JP5472575B2 - 対向面内所定位置における対向面間距離測定装置及び方法、及びそれらを用いた高平面度加工方法 - Google Patents
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Description
さらに、本発明は、そのような装置又は方法により対向面内の各位置における対向面間距離を測定することにより、対向面の平面度を高精度で測定し、その測定結果を利用して高平面度加工をするための方法に関する。
また、極めて高い平面度の平面を作成できたとしても、その平面度を正しく測定することができなければ、そもそもどの程度の平面度が達成されたのかを知ることができないから、平面度計測精度の上限は、同時に平面作成精度に対しても、その上限を設定するものである。
一例として、測定対象である一対の平面鏡を、研磨面が対向した状態で所定の傾斜角度を与えて重ね、そこへ光を照射した際に生じた干渉縞の位置を計測するという方法がある(図1)。図1のように重ねた一対の平面鏡において両研磨面の接触点から距離xだけ離れた位置を考えると、一方の研磨面で反射される入射光と他方の研磨面で反射される照射光との間には、仮に研磨面が完全な平面であるとした場合2xtanαの光路差が存在する。この光路差が(反射による位相のずれを考慮して)照射光波長の半整数倍に一致するようなxにおいて、それぞれの反射光が共振する(強めあう)こととなる。このようにして計算される理想的な干渉縞の位置xと、実験的に、一般的には干渉縞をフィルムで撮影し、撮影像を拡大することで計測される干渉縞位置の実測値xと、の間のずれを評価することにより研磨面の平面度を測定するという方法が、従来から用いられている。同様に光の干渉現象を利用して光路差の理想値からのずれを決定することにより平面度を測定するための方法としては、例えばフィゾー干渉計を用いる方法も広く採用されている。
この程度の精度では上述した科学技術研究における要望に応えることができないし、また上述のとおり今後更なる微細化、高度化が予想される半導体部品作成等のための技術に用いる場合にも、やはり不十分である。
そこで本発明は、先端技術分野、科学技術研究を含む幅広い用途に対して適用可能な、短時間で精度よく被測定体の平面度を測定するための方法、及びそれを利用した高平面度加工方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明に従う平面度測定においては、集光レンズやイメージセンサなどを適宜選択し、それらを速やかに移動・走査させることで、所定位置をスムースに再設定し測定を反復することが可能である。すなわち短時間で平面度が測定できることとなる。後述の実施例において説明されるような典型的態様において、1つの所定位置における計測、解析に要する時間は5分程度である。
加えて、本発明に従う平面度測定においては、上記従来技術である白色光を用いた3次元構造解析装置を用いた測定において生じたような、測定対象に対するサイズ制限の問題も起こらない。測定する所定位置を変更するためには単に集光手段を新たな所定位置に合わせれば十分だからである。
まず図2を用いて、後述する実施形態により対向面間距離を決定するための光学的原理を説明する。次に、そのような原理を利用する測定装置における第1の実施形態を、図3を参照しつつ説明する。引き続き、当該測定装置を利用する対向面間距離、及び平面度測定方法を、図4及び図7のフローチャートを用いて説明する。この説明中で、当該測定装置を用いることにより観察される干渉縞を原理的に説明する目的で図5を参照する。実際の干渉縞については、図6を用いて説明する。また当該測定装置を用いて測定した平面度検査結果を、図8を用いて説明する。さらに、当該測定方法を用いることにより可能となる高平面度加工方法を、図9のフローチャートを用いて説明する。
その後、測定装置における第2の実施形態について、図10を参照しつつ説明する。
mλ = 2dcosθ [mは干渉次数(整数)] … (1)
を満たす場合(ここでは入射光Iの波長をλとした。)、T1,T2,及びT3は共振する(強めあう)こととなる。
上記(1)式を鑑みれば、Iとしてあらゆる方向θの光を入射させた上で、S3に集光された透過光が強めあうθを特定することにより、干渉条件(1)において未知であるパラメータ、すなわち対向面間距離dを決定することが可能となる。
尚、上記(1)の干渉条件は後述する第1の実施形態の測定装置に対応した一例であって、添付の特許請求の範囲に記載される干渉条件がこれに制限されるものではないことは当然である。本発明の範囲内で測定装置の幾何学的構造等に修正を加えれば、それに応じて透過光の干渉条件も変化することとなる。
図3は、本発明に係る対向面間距離測定装置の第1の実施形態300を表した概略図である。
