しかし、ガスハイドレートの生成、貯蔵、供給、輸送などの必要から、ガスハイドレートの生成、貯蔵、供給、輸送などを行う環境を0℃未満の温度に設定する場合、当該ガスハイドレートの生成、貯蔵、供給、輸送などのために必要な冷熱エネルギーを上回るほどに(従って0℃未満の温度よりも更に低温になるように)熱源から冷熱エネルギーを供給する必要に迫られることがある。なぜならば、当該環境をとりまく外部環境(たとえば大気)の温度は、必ずしも当該環境の温度と同じではなく、むしろ(たとえば夏季においては)0℃以上となることが多々あるからである。そのような場合には、相対的に高温の外部環境からの熱エネルギーによりガスハイドレートが昇温しないように、冷熱源からより多くの冷熱エネルギーを供給し、更に冷却しなければならない。その結果、余剰な冷熱エネルギーが発生することになる。
他方、0℃以上の温度Tmに設定された環境下で第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成し、そのハイドレートの格子内の空隙に特定の気体分子を取り込むことにより、被処理気体に含まれる当該気体分子を捕集する場合には、ガスハイドレートの生成などに必要とされる冷熱エネルギーと比較して、冷熱エネルギーを少なくすることができる。しかし、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーの更なる節約を可能にする技術は常に求められている。
本発明は、以上の背景に基づきなされたものであり、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体から当該気体分子を捕集するにあたり、その捕集のために消費されるエネルギーを節約できる、よりエネルギー効率の高い技術を提供することを目的とする。
本発明の第1の形態に係る気体捕集方法は、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体と、冷却により前記特定の気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートを生成しうる第1の系と、冷却により第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成し前記第2のハイドレートの格子内の空隙に前記特定の気体分子を取り込みうる第2の系とを準備する工程と;前記第1の系の環境温度を温度T1に設定して、前記特定の気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートを生成させることにより前記被処理気体から前記特定の気体分子を捕集する工程と;前記第2の系の環境温度を温度T2に設定して、前記第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成させ、前記第2のハイドレートの格子内の空隙に前記特定の気体分子を取り込むことにより前記被処理気体から前記特定の気体分子を捕集する工程とを有し、前記温度T1は前記温度T2より低く、前記第1の系の環境温度を温度T1に設定する冷却における余剰な冷熱エネルギーを前記第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いることを特徴とする。
ここで、第1の系の環境温度として設定する温度T1は、気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートが生成する温度Tg以下の温度であり、第2の系の環境温度として設定する温度T2は、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートが生成する温度Tm以下の温度であり、第1の系の環境温度T1および第2の系の環境温度T2はTm≧T2>T1という関係にあり、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。
なお、第1の系の環境温度を温度T1に設定して生成した、特定の気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートを貯蔵、供給または輸送してもよいし、第1のハイドレートとしての状態を維持してもよい。また、第2の系の環境温度を温度T2に設定して被処理気体から特定の気体分子を捕集するために、被処理気体を予め、温度T2又は温度T2以下に設定された環境にさらしてもよいし、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートが生成する温度Tm又は温度Tm以下に設定された環境にさらしてもよい。
本発明の第2の形態に係る気体捕集方法は、第1の形態に係る方法において、前記第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーを冷媒物質により与え、前記冷媒の少なくとも一部を前記第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いることを特徴とする。
本発明の第3の形態に係る気体捕集方法は、第1または第2の形態に係る方法において、前記被処理気体を前記第1の系で処理した後に前記第2の系で処理することを特徴とする。
本発明の第4の形態に係る気体捕集装置は、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体から前記特定の気体分子を捕集する気体捕集装置であって、冷却により前記特定の気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートを生成しうる第1の系の環境温度を温度T1に冷却する第1の反応器と;冷却により第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成し前記第2のハイドレートの格子内の空隙に前記特定の気体分子を取り込みうる第2の系の環境温度を温度T2(ここで、T2>T1)に冷却する第2の反応器と;前記第1の反応器における冷却に用いた冷媒物質を、前記第2の反応器における冷却に用いるための経路とを有することを特徴とする。
