以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ナビゲーション装置・取付傾きの生じていない例)
2.第2の実施の形態(ナビゲーション装置・取付傾きによって混入する不要な加速度成分による影響を除去する例)
3.他の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[1−1.基本原理]
本発明においてはナビゲーション装置として携帯型ナビゲーション装置(以下、これをPND(Personal Navigation Device)とも呼ぶ)を用い、そのPNDにより車両の速度及び現在位置を算出する基本原理について説明する。
[1−1−1.速度算出原理]
実際上、道路を走行中の車両は、平らな道路を走行することが殆どなく、図1(A)に示すような全体として凹状の道路、及び図1(B)に示すような全体として凸状の道路を走行するのが実状である。
ここで車両の座標系は、当該車両の前後方向をX軸、当該X軸に直交した水平方向をY軸、上下方向をZ軸によって表される。
この車両の例えばダッシュボード上に載置されたPNDは、車両が凹状の道路(図1(A))を走行したとき、当該PNDに設けられた3軸加速度センサによって、Z軸に沿った下方向の加速度αzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
またPNDは、当該PNDに設けられたY軸ジャイロセンサによって進行方向に直交したY軸周りの角速度(以下、これをピッチレートとも呼ぶ)ωyを50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
ここでPNDでは、Z軸に沿った下方向の加速度αzを正と定義し、また図1(A)に示すような凹状の路面に沿って形成される仮想上の円を進行方向に対して上向きに縦回転する際のピッチレートωyを正と定義している。
このPNDでは、3軸加速度センサによって検出した加速度αz及びY軸ジャイロセンサによって検出したピッチレートωyを用い、次式
によって進行方向の速度Vを1秒間当たり50回、算出し得るようになされている。
またPNDは、車両が凸状の道路(図1(B))を走行するとき、当該PNDに設けられた3軸加速度センサによってZ軸に沿った上方向の加速度αz’を例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出し、また当該PNDに設けられたY軸ジャイロセンサによってY軸周りのピッチレートωy’を例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
そしてPNDでは、3軸加速度センサによって検出した加速度αz’及びY軸ジャイロセンサによって検出したピッチレートωy’を用い、次式
によって進行方向の速度V’を1秒間当たり50回、算出し得るようになされている。
ここでは説明の便宜上、負の加速度αzを加速度αz’として説明しているが、実際には、3軸加速度センサは加速度αz’を加速度αzの負の値として検出している。またピッチレートωy’についても同様に、負のピッチレートωyをピッチレートωy’として説明しているが、実際には、Y軸ジャイロセンサは、ピッチレートωy’をピッチレートωyの負の値として検出している。従って、実際には速度V’も、速度Vとして算出される。
[1−1−2.現在位置算出原理]
次に、上述した速度算出原理により算出した速度Vと、Z軸回りの角速度とに基づいて現在位置を算出する現在位置算出原理について説明する。
図2に示すように、PNDは、車両が例えば左旋回している時のZ軸回りの角速度(以下、これをヨーレートとも呼ぶ)ωzを当該PNDに設けられたZ軸ジャイロセンサによって例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
次にPNDは、図3に示すように、前回の位置P0における速度Vと、ジャイロセンサにより検出したヨーレートωzにサンプリング周期(この場合、0.02[s])を積算することにより得られる角度θとを基に、前回の位置P0から現在位置P1までの変化量を求める。そしてPNDは、この変化量を前回の位置P0に加えることによって現在位置P1を算出し得るようになされている。
[1−2.PNDの構成]
上述した本発明の基本原理を用いて車両の速度及び現在位置を算出するPNDの具体的構成について説明する。
[1−2−1.PNDの外観構成]
図4に示すように、PND1は、当該PND1における前面に表示部2が設けられており、当該PND1に内蔵された例えば不揮発性メモリ(図示せず)に格納されている地図データに応じた地図画像等を表示部2に対して表示し得るようになされている。
またPND1は、車両のダッシュボード上に吸盤3Aを介して取付けられたクレードル3によって保持されると共に、当該PND1とクレードル3とが機械的かつ電気的に接続される。
これによりPND1は、クレードル3を介して車両のバッテリから供給される電源電力により動作すると共に、当該クレードル3から取り外されたときには内蔵のバッテリから供給される電力によって独立した状態でも動作するようになされている。
ここでPND1は、その表示部2が車両の進行方向に対してほぼ垂直となるように設置されている。このときPND1の座標系は、図5に示すように、当該車両の前後方向(進行方向)をX軸、当該X軸に直交した水平方向をY軸、上下方向をZ軸によって表される。
この座標系では、車両の進行方向をX軸の正と定義し、また右方向をY軸の正と定義し、さらに下方向をZ軸の正と定義することとする。
[1−2−2.PNDのセンサ構成]
図6に示すように、PND1は、その内部に3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7が設けられている。
3軸加速度センサ4は、X軸に沿った加速度αx、Y軸に沿った加速度αy、及びZ軸に沿った加速度αzをそれぞれ電圧値として検出するようになされている。
またY軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7は、Y軸周りのピッチレートωy、Z軸周りのヨーレートωz及び周囲の気圧PRをそれぞれ電圧値として検出するようになされている。
[1−2−3.PNDの回路構成]
図7に示すように、PND1の制御部11は、CPU(Central Processing Unit)構成でなり、例えば不揮発性メモリ等でなる記憶部12から読み出した基本プログラムによって全体を統括制御するようになされている。
またPND1は、制御部11が記憶部12から読み出した各種アプリケーションプログラムに従って後述する速度算出処理等を実行するようになされている。
この制御部11は、速度算出処理等を実行する際、GPS処理部21、速度算出部22、角度算出部23、高度算出部24、位置算出部25及びナビゲーション部26として機能するようになされている。
このPND1では、GPSアンテナANTによって受信した複数のGPS衛星からのGPS信号を制御部11のGPS処理部21へ送出する。
GPS処理部21は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データと、複数のGPS衛星から車両までの距離データとに基づいて車両の現在位置を正確に測位することにより現在位置データNPD1を得、これをナビゲーション部26へ送出する。
ナビゲーション部26は、現在位置データNPD1を基に車両の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成した後、表示部2へ出力することにより当該地図画像を表示するようになされている。
ところで3軸加速度センサ4は、加速度αx、αy及びαzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出し、当該加速度αx、αy及びαzのうち、加速度αzが示された加速度データADを制御部11の速度算出部22へ送出する。
Y軸ジャイロセンサ5は、ピッチレートωyを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該ピッチレートωyが示されたピッチレートデータPDを制御部11の速度算出部22へ送出する。
速度算出部22は、3軸加速度センサ4から供給された加速度データADに相当する加速度αzと、Y軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyとを基に、(1)式を用いて1秒当たり50回、速度Vを算出し、当該速度Vが示された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
またZ軸ジャイロセンサ6は、ヨーレートωzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該ヨーレートωzが示されたヨーレートデータYDを制御部11の角度算出部23へ送出する。
角度算出部23は、Z軸ジャイロセンサ6から供給されたヨーレートデータYDに相当するヨーレートωzにサンプリング周期(この場合、0.02[s])を積算することにより、車両が右旋回又は左旋回したときの角度θを算出し、その角度θが示された角度データDDを位置算出部25へ送出する。
位置算出部25は、速度算出部22から供給された速度データVDに相当する速度V、及び角度算出部23から供給された角度データDDに相当する角度θを基に、図3に示したような前回の位置P0から現在位置P1までの変化量を求める。そして位置算出部25は、この変化量を前回の位置P0に加えることによって現在位置P1を算出し、その現在位置P1が示された現在位置データNPD2をナビゲーション部26へ送出する。
一方、気圧センサ7は、周囲の気圧PRを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該気圧PRが示された気圧データPRDを高度算出部24へ送出する。
高度算出部24は、気圧センサ7から供給された気圧データPRDに相当する気圧PRに基づいて車両の高度を算出し、その高度が示された高度データHDをナビゲーション部26へ送出する。
ナビゲーション部26は、位置算出部25から供給された現在位置データNPD2、及び高度算出部24から供給された高度データHDを基に、車両の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成した後、表示部2へ出力することにより当該地図画像を表示するようになされている。
[1−3.速度算出処理]
