以下詳細な本発明の実施例に関して説明する。
なお、以下の各実施例は、処理の内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
図1は本発明の実施の一形態における医療連携システムの全体構成図である。
本実施形態における医療連携システムは、医療連携装置A1−1と医療連携装置B1−2と医療連携装置C1−3と中継装置4とを有する。なお、医療連携装置の台数は3台に限定されない。
医療連携装置A1−1と医療連携装置B1−2と医療連携装置C1−3と中継装置4とはネットワーク6を介して通信する。そして、医療連携装置A1−1と医療連携装置B1−2と医療連携装置C1−3とは、中継装置4を介してカルテ情報のやりとりを行う。
医療機関Aは、電子カルテシステムA2−1と医療連携装置A1−1とを有する。ここで、医療機関は、例えば医療連携に参加している病院や診療所である。
なお、電子カルテシステムA2−1が、本実施例における医療連携装置A1−1の機能を有するとしてもよい。この場合は、医療連携システムは、電子カルテシステムA2−1と電子カルテシステムB2−2と電子カルテシステムC2−3と中継装置4を有する。
中継センター5は、中継装置4を有する。なお、中継センター5は、例えばデータセンターや医療連携における中核病院である。中継センター5が中核病院である場合は、中継装置4は、中核病院が備える電子カルテシステムの一部であってもよい。
以降、医療連携装置A1−1と医療連携装置B1−2と医療連携装置C1−3とを、区別する必要が無い場合は、医療連携装置1として説明する。また、電子カルテシステムA2−1と電子カルテシステムB2−2と電子カルテシステムC2−3とを、区別する必要が無い場合は、総称して電子カルテシステム2として説明する。
医療連携装置1は、ネットワークおよび中継装置4を介して、他の医療機関が有する他の医療連携装置1からカルテ情報を取得するコンピュータである。さらに、医療連携装置1は、ネットワークおよび中継装置4を介して、他の医療機関が備える他の医療連携装置1へカルテ情報を送信する。詳細は後述する。
電子カルテシステム2は、カルテ情報の管理を行うコンピュータである。電子カルテシステム2の利用者は、カルテ情報を入力する。そして、電子カルテシステム2は、カルテ情報をカルテ情報記憶部22(図8)に記憶する。
中継装置4は、医療機関間のカルテ情報の送受を中継するコンピュータである。中継装置4は、公開先となる医療機関に対する患者の通院履歴等に基づいて、公開元となる医療機関から公開されるカルテ情報の公開レベルを判定する。さらに、中継装置4は、判定した公開レベルに基づいて、医療機関ごとの公開範囲を決定する。公開範囲は、上述のような各医療機関の電子カルテの運用の違いを吸収できるようにして設定される。詳細は後述する。
ネットワーク6は、例えばインターネット、携帯電話網、電話網等の通信網である。通信網は、有線通信網または無線通信網である。
医療機関Aが、患者Xのカルテ情報を、医療機関Bおよび医療機関Cから公開を受ける場合について説明する。つまり、公開先医療機関は、医療機関Aであり、公開元医療機関は、医療機関Bおよび医療機関Cである。
医療機関Aの医療連携装置A1−1は、中継装置4に対して、患者Xのカルテ情報の公開依頼を送信する。公開依頼には、患者Xを識別する患者識別情報が含まれる。なお、公開依頼が送信されるタイミングは、医療連携装置A1−1が端末装置10(図8)から患者Xのカルテ情報の公開を要求する信号を受信したタイミングなどである。例えば、患者Xのカルテ情報の公開を要求する信号は、医療機関Aの医師による入力に基づいて、端末装置10(図8)から送信される。
中継装置4は、医療機関Bの医療連携装置B1−2に公開命令を送信する。さらに、中継装置4は、医療機関Cの医療連携装置C1−3に公開命令を送信する。公開命令は、後述の処理によって、医療機関ごとに決定された公開範囲を含む。つまり、医療連携装置B1−2へ送信される公開命令と医療連携装置C1−3へ送信される公開命令とに含まれる公開範囲は、互いに異なるものである場合がある。
公開命令を受信した医療機関Bの医療連携装置B1−2は、公開命令に基づいて、患者Xのカルテ情報を抽出する。そして、医療連携装置B1−2は、抽出した患者Xのカルテ情報を、ネットワーク6を介して、中継装置4へ送信する。なお、以降、抽出されたカルテ情報を公開カルテ情報と称する。そして、中継装置4は、受信した公開カルテ情報を、医療機関Aの医療連携装置A1−1へ送信する。
そして、医療連携装置A1−1は、端末装置10へ公開カルテ情報を出力する。端末装置10を操作する公開先医療機関Aの医師は、医療機関Bにおける患者Xの公開カルテ情報を参照しながら、患者Xの診療に当たることができる。
次に、図2を用いて、中継装置4の機能について説明する。図2は、中継装置4の機能ブロック図である。
