は、概略V字状の溝を平坦な円周稜線62から深さhに、ピッチP毎に切り欠くことにより形成されている。このような切欠き64の形成により、円周稜線62には、高さhの突起65がピッチP毎に形成される。
突起65の円周稜線62に相当する部分は、円錐台61の斜面の上記研削条痕によって形成される微細な凹凸を有する。凹凸の中心線平均粗さRaは0.40μm以下である。
図11に示されるように、切欠き64は、スクライビングホイール34の底部の半径方向内方に向かって切り欠かれた切欠き面68を有し、突起65の端部65aにおける接線Cが切欠き面68と30〜60°の角度(θ)で交わる。
つまり、突起65の端部65aにおける接線Cが切欠き面68と直角あるいは直角に近い角度で交わっていれば、突起65の端部における基板表面への食い付きはよくなるが、突起65の端部の摩耗が早まる。突起65の端部における接線Cが切欠き面68と30°以下の角度で交わっていれば、突起65の端部における基板表面への食い付きが悪くなる。角度(θ)の範囲を30°〜60°にすることによって、スクライビングホイール34の長寿命化を図りながら、基板表面へのスクライビングホイール34の食い付きを良好に維持することができる。
切欠き64は、円錐台61の軸線方向からみた形状が略V字形状であるため、V字の角度を変えることにより、切欠き64の深さ(突起65の高さ)hを確保しながら、切欠き64の円周方向の長さaと突起65の円周方向の長さbを容易に調整することができる。
スクライビングホイール34の製造方法の一例を説明する。スクライビングホイール34の母体となる円柱ディスクを準備し、この円柱ディスクに対して両側の外周縁部63を研削加工することにより、二つの円錐台61の斜面が交差して円周稜線62が形成される。円錐台61の斜面はその中心線平均粗さRaが0.45μm以下になり、円周稜線62は凹凸の中心線平均粗さRaが0.40μm以下になるように、使用される砥石の粒度が選定される。円錐台61の斜面及び円周稜線62の表面粗さを抑えることにより、形成されるスクライブラインはその幅が狭く一定のものとなる。
次いで、円周稜線62に切欠き64を形成する。切欠き64を形成する一例としては、レーザー光の照射によって円錐の軸線方向からみた形状がV字形状となる切欠き64を外周縁部63に形成する。この方法によれば、V字の中心角度を変えることによって、突起65の高さを一定に保持したまま、切欠き64の円周方向の長さaと突起65の円周方向の長さbを容易に調整することができる。
スクライビングホイール34の外径、切欠き64のピッチ、切欠き64の円周方向の長さaと突起65の円周方向の長さb、切欠き64の深さ及び外周縁部63の収束角度(α)等のスクライビングホイール34の仕様は、切断対象の脆性材料の種類、厚さ、熱履歴及び要望される脆性材料分断面の品質等に応じて適宜決定される。
スクライビングホイール34の条件の一例としては、ホイールの外径が1〜20mm、切欠き64のピッチが20〜5000μm、切欠き64の深さが0.5〜5μmであり、円周稜線62の収束角度が85〜140°である。より好ましいスクライビングホイール34の条件としては、ホイールの外径が1〜5mm、切欠き64のピッチが20〜50μm、切欠き64の深さが1〜3μmであり、円周稜線62の収束角度が100〜130°である。
一般に、切欠き64の深さの深いスクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料に対するかかり(特にクロススクライブ時の交点とびの少なさ)が良好になる傾向があり、例えば、脆性材料に対するかかりの点からは、切欠き64の深さは、例えば2〜3μmであることが好ましい。一方、切欠き64の深さの浅いスクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料の分断面の品質(端面強度)が向上する傾向がある。端面強度の点からは、切欠き64の深さは、例えば、1〜2μmであることが好ましい。
一般に、切欠き64のピッチの短い(分割数の多い)スクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料に対するかかりが向上する傾向がある。脆性材料に対するかかりの点からは、切欠き64のピッチは、例えば20〜1000μmであることが好ましく、貼合わせガラス基板を分断する場合に特に好適である。一方、切欠き64のピッチの長い(分割数の少ない)スクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料の分断面の品質(端面強度)が向上する傾向があり、スクライビングホイール34の製造の容易さの点からも、例えば、1000〜5000μmであることが好ましく、原料素板の単板を分断する場合に特に好適である。
