JP5467475B2 - 冊子様印刷物群の製造方法 - Google Patents
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Description
各冊子を構成する複数の用紙がそれぞれの印字後に頁順に重ねられ、
且つ複数冊分の用紙が冊子の並び順に重ねられた状態で、
各用紙の共通する一端部である綴り辺Fにセット糊5が塗布されることで、複数冊が同時に背固め製本されてなるものであって、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうちいずれか一方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域に、水性インキ4で印刷された印刷帯4Aがデジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に形成され、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯BLとすることで、
各冊子の隣り合う頁間の各辺縁領域の接触角と、隣り合う冊子間の各辺縁領域の接触角とに所定以上の接触角差を設け、
セット糊5は各冊子の頁間の接触角にのみ反応して各辺縁領域面に投錨することを特徴とする。
隣り合う冊子間の辺縁領域が、各冊子の頁間の辺縁領域よりも高い接触角/または低い接触角とされ、セット糊5の投錨を誘導しない非誘導接触角部となる。
対向する各用紙における接触角の合計値を合計接触角としたとき、
対向する少なくとも一方の用紙に印刷帯4Aを有した印刷体4A形成部の合計接触角に対する、
対向する両用紙を非印刷帯BLとした非印刷帯BL部の合計接触角の比率(合計接触角比)が以下の関係を有することが好ましい。
印刷体4A形成部の合計接触角/非印刷帯BL部の合計接触角<0.90
冊子を構成する印刷帯用紙1以外のいずれかの用紙は、前記結合領域に発色剤層2c又は表面顕色剤層2dが形成された感圧紙であり、
裁断端部Cから、接触角臨界より低い発色剤層2c、及び表面顕色剤層2dに反応してセット糊5が投錨介設されてなることが好ましい。
各頁の印刷ドキュメントデータを印刷帯4Aと共に印刷する印刷ステップと、
複数の用紙を積層する積層ステップと、
所定の綴り辺で裁断する裁断ステップと、
裁断した綴り辺の積層側面からセット糊5を注入するセット糊注入ステップとを有してなり、
当接用紙間の結合領域にのみセット糊5が投錨され、
当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊5が投錨されないことで、
セット糊製本によって複数の冊子様印刷物10を連続形成するものである。
そして前記印刷ステップにおいては、
・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
・低/高接触角部を構成する印刷帯4Aの部分のみの印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
・該当頁が冊子の頁間の用紙であるか、冊子間の用紙であるかを認識して、
・冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータのみからなる該当頁の印刷イメージデータ、或いは前記呼び出したドキュメントデータとこれを消去する非印刷帯データ(BL)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータで該当頁ごとに印刷することを特徴とする。
印刷帯データ領域が、使用するセット糊5或いは使用する用紙に対応した、接触角の異なる複数種類の印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をそれぞれの識別記号を付した上で記憶するものであり、
印刷ステップにおいて印刷システムは、
冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、
使用するセット糊5或いは使用する用紙に対応した識別記号が付された印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を該当頁ごとに呼び出して、
呼び出したドキュメントデータと、呼び出した印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成するものであることが好ましい。
冊子を構成する複数の用紙が順に当接して所定の綴り辺で裁断され、冊子を構成する用紙同士が、前記綴り辺から所定幅をもって設けられた結合領域にてセット糊5接着された冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法であって、