一対の被測定体306及び308の対向面内所定位置318における対向面間距離314を測定するための装置300は、狭帯域光発生手段302と、一対の被測定体306及び308との間の対向面間距離314を一定に維持するための対向面間距離維持手段310と、狭帯域光発生手段302より発生し、一対の対向被測定体306及び308を透過した透過光316を集光するための集光手段320と、集光手段320により集光された透過光316を受光し、受光した透過光に対応する電気的像を表示するために用いることが可能な電気的信号へと、受光した透過光316を変換するための受光及び変換手段322と、電気的信号を転送するための信号転送手段324と、転送された電気的信号を用いて電気的像を表示するための表示手段326と、を含む。
狭帯域光発生手段302として面光源体を採用すれば、被測定体306及び308に入射する光を、その入射位置や入射方向に関わらず一様なものとすることができるであろう。すなわち測定位置や干渉次数による干渉縞強度のバラつきを廃し、共振の程度を縞強度として直接的に反映した干渉縞を得ることができる。
また、狭帯域光発生手段302として単色光発生手段を用いたならば、より鮮明な干渉縞を観測することができると考えられる。単色光としては、約633nmの波長を有するヘリウムネオンレーザーや、種々の半導体レーザー、ナトリウムランプ及び水銀ランプ(適切な帯域フィルタを用いれば、その輝線スペクトル内における任意の波長を有する単色光を得ることが可能である。)からの照射光等、一般に光学観測において用いられている波長の光を用いることが可能である。
次に、第1の実施形態による測定装置300の動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。測定装置300を用いることで、本発明に係る対向面間距離測定方法、平面度測定方法、及びそれを利用した高平面度加工方法が実施可能となる。
まず、第1の実施形態による装置を用いた、対向面間距離測定方法について説明する。
なお、ステップS402において照射方向を制限していない以上、ステップS408においてはあらゆる方向に出射する透過光316が集光され、出射方向に対応したそれぞれの焦点に像を結ぶ。本明細書における干渉縞とは、この像の集合体である。
また、電気的信号を直接表示装置等へ転送するのではなく、磁気ディスク等の任意の記憶装置に一旦記憶させた後に、必要に応じてディスクから読み出した上で分析を行うことも可能である。この場合、ステップS412における転送先は(データの書き込みを行うためのプロセッサ等を伴った)記憶装置である。
一方で、それら回転対称の関係で結ばれる各々の透過光が集光された後に結像する点の集合は、例えば集光手段320として通常の集光凸レンズ等を用いる場合には、円を描く(この場合、上記円の半径を計測することで入射角θが決定される。)。
上述の対向面間距離測定方法を用いれば、対向面全体としての平面度を測定することができる。図7は、その手順を示したフローチャートである。
図8に示す結果は、一対の平面鏡を研磨し、その研磨面を対向面として、上記方法により面内各所定位置に対応する対向面間距離を測定したものである。横軸が所定位置318に対応し、802〜810が、各々の所定位置における対向面間距離の測定値を表す。なお、対向面間距離は、ある基準値からの相対値として表されている。図8から分かるとおり、対向面間距離は0.2nm程度の精度で測定されている。なお、上記測定には、狭帯域光源302としてヘリウムネオンレーザーを、対向面間距離維持手段310として低熱膨張率ガラス(ゼロデュア)を、集光手段320、受光及び変換手段322、及び信号転送手段324としてはBitran社製BJ41L CCDカメラシステムを、そして表示手段326としては描画用アプリケーションソフトウェアを備えた通常のノート型コンピュータを用いている。
上述の方法による平面度の測定結果を高平面度加工のために利用することができる。すなわち、例えば材料を研磨する等して平面を作成し、上述の方法により平面度を測定し、目標とする平面度が得られていないと判断された場合には更に研磨と測定とを繰り返すという手順による、高平面度加工が可能となる。
なお、光反射膜の一例である銀薄膜は酸化しやすく透過率が低いため、例えば加工の最終段階において特に高精度での測定を行う際には、銀薄膜に代わって誘電体多層膜を蒸着させることが好ましい。高反射率と低吸収率とを併せ持つ誘電体多層膜を用いれば、既に述べたとおり更に鮮明な干渉縞を得ることができるからである。典型的には、まず銀を蒸着させた段階で平面度を概算的に測定し、±1nm程度の精度が達成された時点で洗浄により銀を除去する。その後に誘電体多層膜の蒸着を行い、更に高精度での平面度測定を行う。