本発明の第5の形態に係る気体捕集装置は、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体から前記特定の気体分子を捕集する気体捕集装置であって、冷却により前記特定の気体分子をゲスト分子とする第1のハイドレートを生成しうる第1の系を備え、その環境温度を温度T1に冷却する第1の反応器と;冷却により第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成し前記第2のハイドレートの格子内の空隙に前記特定の気体分子を取り込みうる第2の系を備え、その環境温度を温度T2(ここで、T2>T1)に冷却する第2の反応器と;前記被処理気体を前記第1の反応器を経由して、前記第2の反応器へ供給し、前記第1の反応器で冷却された被処理気体が有する冷熱エネルギーを前記第2の反応器へ熱伝達する被処理気体経路とを有することを特徴とする。
本発明の第1の形態によれば、第2のハイドレートが生成する温度Tm、第1の系の環境温度T1および第2の系の環境温度T2は、Tm≧T2>T1という関係にあり、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。より簡潔にいえば、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、気体分子の捕集をより高いエネルギー効率で実現することができる。
本発明の第2の形態によれば、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーを冷媒物質により与え、前記冷媒物質の少なくとも一部を前記第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。より簡潔にいえば、第1の形態の場合と同様に、冷媒物質による第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、気体分子の捕集をより高いエネルギー効率で実現することができる。
捕集すべき気体分子を含む被処理気体を第1の系で処理すると、被処理気体は温度T1(Tm未満)の環境下に晒されてTm未満またはTm以上であってもかなり低温になる。そのような低温の被処理気体を第2の系で処理すると、その被処理気体が有する冷熱エネルギーの少なくとも一部を用いて、第2の系の環境温度を温度T2に設定することができる。従って、本発明の第3の形態によれば、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、気体分子の捕集をより高いエネルギー効率で実現することができる。
なお、第3の形態において、第1の系を経た被処理気体は、その役割や機能に着目すると、第2の形態における冷媒物質に相当する物質であるともいえる。
ところで、被処理気体から捕集すべき気体分子は、第1の系において生成するハイドレートのゲスト分子となり得る場合もあれば、なり得ない場合もある。同様に、被処理気体から捕集すべき気体分子は、第2の系において生成するハイドレートの格子内の空隙に収まり得る場合もあれば、収まり得ない場合もある。また、被処理気体から捕集すべき気体分子が、第1の系において生成するハイドレートのゲスト分子となり得る場合であっても、供給量が過大である場合にはハイドレートの生成が間に合わず、結果としてハイドレートのゲスト分子となり得ない場合もある。
被処理気体から捕集すべき気体分子が、第1の系において生成するハイドレートのゲスト分子となり得ず、第2の系において生成するハイドレートの格子内の空隙に収まり得る場合において、第1の系を経た当該被処理気体を第2の系で処理すると、当該被処理気体が有する冷熱エネルギーにより第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートの生成量が増加し、当該被処理気体に含まれる気体分子を捕集可能な空隙数が増加し、より多くの気体分子を捕集することができるようになる。従って、本発明の第3の形態によれば、第1の系で捕集できなかった気体分子の少なくとも一部を、第2の系で捕集することができ、そのような捕集を高いエネルギー効率で実現することができる。また、見方を変えると、この第3の形態によれば、全体として捕集可能な気体分子の種類が多い割に気体分子の捕集を高いエネルギー効率で実現することができる、ともいえる。
本発明の第4の形態によれば、第1のハイドレート(ガスハイドレート)を生成するための第1の反応器の冷却に用いた冷媒物質を、気体分子を取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成する第2の反応器の冷却に用いる、すなわち第2の形態の場合と同様に、冷媒物質による第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、気体分子の捕集をより高いエネルギー効率で実現することができる。
本発明の第5の形態によれば、被処理気体を、第1のハイドレート(ガスハイドレート)を生成するための第1の反応器を経由して、気体分子を取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とする第2のハイドレートを生成する第2の反応器へ供給する、すなわち第3の形態の場合と同様に、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、気体分子の捕集をより高いエネルギー効率で実現することができる。
なお、本発明において、捕集すべき気体分子は、たとえばメタン、二酸化炭素、水素、硫化水素、酸素及び窒素のうちいずれか少なくとも一つが挙げられるが、当然これらに限定されない。捕集すべき気体分子を含む被処理気体は、捕集すべき気体分子とそれ以外の気体分子との混合気体であっても、捕集すべき気体分子のみからなる気体であってもよい。
