JP5476068B2 - 携帯無線機器 - Google Patents
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Description
携帯電話機においては、局所SARという値が用いられ、当該局所SARが所定の規定値内に収まることが求められる。局所SARとは、人体が電磁波にさらされることによって、人体の任意の10gあたりの組織に6分間に吸収されるエネルギーの平均値を言う。なお、局所SARの単位は、W/kgとなっている。
特許文献1には、アンテナの共振周波数をずらすことで、局所SARを低減する技術が開示されている。また、特許文献2では、2つのアンテナ、即ち、送信用アンテナと受信アンテナと二つのアンテナ素子を、両アンテナの放射特性が互いに直交するように設けることで、干渉による局所SARを低減する技術が開示されている。
そこで、本発明に係る携帯無線機器では、そのような局所SARの低減を上述の特許文献1や特許文献2とは異なる手法を以って実現することを目的とする。
<実施の形態1>
<構成>
図1は、携帯電話機100の外観図を示している。図1に示すように携帯電話機100はストレートタイプの携帯電話機である。
アンテナ構体130からは、強力な無線信号が出力されるため、局所SARの低減のためには、なるべく人体から離れる方向に配するのが望ましいので、アンテナ構体130は、基板上ではなく、携帯電話機100の筐体内部であって、通話を行なうときの使用形態において人体から遠ざかる方向に、基板から可能な限り離されて配される。
図4に示すように、アンテナ構体130は、励振素子131と給電部132とからなり、給電部132は、アンテナ配置部材120の一表面から側面、他の一表面へと回り込む状態で形成される。励振素子131は、前記一表面上に、送受信する信号の波長の1/4波長となる所定の長さに渡って設けられる。
図5に示すように、基板110上には、通信回路111が配され、通信回路111から、増幅段たるパワーアンプ112を経由して、配線パターン160が、アンテナ構体130の近傍にまで沿線されている。配線パターン160の延長端150は、図5から理解されるように、配線幅を拡張して形成されている。本明細書において延長端150というときは、給電バネ140を配置する領域のことをいう。つまり、延長端150は、延長端と銘打っているものの完全に配線パターン160の端というわけではなく、図5に示すように配線パターン160のパワーアンプ112とは反対側の端から給電バネ140を配するに足る一定範囲内も含むことに留意すべきである。
延長端150は、配線パターン160の一部である以上、導電性の部材(例えば、銅(銅箔))で構成されており、その形状や、大きさによってはアンテナとして作用してしまう可能性は否めない。そこで、延長端150には、次の制限が設けられる。即ち、給電バネ140とアンテナ構体130の給電部132との接点141から基板110に垂線を下ろしたと仮定して場合の当該垂線と基板110との交点から、延長端150の最も遠い端部までの長さ(図6の矢印142)が、アンテナ構体130で送受信される信号の波長の1/20以下であるという制限である。
このように、配線パターン160のパワーアンプ112と接続される部分とは反対側の端部を拡張して形成される延長端150を構成することで、実施の形態1に示す携帯電話機は局所SARの低減を実現する。なお、図5や図6には、通信回路111とパワーアンプ112のみを記載しているが、これらの間にその他の素子や回路が介在してもよい。
<考察>
ここでは、上述したように延長端150を方形に拡張した場合の局所SARの低減効果について説明する。
図7は、延長端150の各サイズにおける局所SARの実測値を示している。図7に示す表は、自由空間における総放射電力(図7のTRP Free Space[dBm])と、携帯電話機100を人の左頬にあてた状態、即ち電話をしている状態での局所SARの実測値(図7のSAR[W/kg]@Touch left)、及び、TRPが20dBmでのデシベル換算値(図7のSAR[W/kg]@Touch left 20dBm換算)を示している。なお、総放射電力は全放射電力と呼称されることもある。また、局所SARのTRPが20dBmでのデシベル換算値を示しているのは、総放射電力にばらつきがあるため、20dBm換算にすることで比較を容易にするためである。以下、TRPが20dBmでのデシベル換算値を「20dBm換算値」と記載する。