十分な数の所定位置318に対する測定が終わっていない場合には、ステップS922において所定位置318を新たに選択する。その後はステップS912へと戻り、さまざまな所定位置に対する対向面間距離を算出する。
十分な数の所定位置318に対する測定が終わっている場合には、ステップS924において算出された各々の対向面間距離から平面度を算出し(既に述べたとおり、平面度の定義を特定の計算式に限定する必要はないが、例えば対向面間距離の最大値と最小値との差は、平面度を評価するための一例として有用であろう。)、目標値と比較する。
目標とする平面度が得られていない場合、処理はステップS900へと戻る。再び材料を研磨し、同様に平面度を測定し、目標値との比較を行う。
図10は、本発明に係る対向面間距離測定装置の第2の実施形態1000を表した概略図である。
狭帯域光発生手段1002が、一対の被測定体1006及び1008から見て集光手段1020等と同じ側に配置されているという点は、図3に示した第1の実施形態300と大きく異なる点である。後述するとおり、第2の実施形態による装置は、特に光透過性を持たない被測定体の平面度測定に適している。
尚、低吸収型光反射膜により対向面を被覆することは、装置1000の構成においても依然として有効である。
但し、装置1000を用いた測定においては、図3の装置300を用いた測定と異なり、最初に照射すべき狭帯域光1004とその後に集光すべき透過光1016とが、一対の被測定体から見て同じ側に存在する。したがって、集光手段1020による透過光1016の集光が狭帯域光1004の影響を受けないよう注意する必要がある。
また本発明に係る測定方法においては、集光手段1020を所定位置1018に接近させて、所定位置1018からの透過光のみを集光するのが通常である。そのように接近させた状態ならば、そもそも狭帯域光1004により集光が妨害される恐れは少ないであろう。そのような僅かに入射してしまう狭帯域光をも遮断するためには、例えば集光手段1020に遮光カバーを装着し、被測定体1008と集光手段1020との間の隙間に狭帯域光1004が入り込むことを防ぐ等の措置が有効である。
そのような修正は全て請求の範囲に記載された本発明の範囲に属するのであり、当業者ならば本明細書を添付図面と共に参照することにより、ここにおいて具体的に説明された装置及び方法のさまざまなバリエーションを実施することが可能であろう。
本発明に係る測定方法は短時間で実施でき、また白色光を利用する従来の3次元構造解析装置のように、測定対象へのサイズ制限が課されることもない。
302 狭帯域光発生手段
304 狭帯域光
306 被測定体
308 被測定体
310 対向面間距離維持手段
312 対向面間領域
314 対向面間距離
316 透過光
318 対向面内所定位置
320 集光手段
322 受光及び変換手段
324 信号転送手段
326 表示手段
502 被測定体
506 入射面の法線
1000 対向面間距離測定装置
1002 狭帯域光発生手段
1004 狭帯域光
1006 被測定体
1008 被測定体
1010 対向面間距離維持手段
1012 対向面間領域
1014 対向面間距離
1016 透過光
1018 対向面内所定位置
1020 集光手段
1022 受光及び変換手段
1024 信号転送手段
1026 表示手段
Claims (14)
- 一対の対向被測定体の対向面間距離の、対向面内の位置についての不均一さを評価するための方法であって、
狭帯域光発生手段により狭帯域光を発生させる段階と、
前記狭帯域光発生手段により発生し、前記一対の対向被測定体から透過された透過光を、集光レンズにより集光する段階と、
前記集光レンズにより集光された前記透過光を、受光及び変換手段により受光する段階と、
前記受光した透過光に対応する電気的像を表示するために用いることが可能な電気的信号へと、該受光した透過光を前記受光及び変換手段により変換する段階と、
を含み、
前記集光する段階は、対向面内所定位置から出射した透過光を集光することにより、該所定位置における前記対向面間距離に対応した干渉条件に従って干渉する該透過光を集光する段階であって、
前記集光する段階と、前記受光する段階と、前記変換する段階とを、前記対向面内で前記集光レンズを走査しつつ、該対向面内の複数の異なる所定位置に対して行うことにより、該集光レンズのレンズ面よりも大きい対向面内における、前記対向面間距離の不均一さを評価するよう構成されたことを特徴とする、方法。 - 前記狭帯域光を発生させる段階は、単色光を発生させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記単色光は、約633nmの波長を有するヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー、ナトリウムランプ、及び水銀ランプのいずれかから発せられる単色光である、請求項2に記載の方法。