次に、3軸加速度センサ4から供給された加速度データADに相当する加速度αz、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づいて速度Vを速度算出部22によって算出する速度算出処理について詳しく説明する。
速度算出部22は、速度算出処理を実行する際、図8に示すように、データ取得部31、ハイパスフィルタ部32、ローパスフィルタ部33、速度計算部34、平滑化及びノイズ除去部35及び速度出力部36として機能する。
速度算出部22のデータ取得部31は、3軸加速度センサ4から供給される加速度データAD、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されるピッチレートデータPDをそれぞれ取得し、当該加速度データAD及びピッチレートデータPDをハイパスフィルタ部32へ送出する。
ハイパスフィルタ部32は、データ取得部31から供給された加速度データAD及びピッチレートデータPDの直流成分をカットし、その結果得られる加速度データAD1及びピッチレートデータPD1をローパスフィルタ部33へ送出する。
ローパスフィルタ部33は、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して後述するローパスフィルタ処理を施し、その結果得られる加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を速度計算部34へ送出する。
速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2に対して後述する速度計算処理を施し、その結果得られる速度データVD1を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34から供給された速度データVD1に対して後述する平滑化及びノイズ除去処理を施し、その結果得られる速度データVDを速度出力部36へ送出する。
速度出力部36は、車両の速度Vを表すデータとして、平滑化及びノイズ除去部35から供給された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
このようにして速度算出部22は、3軸加速度センサ4から供給された加速度データAD、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに基づいて車両の速度Vを算出するようになされている。
[1−3−1.ローパスフィルタ処理]
次に、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対してローパスフィルタ部33により施されるローパスフィルタ処理について詳しく説明する。
ところで、気圧センサ7により取得された気圧データPRDに相当する気圧PRに基づく高度Hと、Y軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づくY軸周りの水平方向に対する角度φとの関係を図9に示す。ここで角度φは、進行方向(X軸)に対して上方向を正と定義している。
図9における約12001データ点(240[s])から高度Hが急に低くなるとき、すなわち車両が下り坂を下っているとき、角度φも約0.5[deg]から急に約−2.5[deg]へ下がっていることからも明らかなように、高度Hと角度φとの間には相関関係がある。
このように高度Hが変化する際、角度φも高度Hの変化に伴って変化しており、このことから、PND1は、Y軸ジャイロセンサ5によって車両の進行方向における路面のうねりを検出できることが分かる。
次に、図9における角度φだけを図10(A)に示す。また図10(B)には、図10(A)における5001データ点から6001データ点までの角度φを示し、このとき車両は時速20[km]未満の低速で走行している。図10(B)からも明らかなように、角度φは、1秒間当たり1〜2回振動していることが分かる。
従って、車両に搭載されたPND1では、車両が時速20[km]未満の低速で走行している際、Y軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づく角度φを1〜2[Hz]の振動として検出している。
また図11(A)には、図10(A)と同様に、図9における角度φだけを示す。図11(B)には、図11(A)における22001データ点から23001データ点までの角度φを示し、このとき車両は時速60[km]以上の高速で走行している。
これによると、PND1では、車両が時速60[km]以上の高速で走行している際、Y軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づく角度φも1〜2[Hz]の振動として検出している。
さらにPND1では、図12に示すように、車両が時速10[km]未満の超低速で走行している際のY軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づく角度φも1〜2[Hz]の振動として検出している。
従ってPND1では、Y軸ジャイロセンサ5によりピッチレートωyを検出する際、車両の走行速度に関わらず、当該ピッチレートωyを1〜2[Hz]の振動として検出している。
ところでPND1は、車両のダッシュボード上に吸盤3Aを介して取付けられたクレードル3によって保持されている。図13に示すように、クレードル3は、吸盤3Aの上方に本体部3Bが設けられており、当該本体部3Bの所定高さの位置に設けられた支持点3Cによって一端が支持され、他端によりPND1を支持するPND支持部3Dが設けられている。
従ってPND1は、車両が路面のうねりに応じて振動する際、PND支持部3Dの支持点3Cを中心に上下方向に例えば加速度αc及び角速度ωcで振動する。
従って、実際上、3軸加速度センサ4は、車両が路面のうねりに応じて振動することにより発生するZ軸方向の加速度αz(図1)に対して、PND支持部3Dの支持点3Cを中心とした振動に伴う加速度αcが加算された加速度(以下、これを加算加速度と呼ぶ)αczを検出していることになる。
またY軸ジャイロセンサ5は、車両が路面のうねりに応じて振動することにより発生するY軸周りのピッチレートωy(図1)に対して、PND支持部3Dの支持点3Cを中心とした振動に伴う角速度ωcが加算された角速度(以下、これを加算角速度と呼ぶ)ωcyを検出していることになる。
従ってローパスフィルタ部33は、加算加速度αczが示された加速度データAD1と、加算角速度ωcyが示されたピッチレートデータPD1とをデータ取得部31及びハイパスフィルタ部32を介して取得することになる。
ここでハイパスフィルタ部32によってハイパスフィルタ処理が施された後の加速度データAD1に相当する加算加速度αcz及びピッチレートデータPD1に相当する加算角速度ωcyを図14に示す。そして図15には、図14に示した加算角速度ωcyを4096データ点ごとにフーリエ変換したグラフを示す。
具体的に図15(A)は、図14における1〜4096データ点までの加算角速度ωcyに対してフーリエ変換したグラフである。以下同様に、図15(B)、(C)及び(D)は、図14における4097〜8192データ点、8193〜12288データ点及び12289〜16384データ点までの加算角速度ωcyに対してそれぞれフーリエ変換したグラフである。
また図15(E)、(F)、(G)及び(H)は、図14における16385〜20480データ点、20481〜24576データ点、24577〜28672データ点及び28673〜32768データ点までの加算角速度ωcyに対してそれぞれフーリエ変換したグラフである。
図15(A)〜(H)のうち、特に図15(C)〜(H)に顕著に表れているように、1〜2[Hz]の周波数成分と、約15[Hz]の周波数成分とが、大きな値を示している。
すなわちPND1は、Y軸ジャイロセンサ5によって、上述したような路面のうねりによって1〜2[Hz]で振動するピッチレートωyと、PND1を保持するクレードル3によって約15[Hz]で振動する角速度ωcと合成された加算角速度ωcyを検出している。
一方、図16には、図14に示した加算加速度αczを4096データ点ごとにフーリエ変換したグラフを示す。
具体的に図16(A)は、図14における1〜4096データ点までの加算加速度αczに対してフーリエ変換したグラフである。以下同様に、図16(B)、(C)及び(D)は、図14における4097〜8192データ点、8193〜12288データ点及び12289〜16384データ点までの加算加速度αczに対してそれぞれフーリエ変換したグラフである。
また図16(E)、(F)、(G)及び(H)は、図14における16385〜20480データ点、20481〜24576データ点、24577〜28672データ点及び28673〜32768データ点までの加算加速度αczに対してそれぞれフーリエ変換したグラフである。
ここで加算角速度ωcy(図15(C)〜(H))に1〜2[Hz]の周波数成分と約15[Hz]の周波数成分とが発生している以上、加算加速度αczにも1〜2[Hz]の周波数成分と、約15[Hz]の周波数成分とが発生していることが予想される。
すなわちPND1は、3軸加速度センサ4によって、上述したような路面のうねりによって1〜2[Hz]で振動する加速度αzと、PND1を保持するクレードル3によって約15[Hz]で振動する加速度αcとが合成された加算加速度αczを検出している。
そこでローパスフィルタ部33は、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対してローパスフィルタ処理を施し、約15[Hz]の周波数成分、すなわちクレードル3にPND1が保持されることによって発生する加速度αc及び角速度ωcをそれぞれ取り除くようになされている。
ここで図16(H)の縦軸を対数軸に変換したグラフを図17(A)に示し、28673〜32768データ点までの加算加速度αczに対してカットオフ周波数2[Hz]のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタを2回、4回及び6回施した後にフーリエ変換したグラフをそれぞれ図17(B)、(C)及び(D)に示す。
また図18(A)に図15(H)の縦軸を対数軸に変換したグラフを示し、28673〜32768データ点までの加算角速度ωcyに対して、加算加速度αczと同様に、カットオフ周波数2[Hz]のIIRフィルタを2回、4回及び6回施した後にフーリエ変換したグラフをそれぞれ図18(B)、(C)及び(D)に示す。
