以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 生体情報処理装置
1.1 基本構成
図1は、本実施形態の生体情報処理装置の構成例を示す。図1に示すように、生体情報処理装置は、第1の取得部210、解析部220、重み付け部230及び第2の取得部310を含む。第1の取得部210は、生体情報を有する信号(第1の信号)を取得する。
生体情報の範囲には、例えば、脈拍数、心拍数、歩数等が含まれる。脈拍数(広義には、生体情報)を測定する生体情報測定装置は、脈拍計と呼ぶことができ、生体情報処理装置は、例えば、脈拍計に組み込むことができる。脈拍計(広義には、生体情報検出器)が被検査体(ユーザー)の被検出部位に向けて光を発光する発光素子と、被検出部位からの生体情報を有する反射光を受光する受光素子とを含む場合、脈拍計に適用される第1の取得部210は、受光素子において生成される受光信号を取得する。第1の取得部210は、生体情報を有する信号を生成するセンサー部又は生体情報を有する信号を入力する入力部であってもよく、生体情報を有する信号をA/D変換するA/D変換回路をさらに有してもよい。取得部210は、例えば16秒分の生体情報を有する信号(広義には、生体情報を有する波形データ)を解析部220に出力することができる。
被検出部位(例えば、血管)が被検査体の内部にある場合、発光素子が発した光は、被検査体の内部に進み、表皮、真皮及び皮下組織で拡散又は散乱する。その後、発光素子が発した光は、被検出部位に到達し、被検出部位で反射される。被検出部位での反射光は、皮下組織、真皮及び表皮で拡散又は散乱し、その後、受光素子に向かう。なお、発光素子が発した光は、血管で部分的に吸収される。従って、脈動などの血流変化の影響により、血管での吸収率が変化し、被検出部位での反射光の光量も変化する。このように、生体情報(例えば、脈拍数)は、被検出部位での反射光、従って、受光素子において生成される受光信号に反映される。
生体情報処理装置は、受光素子において生成される受光信号(広義には、生体情報を有する信号)を第1の取得部210で取得し、生体情報を有する信号から生体情報を取り出すための解析乃至処理を解析部220で行う。解析部220は、生体情報を有する信号を周波数解析して、複数の周波数に対応する複数のスペクトル値を算出する。解析部220は、生体情報を有する信号(狭義には、受光素子等のセンサー素子において生成される信号)を例えば高速フーリエ変換(広義には、拡散フーリエ変換)によって周波数解析する。
第2の取得部310は、被検査体が運動状態であるか否かに基づいて変化する信号(第2の信号)を取得する。運動状態の範囲には、例えば、被検査体の歩行、ジョギング、体操等だけでなく、被検査体の被検出部位付近の周辺部位(例えば、指、手首)への衝撃、周辺部位の動作等も含まれる。被検査体が運動状態である時の第2の信号の振幅は、被検査体が非運動状態である時の第2の信号の振幅と異なり、第2の信号により、被検査体が運動状態であるか否かを判定することができる。
被検査体が運動状態である時の第2の信号は、変化する一方、被検査体の運動状態に伴う被検出部位(血管)の動きが、例えば周期的な外力として、例えば血管内の血流に影響を与え、脈拍数情報を有する第1の信号は、被検査体の運動状態に伴うノイズ成分(例えば、体動成分)を有してしまう。
解析部220は、周波数解析の結果に基づき、特許文献1の図4(B)に示すようなグラフ(横軸が周波数を表し、縦軸が周波数に対応するスペクトル値を表す)で、複数のスペクトルの分布を表してもよい。本明細書において、特許文献1の図4(B)中の特定の周波数(例えば、IR_FFTの最大値を直線で示す周波数)で表される1本の線をスペクトルと呼び、複数のスペクトルの各々は、横軸成分(周波数)及び縦軸成分(スペクトル値)を有する。なお、特許文献1の図4(B)において、1本のスペクトルが1本の直線で表され、他のスペクトルのすべては、1本のスペクトルと一緒に、曲線で表されている。
重み付け部230は、重み付け処理を解析部220で得られた複数のスペクトル値に実施する。重み付け部230は、被検査体が運動状態であるか否かに基づいて変化する信号(第2の信号)に基づいて、閾値周波数以下の第1の周波数帯域に属する第1のスペクトル値の重みと閾値周波数よりも高い第2の周波数帯域に属する第2のスペクトル値の重みを異ならせる。
被検査体の生体情報を有する信号(第1の信号)を周波数解析した後、重み付け部230で、閾値周波数を基準にして、スペクトル値の重み(重み係数)を変更することができる。例えば、閾値周波数以下の第1の周波数帯域にノイズ成分が含まれる場合、重み係数を除去又は減少させることで、そのノイズ成分を低減させることができる。重み係数を設定するだけなので、例えば、特許文献1に示されるような複雑な処理を実施する必要はない。このように、生体情報を有する信号に含まれるノイズ成分を簡易に除去又は低減することができる。
なお、第1のスペクトル値の数は、第1の周波数帯域に依存し、重み付け部230は、1つの第1のスペクトル値の1つの重みだけを変化させてもよく、複数の第1のスペクトル値の複数の重みを変化させてもよい。