- 前記狭帯域光を発生させる段階は、面光源体により該狭帯域光を発生させる段階を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
- 前記狭帯域光発生手段と前記集光レンズとは、前記一対の対向被測定体を介してお互いが反対側に配置されている、請求項1に記載の方法。
- 前記一対の対向被測定体の少なくとも一方は光透過型基板である、請求項5に記載の方法。
- 前記光透過型基板はガラス、水晶、又は透明セラミックスのうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
- 前記狭帯域光発生手段と前記集光レンズとは、前記一対の対向被測定体から見て同じ側に配置されている、請求項1に記載の方法。
- 前記一対の対向被測定体の少なくとも一方は、シリコンウエハ、又は金属を含む、請求項8に記載の方法。
- 前記一対の対向被測定体における前記対向面の少なくとも一方は、光反射膜によって少なくとも部分的に被覆されている、請求項1乃至請求項9のいずれか一つに記載の方法。
- 前記光反射膜は低吸収型光反射膜を含む、請求項10に記載の方法。
- 前記低吸収型光反射膜は誘電体多層膜を含む、請求項11に記載の方法。
- 一対の対向基板の対向面において作成した平面の平面度を測定するための方法であって、
前記対向面に光反射膜を蒸着させる段階と、
前記一対の対向基板に基板スペーサを挿入し、前記対向基板における対向面間距離を一定に維持する段階と、
狭帯域光発生手段により発生した狭帯域光を前記一対の対向基板に照射する段階と、
前記照射され、前記対向面内における所定位置において前記一対の対向基板から透過された透過光を、集光レンズにより集光する段階であって、該所定位置から出射した透過光を集光することにより、該所定位置における前記対向面間距離に対応した干渉条件に従って干渉する該透過光を集光する段階を含む、段階と、
前記集光レンズにより集光された前記透過光を、受光及び変換手段により受光する段階と、
前記受光した透過光に対応する電気的像を表示するために用いることが可能な電気的信号へと、該受光した透過光を前記受光及び変換手段により変換する段階と、
表示手段により、前記電気的信号を用いて前記電気的像を表示する段階と、
前記電気的像を解析し、前記対向面間距離を決定する段階と、
前記対向面内において前記所定位置を新たに選択する段階と、
を含み、
前記集光する段階と、前記受光する段階と、前記変換する段階と、前記電気的像を表示する段階と、前記対向面間距離を決定する段階と、前記所定位置を新たに選択する段階とを、前記対向面内で前記集光レンズを走査しつつ繰り返し行うことにより、該集光レンズのレンズ面よりも大きい対向面内における、前記対向面間距離の不均一さを評価し、前記作成した平面の平面度を決定するよう構成されたことを特徴とする、方法。 - 一対の対向基板の対向面において平面を作成するための方法であって、
前記対向面を研磨する段階と、
前記対向面に光反射膜を蒸着させる段階と、
前記一対の対向基板に基板スペーサを挿入し、前記対向基板における対向面間距離を一定に維持する段階と、
狭帯域光発生手段により発生した狭帯域光を前記一対の対向基板に照射する段階と、
(1)前記照射され、前記対向面内における所定位置において前記一対の対向基板から透過された透過光を、集光レンズにより集光するステップであって、該所定位置から出射した透過光を集光することにより、該所定位置における前記対向面間距離に対応した干渉条件に従って干渉する該透過光を集光するステップを含む、ステップと、
(2)前記集光レンズにより集光された前記透過光を、受光及び変換手段により受光するステップと、
(3)前記受光した透過光に対応する電気的像を表示するために用いることが可能な電気的信号へと、該受光した透過光を前記受光及び変換手段により変換するステップと、
(4)表示手段により、前記電気的信号を用いて前記電気的像を表示するステップと、
(5)前記電気的像を解析し、前記対向面間距離を決定するステップと、
(6)前記対向面内において前記所定位置を新たに選択するステップと、
からなるステップ(1)から(6)を、前記対向面内で前記集光レンズを走査しつつ繰り返し行うことにより、該集光レンズのレンズ面よりも大きい対向面内における、前記対向面間距離の不均一さを評価し、作成した平面の平面度を決定する段階と、
前記決定された平面度を目標値と比較する段階と、
を含み、前記比較結果に応じて前記対向面の再研磨が必要か否かを判断することが可能である、方法。
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