JP5493521B2 - トンネル照明システム - Google Patents
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Description
また、高圧金属蒸気放電ランプは、通常、調光率を下げた状態で点灯することはできず、100%の明るさで点灯させてから一定時間が経過して安定した後でないと調光することができない。したがって、野外輝度の上昇に合せて照明器具を点灯させると、点灯当初に入口照明が明るくなり過ぎる。
このように、点灯/消灯直後から安定動作するまでに時間を要する照明器具を入口照明に用いる場合、野外輝度に合せて照明器具を点灯又は消灯させたときに、該野外輝度の変化に適した入口照明ができないことがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、照明器具を安定動作させつつ、トンネルの入口照明の明るさを野外輝度の変化に適した明るさに維持することができるトンネル照明システムを提供することを目的とする。
また、トンネルコントローラは、点灯中の照明器具の全てが最小調光されているときに前記野外輝度が低下した場合、点灯中の各照明器具による明るさを維持するように1又は複数台の照明器具を消灯するとともに野外輝度に応じて上昇可能な調光率の照明器具及び野外輝度に応じて下降可能な調光率の照明器具を含むように点灯中の他の照明器具の一部又は全部の調光率を調整した後、前記野外輝度の低下に応じた分だけ点灯中の照明器具の調光率を下げるようにした。
これにより、照明器具を消灯後、野外輝度が直ぐに上昇した場合には、消灯中の照明器具を新たに点灯せずとも点灯中の照明器具の調光率を高めることで対応することができる。一方、照明器具を消灯後、野外輝度が更に低下した場合でも他の照明器具を消灯せずとも点灯中の照明器具の調光率を低めることで対応することができる。これにより、照明器具を安定動作させつつ、野外輝度の変化に対して十分に追従した入口照明が実現される。
また本発明によれば、トンネルコントローラは、同一グループ内の点灯中の照明器具の全てが最大調光されているときに野外輝度が上昇した場合、前記点灯中の各照明器具による明るさを維持するように、消灯中の1又は複数台の照明器具を100%の明るさで点灯しつつ点灯中の各照明器具による明るさを維持するように消灯中の1又は複数台の照明器具を100%の明るさで点灯するとともに野外輝度に応じて上昇可能な調光率の照明器具及び野外輝度に応じて下降可能な調光率の照明器具を含むように点灯中の他の照明器具の一部又は全部の調光率を調整した後、野外輝度の上昇に応じた分だけ点灯中の照明器具の調光率を上げるようにした。
これにより、点灯直後から調光可能な程度に安定動作するまでに一定時間を要する照明器具を新たに点灯させる場合には常に100%の明るさで点灯させることができ、また、該点灯によってグループ内の明るさが急激に変化することなく連続的に変化させることができ、入口照明の明るさを野外輝度の変化に適した明るさに維持することができる。さらに、その後の野外輝度の変化に対し新たに照明器具を点灯/消灯させることなく点灯中の照明器具で対応することができる。
図1は、本実施形態に係るトンネル照明システム1の構成を模式的に示す図である。
この図に示すトンネル照明システム1は、対面通行のトンネル2を照明するシステムである。なお、以下の説明では、後述のトンネルコントローラ2が設置されている側である図中左側のトンネル坑口を起点側、右側のトンネル坑口を終点側と定義する。トンネル照明システム1は、トンネル照明として基本照明及び入口照明を行うために、基本照明用の多数の照明器具4と、起点側及び終点側の入口照明用の多数の照明器具6とを備えている。さらに、トンネル照明システム1は、入口照明の制御及びトンネル照明の管理のために、野外輝度センサ10と、トンネルコントローラ12と、管理端末14とを備えている。
トンネルコントローラ12は、トンネル2に併設された電気室3に設置され、照明器具4、6を制御するとともに、野外輝度に応じて照明器具6を調光制御して入口照明を行う。管理端末14は、遠隔地にある管理事務所5に設置され、トンネルコントローラ12にイントラネット7を介して相互に通信可能に接続され、トンネルコントローラ12から各照明器具6の動作状態を取得して各照明器具6の故障や異常発生を監視する。なお、トンネルコントローラ12と管理端末14との間は、イントラネット7に限らず、例えばインターネット等の任意の電気通信回線を用いることができる。