図1の例では、解析部220及び重み付け部230で生体情報処理装置が構成されているが解析部220及び重み付け部230は、DSPや、例えばゲートアレイ等のASICで構成することができる。また、解析部220及び重み付け部230の全部又は一部をコンピューター(広義には、処理部及び記憶部を含む装置)で構成してもよい。処理部は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)である。記憶部は、処理部(狭義には、解析部220及び重み付け部230の全部又は一部)のワーク領域となるものであり、記憶部は、例えば、メモリー、HDD(ハードディスクドライブ)等である。生体情報処理装置は、例えば、プログラム、データ等を格納する情報記憶媒体(コンピューターにより読み取り可能な媒体)を有することができ、情報記憶媒体は、例えば、メモリーカード、光ディスク等である。処理部は、情報記憶媒体又は記憶部に格納されるプログラムに基づいて、種々の処理を行うことができる。即ち、情報記憶媒体又は記憶部には、解析部220及び重み付け部230の全部又は一部として、コンピューターを機能させるためのプログラムが記憶されてもよい。
1.2 発明の背景
図2(A)、図2(B)は、例えば脈拍センサーにおいて生成される第1の信号(波形データ)及びその周波数解析の結果を表し、図2(A)は、被検査体の非運動状態に対応し、図2(B)は、被検査体の運動状態に対応する。図2(A)、図2(B)の例において、上段は、解析部220に入力される入力データ(波形データ)を示し、下段は、解析部220から出力される出力データ(複数のスペクトルの分布)を示す。図2(A)、図2(B)の例において、入力データは、0〜16[sec]の範囲の波形データであり、出力データは、0〜4[Hz]の範囲の周波数に対応する複数のスペクトル値である。
図2(A)に示すように、非運動状態での脈拍センサーにおいて生成される信号(第1の信号)の周波数解析の結果によれば、脈拍を呈する周波数(脈拍周波数)fHR1のスペクトル値が最も大きく、先鋭な脈拍スペクトルが現れている。また、脈拍周波数fHR1の2倍の周波数fHR2のスペクトル値も、隣接するスペクトル値と比べて大きく、先鋭な2倍脈拍スペクトルが現れている。
図2(B)に示すように、運動状態での脈拍センサーにおいて生成される信号(第1の信号)の周波数解析の結果によれば、脈拍周波数fHR1の低周波数側にノイズを呈する周波数fNのスペクトル値が最も大きく、先鋭なノイズスペクトルが現れている。血管付近の周辺部位(例えば、指、手首)への衝撃、周辺部位の動作等に伴い、運動状態での第1の信号は、ノイズ成分を有してしまう。例えば、手首が物に衝突する等の瞬間的な外力が血管内の血流に影響を与え、運動状態での第1の信号の振幅が急激に変化する。第1の信号は、時には、解析部220の入力レンジを超えてしまい、その結果、第1の信号は、入力レンジの上限又は下限に制限されてしまう。図2(B)では、入力レンジの上限及び下限を点線で表し、下限に制限される第1の信号を矢印Nで、表している。
このような第1の信号を周波数解析を実施すると、図2(B)に示すように、低周波数側に複数のスペクトルが現れ、これらは、脈拍周波数fHR1の脈拍スペクトルを表すものではなく、ノイズを表す。なお、第1の取得部210が、脈拍センサーにおいて生成される信号をA/D変換するA/D変換回路を含む場合、A/D変換回路の出力レンジを超える場合、A/D変換された後の第1の信号は、解析部220の入力レンジを超えてしまう。
図2(A)の例では、脈拍周波数fHR1を容易に特定することができる。他方、図2(B)の例では、ノイズを呈する周波数fNを誤って脈拍周波数として特定する場合もある。以上の事情を考慮した結果、本発明者は、閾値周波数を基準にして、図2(B)で示されるようなノイズノイズ周波数fNを含む周波数帯域に属するスペクトル値を重み付け部230により小さくすることで、脈拍周波数fHR1を容易に特定することができることを認識した。重み付け部230が、重み係数を設定するだけなので、例えば、特許文献1に示されるような複雑な処理を実施する必要はない。このように、生体情報を有する信号に含まれるノイズ成分を簡易に除去又は低減することができる。
1.3 第1の構成例
図3は、図1の生体情報処理装置の具体的な構成例を示す。図3の例では、重み付け部230が具体化されているが、生体情報処理装置の具体的な構成例は、図3に限定されない。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。加えて、図3の例では、生体情報処理装置は、被検査体が運動状態であるか否かに基づいて変化する信号(第2の信号)を評価する評価部330を含む。また、生体情報処理装置は、生体周波数(例えば、脈拍周波数)を特定する特定部240を含んでもよい。