各用紙のうちいずれかの用紙は、特定色の水性インキで印刷して印刷帯が結合領域に形成され、印刷帯以外の用紙面接触角よりも低い/高い接触角とされた印刷帯用紙であり、
冊子中の一組の当接用紙それぞれの結合領域における接触角の合計値である合計接触角を求めるステップと、
裁断端部から注入したセット糊が反応投錨する部分と反応投錨しない部分の合計接触角の比率である合計接触角比を求めるステップと、とを有し、
前記合計接触角比の値によって、冊子様印刷物の綴り接着の好適性であるか否かを評価するものである。
これに対し、「隣り合う冊子間」の各辺縁領域は、各冊子の隣り合う頁間よりも高い接触角または異なる総接触角比とされ、セット糊5の投錨を誘導しない「非誘導接触角部」となる。この投錨の誘導の有無によって、分離可能とすべき「隣り合う冊子間」と接着固化すべき「各冊子の隣り合う頁間」とをコントロールしている。
そして上記「各冊子の隣り合う頁間」と、「隣り合う冊子間」のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯BLとすることで、印刷帯4Aを含まないドキュメント内容のみがデジタルデータ印刷によって形成される(図8)か、あるいは水性インキ4で印刷されることのない非印刷帯BLがデジタルデータ印刷のイメージとしてドキュメント内容と同時に形成される(図10)。
対向する各用紙における接触角の合計値を合計接触角としたとき、
対向する少なくとも一方の用紙に印刷帯4Aを有した印刷体4A形成部の合計接触角に対する、対向する両用紙を非印刷帯BLとした非印刷帯BL部の合計接触角の比率(合計接触角比)が以下の関係を有することが好ましい。
印刷体4A形成部の合計接触角/非印刷帯BL部の合計接触角<0.90
実施例3では、各ページの用紙の辺縁領域におけるサイズ度(水分吸収の滲み調整度合い)の調整によって、印刷帯4Aに塗布される水性インキ4を塗布した時の接触角と、塗布しない状態の接触角とに差を設けている。
そして所定以上の合計接触角の比率(合計接触角比)によって、セット糊5が頁間の接触角にのみ反応して投錨すべくコントロールしている。
頁構成順に選択された各葉の対向面の結合接着部は、下記左の場合分けに応じた下記右記載の条件を満たすものとしている。
・感圧紙の顕色剤塗布面または発色剤塗布面の場合:吸収剤インク塗布省略可。
・感圧紙の顕色剤塗布面でも発色剤塗布面でもない場合:吸収剤インク塗布であり、塗布吸収剤インク面接触角/吸収剤インク未塗布面接触角 <0.90
先行技術としての感圧紙を使ったセット糊製本の解析を実施してみると以下のような事実が確認された。ここでは、通常コンベンショナルな印刷で使用される油性インクでは基本的に親水性改善は望めないため除外している。
次に、セット糊製本を多数の試料と試験により、セット糊製本として、積層用紙間の接着にいたる場合と接着しない場合の条件を探った結果、以下のセット糊製本条件を得た。
・セット糊製本条件:吸収剤インク塗布面合計接触角/吸収材インク塗布面合計接触角 <0.90
・セット糊製本条件:反発剤インク未塗布面合計接触角/反発剤インク塗布面合計接触角 <0.90
好適なデジタル印刷システム及びインクの例を示す。好適例としては、上質用紙に印刷適正があるデジタル印刷システムでセット糊製本条件を満たすインクを使用可能なものの選定である。選定事例として産業用インクジェットデジタル印刷システムである大日本スクリーン製造社TPJ520とエプソン社水性顔料タイプインクが満たしていることが判明した。しかし、この事例であっても、安易にどの色インクでもよいわけではなく、スルホン酸誘導体を含んだイエローインクのみ好適な結果であることが発明の理論により判明した(表1参照)。
・各用紙のうちいずれかの用紙は、特定色の水性インキ4で印刷して印刷帯4Aが結合領域に形成され、印刷帯4A以外の用紙面接触角よりも低い低接触角とされた印刷帯用紙1である。
・冊子中の一組の当接用紙のそれぞれの結合領域における接触角の合計値である「総接触角臨界」が、所定の当接合計接触角の臨界値よりも低く、
・裁断端部Cから用紙間の結合領域内に、前記当接合計接触角の臨界値よりも低い接触角部分にのみ反応投錨するセット糊5が介設される。
印刷帯4Aは、それ以外の用紙面接触角よりも低い所定の低接触角であると共に、裁断端部Cと反対側の内側端部には、印刷帯4Aから用紙面に向かって接触角が急激に大きくなる接触角臨界が形成される。
