JP5493144B2 - 光走査デバイス - Google Patents
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Description
これには光ファイバ先端に可動ミラーを置いて反射光を走査するもの(特許文献1、非特許文献1参照)と、1本の光ファイバを体内に挿入しその先端を機械的に振動させ2次元に動かすことで前方の画像を得る光走査デバイス(特許文献2、非特許文献2参照)がある。
非特許文献2では圧電駆動で光ファイバを振動させているが、バルクの圧電チューブを用いており細径化が難しい。また特許文献2のように巻線による多層コイルを用いた電磁駆動の構成では、コイル径が大きくなり細径化が困難である。
本発明の他の目的は、光走査デバイスにおいて、正面視と側方視機能とを両立させることである。
さらに本発明の他の目的は、動作時における光走査デバイスの表面温度を低減させることである。
(1)円筒チューブと、該円筒チューブ内に挿入され磁石又は磁性体からなるパーツを備えた光ファイバと、該円筒チューブの円筒面に沿って配線されて形成されたコイルとを含み、前記コイルは、絶縁層を介して積層された多層コイルであり、該円筒チューブの周方向に互いにずれて配置されており、電磁駆動によって該光ファイバを走査させることを特徴とする光走査デバイス。
(2)前記コイルは、傾斜コイル又は多重巻きの鞍型コイルであることを特徴とする(1)に記載の光走査デバイス。
(3)前記コイルは、非平面に対応したフォトファブリケーションプロセス又はフレキシブルシート巻き付けのいずれかにより作製されたことを特徴とする(1)または(2)に記載の光走査デバイス。
(4)前記光ファイバに、少なくとも1個の磁石又は磁性体からなるパーツが取り付けられていることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(5)前記磁石からなるパーツの磁化方向は、光ファイバの長軸方向、短軸方向、内外2極、多極、又は等方性のいずれかであることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(6)前記磁石又は磁性体からなるパーツは、機械加工による削り出し又はめっきにより形成されたものであるか、あるいは磁性粉を樹脂で固めたものか、あるいは光ファイバ表面に形成されたコイルに電流を流すことで電磁石として用いるものであることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(7)前記コイルと光ファイバ及び磁石又は磁性体からなるパーツとの間に磁性体コアを有することを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(8)コリメートレンズが光ファイバ端面又は円筒チューブ端面に取り付けられていることを特徴とする(1)ないし(7)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(9)円筒チューブ内壁に鏡面を形成し光導波路としたことを特徴とする(1)ないし(8)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(10)光ファイバ前面にリング形状の傾斜ミラーを付加したことを特徴とする(1)ないし(9)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(11)円筒チューブの周囲に外皮がさらに設けられていることを特徴とする(1)ないし(10)のいずれかに記載の光走査デバイス。
(12)円筒チューブと外皮との間に、空気循環用の空間を有することを特徴とする(1)ないし(11)のいずれかに記載の光走査デバイス。
また本発明によれば、光ファイバ前面にリング形状の傾斜ミラーを付加したため、正面視と側方視機能との両立が可能になる。
さらに本発明によれば、円筒チューブと外皮との間に、空気循環用の空間を有することで、コイルに電流を流した際に発生するジュール熱を排出できるので、光走査デバイスの表面温度を低減することが可能になる。
X-Y方向駆動用コイルは、ソレノイドコイルを傾けた傾斜コイルを用いる。傾斜コイルに電流を流すと、図2に示した方向に磁界が発生する。磁石からなるパーツを取り付けた光ファイバは、永久磁石の磁気モーメントが磁界と揃うように曲がり、光ファイバから出た光を走査する。
本発明に係る磁石からなるパーツとしては、図示した永久磁石のみならず電磁石からなるパーツであってもよい。また磁石からなるパーツのみならず、磁性体からなるパーツであってもよい。
X-Y方向駆動用コイルは、ソレノイドコイルを傾けた傾斜コイルを用いる。傾斜コイルに電流を流すと、図4に実線で示した方向に磁界が発生する。電磁石を取り付けた光ファイバは、電磁石の磁気モーメントが磁界と揃うように曲がり、光ファイバから出た光を走査する。
図5は、光ファイバ表面にレーザ描画露光装置を用いてコイル形状にパターニングされたレジストを示す写真であり、コイルを形成する電解めっきの型として用いられる。図6は、電解めっきにより形成されたコイルの拡大写真である。
図7に示す多重巻きの鞍型コイル形状では、コイルに電流を流すことで磁石又は磁性体からなるパーツがコイルに引きつけられることにより光ファイバが駆動される。
絶縁層を介してコイルを多層化することにより、又はコイルと光ファイバ及び磁石又は磁性体からなるパーツとの間に磁性体コアを置くことにより、効率的に電磁駆動を行い、外径が小さくとも大きな走査角度の光ファイバ電磁駆動を実現できる。