これは、延長端150を5mm×5.5mmにした場合であっても同様で、図7の3−0欄に示すように、25チャンネル、600チャンネル、1175チャンネルそれぞれにおいて、0.21W/kg、0.21W/kg、0.28W/kgと局所SARの低減に成功している。
<実施の形態2>
上記実施の形態においては、延長端を方形のものとして、説明したが、これは別に配線パターン幅を一律、均等に広げて設ける必要はない。本実施の形態2においては、延長端を別の形状にした場合について説明する。
<構成>
図8は、基板110において、延長端150を円形にした場合の基板110の平面図を示している。
<考察>
では、このように延長端150を円形にした場合の局所SARの低減効果について説明する。
図9には、延長端150の半径を3mmとした場合と、5mmとした場合、そして、比較のために従来の延長端150を1mm×3mmとした場合の、各チャンネルにおける、それそれの総放射電力と、局所SARと、局所SARの20dBm換算値を示している。
<補足>
上記実施の形態において、本発明を説明してきたが、本発明はこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)上記実施形態においては、ストレートタイプの携帯電話機を例に説明したが、これは、ストレートタイプに限られず、基板において、アンテナの接点となる延長端において当該延長端の面積が従来よりも広く設けていればよく、折畳み型やスライド型の携帯電話機などであってもよい。
(2)上記実施の形態においては、基板とアンテナを接続するために給電バネと呼称する部材を用いたが、これは、基板とアンテナとを最短に近い経路で結べる部材であればよく、例えば1本の導電性のピンを延長端に半田付けし、当該ピンの他端がアンテナに接触するという構成をとってもよい。要するに、配線パターンの延長端150とアンテナ構体130を接続する導電性部材であれば、その形状は問わないものである。
(3)上記実施の形態においては、方形や円形の場合を説明してきたが、これは方形や円形に限らず、基板110上の延長端の給電バネとアンテナとの接点から最も遠い端部が、当該接点と端部間の距離がアンテナで送受信する信号の共振周波数から算出される波長の1/20以下になっていればよい。
給電バネ145は、導電性部材であり、延長端151に半田付けされている。そして、延長端151は、ベタグランド層とホールで接続されている。当該延長端151も、本来ならば、給電バネ145を設置できるだけのスペースがあればよいが、その面積を拡張することで、わずかなりとも局所SARの低減を望める。
101 第1カバー
102 第2カバー
110 基板
111 通信回路
112 パワーアンプ(増幅段)
120 アンテナ配置部材
130 アンテナ構体
131 励振素子
132 給電部
140、145 給電バネ(導電性部材)
150、151 延長端
160 配線パターン
Claims (4)
- 筐体内の基板から離間してアンテナ構造体が設けられ、前記基板上の通信回路の増幅段から、前記アンテナ構造体近傍まで配線パターンが延長形成され、延長端において配線パターンと前記アンテナ構造体とが導電性部材を介在させて接続された携帯無線機器であって、
前記配線パターンの延長端は、前記導電性部材を接続する領域に加えて電流を拡散する拡張領域を含んで形成されている
ことを特徴とする携帯無線機器。 - 前記配線パターンの延長端において、前記導電性部材と前記アンテナ構造体との接点から前記基板に垂線を下ろしたと仮定した場合の前記基板と前記垂線との交点から前記拡張領域の最も遠い端部までの長さが、送受信する信号の波長の1/20以下の長さである
ことを特徴とする請求項1記載の携帯無線機器。 - 前記配線パターンの前記延長端は方形である
ことを特徴とする請求項2記載の携帯無線機器。 - 前記配線パターンの前記延長端は円形又は楕円形である
ことを特徴とする請求項2記載の携帯無線機器。
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