一般に、貼合せガラス基板の分断には、外径の小さいスクライビングホイール34を使用することが好ましく、例えば、外径が1〜4mmのスクライビングホイール34が好適である。一方、原料素板である単板の分断には、外径が大きいスクライビングホイール34を使用することが好ましく、例えば、外径が4〜20mmのスクライビングホイール34が好適である。
一般に、切欠き64の円周方向の長さが長いスクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料に対するかかりが良好になる傾向があり、脆性材料のかかりの点からは、切欠き64は、その円周方向の長さが4〜14μmの範囲であり、より好ましくは7〜12μmの範囲である。一方、切欠き64の円周方向の長さが短いスクライビングホイール34を使用することにより、脆性材料の分断面の品質(端面強度)が向上する傾向がある。脆性材料の分断面の品質の点からは、切欠き64はその円周方向の長さが1〜6μmの範囲であり、より好ましくは1〜5μmの範囲である。
図13に示されるように、切欠き64は、回転軸60の軸線方向からみた形状が概略台形であってもよい。切欠き64が台形のスクライビングホイール34であれば、台形の底辺69の長さa´を変えることによって、突起65の端部65aにおける接線が切欠き面68と交わる角度を変えることなく、切欠き64の深さhを一定に保持したまま、切欠き64の円周方向の長さaと突起65の円周方向の長さbを容易に調整することができる。なお、図13では、切欠き64における台形の底辺69を便宜的に直線としたが、円弧であってもよい。切欠き64の例示として、回転軸60の軸線方向からみた形状が略V字形状や台形を示したが、本発明では特にこれらに限定されることなく、円弧状、略U字状であってもよい。
上記の実施の形態では、スクライビングホイール34を軸支するためのピンが貫通される軸孔を有するディスク状のスクライビングホイール34を例示したが、図12に示したように、ピンが一体的に形成された一体型のスクライビングホイール34を用いる場合も本発明に含まれる。
以下に本発明の一実施形態のスクライブ方法を図1を用いて説明する。上記に記載のスクライビングホイール34を用意し、スクライブヘッド24に装着する。そして、テーブル11上に脆性材料基板Wを載せ、テーブル11に脆性材料基板Wを吸着させる。位置決めのために、CCDカメラ等の撮影素子が脆性材料基板W上のアライメントマークを読み取る。制御装置は、撮影素子が読み取ったアライメントマークの位置情報に基づいて、X軸移動機構25、Y軸移動機構13、θ軸回転機構18を操作し、脆性材料基板Wの位置決めをする。脆性材料基板Wの位置決めが終了した後、制御装置がX軸移動機構25及びY軸移動機構13を操作し、スクライブヘッド24を脆性材料基板W上のスクライブ開始点へ移動させる。
次に制御装置は、図2に示されたZ軸移動機構28を操作して、スクライブヘッド24を降下させ、スクライブヘッド24のスクライビングホイール34を脆性材料基板Wの表面に当接させる。制御装置は、スクライビングホイール34を脆性材料基板Wの表面に当接した後も、所定の切り込み深さになるまでZステージ29を僅かに降下させる。なおスクライブヘッド24は、スクライビングホイール34が脆性材料基板Wの表面に当接した時点で降下しないようにする。
次に制御装置は、荷重印加シリンダ32を作動させ、スクライビングホイール34を脆性材料基板Wに所定の圧力で押し付ける。この状態で制御装置は、振動アクチュエータ35を動作させ、スクライビングホイール34に振動を付与する。制御装置は、振動アクチュエータ35を動作させるのと同時にX軸移動機構25を動作させ、スクライブヘッド24をX方向に移動させる。以上により、脆性材料基板Wの表面にスクライブラインが形成される。
図14は、脆性材料としてのガラス基板への食い付き、垂直クラック、水平クラックの観点からみたスクライビングホイール34の特性の比較を示す。非常に優れているものから劣るものへと順番に◎→○→△→×のマークにて評価がなされている。P刃はガラス基板への食い付き、垂直クラックの浸透のいずれも良好であるが、強度低下の要因となる水平クラックが発生しやすい。A刃は、ガラス基板への食い付きが良好で、水平クラックが発生しにくいが、垂直クラックを深く形成することができない。N刃は、水平クラックが良好であるが、ガラス基板への食い付きが悪く、また深い垂直クラックを形成することができない。
