本発明の一実施形態のエアーセルクッションを図1乃至図14を参照しながら説明する。このエアーセルクッションは車椅子や椅子等の着座面に載置されて使用される。
このエアーセルクッションは、図1乃至図3に示すように、着座面幅方向の一方に配置された複数のエアーセルA1から成る幅方向一方側エアーセル群G1と、着座面幅方向の他方に配置された複数のエアーセルA2から成る幅方向他方側エアーセル群G2と、着座面幅方向の中央側の前側に配置された複数のエアーセルA3から成る前側エアーセル群G3と、着座面幅方向の中央側の後側に配置された複数のエアーセルA4から成る後側エアーセル群G4と、各エアーセルA1〜A4よりも前方に着座面幅方向に延びるように設けられた前端側支持部材Fと、各エアーセルA1〜A4及び前端側支持部材Fの下端側をそれぞれ支持する平板状の支持部材Bとを備えている。尚、以下の文章中における方向の説明は図1、図2及び図3に示した着座面前後方向、着座面幅方向及び上下方向に準ずる。また、着座面幅方向と着座者の幅方向とは一致している。
各エアーセルA1のうち着座面幅方向内側に配置された2つのエアーセルA1と、各エアーセルA2のうち着座面幅方向内側に配置された2つのエアーセルA2と、各エアーセルA3,A4は、下端が開口している空気袋11と、空気袋11の開口縁部11aが着脱自在に取付けられているベース部材12と、空気袋11をベース部材12に保持するためのリング状の保持部材13とを有する(図5及び図6参照)。
空気袋11はゴムやプラスチック等の可撓性を有する材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋11は、上下方向に延びる断面円形状の筒状部11bと、筒状部11bの上端を閉鎖するように形成された上端部11cとを有する。筒状部11b及び上端部11cは略均一な厚さ寸法を有する薄膜状に形成されている。筒状部11bの下端に空気袋11の開口縁部11aが形成されており、開口縁部11aは筒状部11bの内周面よりも径方向内側に突出している。
ベース部材12はゴムやプラスチックから成り、円板状に形成されている。ベース部材12の上面には上方に突出する断面円形状の上面側突出部12aが設けられ、上面側突出部12aの先端側の外周面は基端側の外周面よりも径方向外側に突出している。空気袋11の開口縁部11aは上面側突出部12aの外周面に嵌合により取付けられ、開口縁部11aが上面側突出部12aに下方から係合する。また、空気袋11の開口縁部11aを上面側突出部12aに嵌合した後に、保持部材13を開口縁部11aの外周面に取付けると、開口縁部11aが上面側突出部12aの外周面に押付けられる。これにより、空気袋11の下端側である開口縁部11aがベース部材12によって上下方向に支持されるとともに、空気袋11の下端の開口部がベース部材12の上面における上面側突出部12aの上端面によって閉鎖され、ベース部材12の上面における上面側突出部12aの上端面と空気袋11によって空気室ARが形成される。また、ベース部材12の下面には下方に突出する断面円形状の下面側突出部12bが設けられている。
ベース部材12の上面側突出部12aの上端面の中央部には薄膜部12cが形成され、薄膜部12cの中央部には上方及び下方にそれぞれ突出する突出部12d,12eが設けられている。即ち、ベース部材12の上面における上面側突出部12aの上端面から成る空気室ARの底面の一部が薄膜部12cによって形成されている。薄膜部12cはベース部材12と一体に形成され、上下方向に弾性変形可能である。各突出部12d,12eはそれぞれ略半球形状に形成され、上側突出部12dは後述するコイルスプリング14の中間部分14bの下方に配置されている。
ベース部材12における薄膜部12cの下方には断面矩形状の穴12fが設けられ、穴12fは上下方向に延びるように形成されている。穴12fは下面側突出部12bの下端面に開口している。また、図4に示すように、各エアーセルA3,A4のうち一部のエアーセルA3,A4のベース部材12の穴12f内には、薄膜部12cの上下方向への変形を検知するセンサとしてスイッチSW1,SW2,SW3が取付けられている。具体的には、着座面幅方向一方側の5個のエアーセルA3,A4には幅方向一方側スイッチSW1が取付けられ、着座面幅方向他方側の5個のエアーセルA3,A4には幅方向他方側スイッチSW2が取付けられ、着座面幅方向中央側の7個のエアーセルA3,A4には幅方向中央側スイッチSW3が取付けられている。
