JP5467475B2 - 冊子様印刷物群の製造方法 - Google Patents

冊子様印刷物群の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5467475B2
JP5467475B2 JP2009251559A JP2009251559A JP5467475B2 JP 5467475 B2 JP5467475 B2 JP 5467475B2 JP 2009251559 A JP2009251559 A JP 2009251559A JP 2009251559 A JP2009251559 A JP 2009251559A JP 5467475 B2 JP5467475 B2 JP 5467475B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
booklet
printing
contact angle
paper
data
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009251559A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011093260A (ja
Inventor
学 下畠
雄一 中屋
Original Assignee
福島印刷株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 福島印刷株式会社 filed Critical 福島印刷株式会社
Priority to JP2009251559A priority Critical patent/JP5467475B2/ja
Publication of JP2011093260A publication Critical patent/JP2011093260A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5467475B2 publication Critical patent/JP5467475B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Folding Of Thin Sheet-Like Materials, Special Discharging Devices, And Others (AREA)

Description

本発明は、デジタル印刷システムによって生産される冊子様印刷物、複数の冊子様印刷物からなる冊子様印刷物群、並びに冊子様印刷物群の製造方法およびその綴り接着の評価方法に関する。
例えば、複写帳票(帳票)のような感圧記録材料は、通常、上用紙と下用紙とを発色剤層と顕色剤層とが対面するように重ね、必要に応じて上用紙と下用紙との間に数枚以下の中用紙を発色剤層と顕色剤層とが対面するように挿入し重ねて一セットとし、複数セットを重ねて側面(一端辺部)をセット糊(又は、セパレート剤とも呼ばれる)で糊付けした積層体の形態で冊子様印刷物として製造されている。
また、感圧記録材料を使用し冊子用印刷物を製造するに際して、積層体から一セットずつ(一帳票ずつ)切り離すことを容易にするために、一セット内の上用紙と中用紙との間及び中用紙と下用紙との間の接着力が、用紙の間、即ち、上用紙の発色層が設けられていない面と下用紙の顕色剤層が設けられていない面との間の接着力よりも大きくなるように糊付けされている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−852号公報
しかしながら、この技術は、感圧紙を使用した場合のみ可能であり、上質紙等の冊子製造や感圧紙と上質紙とを組み合わせる冊子製造では使えず、付加的な加工工数を要することとなっている。
一方、デジタル印刷技術の進化により、各葉の文字絵柄が違っている冊子様印刷物を製造するのに各葉各頁順に印刷内容のドキュメントデータを予め編成して連続的に印刷する等、ドキュメントデータ段階での頁編成等の可能性が知られるようになってきたものの、製本方法そのものに頁編成のデジタルデータ加工の自由度を活かす技術が求められている。
そこで本発明は、感圧紙以外の用紙を含む冊子においても、付加的な加工工数を要することなく、容易に且つ確実に得られるセット糊製本による綴り冊子を提供することを課題とする。また複数種類ないし複数の組み合わせ頁の同形状綴り冊子を同時に連続製造する製本方法を提供することを課題とする。さらにそのような連続製造に使用すべきセット糊及び水性インキを容易に評価する冊子様印刷物の評価方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく下記(1)〜(5)の手段を講じている。
(1)本発明の冊子様印刷物群は、少なくとも一部の頁に異なるドキュメント内容がデジタルデータ印刷された複数種類の冊子からなる冊子様印刷物群であり、
各冊子を構成する複数の用紙がそれぞれの印字後に頁順に重ねられ、
且つ複数冊分の用紙が冊子の並び順に重ねられた状態で、
各用紙の共通する一端部である綴り辺Fにセット糊5が塗布されることで、複数冊が同時に背固め製本されてなるものであって、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうちいずれか一方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域に、水性インキ4で印刷された印刷帯4Aがデジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に形成され、
各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯BLとすることで、
各冊子の隣り合う頁間の各辺縁領域の接触角と、隣り合う冊子間の各辺縁領域の接触角とに所定以上の接触角差を設け、
セット糊5は各冊子の頁間の接触角にのみ反応して各辺縁領域面に投錨することを特徴とする。
このとき、各冊子の頁間の辺縁領域が、冊子間の当接用紙間よりも低い接触角/または高い接触角とされ、セット糊5の投錨を誘導する誘導接触角部となる。
隣り合う冊子間の辺縁領域が、各冊子の頁間の辺縁領域よりも高い接触角/または低い接触角とされ、セット糊5の投錨を誘導しない非誘導接触角部となる。
すなわち、綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、「各冊子の隣り合う頁間の辺縁領域」及び「隣り合う冊子間の辺縁領域」に区別し、それぞれの一方及び他方を「デジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に水性インキ4で印刷された印刷帯4A」及び「印刷を施さない非印刷帯BL」とすることで、「印刷帯4Aの辺縁領域」と「非印刷帯BLの辺縁領域」とに接触角の差を設け、これによって、セット糊5は各冊子の頁間の辺縁領域の接触角にのみ反応して投錨する。