温度T1(Tm未満)に設定された環境下で生成する気体分子をゲスト分子とするハイドレートや、温度T2(Tm以下)に設定された環境下で生成する第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートは、先の従来技術において例示したとおり公知であるので説明を省略する。
第1の形態において、気体分子をゲスト分子とするハイドレートを生成、貯蔵、供給、輸送またはハイドレートとしての状態を維持するために必要になる、温度T1(Tm未満)に環境温度を設定するために用いる冷熱エネルギーは、そのような環境温度に設定するために用いる冷熱源(冷凍機、熱交換器を含む)が供給するまたは放出する冷熱エネルギーであってよく、気体分子をゲスト分子とするハイドレートを生成、貯蔵、供給、輸送またはハイドレートとしての状態を維持するための設備、機器、部品、部材などから供給または放出される冷熱エネルギーであってもよい。冷熱エネルギーの供給または放出は、冷媒物質(大気、冷媒、ヒートパイプを含む)を介して行うものが典型例である。
第1の形態において、第1の系の環境温度を温度T1(Tm未満)に設定するために用いる冷熱エネルギーの少なくとも一部を用いて、第2の系の環境温度を温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定する際(すなわち熱伝達する際)、当該冷熱エネルギーの少なくとも一部が有するエネルギー量を、第2の系における環境温度の設定に適した量に調整した後に、第2の系における環境温度の設定に用いてもよい。その場合には、この第1の形態は、エネルギー量調整装置により当該冷熱エネルギーの少なくとも一部が有するエネルギー量を調整するエネルギー量調整工程を更に有する。
第2の形態は、第1の形態において、気体分子をゲスト分子とするハイドレートを生成、貯蔵、供給、輸送またはハイドレートとしての状態を維持するために必要になる温度T1(Tm以下)に、環境温度を設定するために用いられる冷熱エネルギーの伝達を冷媒物質を介して行う場合に相当する。
第2の形態の熱伝達において、第1の系の冷却に用いた冷媒物質を、温度調整を予め行うことなく直接、第2の系の環境温度の設定に用いてもよいし、第2の系の環境温度の設定に適した温度に冷媒物質の温度を調整した後に、第2の系の環境温度の設定に用いてもよい。後者の場合、すなわち冷媒物質を第2の系の環境温度の設定に適した温度に調整する場合には、この第2の形態は温度調整装置により冷媒物質の温度を調整する調温工程を更に有する。
第3の形態において、捕集すべき気体分子を含む被処理気体を第1の系で処理した後に、第2の系で処理するためには、第1の系の環境温度を温度T1(Tm未満)に設定し、第2の系の環境温度を温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定して、当該被処理気体が第1の系から第2の系に流れるようにすればよい。そのような被処理気体の流れを実現する手法の一例は、温度T1(Tm未満)に設定した第1の系を収容する空間と、温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定した第2の系を収容する空間との間に、被処理気体を流通させる経路を設け、ポンプを用いて当該被処理気体を前者の空間から後者の空間に向けて移動させる。場合によっては、温度T1(Tm未満)に設定した第1の系の環境と温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定した第2の系の環境とを互いにある程度の距離を保ちつつ同一の空間に収容して、前者の側から後者の側に向けて被処理気体を強制的に移動させるように構成してもよい。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は第1の形態の原理を示す図である。捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体を水に混合して、第1の系を設け、その第1の系の環境温度を温度T1(Tm未満)に設定して、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。また、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体を、第四級アンモニウム塩の水溶液に混合して、第2の系を設け、その第2の系の環境温度を温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定して、気体分子をハイドレートの格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。このとき、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、必要に応じてエネルギー量調整装置によりエネルギー量を調整して、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。このように、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、第2の系の環境温度を温度T2に設定して被処理気体から特定の気体分子を捕集するために、被処理気体を予め、温度T2に設定された環境にさらしてもよいし、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートが生成する温度Tm又は温度Tm以下に設定された環境にさらしてもよい。
