JP5486123B1 - 匂い呈示装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンピュータ制御によって匂い物質を逐次放出して匂いを制御するタイプの匂い呈示装置において、左右の鼻孔に対して、独立して異なる匂い制御を行えるようにする。
【解決手段】匂い呈示装置は、匂い物質貯蔵部13A〜13F、匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段14、左側鼻孔に対応して設けられ、左側鼻孔に向かって匂い物質を排出する左側排出手段4A、右側鼻孔に対応して設けられ、右側鼻孔に向かって匂い物質を排出する右側排出手段4B、左側排出手段へと匂い物質を供給する左側導管5A、右側排出手段へと匂い物質を供給する右側導管5B、左側排出手段と前記右側排出手段とを連結する連結手段1、および左側排出手段および右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段を使用し、導管を通して匂い物質を右側排出手段および左側排出手段へと供給する。
【選択図】 図3
【解決手段】匂い呈示装置は、匂い物質貯蔵部13A〜13F、匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段14、左側鼻孔に対応して設けられ、左側鼻孔に向かって匂い物質を排出する左側排出手段4A、右側鼻孔に対応して設けられ、右側鼻孔に向かって匂い物質を排出する右側排出手段4B、左側排出手段へと匂い物質を供給する左側導管5A、右側排出手段へと匂い物質を供給する右側導管5B、左側排出手段と前記右側排出手段とを連結する連結手段1、および左側排出手段および右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段を使用し、導管を通して匂い物質を右側排出手段および左側排出手段へと供給する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、コンピュータを用いて、画像や商品やゲームイベントなどに応じた所定の匂いを嗅覚によって応答性良く知覚可能とした匂い呈示装置および方法に関するものである。
近年、立体映像技術や三次元音響の発達と共に臨場感を与える環境提供のニーズが高まり、より一層の臨場感を提供する手段として、映像や音響の変化に対応する嗅覚情報の呈示が注目されている。
特許文献1(特表2010−532515)には、移動端末機を利用したモバイル広告において匂いを利用することが記載されている。特許文献2(特開2010−157126)、特許文献3(特開2009−217641)には、インターネットを利用して取得した配合情報に従い、匂いを発生させる端末が記載されている。また、特許文献4(特開2007−079620)には、バーチャル・リアリティ空間を利用する者に匂い呈示によってこの空間の構成物に関する情報を与えることが提案されている。
また、特許文献5(特開2001−096171)は、情報通信研究機構による興味深いバーチャルリアリティ研究であるが、ユーザの触覚に対する反発力に加えて、音や匂いをユーザに対して与えることによって、いくつもの感覚情報を同時にユーザに与えることで、高度のリアリティを与えることを提案している。
特許文献6(特開2007−289385)は、ゲーム機分野の発明であるが、射撃ゲームにおいて、銃を発射したときに硝煙の匂いを生じさせることを提案している。
また、音声付き動画を再生するときに、画面と同期して、所定の匂いを発生させる装置が種々提案されている。例えば、特許文献7(特開2013−013653)、特許文献8(特開2012−198694)では、香料を輸送管を通して運び、鼻孔の近くで空気中に香料を放出することが提案されている。特許文献9(特開2009−212891)では、動画を鑑賞する使用者の使用状況に応じて、コンテンツ提供側の意図する種々の香りを発生させることが記載されている。
しかしながら、従来の技術においては、香りの呈示は、呈示する香料の種類を変える、あるいは、香料の呈示をオン/オフする程度であり、香りの連続射出による嗅覚神経の順応の問題や、残り香の影響が避けられなかった。
コンピュータ制御された香り発生装置の中で、特に、学校法人慶応義塾大学が香料発生装置の研究を行い、興味深い提案をおこなっている。すなわち、特許文献10(特開2009−082273)、特許文献11(特開2011−019592)、特許文献12(特開2011−215462)では、コンピュータに接続した香り発生装置から、流動する大気中に向かって、香料を微小時間で短い時間感覚でパルス射出することによって、香りに対する順応を抑制し、香料の使用料を低減することが記載されている。これは、短時間のパルス状の香料射出という方法を採用することで、複数の香料を、互いに混じり合うことなく、識別可能な状態で、しかも短時間に多種類放射し、嗅覚を刺激するものである。