ここで印刷帯4A或いは、非印刷帯BLを、デジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に形成している。これにより、冊子様印刷物の各ページで、水性インキ4の塗布の有無を自由にコントロールすることができる。または、印刷帯4Aと非印刷帯BLの接触角の差(接触角差)や比率(接触角比)を自由にコントロールすることができる。
(2)上記冊子様印刷物群において、
対向する各用紙における接触角の合計値を合計接触角としたとき、
対向する少なくとも一方の用紙に印刷帯4Aを有した印刷体4A形成部の合計接触角に対する、
対向する両用紙を非印刷帯BLとした非印刷帯BL部の合計接触角の比率(合計接触角比)が以下の関係を有することが好ましい。
印刷体4A形成部の合計接触角/非印刷帯BL部の合計接触角<0.90
これにより、セット糊5を各冊子の頁間の辺縁領域に確実に投錨するようにし、かつ隣り合う冊子間の辺縁領域への投錨を確実に回避することで、セット糊5の各辺縁領域への反応投錨の有無を自在にコントロールすることができる。
具体的には、各ページの用紙の辺縁領域におけるサイズ度(水分吸収の滲み調整度合い)、あるいは水性インキ4の粘性、あるいはセット糊5の界面活性剤量を調整することで、印刷帯4Aに塗布される水性インキ4を塗布した時の接触角と、塗布しない状態の接触角とに差を設けている。そして所定以上の合計接触角の比率(合計接触角比)によって、セット糊5が頁間の接触角にのみ反応して投錨すべくコントロールしている。
後述の実施例1,2では、水性インキ4の色を黄色顔料に選択してスルホン酸誘導体を調整することで、印刷帯4Aにのみセット糊5が反応投錨することとしている(表1、図2,3)。この場合、セット糊5が反応投錨する誘導接触角部を印刷帯4Aとし、かつセット糊5が反応投錨しない非誘導接触角部を非印刷帯BLとする。なおこの場合、デジタルデータ印刷用紙のサイズ度は13sec超であり、極性調製剤によって水性インキ4の定着を促進させたものである。
後述の実施例3では、デジタルデータ印刷用紙のサイズ度を、9.6sec以下の低サイズ度に調整することで(表7)、印刷帯4Aにのみセット糊5が反応投錨することとしている(図12、13)。この場合、セット糊5が反応投錨する誘導接触角部を印刷帯4Aとし、かつセット糊5が反応投錨しない非誘導接触角部を非印刷帯BLとしている。
(3)上記いずれか記載の冊子様印刷物10においては、
冊子を構成する印刷帯用紙1以外のいずれかの用紙は、前記結合領域に発色剤層2c又は表面顕色剤層2dが形成された感圧紙であり、
裁断端部Cから、接触角臨界より低い発色剤層2c、及び表面顕色剤層2dに反応してセット糊5が投錨介設されてなることが好ましい。
(4)上記いずれか記載の冊子様印刷物10において、水性インキ4は、黄色顔料およびスルホン酸誘導体が含まれてなることが好ましい。
シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4原色の水性インキ4をそれぞれ通常のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJF」の表面(接触角90.4)に塗布したところ、各色塗布後の接触角は、シアン92.6、マゼンダ95.7、イエロー74.4、ブラック92.0のように、イエローの水性インキ4のみが極端に低い値を示した(表1、表4参照)。ここで使用したイエローの水性インキは、黄色顔料およびスルホン酸誘導体が含まれてなることで、通常のデジタルデータ印刷用紙の接触角を塗布によって小さくするという作用を有する。これに基づき、上記のように黄色顔料およびスルホン酸誘導体が含まれてなる水性インキ4を塗布して印刷帯4Aを形成すると共に、他の用紙においてこれ以外の原色水性インキ4を塗布するか印刷を行わない非印刷帯BLとすれば、当該印刷帯4Aの用紙間におけるセット糊5の投錨性能を、他の用紙間と比べて変えることが出来る。
(5)また、本発明の冊子様印刷物群の製造方法は、
各頁の印刷ドキュメントデータを印刷帯4Aと共に印刷する印刷ステップと、
複数の用紙を積層する積層ステップと、
所定の綴り辺で裁断する裁断ステップと、
裁断した綴り辺の積層側面からセット糊5を注入するセット糊注入ステップとを有してなり、
当接用紙間の結合領域にのみセット糊5が投錨され、
当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊5が投錨されないことで、
セット糊製本によって複数の冊子様印刷物10を連続形成するものである。
そして前記印刷ステップにおいては、
・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
・低/高接触角部を構成する印刷帯4Aの部分のみの印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
・該当頁が冊子の頁間の用紙であるか、冊子間の用紙であるかを認識して、
・冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
冊子間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータのみからなる該当頁の印刷イメージデータ、或いは前記呼び出したドキュメントデータとこれを消去する非印刷帯データ(BL)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータで該当頁ごとに印刷することを特徴とする。
なお上記積層ステップは、プリンタによる連続シートカットに続く自動スタック機能によるもの、自動制御丁合機等による丁合によるものの両方が含まれる。
また、上記本発明の冊子様印刷物群の製造方法においては、
印刷帯データ領域が、使用するセット糊5或いは使用する用紙に対応した、接触角の異なる複数種類の印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をそれぞれの識別記号を付した上で記憶するものであり、
印刷ステップにおいて印刷システムは、
冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、
使用するセット糊5或いは使用する用紙に対応した識別記号が付された印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を該当頁ごとに呼び出して、
呼び出したドキュメントデータと、呼び出した印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成するものであることが好ましい。
(6)そして、本発明の冊子様印刷物群の綴り接着の評価方法は、
冊子を構成する複数の用紙が順に当接して所定の綴り辺で裁断され、冊子を構成する用紙同士が、前記綴り辺から所定幅をもって設けられた結合領域にてセット糊5接着された冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法であって、