なお、照明器具4がトンネルコントローラ12と通信する通信機能を備え、該トンネルコントローラ12が各照明器具4を個別に制御可能とし、深夜などの明るさを低くできる時間帯に間引き点灯してもよい。
これら照明器具6のうち、トンネル2の起点側から見て両壁面の先頭の照明器具6がそれぞれトンネルコントローラ12に伝送信号線20を介して接続され、各壁面の残りの照明器具6が、それぞれの壁面で、取付位置の順に直列(いわゆる、ディジーチェーン状態)に接続される。なお、トンネルコントローラ12と照明器具6までの通信距離を短縮すべく、トンネルコントローラ12からみて最短の照明器具6が接続される。また、起点側及び終点側の照明器具6には、それぞれ同一の器具内ユニット56(図3)が搭載されている。
トンネルコントローラ12は、大別すると、野外輝度入力部32と、照明器具通信部34と、イントラネット通信部36と、端末接続部38と、これらを中枢的に制御する制御部30とを備え、制御部30は、調光制御部40と、アドレス設定部42と、状態検知部44とを備えている。
アドレス設定部42は、作業者端末22からの指示を受け、照明器具6のそれぞれにアドレスを自動的に設定する。すなわち、本実施形態では、作業者が照明器具6をトンネル2に設置した後に、作業者端末22をトンネルコントローラ12に接続することで、該作業者端末22からアドレスを設定できる。このとき、照明器具6のそれぞれには、アドレスがトンネル2での配置位置と所定の関係を満たすように自動的に設定されるが、これについては後に詳述する。
この図に示すように、照明器具6は、光源としてのランプ50と、電子安定器52と、制御電源DC54と、各種電気回路を内蔵した器具内ユニット56とを備えている。
ランプ50には、高圧ナトリウムランプやセラミックメタルハライドランプ、水銀ランプ等の高圧金属蒸気放電ランプが用いられている。電子安定器52は、ランプ50の明るさを連続的に可変可能に構成され、器具内ユニット56の制御の下、明るさを最小の調光率(本実施形態では50%)から最大の調光率(本実施形態では100%)の間で可変する。この最小の調光率は、ランプ50が安定的な点灯状態を維持する下限値でありランプ50の種類や特性によって、その値は異なる。また最大の調光率は設定上限値に相当する。なお、各照明器具6の具体的な調光制御については後に説明する。
制御電源DC54は、トンネル2設けられた照明電源AC9に接続され、該照明電源AC9から供給される交流電力を直流電力に変換し、器具内ユニット56に動作電力として供給する。
上流側送受信部62は上流側の直上の照明器具6、或いは、トンネルコントローラ12からみて先頭(起点側)の照明器具6にあっては該トンネルコントローラ12と伝送信号線20を介して接続され、上流側の照明器具6又はトンネルコントローラ12が、いわゆる親機として機能したときに子機として機能し、この親機と1対1に通信する。下流側送受信部64は下流側の直下の照明器具6と伝送信号線20を介して接続され、下流側の照明器具6が子機として機能するときに親機として機能し、この子機と1対1に通信する。CPU60は、上流側送受信部62が通信データを上流側から受信した場合、該通信データを下流側送受信部64から下流側に向けて送信させ、また、これとは逆に、下流側送受信部64が通信データを下流側から受信した場合、該通信データを上流側送受信部62から上流側に向けて送信させる、いわゆるリレー動作を行う。これによりトンネルコントローラ12から送信された通信データは、該トンネルコントローラ12からみて先頭(起点側)の照明器具6からバケツリレー方式に下流側(終点側)の各照明器具6に順番に送られることとなる(以下、「1対1送り方式」と言う)。
調光出力部68は、トンネルコントローラ12からの調光指令に基づいて、ランプ50の明るさが50%調光〜100%調光の間で調光されるように電子安定器52を駆動する。リレー出力部70は、CPU60の制御の下、電子安定器52への電力供給を制御することでランプ50を点灯/消灯する。
この図に示すように、作業者は、先ず、各照明器具6を、トンネル2の所定の位置に取り付ける(ステップSa1)。上述の通り、照明器具6はそれぞれ同一構成を成し、また、アドレスが設定されていない事から、作業者は、これら照明器具6を区別することなく取付位置に取り付ければよいことになる。なお、照明器具6に事前にアドレスなどを付して、取付位置を作業者に示唆する構成としてもよい。
