以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
<本実施形態の構成>
図3は、本実施形態の画像保管通信システム60の全体構成を示すブロック図である。画像保管通信システム60は、例えば、複数セグメント(この例では3セグメント)のイーサネット(登録商標)にPACSとして導入されるものである。また、画像保管通信システム60は、ルータ64cを介してサービスセンタ70に接続されている。
画像保管通信システム60は、DBMS(データベース管理システム)61と、主画像保管装置62と、副画像保管装置63と、ルータ64a、64bと、6つの参照端末65a、65b、65c、65d、65e、65fとをネットワークケーブル68で互いに接続した構成である。これらの機器には、それぞれ異なるIPアドレスが割り当てられ、互いに識別可能にされている。
第1セグメント69aには、IPアドレスの上位7桁が192.168.1の機器が接続され、第2セグメント69bには、IPアドレスの上位7桁が192.168.2の機器が接続され、第3セグメント69cには、IPアドレスの上位7桁が192.168.3の機器が接続されている。
DBMS61、主画像保管装置62、副画像保管装置63のIPアドレスはそれぞれ順に、「192.168.1.10」、「192.168.1.20」、「192.168.1.30」である。また、参照端末65a、65b、65c、65d、65e、65fのIPアドレスはそれぞれ順に、「192.168.1.80」、「192.168.1.90」、「192.168.2.10」、「192.168.2.20」、「192.168.3.10」、「192.168.3.20」である。なお、ここでのIPアドレスは一例にすぎない。
主画像保管装置62には、例えばモダリティで撮像および生成された多数の医用画像データがDICOM型式のファイルとして保管されている。副画像保管装置63には、主画像保管装置62に保管されている多数のファイルと同一のものがそれぞれ保管されている。これら医用画像データのファイルは、付帯情報として患者情報や撮像条件などを含む。
DBMS61は、主画像保管装置62および副画像保管装置63に保管されている医用画像データのファイルに関する情報を検索可能に保管している。各参照端末65a〜65fは、DBMS61にアクセスして患者情報等を入力することで、必要なファイルを検索できる。そして、各参照端末65a〜65fは、検索したファイルの参照要求を主画像保管装置62に送信することで、当該ファイルを主画像保管装置62から取得し、画像として表示できる。
なお、主画像保管装置62および副画像保管装置63は、後述のファイル保管部96において同一ファイルをそれぞれ保管しているが、両者において、それらのファイル名、保管先であるファイル保管部96のドライブ名およびフォルダ名等の階層構造は同じにされている。従って、後述の動作説明のステップS6における副画像保管装置63の昇格の前と後とで、各参照端末65a〜65fがファイルを取得する際のアクセス先のIPアドレス、ドライブ名、フォルダ名等に変更はない。即ち、DBMS61は、主画像保管装置62の降格および副画像保管装置63の昇格の前後において、参照端末65a〜65fに送信するファイルの取得先の情報を変更しないでよい。
また、本実施形態では説明の簡単化のため、参照端末の数を6つとしているが、実際には参照端末の数は5つ以下であっても7つ以上であってもよい。同様に、セグメント(69a〜69c)の数も、本実施形態のように3つに限定されるものではなく、2つ以下であっても4つ以上であってもよい。
図4は、DBMS61、主画像保管装置62、副画像保管装置63、参照端末65aの詳細を示す機能ブロック図である。なお、各参照端末65a〜65fの構造は同じであるので、代表として参照端末65aについて示す。また、主画像保管装置62、副画像保管装置63は、構造的には互いに同じであり、正常である限り、認識子の入れ替え等の処理によって両者を入れ替えて機能させることができる。
図4に示すように、参照端末65aは、通信部80と、CPU(Central Processor Unit)81と、入力装置82と、システムバス83と、表示部84と、1次記憶メモリ85とを有する。CPU81は、IPアドレス等の認識子を記憶しており、また、システムバス83を介して参照端末65a全体を制御する。ユーザは、入力装置82を介して、必要とするファイルに関する情報(患者情報等)を入力できる。このとき、表示部84は、入力内容を表示する。
CPU81は、通信部80を介して、入力されたファイル情報を参照要求としてDBMS61に送信し、これに適合するファイルのファイル名、保管先アドレス等をDBMS61から受信する。CPU81は、主画像保管装置62にアクセスし、DBMS61から受信したファイル名等に基づいて画像データのファイルを主画像保管装置62から取得し、これを1次記憶メモリ85に保存させる。この後、CPU81は、取得したファイルを画像として表示部84に表示させる。