各スイッチSW1,SW2,SW3は、中空状に形成された本体15aと、本体15aの上端面に上下方向に移動可能に設けられたボタン部材15bと、本体15a内におけるボタン部材15bの下方に設けられた第1接点部材15cと、本体15a内における第1接点部材15cの下方に設けられた第2接点部材15dとを有する(図10参照)。また、本体15aがベース部材12の穴12f内に嵌め込まれることにより、各スイッチSW1,SW2,SW3がベース部材12の穴12fに着脱自在に取付けられている。薄膜部12cの下側突出部12eの下方にボタン部材15bが配置されるとともに、下側突出部12eとボタン部材15bとの間にわずかな隙間が設けられるように、各スイッチSW1,SW2,SW3がベース部材12に取付けられている(図5参照)。尚、下側突出部12eをボタン部材15bに接触させることも可能である。
各スイッチSW1,SW2,SW3が取付けられたベース部材12の上面側突出部12aの上端面には空気室AR内に配置されるように金属製のコイルスプリング14が載置され、コイルスプリング14の軸方向は上下方向と一致している。コイルスプリング14は、下側部分14a、中間部分14b及び上側部分14cとから構成されている。また、下側部分14aは下端側から上端側に向かって徐々に巻径が小さくなるように形成され、その下端がベース部材12の上面側突出部12aの上端面における薄膜部12c以外の部分に接着や嵌合によって固定されている。中間部分14bは下側部分14aの上端側から上方に向かって延びるように形成されるとともに、一定の巻径で形成されている。上側部分14cは中間部分14bの上端から上方に向かって延びるように形成されるとともに、下端側から上端側に向かって徐々に巻径が大きくなるように形成されている。即ち、中間部分14b及び上側部分14cは薄膜部12cの上方に配置されており、中間部分14b及び上側部分14cは下側部分14aによって薄膜部12cの上方に上下方向に移動可能に支持され、下側部分14aは上下方向に移動した中間部分14b及び上側部分14cを移動前の所定位置に向かって付勢するようになっている。また、中間部分14bの下端と薄膜部12cの上側突出部12dとの間には所定の隙間が設けられている。尚、中間部分14bの下端と薄膜部12cの上側突出部12dとを接触させることも可能である。
即ち、各スイッチSW1,SW2,SW3のボタン部材15bが薄膜部12cにおける下側突出部12eの下方に配置され、ボタン部材15bが下方に向かって押されると、第1接点部材15cが下方に向かって所定距離Gだけ移動するように弾性変形し、第1接点部材15cと第2接点部材15dとが接触するとともに、第1電気配線15gと第2電気配線15hとが通電状態になる(図11参照)。即ち、各スイッチSW1,SW2,SW3は薄膜部12cの下方への変形を検知可能である。
各エアーセルA1のうち着座面幅方向外側に配置された2つのエアーセルA1と、各エアーセルA2のうち着座面幅方向外側に配置された2つのエアーセルA2は、下端が開口している空気袋21と、空気袋21の開口縁部21aが接着によって取付けられているベース部材22とを有する。
空気袋21はゴムやプラスチック等の可撓性を有する材料から成り、内部に空気を封入可能である。空気袋21は、上下方向に延びる筒状部21bと、筒状部21bの上端を閉鎖するように形成された上端部21cとを有し、筒状部11bの下端によって空気袋21の開口縁部21aが形成されている。筒状部21b及び上端部21cは略均一な厚さ寸法を有し、空気袋11よりも少し厚い薄膜状に形成されている。また、空気袋21は平面視において空気袋11の3倍以上の面積を有し、着座面幅方向の寸法よりも着座面前後方向の寸法が大きい。即ち、空気袋11内及び空気袋21内を同等の空気圧に設定した場合、空気袋21は空気袋11よりも着座面前後方向及び幅方向に高い剛性を有する。
ベース部材22はゴムやプラスチックから成り、板状に形成されている。ベース部材22の下面には下方に突出する複数の下面側突出部22aが設けられている。
前端側支持部材Fは発泡ウレタン等の海綿状部材から成り、前端側に傾斜面が形成されている。前端側支持部材Fは着座した着座者の大腿部を支持するようになっている。