図3の例では、評価部330及び特定部240で生体情報処理装置が構成されているが、解析部220及び重み付け部230と同様に、評価部330及び特定部240は、DSPや、例えばゲートアレイ等のASICで構成することができる。また、解析部220、重み付け部230、評価部330及び特定部240の全部又は一部をコンピューター(広義には、処理部及び記憶部を含む装置)で構成してもよい。
図3の例では、評価部330は、第2の信号を評価し、評価結果を得る。重み付け部(狭義には、判定部232)は、評価部330の評価結果に応じて、閾値周波数以下の第1の周波数帯域に属する第1のスペクトル値の重みを、閾値周波数よりも高い第2の周波数帯域に属する第2のスペクトル値の重みよりも小さく評価するか否かを判定する。
評価部330は、被検査体が運動状態であるか否かに基づいて変化する第2の信号を評価することができる。被検査体が運動状態である場合だけ、ノイズを呈すると想定される閾値周波数以下の第1の周波数帯域に属する第1のスペクトル値の重み(重み係数)を小さくすることができる。被検査体が非運動状態である場合、第1の周波数帯域に生体周波数(例えば、脈拍周波数、心拍周波数、歩き周波数等)が含まれる可能性もあるので、生体周波数に属する第1のスペクトル値を誤って小さくすることを防止することができる。
周波数帯域決定部234は、判定部232の判定結果に応じて、第1の周波数帯域として、閾値周波数以下の少なくとも1つの周波数を設定することができる。また、第2の周波数帯域として、閾値周波数よりも高い少なくとも1つの周波数を設定することができる。重み係数減少部236も、判定部232の判定結果に応じて、第1のスペクトル値の重み(重み係数)を第2のスペクトル値の重み(重み係数)よりも小さく設定することができる。
具体的には、評価部330は、被検査体が運動状態であるか否かを示す評価結果を得ることができる。評価結果として、例えば、歩行やジョギングに伴う腕の振り速度(腕振り周波数)を採用することができる。また、評価結果は、例えば、被検査体(ユーザー)の速度(例えば、歩行速度やジョギング速度)でもよい。加えて、評価結果は、例えば、被検査体(ユーザー)や被検出部位(血管)付近の周辺部位(例えば、指、手首)の加速度の絶対値を所与の期間だけ加算した総和値(累積値又は積分値)でもよい。総和値は、典型的には周期的な運動を示す腕の振り速度や、典型的には一定の運動を示す被検査体の速度では評価することのできない被検査体の体操やジェスチャー動作等の運動状態を示すことできる。
特定部240は、重み付け部230によって重み付け処理を実施された後の複数のスペクトル値に基づいて、解析部220で得られた複数の周波数(例えば、図2(B)の下段の横軸成分に相当)のうちの1つの周波数を生体周波数として特定する。特定部240は、例えば、最も大きい値であるスペクトル値の周波数を生体周波数として特定することができる。従って、評価部330の評価結果に従い、重み付け部230が、例えば、図2(B)の脈拍周波数fHR1及びその周辺の周波数に属する第1の周波数帯域に属する第1のスペクトル値を小さくすることを想定する。この場合、特定部240は、脈拍を呈する周波数(脈拍周波数)として、閾値周波数よりも高い第2の周波数帯域に属する周波数fHR1を正しく特定することができる。脈拍周波数は、一般的には、1秒当たりの脈拍振動数を表し、広義には、生体周波数を表すことができる。特定部240は、第1の取得部210が取得する第1の信号に含まれる生体情報に応じて、1秒当たりの心拍振動数、1秒当たり歩き振動数等を特定してもよい。
なお、閾値周波数よりも高い第2の周波数帯域に、複数の第2のスペクトル値が存在する場合、特定部240は、例えば、複数の第2のスペクトル値のうちの最も大きい値である第2のスペクトル値の周波数を生体周波数として特定してもよい。特定部240の処理(特定方法)として、本出願時に当業者に知られている様々な処理を採用することができる。従って、本明細書では、特定部240の詳細な説明は、省略し、最も簡単な処理(特定方法)だけを例として説明する。
重み付け部230(狭義には、判定部232)は、上記判定処理だけでなく、他の判定処理も、行うことができる。また、第1の取得部210、第2の取得部310、解析部220及び特定部240(広義には、生体情報処理装置)は、必要に応じて様々な判定処理を行うことができる。
1.4 第1の動作例
図4は、図3の生体情報処理装置の動作例を表すフローチャートを示す。以下に、図4等を参照しながら、生体情報処理装置の動作例を説明するが、生体情報処理装置の動作例は、図3及び図4等に限定されるものではない。また、以下に説明する動作の一部を省略することもでき、以下に説明する動作に他の動作を追加することもできる。
図4の例では、第1の取得部210は、例えば16秒分の生体情報を有する第1の信号(狭義には、生体情報を有する波形データ)を取得したか否かを判定する(ステップS11)。解析部220で生体情報を有する第1の信号を周波数解析するためには、所与の期間の生体情報を有する信号が必要となる。所与の期間は、後述するステップS12でのサンプリング周波数及びサンプリング点数によって決定することができる。例えば、サンプリング周波数が16[Hz]であり、サンプリング点数が256であれば、所定の期間は、サンプリング点数/サンプリング周波数=256/16=16[sec]である。