主画像保管装置62および副画像保管装置63はそれぞれ、通信部91と、入力装置92と、CPU93と、システムバス94と、表示部95と、ファイル保管部96と、メモリ97とを有する。主画像保管装置62および副画像保管装置63において、CPU93はそれぞれ、システムバス94を介してシステム制御を行う。CPU93にはIPアドレス等の認識子が記憶されており、副画像保管装置63のCPU93は副画像保管装置として機能し、主画像保管装置62のCPU93は主画像保管装置として機能する。主画像保管装置62のCPU93は、各参照端末65a〜65fから参照要求のあったファイルを、ファイル保管部96から参照し、これを参照要求のあった参照端末に送信する。また、副画像保管装置63のCPU93は、後述の図5のフローチャートで説明するように、主画像保管装置62が正常に機能しているか否かを検証する。
ファイル保管部96には、多数の医用画像データがDICOM型式のファイルとして保管されている。前述したように、主画像保管装置62、副画像保管装置63で、ファイル保管部96内で保管されているファイル内容やフォルダの階層構造は互いに同一である。入力装置92は、ファイル保管部96へのファイルの書き込み等の際の入力に用いることができる。このとき、表示部95は、入力内容等を表示する。メモリ97は、画像保管通信システム60におけるエラーの履歴等を記憶する。
DBMS61は、通信部101と、入力装置102と、CPU103と、検索部104と、システムバス105と、検索情報保管部106と、表示部107とを有する。CPU103は、システムバス105を介してDBMS61のシステム制御を行う。検索情報保管部106には、主画像保管装置62および副画像保管装置63に保管されているファイルに関する情報が検索可能に保管されている。このファイルに関する情報は、入力装置102を介して書き換え可能である。このとき、表示部107は、入力内容を表示する。
検索部104は、通信部101を介して、各参照端末65a〜65fから送信されるファイルの参照要求を受け付け、適合するファイルのファイル名、保管場所等を検索情報保管部106から検索する。検索部104は、通信部101を介して、検索したファイル名、保管場所等を、参照要求があった参照端末に送信する。
本実施形態の主な特徴として、少なくとも以下の3点が挙げられる。第1に、各参照端末65a〜65fのCPU81は、ファイルの参照要求を主画像保管装置62に送信後、当該ファイルを取得できなかった場合、副画像保管装置63に主画像保管装置62の検証要求を送信することである。第2に、検証要求を受信した副画像保管装置63のCPU93は、各セグメントの参照端末(65a〜65fの内の1つ〜5つ)に、参照検証指令を送信する。第3に、参照検証指令を受信した参照端末のCPU81は、主画像保管装置62と副画像保管装置63とからそれぞれファイルを参照できるかの検証を行い、検証結果を副画像保管装置63に送信する。以上の点については、次の図5を用いて詳細に説明する。
<本実施形態の動作説明>
図5は、本実施形態の画像保管通信システム60の動作を示すフローチャートである。各参照端末65a〜65fは、ユーザの操作によって、選択されたファイルの参照要求を主画像保管装置62に送信し、図5に示す処理が行われる。即ち、ここでは一例として、各参照端末65a〜65fは、主画像保管装置62からファイルを正常に受信できるかの検証を、ユーザの操作に伴うファイルの参照要求に拘らずに定期的に行うものではないとする。以下、図5に示すステップ番号に従って、適宜図3および図4を参照しながら、画像保管通信システム60の動作を説明する。
[ステップS1]例えばユーザの操作によって、各参照端末65a〜65fのいずれかのCPU81が、通信部80を介して主画像保管装置62にファイルの参照要求を送信する(図4参照)。ここでは一例として、参照端末65f(図3参照)がファイルの参照要求を送信するものとして説明する。
[ステップS2]参照端末65fのCPU81は、主画像保管装置62からファイルを正常に受信できたか否かを判定する。ファイルを正常に受信できなかった場合、ステップS3に進み、ファイルを正常に受信できた場合、ステップS3以下の処理は行われずに終了する。
[ステップS3]参照端末65fのCPU81は、通信部80を介して副画像保管装置63に対して、主画像保管装置62が正常に稼動しているか否かの検証要求を送信する。