調光テーブル80は、入口照明の調光パターンを示し、野外輝度と各照明器具6の明るさとの対応関係を規定する。調光テーブル80の設定データは、図2に示すように、調光制御部40に記憶され、調光制御部40の調光制御時に参照される。この調光パターンについては、後に詳述する。
そこで、本実施形態では、トンネルコントローラ12の通信可能距離Rを超えない位置に取り付けられている照明器具6のうちの最後尾の照明器具6が中継器6Aとして動作するとともに、該中継器6Aから下流の照明器具6との間では中継器6Aとの間でマルチドロップ方式により通信を行う。これにより、トンネルコントローラ12の通信可能距離を超える長いトンネル2であっても、トンネルコントローラ12と各照明器具6の間での通信を可能にし、また、中継器6Aと下流側の照明器具6がマルチドロップ方式で通信することで高速な通信が維持できる。
すなわち、トンネルコントローラ12から各照明器具6に対して指示を送り、通信方式を1対1送り方式に切り替えさせた後、アドレス設定部42は、これら照明器具6の起点側からみて先頭の照明器具6に対し、自身へのアドレス設定を指示するアドレス設定指示を送信する。これにより該アドレス設定指示が各照明器具6の間でバケツリレー方式に順次下流側(終点側)に送られる。このとき、トンネルコントローラ12は、アドレスの初期値をアドレス設定指示に含めて送信する。また、照明器具6は、それぞれアドレス設定指示を下流側に送信する際、自身が設定したアドレスの値を含めて送る。一方、アドレス設定指示を受信した照明器具6は、該アドレス設定指示に含められたアドレスの値に所定値(例えば「1」)を加えた(或いは減じた)アドレスを自身に設定する。これにより、各照明器具6には、トンネルコントローラ12の側から順にアドレスが単調に増加又は減少するように各照明器具6に自動的に設定される。
なお、照明器具6に、最後尾の器具を設定するディップスイッチ等を設け、各照明器具6が該設定を検出することで、自身が最後尾であるか否かを判断してもよい。
すなわち、アドレス設定完了通知とともに受信したアドレスが所定の値と異なっていた場合には、例えば伝送信号線20や電力線の配線ミスや初期不良等により照明器具6が受信応答を返さなかったと考えられ、これにより、照明器具6の故障や異常、施工不良を発見することができる。また、アドレス設定完了通知を送信した照明器具6のアドレスに基づいて、先頭から何番目の照明器具6が最後尾として動作したかが分かるため、故障や異常、施工不良箇所の照明器具6を容易に特定することができる。
また、途中の照明器具6が中継器6Aとして動作することで、トンネルコントローラ12の通信可能距離Rを超える長いトンネル2であっても、トンネルコントローラ12と通信可能距離R以上に離れた各照明器具6の間での通信を可能にし、また、中継器6Aの照明器具6と、該中継器6Aよりも下流側の照明器具6がマルチドロップ方式で通信することで高速な通信を維持できる。
照明器具6は、それぞれランプ50の点灯を開始すると、初期照度補正のためにランプ50の点灯時間を計測し、累積点灯時間を積算する(ステップSb1)。ランプ50の点灯時間は、リレー出力部70のON時間により計測される。
一方、トンネルコントローラ12は、各照明器具6を調光制御することで、入口照明を行う。すなわち、トンネルコントローラ12は、トンネル坑口の野外輝度を野外輝度センサ10から取得し、この野外輝度と上記調光テーブル80とに基づいて調光制御部40が各照明器具6の調光率を決定し、これらの照明器具6のアドレス宛に調光率を送信する(ステップSb2)。
各照明器具6は、調光率をトンネルコントローラ12から受信すると、この調光率に応じてランプ50の明るさを調光する(ステップSb3)。具体的には、各照明器具6は、トンネルコントローラ12が指示した調光率に、ランプ50の累積点灯時間に基づく調光率を乗じて初期照度補正を加味した調光率を算出し該調光率で調光する。これにより、ランプ50の累積点灯時間にかかわらず、過不足のない所定の明るさが維持される。
なお、初期照度補正を加味した調光率を各照明器具6が算出する構成に代えて、トンネルコントローラ12が初期照度補正を加味した調光率を算出し、該調光率を各照明器具6に送信する構成としてもよい。