各用紙のうちいずれかの用紙は、特定色の水性インキで印刷して印刷帯が結合領域に形成され、印刷帯以外の用紙面接触角よりも低い/高い接触角とされた印刷帯用紙であり、
冊子中の一組の当接用紙それぞれの結合領域における接触角の合計値である合計接触角を求めるステップと、
裁断端部から注入したセット糊が反応投錨する部分と反応投錨しない部分の合計接触角の比率である合計接触角比を求めるステップと、とを有し、
前記合計接触角比の値によって、冊子様印刷物の綴り接着の好適性であるか否かを評価するものである。
或いは、合計接触角の差分の値である合計接触角差が正負いずれの値になるか、すなわちセット糊5の投錨のための接触角臨界値を超えているかどうかで綴り接着の可否を評価する。
上記手段を講じることで、感圧紙以外の用紙を含む冊子においても、付加的な加工工数を要することなく、セット糊製本による綴り冊子を容易に且つ確実に得ることができるものとなった。また製本方法そのものに頁編成のデジタルデータ加工の自由度を活かすことで、複数種類ないし複数の組み合わせ頁の同形状綴り冊子を同時に連続製造することができるものとなった。またそのような連続製造に使用すべきセット糊5及び水性インキ4を容易に評価することができるものとなった。
発明者らは、セット糊製本の技術とデジタル印刷のインクに水性インクの技術があることからこの融合によって感圧紙以外の用紙を使ったセット糊製本の発明に到った。具体的には、水性顔料インクによるデジタル印刷によって感圧紙の接着面が有する接着好適性と同様の条件を感圧紙ではない上質紙に実現しセット製本技術を大きく前進させることに成功した。
本発明の冊子様印刷物10は、基材として矩形の感圧紙と感圧紙ではない水性インク使用IJプリンタにてデジタル印刷可能なインクジェットプリンタ用用紙(IJ用紙)を用いて、その基材種から適宜用紙を2枚以上選択し1辺を結合辺として冊子様とする。
本発明の冊子様印刷物群は、少なくとも一部の頁に異なるドキュメント内容がデジタルデータ印刷された複数種類の冊子からなる冊子様印刷物群である。その基本構成として、各冊子を構成する複数の用紙がそれぞれの印字後に頁順に重ねられ、且つ複数冊分の用紙が冊子の並び順に重ねられた状態で、各用紙の共通する一端部である綴り辺Fにセット糊5が塗布されることで、複数冊が同時に背固め製本されてなる。
ここで、綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、「各冊子の隣り合う頁間の辺縁領域」及び「隣り合う冊子間の辺縁領域」に区別し、それぞれの一方及び他方を「デジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に水性インキ4で印刷された印刷帯4A」及び「印刷を施さない非印刷帯BL」とすることで、「印刷帯4Aの辺縁領域」と「非印刷帯BLの辺縁領域」とに接触角の差を設けている。そしてこれによって、「各冊子の隣り合う頁間」の各辺縁領域の接触角と、「隣り合う冊子間」の各辺縁領域の接触角とに所定以上の接触角差あるいは所定の範囲の合計接触角比を設け、セット糊5は各冊子の頁間の接触角にのみ反応して各辺縁領域面に投錨するものとなっている。
「各冊子の隣り合う頁間」の各辺縁領域は、隣り合う冊子間と異なる接触角または異なる総接触角比とされ、セット糊5の投錨を誘導する「誘導接触角部」となる。
これに対し、「隣り合う冊子間」の各辺縁領域は、各冊子の隣り合う頁間よりも高い接触角または異なる総接触角比とされ、セット糊5の投錨を誘導しない「非誘導接触角部」となる。この投錨の誘導の有無によって、分離可能とすべき「隣り合う冊子間」と接着固化すべき「各冊子の隣り合う頁間」とをコントロールしている。
後述の実施例においては、上記「各冊子の隣り合う頁間」と、「隣り合う冊子間」のうちいずれか一方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域に、水性インキ4で印刷された印刷帯4Aがデジタルデータ印刷によってドキュメント内容と同時に形成される。
そして上記「各冊子の隣り合う頁間」と、「隣り合う冊子間」のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯BLとすることで、印刷帯4Aを含まないドキュメント内容のみがデジタルデータ印刷によって形成される(図8)か、あるいは水性インキ4で印刷されることのない非印刷帯BLがデジタルデータ印刷のイメージとしてドキュメント内容と同時に形成される(図10)。
以上のように、冊子様印刷物の各ページで、水性インキ4の塗布の有無、或いは、印刷帯4Aと非印刷帯BLの接触角の差(接触角差)や比率(接触角比)をデータ認識し、各データを適宜選択し組み合わせることで、セット糊5の投錨性をコントロールするものとしている。特にこのコントロールは、デジタルデータ印刷の印刷内容によって連続印刷工程中に行うことが出来るため、製造工程の簡略化、製造効率や歩留まり率の向上が可能となっている。
(合計接触角)
対向する各用紙における接触角の合計値を合計接触角としたとき、
対向する少なくとも一方の用紙に印刷帯4Aを有した印刷体4A形成部の合計接触角に対する、対向する両用紙を非印刷帯BLとした非印刷帯BL部の合計接触角の比率(合計接触角比)が以下の関係を有することが好ましい。
印刷体4A形成部の合計接触角/非印刷帯BL部の合計接触角<0.90
実施例1では、水性インキ4の顔料の違いとスルホン酸誘導体の混入有無の違いによって、印刷帯4Aに塗布される水性インキ4を塗布した時の接触角と、塗布しない状態の接触角とに差を設けている。そして所定以上の合計接触角の比率(合計接触角比)によって、セット糊5が頁間の接触角にのみ反応して投錨すべくコントロールしている。
実施例3では、各ページの用紙の辺縁領域におけるサイズ度(水分吸収の滲み調整度合い)の調整によって、印刷帯4Aに塗布される水性インキ4を塗布した時の接触角と、塗布しない状態の接触角とに差を設けている。
そして所定以上の合計接触角の比率(合計接触角比)によって、セット糊5が頁間の接触角にのみ反応して投錨すべくコントロールしている。
(接触角条件)
頁構成順に選択された各葉の対向面の結合接着部は、下記左の場合分けに応じた下記右記載の条件を満たすものとしている。
・感圧紙の顕色剤塗布面または発色剤塗布面の場合:吸収剤インク塗布省略可。
・感圧紙の顕色剤塗布面でも発色剤塗布面でもない場合:吸収剤インク塗布であり、塗布吸収剤インク面接触角/吸収剤インク未塗布面接触角 <0.90
任意用紙の綴り辺Fに沿う結合領域には、用紙面接触角よりも小さい所定接触角の水性IJインキを付着して印刷帯4Aを形成し、この所定接触角に反応して投錨されたセット糊5によって、前記結合領域で糊付けされてなる。このとき、印刷帯4Aに印刷される水性インキ4として、イエロー顔料およびスルホン酸誘導体の両方が含有されたものを選択することで、印刷帯4Aの接触角を調節し、冊子様において対向する用紙の合計接触角を所定の値以下のものとする。たとえば感圧紙を含む冊子の場合には、水性インキ4による印刷帯4Aの接触角を、感圧紙の接触角と同程度の接触角とする。