[ステップS4]副画像保管装置63のCPU93は、通信部91を介して検証要求を受信後、通常動作モードから検証モードに切り替わり、以下の2つの処理を行う。第1に、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62が正常に動作しているか否かの稼動状態の検証を開始し、これに同期して主画像保管装置62のCPU93は、(正常に動作していれば)被検証モードに移行する。具体的には例えば、副画像保管装置63のCPU93は、通信部91を介して、ステップS1での参照要求の対象となったファイルと、これ以外の他の任意の数のファイルとの参照要求を主画像保管装置62に送信する。副画像保管装置63のCPU93は、これら複数のファイルを全て正常に受信できた場合、正常(主画像保管装置62が正常に稼動している)と判定し、それ以外の場合、非正常(主画像保管装置62が正常に稼動していない)と判定する。
第2に、副画像保管装置63のCPU93は、検証要求を送信していない任意の数の参照端末(65a〜65eの内の1つ〜5つ)に対して、参照検証指令を送信する。参照検証指令とは、参照端末が主画像保管装置62と副画像保管装置63とからそれぞれファイルを正常に受信できるかの検証である。ここでは一例として、ステップS1での参照要求の対象となったファイルの受信動作を検証に用いるものとする。
また、ここでは一例として、副画像保管装置63のCPU93は、各セグメント69a〜69cの任意の1つの参照端末に対して参照検証指令を送信するものとする。即ち、副画像保管装置63は、セグメント69aでは参照端末65aまたは65bに対してのみ、セグメント69aでは参照端末65cまたは65dに対してのみ、セグメント69cでは参照端末65eに対してのみ、参照検証指令を送信する。
但し、検証要求を送信した参照端末が含まれるセグメント(この例では69c)には、参照検証指令を送信しなくてもよい。即ち、副画像保管装置63のCPU93は、検証要求を送信した参照端末が含まれるセグメント69cを除いたセグメント69a、69bからそれぞれ任意の1つの参照端末をランダムに選択し、選択した参照端末にのみ参照検証指令を送信してもよい。或いは、副画像保管装置63のCPU93は、検証要求を送信していない全参照端末65a〜65eに参照検証指令を送信してもよい。
副画像保管装置63のCPU93は、一部のみのセグメントの参照端末に参照検証指令を送信できなかった場合、副画像保管装置63と当該セグメントとの間のネットワークの経路に何らかの障害が発生していると判定する。この場合、副画像保管装置63のCPU93は、通信部91を介して、ネットワーク送受信網の修理点検要求をサービスセンタ70に送信し、当該セグメントを除いた他のセグメントの参照端末からの検証結果を用いて、後述のステップS6での判定処理を行う。
なお、主画像保管装置62のCPU93は、正常に動作していれば被検証モードに移行している。主画像保管装置62のCPU93は、被検証モード中において、検証要求を送信していない参照端末(65a〜65e)からファイルの参照要求を受けた場合、この参照端末に対し、稼働状況検証中のステータスを返信する。稼働状況検証中のステータスを受信した参照端末のCPU81は、稼働状況検証中のステータスが解除されるまで、ファイルの参照要求を送信しない。
[ステップS5]参照検証指令を受信した参照端末(65aまたは65bと、65cまたは65dと、65eの計3つ)のCPU81は、主画像保管装置62と副画像保管装置63とからそれぞれステップS1で参照要求の対象となったファイルを正常に受信できるかを検証する。具体的には、参照検証指令を受信したCPU81は、参照要求の対象となったファイルの参照要求を主画像保管装置62と副画像保管装置63とにそれぞれ送信する。主画像保管装置62、副画像保管装置63はそれぞれ、正常に機能していれば、CPU93が参照要求のあったファイルをファイル保管部96から参照して、これを参照要求のあった参照端末に送信する。
上記検証を行った各参照端末のCPU81は、検証結果を(判断情報として)副画像保管装置63に送信する。正常に受信できか否かの2通りの結果が主画像保管装置62と副画像保管装置63の2つに伴うので、参照検証指令に対する検証結果は4通りとなる。
[ステップS6]副画像保管装置63のCPU93は、ステップS4で行った主画像保管装置62の検証結果と、参照検証指令に対する参照端末からの検証結果とに応じて、主画像保管装置62を降格させるか否かを判定する。副画像保管装置63のCPU93は、この判定結果に応じて、主画像保管装置62の降格などの措置を指令する。
ここでは一例として、各セグメント69a〜69cの参照端末からの検証結果が全て同じ結果を示すものとするが、セグメント69a〜69c毎に検証結果が異なる場合について補足する。セグメント数が10個程度がそれ以下である場合、検証結果が他と整合しない参照端末が1つでもある場合、主画像保管装置62の降格を行わない方が望ましいと考えられる。この場合、ルータ64a、64bやネットワークケーブル68等を含むネットワーク配線に障害が発生している可能性があるからである。或いは、参照端末毎に検証結果が異なる場合、副画像保管装置63は、最多数の結果を用いて判定をしてもよい。