図17(B)〜(D)及び図18(B)〜(D)に示したように、このPND1では、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して、カットオフ周波数2[Hz]のIIRフィルタを4回以上施すことにより、約15[Hz]の周波数成分を取り除くことができる。
従って本実施の形態によるローパスフィルタ部33は、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して、カットオフ周波数2[Hz]のIIRフィルタを4回施し、その結果得られる加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を速度計算部34へ送出する。
従ってローパスフィルタ部33は、加算加速度αczからクレードル3におけるPND支持部3Dの支持点3Cを中心とした振動に伴う加速度αcを取り除くことによって、路面のうねりによって発生する加速度αzだけを抽出することができる。
また従ってローパスフィルタ部33は、加算角速度ωcyからクレードル3におけるPND支持部3Dの支持点3Cを中心とした振動に伴う角速度ωcを取り除くことによって、路面のうねりによって発生するピッチレートωyだけを抽出することができる。
[1−3−2.速度計算処理]
次に、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を基に、速度計算部34によって速度Vを算出する速度計算処理について詳しく説明する。
まず始めに、車両の前方側であるダッシュボードの上と、当該車両の後方側であるリアガラス付近にそれぞれPND1が載置された状態で、当該車両が時速20[km]未満の低速、時速60[km]未満の中速、及び時速60[km]以上の高速で走行した際の前方側及び後方側の加速度データAD2に相当する加速度αzをそれぞれ図19、図20(A)及び(B)に示す。
ここで、図19、図20(A)及び(B)においては、前方側に載置されたPND1で検出された加速度αzをフロント加速度と呼び、後方側に載置されたPND1で検出された加速度αzをリア加速度と呼ぶ。
図19、図20(A)及び(B)からも明らかなように、車両の走行速度に関わらず、フロント加速度に対してリア加速度の位相が遅れていることが分かる。この位相遅れは、車両の前輪軸と後輪軸との距離であるホイールベースを走行速度により除算した値とほぼ等しい。
次に、図21(A)〜(C)には、車両のダッシュボード上(前輪軸からホイールベールの30%に相当)、中央及び後輪軸上にそれぞれPND1を載置した際の加速度データAD2に相当する加速度αzとピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyとの関係を表すシミュレーション結果の一例を示す。また図21(D)〜(F)には、図21(A)〜(C)により示すシミュレーション結果により得られた加速度αz及びピッチレートωyとに基づいて、(1)式に従って速度Vを算出した結果を示す。
ここで、このシミュレーションでは、振幅0.1[m]及び波長20[m]の正弦波でうねる路面上を、ホイールベールが2.5[m]でなる車両が速度5[m/s]で走行する場合を仮定した。
図21(A)〜(C)からも明らかなように、この加速度αzは、車両におけるPND1の搭載位置が後方へ移動するに連れて位相が遅れる。一方、ピッチレートωyは、車両におけるPND1の搭載位置に関わらず、位相のずれを生じることはない。
従って図21(B)に示したように、PND1を車両の中央に搭載した場合、加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれがほとんどなく、そのため図21(E)に示したように、(1)式を用いて算出した速度Vは、ほぼ一定となる。
しかしながら、図21(A)及び(C)に示したように、PND1を搭載した位置が車両の中央に対して前後に移動すると、加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれが大きくなる。そのため図21(D)及び(F)に示したように、(1)式を用いて算出した速度Vは、加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれにより、PND1を車両の中央に搭載した場合(図21(E))の速度Vと比して、誤差が大きくなる。
特に、車両の速度Vが時速20[km]未満の低速時に、加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれが大きくなるので、速度Vの算出誤差が大きくなる。
そこで速度計算部34は、図22に示すように、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2に相当する加速度αzの前回の位置P0(図3)に対応するデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大値及び最小値をそれぞれ最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minとして抽出する。
また速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給されたピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyのデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大値及び最小値をそれぞれ最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとして抽出する。
すなわち速度計算部34は、加速度αz及びピッチレートωyに発生し得る位相のずれよりも広い範囲のなかから、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとをそれぞれ抽出する。
そして速度計算部34は、加速度データAD2から抽出した最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、ピッチレートデータPD2から抽出した最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとを用い、上述した(1)式を変形した
によって前回の位置P0(図3)での進行方向の速度Vを算出し、その結果得られる速度データVD1を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
すなわち速度計算部34は、(3)式を用いることにより、加速度αz及びピッチレートωyに位相のずれが発生している場合であっても、当該位相のずれの影響を取り除いた速度Vを算出することができる。
ところで図23に示すように、速度計算部34は、前回の位置P0での進行方向の速度Vを算出する際、加速中であれば、前々回の位置(図示せず)の速度(以下、これを前値速度とも呼ぶ)Vn-1が時速0[km]から時速35[km]までのとき25データ点分の範囲を用い、前値速度Vn-1が時速35[km]を超えると、75データ点分の範囲を用いるようにする。
また速度計算部34は、前回の位置P0での進行方向の速度Vを算出する際、減速中であれば、前値速度Vn-1が時速35[km]以上から時速25[km]までのとき75データ点分の範囲を用い、前値速度Vn-1が時速25[km]未満になると、25データ点分の範囲を用いるようにする。
従って速度計算部34は、速度Vに応じて、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとを抽出する際、データ範囲を25データ点又は75データ点に切り替える。
このとき速度計算部34は、車両の速度Vが例えば25[km]以下の低速である場合には路面の微妙な変化により急激に加速度αz及びピッチレートωyが変化するので、その急激な変化に対応するためにデータ範囲を狭く設定する。
また速度計算部34は、車両の速度Vが時速35[km]以上である場合には車両のサスペンションの影響も大きく、加速度αz及びピッチレートωyがゆっくり変化するので、そのゆっくりとした変化に対応するためにデータ範囲を広く設定する。
このように速度計算部34は、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minと抽出する際のデータ範囲を車両の走行Vに応じて切り替えることにより、当該速度Vに応じた路面や車両の状況を反映することができ、速度Vの算出精度を向上させることができる。
また速度計算部34は、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとを抽出する際、加速時と減速時とでデータ範囲を変更するようなヒステリシス性を持たすようになされている。
これにより速度計算部34は、速度Vを算出する際のデータ範囲にヒステリシス性を持たせなかった場合に生じるデータ範囲の切り替え速度付近での頻繁なデータ範囲の切り替えを行う必要がなくなる。この結果速度計算部34は、このような頻繁な切り替えにより生じる速度Vの算出誤差を無くすことができ、その分、速度Vの算出精度をより向上させることができる。
[1−3−3.平滑化及びノイズ除去処理]
次に、速度計算部34により算出された速度データVD1に対して、平滑化及びノイズ除去部35により施される平滑化及びノイズ除去処理について詳しく説明する。
まず始めに、平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34から供給された速度データVD1に対して、カットオフ周波数を可変にした1次IIRのローパスフィルタ処理を施すようになされている。
具体的に、平滑化及びノイズ除去部35は、前回の位置P0での進行方向の速度Vを算出する際、前値速度Vn-1に基づいてカットオフ周波数を決定する。
ここで、PND1では、車両の走行速度が例えば時速60[km]以上の高速時、速度計算部34により算出された速度Vにノイズが大きく含まれており、当該速度Vのばらつきが大きくなる。そこで平滑化及びノイズ除去部35は、前値速度Vn-1が時速60[km]以上であった場合、カットオフ周波数を小さく設定したローパスフィルタを用いる。
これに対して平滑化及びノイズ除去部35は、前値速度Vn-1が時速60[km]未満であった場合、カットオフ周波数を大きく設定したローパスフィルタを用いる。
ところで、速度計算部34により算出された速度Vが例えば時速10[km]未満の超低速であった場合、例えば(1)式又は(3)式の分母の値であるピッチレートωyが小さくなり、その結果、(1)式又は(3)式を用いて算出される速度Vが実際値より非常に大きくなってしまうことが考えられる。