(セット糊製本の接触角データ)
先行技術としての感圧紙を使ったセット糊製本の解析を実施してみると以下のような事実が確認された。ここでは、通常コンベンショナルな印刷で使用される油性インクでは基本的に親水性改善は望めないため除外している。
(セット糊製本の接触角条件)
次に、セット糊製本を多数の試料と試験により、セット糊製本として、積層用紙間の接着にいたる場合と接着しない場合の条件を探った結果、以下のセット糊製本条件を得た。
・セット糊製本条件:吸収剤インク塗布面合計接触角/吸収材インク塗布面合計接触角 <0.90
・セット糊製本条件:反発剤インク未塗布面合計接触角/反発剤インク塗布面合計接触角 <0.90
感圧紙と上質紙の組合せによる冊子様印刷物10の製本を感圧紙セット糊製本を使うことによって合理的な感圧紙複合伝票製造方法が実現した。さらに、上質紙の冊子製造において、個別受取人向け個別ドキュメントで文字絵柄の個別性と頁数そのものの個別性も連続生産としてデータソートによる量産を可能とした。また、発明によるセット製本を別種の製本方法、例えば針金綴じ製本の前処理として採用することによって乱丁、落丁防止といった品質保証上の大きな効果を得ることができる。
(好適なデジタル印刷システム及びインクの例)
好適なデジタル印刷システム及びインクの例を示す。好適例としては、上質用紙に印刷適正があるデジタル印刷システムでセット糊製本条件を満たすインクを使用可能なものの選定である。選定事例として産業用インクジェットデジタル印刷システムである大日本スクリーン製造社TPJ520とエプソン社水性顔料タイプインクが満たしていることが判明した。しかし、この事例であっても、安易にどの色インクでもよいわけではなく、スルホン酸誘導体を含んだイエローインクのみ好適な結果であることが発明の理論により判明した(表1参照)。
好適な印刷システムを用いた実施例を図2、図3、図4、図5によって詳細に説明する。この事例は頁数をデータ制御するランダム製本の実施例である。
なお本願にいう印刷とは、コンベンショナル印刷、デジタル印刷の両方を含む概念であり、印刷物には、コンベンショナル印刷物とデジタル印刷物の両方が含まれる。またドキュメントとは、情報を「視認による閲覧」可能に編集した情報集合物(データファィル、印刷物の形態あり)を意味する。セット糊製本は、セット糊製本として知られている感圧紙(感圧紙)の1組の伝票を綴辺で接着する製本方法のことである。
そして本発明の冊子様印刷物群は、デジタル印刷により印刷された接着剤吸収面を有した感圧紙以外の基材が含まれており、結合接着にセット糊製本を用いて複数冊の冊子様印刷物10が同時に製造される。
本発明の冊子様印刷物10は、冊子を構成する複数の用紙が順に当接して所定の綴り辺で裁断され、冊子を構成する用紙同士が、前記綴り辺から所定幅をもって設けられた結合領域にてセット糊5接着され、複数冊が同時に連続形成されるものであり、下記基本構成から成る。
・各用紙のうちいずれかの用紙は、特定色の水性インキ4で印刷して印刷帯4Aが結合領域に形成され、印刷帯4A以外の用紙面接触角よりも低い低接触角とされた印刷帯用紙1である。
・冊子中の一組の当接用紙のそれぞれの結合領域における接触角の合計値である「総接触角臨界」が、所定の当接合計接触角の臨界値よりも低く、
・裁断端部Cから用紙間の結合領域内に、前記当接合計接触角の臨界値よりも低い接触角部分にのみ反応投錨するセット糊5が介設される。
(印刷帯4A)
印刷帯4Aは、それ以外の用紙面接触角よりも低い所定の低接触角であると共に、裁断端部Cと反対側の内側端部には、印刷帯4Aから用紙面に向かって接触角が急激に大きくなる接触角臨界が形成される。
(水性インキ4)
印刷帯4Aにインキ塗布される水性インキ4として、黄色顔料を含み、かつ導電性を有するスルホン酸誘導体を含む水性インキ4を使用した場合、好ましい濡れ性を確保することができた。具体的には、スルホン酸誘導体を含む水性インキ4を黄色顔料とした場合、印刷帯4Aの接触角の値が67.3ないし81.3であり、シアン、マゼンダ、ブラック顔料の場合と比べて約20以上の高い差分をもって小さくなった(表1参照)。これは、スルホン酸誘導体の導電性と黄色顔料との相乗作用によって、他の色の場合と比して濡れ性が大きく変化したためと考えられる。
(接触角)
本発明における接触角は以下測定方法により規定される概念とする。
濡れ性試験 (θ/2法)
接触角計 協和界面化学株式会社 CA−VP型
液滴:精製水 液量:5.0μL
温度:24℃ 湿度:55%
待ち時間:1sec と 10sec 2種類
(総接触角臨界)
上記のものは、水性インキ4による印刷帯4Aで対向面の濡れ性を、当接面の合計接触角の値である「総接触角臨界」によってコントロールするものであり、当接面の合計接触角を所定の臨界値よりも低い範囲内にコントロールによって、セット糊5の結合領域への投錨を確実なものとすることができる。
所定の総接触角臨界は例えば、上述した実施例では180(度)を上限とするものであり、180(度)以上では良好な投錨接着ができなかった。
確実な実現のための臨界上限は少なくとも175(度)であることが好ましい。更にいえば、当接合計接触角が100(度)ないし175(度)であれば好適な濡れ性を有し、そのなかでも更に140ないし150(度)の範囲内にあることが好ましい。
(接触角臨界)
印刷帯4Aのうち、綴り端と反対側の内側端には、印刷帯4Aから用紙面に向かって接触角が急激に大きくなる接触角臨界が形成され、セット糊5は、裁断端部Cから、前記接触角臨界より低い接触角部分に反応して結合領域内へ投錨介設される。
上記のものであれば、印刷帯4Aとその内部側の用紙面との境界にこの接触角臨界が形成されることで、裁断端部Cから注入されたセット糊5は、結合領域内の接触角臨界までにのみ投錨し、接触角臨界を超えて印刷帯4A以外の部分には容易に投錨しないものとなる。このときセット糊5は、前記接触角臨界より低い接触角部分に反応して結合領域内へのみ投錨し、接触角臨界を越えた高接触角部分には容易に投錨されることはない。
つまり冊子中の当接用紙のうち印刷帯4Aが形成された用紙は、結合領域における接触角が、印刷帯4Aの内側端を境界として結合領域以外の通常用紙面の接触角よりも所定値以上の差分を持って臨界変移する。
あるいは、冊子中の一組の当接用紙それぞれの結合領域における接触角の合計値が、結合領域よりも内側の非結合領域における接触角の合計値よりも低く設定されてなり、非結合領域における接触角は、所定の臨界差値以上の差分をもって、前記当接合計接触角の臨界値よりも高く設定される。
後述の実施例では、各用紙の差分として、印刷帯4Aでの接触角とそれ以外の非結合領域での接触角が20以上の差分を超えていれば好ましいと判断される。また合計接触角の差分として、結合領域と非結合領域で30以上の差分を超えていれば好ましいと判断される(いずれも温度24度、湿度55%下での5.0μlの精製水液滴、待ち時間1秒及び10秒の濡れ性試験による測定結果による)。