また、副画像保管装置63が行った検証結果として、主画像保管装置62が正常か非正常かの2通りあり、参照検証指令に対する検証結果は4通りある。従って、これらの検証結果の組み合わせは合計8つの場合があるので、以下の(1)〜(8)に場合分けして、副画像保管装置63による判定およびその後の処理を説明する。
(1)主画像保管装置62は正常、副画像保管装置63は正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が正常を示す場合: この検証結果となる要因には、以下が考えられる。例えば、検証要求を送信した参照端末65fが主画像保管装置62にアクセスしたとき、主画像保管装置62にアクセスが一時的に集中していたためにファイルを正常に送信できなかったが、現在の主画像保管装置62は正常に機能している場合である。
(1)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させないと判定し、主画像保管装置62のCPU93を被検証モードから通常動作モードから切り替えさせ、その後、通常動作モードに戻る。参照端末および副画像保管装置63の双方の検証結果で主画像保管装置62が正常である以上、主画像保管装置62を降格させる必要性はないからである。また、副画像保管装置63のCPU93は、ステップS4で稼働状況検証中のステータスを受信した参照端末のCPU81に対し、主画像保管装置62が正常であることの検証結果を送信し、稼働状況検証中のステータスを解除する。これにより、ステップS1以前と同様に主画像保管装置62からファイルを提供させる。さらに、副画像保管装置63のCPU93は、検証要求を発信した参照端末65fの識別情報(IPアドレス等)と共に、エラーがあったことをメモリ97に記録する。
(2)主画像保管装置62は正常、副画像保管装置63は正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が非正常を示す場合: この検証結果となる例としては、主画像保管装置62のファイル保管部96において、ステップS1で参照要求の対象となったファイルの記録状態が正常であるが、他のファイルの記録状態が非正常である場合が考えられる。即ち、参照端末は、参照要求の対象となった1ファイルの受信のみで検証を行うため、主画像保管装置62において他のファイルの記録状態が非正常であっても、主画像保管装置62が正常であると検証しうる。一方、副画像保管装置63は、複数のファイルの受信動作に基づいて検証を行うため、全ファイルを正常に受信できた場合を除き、上記検証結果となる。
(2)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させると判定する。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常である以上、副画像保管装置63の昇格に問題はなく、副画像保管装置63の検証結果に従えば、主画像保管装置62に異常があるからである。
そこで副画像保管装置63のCPU93は、通信部91を介して主画像保管装置62のCPU93にアクセスし、主画像保管装置62の認識子(ホスト名やIPアドレス等)を予め準備した予備画像保管装置としての認識子に変更させる。また、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。主画像保管装置62が予備画像保管装置に降格後、副画像保管装置63のCPU93は、副画像保管装置63の認識子を降格前の主画像保管装置62と同一のもの(この例では、IPアドレスは192.168.20)に変更する。これにより副画像保管装置63は、主画像保管装置に昇格し、そのCPU93は、ステップS4で稼働状況検証中のステータスを受信した参照端末のCPU81に対し、前記同様に稼働状況検証中のステータスを解除する。そして、昇格した主画像保管装置から各参照端末65a〜65fにファイルを提供する。この後、予備画像保管装置の修理点検が正常に終了後、予備画像保管装置を副画像保管装置に昇格させ、副画像保管装置として機能させる。具体的には、予備画像保管装置の認識子を上記副画像保管装置63と同一のものに変更する。
(3)主画像保管装置62は正常、副画像保管装置63は非正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が正常を示す場合: この検証結果となる一例としては、以下2条件を満たす場合が考えられる。第1に、検証要求を出した参照端末65が主画像保管装置62にアクセスしたとき、主画像保管装置62にアクセスが一時的に集中していたために正常にファイルが送信できなかったが、現在の主画像保管装置62は正常に機能している。第2に、副画像保管装置63のファイル保管部96において、ステップS1で主画像保管装置62に対し参照要求の対象となったファイルと同一のファイルの記録状態が非正常である場合である。当初は正常に記録されていても、追加的な書き込みの際にデータが損傷等する場合も考えられるからである。