ガラス基板への食い付きの安定性という面で問題のないA刃を用い、なおかつA刃に振動を付与することで、ガラス基板にダメージを与えることなく、垂直クラックを深く浸透させることができる。よって、ガラスへの食い付き、垂直クラック、水平クラックのいずれも良好なスクライブラインが得られる。P刃を用いる場合は、振動を付与しなくとも垂直クラックを深く形成することができるため、実用上振動を付与する必要性はなく、振動を付与したとしても、強度低下の要因となる水平クラックが多量に発生してしまうことになる。
本実施形態においては、荷重印加シリンダ32が振動させていない状態のスクライビングホイール34を0.1〜0.3MPaの圧力で前記脆性材料基板Wに押し付ける。そして、振動アクチュエータ35は、脆性材料基板Wの表面から離れた状態のスクライビングホイール34を5〜20μmの振幅で振動させる条件で、かつ1〜5kHzの周波数で加工時に振動させる。脆性材料基板Wの表面から離れた状態のスクライビングホイール34の振幅は、レーザー変位計によって測定することができる。スクライビングホイール34の振動周波数は、振動アクチュエータ35に供給される交流周波数から求めることができる。
図15ないし図20は、実際に硬質ガラスをスクライブしたときの実験データを示す。
図15〜図20において、図中の記号はスクライブラインが以下の状態であることを意味する。
×:分離不可、又は破壊。
▲:リブマーク形成なし、又は形成不安定。
△:クラックは浅いがリブマークが飛ばずに形成。
○:P刃並ではないがクラックがしっかり形成。
◎:P刃並にクラックが形成。
☆:吸着解除後自然分離、又は触っただけで分離。
D:断面不良(疵,うねり)。
C:チッピング発生。
図15は、振動を付与させたA刃を用いてt(厚み)=0.7mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データを示す。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.7、振動ヘッド:連結タイプ(図3参照)、スクライブ条件:荷重 0.18MPa (12.6N)、速度 300mm/s,切込量 0.15mm。
図15の実験データにおいては、硬質ガラスの表面から離れた状態のA刃先の変位量(振幅)、荷重及び周波数を変化させている。図15から、5μm以上の変位量があれば、周波数にかかわりなく垂直クラックをしっかり形成できること、特に10μm以上の変位量があれば、周波数の選定により、高浸透クラックの形成やフルカットができることがわかった。
図16は、振動を付与させたA刃を用いてt=0.5mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データを示す。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.5、振動ヘッド:連結タイプ(図3参照),分離タイプ(図4参照)、スクライブ条件:速度 300mm/s,切込量 0.15mm、振動なし、振動あり(2.0kHz,縦変位量10μm)。
スクライブヘッド24,44には図3に示される連結タイプと、図4に示される分離タイプを用いた。この図16から、いずれのタイプのスクライブヘッドでも、振動を付与することにより、深い垂直クラックを形成することができることがわかった。
図17は、振動を付与させたA刃を用いてt=0.5mmの硬質ガラスをクロスカットしたときの実験データを示す(連結タイプのスクライブヘッド)。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.5、振動ヘッド:連結タイプ、スクライブ条件:速度 300mm/s,切込量 0.15mm、振動なし、振動あり(2.0〜4.0kHz,10μm)。
この図17から、2.0kHz以上の振動を付与する場合、4.0kHz以下の低周波数でも、振動なしの場合よりも、より低荷重領域でクロス飛びが0%になること、クロス飛び0%領域は周波数が高くなるほど低荷重方向へシフトすることがわかった。
図18は、振動を付与させたA刃を用いてt=0.5mmの硬質ガラスをクロスカットしたときの実験データを示す(分離タイプのスクライブヘッド)。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.5、振動ヘッド:分離タイプ、スクライブ条件:速度 300mm/s,切込量 0.15mm、振動なし、振動あり(2.0〜5.0kHz,10(7)μm)
この図18から、振動の付与によって低荷重領域でクロス飛びが0%になること、連結タイプと比較しても顕著な差が見られないことがわかった。