支持部材Bはゴムやプラスチックから成り、着座面と略等しい面積を有する。支持部材Bの前端側は他の部分よりも大きな厚さ寸法を有し、この大きな厚さ寸法を有する部分に図14のブロック図に示す制御装置60、スタートボタン61、記憶装置62、表示装置63、各電磁弁51〜54等が配置されている。また、大きな厚さ寸法を有する部分の上面に前端側支持部材Fの下面が接着によって取付けられている。
支持部材Bには上下方向に貫通する複数の貫通孔31が設けられ、各エアーセルA1,A2,A3,A4のベース部材12,22の下面側突出部12b,22aがそれぞれ貫通孔31に上方から挿入されて嵌合することにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4の下端側が支持部材Bに着脱自在に支持されるようになっている。また、各エアーセルA1,A2,A3,A4のベース部材12,22の下面側突出部12b,22aが支持部材Bの下端面側に突出するようになっている。
これにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4の下端側が支持部材Bによって支持され、各エアーセルA1,A2,A3,A4の空気袋11,21が支持部材Bの上面側から上方に向かって延びるように設けられている。
各エアーセルA1,A2,A3,A4が支持部材Bに支持された後、図7に示すように、各エアーセルA1内が空気通路を介して互いに連通するように配管される。具体的には、各エアーセルA1のベース部材12に上下方向に延びるように設けられた複数の通気穴12g、ベース部材12の下面側突出部12bの外周面から通気穴12gまで延びるように設けられた横孔12h、各ベース部材12の横孔12h同士を連通させる連通パイプPAにより、各エアーセルA1同士を互いに連通させる空気通路を形成し、各エアーセルA1内が互いに連通する。同様に、各エアーセルA2内も互いに連通するように配管され、各エアーセルA3内も互いに連通するように配管され、各エアーセルA4内も互いに連通するように配管される。
また、図12に示すように、各エアーセルA1、各エアーセルA2、各エアーセルA3、及び各エアーセルA4は、空気通路Pを介して手動式の空気ポンプ40に接続されている。空気ポンプ40は、可撓性を有する中空状のゴム球41を有し、ゴム球41を繰り返し圧縮することにより各エアーセルA1〜A4側に空気が送られる。また、図12に示すように、空気通路Pは、空気ポンプ40からの空気を各エアーセル群G1〜G4にそれぞれ供給可能に構成されている。また、空気通路Pには、空気ポンプ40から各エアーセル群G1〜G4への空気通路の開閉をそれぞれ切換え可能な電磁弁51,52,53,54が設けられている。さらに、空気通路Pには、空気通路P内の空気を排気するための排気弁42が設けられ、排気弁42は、例えば、支持部材Bにおける着座面幅方向他方の前端で操作できるように設けられている。尚、排気弁42を空気ポンプ40に設けることも可能である。
各電磁弁51,52,53,54は周知のマイクロコンピュータから成る制御装置60に接続され、制御装置60は各スイッチSW1,SW2,SW3にも接続されている。また、制御装置60にはスタートボタン61、周知の記憶装置62及び表示装置63が接続されている。表示装置63は連続音及び間欠音を発することが可能な周知のブザーから成る。
以上のように構成されたエアーセルクッションを例えば車椅子の着座面に載置して使用する場合は、先ず、着座者が着座する前に、各エアーセルA1,A2,A3,A4内に空気を充填する。ここでは、着座者が着座した段階で各エアーセルA1,A2,A3,A4の何れも底付き状態にならないように、各エアーセルA1,A2,A3,A4内に空気を充填する。尚、底付き状態とは、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が所定量以上になり、空気袋11によって着座者の臀部HPを軟らかく支持することができなくなる状態を言う。また、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が所定量以上になるとは、例えば各エアーセルA1,A2,A3,A4の空気袋11の上端部11cとベース部材12の上端面との距離が所定距離Lよりも小さくなることを言う(図9参照)。
ここで、各エアーセルA3,A4に設けられている各スイッチSW1,SW2,SW3は、その取付けられた各エアーセルA3,A4が底付き状態になったこと(空気袋11の上端部11cとベース部材12の上端面との距離が所定距離Lよりも小さくなったこと)を検知可能である。