印刷帯4Aにインキ塗布される水性インキ4として、黄色顔料を含み、かつ導電性を有するスルホン酸誘導体を含む水性インキ4を使用した場合、好ましい濡れ性を確保することができた。具体的には、スルホン酸誘導体を含む水性インキ4を黄色顔料とした場合、印刷帯4Aの接触角の値が67.3ないし81.3であり、シアン、マゼンダ、ブラック顔料の場合と比べて約20以上の高い差分をもって小さくなった(表1参照)。これは、スルホン酸誘導体の導電性と黄色顔料との相乗作用によって、他の色の場合と比して濡れ性が大きく変化したためと考えられる。
本発明における接触角は以下測定方法により規定される概念とする。
濡れ性試験 (θ/2法)
接触角計 協和界面化学株式会社 CA−VP型
液滴:精製水 液量:5.0μL
温度:24℃ 湿度:55%
待ち時間:1sec と 10sec 2種類
上記のものは、水性インキ4による印刷帯4Aで対向面の濡れ性を、当接面の合計接触角の値である「総接触角臨界」によってコントロールするものであり、当接面の合計接触角を所定の臨界値よりも低い範囲内にコントロールによって、セット糊5の結合領域への投錨を確実なものとすることができる。
確実な実現のための臨界上限は少なくとも175(度)であることが好ましい。更にいえば、当接合計接触角が100(度)ないし175(度)であれば好適な濡れ性を有し、そのなかでも更に140ないし150(度)の範囲内にあることが好ましい。
印刷帯4Aのうち、綴り端と反対側の内側端には、印刷帯4Aから用紙面に向かって接触角が急激に大きくなる接触角臨界が形成され、セット糊5は、裁断端部Cから、前記接触角臨界より低い接触角部分に反応して結合領域内へ投錨介設される。
また印刷帯4Aの濃度の調整、乃至、異なる濃度の複数の印刷帯4Aから必要な印刷帯4Aの一選択によって、セット糊5の結合領域への投錨の程度を調節することも可能である。これにより、冊子の綴り辺の結合力を調節することも可能となる。
冊子様印刷物10を構成する用紙であって印刷帯用紙1以外のいずれかの用紙は、前記結合領域に発色剤層2c又は表面顕色剤層2dが形成された感圧紙とすることができる。感圧紙においては、裁断端部Cから、接触角臨界より低い発色剤層2c、及び表面顕色剤層2dに反応してセット糊5が投錨介設されてなる。印刷帯4Aを形成しなくても発色剤層2c又は表面顕色剤層2dによって接触角を調整することが可能であり、感圧紙には必ずしも印刷帯4Aが形成されなくてもよい。
本発明の冊子様印刷物10の製造方法は、上記いずれか記載の冊子様印刷物10を、複数冊分同時に製造する方法であって、
・印刷帯4Aを含む印刷ドキュメントを他の印刷部分と共に印刷する印刷ステップと、
・複数の用紙を積層する積層ステップと、
・所定の綴り辺で裁断する裁断ステップと、
・裁断した綴り辺の積層側面からセット糊5を注入するセット糊注入ステップとを順に有してなり、
前記セット糊注入ステップにおいて、当接用紙間の結合領域にのみセット糊5が投錨され、当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊5が投錨されないことで、
セット糊製本によって複数の冊子様印刷物10を連続形成する。
積層ステップは、プリンタによる連続シートカットに続く自動スタック機能によるもの、自動制御丁合機等による丁合を実施したもの、のいずれでもよい。すなわち、全て同一の用紙種の場合には単純にプリンタによるシートカット排出機能及びスタック機能によって本ステップが機械的に効率よく達成される。冊子毎に異なるドキュメントデータが含まれていても、全て同一の用紙種である限り、一本の原紙ロールから本製造方法の複数種類のデジタルデータを適宜読み込んで印刷イメージデータを作成し、冊子様印刷物群の上枚から順に作成した印刷イメージデータで印刷し、各枚毎にシートカットして連続排出することで、従来のような丁合機による丁合や綴り辺Fの裁断は不要となる。
印刷ステップにおいては、
・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
・低/高接触角部を構成する印刷帯4Aの部分のみの印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
・該当頁が、接着が必要な「冊子の頁間の用紙」であるか、接着が不要な「冊子間の用紙」であるかを認識して、
・「冊子の頁間の用紙」であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・「冊子間の用紙」であると認識した場合には、印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を含まない前記呼び出したドキュメントデータのみで該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータ(図8)で該当頁ごとに印刷する(図7)。