(3)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させないと判定し、(1)の場合と同じ処理(稼働状況検証中のステータスの解除、エラーの記録等)が行われる。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常ではない以上、副画像保管装置63を昇格させても、送信エラーが生じるおそれがあるからである。また、参照端末および副画像保管装置63の双方の検証結果で主画像保管装置62が正常である以上、主画像保管装置62を降格させる必要もないからである。(3)の場合はさらに、副画像保管装置63のCPU93は、副画像保管装置63の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。
(4)主画像保管装置62は正常、副画像保管装置63は非正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が非正常を示す場合: この検証結果となる一例としては、以下3条件を満たす場合が考えられる。第1に、主画像保管装置62のファイル保管部96において、参照要求の対象となったファイルの記録状態が正常であるが、他のファイルの記録状態が非正常である。この点は、(2)の場合と同様、主画像保管装置62に対する検証結果が参照端末と副画像保管装置63とで異なる要因となる。第2に、検証要求を出した参照端末65fが主画像保管装置62にアクセスしたとき、主画像保管装置62にアクセスが一時的に集中していたために正常にファイルが送信できなかったが、現在の主画像保管装置62は、一部のファイルの記録状態を除き、正常に機能している。第3に、副画像保管装置63のファイル保管部96において、(参照検証要求の送信や検証結果の受信などの検証動作に関しては正常であっても、)ステップS1で参照要求の対象となったファイルと同一のファイルの記録状態が非正常である。
(4)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させないと判定し、(1)の場合と同じ処理が行われる。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常ではない以上、副画像保管装置63を昇格させても、送信エラーが生じるおそれがあるからである。さらに、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62および副画像保管装置63の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。
(5)主画像保管装置62は非正常、副画像保管装置63は正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が正常を示す場合: この検証結果となる一例としては、主画像保管装置62において、副画像保管装置63へのファイルの送信機能は正常であるが、参照端末へのファイル送信機能に何らかの障害が発生していることが考えられる。
(5)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させると判定する。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常である以上、副画像保管装置63の昇格に問題はなく、参照端末の検証結果に従えば、主画像保管装置62に異常があるからである。この後、(2)の場合と同様の処理が行われる。これにより、一方の画像サーバ(主画像保管装置62)に障害が発生した場合にも、他方の画像サーバ(副画像保管装置63)によってファイルの提供が継続される。
(6)主画像保管装置62は非正常、副画像保管装置63は正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が非正常を示す場合: この検証結果となる要因としては、副画像保管装置63は正常に機能している一方、主画像保管装置62に何らかの障害が発生していることが考えられる。(6)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させると判定する。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常である以上、副画像保管装置63の昇格に問題はなく、参照端末および副画像保管装置63の検証結果に従えば、主画像保管装置62に異常があるからである。この後、(2)の場合と同様の処理が行われる。