運用中において、トンネルコントローラ12の動作に異常や故障が発生すると(ステップSc1)、各照明器具6は、トンネル2内の明るさを維持して危険を回避するために100%の明るさで点灯する。トンネルコントローラ12の動作異常や故障は、各照明器具6がトンネルコントローラ12から通信データ(例えば、上記ステップSb4の状態確認のための通信データ)が送信されているか否かを監視することで検出される。なお、各照明器具6においては、上流側送受信部62及び下流側送受信部64の動作不良に起因して、トンネルコントローラ12からの通信データが受信されなかったときにも、これをCPU60が検知して、100%の明るさで点灯する。
なお、中継器6Aの照明器具6に異常等が発生して、下流側の照明器具6がトンネルコントローラ12と通信不能になった場合には、トンネルコントローラ12との通信が開始されるまでの間、上記ステップSc1に述べたように、各照明器具6が100%の明るさで点灯し、トンネル2が暗くなるのを防止する。
そして、異常等が発生した照明器具6の制御基板、或いは、照明器具6自体を作業者が交換した場合、この照明器具6にアドレスを設定すべく、オートセットアップをやり直す(ステップSc6)。このオートセットアップでは、各照明器具6に対してトンネルコントローラ12が指示を出して通信方式を1対1送り方式に切り替えさせた後、施工時のステップSa4で説明したアドレスの自動設定が行われることとなる。
図7はトンネル照明システム1の照明器具4、6の配置及びトンネル2内の設計輝度を示す図であり、図7(A)はトンネル2内の基本照明用の照明器具4と入口照明用の照明器具6との配置例を示し、図7(B)はトンネル2内の設計輝度を示す。
なお、図7は、設計速度60km/h、野外輝度3300cd/m2、道路幅員7m、取付高さ5mで基本照明用の照明器具4の灯具間隔(基本スパン)19m、コンクリート路面にて設計を行った場合を示している。
図7(A)に示すように、トンネル2には、トンネル坑口側から所定間隔Mで基本照明用の照明器具4が配置されており、この所定間隔Mの間に1又は複数台(図示例では1〜8台)の入口照明用の照明器具6が配置されている。基本照明用の照明器具4同士の間に配置された1又は複数台の照明器具6ごとにグループGが構成され、各グループGの路面を同一グループGに属する各照明器具6が照明する。また同一のグループGに属する照明器具6が全て同じ出力のランプ50を備えて構成されている。
なお、同図に示すように、基本照明用の照明器具4は夜間に1台おきに消灯され、これにより省エネルギー化が図られている。
本実施形態の調光を説明する前に、従来の調光を説明する。
図8は、図7と同様な条件で設計した場合の照明器具の配置及び設計輝度を示す図である。図8に示すように、従来においては、同一グループGには、ワット数の異なる入口照明用の照明器具Qを組み合わせて配置し、これら照明器具Qを適宜に間引き点灯することで、設計輝度T1、T1A、T2、T2Aの4段階に輝度を可変にしている(4段階調光)。
しかしながら、従来の調光では、4段階の設計輝度T1、T1A、T2、T2Aを実現するために、各グループGの照明に、ワット数の異なる複数種類(図8(A)の例では5種類(基本照明を除く))の照明器具Qを用いる必要があり、また、種類の増加に合せて灯数も多く必要となるため(図8(A)の例では122台)、装置コストがかかるという問題がある。また、これら照明器具Qを、同じ設計輝度T1、T1A、T2、T2Aで点灯/消灯するものごとに配線ケーブルで接続する必要があるため、配線ケーブルの数が多くなる、という問題がある。
上述の通り、各グループGでは、それぞれに設定された設計輝度T1から設計輝度T2の間で野外輝度に応じた調光が行われる。このとき、本実施形態では、照明器具6がそれぞれリニア(無段階)に調光可能に構成されているため、各グループGでは、野外輝度の変化に合せてリニア(無段階)に路面輝度を変化させることができる。これにより、例えば4段階調光に対しては、同図の斜線部分で示した分だけ、無駄な明るさが減り、省エネルギー化及び省コスト化が実現できる。特に、図7に示す本実施形態の構成と図8に示す従来構成とでトンネル照明に要する年間電気料金を比較すると、従来の年間電気料金が229万円であるのに対して本実施形態では年間電気料金が92万円となり、年間電気料金を約40%にまで圧縮することができる。