次に、着座者が着座した後、制御装置60によって以下の制御が行われる(図14参照)。
先ず、着座している着座者や看護師等によってスタートボタン61が操作されると(S1)、各電磁弁51,52,53,54を開放状態とする(S2)。これにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4内が互いに連通し、各エアーセルA1,A2,A3,A4内の圧力が互いに略等しくなる。また、この状態において、着座者や看護師等が排気弁42を開放することにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気を徐々に少なくすることができる。
続いて、各スイッチSW1,SW2,SW3のうち1つ以上のスイッチによって薄膜部12cの下方の移動が連続して所定時間以上(例えば5秒以上)検知されたこと、即ち、1つ以上のスイッチによってそのスイッチが設けられたエアーセルが底付き状態になったことが検知されると(S3)、検知された時刻を記憶装置62に記憶させる(S4)。また、底付き状態になったことを検知したセンサの位置に基づき、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が着座面幅方向への偏りを判定する(S5)。例えば、幅方向一方側スイッチSW1のみによって底付き状態になったことが検知された場合や、幅方向一方側スイッチSW1及び幅方向中央側スイッチSW3によって底付き状態になったことが検知された場合は、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が着座面幅方向の一方側に偏っていると判定し、幅方向中央側スイッチSW3のみによって底付き状態になったことが検知された場合や、幅方向一方側スイッチSW1の2つ及び幅方向他方側スイッチSW2の2つによって底付き状態になったことが検知された場合は、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が着座面幅方向に偏っていないと判定する。尚、判定の方法はエアーセルの配置やスイッチの配置に応じて適宜設定可能である。
また、前回1つ以上のスイッチによって底付き状態になったことが検知されてステップS4によって記憶されている時刻から、ステップS3で底付き状態が検知されるまでの経過時間T1を検出し(S6)、その経過時間T1を所定時間T0と比較する(S7)。また、経過時間T1が所定時間T0より短い場合は、表示装置63を連続音を発するように制御し(S8)、経過時間T1が所定時間T0以上である場合は、表示装置63を間欠音を発するように制御し(S9)、何れの場合であっても各電磁弁51,52,53,54を開放状態にしておく(S10,S11)。
ここで、例えば着座者が着座面幅方向の何れかに傾いて座る癖があり、傾く側の座骨近傍を支えるエアーセルのみが所定量以上潰れる(底付き状態になる)場合は、前記経過時間T1が長くなる傾向があり、各エアーセル、空気通路、空気ポンプ30等から微小の空気漏れが発生している場合は、前記経過時間T1が短くなる傾向がある。尚、着座者が着座した後に各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気を排気弁42から抜いている初期設定のための操作では、前記経過時間T1の長短は関係がない。
初期設定のための操作では、着座者が着座した後に各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気を排気弁42から抜いて初期の空気量調整をしている状態であるから、ステップS8とステップS9の何れでも違いは無いが、例えばステップS9で間欠音を発する場合、着座者や看護師等が底付き状態を知ることができるので、排気弁42を閉鎖するとともに、空気ポンプ40によって各エアーセルA1,A2,A3,A4に空気を供給し、底付き状態を解消する動作をとることができる。また、制御装置60は、空気の供給によって底付き状態の解消が検知されると(S12)、表示装置32による間欠音を停止させ(S13)、ステップS12の底付き状態の解消から所定時間後(例えば10秒後)に各電磁弁51,52,53,54を閉鎖状態とする(S14)。これにより、着座者や看護師等は底付き状態が解消されたことを知ることができ、また、底付き状態が解消されてから所定時間だけ各エアーセルA1,A2,A3,A4に空気を供給することができるので、各エアーセルA1,A2,A3,A4底付き状態にならないように各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気量を極力少なくすることができ、着座者の臀部に加わる圧力を効果的に分散させることができる。