また、非特許文献1では、消防士が装着するマスクの空気系中に匂い発生装置を組み込むことにより、消防士訓練システムを構築することが記載されている。
なお、本出願人は、特許文献13(特願2013−100802:未公開)において、匂い発生装置にマスクを接続し、左右の鼻孔に対応してそのマスクを左右に分割することによって、左右の鼻孔に対して独立した匂い制御を行うことを開示した。
柳田康幸 「ロボティックバーチャルシステム」(計測と制御) 社団法人計測自動制御学会 2004年2月10日 第43巻第2号 第139〜144頁
特許文献10〜12記載のような装置では、仮想空間内のユーザーの分身であるキャラクタ(アバター)の移動・動作に伴って、複数の香りの呈示をきめ細かく変化させて、視聴覚情報と対応した香りの遠近感や強弱変化を演出できるとされている。また、動画に合わせて、複数の香りの呈示をきめ細かく変化させ、香りの遠近感や強弱変化を演出することを試みている。
特に特許文献12の技術は、視聴覚映像情報等に対応させて、香りの遠近感(遠近表現)や強弱変化を簡単に演出することができる、嗅覚情報制御装置、嗅覚情報制御方法及び香り発生システムを提供することを試みている。この目的で、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する。香りのパルス射出制御情報は、視聴覚情報データと、仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものである。
しかし、従来技術においては、左右の鼻孔に対して、独立して異なる匂い制御を行うことは想定されていない。左右の耳に対して異なる音源を与えることで立体音強効果を付与できることは知られているが、これまで匂い制御によって同様の効果を実現した例はない。
本発明の課題は、コンピュータ制御によって匂い物質を逐次放出して匂いを制御するタイプの匂い呈示装置において、左右の鼻孔に対して、独立して異なる匂い制御を行えるようにすることである。
本発明に係る匂い呈示装置および方法は、
匂い物質貯蔵部、
匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段、
左側鼻孔に対応して設けられ、左側鼻孔に向かって匂い物質を排出する左側排出手段、
右側鼻孔に対応して設けられ、右側鼻孔に向かって匂い物質を排出する右側排出手段、
左側排出手段へと匂い物質を供給する左側導管、
右側排出手段へと匂い物質を供給する右側導管、
左側排出手段と右側排出手段とを連結する連結手段、および
左側排出手段および右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段
を使用し、各導管を通して匂い物質をそれぞれ右側排出手段および左側排出手段へと供給することを特徴とする。
匂い物質貯蔵部、
匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段、
左側鼻孔に対応して設けられ、左側鼻孔に向かって匂い物質を排出する左側排出手段、
右側鼻孔に対応して設けられ、右側鼻孔に向かって匂い物質を排出する右側排出手段、
左側排出手段へと匂い物質を供給する左側導管、
右側排出手段へと匂い物質を供給する右側導管、
左側排出手段と右側排出手段とを連結する連結手段、および
左側排出手段および右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段
を使用し、各導管を通して匂い物質をそれぞれ右側排出手段および左側排出手段へと供給することを特徴とする。
本発明によれば、匂い物質を放出する放出手段から導管へと匂い物質を集めるとともに、匂い物質の放出時間と放出量はコンピュータを通して制御できる。
その上で、左側鼻孔に対応する左側排出手段および右側鼻孔に対応する右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段を用いているので、左右の鼻孔に対して、独立して異なる匂い制御が可能になる。
なお、本発明は、特許文献13とは異なり、左側排出手段と右側排出手段とを連結することで、それぞれを鼻孔に対応する所定位置に位置決めできるものである。
図1〜図6は、本発明の一実施形態にかかるものである。
本実施形態では、左側鼻孔の下に左側排出手段4Aを固定し、右側鼻孔の下に右側排出手段4Bを固定する。各排出手段4A、4Bには、放出口3A、3Bが設けられている。また、左側排出手段4Aと右側排出手段4Bとは、連結手段1によって一体化されており、また結束具7に対してバンド2によって取り付けられている。この取り付けによって、各排出手段が身体に対して取り付けられており、また各鼻孔に対して位置決めされている。
本実施形態では、左側鼻孔の下に左側排出手段4Aを固定し、右側鼻孔の下に右側排出手段4Bを固定する。各排出手段4A、4Bには、放出口3A、3Bが設けられている。また、左側排出手段4Aと右側排出手段4Bとは、連結手段1によって一体化されており、また結束具7に対してバンド2によって取り付けられている。この取り付けによって、各排出手段が身体に対して取り付けられており、また各鼻孔に対して位置決めされている。