なお、図9に示すリニアな調光パターンが、図2に示す調光テーブル80に規定され、トンネルコントローラ12の調光制御部40により参照される。
さらに、高圧金属蒸気放電ランプは、通常、調光率を下げた状態で点灯することはできず、100%の明るさで点灯させてから一定時間が経過して安定した後でないと調光することができない。したがって、野外輝度の上昇に合せて照明器具6を点灯させると、入口照明の明るさが高くなり過ぎる。
そこで本実施形態では、野外輝度の変化に合せた適切な明るさの入口照明を実現するために、照明器具6の点灯/消灯を次ぎのように制御している。
図11に示すように、野外輝度が低下した場合、トンネルコントローラ12は、グループGのいずれかの照明器具6の調光率を下げて入口照明の明るさを下げる。このとき、トンネルコントローラ12は、最小調光(本実施形態では50%)以外で点灯している照明器具6が存在するか否かを判断し(ステップSd1)、存在する場合には(ステップSd1:YES)、その照明器具6の調光率を低下させて入口照明の明るさを低くする(ステップSd2)。図12(A)に示す例では、アドレス(3)、(4)、(8)のいずれかの照明器具6の調光率が下げられることとなる。
図12(B)の例では8台が最小調光で点灯中であるため、図12(C)に示すように、約1/3に相当する3台(アドレス(2)、(5)、(7))が消灯し、これと同数の3台(アドレス(3)、(6)、(8))が最大調光(100%調光)にされ、残余の2台(アドレス(1)、(4))が最小調光(50%調光)にされる。
この消灯遅延処理においては、トンネルコントローラ12は、野外輝度が低下した場合(ステップSf1)、照明器具6の消灯が必要になったか否かを判断する(ステップSf2)。照明器具6の消灯が必要でない場合(ステップSf2:NO)、すなわち、同一グループG内に、最小調光以外の照明器具6が存在する場合には、図11のステップSd2に処理手順を移し、この照明器具6の調光率を下げて野外輝度の低下に対応する。一方、照明器具6の消灯が必要な場合(ステップSf2:YES)、トンネルコントローラ12は、直ぐに消灯を行わずに、各照明器具6の調光率を現状のまま維持し(ステップSf3)、この時かあら設定時間(例えば20分)が経過する間に野外輝度が復帰しなかった場合に、照明器具6の調光を開始する(ステップSf4)。この調光においては、図11に示したステップSd3以降の処理が行われる。
この消灯遅延処理により、例えば一時的に太陽が雲に隠れて直ぐに野外輝度が復帰した場合には、再点灯までに一定時間を要する照明器具6を点灯状態のまま維持することができる。
図14は、大幅低下時遅延処理のフローチャートである。
この大幅低下時遅延処理においては、トンネルコントローラ12は、野外輝度が低下した場合(ステップSg1)、時間あたりの野外輝度の低下量に基づいて野外輝度低下が大幅なものか否かを判断する(ステップSg2)。野外輝度低下が大幅でない場合(ステップSg2:NO)、図11のステップSd1に処理手順を移し、この野外輝度低下に合せた調光を行う。一方、野外輝度低下が大幅である場合(ステップSg2:YES)、トンネルコントローラ12は、直ぐに調光を行わずに、各照明器具6の調光率を現状のまま維持し(ステップSg3)、この時かあら設定時間(例えば20分)が経過する間に野外輝度に変化がなかった場合に、照明器具6の調光を開始する(ステップSg4)。この調光においても図11に示したステップSd1以降の処理が行われる。
これにより、野外輝度の検出値の急激な変化に対し、入口照明の明るさの変化を緩慢にすることができる。また、野外輝度センサ10が何かに遮蔽されることで野外輝度が一時的に急激に変動した場合でも、この野外輝度の変化に合せて入口照明の明るさが変化してしまうこともない。
なお、消灯遅延処理及び大幅低下時遅延処理において、設定時間には野外輝度との追従性等を考慮して任意の時間を設定できる。また、消灯遅延処理及び/又は大幅低下時遅延処理を省略して野外輝度に対する入口照明の追従性を高めてもよい。
野外輝度が上昇した場合、トンネルコントローラ12は、グループGのいずれかの照明器具6の調光率を上げて入口照明の明るさを高める。このとき、トンネルコントローラ12は、最大調光(本実施形態では100%)以外で点灯している照明器具6が存在するか否かを判断し(ステップSe1)、存在する場合には(ステップSe1:YES)、その照明器具6の調光率を上げて入口照明の明るさを高める(ステップSe2)。図16(A)に示す例では、アドレス(5)の照明器具6の調光率が上げられることとなる。