そこで平滑化及びノイズ除去部35は、ローパスフィルタ部33からローパスフィルタ処理が施された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を取得し、当該ピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyが所定の閾値未満であった場合、速度Vが過大であると判断し、ローパスフィルタ処理を施した後の速度Vを0とする。
一方、図24(A)に示すように、PND1は、路面のうねりの円弧B1が車両のホイールベースWより大きい場合、上述したような基本原理を用いて正確に速度Vを算出することができる。
しかしながら図24(B)に示すように、例えば路面のうねりの円弧B2が車両のホイールベースWより小さい場合、車両の前輪がうねりを乗り越える際、車両に対して垂直方向の加速度αb及び車両の後輪を中心としたY軸周りの角速度ωbが発生する。
このときPND1は、路面のうねりに応じた1〜2[Hz]の振動により発生する加速度αz及びピッチレートωy(図24(A))を検出することなく、加速度αb及び角速度ωb(図24(B))を3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5によって検出することになる。
ここで加速度αbは、路面のうねりの円弧B1が車両のホイールベースWより大きい場合に発生する加速度αzよりも大きな値を取り、また角速度ωbも路面のうねりの円弧B1が車両のホイールベースWより大きい場合に発生するピッチレートωyよりも大きな値を取る。
また、路面のうねりの円弧B2が車両のホイールベースWより小さい場合に発生する加速度αb及び角速度ωbを基に(1)式又は(3)式を用いて算出した速度(以下、これを小円弧速度とも呼ぶ。)を速度Vbとする。
上述した加速度αbが角速度ωbより大きく変化することから、速度Vbは、路面のうねりの円弧B1が車両のホイールベースWより大きい場合に発生する加速度αz及びピッチレートωyを基に(1)式又は(3)式を用いて算出した速度Vよりも、非常に大きな値を取る。
このためPND1の速度算出部22は、路面のうねりの円弧B2が車両のホイールベースWより小さい場合、加速度αb及び角速度ωbを用いた小円弧速度Vbを算出することにより、速度Vを過大な値として算出してしまうことになる。
そこで平滑化及びノイズ除去部35は、ローパスフィルタ部33からローパスフィルタ処理が施された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を取得し、当該加速度データAD2に相当する加速度αz及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyが所定の閾値より大きいか否かを判断する。
そして平滑化及びノイズ除去部35は、加速度データAD2に相当する加速度αz及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyが所定の閾値より大きい場合、速度Vが過大であると判断し、ローパスフィルタ処理を施した後の速度Vを用いるのではなく前値速度Vn-1を用いるようにする。すなわち、平滑化及びノイズ除去部35は、超低速時以外で速度Vが過大な値をとったとき、速度Vが誤っている可能性が高いので前値速度Vn-1を用いるようになされている。
このように平滑化及びノイズ除去部35は、ローパスフィルタ処理を施した後の速度Vが過大な値であった場合、超低速時であったときは速度Vを0とし、それ以外のときは前値速度Vn-1を速度Vとすることにより、当該速度Vを一段と正確に算出することができる。
[1−4.速度算出処理を用いた位置算出処理手順]
次に、PND1の制御部11が、上述したような速度算出処理を用いて現在位置を算出する位置算出処理手順について、図25のフローチャートを用いて説明する。
実際上、制御部11は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移り、3軸加速度センサ4により検出された加速度データADと、Y軸ジャイロセンサ5により検出されたピッチレートデータPDとを速度算出処理部22のデータ取得部31によって取得した後、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2において制御部11は、加速度データAD及びピッチレートデータPDに対してハイパスフィルタ処理を速度算出部22のハイパスフィルタ部32により施し、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3において制御部11は、ハイパスフィルタ処理が施された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して、例えばカットオフ周波数1[Hz]の4次IIRフィルタであるローパスフィルタ処理を速度算出部22のローパスフィルタ部33によって施し、次のステップSP4へ移る。
ステップSP4において制御部11は、ローパスフィルタ処理が施された加速度データAD2に相当する加速度αz及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyを基に、(3)式を用いて速度算出部22の速度計算部34によって速度Vを算出し、次のステップSP5へ移る。
ステップSP5において制御部11は、ステップSP4において算出された速度Vが示された速度データVDに対して平滑化及びノイズ除去処理を施す。
具体的に、制御部11は、ステップSP4において算出された速度Vが示された速度データVD1に対してカットオフ周波数を可変にしたローパスフィルタ処理を施す。
そして制御部11は、ローパスフィルタ処理を施した後の速度Vが過大な値であると判断した場合、例えば時速10[km]未満の超低速時であったときは速度Vを0とし、それ以外のときは前値速度Vn-1を速度Vとし、次のステップSP6へ移る。
ステップSP6において制御部11は、Z軸ジャイロセンサ6により検出されたヨーレートデータYDを角度算出部23によって取得し、次のステップSP7へ移る。
ステップSP7において制御部11は、ヨーレートデータYDに相当するヨーレートωzにサンプリング周期である0.02[秒]を積算することにより角度θが示された角度データDDを角度算出部23によって算出し、次のステップSP8へ移る。
ステップSP8において制御部11は、ステップSP5において平滑化及びノイズ除去処理を施された速度データVD、及びステップSP7において算出された角度データDDに基づいて現在位置データNPD2を算出し、次のステップSP9へ移る。
ステップSP9において制御部11は、位置算出部25から供給された現在位置データNPD2を基に、車両の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成した後、表示部2へ出力し、次のステップSP10へ移って処理を終了する。
[1−5.測定結果]
上述した速度算出処理によって算出された測定結果を図26〜図37に示す。なお図26〜図35は、セダンタイプの乗用車に載置されたPND1による測定結果を示し、図36及び図37では、それぞれ軽自動車及びミニバンタイプの車両に載置されたPND1による測定結果を示す。
図26(A)には、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5により検出された加速度データAD及びピッチレートデータPDに相当する加速度αz及びピッチレートωyを示し、図26(B)には、当該加速度αz及びピッチレートωyを用いて(3)式によって算出された速度Vを示す。
図26(A)及び(B)からも明らかなように、PND1では、車両の速度Vが大きくなるに連れて加速度αzが大きくなる一方、ピッチレートωyはほぼ一定の値をとることが分かる。
次に、PND1により速度算出処理を行うことによって算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dのグラフと、当該速度V及び距離Dの比較のためにPND1が搭載された車両の車速パルスから算出した速度Vref及び当該速度Vrefを用いて算出された距離Drefのグラフとを図27〜図31に示す。因みに図27〜図31は、PND1を搭載した車両がそれぞれ異なる道路を走行した場合でのグラフを示すものである。
なお、ここでは、車両の車速パルスから算出された速度をリファレンス速度とも呼び、またリファレンス速度を用いて算出された距離をリファレンス距離とも呼ぶ。
図27(A)は、本発明の速度算出処理を用いて算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dを示し、図27(B)は、当該図27(A)に示された速度V及び距離Dと比較するためのリファレンス速度Vref及びリファレンス距離Drefを示す。
図27(A)及び(B)に示したように、速度Vはリファレンス速度Vrefとほぼ相似関係にあり、当該速度Vに基づいて算出される距離Dもリファレンス距離Drefに対して10%未満の誤差しか生じていない。
また図28(A)は、本発明の速度算出処理を用いて算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dを示し、図28(B)は、当該図28(A)に示された速度V及び距離Dと比較するためのリファレンス速度Vref及びリファレンス距離Drefを示す。
さらに図29(A)は、本発明の速度算出処理を用いて算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dを示し、図29(B)は、当該図29(A)に示された速度V及び距離Dと比較するためのリファレンス速度Vref及びリファレンス距離Drefを示す。
さらに図30(A)は、本発明の速度算出処理を用いて算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dを示し、図30(B)は、当該図30(A)に示された速度V及び距離Dと比較するためのリファレンス速度Vref及びリファレンス距離Drefを示す。
さらに図31(A)は、本発明の速度算出処理を用いて算出された速度V及び当該速度Vを用いて算出された距離Dを示し、図31(B)は、当該図31(A)に示された速度V及び距離Dと比較するためのリファレンス速度Vref及びリファレンス距離Drefを示す。