各排出手段4A、4Bは、それぞれ、左側導管5A、右側導管5Bに対して取り付けられている。本例では、各導管5A、5Bは共通の本管に対して接続されておらず、それぞれ別系統の匂い発生装置31A、31Bに対して接続されている(図3)。
図1は、頭部に左側排出手段および右側排出手段を取り付けた状態を示している。本例では、結束具7およびバンド2によって各排出手段を頭部に取り付けているが、この取り付け方法も適宜選択すればよい。また、ヘッドマウントセットのような身体装着型画像表示装置や発音装置に対して右側排出手段および左側排出手段を取り付けて固定することによって、結束具7のような独自の装着機構が不要となる。
また、本実施形態では、左側排出手段と右側排出手段とを連結する連結手段によって、左側排出手段と右側排出手段とが互いに対して機械的に固定され、左右の鼻孔に対して位置決めされる。こうした連結手段としては、左右の排出手段を機械的に固定して一体に動くようにするものが好ましく、ワイヤー、留め具、棒状物などが特に好ましい。また、各排出手段と連結手段との接続方法も限定されず、接着、粘着、はめ込み等を例示できる。
次に、匂い物質による嗅覚刺激について、図3、図4を参照しつつ説明する。
図3に示すように、左側導管5Aに対して、匂い物質発生装置31Aの導管10Aを接続し、制御をおこなう。導管10Aに対して、本例では匂い物質貯蔵部13A、13B、13Cが接続されており、各貯蔵部内に、対応する匂い物質が貯蔵されている。各貯蔵部には放出手段14が取り付けられており、貯蔵部内の匂い物質を導管15へと向かって放出可能となっている。
図3に示すように、左側導管5Aに対して、匂い物質発生装置31Aの導管10Aを接続し、制御をおこなう。導管10Aに対して、本例では匂い物質貯蔵部13A、13B、13Cが接続されており、各貯蔵部内に、対応する匂い物質が貯蔵されている。各貯蔵部には放出手段14が取り付けられており、貯蔵部内の匂い物質を導管15へと向かって放出可能となっている。
また、導管10Aには、キャリアガス供給手段11Aが接続されており、供給段11Aから矢印CAのようにキャリアガスを導管10A内に供給可能となっている。そして、各貯蔵部から放出された各匂い物質を、導管10A内でキャリアガスによって運搬し、矢印AAのように導管5Aを通して排出手段4Aに入り、矢印BAのように左側鼻孔に向かって排出させる。
また、右側導管5Bに対して、匂い物質発生装置31Bの導管10Bを接続し、制御をおこなう。導管10Bに対して、本例では匂い物質貯蔵部13D、13E、13Fが接続されており、各貯蔵部内に、対応する匂い物質が貯蔵されている。各貯蔵部には放出手段14が取り付けられており、貯蔵部内の匂い物質を導管15へと向かって放出可能となっている。
また、導管10Bには、キャリアガス供給手段11Bが接続されており、供給手段11Bから矢印CBのようにキャリアガスを導管10B内に供給可能となっている。そして、各貯蔵部から放出された各匂い物質を、導管10B内でキャリアガスによって運搬し、矢印ABのように導管5Bを通して排出手段4Bに入り、矢印BBのように右側鼻孔に向かって排出させる。
図4は、匂い物質放出およびキャリアガス供給をおこなう制御装置12の構成例である。
制御装置12は、PC(パーソナルコンピューター)やサーバなどの情報処理装置であり、視聴覚情報データと連動或いは同期させるための嗅覚情報データの制御を行うことができる。
制御装置12は、PC(パーソナルコンピューター)やサーバなどの情報処理装置であり、視聴覚情報データと連動或いは同期させるための嗅覚情報データの制御を行うことができる。
視聴覚情報記憶部21には、画像を構成する情報(仮想空間の大きさ、構造、仮想オブジェクトの形状、テクスチャ、位置など)データや動画データが記憶されている。匂い情報入力部22には、仮想空間の香り発生源或いは動画の香り発生源と関係づけられた香りの情報データ、例えば、香りの種類、香りの強さ等の香りの演出のための情報データが記憶されている。
視聴覚情報記憶部21から制御部25に情報を送り、映像表示部23に仮想空間データや動画データを提供し、仮想空間や動画を表示する。また、匂い情報入力部22からの情報を制御部に送り、匂い発生装置31を前述のように駆動する制御信号を送る。入力手段28、出力手段29は、ユーザインターフェース27を通じて各種情報をやりとりするためのものである。また、視聴覚情報、匂い情報の処理は、メモリ26を用いて、プログラム記憶装置30に記憶されたプログラムに基づいておこなう。このプログラムによって匂い制御信号を生成する。
匂い物質およびキャリアガスの放出制御は、動画の内容に同期する匂い制御情報に基づいておこなうことができる。こうした動画内容としては、動画に出演するアバターないしキャラクターの行動や周囲環境に応じて匂いを決定することができる。また、ゲームの場合には、ゲーム中に発生するイベントに同期しておこなうことができる。こうしたイベントとしては、画像内の環境、キャラクターの登場、特定のゲーム操作(パンチ、キック、発砲など)があげられる。