図17は、点灯器具選択処理のフローチャートである。
この点灯器具処理においては、トンネルコントローラ12は、野外輝度が上昇し(ステップSh1)、照明器具6にランプ点灯指令を送信する際(ステップSh2)、点灯対象の照明器具6は、ランプ50が消灯してから一定時間(例えば30分)以上経過しているか否かを判断する(ステップSh3)。一定時間が経過している場合には(ステップSh3:YES)、この照明器具6のアドレス宛にランプ点灯指令を送信して点灯させ(ステップSh4)、また、一定時間が経過していない場合には(ステップSh3:NO)、他の一定時間以上経過している照明器具6のアドレス宛にランプ点灯指令を送信して点灯させる(ステップSh5)。
この点灯器具選択処理により、例えば、図16(C)に示すように、アドレス(3)の照明器具6を点灯すべきところ、該照明器具6が消灯してから所定時間が経過していないときには、他の照明器具6(アドレス(6))が代わり点灯する。
図18は、大幅上昇時遅延処理のフローチャートである。
この大幅上昇時遅延処理においては、トンネルコントローラ12は、野外輝度が上昇した場合(ステップSi1)、時間あたりの野外輝度の上昇量に基づいて野外輝度上昇が大幅なものか否かを判断する(ステップSi2)。野外輝度上昇が大幅でない場合(ステップSi2:NO)、図15のステップSe1に処理手順を移し、この野外輝度上昇に合せた調光を行う。一方、野外輝度上昇が大幅である場合(ステップSi2:YES)、トンネルコントローラ12は、直ぐに調光を行わずに、各照明器具6の調光率を現状のまま維持し(ステップSi3)、この時かあら設定時間(例えば20分)が経過する間に野外輝度に変化がなかった場合に、照明器具6の調光を開始する(ステップSi4)。この調光においても図15に示したステップSe1以降の処理が行われる。
なお、点灯器具選択処理及び大幅上昇時遅延処理において、照明器具6の調光を開始するまでの時間には野外輝度との追従性等を考慮して任意の時間を設定できる。また、点灯器具選択処理及び/又は大幅上昇時遅延処理を省略して野外輝度に対する入口照明の追従性を高めてもよい。
上述の通り、点灯中の全ての照明器具6が最小調光のときに、野外輝度の低下に伴い1又は複数の照明器具6を消灯するときには、これらの消灯前後で、グループ内の明かりが変化しないように、複数の照明器具6を最大調光にしつつ、残余の照明器具6を最小調光にするため、図19のように、点灯台数が野外輝度の低下に対して階段状に減少することになる。
これに対して、点灯中の全ての照明器具6が最大調光のときに、野外輝度の上昇に伴い1又は複数台の照明器具6を点灯するときには、これらの点灯前後で、グループG内の明かりが変化しないように、点灯する照明器具6を最大調光にしつつ、点灯中だった他の照明器具6を最小調光にするため、図19のように、点灯台数が野外輝度の上昇に対しても階段状に増加することとなる。
このとき、照明器具6を消灯するときには、点灯中の全ての照明器具6が最小調光になっている状態を基準に消灯し、また、照明器具6を点灯するときには、点灯中の全ての照明器具6が最大調光になっている状態を基準に点灯して、それぞれ点灯台数が増減する。このため、図19に示すように、照明器具6の消灯時と点灯時とで、野外輝度と点灯台数の対応曲線には、いわゆるヒステリシスの関係が生じることとなる。
本実施形態によれば、照明器具6のそれぞれは、トンネルコントローラ12に直列に接続され、該トンネルコントローラ12からのアドレス設定指示を先頭から下流に向けて順に送信するとともに、アドレス設定指示を受信した順番にアドレスが単調に増加又は減少するように自身にアドレスを設定する構成とした。
さらに、各照明器具6には、アドレス設定指示を受信した順番とアドレスとが所定の関係(本実施形態では、単調増加又は減少)を満たすようにアドレスが設定されるため、各照明器具6のアドレスに基づいて、トンネルコントローラ12から何番目に接続されている器具かを特定できる。さらに、アドレスは取付位置とも対応することから、アドレスに基づいて照明器具6の取付位置を特定することも可能となり、保守点検作業が非常に容易となる。