図27(A)〜図31(A)に示した速度Vは、車両が異なる道路を走行した場合においても、図26(A)に示した速度Vと同様に、図27(B)〜図31(B)に示したリファレンス速度Vrefとほぼ相似関係にあり、当該速度Vに基づいて算出される距離Dもリファレンス距離Drefに対して10%未満の誤差しか生じていない。
次に、図32(A)には、PND1によって速度算出処理を用いて算出された速度V及び距離Dのグラフを示し、図32(B)には、リファレンス速度Vref及びリファレンス速度Vrefから算出されたリファレンス距離Drefのグラフを示す。さらに図32(C)には、PND1のZ軸ジャイロセンサ6によって検出されたヨーレートωzのグラフを示す。
ここで図32(C)に示したヨーレートωzは、その値が約20[deg/s]を超えるとき車両が右折したことを表しており、またその値が約−20[deg/s]を下回ったとき左折したことを表している。
従って図32(C)に示したように、右折及び左折を複数回連続で繰り返した場合においても、PND1によって算出された速度V(図32(A))は、リファレンス速度Vref(図32(B))とほぼ相似関係にあり、当該速度Vに基づいて算出される距離Dもリファレンス距離Drefに対して10%未満の誤差しか生じていない。
また図33(A)には、図32(A)とは異なる道路を走行した場合でのPND1によって速度算出処理を用いて算出された速度V及び距離Dのグラフを示し、図33(B)には、リファレンス速度Vref及びリファレンス速度Vrefから算出されたリファレンス距離Drefのグラフを示す。さらに図33(C)には、Z軸ジャイロセンサ6によって検出されたヨーレートωzのグラフを示す。
さらに図34(A)には、図32(A)及び図33(A)とは異なる道路を走行した場合でのPND1によって速度算出処理を用いて算出された速度V及び距離Dのグラフを示し、図34(B)には、リファレンス速度Vref及びリファレンス速度Vrefから算出されたリファレンス距離Drefのグラフを示す。さらに図34(C)には、Z軸ジャイロセンサ6によって検出されたヨーレートωzのグラフを示す。
これら結果からも、車両が多数のカーブを走行しても、PND1によって算出された速度Vは、リファレンス速度Vrefとほぼ相似関係にあり、当該速度Vに基づいて算出される距離Dもリファレンス距離Drefに対して10%未満の誤差しか生じていないことが分かる。
次に、図35(A)に示す地図のスタートSから行路Kに沿ってゴールGまで車両が走行した際、当該車両に搭載されたPND1によって算出された現在位置をプロットした走行軌跡Tを図35(B)に示す。
このように走行軌跡T(図35(B))は、車両が走行した行路K(図35(A))とほぼ同じ大きさで、かつ相似関係にあり、従ってPND1が現在位置をほぼ正確に算出し得ることが分かる。
次に、図36には、軽自動車に載置されたPND1によって算出された速度V及び距離Dと、当該速度V及び距離Dの比較のためにGPSアンテナANTを介して受信したGPS信号を基に算出した速度Vg及び当該速度Vgから算出された距離Dgとを重ねて示す。
なお、以下、GPSアンテナANTを介して受信したGPS信号を基に算出した速度をGPS速度とも呼び、GPS速度から算出された距離をGPS距離とも呼ぶ。
また図37には、ミニバンタイプの車両に載置されたPND1によって算出された速度V及び距離Dと、当該速度V及び距離Dの比較のためにGPS信号を基に算出したGPS速度Vg及びGPS速度Vgから算出されたGPS距離Dgとを重ねて示す。
図36及び図37に示したように、車両の大きさ、すなわちホイールベースが異なる複数の車両において、本発明におけるPND1によって算出された速度Vは、GPS速度Vgとほぼ相似関係にあり、当該速度Vに基づいて算出される距離DもGPS距離Dgに対して10%未満の誤差しか生じていないことが分かる。
因みに、図36及び図37において、GPS速度Vgは、車両が例えばトンネル等に入ってGPS信号が受信できなかった場合、0として算出している。
[1−6.動作及び効果]
以上の構成において、PND1は、路面のうねりによって発生する車両の進行方向に垂直なZ軸方向の加速度αzを3軸加速度センサ4により検出し、路面のうねりによって発生する当該進行方向と直交したY軸周りのピッチレートωyをY軸ジャイロセンサ5により検出する。
そしてPND1は、3軸加速度センサ4によって検出された加速度αz及びY軸ジャイロセンサ5によって検出されたピッチレートωyを基に、(1)式又は(3)式に従って速度Vを算出するようにした。
従ってPND1は、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5だけを用いた簡易な構成により、GPS信号が受信することができない場合であっても、全ての道路環境下で車両の速度Vを正確に算出することができる。
またPND1は、車両と着脱自在な構成において、当該車両から車速パルス信号を転送するためのケーブルをわざわざユーザに接続させるという煩雑な操作を強いることない分、使い勝手を向上することができる。
またPND1は、車両の進行方向に垂直なZ軸周りのヨーレートωzをZ軸ジャイロセンサ6によって検出し、速度V及び当該ヨーレートωzに基づいて現在位置を算出するようにした。
これによりPND1は、GPS信号が受信することができない場合であっても、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5及びZ軸ジャイロセンサ6を設けるだけの簡易な構成により、全ての道路環境下で車両の現在位置を正確に算出することができる。
さらにPND1は、速度Vを算出する際、加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対してローパスフィルタ処理を施すようにした。従ってPND1は、路面のうねりによって発生する1〜2[Hz]で振動する加速度αz及びピッチレートωyに対して十分に大きな周波数でなるクレードル3によって発生する例えば約15[Hz]で振動する加速度αc及び角速度ωcの成分を除去することができる。
これによりPND1は、クレードル3によって発生する振動成分が取り除かれた加速度αz及びピッチレートωyを用いて、一段と正確な速度Vを算出することができる。
またPND1は、加速度αzのデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minを抽出し、ピッチレートωyのデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minを抽出する。
そしてPND1は、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとを用いて(3)式により速度Vを算出する。
これによりPND1は、車両内におけるPND1の搭載位置により変化する加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれよりも広い範囲のデータ点を用いることになり、上述した加速度αzとピッチレートωyとの位相のずれの影響を除去することができる。
またPND1は、加速度αzとピッチレートωyを基に(3)式によって算出された速度Vが過大な値であった場合、超低速時であったときは速度Vを0とし、それ以外のときは速度Vを前値速度Vn-1とすることにより、速度Vをより正確に算出することができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態によるPND1は、路面のうねりによって発生するZ軸方向の加速度αz、及び路面のうねりによって発生するY軸周りのピッチレートωyを検出し、当該加速度αz及びピッチレートωyを用いて速度Vを算出することにより、全ての道路環境下で速度Vを正確に算出することができる。
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態によるPND50(図4〜図8)は、第1の実施の形態によるPND1と比較して、当該PND50本体の取付傾きを考慮しつつ、一段と高精度な速度Vを算出するようになされていることが主な相違点である。
[2−1.顎上げ状態で使用されたときの悪影響]
この第2の実施の形態におけるPND50では、図38に示すように、当該PND50が車両の進行方向であるX軸に沿って背面側へ倒れるように、Y軸(図5)を中心としてQ度(例えば120度)だけ傾けられた状態(以下、これを顎上げ状態と呼ぶ)で使用された場合の速度算出結果に生じる悪影響を予め除去するようになされている。
この顎上げ状態とは、PND50本体がクレードル3を介して設置された際に顎上げ状態になって固定される場合と、PND50本体がクレードル3を介して設置された後にチルト機能等によって顎上げ状態に傾けられて使用される場合とを含む。
なおPND50では、顎上げ状態だけでなく、その逆となる顎下げ状態すなわち当該PND50が車両の進行方向であるX軸に沿って手前側へ倒れるように、Y軸(図5)を中心として−Q度だけ傾けられた状態で使用された場合についても以下と同様に考えればよい。
例えばPND50は、PND50本体がX軸に沿って倒れるように傾斜せず、Z軸に垂直な状態のまま使用される場合(図5、図13)、図39に示すように、本発明の速度算出処理を用いて算出した速度V(以下、これを自律速度Vと呼ぶ)と、GPS速度Vgとの速度比VP(GPS速度Vg/自律速度V)が経過時間に拘わらず理想的には「1」の固定値に近づくことが予想される。
しかしながら、実際上PND50は、PND50本体がX軸に沿って倒れるように、Y軸(図5)を中心としてQ度(例えば120度)だけ傾けられた顎上げ状態で使用された場合、異常に大きな速度比VP(GPS速度Vg/自律速度V)が3箇所の異常値EV1〜EV3として検出される。
異常値EV1は、図40に示すように、高速道路のパーキングから走行車線へ向かって加速している頃のタイミング(経過時間)に相当していることが判明した。また異常値EV2、EV3においても、図41、図42に示すように、高速道路の走行車線を加速走行中のタイミング(経過時間)に相当していることが判明した。
すなわちPND50では、図43に示すように、概して加速区間や減速区間に於いて自律速度VがGPS速度Vgよりも極端に突出したような大きな値を出力することが分かる。
実際上PND50は、PND50本体がZ軸に垂直な状態のまま使用された場合、X軸方向の加速度αxとZ軸方向の加速度αzとの間が本来無相関になるものの、PND50本体が顎上げ状態で使用された場合、図44に示すように、X軸方向の加速度αxの値に応じてZ軸方向の加速度αzの値が変化するという相関関係(直線で示すような傾き)を持ってしまう。