(印刷帯4Aの濃度調整)
また印刷帯4Aの濃度の調整、乃至、異なる濃度の複数の印刷帯4Aから必要な印刷帯4Aの一選択によって、セット糊5の結合領域への投錨の程度を調節することも可能である。これにより、冊子の綴り辺の結合力を調節することも可能となる。
(感圧紙の混在)
冊子様印刷物10を構成する用紙であって印刷帯用紙1以外のいずれかの用紙は、前記結合領域に発色剤層2c又は表面顕色剤層2dが形成された感圧紙とすることができる。感圧紙においては、裁断端部Cから、接触角臨界より低い発色剤層2c、及び表面顕色剤層2dに反応してセット糊5が投錨介設されてなる。印刷帯4Aを形成しなくても発色剤層2c又は表面顕色剤層2dによって接触角を調整することが可能であり、感圧紙には必ずしも印刷帯4Aが形成されなくてもよい。
つまり、冊子の中紙として他の用紙と対向する用紙組は、感圧紙、印刷帯用紙1のいずれかであり、結合領域は、印刷帯4A同士の組、発色剤層2cと表面顕色剤層2dの組、印刷帯4Aと発色剤層2cの組、印刷帯4Aと表面顕色剤層2dの組のいずれかの組で構成される。
考えられる実施態様として、表紙あるいは裏紙が普通紙であるとともに一部の中紙群が感圧紙で構成されるものが挙げられる。この場合、前記のうち発色剤層2cと表面顕色剤層2dの組は通常の感圧紙の組であり、印刷帯4Aを含む組は、感圧紙を中紙とする冊子の表側又は裏側に配置される表紙/表紙群、または裏紙/裏紙群であり、表紙/表紙群、または裏紙/裏紙群と当接する用紙が感圧トップ紙21の表面または、感圧ボトム紙23裏面の場合は感圧紙の当接面も含まれる。
(本発明の冊子様印刷物10の製造方法)
本発明の冊子様印刷物10の製造方法は、上記いずれか記載の冊子様印刷物10を、複数冊分同時に製造する方法であって、
・印刷帯4Aを含む印刷ドキュメントを他の印刷部分と共に印刷する印刷ステップと、
・複数の用紙を積層する積層ステップと、
・所定の綴り辺で裁断する裁断ステップと、
・裁断した綴り辺の積層側面からセット糊5を注入するセット糊注入ステップとを順に有してなり、
前記セット糊注入ステップにおいて、当接用紙間の結合領域にのみセット糊5が投錨され、当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊5が投錨されないことで、
セット糊製本によって複数の冊子様印刷物10を連続形成する。
(積層ステップ)
積層ステップは、プリンタによる連続シートカットに続く自動スタック機能によるもの、自動制御丁合機等による丁合を実施したもの、のいずれでもよい。すなわち、全て同一の用紙種の場合には単純にプリンタによるシートカット排出機能及びスタック機能によって本ステップが機械的に効率よく達成される。冊子毎に異なるドキュメントデータが含まれていても、全て同一の用紙種である限り、一本の原紙ロールから本製造方法の複数種類のデジタルデータを適宜読み込んで印刷イメージデータを作成し、冊子様印刷物群の上枚から順に作成した印刷イメージデータで印刷し、各枚毎にシートカットして連続排出することで、従来のような丁合機による丁合や綴り辺Fの裁断は不要となる。
またいずれかの冊子内に異種用紙が含まれる場合には、用紙種ごとに印刷/スタックして、それを適宜丁合を実施する必要がある。「積層ステップ」の用語には、スタックの後にこの必要な丁合を実施することが含まれる。
このいずれかの冊子内に異種用紙が含まれる場合であって、印刷物群を構成する冊子のうちいずれかの冊子の頁数が異なる場合には、単純に機械的に丁合いができないため、スタックしたシートに頁固有のバーコードを入れこれを読取ながら自動制御丁合いするシステムを用いることとなる。
(印刷ステップ)
印刷ステップにおいては、
・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
・低/高接触角部を構成する印刷帯4Aの部分のみの印刷帯データ(4A1,4A2,・・)をまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
・該当頁が、接着が必要な「冊子の頁間の用紙」であるか、接着が不要な「冊子間の用紙」であるかを認識して、
・「冊子の頁間の用紙」であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データ(4A1,4A2,・・)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・「冊子間の用紙」であると認識した場合には、印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を含まない前記呼び出したドキュメントデータのみで該当頁の印刷イメージデータを形成し、
・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータ(図8)で該当頁ごとに印刷する(図7)。
(セット糊5)
セット糊5として、水性アクリル系のセット糊製本用接着剤を使用する。具体的には、アクリル系共重合体(分子式(C・C)20−40wt%と、アクリル酸アルキルエステル共重合体5−10wt%と、2,2−ビス〔4−ポリオキシアルキレンオキシフェニル〕1−5wt%と、ナフタリンスルホン酸誘導体ナトリウム塩1−5wt%と、調製水40−60wt%からなる。が知られており、界面活性剤等添加物によって用紙への浸透度等が調整されている。
本発明のセット糊製本では印刷済用紙をN上、N中、N下と適宜組合せてこれを大量に積層し、揃えて、綴じる辺の断面からセット糊製本用接着剤を塗布し、用紙間への選択的浸透を起こさせ乾燥固化時接着する。
本発明の実施例1の成果物は、国語、数学I、数II混在の試験問題を100人分、受験番号順に印刷生産した試験問題である。試験問題の構成は、図2に示すようにA4横のサイズのIJ上質紙とし、表裏に試験問題のドキュメントがIJプリンタによってデジタル印刷される。印刷ステップにおいては、ドキュメントと同時に冊子結合部にセット糊製本用のセット糊5吸収剤面となる水性インク層を印刷している。
試験問題は、数学I(2頁)と数学II(4頁)を必要とする受験者がいて各受験者用に適宜冊子として綴じられた状態でかつ、その冊子を受験者番号順に積層するものとした。この場合の受験者番号1と2の者の冊子の構成と綴じ結合の状態を図2、3に示した。図では、受験者ごとに冊子として結合されかつ、受験者ごとの必要科目と頁数となっている様子を示している。このときの結合手段としてセット糊製本を採用していて、その積層断面からセット糊5を塗布し、吸収接着する頁間には、吸収剤面として水性インクによって印刷面が形成されている。
また図7では、試験問題処理システムの構成を示している。印刷内容であるドキュメントデータと印刷順を制御するための、下記表2に示すような受験者頁構成表データを用意し、それをIJプリンタ装置が呼び出してデジタル印刷を実施する。