また図9のようにシステム構成することで、共焦点顕微鏡の光学系を形成して観察対象物のある一定深さの面を組織観察レベルで可視化することができる。
さらに図10に示すように、波長走査型光源及び固定参照鏡を追加し、光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の光学系を形成することで、組織断面観察や3次元観察が可能となる。
また図12に示すように、光ファイバ前面にリング形状の傾斜ミラーを設置することで、前方視に加えて側方視を行うことが可能になる。傾斜ミラーは平面以外に例えば凹面形状にしてコリメート機能を持たせてもよい。
図13に示すように円筒チューブと外皮との間にスペーサーを介在させることにより空気循環用の空間を形成させることができる。
すなわち形成された空間により、コイルに電流を流した際に発生するジュール熱を、図13中の矢印の方向に空気を循環させ排出することができる。
なお先端側の外皮端部は、透明部材によりシールされている。
この空間を設け空気を循環させることにより、光走査デバイスの表面温度を41℃以下に保つことができ、光走査デバイスを体内で安全に使用することが可能となる。
ポリイミド円筒チューブを基板とし、電解めっきのシード層となる銅を、回転機構を持ち均一な膜を形成できる円筒面スッパッタ装置を用いてスパッタする(図14の1)。
次に電解めっきの型を作るため、スプレーコータでレジストを均一な膜厚で塗布し、レーザ描画露光装置を用いてコイル形状をパターニングする(図14の2〜3)。
次にレジストを型として電解めっきを行い、その後レジスト除去及び銅シード層をエッチングし、1方向駆動用(1層目)コイルの完成となる(図14の4〜5)。2方向駆動用コイルは、1層目と2層目の間に絶縁層となるパリレンを蒸着し、1層目と同様に作製する(図14の6〜8)。
また図16は、銅による第1及び第2層の傾斜コイルの拡大写真である。
また、コリメートレンズは、外径125μmで長さ790μm、焦点距離750μmのファイバ融着型グリンレンズを使用した。グリンレンズとは、円柱の中心軸に向かって屈折率が大きくなっているレンズで、レンズに入射した光は屈折により曲がってレンズ内を進むことから、光が中心軸に平行になる位置をレンズ端面とすることにより、コリメート光を出射することができる。
なお図17ではコリメートレンズは、光ファイバの先端に配置されているが、円筒チューブ先端の端部に配置してもよい。
±約30mAの交流電流を流したところ、X方向は414Hzで共振し、レンズ先端で±約110μmの振幅を得た(図18左図参照)。Y方向は412Hzで共振し、±約140μmの振幅を得た(図18右図参照)。
またX方向とY方向の位相を90度ずらした状態で正弦波振動させ円を描いた(図19参照)。振幅を変化させ円の直径が変化することを確認した。
図20によれば、表皮から1mm程度奥の真皮まで撮像されていることが分かる。
Claims (12)
- 円筒チューブと、該円筒チューブ内に挿入され磁石又は磁性体からなるパーツを備えた光ファイバと、該円筒チューブの円筒面に沿って配線されて形成されたコイルとを含み、
前記コイルは、絶縁層を介して積層された多層コイルであり、該円筒チューブの周方向に互いにずれて配置されており、
電磁駆動によって該光ファイバを走査させることを特徴とする光走査デバイス。 - 前記コイルは、傾斜コイル又は多重巻きの鞍型コイルであることを特徴とする請求項1に記載の光走査デバイス。
- 前記コイルは、非平面に対応したフォトファブリケーションプロセス又はフレキシブルシート巻き付けのいずれかにより作製されたことを特徴とする請求項1または2記載の光走査デバイス。
- 前記光ファイバに、少なくとも1個の磁石又は磁性体からなるパーツが取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 前記磁石からなるパーツの磁化方向は、光ファイバの長軸方向、短軸方向、内外2極、多極、又は等方性のいずれかであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 前記磁石又は磁性体からなるパーツは、機械加工による削り出し又はめっきにより形成されたものであるか、あるいは磁性粉を樹脂で固めたものか、あるいは光ファイバ表面に形成されたコイルに電流を流すことで電磁石として用いるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 前記コイルと光ファイバ及び磁石又は磁性体からなるパーツとの間に磁性体コアを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- コリメートレンズが光ファイバ端面又は円筒チューブ端面に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 円筒チューブ内壁に鏡面を形成し光導波路としたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 光ファイバ前面にリング形状の傾斜ミラーを付加したことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 円筒チューブの周囲に外皮がさらに設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
- 円筒チューブと外皮との間に、空気循環用の空間を有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の光走査デバイス。
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