図2は第1の形態の変形例である。図2の方法では、図1の方法に加えて、気体分子をゲスト分子とするガスハイドレートを貯蔵、供給もしくは輸送するかまたはガスハイドレートとしての状態を維持するように、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、必要に応じてエネルギー量調整装置により調整して、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。このようにすることにより、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いることを省略するか、第2の系を冷却するために用いる冷熱エネルギー量を低減するようにしてもよい。
図3は第2の形態の原理を示す図である。捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体を水に混合して、第1の系を設け、その第1の系の環境温度を温度T1(Tm未満)に設定して、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。また、捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体を、第四級アンモニウム塩の水溶液に混合して、第2の系を設け、その第2の系の環境温度を温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定して、気体分子をハイドレートの格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。このとき、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーを冷熱源から供給される冷媒物質により与え、冷媒物質の少なくとも一部を、必要に応じて温度調整装置により温度を調整して、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。このように、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。
図4は第2の形態の変形例である。図4の方法では、図3の方法に加えて、気体分子をゲスト分子とするガスハイドレートを貯蔵、供給もしくは輸送するかまたはハイドレートとしての状態を維持するように、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーを、冷熱源から供給される冷媒物質により与え、冷媒物質の少なくとも一部を、必要に応じて温度調整装置により温度を調整して、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。このように、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、第1の系の環境温度を温度T1に設定するために供給される冷媒物質の少なくとも一部を、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いることを省略するか、第2の系を冷却するために用いる冷媒物質量を低減するようにしてもよい。
図5は第3の形態の原理を示す図である。捕集すべき特定の気体分子を含む被処理気体を冷熱源により冷却し、水に混合して第1の系を設け、冷却された被処理気体が有する冷熱エネルギーにより、第1の系の環境温度を温度T1(Tm未満)に設定して、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。さらに、第1の系で処理された被処理気体を、必要に応じて冷熱源および/または温度調節装置を通し、第四級アンモニウム塩の水溶液に混合して第2の系を設け、冷却された被処理気体が有する冷熱エネルギーにより、第2の系の環境温度を温度T2(Tm以下でT1より高い)に設定して、気体分子をハイドレートの格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。この形態では、冷却された被処理気体は冷媒物質として冷熱エネルギーを熱伝達する。第2の系で処理された被処理気体は、冷熱源に送られ再度第1の系に送られて循環し、一部は循環系から排出されるか別の処理系へ送られる。このように、冷却された被処理気体は冷媒物質として冷熱エネルギーを熱伝達し、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。
図6は本発明の一実施形態に係る気体捕集装置を示す系統図である。
図6の気体捕集装置は、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第1の捕集部1と、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第2の捕集部2と、第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3とを備える。
第1の捕集部1は、被処理気体の圧力を昇圧するガス昇圧機101、102、水を供給する水ポンプ103、119、水に被処理気体を混合して溶解させるラインミキサー105、ラインミキサー105でミキシングされ被処理気体が混合された水(第1の系)を受け入れ冷却してガスハイドレートを生成する反応管路107、反応管路107で生成されたガスハイドレート、被処理気体中の未反応分、水を分離する分離器109を備えている。反応管路107は屈曲管107aを有し、屈曲管107aの周囲に冷熱媒体が充填されている。屈曲管107aの内部に被処理気体が混合された水が供給され、屈曲管107aの周面を介して、チラー117により冷却された冷熱媒体との熱交換により、第1の系を冷却するようになっている。分離器109においては、分離器109内の水位がレベル計121で検知され、分離器109内の水位が一定レベル以上になるように制御されている。生成したガスハイドレートは分離器109から取り出され、後処理工程に送られる。分離器109で分離された被処理気体中の未反応分は、ガス昇圧機102で圧力を昇圧され、新たに処理される被処理気体とともにラインミキサー105に供給される。各機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結され、要所には圧力検出器110が設置され、この圧力検出器110の信号によって配管ラインに設置された各バルブ112が制御され、当該配管ラインの圧力、流量が調整されるように構成されている。