また、ステップS14が終了すると、制御装置60は再びステップS3から制御を開始する。
即ち、初期設定が終わった後に、1つ以上のスイッチによってそのスイッチが設けられたエアーセルが底付き状態になったことが検知されると(S3)、検知された時刻を記憶装置62に記憶させ(S4)、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量の着座面幅方向への偏りを判定し(S5)、経過時間T1を検出し(S6)、その経過時間T1を所定時間T0と比較し(S7)、経過時間T1が所定時間T0より短い場合は、表示装置63を連続音を発するように制御し(S8)、経過時間T1が所定時間以上である場合は、表示装置63を間欠音を発するように制御し(S9)、何れの場合であっても各電磁弁51,52,53,54を開放状態にする(S10,S11)。
今回の状態では、前述のように初期設定をしている状態ではないので、ステップS8で表示装置63が連続音を発する場合は、各エアーセルA1,A2,A3,A4や空気通路P等から微小の空気漏れが発生している可能性が高いことがわかり、ステップS9で表示装置63が間欠音を発する場合は、着座者の傾いて座る癖により傾く側の座骨近傍を支えるエアーセルのみが所定量以上潰れている可能性が高いことがわかる。
このため、ステップS9で表示装置63が間欠音を発する場合は、ステップS11で各電磁弁51,52,53,54が開放状態になっていることから、着座者や看護師が着座者の臀部を各エアーセルA1,A2,A3,A4と触れない位置まで一度上方に移動し、その後着座し直すことにより、底付き状態になったエアーセルに他のエアーセルから空気を移動させ、これにより底付き状態を解消することができる。即ち、表示装置63の表示状態に基づき対応することにより、着座者の底付き状態を効果的に解消することができる。
また、ステップS8で表示装置63が連続音を発する場合は、着座者や看護師等は短時間で底付き状態になったことを知ることができ、ステップS10で各電磁弁51,52,53,54が開放状態になっていることから、空気ポンプ40によって各エアーセルA1,A2,A3,A4に空気を供給し、底付き状態を解消する動作をとることができる。また、空気の供給によって底付き状態の解消が検知されると(S15)、表示装置63による連続音を停止させる(S16)。これにより、着座者や看護師等が空気の供給により底付き状態が解消されたことを知ることができる。
また、ステップS5で着座面幅方向の何れかに偏っていると判定されている場合、例えば、各エアーセルA1,A2,A3,A4の潰れ量が着座面幅方向の一方に偏っていると判定されている場合は、幅方向一方側エアーセル群G1の電磁弁51のみを開放状態にするとともに、他の各電磁弁52,53,54を閉鎖状態とし(S17)、また、ステップS17から所定時間(例えば10秒)が経過した後に、各電磁弁51,52,53,54を閉鎖状態とする(S18)。ステップS17により、潰れ量が偏っている側の幅方向一方側エアーセル群G1にのみ空気ポンプ40からの空気が供給されることから、空気ポンプ40から空気を送ることにより、着座者が傾く側のエアーセルにより多くの空気を供給することができ、着座者の姿勢を傾き難くすることができる。即ち、着座者の底付き状態を効果的に解消することができる。
一方、ステップS5で着座面幅方向の何れかに偏っていないと判定されている場合は、幅方向一方側及び他方側のエアーセル群G1及びG2の電磁弁51,52のみ開放状態にするか、全ての電磁弁51,52,53,54を開放状態とし(S17)、ステップS17から所定時間が経過した後に、各電磁弁51,52,53,54を閉鎖状態とする(S18)。ステップS17及びステップS18により、各エアーセルA1,A2,A3,A4が底付き状態にならないように各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気量を極力少なくすることができる。