さらに、照明器具6の間の通信方式に1対1送り方式を用いれば、各照明器具6の配置間隔を通信可能距離一杯に延ばすことも可能であり、また、接続台数制限を緩和できる。
この構成により、アドレス設定後は、トンネルコントローラ12と各照明器具6が1対1送り方式よりも高速に通信データを送受可能なマルチドロップ方式により通信を行うこととなり、野外輝度変化に対する追従性の高い調光制御が可能になる。
この構成により、異常等が発生した中継器6Aがマルチドロップ方式に切り替わって通信データを下流側にバイパスするため、新しい中継器6Aが、異常等が発生した前の中継器6Aよりも下流側の照明器具6と通信可能になる。これにより、トンネルコントローラ12が制御不能な照明器具6を、異常等が発生した前の中継器6Aに制限できる。
この構成により、入口照明として、野外輝度に応じたリニアな調光が可能となる。これにより、従来の間引き点灯では、調光の段階数を増やすために、ワット数の異なる複数台の照明器具を組み合わせて使用する必要があったものの、本実施形態によれば、同一のワット数の照明器具6だけで無段階の調光が可能になる。これにより、入口照明に要する器具台数が削減可能になるためコストが抑えられる。また、従来の間引き点灯では、調光の段階ごとに照明器具をグループ化してON/OFFするために、それぞれのグループごとにケーブルで配線する必要があった。これに対して、本実施形態では、照明器具6のそれぞれを個別に調光してリニアな調光を実現するため、ケーブルの数を少なくできる。
この構成により、野外輝度が直ぐに上昇した場合には、消灯中の照明器具を新たに点灯せずとも最小調光の照明器具6の調光率を高めることで対応することができる。一方、野外輝度が低下した場合には、最大調光の照明器具6の調光率を低めることで対応することもできる。
これにより、点灯直後から調光可能な程度に安定動作するまでに一定時間を要する照明器具6を新たに点灯させる場合に、常に100%の明るさで点灯させつつ、該点灯によってグループG内の明るさが急激に変化することなく連続的に変化させることができる。
この構成により、例えば一時的に太陽が雲に隠れた場合など、直ぐに野外輝度が復帰する場合、又は/及び、野外輝度センサ10が何かに遮蔽されることで野外輝度が変動した場合に、照明器具6が消灯してしまうことを防止できる。
この構成により、照明器具6が十分に安定した状態で確実に点灯させることができ、入口照明が不安定になることがない。
なお、図23に示した例では、器具2の調光率を最小調光(本実施形態では50%)に固定しているが、路面の均斉度をよくするために、器具1と器具2の調光率が同様な値となるように、これら器具1及び器具2の調光率を下降もしくは上昇させてもよい。
図25は、グループ内初期照度補正処理のフローチャートである。
トンネルコントローラ12は、入口照明の各照明器具6が消灯している時間帯(図示例では夜中の零時)になった場合(ステップSj1)、前日迄の個々の照明器具6の累積点灯時間に基づいて、図26に示すように、照明器具6ごとに初期照度補正率を算出する(ステップSj2)。次いで、トンネルコントローラ12は、これら初期照度補正率の平均を平均補正係数として算出する(ステップSj3)。そして、トンネルコントローラ12が、この平均補正係数を、グループG内の各照明器具6の調光率に乗じることで、照明器具6ごとに初期照度補正を加味した調光率が算出される。そのとき、平均補正係数を乗じた後の調光率が最小調光を下回る場合は、この下回る分だけ、同一グループG内の他の照明器具6の調光率が下げられることとなる。
例えば、図27(A)に示すように、例えば工場出荷時(初期照度補正率が70%のとき)の光束が41400lmであり累積点灯時間の増加に伴い初期照度補正率が100%に達したときの光束が29800lmである360Wのセラルクスランプをランプ50に備える2つの照明器具6を用いた場合を説明する。
2つの照明器具6の累積点灯時間がそれぞれ異なり、一方の器具Aは累積点灯時間が長く初期照度補正率が100%に達した状態であり、他方の器具Bは累積点灯時間が短く初期照度補正率が70%の状態のときには、100%点灯時の光束は、それぞれ29800lm、41400(lm)となる。