この場合、試験問題としてのドキュメントデータにセット糊5吸収剤面の印刷要素を受験者頁構成データを参照して結合箇所対向部位に合成配置するプログラムが格納されている。このときの用紙としては、IJ上質紙の巻取りを使用し、デジタル印刷後頁単位でシートカットして印刷済冊子ブロックを生産している。ここで生産された印刷済冊子ブロックに対して図3のセット糊製本が施されることとなる。
(具体的な構成例)
次に実施例の各要素の具体的な構成例を示す。
・デジタルデータ印刷用紙: 三菱製紙製 IJ上質紙104g/m
・セット糊5:富士フィルム製感圧セット糊5
・処理システム:大日本スクリーン製インクジェットプリンタ装置「TPJ520」及び付加加工装置
・インク : TPJ520適合エプソン社製水性顔料インク「イエロー」
本発明の実施例2の成果物は、契約内容説明、契約内容記載用紙、記載複写用紙、付記説明書、契約書混在の契約用冊子を100人分、契約者C用、契約者d用といった契約者順に印刷生産したものである。契約用冊子の構成は、図4に示すようにA4横のサイズのIJ上質紙とし、表裏に試験問題のドキュメントがIJプリンタによってデジタル印刷される。印刷ステップにおいては、ドキュメントと同時に冊子結合部にセット糊製本用のセット糊5吸収剤面となる水性インク層を印刷している。
(印刷帯データ(4A1,4A2,・・)の濃度調整)
印刷帯4Aに印字するインキの濃度調整をすることで、同一インキによって異なる印刷帯データ(4A1,4A2,・・)を形成することができる。用紙に応じた印刷帯4Aを選択することで、接触角の調整、これによる用紙間の接着力の調整を行なうことができる。
濃度調整の手段としてたとえば、網点で印字するものとし、異なる印刷帯データ(4A1,4A2,・・)において、図9に示すように網点諧調を変える例が考えられる。網点諧調によって多様な色(濃度)が実現されるため、網点諧調を変えた異なる印刷帯データ(4A1,4A2,・・)は、印刷後にその種類(複数段階分けされた網点諧調の当該段階)を目視で確認することができる。なおここでいう網点は、点の大きさと密度で色の濃さを表すものであり。点が小さく密度が低いほど色は薄く、点が大きく密度が高いほど色は濃く表現される。
接触角は親水インキの塗布面積は接触角に相関し、対向用紙の接触角の合計値は接着力に相関する。印刷帯4Aの濃度も他のドキュメントのデータと同様に網点諧調として管理すれば接着力を網点諧調データの指示として実行することができる。
印刷帯データ(4A1,4A2,・・)の濃度調整(図9)を活用した冊子構成例として例えば、一部に異なる用紙を含む冊子において用紙間の接着力の合計接触角を均一化させることで、均一な強い接着力を確保することが考えられる。
上記のほか、薄紙の第一および第二用紙、厚紙の第三用紙の3枚を接着して冊子を構成したものが挙げられる。第二−第三用紙間を、第一−第二用紙間よりもあえて外れやすくすることで、返信用用紙等の任意頁の取り外しを可能としたものである。これは、厚紙は腰が強いため同一接着力でも相対的に強い接着力が必要となることに鑑みたものである。
(結合領域の接触角による評価方法)
本発明の冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法は、冊子を構成する複数の用紙が順に当接して所定の綴り辺で裁断され、冊子を構成する用紙同士が、前記綴り辺から所定幅をもって設けられた結合領域にてセット糊5接着された冊子様印刷物10の綴り接着の評価方法である。対向頁の接触角の合計値ないしセット糊5の投錨臨海値に着目して投錨の具合ないし精度をあらかじめ評価する方法である。上記冊子様印刷物10の評価方法として用いるほか、それ以外の印刷物の評価方法として用いることも可能である。
評価の手順として、
・冊子中の一組の当接用紙のそれぞれの結合領域における接触角の合計値を求めるステップと、
・裁断端部Cから注入したセット糊5が反応投錨する当接合計接触角の臨界値を求めるステップと、
・前記結合領域における接触角の合計値と、セット糊5が反応投錨する当接合計接触角の臨界値との差分を求めるステップとを有し、
前記差分の値によって、冊子様印刷物10の綴り接着の好適性であるか否かを評価する評価方法である。
そして、対向する用紙の結合領域での各接触角の合計値が、所定の合計接触角臨界よりも低く設定されるものであれば、良好な綴り接着が可能であると評価される。
また非結合領域での各接触角の合計値が、前記結合領域での各接触角の合計値よりも所定の臨界差分を超えて大きく設定されるものであれば、セット糊5が余分に投錨されることはない。
或いは少なくとも一枚の構成用紙において、非結合領域での接触角が、結合領域での接触角よりも所定の臨界差分を超えて大きく設定されるものであれば、セット糊5が余分に投錨されることはない。
水性インキ4による印刷帯4Aを形成して綴り辺Fからセット糊5の投錨介接を行なう場合には、前記した合計値或いは差分の少なくともいずれかの値をもって適正かどうかを評価する。又は、これら合計値、差分の値を組み合わせて適正か否かを評価する。これにより適切な印刷帯4Aの水性インキ4とセット糊5の組み合わせを予め評価することができる。
上記の実施例1,2では、水性インキ4の色を選択し調整することで、印刷帯4Aにのみセット糊5が反応投錨することとしている。この場合、セット糊5が反応投錨する誘導接触角部を印刷帯4Aとし、かつセット糊5が反応投錨しない非誘導接触角部を非印刷帯BLとなる。なおこの場合、デジタルデータ印刷用紙のサイズ度は13sec超であり、極性調製剤によって水性インキ4の定着を促進させたものである。
図11〜13に示す実施例3は、水性インキ4の吸収定着促進のため、サイズ度を10.0sec以下に抑えた下記表に示す用紙をデジタルデータ印刷用紙として開発し、これによって水性インキ4を塗布した印刷帯4Aを投錨の非誘導部とし、水性インキ4を塗布しない非印刷帯BLを投錨の誘導部としたものである。このデジタルデータ印刷用紙は表7に示すものであり、例えば表6に示す従来の用紙とは、各色で印刷したときと印刷しないときのセット糊の投錨の挙動が大きく異なる。
具体的にいえば、実施例3では、デジタルデータ印刷用紙のサイズ度を、9.6sec以下の低サイズ度に調整することで、印刷帯4Aにのみセット糊5が反応投錨することとしている。この場合、セット糊5が反応投錨する誘導接触角部を印刷帯4Aとし、かつセット糊5が反応投錨しない非誘導接触角部を非印刷帯BLとなる。なお図13中のSPは冊子間のセパレート部分を示す。ここでは合計接触角が非誘導接触角部となっている。
このようにサイズ度が極端に異なって接触角の低い用紙は、従来のデジタルデータ印刷用紙としては取り扱い性に欠ける、強度のコントロールが難しい、あるいはにじみを出しやすいとして用いられていなかった。本発明は強度のコントロールを必要としない冊子様印刷物群に適用することで、確実なセット糊5誘導/非誘導のコントロールを達成している。