図4の例では、例えば16秒分の生体情報を有する第1の信号を取得していない場合、第1の取得部210は、16秒分の生体情報を有する第1の信号が取得できるまで、時間の経過を待つ(ステップS11)。16秒分の生体情報を有する第1の信号を受け取ると、解析部220は、16秒分の生体情報を有する第1の信号(波形データ)を周波数解析する(ステップS12)。解析部220は、例えば図2(A)や図2(B)に示すような周波数解析の結果(0〜4[Hz]の範囲の周波数に対応する複数のスペクトル値)を得る。
図4の例では、第2の取得部310は、被検査体が運動状態であるか否かに基づいて変化する第2の信号を取得したか否かを判定する(ステップS11)。第2の取得部310は、第1の取得部210と同様に、例えば16秒分の第1の信号を取得することができる。なお、第2の取得部310が第2の信号を取得する期間は、第1の取得部210が第1の信号を取得する期間(例えば、16[sec])よりも短くてもよい。第2の取得部310が第2の信号を取得する期間は、例えば、第1の取得部210が第1の信号を取得する前の1秒間(例えば、15〜16[sec]等)であってもよい。また、第2の取得部310が第2の信号を取得する期間は、例えば、第1の取得部210が第1の信号を取得する期間の半分(例えば、0〜8[sec]、4〜12[sec]、8〜16[sec]等)であってもよい。
図4の例では、評価部330は、被検査体が運動状態であるか否かに基づき変化する第2の信号を評価する(ステップS13)。評価部330は、被検査体が運動状態であるか否かを示す評価結果を得ることができる。ここでは、評価結果が被検査体(ユーザー)の速度であることを想定する。この場合、評価部330は、被検査体の運動速度に換算可能な情報を有する第2の信号を評価して、第1の取得部210が第1の信号を取得する期間(例えば、0〜16[sec])内の被検査体(ユーザー)の速度を算出することができる。例えば、被検査体が歩行する時、評価部330は、評価結果である速度として、例えば、4[km/h]を算出する。
図4の例では、重み付け部230(狭義には、判定部232)は、被検査体が運動しているか否かを判定する(ステップS14)。ステップS13で実施した評価部330の評価結果が閾値以上であれば、重み付け部230(狭義には、判定部232)は、被検査体が運動状態にあることを示す判定結果を得ることができる。閾値は、例えば、2[km/h]や4[km/h]に設定することができ、閾値は、被検査体毎に最適な閾値を設定してもよい。例えば、被検査体が有酸素運動を行う時の歩行速度を予め測定しておき、有酸素運動に達する歩行速度の例えば50%を閾値に設定することができる。
なお、本明細書において、被検査体が運動状態であるか否かを判断する指標として、ステップS14で設定されている閾値を用いることができる。言い換えれば、被検査体の動きに応じて、第2の信号は、閾値を超える成分を有することもあれば、閾値を下回る成分を有することもあり、評価部330の評価結果が閾値を超えた時に、被検査体が運動状態にあると認識することできる。また、設定された閾値に達しない被検査体の動きを無視し、被検査体が非運動状態にあると認識することできる。
図4の例では、重み付け部230は、被検査体が運動状態にある時にノイズを示すか否かを区別する閾値周波数を設定し、閾値周波数を基準にして、重み付け処理を実施する(ステップS15)。閾値周波数は、被検査体が運動状態にある時の脈拍周波数(広義には、生体周波数)として候補になり得ない値を設定することができる。例えば、被検査体が運動状態にある時に、脈拍周波数は、安静時脈拍周波数よりも高くなるので、閾値周波数として、例えば、安静時脈拍周波数(広義には、安静時生体周波数)を設定することができる。また、閾値周波数として、例えば、安静時脈拍周波数(広義には、安静時生体周波数)よりも低い基礎脈拍周波数(広義には、基礎生体周波数)を設定することができる。
図5(A)、図5(B)は、重み付け処理を説明するための図であり、図5(A)は、図4のステップS12を実施した現在の周波数解析の結果の一例を示し、図6(B)は、図4のステップS15を実施した減少された周波数解析の結果の一例を示す。図6(A)には、3つの代表的なスペクトルが、周波数f7、f12及びf29で示されている。周波数解析の結果は、例えば0〜4[Hz]の範囲の周波数を示し、例えば、サンプリング周波数が16[Hz]であり、サンプリング点数が256であれば、周波数の分解能は、サンプリング周波数/サンプリング点数=16/256=0.0625[Hz]である。言い換えれば、1本分のスペクトルは、0.0625[Hz]の幅を持つ。ここでは、図4のステップS12を実施後、被検査体の動きに伴い、周波数f7(7本目のスペクトル)のスペクトル値が、最大値を示すことを想定する。