また、第2の捕集部2は、被処理気体の圧力を昇圧するガス昇圧機201、202、第四級アンモニウム塩水溶液を供給する水溶液ポンプ203、219、水溶液に被処理気体を混合して溶解させるラインミキサー205、ラインミキサー205でミキシングされ被処理気体が混合された水溶液(第2の系)を冷却して、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する反応管路207、反応管路207で生成されたハイドレート、被処理気体中の未反応分、水溶液を分離する分離器209を備えている。反応管路207は屈曲管207aを有し、屈曲管207aの周囲に冷熱媒体が充填されている。屈曲管207aの内部に被処理気体が混合された水が供給され、屈曲管207aの周面を介して、チラー217により冷却された冷熱媒体との熱交換により、第2の系を冷却するようになっている。分離器209においては、分離器209内の水位がレベル計221で検知され、分離器209内の水位が一定レベル以上になるように制御されている。生成したハイドレートは分離器209から取り出され、後処理工程に送られる。分離器209で分離された被処理気体中の未反応分は、ガス昇圧機202で圧力を昇圧され、新たに処理される被処理気体とともにラインミキサー205に供給される。各機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結され、要所には圧力検出器210が設置され、この圧力検出器210の信号によって配管ラインに設置された各バルブ212が制御され、当該配管ラインの圧力、流量が調整されるように構成されている。
また、第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3は、反応管路107から反応管路207に冷熱媒体を送る配管130と、反応管路207から反応管路107に冷熱媒体を戻す配管131を備えている。
図6の気体捕集装置による気体捕集方法を説明する。チラー117により冷却された比較的低温の冷熱媒体により、反応管路107で被処理気体が混合された水(第1の系)を冷却し、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。反応管路107において第1の系の冷却に用いられる冷熱媒体の少なくとも一部を、配管130を介して反応管路207に輸送する。反応管路207では被処理気体が混合された第四級アンモニウム塩水溶液(第2の系)を冷却し、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。ここで、反応管路107から第1の系の冷却に用いられる冷熱媒体の少なくとも一部を、配管130を介して反応管路207に輸送することにより、第1の系を冷却するための冷熱エネルギーの一部を、第2の系を冷却するために用いる。これにより、第2の系を冷却するために反応管路207の冷熱媒体を冷却するチラー217を省略するか、または出力の小さい安価なものにすることができる。このように、第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、ガス捕集装置の設備費用と運転費用を低減することができる。
図7は本発明の他の実施形態に係る気体捕集装置を示す系統図である。
図7の気体捕集装置は、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第1の捕集部1と、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第2の捕集部2と、第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3とを備える。
第1の捕集部1は、被処理気体を所定圧力で貯留する被処理気体源151、水を貯留すると共に被処理気体の水への溶解を促進させる機能を有する貯留槽153、貯留槽153の水をラインミキサー155に供給して水の循環を行う循環ポンプ157、循環ポンプ157から供給される水と貯留槽153内の未溶解ガスとを混合して被処理気体の微細気泡を有する水と被処理気体の混合物を生成するラインミキサー155、貯留槽153から水と被処理気体の混合物を受け入れ所定の圧力、温度で反応させてガスハイドレートを生成する反応容器159(第1の系)、反応容器159で生成したガスハイドレート、被処理気体中の未反応分、水を分離する分離器160を備えている。生成したガスハイドレートは分離器160から取り出され、後処理工程に送られる。各機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結され、要所には圧力検出器167が設置され、この圧力検出器167の信号によって配管ラインに設置された各バルブ169が制御され、当該配管ラインの圧力、流量が調整されるように構成されている。反応容器159の水と被処理気体の混合物を冷却して所定の圧力、温度とする手段として、冷熱媒体を流通させる熱交換器又は冷却ジャケットなどを備えている。反応容器159で生成したガスハイドレートは、分離器160から他の成分と分離され取り出され、後処理工程に送られる過程において、ガスハイドレートとしての状態を維持するために、冷熱エネルギーにより冷却されている。