図19は、振動を付与させたA刃を用いてt=0.5mmの硬質ガラスをスクライブしたときの各ヘッドのスクライブ特性を比較した実験データを示す。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.5、スクライブ条件:速度 300mm/s,切込量 0.15mm、振動条件:振動なし,振動あり(2.0kHz,縦変位量10μm)
いずれのスクライブヘッドにおいても、振動を付与することで、垂直クラックが深くなる荷重領域が低くなることがわかった。
図20は、振動を付与させたA刃を用いてt=0.5mmの硬質ガラスをスクライブしたときの実験データを示す。実験条件は以下のとおりである。先端工具:A刃 φ2.0×0.65×φ0.8 130°、ワーク:硬質ガラス t0.5、振動ヘッド:連結タイプ、スクライブ条件:荷重0.06〜0.36MPa(5.0〜27.3N) 0.02MPa毎、速度300mm/s,切込量0.15mm、超高分子ポリエチレン多孔質フィルム(サンマップ(商品名)t0.2mm)をガラス下部に貼り付け、振動条件:振動なし,振動あり(2.0,4.0kHz,縦変位量10μm)。
t=0.5mmの硬質ガラスには、超高分子ポリエチレン多孔質フィルムが貼られる。図20から、変位量10μmの振動を付与すると切断荷重領域が拡大すること、周波数が高くなると切断荷重領域が低荷重方向へシフトすることがわかった。
本明細書は、2007年4月12日出願の特願2007−105372に基づく。この内容はすべてここに含めておく。

Claims (3)

  1. 回転軸を共有する二つの円錐の底部が交わって円周稜線が形成され、この円周稜線に沿って円周方向に交互に複数の切欠き及び突起が形成され、前記突起は前記円周稜線が切り欠かれて残った円周方向に長さを有する前記円周稜線の部分で構成され、前記切欠きの円周方向の長さは前記突起の円周方向の長さよりも短いスクライビングホイールと、
    前記スクライビングホイールが前記回転軸の回りを回転できるように前記スクライビングホイールを保持すると共に、前記スクライビングホイールを脆性材料基板の表面に対して交差する方向に振動させる振動アクチュエータを有するスクライブヘッドと、
    前記スクライブヘッドを前記脆性材料基板の表面に沿って移動させる移動機構と、
    を備えるスクライブ装置であって、
    前記振動アクチュエータは、前記スクライビングホイールが前記脆性材料基板の表面から離れた状態において、前記スクライビングホイールを5〜20μmの振幅、1〜3kHzの周波数で振動させ、
    前記スクライブ装置はさらに、前記スクライビングホイールを0.1〜0.3MPaの圧力で前記脆性材料基板に押し付ける加圧機構を備え、
    前記振動アクチュエータは、磁気ひずみの特性を利用して、電気振動を機械振動に変換する超磁歪素子を有するスクライブ装置。
  2. 前記スクライブヘッドは、
    前記振動アクチュエータが取り付けられる本体部と、
    前記スクライビングホイールが前記回転軸の回りを回転できるように保持するホルダと、
    前記振動アクチュエータの振動を前記ホルダに伝達すると共に、外周面に軸線方向に伸びる転動体転走溝が形成されるスプラインシャフトと、
    前記本体部に設けられ、前記スプラインシャフトの前記転動体転走溝に対向する軸線方向に伸びる負荷転動体転走溝を含む転動体循環経路を有し、前記スプラインシャフトが振動するのを案内するスプライン外筒と、
    前記スプライン外筒の前記転動体循環経路に配列される複数の転動体と、を備えることを特徴とする請求項に記載のスクライブ装置。
  3. 回転軸を共有する二つの円錐の底部が交わって円周稜線が形成され、この円周稜線に沿って円周方向に交互に複数の切欠き及び突起が形成され、前記突起は前記円周稜線が切り欠かれて残った円周方向に長さを有する前記円周稜線の部分で構成され、前記切欠きの円周方向の長さは前記突起の円周方向の長さよりも短いスクライビングホイールを、磁気ひずみの特性を利用して電気振動を機械振動に変換する超磁歪素子を用いて、脆性材料基板の表面に対して交差する方向に振動させながら、前記スクライビングホイールを前記脆性材料基板の表面上を転動させ、
    前記スクライビングホイールを1〜3kHzの周波数で、かつ前記脆性材料基板の表面から離れた状態では5〜20μmの振幅となる条件で振動させながら、前記スクライビングホイールを0.1〜0.3MPaの圧力で前記脆性材料基板に押し付ける脆性材料基板のスクライブ方法。
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