図4のステップS15では、重み付け部230(狭義には、周波数帯域決定部234)は、図5(A)及び図5(B)に示すように、閾値周波数fTHとして、12本目のスペクトル(周波数f12)を設定し、第1の周波数帯域FB1として、1〜12本目のスペクトルの範囲を決定する。ここでは、閾値周波数fTHは、基礎脈拍周波数を表すことを想定する。第1の周波数帯域FB1は、閾値周波数fTH以下の周波数であり、ノイズを呈すると想定されるノイズスペクトル(周波数f7)を含む。また、重み付け部230(狭義には、周波数帯域決定部234)は、第2の周波数帯域FB2として、13〜63本目のスペクトルの範囲を決定する。第2の周波数帯域FB2は、閾値周波数fTHよりも高い周波数であり、脈拍(広義には、生体)を呈すると想定される脈拍スペクトル(周波数f29)を含む。
次に、重み付け部230(狭義には、重み係数減少部236)は、第1の周波数帯域FB1に属する第1のスペクトル値の重み(重み係数)を、例えば「0.5」に設定し、図5(B)に示すように、第1のスペクトル値を半分に減少する(図4のステップS15)。第2の周波数帯域FB2に属する第2のスペクトル値の重み(重み係数)は、例えば「1」のままである(図4のステップS15)。
図4の例では、特定部240は、生体周波数を特定する(ステップS16)。例えば、図5(B)の例では、特定部240は、生体周波数として、最も大きい値であるスペクトル値の周波数f29を特定する(ステップS16)。なお、図5(A)の例では、特定部240は、生体周波数として、最も大きい値であるスペクトル値の周波数f7を誤って特定してしまう。但し、被検査体が非運動状態にある場合、脈拍周波数は、図5(A)の周波数f29よりも低下し、場合によっては、基礎周波数f12(fTH)を下回ることもある。このような場合、閾値周波数以下の第1の周波数帯域に属する第1のスペクトル値を減少し続けると、生体周波数を特定することは困難である。
そこで、被検査体が非運動状態にある場合、ノイズ成分も小さくなるので、図4のステップS15の実施を中止することもできる。即ち、被検査体が運動していない場合(ステップS14)、重み付け処理を中止し、ステップS16を実施することができる。
図4の例では、生体情報処理装置は、ステップS11〜S16の処理を中止するか否かを判定する(ステップS17)。例えば、ユーザーによって図示しないストップボタンが押されることにより、生体情報処理装置は、ステップS11〜S16の処理を中止する。言い換えれば、ユーザーによって図示しないストップボタンが押されるまでの間、生体情報処理装置は、ステップS11〜S16の処理を繰り返す。代替的に、生体情報処理装置は、例えば6分間(広義には、所与の期間)だけ、ステップS11〜S16の処理を繰り返してもよく、所与の期間を経過した後に、ステップS11〜S16の処理を自動的に中止してもよい。
1.5 第2の構成例
図6は、図1の生体情報処理装置の具体的な他の構成例を示す。図6の例では、図3の例と同様に、重み付け部230が具体化されているが、生体情報処理装置の具体的な構成例は、図6に限定されない。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。加えて、図10の例では、生体情報処理装置は、記憶部250、換算部260等の追加の構成を含む。生体情報処理装置は、追加の構成の一部を省略してもよい。なお、図1の解析部220は、図6の例において、第1の解析部と呼ぶ。
図6に示される第2の構成例では、追加の構成として、例えば、第1のセンサー部200及び第2のセンサー部300も含んでおり、2つのセンサー(例えば、脈拍センサー及び加速度センサーの組み合わせ等)を併用している。また、第2の構成例では、第2のセンサー部300に対応する第2の解析部320も含むことができる。これらの追加の構成の詳細な説明は、後述する。第2のセンサー部300は、第2の取得部310及び重み付け部230と連動して、上述のように、被検査体が運動状態であるか否かを判定することができる。また、この効果に加えて、第2のセンサー部300の存在により、第1の信号の周波数解析の結果に含まれる体動スペクトル(広義には、ノイズ)を特定し、それを除去又は低減することができる。これにより、特定部240は、生体周波数をより正確に特定することができる。
図6の例では、生体情報処理装置は、特定部240によって特定された生体周波数を記憶する記憶部250を含む。記憶部250は、過去に特定された生体周波数のすべて又は一部の記憶を継続して、生体周波数の履歴を記憶してもよい。また、記憶部250は、例えば、メモリー、HDD(ハードディスクドライブ)等であり、特定部240のワーク領域と呼ぶこともできる。また、記憶部250は、上述の通り、第1の解析部220及び重み付け部230の全部又は一部のワーク領域の機能や、第2の解析部320及び評価部330等の全部又は一部のワーク領域の機能も備えてもよい。