また、第2の捕集部2は、被処理気体を所定圧力で貯留する被処理気体源251、第四級アンモニウム塩水溶液を貯留すると共に被処理気体の水溶液への溶解を促進させる機能を有する貯留槽253、貯留槽253の水溶液をラインミキサー255に供給して水溶液の循環を行う循環ポンプ257、循環ポンプ257から供給される水溶液と貯留槽253内の未溶解ガスとを混合して被処理気体の微細気泡を有する水溶液と被処理気体の混合物を生成するラインミキサー255、貯留槽253から水溶液と被処理気体の混合物を受け入れ所定の圧力、温度で反応させて、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する反応容器259(第2の系)、反応容器259で生成したハイドレート、被処理気体中の未反応分、水溶液を分離する分離器260を備えている。生成したハイドレートは分離器260から取り出され、後処理工程に送られる。各機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結され、要所には圧力検出器267が設置され、この圧力検出器267の信号によって配管ラインに設置された各バルブ269が制御され、当該配管ラインの圧力、流量が調整されるように構成されている。反応容器259の水溶液と被処理気体の混合物を冷却して所定の圧力、温度とする手段として、冷熱媒体を流通させる熱交換器又は冷却ジャケットなどを備えている。
第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3は、第1の捕集部1の分離器160から取り出されたガスハイドレートの一部を、冷熱媒体として第2の捕集部2に流通させる流路140、反応容器259に備えられ、分離器160から取り出されたガスハイドレートの一部を冷熱媒体として受け入れ、水溶液と被処理気体の混合物を冷却する熱交換器141、熱交換器141から排出されたガスハイドレートを後処理工程に送る流路142を備えている。
図7の気体捕集装置による気体捕集方法を説明する。第1の捕集部1の反応容器159で水と被処理気体の混合物(第1の系)を冷却し、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。生成したガスハイドレートは分離器160から取り出され、少なくとも一部が流路140を介して、第2の捕集部2の反応容器259に備えられた熱交換器141に冷熱媒体として供給され、残部が後処理工程に送られる。分離器160で分離されたガスハイドレートは、ガスハイドレートとしての状態を維持するために、冷熱エネルギーにより冷却され、低温状態に維持されており、冷熱エネルギーを保有している。このガスハイドレートが保有する冷熱エネルギーを用いて、第2の捕集部2の反応容器259に備えられた熱交換器141にて水溶液と被処理気体の混合物(第2の系)を冷却して、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。
ここで、第1の系から生成されたガスハイドレートの少なくとも一部を、第2の捕集部2の反応容器259に備えられた熱交換器141に冷熱媒体として供給し、第2の系の冷却に用いる。第1の系から生成されたガスハイドレートを、ガスハイドレートとしての状態を維持するように用いられる冷熱エネルギー、すなわち、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。このようにすることにより、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーのうち余剰な冷熱エネルギーを、第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、ガス捕集装置の設備費用と運転費用を低減することができる。
また、図7に示す気体捕集装置に、第1の系の環境温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる手段を付加してもよい。すなわち、反応容器259にガスハイドレートを流通させる熱交換器141とは別の熱交換器を備え、この熱交換器に、反応容器159の水と被処理気体の混合物を冷却するために備える熱交換器に流通させる冷熱媒体の少なくとも一部を、流通させるようにして、反応容器259の水溶液と被処理気体の混合物を冷却するために用いてもよい。
図8は本発明の他の実施形態に係る気体捕集装置を示す系統図である。
図8の気体捕集装置は、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第1の捕集部1と、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第2の捕集部2と、第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3とを備える。
第1の捕集部1は、図7のガスハイドレートを生成する反応容器159に代えて反応管路175を備えている。反応管路175は屈曲した管を有し、この管の内部に被処理気体が混合された水が供給され、管の周面を介して、チラー177により冷却された冷熱媒体との熱交換により、第1の系を冷却するようになっている。反応管路175で生成したガスハイドレートは分離器160から取り出され、後処理工程に送られる。反応管路175で生成したガスハイドレートは、分離器160から他の成分と分離され取り出され、後処理工程に送られる過程において、ガスハイドレートとしての状態を維持するために、冷熱エネルギーにより冷却されている。
また、第2の捕集部2は、図7の気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する反応容器259に代えて反応管路275を備えている。反応管路275は屈曲した管を有し、この管の内部に被処理気体が混合された水溶液が供給される。反応管路275の内部には熱媒体が収容され、管の周面を介して、チラー277と、後述する熱交換器151により冷却された熱媒体との熱交換により、第2の系を冷却するようになっている。生成したハイドレートは分離器260から取り出され、後処理工程に送られる。