なお、視聴覚情報データや匂い情報データは、特定のPC内に存在する必要はなく、インターネット等のネットワークを通じて外部サーバから取得することもできる。
また、匂い物質を制御する際には、好ましくは、常時キャリアガス供給部11A、11Bからキャリアガスを流し続ける。しかし、匂い物質を放出していないときには供給速度をC1とし、匂い物質を放出しているときには供給速度をC2に上昇させる。これによって、匂い物質の噴射開始から嗅覚刺激空間への到達に至る遅延を少なくし、応答性を良くすることができる。
例えば、図5(a)には左側排出手段への供給スケジュールを示し、図5(b)には、右側排出手段への供給スケジュールを示す。左側排出手段については、匂い物質貯蔵部13AからはPAのパルスで放出し(時間t1からt2)、このとき他の貯蔵部からは放出しない。また、匂い物質貯蔵部13BからはPBのパルスで放出し(時間t3からt4)、このとき他の貯蔵部からは放出しない。更に、匂い物質貯蔵部13CからはPCのパルスで放出し(時間t5からt7)、匂い物質貯蔵部13AからはPAのパルスで放出している(時間t6からt8)。このとき、時間t6とt7との間では二種類の匂い物質が放出されることになる。
一方、右側排出手段では、匂い物質貯蔵部13EからはPEのパルスで放出し(時間t2からt3)、このとき他の貯蔵部からは放出しない。パルスPEの開始時点で左側排出手段への匂い物質の供給PAを停止し、キャリアガスのみを流す。また、匂い物質貯蔵部13DからはPDのパルスで放出し(時間t4からt5)、このとき他の貯蔵部からは放出しない。パルスPDの開始時点で左側の空間への匂い物質の供給PBを停止し、キャリアガスのみを流す。こうして、異種の匂いが左右の鼻孔間で交互に供給されることで、これまでにない新しい嗅覚体験を実施することができる。
上述したように、本発明では、左右の鼻孔に対して、独立して異なる匂い制御が可能になる。左右の耳に対して異なる音源を与えることで立体音強効果を付与できることは知られているが、これまで匂い制御によって同様の効果を実現した例はない。
図6は、他の実施形態に係る装置を模式的に示すブロック図である。本例では、放出手段によるパルス制御に加えて、導管内の弁を用いて匂い物質を分配している。
すなわち、左側導管36Aに対して、本管35を接続し、制御をおこなう。導管10Aに対して、本例では匂い物質貯蔵部13A、13B、13Cが接続されており、各貯蔵部内に、対応する匂い物質が貯蔵されている。各貯蔵部には放出手段14が取り付けられており、貯蔵部内の匂い物質を導管15へと向かって放出可能となっている。
また、導管10Aには、キャリアガス供給手段11Aが接続されており、供給段11Aから矢印CAのようにキャリアガスを導管10A内に供給可能となっている。そして、各貯蔵部から放出された各匂い物質を、導管10A内でキャリアガスによって運搬し、矢印AAのように本管35を流れる。
また、右側導管36Bに対しても、本管35を接続し、制御をおこなう。導管10Bに対して、本例では匂い物質貯蔵部13D、13E、13Fが接続されており、各貯蔵部内に、対応する匂い物質が貯蔵されている。各貯蔵部には放出手段14が取り付けられており、貯蔵部内の匂い物質を導管15へと向かって放出可能となっている。
また、導管10Bには、キャリアガス供給手段11Bが接続されており、供給手段11Bから矢印CBのようにキャリアガスを導管10B内に供給可能となっている。そして、各貯蔵部から放出された各匂い物質を、導管10B内でキャリアガスによって運搬し、矢印ABのように本管35を流す。
ここで、本管35は分岐し、分岐した左側導管36Aおよび右側導管36Bに対して接続されている。左側導管36Aには弁40Aが取り付けられており、右側導管36Bには弁40Bが取り付けられている。各弁においては、それぞれ、匂い物質およびキャリアガスの通過流量を制御することが可能である。弁40A、40Bを制御することによって、左側放出手段4Aからの排出量と右側排出手段4Bからの排出量とを制御することができる。
更に、以下のような実施形態が可能になる。
(a) 左右の排出手段に対して同種の匂い物質を供給し、この際左右の排出手段に対して供給される匂い物質の供給時間に時間差を設けることによって、匂いが右側または左側から流れてくる状態を表現できる。
(a) 左右の排出手段に対して同種の匂い物質を供給し、この際左右の排出手段に対して供給される匂い物質の供給時間に時間差を設けることによって、匂いが右側または左側から流れてくる状態を表現できる。