図6の例では、生体情報処理装置は、特定部240によって特定された生体周波数を脈拍数又は心拍数(広義には、生体情報)に換算する換算部260を含む。上述の通り、図5(B)の例における周波数の分解能は、例えば、サンプリング周波数/サンプリング点数=16/256=0.0625[Hz]である。脈拍数又は心拍数は、一般には、1分間の拍動の数[bpm]で表される。そこで、換算部260は、特定部240によって特定された生体周波数を例えば60倍に増加する。具体的には、29本目のスペクトルが、生体周波数である場合、換算部260は、生体周波数f29に基づき、脈拍数又は心拍数として、29×0.0625×60=108.75[bpm]を算出する。なお、換算部260は、脈拍数又は心拍数の小数点以下の数字(端数)を切り捨ててもよく、代替的に、端数が0.5未満なら切り捨て、端数が0.5以上なら切り上げてもよい。
なお、換算部260は、生体情報として例えば歩数を算出してもよい。歩数は、一般には、計測期間における歩数の総和で表される。例えば、16秒分の信号に基づき歩数周波数が特定され、計測期間が16×N[sec]である場合、換算部260は、計測期間の歩数として、例えば、(1回目の歩数周波数+2回目の歩数周波数+・・・+N回目の歩数周波数)×16を算出する。換算部260が歩数を算出する場合、生体情報処理装置は、歩数計と呼ぶことができ換算部260が脈拍数又は心拍数を算出する場合、生体情報処理装置は、脈拍計又は心拍計と呼ぶことができる。
図6の例で示されるように、生体情報処理装置は、換算部260によって換算された脈拍数又は心拍数(広義には、生体情報)を表示する表示部270を含むことができる。表示部270は、例えば液晶パネル、LEDパネル等で構成することができる。なお、換算部260によって換算された脈拍数又は心拍数(広義には、生体情報)は、記憶部250に記憶されてもよく、記憶部250に記憶される脈拍数又は心拍数(広義には、生体情報)を外部の装置(図示せず)で読み出してもよい。
図6の例で示されるように、生体情報処理装置は、例えば、操作ボタン、タッチパネル等で構成される入力部280を含むことができる。入力部280は、ユーザーの操作情報を入力する。例えばユーザーが入力部280を操作することにより、重み付け部230の処理で用いられる閾値周波数及び閾値を設定することができる。閾値周波数は、例えば、被検査体が運動状態にある時の脈拍周波数(広義には、生体周波数)として候補になり得ない値を設定することができる。例えば、被検査体が運動状態にある時に、脈拍周波数は、安静時脈拍周波数よりも高くなるので、閾値周波数として、例えば、入力部280は、安静時脈拍周波数(広義には、安静時生体周波数)を入力することができる。また、入力部280は、ユーザーが座っている時の安静時脈拍周波数の代わりに、基礎脈拍周波数(広義には、基礎生体周波数)を入力することができる。
基礎脈拍周波数は、ユーザーが朝、目を覚ましてから身体を起こす前までの脈拍数である。ユーザーが起きあがった後は、脈拍数が基礎脈拍周波数を下回ることは、医学的に想定できない。従って、安静時脈拍周波数の代わりに、基礎脈拍周波数を閾値周波数として用いる場合、基礎脈拍周波数以下の第1の周波数帯域に脈拍周波数が含まれる可能性がより一層低くなり、第1の周波数帯域がノイズを呈する可能性が高くなる。従って、被検査体の生体情報を有する第1の信号のノイズ成分をより一層適切に低減させることができる。
なお、入力部280は、安静時脈拍数又は基礎脈拍数を入力して、例えば換算部260によって逆変換することにより、安静時脈拍数又は基礎脈拍数から安静時脈拍周波数又は基礎脈拍周波数を算出してもよい。また、入力部280は、ユーザーの年齢を入力し、年齢から安静時脈拍数又は基礎脈拍数を算出してもよい。
図7は、年齢と安静時脈拍数との対応例を示す。図7に示すように、安静時脈拍数は、例えば、年齢から求めることができる。例えば、年齢が20[才]であれば、安静時脈拍数は、70[bpm]に設定することができる。また、年齢が60[才]であれば、安静時脈拍数は、62[bpm]に設定することができる。なお、安静時脈拍数又は安静時脈拍周波数は、重み付け部230の処理を無効化した状態で、換算部260又は特定部240によって測定してもよく、外部の測定装置(図示せず)によって測定してもよく、年齢に関係なく一定値を用いてもよい。
また、入力部280は、閾値周波数(例えば、安静時脈拍周波数)だけでなく、重み付け部230の処理で用いられる閾値を入力することができる。閾値は、重み付け部230の処理を有効化するか否かの基準であり、図4のステップS13で実施した評価部330の評価結果が閾値以上であれば、重み付け部230(狭義には、判定部232)は、被検査体が運動状態にあることを示す判定結果を得ることができる。閾値は、例えば、ユーザーの速度を表す2[km/h]や4[km/h]に設定することができる。閾値は、ユーザーの歩行、ジョギングに伴う腕振りのピッチ乃至ペース(腕振り周波数[Hz])を表してもよい。また、閾値は、ユーザーや被検出部位(血管)付近の周辺部位(例えば、指、手首)の加速度の絶対値を所与の期間だけ加算した総和値(累積値又は積分値)を表してもよい。このような閾値は、入力部280を介して重み付け部230に設定することができる。