セット糊5として、水性アクリル系のセット糊製本用接着剤を使用する。具体的には、アクリル系共重合体(分子式(C5H8O2・C4H6O2)x)20−40wt%と、アクリル酸アルキルエステル共重合体5−10wt%と、2,2−ビス〔4−ポリオキシアルキレンオキシフェニル〕1−5wt%と、ナフタリンスルホン酸誘導体ナトリウム塩1−5wt%と、調製水40−60wt%からなる。が知られており、界面活性剤等添加物によって用紙への浸透度等が調整されている。
この場合、試験問題としてのドキュメントデータにセット糊5吸収剤面の印刷要素を受験者頁構成データを参照して結合箇所対向部位に合成配置するプログラムが格納されている。このときの用紙としては、IJ上質紙の巻取りを使用し、デジタル印刷後頁単位でシートカットして印刷済冊子ブロックを生産している。ここで生産された印刷済冊子ブロックに対して図3のセット糊製本が施されることとなる。
次に実施例の各要素の具体的な構成例を示す。
・デジタルデータ印刷用紙: 三菱製紙製 IJ上質紙104g/m2
・セット糊5:富士フィルム製感圧セット糊5
・処理システム:大日本スクリーン製インクジェットプリンタ装置「TPJ520」及び付加加工装置
・インク : TPJ520適合エプソン社製水性顔料インク「イエロー」
印刷帯4Aに印字するインキの濃度調整をすることで、同一インキによって異なる印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を形成することができる。用紙に応じた印刷帯4Aを選択することで、接触角の調整、これによる用紙間の接着力の調整を行なうことができる。
本発明の冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法は、冊子を構成する複数の用紙が順に当接して所定の綴り辺で裁断され、冊子を構成する用紙同士が、前記綴り辺から所定幅をもって設けられた結合領域にてセット糊5接着された冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法である。対向頁の接触角の合計値ないしセット糊5の投錨臨海値に着目して投錨の具合ないし精度をあらかじめ評価する方法である。上記冊子様印刷物10の評価方法として用いるほか、それ以外の印刷物の評価方法として用いることも可能である。
・冊子中の一組の当接用紙のそれぞれの結合領域における接触角の合計値を求めるステップと、
・裁断端部Cから注入したセット糊5が反応投錨する当接合計接触角の臨界値を求めるステップと、
・前記結合領域における接触角の合計値と、セット糊5が反応投錨する当接合計接触角の臨界値との差分を求めるステップとを有し、
前記差分の値によって、冊子様印刷物10の綴り接着の好適性であるか否かを評価する評価方法である。
このようにサイズ度が極端に異なって接触角の低い用紙は、従来のデジタルデータ印刷用紙としては取り扱い性に欠ける、強度のコントロールが難しい、あるいはにじみを出しやすいとして用いられていなかった。本発明は強度のコントロールを必要としない冊子様印刷物群に適用することで、確実なセット糊5誘導/非誘導のコントロールを達成している。
表4に、実施例1のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJF」において、用紙の表面にシアン、マゼンダ、イエロー、ブラック各色それぞれの水性インキ4で印刷帯4Aを形成したのちの接触角のデータを示す。表4の平均値を表3の「IJF」欄の平均値と比べればわかるように、イエローの水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合の接触角は平均74.4であり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表90.4)よりも15以上低い値となっている。また、マゼンダの水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合の接触角は平均95.7であり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表90.4)よりも5以上高い値となっている。