これらの結果からPND50では、PND50本体が顎上げ状態で使用された場合、加速区間や減速区間において自律速度Vを算出するためのZ軸方向の加速度αzにX軸方向の加速度αxが混入してしまうことが容易に分かる。
すなわちPND50では、Z軸方向の加速度αzにX軸方向の加速度αxが混入してしまうことにより、Z軸方向の加速度αzが本来よりも大きな値となって自律速度Vの算出結果に誤差を生じさせてしまうことになる。
実際上、自律速度Vを算出するに当っては、図22においても説明したように、最大加速度αz,maxと最小加速度αz,minとの差分を用いるようになされているため、Z軸方向の加速度αzにはX軸方向の加速度αxが混入された状態の絶対値として反映されてしまう。
そこでPND50は、Z軸方向の加速度αzに混入しているX軸方向の加速度αxの混入度合いを相関係数K(後述する)として学習し、次式
により、X軸方向の加速度αxをZ軸方向の加速度αzから予め除去した真のZ軸方向の加速度αz´を求める必要がある。
これによりPND50は、GPS速度Vgと自律速度Vとの誤差を減少させ、図39に示した速度比VP(GPS速度Vg/自律速度V)が経過時間に拘わらず理想的な「1」の固定値に近づけ得るようになされている。
なお、PND50では、X軸方向の加速度αxの値が「0」付近の場合、僅かなノイズによっても当該加速度αxの値に大きな影響を与え、当該ノイズが支配的になってしまうので、自律速度Vの算出に際しては、加速度|αx|が所定の閾値TH(例えば0.075[m/S/S])よりも大きいときに限り、相関係数Kを求めるようになされている。
[2−2.速度算出原理]
速度算出部52では、Z軸方向の加速度αzとX軸方向の加速度αxとの傾きを表す相関係数Kを予め学習により求め、それを用いてZ軸方向の加速度αzに混入しているX軸方向の加速度αxを除去することにより真のZ軸方向の加速度αz´を求める。
そして速度算出部52では、そのZ軸方向の加速度αz´とY軸周りのピッチレートωyとを用いて、次式
により自律速度Vを算出するようになされている。
ここで速度算出部52は、相関係数Kを予め学習により求めるに当って、例えばn回目のサンプリング結果に基づいて算出した相関係数Knを、次式
によって算出する。
しかしながら、この相関係数Knは、サンプリング毎の算出結果にばらつき(誤差)が大きいため、当該相関係数Knをそのまま次回サンプリング時のZ軸方向の加速度αzに対する補正(Z軸方向の加速度αzに混入しているX軸方向の加速度αxを除去すること)に用いることはできない。
従って速度算出部52では、誤差を含んだ数多くの相関係数Knを用いて、誤差の少ない最終的な相関係数Kを得る必要がある。例えば、単純な方法としては、サンプリング毎に得られる相関係数Knに対して、過去一定時間における全ての相関係数Knに対して平均値を算出することにより最終的な相関係数Kを求めることが考えられる。
だが、この方法では、過去一定時間における全ての相関係数Knを保存しておくバッファが必要であること、X軸方向の加速度|αx|が「0」よりも非常に大きければ(閾値THよりも大きければ)相関係数Knの誤差は小さくなるが、その点が考慮されておらず非効率的であることの2点のデメリットがある。
そこで速度算出部52では、最終的な相関係数Kを算出するためIIR(Infinite Impulse Response)フィルタでなる新たな相関係数学習部(後述する)を用いることにより、過去一定時間における全ての相関係数Knを保存しておくバッファを不要とするようになされている。
この相関係数学習部では、最終的な相関係数Kを、次式
によって求めるようになされている。
これにより相関係数学習部では、前回の学習結果である相関係数Kだけをバッファしておくだけで済むようになされている。なお(7)式では、Gainが所定の固定値である。
さらに相関係数学習部では、このGainを固定値にするのではなく、X軸方向の加速度|αx|の大きさによって可変とすることにより、比較的誤差の小さな相関係数Knを重視して最終的な相関係数Kが一段と早く相応しい値に収束するようになされている。
具体的に相関係数学習部では、(7)式におけるGainを、次式
によって求める。
ここで、基準αxを0.15[m/S/S](例えば図44におけるX軸加速度方向に対する200digit(200データ点)に相当)として設定し、基準Gainを1/10000(例えば本実施の形態における50[Hz]のサンプリング周波数では時定数200秒(10000/50=200)に相当)に設定する。
すなわち相関係数学習部では、例えば基準αxを0.15[m/S/S]、基準Gainを1/10000に設定することにより、3軸加速度センサ4が過去およそ200秒以降にサンプリングしたX軸方向の加速度|αx|の値を用いてGainを求めることになる。
つまり相関係数学習部は、Gainの値を求める際、3軸加速度センサ4の出力値を200秒毎に更新するようになされている。これにより相関係数学習部は、PND50本体に対する顎上げ状態が変更(取付角度が変更)されたときのことを考慮し、取付角度が変更される前のあまりにも古い過去のデータを参照して相応しくない誤ったGainを算出しないようになされている。
[2−3.速度算出処理]
速度算出部52は、図8との対応部分に同一符号を付した図45に示すように、新たにZ軸方向加速度補正部70及び相関係数学習部71が新たに設けられている以外、速度算出部22と同様に構成されている。
なお、速度算出部52は、実際上クレードル3に設置され、GPS測位区間であって、かつGPS速度が1.0[m/S]以上のとき、最終的な相関係数Kを求めるようにしている。これにより速度算出部52は、PND50本体をユーザが手に持っているときや、PND50本体の取付角度を調節しているときを除き、車両の走行中に限って相関係数Kを求め得るようになされている。
実際上、速度算出部52では、データ取得部31において、加速度αzが示された加速度データADだけでなく、加速度αxが示された加速度データAXについても、Y軸ジャイロセンサ5から供給されるピッチレートデータPDと共にハイパスフィルタ部32へ送出する。
ハイパスフィルタ部32は、加速度データAD、加速度データAX及びピッチレートデータPDの直流成分をカットすることによりオフセット分を除去し、その結果得られる加速度データAD1、加速度データAX1及びピッチレートデータPD1をローパスフィルタ部33へ送出する。
ローパスフィルタ部33は、加速度データAD1、加速度データAX1及びピッチレートデータPD1に対して、上述したようなローパスフィルタ処理を施し、その結果得られる加速度データAD2、加速度データAX2をZ軸方向加速度補正部70及び相関係数学習部71へ送出すると共に、ピッチレートデータPD2を速度計算部34へ送出する。
相関係数学習部71は、加速度データAD2により示されたZ軸方向の加速度αz、加速度データAX2により示されたX軸方向の加速度αxを用いると共に、上述した(6)式乃至(8)式に従って最終的な相関係数Kを算出し、それをZ軸方向加速度補正部70へ出力する。
Z軸方向加速度補正部70は、加速度データAD2の加速度αzと、加速度データAX2の加速度αxと、相関係数学習部71から供給された最終的な相関係数Kとを基に上述した(4)式に従って補正することにより、真のZ軸方向の加速度αz´を求め、その真のZ軸方向の加速度αz´が示されたZ軸方向の加速度データAD3を速度算出部34へ送出する。
速度計算部34は、Z軸方向加速度補正部70から供給された加速度データAD3が示す真のZ軸方向の加速度αz´と、ピッチレートデータPD2が示すY軸周りのピッチレートωyとを用いて、上述した(5)式に従って誤差の少ない自律速度Vを算出し、当該自律速度Vを表す速度データVD1を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34から供給された速度データVD1に対して上述した平滑化及びノイズ除去処理を施し、その結果得られる速度データVDを速度出力部36へ送出する。
速度出力部36は、車両の速度Vを表すデータとして、平滑化及びノイズ除去部35から供給された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
このようにして第2の実施の形態による速度算出部52は、Z軸方向の加速度αzに混入しているX軸方向の加速度αxを予め除去した真のZ軸方向の加速度αz´を用いて、PND50本体が顎上げ状態に取付けられている場合でも、一段と高精度な自律速度Vを算出し得るようになされている。
[2−4.動作及び効果]
以上の構成において、第2の実施の形態によるPND50は、第1の実施の形態と同様、路面のうねりによって発生する車両の進行方向に垂直なZ軸方向の加速度αzを3軸加速度センサ4により検出し、路面のうねりによって発生する当該進行方向と直交したY軸周りのピッチレートωyをY軸ジャイロセンサ5により検出する。
このときPND50は、PND50本体が顎上げ状態で使用された場合、3軸加速度センサ4によって検出された加速度αzにX軸方向の加速度αxが混入してしまうことを予め考慮し、その混入度合いを最終的な相関係数Kとして予め学習する。
そしてPND50は、(4)式に従ってX軸方向の加速度αxをZ軸方向の加速度αzから予め除去した真のZ軸方向の加速度αz´を求めた後、(5)式に従ってZ軸方向の加速度αz´とY軸周りのピッチレートωyとを基に一段と正確な自律速度Vを算出する。
従ってPND50は、第1の実施の形態に比べて、PND50本体が顎上げ状態に取付けられたときでも、その取付角度による誤差を予め除去した高精度な自律速度Vを算出することができる。
なお速度算出部52では、X軸方向の加速度αxの値が「0」付近の場合、ノイズが支配的になってしまうことを考慮し、自律速度Vの算出に際しては、加速度|αx|が所定の閾値THよりも大きいときに限り、相関係数Kを求めるようにした。
これによりPND50は、X軸方向の加速度αxをZ軸方向の加速度αzから予め除去することにより真のZ軸方向の加速度αz´を求める際、ノイズの影響を予め排除し、一段と正確な自律速度Vを算出することができる。
また速度算出部52では、(8)式に従ってGainを算出する際、基準Gainの設定に応じて、自律速度Vを算出するために用いられる3軸加速度センサ4の出力値の更新タイミングを調整するようにした。