図6の例で示されるように、生体情報処理装置は、信号処理部290を含むことができる。例えば図5(A)で示されるように、スペクトル分布は、脈拍スペクトル(周波数f29)だけでなく、周期的なノイズである体動スペクトル(周波数f7)、2倍体動スペクトル(14本目のスペクトル)及び3倍体動スペクトル(21本目のスペクトル)を含む。そこで、生体情報処理装置は、信号処理部290を含むことにより、第1の信号の周波数解析結果に含まれる体動スペクトルを除去又は低減することができる。
信号処理部290は、例えば、FIRフィルター等の適応フィルターで構成することができる。信号処理部290は、第1の第1の取得部210で取得される第1の信号及び第2の取得部310で取得される第2の信号を適応フィルターに入力し、ノイズが除去又は低減されたフィルター出力信号を生成する。図4のステップS12において、図6の第1の解析部220は、信号処理部290からのフィルター出力信号を周波数解析することができる。
図8(A)、図8(B)は、図6の信号処理部290を利用する重み付け処理を説明するための図である。図8(A)は、信号処理部290を利用する図4のステップS12を実施した第1の信号の周波数解析の結果の一例を示す一方、図5(A)は、信号処理部290を利用しない図4のステップS12を実施した第1の信号の周波数解析の結果の一例を示す。図8(B)は、信号処理部290を利用する図4のステップS15を実施した減少された周波数解析の結果の一例を示す一方、図5(B)は、信号処理部290を利用しない図4のステップS15を実施した減少された周波数解析の結果の一例を示す。
図8(A)に示されるように、周波数f7(体動スペクトル)のスペクトル値は、信号処理部290によって大きく減少する。なお、図8(B)の例では、第1の周波数帯域FB1に属する第1のスペクトル値は、例えば0.5倍に減少されている。
図9は、第1の取得部210が取得する第1の信号の説明図を示す。第1の取得部210は、例えば16秒分の生体情報を有する第1の信号(広義には、脈拍情報を有する波形データ)を取得する。図9に示すように、第1の取得部210は、0〜16[sec]の範囲の第1の波形データを取得した後、第2〜第Mの波形データを4秒毎に取り込むことができる。隣接する複数の波形データ(例えば、第1の波形データ及び第2の波形データ)が共通データ(例えば、4〜16[sec]の波形データ)を有することにより、例えば4秒毎に脈拍数を計測することができる。なお、第2の取得部310も、例えば16秒分の第2の信号を例えば4秒毎に取得することができる。
図6の例で示されるように、生体情報処理装置は、第1のセンサー部200を含むことができる。第1のセンサー部200は、脈拍センサー等の生体センサーで構成することができる。また、生体情報処理装置は、第2のセンサー部300を含むことができる。第2のセンサー部300は、例えば3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度を検出する加速度センサー等の体動センサーで構成することができる。第2の取得部310は、第1の取得部210の脈拍信号(第1の信号)の取得タイミングと同期して、例えば16秒分の加速度信号等の体動信号(第2の信号)を取得することができる。
第2の取得部310で取得される加速度信号等の体動信号(第2の信号)は、信号処理部290で用いられるだけでなく、第2の解析部320で用いることもできる。第2の解析部320は、体動信号を周波数解析する。第2の解析部320は、体動情報を有する第2の信号(例えば、加速度センサーにおいて生成される加速度信号)を例えば高速フーリエ変換(広義には、拡散フーリエ変換)によって周波数解析する。これにより、第2の解析部320は、体動スペクトルを算出することができる。
図10(A)、図10(B)は、例えば加速度センサーにおいて生成される第2の信号(波形データ)及びその周波数解析の結果を表し、図10(A)は、被検査体の非運動状態に対応し、図10(B)は、被検査体の運動状態に対応する。ここでは、図10(A)が、被検査体が立ち止まっていることを示し、図10(B)が、被検査体が2[Hz]の腕振りのピッチ乃至ペースで歩行していることを示すことを想定する。図10(A)、図10(B)の例において、上段は、第2の解析部320に入力される入力データ(波形データ)を示し、下段は、第2の解析部320から出力される出力データ(複数のスペクトルの分布)を示す。図10(A)、図10(B)の例において、入力データは、0〜16[sec]の範囲の波形データであり、出力データは、0〜4[Hz]の範囲の周波数に対応する複数のスペクトル値である。
図10(A)に示すように、非運動状態での加速度センサーにおいて生成される信号(第2の信号)の周波数解析の結果によれば、すべてのスペクトル値が小さく、有効なスペクトルが現れない。他方、図10(B)に示すように、運動状態での加速度センサーにおいて生成される信号(第2の信号)の周波数解析の結果によれば、周波数f33のスペクトル値が最も大きく、先鋭な体動スペクトル(腕振りスペクトル)が現れている。図10(A)、図10(B)では、第2の解析部320の入力レンジの上限及び下限並びにその中心(「0」)を点線で表している。