表5に、実施例3のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJ白」において、用紙の表面或いは裏面にブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)各色それぞれの水性インキ4で印刷帯4Aを形成したのちの接触角のデータを示す。表5の上段が用紙の表面に各色それぞれを塗布した印刷帯4Aの接触角データであり、下段が用紙の表面に各色それぞれを塗布した印刷帯4Aの接触角データである。各欄の平均値を表3の「IJ白」欄の平均値と比べればわかるように、いずれの色の水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合にも、接触角は平均値で表53度、裏45度を超えるものであり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表27.3、裏23.0)よりも表で26以上、裏で22以上低い値となっている。
表6に、実施例1のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJF」の実績値を示す。水分吸収率を示すサイズ度はいずれの坪量でも13.6sec以上となっている。
表7に、実施例3のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJPD」の実績値を示す。水分吸収率を示すサイズ度は坪量に応じて4.5〜9.6sec以上となっている。
11 第一印刷帯用紙(表紙)(第一ドキュメントデータ)
12 第二印刷帯用紙(表紙)(第二ドキュメントデータ)
13 第三印刷帯用紙(表紙)(第三ドキュメントデータ)
21 感圧トップ紙
22 感圧ミドル紙
23 感圧ボトム紙
2c 発色剤層
2d 顕色財層
31 第一印刷帯用紙(裏紙)
32 第二印刷帯用紙(裏紙)
4 水性インキ
4A 印刷帯
4A1 第一印刷帯データ
4A2 第二印刷帯データ
4A3 第三印刷帯データ
5 セット糊
5s セット糊投錨部
BL 非印刷帯
C 裁断端部
F 綴り辺
10 冊子様印刷物
10A 第一印刷物
10B 第二印刷物
10C 第三印刷物
10D 第四印刷物
Claims (1)
- 少なくとも一部の頁に異なるドキュメント内容がデジタルデータ印刷された複数種類の冊子からなる冊子様印刷物群であり、
各冊子を構成する複数の用紙がそれぞれの印字後に頁順に重ねられ、且つ複数冊分の用紙が冊子の並び順に重ねられた状態で、各用紙の共通する一端部である綴り辺にセット糊が塗布されることで、複数冊が同時に背固め製本されてなるものであって、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうちいずれか一方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域に、水性インキで印刷された印刷帯4Aがデジタルデータ印刷によって水性インキで印刷されたドキュメント内容と同時に形成され、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯とすることで、
各冊子の隣り合う頁間の各辺縁領域の接触角と、隣り合う冊子間の各辺縁領域の接触角とに所定以上の接触角差を設け、
セット糊は各冊子の頁間の接触角にのみ反応して各辺縁領域面に投錨することを特徴とする冊子様印刷物群の製造方法であって、
印刷システムによって各頁の印刷ドキュメントデータを印刷帯と共に印刷する印刷ステップと、
複数の用紙を積層する積層ステップと、
所定の綴り端辺で裁断する裁断ステップと、
裁断した綴り端辺の積層側面からセット糊を注入するセット糊注入ステップとを有してなり、
当接用紙間の結合領域にのみセット糊が投錨され、
当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊が投錨されないことで、
セット糊製本によって複数の冊子様印刷物を連続形成し、
前記印刷ステップにおいては、
・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
・低/高接触角部を構成する印刷帯の部分のみの印刷帯データをまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
・該当頁が冊子の頁間の用紙であるか、冊子間の用紙であるかを認識して、
・冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データとを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータのみからなる該当頁の印刷イメージデータ、或いは前記呼び出したドキュメントデータとこれを消去する非印刷帯データとを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータで該当頁ごとに印刷する冊子様印刷物群の製造方法。
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