例えば、図7(a)、(b)に示す例では、左側排出手段にはパルスPAのように貯蔵部13Aから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t1〜t3)。一方、右側の空間にはパルスPDのように貯蔵部13Dから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t2〜t4)。ここで、時間t2をt1よりも少し遅延させ、t4をt3よりも少し遅延させる。これとともに、貯蔵部13Aと13Dとの匂い物質を同じにするか、あるいは類似の匂いとする。これによって、匂いが左側から右側へと流れてくる状態を再現できる。
(b) 左右の排出手段に対して同種の匂い物質を供給し、この際左右の嗅覚刺激空間に対して供給される匂い物質の供給量に差を設けることによって、匂い源の遠近感を表現できる。
例えば、図7(a)、(b)に示す例では、左側の空間にはパルスPAのように貯蔵部13Aから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t5〜t6)。同時に、右側の空間にはパルスPDのように貯蔵部13Dから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t5〜t6)。ここで、パルスPAにおける匂い物質の供給量と、パルスPDにおける匂い物質の供給量とに差を設ける。これとともに、貯蔵部13Aと13Dとの匂い物質を同じにするか、あるいは類似の匂いとする。これによって、匂い源が左側または右側に存在する状態を再現できる。
例えば、図7(a)、(b)に示す例では、左側の空間にはパルスPAのように貯蔵部13Aから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t5〜t6)。同時に、右側の空間にはパルスPDのように貯蔵部13Dから匂い物質およびキャリアガスを供給する(時間t5〜t6)。ここで、パルスPAにおける匂い物質の供給量と、パルスPDにおける匂い物質の供給量とに差を設ける。これとともに、貯蔵部13Aと13Dとの匂い物質を同じにするか、あるいは類似の匂いとする。これによって、匂い源が左側または右側に存在する状態を再現できる。
本発明においては、キャリアガスを流すことによって、匂い物質を運搬することが好ましい。キャリアガスとしては、自然状態の大気が用いられるが、例えば、酸素濃度を高めた大気でも良い。また、空気の湿度や温度を調整しても良い。キャリアガス供給手段は、例えば送風機(ファン)である。
匂い物質も特に限定されず、嗅覚を刺激するような、あらゆる物質を使用可能である。また、匂い物質が気体である場合にはそのまま導管に放出できるし、匂い物質が液体である場合には、いったん加熱して気化させることもできる。
パルス状に匂い物質を放出する際には、パルス幅(射出時間)は、キャリアガスの流量、パルス間隔とも関係するが、0.01〜0.5秒とすることができる。
匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段としては、インクジェットプリンタで用いられているオンデマンド方式のバブルジェット(登録商標)方式のヘッドが好ましい。バブルジェット(登録商標)方式のヘッドは、匂い物質をヘッドユニット内の香料室に導き、ヘッド壁面のヒータを加熱してヘッド内の匂い物質を沸騰させて気泡(バブル)を発生させ、気泡の生成により生じるヘッド内の圧力の急上昇を利用して、香料を液滴の状態で空気中に吐出(射出)する。吐出される香料の液滴は極めて微細なため、100%気化する。このバブルジェット(登録商標)方式のヘッドは、吐出される香料の量を数ピコリットル単位で制御することができるので、吐出される香料の量を調整することにより、容易に香りの濃度を調節することができる。また、パルス間隔も0.1秒の単位で調整できるので、制御が容易となる。
なお、匂い物質を吐出させる手段としては、加熱手段に代えて、圧電素子を用いたインクジェットヘッドを用いても良い。また、インクジェット手段以外の匂い物質を気体中に噴霧する手段でもよい。
また、左側鼻孔に向かって匂い物質を排出する左側排出手段、右側鼻孔に対応して設けられ、右側鼻孔に向かって匂い物質を排出する右側排出手段は、それぞれ、匂い物質を排出する機能があればよく、導管であって良いが、ノズルやシャワーヘッドのような指向性をもつものが好ましい。
左側排出手段へと匂い物質を供給する左側導管、右側排出手段へと前記匂い物質を供給する右側導管は、それぞれ、図3に示すように、各供給装置31A、31Bの導管10A、10Bに接続されていてよい。この場合には、各供給装置内での放出手段の制御によって、右側導管、左側導管を流れる各匂い物質を別々に制御できる。
あるいは、左側導管と右側導管とは、図6に示すように共通の本管35に対して接続されていてよい。この場合には、供給装置31A、31Bから流れてくる匂い物質およびキャリアガスは、いったん本管35に集まるので、最終的に弁40A、40Bによっても各排出手段4A、4Bへの匂い物質の分配と制御とを行うことが好ましい。
左側排出手段を左側鼻孔に対して位置決めし、右側排出手段を右側鼻孔に対して位置決めする取り付け手段は、前述の例では結束具およびバンドを利用したが、特に限定されるものではない。ただし、各排出手段を身体に対して固定するものが好ましい。