図6の評価部330は、特定部240のように、腕振り周波数として、例えば周波数f33を特定してもよい。また、評価部330の評価結果(腕振り周波数)として、換算部260のように、33本目のスペクトルに基づき、33×0.0625=2.0625[Hz]を算出してもよい。判定部232は、腕振り周波数に対応する閾値として、例えば、0.5[Hz]を設定してもよい。腕振り周波数2.0625[Hz]が閾値0.5[Hz]を超える場合、判定部232は、被検査体が運動状態にあると判定することができる。
また、第2の解析部320を省略して、評価部330が第2の取得部310で取得される第2の信号を直接に評価してもよい。図10(A)の上段によれば、第2の信号は、1回だけ0(入力レンジの上限及び下限の中心)を横切る。従って、周波数解析を用いない場合であっても、評価部330は、1回/16秒=0.0625を算出し、この値を腕振り周波数[Hz]とみなしてもよい。図10(B)の上段によれば、第2の信号は、32回だけ0(入力レンジの上限及び下限の中心)を横切る。この場合、評価部330は、32回/16秒=2を腕振り周波数[Hz]とみなし、判定部232は、被検査体が運動状態にあると判定してもよい。
ここでは、歩幅が0.7[m]であることを想定する。この場合、評価部330は、被検査体の移動速度として、腕振り周波数[Hz]×0.7[m]×60=分速[m/min]や腕振り周波数[Hz]×0.7[m]/1000×60×60=時速[km/h]を算出してもよい。例えば、腕振り周波数が2[Hz]である場合、時速は、5.04[km/h]である。評価部330で得られる評価結果の単位に応じて、閾値の単位も変更することができる。
上述した評価結果の例では、第2のセンサー部300が加速度センサーで構成されていることを想定したが、第2のセンサー部300は、例えば、GPSセンサー等の位置検出センサーで構成してもよい。但し、GPSセンサーでは、図5(A)に示すような処理を行うことは困難であり、第1の信号に含まれる体動成分を除去することはできない。そこで、信号処理部290及び第2の解析部320を省略してもよい。代替的に、第2のセンサー部300として、加速度センサー及びGPSセンサーを備え、加速度センサーからの信号を信号処理部290で処理し、GPSセンサーからの信号を評価部330で評価してよい。
GPSセンサー(広義には、位置検出センサー)を用いる場合、第2の取得部310は、例えば1分毎に、GPSセンサーからの信号を取得する。経過時間が0[min]の時に緯度が例えば35.678°を示し、経度が例えば139.770°を示すことを想定する。経過時間が1[min]の時に緯度が例えば35.678°を示し、経度が例えば139.771°を示す場合、評価部330は、移動速度として、以下の式1を用いて分速[m/min]を算出してもよい。
分速[m/min]=[{35.678−35.678)×1110}2+{139.771−139.770)×910}2]0.5/1・・・(式1)
ここでは、緯度の0.01°が1.11[km]に相当し、経度の0.01°が0.91[km]に相当することを想定する。
GPSセンサーを用いる場合も、評価部330で得られる評価結果の単位に応じて、閾値の単位を設定することができる。
また、評価部330は、第2のセンサー部300の種類に関係なく、被検査体の体操やジェスチャー動作等の運動状態を評価してもよい。例えば、加速度センサーを用いる場合、評価部330は、例えば、被検査体(ユーザー)や被検出部位(血管)付近の周辺部位(例えば、指、手首)の加速度の絶対値を所与の期間だけ加算した総和値(累積値又は積分値)を評価してもよい。このような場合も、評価部330で得られる評価結果の単位に応じて、閾値の単位を設定することができる。
2 電子機器
脈拍計等の生体情報測定装置(広義には、生体情報処理装置)は、時計、携帯電話、ページャー、パーソナルコンピューター等の電子機器に組み込まれてもよく、又は電子機器と組み合わせてもよい。生体情報処理装置の一部、例えば図6の第1の解析部220、第2の解析部320、評価部330、重み付け部230、特定部240、記憶部250、換算部260等は、例えば生体情報処理装置を組み込む電子機器のMPU(Micro Processing Unit)で構成してもよい。
図11(A)、図11(B)は、図1等の生体情報処理装置を含む腕時計(広義には、電子機器)の外観例である。図11(A)に示されるように、腕時計(広義には、手首装着型の生体情報処理装置)は、腕時計を被検査体(ユーザー)の腕(狭義には、手首)に取り付け可能なリストバンド150をさらに含むことができる。図11(A)の例において、生体情報は、脈拍数であり、例えば「72」が示されている。また、腕時計は、時刻(例えば、午前8時15分)も示している。また、図11(B)に示されるように、腕時計の裏蓋に例えば開口部が設けられ、開口部に例えば図6の第1のセンサー部200(狭義には、脈拍センサー)が対応する。図11(B)の例において、リストバンド150等は、省略されている。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。