(7)主画像保管装置62は非正常、副画像保管装置63は非正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が正常を示す場合: この検証結果となる一例としては、以下2条件を満たす場合が考えられる。第1に、主画像保管装置62において、副画像保管装置63へのファイルの送信機能は正常であるが、参照端末へのファイル送信機能に何らかの障害が発生している。この点は、参照端末と副画像保管装置63とで主画像保管装置62に対する検証結果が異なる要因となる。第2に、副画像保管装置63のファイル保管部96において、ステップS1で参照要求の対象となったファイルと同一のファイルの記録状態が非正常である。
(7)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62を降格させないと判定し、(1)の場合と同じ処理が行われる。参照端末の検証結果において副画像保管装置63が正常ではない以上、副画像保管装置63を昇格させても、送信エラーが生じるおそれがあるからである。さらに、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62および副画像保管装置63の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。
(8)主画像保管装置62は非正常、副画像保管装置63は非正常であることを参照端末の検証結果が示し、副画像保管装置63が行った検証結果が非正常を示す場合: この検証結果となる一例は、副画像保管装置63において、参照検証要求の送信や検証結果の受信などの検証動作に関しては正常であるが、ファイルの記録状態が非正常である一方、主画像保管装置62において障害が発生している場合である。
(8)の場合、副画像保管装置63のCPU93は、少なくとも検証要求を送信した参照端末65fに対し、主画像保管装置62が正常に動作していないという検証結果を(例えば警告として)送信する。主画像保管装置62が非正常であるという検証結果については、(例えば警告として)全参照端末65a〜65fに送信してもよい。さらに、副画像保管装置63のCPU93は、主画像保管装置62および副画像保管装置63の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。なお、ステップS4において、一部の参照端末が稼働状況検証中のステータスを受信している場合、稼働状況検証中のステータスについては解除しないでよい。主画像保管装置62も副画像保管装置63も正常に動作していない以上、少なくとも一方の修理が正常に終了するまで、ファイルを正常に提供できないと考えられるからである。以上が本実施形態の画像保管通信システム60の動作説明である。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、主画像保管装置62の稼動状況を各セグメントの参照端末に検証させるため、各参照端末65a〜65fが主画像保管装置62からファイルを参照できるか否かを正確に判定できる。また、参照端末の検証結果だけではなく、副画像保管装置63による主画像保管装置62の検証結果も加味して、8通りに場合分けして判定を行うため、判定の精度を向上できる。例えば、単に主画像保管装置62に一時的にアクセスが集中してファイルを送信できず、現在の主画像保管装置62が正常に動作している場合、システムに問題がないことを正確に判定できる。
また、副画像保管装置63は、一部のみのセグメントの参照端末に参照検証指令を送信できなかった場合、ネットワーク送受信網の修理点検要求をサービスセンタ70に送信する。従って、セグメント単位での障害情報も判断できる。
副画像保管装置63が正常であり、且つ、主画像保管装置62に障害が発生した場合、副画像保管装置63の認識子を主画像保管装置62と同一のものに変更し、副画保管装置63を主画像保管装置に切り替える。さらに、主画像保管装置62と副画像保管装置63とで、ファイルの保管先であるファイル保管部96のドライブ名やフォルダの階層構造等は同じである。従って、各参照端末65a〜65fは、主画像保管装置の切替前後において、ファイルの取得のアクセス先を実質的に変更しなくてよい。従って、本実施形態の画像保管通信システム60は、既に稼働中のシステムに対して導入する際、参照端末65a〜65fにおける画像取得時のパス情報の改修が不要である。