このように、本実施形態によれば、着座者の底付き状態を効果的に解消することができるので、着座者の褥瘡を防止する上で極めて有利である。
尚、本実施形態では、表示装置63として連続音及び間欠音の2種類の音を発するものを用いたが、複数種類の異なる音声を発するものを用いることも可能であり、複数種類の異なる光を表示するものを用いることも可能であり、複数種類の異なる画像を表示するものを用いることも可能である。
また、本実施形態では、図14のステップS6において、各スイッチSW1〜SW3によってエアーセルが所定量以上潰れたことを検知した際に、前にエアーセルが所定量以上潰れたことを検知してからの経過時間T1を検出し、また、ステップS7〜S9において、各スイッチSW1〜SW3によってエアーセルが所定量以上潰れたことが検知された時に、経過時間T1の長短に応じて表示装置63の表示を異ならせるものを示した。これに対し、少なくとも1つのエアーセルの内部か空気通路Pに空気圧を検出する圧力センサを設け、ステップS6において、圧力センサによる検知圧力の変化速度を検出するように構成し、ステップS7〜8において、各スイッチSW1〜SW3によってエアーセルが所定量以上潰れたことが検知された時に、圧力の変化速度が所定速度よりも速い場合は(S7)、表示装置63を連続音を発するように制御し(S8)、圧力の変化速度が所定速度以下の場合は(S7)、表示装置63を間欠音を発するように制御し(S8)、これにより前述と同様の作用効果を達成することも可能である。
また、本実施形態では、図1に示すように、複数のエアーセルA1から成る幅方向一方側エアーセル群G1、複数のエアーセルA2から成る幅方向他方側エアーセル群G2、複数のエアーセルA3から成る前側エアーセル群G3、及び複数のエアーセルA4から成る後側エアーセル群G4を設けたものを示した。これに対し、図15に示すように、複数のエアーセルA1から成る幅方向一方側エアーセル群G1と複数のエアーセルA2から成る幅方向他方側エアーセル群G2のみを設けることも可能である。この場合でも、幅方向一方側エアーセル群G1にのみ空気を供給することにより、幅方向一方側に傾く癖のある着座者の姿勢を傾き難くすること等ができるので、前述と同様の作用効果を達成可能である。
また、本実施形態では、薄膜部12c、コイルスプリング14及びスイッチSW1,SW2,SW3によって各エアーセルA3,A4が底付き状態になっている(空気袋11の上端部11cとベース部材12の上端面との距離が所定距離Lよりも小さくなっている)ことを検知するようにしたものを示した。これに対し、例えば空気袋11の上端部11cの下面に近接センサを設け、近接センサによって各エアーセルA3,A4の底付き状態を検知することも可能である。また、その他の周知の構成によって各エアーセルA3,A4の底付き状態を検知することも可能である。
尚、本実施形態では、薄膜部12c、コイルスプリング14及びスイッチSW1,SW2,SW3によって各エアーセルA3,A4が底付き状態になっていることを検知するようにしたものを示した。これに対し、例えば空気袋11の上端部11cに設けられた金属薄膜と、ベース部材12の上端面に設けられたインピーダンス変動要素とを用い、インピーダンス変動要素のインピーダンス値に基づいて各エアーセルA3,A4の潰れ量(空気袋11の上端側とベース部材12の上端面との距離)を検知することも可能である。
また、本実施形態では、各ベース部材12,22が平板状の支持部材Bに着脱自在に支持されるようにしたものを示したが、各ベース部材12,22と支持部材Bとを一体に形成することも可能である。
また、本実施形態では、薄膜部12cの下方にスイッチSW1,SW2,SW3を設け、スイッチSW1,SW2,SW3によって薄膜部12cの変形を検知するようにしたものを示したが、薄膜部12cの下方に周知の近接センサを設け、近接センサによって薄膜部12cの変形を検知することも可能であり、薄膜部12cの下方に周知の光電センサを設け、光電センサによって薄膜部12cの変形を検知することも可能である。
尚、本実施形態では、空気室AR内にコイルスプリング14を設けたものを示したが、コイルスプリング14の代わりに上下方向に弾性変形可能なゴム部材等を設けることも可能である。
図16乃至図18は本発明の他の実施形態を示すもので、前記実施形態と同等の構成部分には同一の符号を付して示す。
本実施形態のエアーセルクッションは、前記実施形態の構成に加え、制御装置60に接続された排気スイッチ64を備え、排気スイッチ64は任意に操作可能に設けられている。また、制御装置60には電磁弁からなる排気弁42が接続されている。