第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3は、第1の捕集部1の分離器160から取り出されたガスハイドレートの一部を、冷熱媒体として第2の捕集部2に流通させる流路150と熱交換器151とを備えている。熱交換器151は、反応管路275の内部に収容された熱媒体と接触するように備えられ、分離器160から取り出されたガスハイドレートの一部を冷熱媒体として受け入れ、反応管路275の内部に収容された熱媒体との熱交換により熱媒体を冷却して、屈曲した管内の水溶液と被処理気体の混合物を冷却する。また、流路3は、熱交換器151から排出されたガスハイドレートを後処理工程に送る流路152を備えている。
図8の気体捕集装置による気体捕集方法を説明する。第1の捕集部1の反応管路175で水と被処理気体の混合物(第1の系)を冷却し、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。生成したガスハイドレートは分離器160から取り出され、少なくとも一部が流路150を介して、第2の捕集部2の反応管路275に備えられた熱交換器151に冷熱媒体として供給され、残部が後処理工程に送られる。分離器160で分離されたガスハイドレートは、ガスハイドレートとしての状態を維持するために、冷熱エネルギーにより冷却され、低温状態に維持されており、冷熱エネルギーを保有している。このガスハイドレートが保有する冷熱エネルギーを用いて、第2の捕集部2の反応管路275に備えられた熱交換器151にて反応管路275内部の熱媒体を冷却し、その結果、水溶液と被処理気体の混合物(第2の系)を冷却して、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成する。こうして、被処理気体から特定の気体分子を捕集する。
ここで、第1の系から生成されたガスハイドレートの少なくとも一部を、第2の捕集部2の反応管路275に備えられた熱交換器151に冷熱媒体として供給し、第2の系の冷却に用いる。このようにすることにより、第1の系から生成されたガスハイドレートを、ガスハイドレートとしての状態を維持するように用いられる冷熱エネルギー、すなわち、ガスハイドレートを取り扱う環境の温度を温度T1に設定するための冷熱エネルギーの一部を、第2の系の環境温度を温度T2に設定するために用いる。これにより、第2の系を冷却するために反応管路275の熱媒体を冷却するチラー277を省略するか、または出力の小さい安価なものにすることができる。このように、第1の系から生成されたガスハイドレートを、ガスハイドレートとしての状態を維持するように用いられる冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、ガス捕集装置の設備費用と運転費用を低減することができる。
図9は本発明の他の実施形態に係る気体捕集装置を示す系統図である。
図9の気体捕集装置は、図6の気体捕集装置における第1の捕集部1と第2の捕集部2との間で冷熱媒体を流通させる流路3に代えて、被処理気体を第1の捕集部1で処理した後に第2の捕集部2で処理するための流路を備えている。すなわち、気体分子をゲスト分子とするハイドレート(ガスハイドレート)を生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第1の捕集部1と、気体分子を格子内の空隙に取り込んだ第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成し、被処理気体から特定の気体分子を捕集する第2の捕集部2と、被処理気体を第1の捕集部1で処理した後に第2の捕集部2で処理するための被処理気体再処理流路とを備える。
被処理気体再処理流路は、第1の捕集部1の分離器109で分離された被処理気体の未反応分をガス昇圧機202に送る流路に、分岐流路301を備えている。分岐流路301により被処理気体の未反応分の少なくとも一部を取り出し、バルブを介し第2の捕集部2のQ1および/またはQ2に送る。第2の捕集部において、Q1に送られた被処理気体の未反応分は、制御バルブを介して新たに処理される被処理気体とともに、ガス昇圧機201に送られ圧力を昇圧され、ラインミキサー205に供給され、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成するために用いられる。Q2に送られた被処理気体の未反応分は、分離器209で分離された被処理気体中の未反応分をガス昇圧機202に送る流路に、制御バルブを介して合流される。ガス昇圧機202で圧力を昇圧され、新たに処理される被処理気体とともにラインミキサー205に供給され、第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートを生成するために用いられる。また、ガス昇圧機202で圧力を昇圧された被処理気体中の未反応分の少なくとも一部は、制御バルブを介して、第1の捕集部1のP1に送られる。P1に送られた被処理気体中の未反応分は、制御バルブを介して新たに処理される被処理気体とともにガス昇圧機101に送られ、ガスハイドレートを生成するために用いられる。なお、図示しない制御装置により、上記のバルブの開閉のみならず、バルブの開度を調整して流量を制御する。
このように、被処理気体を第1の捕集部1で処理した後に、被処理気体中の未反応分を第2の捕集部2で処理することにより、第1の捕集部1でガスハイドレートの生成の後に抜き出される相対的に温度が低い気体が保有する冷熱エネルギーを、第2の捕集部2で第四級アンモニウム塩をゲスト分子とするハイドレートの生成において有効活用することができる。第1の系の冷却における余剰な冷熱エネルギーを第2の系の冷却に用いるので、気体分子の捕集のために消費されるエネルギーを節約でき、したがって、全体として省エネルギーのガス捕集を実現することができる。また、ガス捕集装置の設備費用と運転費用を低減することができる。