また、主画像保管装置62の切替は、主画像保管装置62と副画像保管装置63との間の動作だけで行われる。このため、画像サーバを二重化した画像保管通信システム60は、画像サーバが主画像保管装置のみで既に稼働中のシステムに対して導入する際、データベース管理システムにおけるファイルの保管先情報の記録の改修を不要にしうる。導入時に追加する副画像保管装置内において、フォルダおよびファイルの保管先の階層構造を、既に稼働している主画像保管装置と同じにすればよいからである。
さらに、主画像保管装置62からのファイル送信にエラーがあった場合のステップS3以下の処理において、DBMS61は殆ど関わらない。従って、本実施形態の画像保管通信システム60は、1つの画像サーバのみで既に稼働中のシステムに対しても、データベース管理システムとは独立して導入できる。即ち、導入時にデータベース管理システムの大幅な改修を伴わずに、画像保管領域の冗長化を実現できる。
<本実施形態の補足事項>
[1]本発明の画像保管通信システム60を複数セグメントのイーサネットにPACSとして適用する例を述べたが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。本発明の画像保管通信システムは、例えば、他の形態のLAN(Local Area Network)にも適用可能である。
[2]各参照端末65a〜65fが、主画像保管装置62からファイルを正常に受信できるかの検証を、ユーザの操作に伴うファイル参照要求に拘らずに定期的に行うものではない例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、特定の参照端末(65a〜65fのいずれか)が主画像保管装置62からファイルの受信が正常に行われるかの検証を定期的に行い、正常に受信できなければ図5のステップS3以下の処理を行う構成としてもよい。
[3]モダリティで撮像および生成された多数の医用画像データがDICOM型式のファイルとして保管されている例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。本発明の画像保管通信システムの技術思想は、他の型式のファイルやデータであっても適用可能である。
[4]本実施形態では、8つの場合に分けて副画像保管装置63が主画像保管装置62の降格について判定、および、その後の処理を決定する例を述べた。判定方法については、必ずしも8つの場合に分けて行う必要はなく、他の方法であってもよい。例えば、上記実施形態と同じ(2)、(5)、(6)の場合に主画像保管装置62を降格させると判定し、その他の場合については、主画像保管装置62を降格させずに一律的な処理を行う構成としてもよい。また、ステップS6で述べた判定の内容は一例にすぎず、判定およびその後の処理については、本実施形態とは異なるものとしてもよい。
[5]主画像保管装置62を降格させる場合、本実施形態のように主画像保管装置62は予備画像保管装置に降格させ、修理点検が正常に終了するまでは副画像保管装置にしない方が望ましい。第1には、主画像保管装置62は正常に機能していないことが判明している以上、それを副画像保管装置にしても、正常に機能するとは考えがたいからである。第2には、主画像保管装置62と副画像保管装置63との認識子を単純に交換することで両者を切り替える場合、一時的に主画像保管装置または副画像保管装置が2つ存在して、システムが一時的に誤動作するおそれがあるからである。但し、主画像保管装置62と副画像保管装置63との認識子を単純に交換することで両者を切り替える場合であっても、本発明の技術思想に含まれる。
[6]主画像保管装置62の降格および副画像保管装置63の昇格の処理方法について、認識子(ホスト名やIPアドレス等)を変更する例を述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。主画像保管装置62および副画像保管装置63自体のIPアドレス等を変更せずに、副画像保管装置63が、DBMS61内で記録されているファイルの取得パスを主画像保管装置62用から副画像保管装置63用に書き替えてもよい。この場合、ファイルの取得パスにおけるホスト名およびIPアドレスを主画像保管装置62のものから副画像保管装置63のものに変更すれば済む。本実施形態の主画像保管装置62内および副画像保管装置63内では、前述のように、ファイル名やファイル保管先のドライブ名およびフォルダ名の階層構造が互いに同じだからである。
[7]図3において主画像保管装置62と副画像保管装置63を省略する代わりに、例えばUSBを介して2つの外付けのディスクA、Bが接続された1の保管装置(図示せず)を設ける構成にも、本発明は適用可能である。上記USBは、「Universal Serial Bus」の意味である。この場合、同一の画像データのファイルを、ファイル名、フォルダ名および階層構造を同じにして、ディスクA、Bに二重化保存する。この構成では、通常動作時にはディスクAから各参照端末65a〜65fにファイルが送信される。ファイル送信にエラーがあった場合、参照端末から保管装置に検証要求が送信され、保管装置が上記ステップS3〜S6と同様に参照検証指令の送信や判定等を行う。