一方、入口照明に必要な明るさ(設計輝度)を光束に換算することで、入口照明に必要な光束を算出することができる。したがって、この光束を満足するように器具A、Bのそれぞれの調光率を最大調光から最小調光の間で決定すれば、入口照明に適切な調光率が算出される。例えば、図27(B)のように、必要な光束が54300(lm)の場合には、(器具Aの調光率、器具Bの調光率)=(100%、50%)、(50%、100%)、(75%、75%)、(約90%、約65%)といったように算出できる。
なお、ランプ50の出力が異なる照明器具6が混在する場合にも、同様に、各照明器具6の光束と、必要な光束に基づいて調光率を算出可能であることは勿論である。
2 トンネル
6 照明器具
6A 中継器
10 野外輝度センサ
12 トンネルコントローラ
16、20 伝送信号線
30 制御部
40 調光制御部
42 アドレス設定部
44 状態検知部
45 通信履歴データ
50 ランプ
52 電子安定器
62 上流側送受信部
64 下流側送受信部
72 通信切替器
80 調光テーブル
82 中継役ポイントアドレス
G グループ
Claims (6)
- トンネル内に配置された複数の照明器具と、前記トンネルの野外輝度に応じて前記照明器具を調光制御するトンネルコントローラとを備えたトンネル照明システムにおいて、
前記照明器具のそれぞれが、最大調光から最小調光の間で調光可能に構成されるとともに、複数のグループにグループ化され、
前記トンネルコントローラは、
同一グループ内の点灯中の照明器具の全てが最小調光されているときに前記野外輝度が低下し、明るさを下げる場合、
前記点灯中の1又は複数台の照明器具を消灯するとともに、
その後の前記野外輝度に応じて上昇可能な調光率の照明器具及び、その後の前記野外輝度に応じて下降可能な調光率の照明器具の両方を含み、かつ、前記1又は複数の照明器具の消灯前の明るさを維持するように前記点灯中の照明器具の一部、又は全部の調光率を調整した後、
前記野外輝度の低下に応じた分だけ、前記調光率を下降可能な点灯中の照明器具の調光率を下げて明るさを低下させる
ことを特徴とするトンネル照明システム。 - トンネル内に配置された複数の照明器具と、前記トンネルの野外輝度に応じて前記照明器具を調光制御するトンネルコントローラとを備えたトンネル照明システムにおいて、
前記照明器具のそれぞれが、最大調光から最小調光の間で調光可能に構成されるとともに、複数のグループにグループ化され、
前記トンネルコントローラは、
同一グループ内の一部の照明器具が消灯し、点灯中の照明器具の全てが最大調光されているときに前記野外輝度が上昇し、明るさを高める場合、
消灯中の1又は複数台の照明器具を100%の明るさで点灯するとともに、
その後の前記野外輝度に応じて上昇可能な調光率の照明器具、及びその後の前記野外輝度に応じて下降可能な調光率の照明器具を含み、かつ、前記消灯中の照明器具を点灯させる前の明るさを維持するように、新たに点灯させた以外の点灯中の照明器具の一部又は全部の調光率を調整した後、
前記野外輝度の上昇に応じた分だけ、前記調光率を上昇可能な点灯中の照明器具の調光率を上げて明るさを高める
ことを特徴とするトンネル照明システム。 - 前記トンネルコントローラは、
前記野外輝度が低下し前記点灯中の照明器具を消灯するとき、前記野外輝度が一定期間の間に回復しなかった場合、又は/及び、前記野外輝度の時間あたりの低下量が所定量以下の場合に、前記点灯中の照明器具を消灯することを特徴とする請求項1又は2に記載のトンネル照明システム。 - 前記トンネルコントローラは、
消灯中の前記照明器具を点灯させる場合、消灯時から一定時間以上経過している照明器具を点灯することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトンネル照明システム。 - 前記トンネルコントローラは、
前記照明器具のそれぞれの累積点灯時間を検出し、該累積点灯時間に応じて各照明器具の初期照度補正を行い調光率を決定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトンネル照明システム。 - 前記トンネル内に基本照明用照明器具が所定間隔で配置され、該所定間隔の間に設けた前記照明器具ごとに前記グループを構成し、同一のグループに属する照明器具を全て同じ出力の光源で構成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトンネル照明システム。
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