これによりPND50は、PND50本体に対する顎上げ状態が微調整(取付角度が変更)されたときにも、取付角度が変更される前のあまりにも古い過去のデータを引きずることなく、最新のデータだけを用いて正確な自律速度Vを算出することができる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態によるPND50は、PND50本体が顎上げ状態であった場合でも、当該PND50本体の取付角度により生じる誤差を予め考慮した高精度の自律速度Vを算出することができる。
<3.他の実施の形態>
なお上述した第1の実施の形態においては、速度Vを計算する際、加速度データAD2に相当する加速度αzから抽出した最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、角速度データDD2に相当するピッチレートωyから抽出した最大角速度ωy,max及び最小角速度ωy,minとを基に、(3)式を用いて速度Vを算出するようにした。
しかしながら本発明はこれに限らず、速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2に相当する加速度αz、及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyの例えば前回の位置P0に対応するデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の分散をそれぞれ求める。そして速度算出部34は、加速度αzの分散をピッチレートωyの分散で除算することにより速度Vを算出するようにしても良い。
或いは、速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2に相当する加速度αz、及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyの例えば前回の位置P0に対応するデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲の偏差をそれぞれ求める。そして速度算出部34は、加速度αzの偏差をピッチレートωyの偏差で除算することにより速度Vを算出するようにしても良い。
また上述した第1及び第2の実施の形態においては、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5及びZ軸ジャイロセンサ6により50[Hz]のサンプリング周波数で加速度αx、αy、αz、ピッチレートωy及びヨーレートωzを測定するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5及びZ軸ジャイロセンサ6は、50[Hz]以外にも例えば10[Hz]等の所定のサンプリング周波数により加速度αx、αy、αz、角速度ωy及び角速度ωzを検出するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、50[Hz]のサンプリング周波数で検出した加速度αz及びピッチレートωyを用いて速度Vを算出するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50の速度算出部22、52は、50[Hz]のサンプリング周波数で検出した加速度αz及びピッチレートωyの例えば25データ点毎の平均値を取り、当該加速度αz及びピッチレートωyの平均値を用いて速度Vを算出するようにしても良い。
この場合、PND1、50の速度算出部22、52は、50[Hz]のサンプリング周波数で検出した加速度αz及びピッチレートωyの例えば25データ点毎の平均値を取ることにより、速度Vを1秒当たり2回だけ算出することになる。これによりPND1、50の制御部11は、速度算出処理に対する処理負荷を軽減することができる。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5によりそれぞれ検出した加速度データAD及びピッチレートデータPDに対して、ハイパスフィルタ部32によりハイパスフィルタ処理を施すようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50は、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5によりそれぞれ検出した加速度データAD及びピッチレートデータPDに対して、ハイパスフィルタ処理を施さないようにしてもよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5によりそれぞれ検出した加速度データAD及びピッチレートデータPDに対して、ハイパスフィルタ部32及びローパスフィルタ部33によりハイパスフィルタ処理及びローパスフィルタ処理を施すようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50は、加速度データAD及びピッチレートデータPDに対して、ハイパスフィルタ処理及びローパスフィルタ処理に加えて、移動平均フィルタ処理を施すようにしてもよい。またPND1、50は、加速度データAD及びピッチレートデータPDに対して、ハイパスフィルタ処理、ローパスフィルタ処理及び移動平均フィルタ処理を任意に組み合わせた処理を施すようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、加速度αz及びピッチレートωyを用いて例えば前回の位置P0の速度Vを算出する際、当該前回の位置P0の速度Vが過大であると判断した場合、前値速度Vn-1を前回の位置P0の速度Vとするようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50の速度算出部22、52は、前回の位置P0の速度Vが前値速度Vn-1より所定の閾値以上大きかった場合、前回の位置P0の速度Vを、前値速度Vn-1に車両が加速できるであろう分を加算した値とするようにしてもよい。
またPND1の速度算出部22は、前回の位置P0の速度Vが前値速度Vn-1より所定の閾値以上小さかった場合、前回の位置P0の速度Vを、前値速度Vn-1に車両が減速できるであろう分を減算した値とするようにしてもよい。
さらに上述した第1の実施の形態においては、加速度αz及びピッチレートωyを基に、(3)式を用いて速度Vを算出するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明はこれに限らず、PND1の制御部11は、加速度αz及びピッチレートωyを基に(3)式を用いて算出した速度Vと、GPS信号を基に算出したGPS速度Vgとを比較する。
そしてPND1の制御部11は、速度VとGPS速度Vgとに誤差が生じていた場合、例えば速度Vとの誤差が最小となるように一次関数や2次以上の高次関数等により補正するための補正係数を算出し、記憶部12へ当該補正係数を記憶する。
従ってPND1の速度算出部22は、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5によりそれぞれ検出した加速度αz及びピッチレートωyを基に(3)式を用いて速度Vを算出した後、記憶部12から補間係数を読み出し、当該補間係数を用いて当該速度Vを一次関数や2次以上の高次関数等により補正する。
このようにPND1は、GPS信号を基に算出したGPS速度Vgを基に速度Vの補正係数を予め学習しておくことにより、当該速度Vの算出精度をより向上させることができる。
なお、PND1の制御部11は、速度VとGPS速度Vgとの補正係数を算出する際、例えば超低速、低速、中速及び高速等のような複数の速度領域に速度Vを分割し、当該複数の速度領域ごとに補正係数を算出するようにしても良い。
またPND1の制御部11は、速度VとGPS速度Vgとの補正係数を算出する際、所定例えば時速60[km]以上の高速時に対してだけ、補正係数を算出するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、当該PND50が車両の進行方向であるX軸に沿って背面側へ倒れるように、Y軸(図5)を中心としてQ度(例えば120度)だけ傾けられた顎上げ状態で使用されたときの影響を予め除去して速度Vを算出するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND50本体がロール方向に傾けられた状態(所謂右肩上がり状態又は左肩上がり状態)で使用されたときの影響を予め除去して自律速度Vyを算出するようにしても良い。
この場合、PND50では、Y軸ジャイロセンサ5によるY軸回りのピッチレートωyに対してZ軸ジャイロセンサ6によるZ軸回りのヨー角速度(ヨーレート)ωzが混入してしまう。
これによりPND50は、ピッチレートωyが本来よりも大きな値となって、速度Vyの算出結果に誤差を生じさせてしまう(自律速度が本来よりも小さくなる)ことになる。
そこでPND50は、Y軸回りのピッチレートωyに混入しているZ軸回りのヨーレートωzの混入度合いを相関係数Kyとして学習し、次式
により、Z軸回りのヨーレートωzをY軸回りのピッチレートωyから予め除去した真のY軸回りのピッチレートωy´を求める。
この場合PND50では、Z軸回りのヨーレートω z の値が「0」付近の場合、僅かなノイズによっても当該ヨーレートωzの値に大きな影響を与え、当該ノイズが支配的になってしまうので、自律速度Vyの算出に際しては、ヨーレート|ωz|が所定の閾値THy(例えば1[deg/S])よりも大きいときに限り、相関係数Kyを求める。
実際上、PND50の速度算出部(後述する)では、Y軸回りのピッチレートωyとZ軸回りのヨーレートωzとの傾きを表す相関係数Kyを予め学習により求め、それを用いてY軸回りのピッチレートωyに混入しているZ軸回りのヨーレートωzを除去することにより真のY軸周りのピッチレートωy´を求める。
そして速度算出部では、そのZ軸方向の加速度αzと、真のY軸周りのピッチレートωy´とを用いて、次式
により自律速度Vyを算出するようになされている。
ここで速度算出部は、相関係数Kyを予め学習により求めるに当って、例えばn回目のサンプリング結果に基づいて算出した相関係数Kynを、次式
によって算出する。
しかしながら、この相関係数Kynは、サンプリング毎の算出結果にばらつき(誤差)が大きいため、当該相関係数Kynをそのまま次回サンプリング時のY軸回りのピッチレートωyに対する補正(Y軸回りのピッチレートωyに混入しているZ軸回りのヨーレートωzを除去すること)に用いることはできない。