左側排出手段および右側排出手段からの匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段は、前述の例では、各放出手段14であり、また弁である。弁は、サーバからの電気信号によって流量を制御可能な電磁弁が好ましい。
前述の例では、左側鼻孔および右側鼻孔がともに大気に開放されている。しかし、左側鼻孔と右側鼻孔との一方をマスクによって被覆し、他方を大気に開放させることもできる。この場合には、大気に開放されている方の鼻孔に供給される匂い物質が、マスクによって覆われているほうの鼻孔に供給する匂い物質と混合されることを防止できるので、本発明の効果が更に大きい。
Claims (14)
- 匂い物質貯蔵部、
前記匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段、
左側鼻孔に対応して設けられ、前記左側鼻孔に向かって前記匂い物質を排出する左側排出手段、
右側鼻孔に対応して設けられ、前記右側鼻孔に向かって前記匂い物質を排出する右側排出手段、
前記左側排出手段へと前記匂い物質を供給する左側導管、
前記右側排出手段へと前記匂い物質を供給する右側導管、
前記左側排出手段と前記右側排出手段とを連結する連結手段、および
前記左側排出手段および前記右側排出手段からの前記匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段
を備えていることを特徴とする、匂い呈示装置。 - 前記左側排出手段を前記左側鼻孔に対して位置決めし、前記右側排出手段を前記右側鼻孔に対して位置決めする取り付け手段を備えていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
- 前記制御手段が、前記匂い物質の供給を制御する弁を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
- 前記左側導管および前記右側導管に接続された本管を備えており、前記本管が前記放出手段に接続されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 前記制御手段が、前記放出手段からの前記匂い物質の放出量と放出時間とを制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 前記左側鼻孔および前記右側鼻孔が大気に開放されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 前記左側鼻孔と前記右側鼻孔との一方がマスクによって被覆されており、他方が大気に開放されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 匂い物質貯蔵部、
前記匂い物質貯蔵部に取り付けられ、匂い物質を放出する放出手段、
左側鼻孔に対応して設けられ、前記左側鼻孔に向かって前記匂い物質を排出する左側排出手段、
右側鼻孔に対応して設けられ、前記右側鼻孔に向かって前記匂い物質を排出する右側排出手段、
前記左側排出手段へと前記匂い物質を供給する左側導管、
前記右側排出手段へと前記匂い物質を供給する右側導管、
前記左側排出手段と前記右側排出手段とを連結する連結手段、および
前記左側排出手段および前記右側排出手段からの前記匂い物質の排出時間と放出量とを制御する制御手段
を使用し、前記左側導管および前記右側導管を通して前記匂い物質をそれぞれ前記左側排出手段および前記右側排出手段へと供給することを特徴とする、匂い呈示方法。 - 前記左側排出手段を前記左側鼻孔に対して位置決めし、前記右側排出手段を前記右側鼻孔に対して位置決めする取り付け手段を使用することを特徴とする、請求項8記載の方法。
- 前記制御手段として、前記匂い物質の供給を制御する弁を使用することを特徴とする、請求項8または9記載の方法。
- 前記左側導管および前記右側導管に接続された本管を備えており、前記本管が前記放出手段に接続されていることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記制御手段によって前記放出手段からの前記匂い物質の放出量と放出時間とを制御することを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記左側鼻孔および前記右側鼻孔を大気に開放することを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記左側鼻孔と前記右側鼻孔との一方をマスクによって被覆し、他方を大気に開放することを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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