次に、本実施形態の制御装置60の動作について、図17及び図18のフローチャートを参照して説明する。尚、図17及び図18のフローチャートは、各図に示した番号「1」「2」で連続している。
先ず、前記実施形態と同様、着座している着座者や看護師等によってスタートボタン61が操作されると(S1)、各電磁弁51,52,53,54を開放状態とする(S2)。これにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4内が互いに連通し、各エアーセルA1,A2,A3,A4内の圧力が互いに略等しくなる。
ここで、各スイッチSW1,SW2,SW3のうち1つ以上のスイッチによって薄膜部12cの下方の移動が連続して所定時間以上(例えば5秒以上)検知されたこと、即ち、1つ以上のスイッチによってそのスイッチが設けられたエアーセルが底付き状態になったことが検知されると(S3)、排気スイッチ64が操作されていない場合は(S19)、前記ステップS3〜S18の動作を行う。尚、ステップS3〜S18の動作は前記実施形態と同様であるため説明は省略する。
また、前記ステップ19において、着座者や看護師等によって排気スイッチ64がオンになるように操作された場合は、排気弁42を開放状態とする(S20)。これにより、着座者の重み等による外圧を加えることにより、各エアーセルA1,A2,A3,A4内の空気を排気弁42から外部に排出することができる。そして、エアーセルが底付き状態になったことが検知されると(S21)、排気弁42を閉鎖状態にするとともに(S22)、検知された時刻を記憶装置62に記憶させる(S23)。
次に、前回1つ以上のスイッチによって底付き状態になったことが検知されてステップS23によって記憶されている時刻から、ステップS21で底付き状態が検知されるまでの経過時間T1を検出し(S24)、その経過時間T1を所定時間T0と比較する(S25)。また、経過時間T1が所定時間T0より短い場合は、表示装置63を連続音を発するように制御し(S26)、経過時間T1が所定時間T0以上である場合は、表示装置63を間欠音を発するように制御し(S27)、何れの場合であっても各電磁弁51,52,53,54を開放状態にしておく(S28,S29)。
ここで、着座者や看護師等が底付き状態を知ることができるので、空気ポンプ40によって各エアーセルA1,A2,A3,A4に空気を供給し、底付き状態を解消することができる。その際、各電磁弁51,52,53,54は全て開放状態となっているので、全てのエアーセルA1,A2,A3,A4に所望の空気圧になるまで空気を供給することができる。次に、空気の供給によって底付き状態の解消が検知されると(S30,S31)、表示装置32による連続音または間欠音を停止させ(S32,S33)、排気スイッチ64がオフになるように操作されると(S34)、各電磁弁51,52,53,54を閉鎖状態とするとともに(S35)、前記ステップS3に戻る。
このように、本実施形態によれば、排気スイッチ64が操作されていない場合に、エアーセルが所定量以上潰れていることが検知されると、前記実施形態と同様、底付き状態が検知されたエアーセル群にのみ空気ポンプ40からの空気が供給されることから、着座者の底付き状態を効果的に解消することができる。また、排気スイッチ64が操作された場合は、排気弁42を開放するとともに、エアーセルが所定量以上潰れていることが検知されると、排気弁42を閉じるとともに、空気ポンプ40からの空気が全てのエアーセルA1,A2,A3,A4に供給されるように各電磁弁51,52,53,54を制御するようにしたので、着座者や看護師等が全てのエアーセルA1,A2,A3,A4に任意に空気を入れ直すことができる。これにより、例えば屋外で車椅子を使用する場合は、各エアーセルA1,A2,A3,A4の全体の空気圧を高めにすることにより、走行時の揺れや振動に対して着座者の臀部を安定して支持することができる。また、例えば屋内で車椅子を使用する場合は、各エアーセルA1,A2,A3,A4の全体の空気圧を低めにすることにより、長時間の着座においても反発力による着座者の臀部への負担を軽減することができる。即ち、着座者の使用条件や好みに応じて各エアーセルA1,A2,A3,A4の全体の空気圧を任意に調整することができるので、より快適に使用することができる。