従って速度算出部では、誤差を含んだ数多くの相関係数Kynを用いて、誤差の少ない最終的な相関係数Kyを得る必要がある。例えば、単純な方法としては、サンプリング毎に得られる相関係数Knに対して、過去一定時間における全ての相関係数Knに対して平均値を算出することにより最終的な相関係数Kyを求めることが考えられる。
だが、この方法では、過去一定時間における全ての相関係数Kynを保存しておくバッファが必要であること、Z軸回りヨーレート|ωz|が「0」よりも非常に大きければ(閾値THyよりも大きければ)相関係数Kynの誤差は小さくなるが、その点が考慮されておらず非効率的であることの2点のデメリットがある。
そこで速度算出部では、最終的な相関係数Kyを算出するためIIRフィルタでなる新たな相関係数学習部(後述する)を用いることにより、過去一定時間における全ての相関係数Kynを保存しておくバッファを不要とする。
この相関係数学習部では、最終的な相関係数Kyを、次式
によって求めるようになされている。
これにより相関係数学習部では、前回の学習結果である相関係数Kyだけをバッファしておくだけで済むようになされている。なお(12)式では、Gainyが所定の固定値である。
さらに相関係数学習部では、このGainyを固定値にするのではなく、Z軸回りのヨーレート|ωz|の大きさによって可変とすることにより、比較的誤差の小さな相関係数Kynを重視して最終的な相関係数Kyが一段と早く相応しい値に収束するようになされている。
具体的に相関係数学習部では、(12)式におけるGainyを、次式
によって求める。
ここで、(13)式における意味は、上述した(8)式において説明した趣旨と同様であるため、ここでは便宜上その説明を省略する。
実際上、図45との対応部分に同一符号を付した図46に示すように、速度算出部92は、速度算出部52のZ軸方向加速度補正部70に代えてピッチレート補正部100を新たに設け、速度算出部52の相関係数学習部71に代えて相関係数学習部101が新たに設けられている以外、速度算出部52と同様に構成されている。
速度算出部92では、データ取得部31において、加速度αzが示された加速度データADだけでなく、Z軸回りのヨーレートωzが示されたヨーレートデータAZについても、Y軸ジャイロセンサ5から供給されるY軸回りのピッチレートωyが示されたピッチレートデータPDと共にハイパスフィルタ部32へ送出する。
ハイパスフィルタ部32は、加速度データAD、ヨーレートAZ及びピッチレートデータPDの直流成分をカットすることによりオフセット分を除去し、その結果得られる加速度データAD1、ヨーレートデータAZ1及びピッチレートデータPD1をローパスフィルタ部33へ送出する。
ローパスフィルタ部33は、加速度データAD1、ヨーレートデータAZ1及びピッチレートデータPD1に対して、上述したようなローパスフィルタ処理を施し、その結果得られる加速度データAD2を速度計算部34へ送出する一方、ローパスフィルタ処理を施した結果得られるピッチレートデータPD2及びヨーレートデータAZ2については相関係数学習部101及びピッチレート補正部100へ送出する。
相関係数学習部101は、ピッチレートデータPD2により示されるY軸回りのピッチレートωyと、ヨーレートデータAZ2により示されるZ軸回りのヨーレートωzとを用いると共に、上述した(11)式乃至(13)式に従って最終的な相関係数Kyを算出し、それをピッチレート補正部100へ出力する。
ピッチレート補正部100は、ピッチレートデータPD2のY軸回りのピッチレートωyと、ヨーレートデータAZ2のヨーレートωzと、相関係数学習部101から供給された最終的な相関係数Kyとを基に上述した(9)式に従って補正することにより、真のY軸回りのピッチレートωy´を求め、そのピッチレートωy´が示されたピッチレートデータPD3を速度計算部34へ送出する。
速度計算部34は、ピッチレート補正部100から供給されたピッチレートデータPD3が示す真のY軸回りのピッチレートωy´と、加速度データAD2が示すZ軸方向の加速度αzとを用いて、上述した(10)式に従って誤差の少ない自律速度Vyを算出し、当該自律速度Vyを表す速度データVD2を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34から供給された速度データVD2に対して上述した平滑化及びノイズ除去処理を施し、その結果得られる速度データVDを速度出力部36へ送出する。
速度出力部36は、車両の自律速度Vyを表すデータとして、平滑化及びノイズ除去部35から供給された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
このようにして速度算出部92は、Y軸回りのピッチレートωyに混入しているZ軸回りのヨーレートωzを予め除去した真のY軸回りのピッチレートωy´を用いて、PND50本体がロール方向に傾けられた状態に取付けられている場合でも、一段と高精度な自律速度Vyを算出することができる。
なお、PND50においては、PND50本体が顎上げ状態で使用されたときの影響と、PND50本体がロール方向に傾けられた状態(所謂右肩上がり状態又は左肩上がり状態)で使用されたときの影響との双方を予め除去して自律速度Vを算出するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、PND1、50が、電源電力の供給を受けている間、現在位置算出処理手順に従ってナビゲーションを行うにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50は、電源ボタン(図示せず)がユーザによって押下操作されることによってオフされた場合、当該電源ボタンが押下された時点での現在位置及び高度等を記憶部12へ記憶する。そしてPND1、50は、再び電源ボタンがユーザによって押下操作されることによってオンされた場合、記憶部12から現在位置及び高度等を読み出し、当該現在位置及び高度等から再び現在位置算出処理手順に従ってナビゲーションを行うようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、PND1、50が、車両のダッシュボード上に載置されたクレードル3によって保持されている状態で、速度Vを算出するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50が、クレードル3から機械的或いは電気的に取り外されたことを認識すると、速度Vを0とする、或いは前値速度Vn-1のまま継続するようにしても良い。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、PND1、50が左右方向に長い横置きの状態で使用されるようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、図47に示すように、PND1、50は、縦方向に長い縦置きの状態で使用されるようにしてもよい。この場合PND1、50は、Y軸ジャイロセンサ5によりZ軸回りのヨーレートωzを検出し、またZ軸ジャイロセンサ6によりY軸周りのピッチレートωyを検出するようにすればよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7がPND1、50の内部に設けられているようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7が、PND1、50の外部に設けられているようにしてもよい。
またPND1、50は、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7の取り付け角度を調節できるような調節機構を例えば当該PND1、50の側面に設けるようにしても良い。
これによりPND1、50は、その表示部2が車両の進行方向に対してほぼ垂直となるように設置されていない場合であっても、調節機構をユーザに調節させることによって、例えばY軸ジャイロセンサ5の回転軸を車両の垂直方向と揃えることができる。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyが所定の閾値未満であった場合、及び加速度データAD2に相当する加速度αz及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyがそれぞれ所定の閾値より大きい場合、速度Vが過大であると判断するようにした。しかしながら本発明はこれに限らず、制御部11は、速度計算部34によって算出された速度Vが前値速度Vn-1より所定速度以上の大きな値を取ったとき、速度Vが過大であると判断するようにしても良い。
この場合、平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34によって算出された速度Vが前値速度Vn-1より所定速度以上の大きな値を取ったときで、かつ前値速度が例えば時速10[km]未満の超低速時であった場合、速度Vを0とする。また平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34によって算出された速度Vが前値速度Vn-1より所定速度以上の大きな値を取ったときで、かつ前値速度が例えば時速10[km]以上であった場合、前値速度Vn-1を速度Vとするようにすればよい。
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、PND1、50の制御部11が、予め記憶部12に格納されているアプリケーションプログラムに従い、上述したルーチンRT1の現在位置算出処理手順等を行うようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、PND1、50の制御部11が、記憶媒体からインストールしたアプリケーションプログラムや、インターネットからダウンロードしたアプリケーションプログラム、その他種々のルートによってインストールしたアプリケーションプログラムに従って上述した現在位置算出処理手順を行うようにしても良い。
さらに上述した実施の形態においては、垂直方向加速度検出部としての3軸加速度センサ4、水平方向角速度検出部としてのY軸ジャイロセンサ5、相関係数学習部としての相関係数学習部71、真垂直方向加速度検出部としてのZ軸方向加速度補正部70及び速度計算部としての速度計算部34によって本発明の速度算出装置としてのPND1、50を構成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、この他種々の構成でなる垂直方向加速度検出部、水平方向角速度検出部、相関係数学習部、真垂直方向加速度検出部及び速度算出部によって速度算出装置を構成するようにしても良い。