実施例3のイメージデータの形成方法は、図10に示すように、印刷データ内に異なる印刷帯データ4A1,4A2に加えて非印刷帯データBLを有している。そして受験者頁構成表データに基づき、印刷システムが印刷しようとする用紙が「冊子の頁間の用紙」であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと非印刷帯データ(BL)とを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成する。このとき非印刷帯データ(BL)は他のいかなるドキュメントデータをも消去するものである。
このように非印刷帯データ(BL)と組み合わせることで、ドキュメントデータでのデータ内容は非印刷帯データ領域では消去され、辺縁領域のみがブランクデータのイメージデータとなる。図11の最上枚に示されるような、印刷帯4Aと重なる模様部分(図11では並行曲線模様)がドキュメントデータ内にあった場合にも非印刷領域BLでは確実に非印刷によるセット糊不投錨部となる。
表3に、用紙別の接触角のデータ値を示す。これはすなわち非印刷帯BLの接触角のデータである。同表のうち銘柄「IJ白」「IJPD」の表記が実施例3のものであり、「IJF」の表記のものが実施例1(上記表1)のものである。

表4に、実施例1のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJF」において、用紙の表面にシアン、マゼンダ、イエロー、ブラック各色それぞれの水性インキ4で印刷帯4Aを形成したのちの接触角のデータを示す。表4の平均値を表3の「IJF」欄の平均値と比べればわかるように、イエローの水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合の接触角は平均74.4であり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表90.4)よりも15以上低い値となっている。また、マゼンダの水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合の接触角は平均95.7であり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表90.4)よりも5以上高い値となっている。

表5に、実施例3のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJ白」において、用紙の表面或いは裏面にブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)各色それぞれの水性インキ4で印刷帯4Aを形成したのちの接触角のデータを示す。表5の上段が用紙の表面に各色それぞれを塗布した印刷帯4Aの接触角データであり、下段が用紙の表面に各色それぞれを塗布した印刷帯4Aの接触角データである。各欄の平均値を表3の「IJ白」欄の平均値と比べればわかるように、いずれの色の水性インキ4で印刷帯4Aを形成した場合にも、接触角は平均値で表53度、裏45度を超えるものであり、塗布前すなわち非印刷帯BLの接触角(表27.3、裏23.0)よりも表で26以上、裏で22以上低い値となっている。

表6に、実施例1のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJF」の実績値を示す。水分吸収率を示すサイズ度はいずれの坪量でも13.6sec以上となっている。

表7に、実施例3のデジタルデータ印刷用紙である銘柄「IJPD」の実績値を示す。水分吸収率を示すサイズ度は坪量に応じて4.5〜9.6sec以上となっている。
その他、本発明は上述した実施例に限定されること無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の要素変更、要素抽出、組み合わせ、組み換え、形態の変更ないし手順の変更や調整を行なうことが可能である。
2種類2冊が重ねて構成された実施例1の冊子様印刷物群(第一、第二印刷物10A、10B)を示す斜視一部破断説明図。 2種類2冊の実施例1の冊子様印刷物群(第一、第二印刷物10A、10B)の斜視分解説明図。 2種類2冊の実施例1の冊子様印刷物群の断面説明図。 実施例2の冊子様印刷物10(第三印刷物10C)を示す斜視一部破断説明図。 実施例2の冊子様印刷物10(第三印刷物10C)の斜視分解説明図。 2種類2冊が重ねて構成された実施例2の冊子様印刷物群(第三、第四印刷物10D)の断面説明図。 複数種類の冊子様印刷物10の処理システムの構成を示す説明図。 実施例1,2における印刷イメージデータの形成方法を示す説明図。 網点諧調の異なる複数の印刷帯(4A1,4A2,・・)データ及び非印刷帯(BL)データのイメージを示す説明図。 実施例3における印刷イメージデータの形成方法を示す説明図。 実施例3の冊子様印刷物群(第一、第二、第三印刷物10A、10B、10C)を示す斜視一部破断説明図。 実施例3の冊子様印刷物群(第一、第二、第三印刷物10A、10B、10C)の斜視分解説明図。 実施例3の冊子様印刷物群の断面説明図。
1 印刷帯用紙
11 第一印刷帯用紙(表紙)(第一ドキュメントデータ)
12 第二印刷帯用紙(表紙)(第二ドキュメントデータ)
13 第三印刷帯用紙(表紙)(第三ドキュメントデータ)
21 感圧トップ紙
22 感圧ミドル紙
23 感圧ボトム紙
2c 発色剤層
2d 顕色財層
31 第一印刷帯用紙(裏紙)
32 第二印刷帯用紙(裏紙)
4 水性インキ
4A 印刷帯
4A1 第一印刷帯データ
4A2 第二印刷帯データ
4A3 第三印刷帯データ
5 セット糊
5s セット糊投錨部
BL 非印刷帯
C 裁断端部
F 綴り辺
10 冊子様印刷物
10A 第一印刷物
10B 第二印刷物
10C 第三印刷物
10D 第四印刷物

Claims (1)

  1. 少なくとも一部の頁に異なるドキュメント内容がデジタルデータ印刷された複数種類の冊子からなる冊子様印刷物群であり、
    各冊子を構成する複数の用紙がそれぞれの印字後に頁順に重ねられ、且つ複数冊分の用紙が冊子の並び順に重ねられた状態で、各用紙の共通する一端部である綴り辺にセット糊が塗布されることで、複数冊が同時に背固め製本されてなるものであって、
    各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうちいずれか一方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域に、水性インキで印刷された印刷帯4Aがデジタルデータ印刷によって水性インキで印刷されたドキュメント内容と同時に形成され、
    各冊子の隣り合う頁間と、隣り合う冊子間のうち残りの他方には、前記綴り辺に沿う所定幅の辺縁領域を、印刷を施さない非印刷帯とすることで、
    各冊子の隣り合う頁間の各辺縁領域の接触角と、隣り合う冊子間の各辺縁領域の接触角とに所定以上の接触角差を設け、
    セット糊は各冊子の頁間の接触角にのみ反応して各辺縁領域面に投錨することを特徴とする冊子様印刷物群の製造方法であって、
    印刷システムによって各頁の印刷ドキュメントデータを印刷帯と共に印刷する印刷ステップと、