具体的には、参照検証指令に対する各参照端末65a〜65fの検証動作では、ディスクA、Bのそれぞれからファイルを正常に読み出せるかが検証され、結果が保管装置に送信される。ディスクBからのファイルの読み出しは正常に行えても、ディスクAからのファイルの読み出しは正常に行えない場合、保管装置は、共有名を変更することで、ファイルの読み出し先を切り替える。即ち、ディスクAのドライブ名を予備用のドライブ名に変更後、ディスクBのドライブ名を変更前のディスクAのドライブ名と同一にする。これにより、DBMS61におけるファイルのパスを書き換えなくとも、ファイルの読み出し先はディスクAからディスクBに切り替わる。そして、ディスクAの修理点検が正常に終了後、ディスクAのドライブ名を変更前のディスクBと同じに書き換えればよい。
[8]副画像保管装置63の数は、本実施形態のように1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。副画像保管装置が複数の場合、各副画像保管装置に優先順位を付与し、優先順位が最高の副画像保管装置が上記副画像保管装置63のように参照検証指令の送信や判定等を行うことが望ましい。この場合、画像サーバの切替の際には、主画像保管装置を予備画像保管装置に降格させ、判定を行う副画像保管装置を主画像保管装置を昇格させ、他の副画像保管装置の優先順位を1つずつ繰り上げればよい。そして、予備画像保管装置の修理点検が正常に終了後、予備画像保管装置を優先順位が最低の副画像保管装置に昇格させればよい。
[9]主画像保管装置の数は、本実施形態のように1つに限定されるものではなく、2つ以上であってもよい。主画像保管装置が複数の場合、副画像保管装置も複数とし、保管方法の一例としては、画像データのファイルを生成したモダリティ毎にこれらをグループ分けすればよい。
図6は、主画像保管装置および副画像保管装置を複数とした場合の変形例に係る画像保管通信システム60Aの全体構成を示すブロック図である。
図6に示すように、画像保管通信システム60Aは、DBMS61と、主画像保管装置62α、62βと、副画像保管装置63α1、63α2、63β1、63β2と、ルータ64a、64bと、参照端末65a、65b、65c、65d、65e、65fとをネットワークケーブル68で互いに接続した構成である。また、画像保管通信システム60Aは、ルータ64cを介してサービスセンタ70に接続されている。画像保管通信システム60Aでは、第1セグメント69a’の構成のみが上記実施形態とは異なる。
具体的には、αグループの主画像保管装置62αおよび副画像保管装置63α1、63α2(における不図示のファイル保管部)には、例えば、磁気共鳴イメージング装置で生成された画像データのファイルとして同一のものが保管されている。また、βグループの主画像保管装置62βおよび副画像保管装置63β1、63β2(における不図示のファイル保管部)には、例えば、X線診断装置で生成された画像データのファイルとして同一のものが保管されている。
副画像保管装置63α1の方が副画像保管装置63α2よりも優先順位が高く、副画像保管装置63β1の方が副画像保管装置63β2よりも優先順位が高い。そして、主画像保管装置62α、62βの降格に関する処理は、αグループ、βグループとで別々に、上記ステップS3〜S6と同様にして行われる。
即ち、参照端末(65a〜65f)から磁気共鳴イメージング装置のファイルを主画像保管装置62αから取得しようとしてエラーがあった場合、検証要求は副画像保管装置63α1にのみ送信される。この場合、βグループの主画像保管装置62βおよび副画像保管装置63β1、63β2は関与せず、副画像保管装置63α1が参照検証指令の送信、主画像保管装置62αの稼動状態の検証、主画像保管装置62αを降格させるかの判定等を行う。
この場合の処理は、上記ステップS4〜S6と同様なので重複する説明を省略するが、主な違いは以下の点である。即ち、副画像保管装置63α1が主画像保管装置62αを降格させると判定した場合、主画像保管装置62αの予備画像保管装置への降格、副画像保管装置63α1の主画像保管装置への昇格に加えて、副画像保管装置63α2を副画像保管装置63α1に昇格させる点である。この後、予備画像保管装置の修理が正常に終了後、この予備画像保管装置を副画像保管装置63α2に昇格させる。
参照端末(65a〜65f)からX線診断装置の画像データを主画像保管装置62βから取得しようとしてエラーがあった場合も、動作は上記同様である。即ち、検証要求は副画像保管装置63β1にのみ送信される。主画像保管装置62α、副画像保管装置63α1、63α2は関与せず、副画像保管装置63β1が上記同様の判定等の処理を行う。