    複数の用紙を積層する積層ステップと、
    所定の綴り端辺で裁断する裁断ステップと、
    裁断した綴り端辺の積層側面からセット糊を注入するセット糊注入ステップとを有してなり、
    当接用紙間の結合領域にのみセット糊が投錨され、
    当接用紙間で結合領域を有さない非結合領域にはセット糊が投錨されないことで、
    セット糊製本によって複数の冊子様印刷物を連続形成し、
    前記印刷ステップにおいては、
    ・各頁の印刷ドキュメントデータを冊子群の各冊子分だけまとめて記憶するドキュメントデータ領域と、
    ・低/高接触角部を構成する印刷帯の部分のみの印刷帯データをまとめて記憶する印刷帯データ領域と、
    ・冊子群を構成する各冊子の構成頁の印刷ドキュメントの内容、及び、冊子群を構成する冊子同士の順番を記憶する印刷順及び冊子順データ領域と
    が収容された情報部を有した印刷システムでデジタルデータ印刷するものであり、
    ・前記印刷順及び冊子順データ領域に基づき、冊子群の上部用紙から順に、印刷の対象頁を該当頁としてドキュメントデータ領域内の該当頁のドキュメントデータを呼び出すと共に、
    ・該当頁が冊子の頁間の用紙であるか、冊子間の用紙であるかを認識して、
    ・冊子の頁間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータと印刷帯データとを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
    ・冊子間の用紙であると認識した場合には、前記呼び出したドキュメントデータのみからなる該当頁の印刷イメージデータ、或いは前記呼び出したドキュメントデータとこれを消去する非印刷帯データとを組み合わせた該当頁の印刷イメージデータを形成し、
    ・冊子群の上部用紙から順に、繰り返し該当頁ごとに印刷イメージデータを形成してその印刷イメージデータで該当頁ごとに印刷する冊子様印刷物群の製造方法。
JP2009251559A 2009-11-01 2009-11-01 冊子様印刷物群の製造方法 Active JP5467475B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009251559A JP5467475B2 (ja) 2009-11-01 2009-11-01 冊子様印刷物群の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009251559A JP5467475B2 (ja) 2009-11-01 2009-11-01 冊子様印刷物群の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011093260A JP2011093260A (ja) 2011-05-12
JP5467475B2 true JP5467475B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=44110714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009251559A Active JP5467475B2 (ja) 2009-11-01 2009-11-01 冊子様印刷物群の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5467475B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2860977B2 (ja) * 1994-05-19 1999-02-24 日本製紙株式会社 感圧複写紙の組み分け方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011093260A (ja) 2011-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6517921B2 (en) Laminated card assembly
US5601312A (en) Two-piece cover for binding a plurality of sheets
US6099189A (en) Index divider sheet assembly
AU2005211567B2 (en) Book binding kit
US6361639B1 (en) Method of manufacturing an index divider sheet assembly
JP5467475B2 (ja) 冊子様印刷物群の製造方法
JP2010105372A (ja) 冊子様印刷物群、冊子様印刷物群の製造方法、及び冊子様印刷物群の綴り接着の評価方法
WO2007100964A3 (en) Laser or ink jet printable sheet assembly
JP5024991B2 (ja) ブックタイプの圧着往復はがき
EP1125759A3 (en) Image receiving layer and printer
JP4626974B2 (ja) 冊子用用紙
EP1329335A2 (en) Foldable printable substrate
JP4549831B2 (ja) 往復はがき
JP5722108B2 (ja) 照合情報分離シート
US20070015659A1 (en) Receiver medium for inkjet or thermal dye transfer printing
JP5982930B2 (ja) 冊子状帳票作製用連続用紙、冊子状帳票の作製方法および冊子状帳票作製装置
JP4324688B2 (ja) アルバムキット
JP6315132B2 (ja) 冊子状帳票作製用連続用紙および冊子状帳票
JP5970803B2 (ja) 冊子状帳票作製用連続用紙、冊子状帳票、冊子状帳票の作製方法、冊子状帳票作製装置
JPH10278448A (ja) 冊子及びその製造方法
JP2006001029A (ja) 冊子、及び複写簿
JP4043980B2 (ja) 多層印刷用紙
JP6248377B2 (ja) 冊子状帳票作製用連続用紙、冊子状帳票、冊子状帳票の作製方法、冊子状帳票作製装置
JP2007260977A5 (ja)
JP2002356058A (ja) インクジェット用記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120921

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130819

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5467475

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250