中継装置4は、通信部41と登録部42と管理情報記憶部43と判定部44と公開レベル記憶部45と決定部46と公開範囲記憶部47と編集部48とを有する。
中継装置4は、コンピュータであって、ネットワークを介して、他のコンピュータと通信する。
通信部41は、医療連携装置1と通信を行う処理部である。例えば、通信部41は、医療連携装置1から、公開依頼を受信する。登録部42は、複数の医療機関の間で患者を共通管理するための情報を登録する処理部である。例えば、登録部42は、患者に複数医療機関において一意の共通患者IDを付与する。そして、登録部42は、管理情報記憶部43に格納される患者紐付けテーブルに各医療機関におけるローカルIDと共通患者IDとを対応付けて格納する。
管理情報記憶部43は、患者を共通管理するための各種テーブルを記憶する記憶部である。詳細は、後述する。
判定部44は、患者のカルテ情報を公開するレベルを判定する処理部である。例えば、判定部44は、カルテ情報が公開される患者と公開先の医療機関との関係に基づいて、管理情報記憶部43を参照し、公開レベルを決定する。
公開レベル記憶部45は、判定部によって決定された公開レベルに対して、公開対象とするカルテ情報の種別を定義するテーブルを記憶する記憶部である。詳細は後述する。
決定部46は、判定部44が判定した公開レベルに対して、医療機関ごとの公開範囲を決定する処理部である。例えば、決定部46は、公開対象となった種別のカルテ情報に対して、医療機関ごとに公開範囲を決定する。
なお、カルテ情報の種別とは、カルテ情報に含まれる種情報ごとに、付される情報である。例えば、カルテ情報に含まれる、受診歴情報、プロフィール情報、経過情報、検査オーダ情報、検査結果情報、処方オーダ情報など情報を、互いに識別する情報が種別である。
公開範囲記憶部47は、医療機関ごとに、公開対象となった種別のカルテ情報のうち、どの範囲を公開すべきかを定義したテーブルを記憶する記憶部である。詳細は後述する。
管理情報記憶部43が格納する患者紐付けテーブル431と主治医情報テーブル432と紹介情報テーブル433とを図3および図4を用いて説明する。
図3Aは、患者紐付けテーブル431のデータテーブル例である。
患者紐付けテーブル431は、共通患者ID4311と医療機関ID4312とローカル患者ID4313のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。実施例において、患者紐付けテーブル431は、必要な項目を適宜備えても良い。
患者紐付けテーブル431の項目「共通患者ID」4311は、複数の医療機関における患者を一意に識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「0001」が格納される。患者紐付けテーブル431の項目「医療機関ID」4312は、複数の医療機関を一意に識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「A」が格納される。患者紐付けテーブル431の項目「ローカル患者ID」4313は、各医療機関で付された、単独の医療機関において患者を一意に識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「00012」が格納される。
患者紐付けテーブル431の作成処理については後述する。患者紐付けテーブルを有することで、各医療機関で付されたローカル患者IDを利用することができる。つまり、共通患者IDに基づいて、患者紐付けテーブルを参照すると、医療機関Aにおけるローカル患者ID「00012」の患者が、医療機関Bにおけるローカル患者ID「02000」に対応することがわかる。以上のように、患者紐付けテーブルを有することで、複数の医療機関における患者のローカルIDを対応付けて、管理することができる。
図3Bは、主治医情報テーブル432のデータテーブル例である。
主治医情報テーブル432は、共通患者ID4321と医療機関ID4322と主治医ID4323のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。主治医情報テーブル432は、これら全ての項目を備える必要は無い。また、実施例において、必要な項目を適宜設置しても良い。
主治医情報テーブル431の項目「共通患者ID」4321は、複数の医療機関における患者を一意に識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「0001」が格納される。主治医情報テーブル431の項目「医療機関ID」4322は、主治医が存在する医療機関の医療機関IDを格納するデータ領域である。例えば、「A」が格納される。主治医情報テーブル431の項目「主治医ID」4323は、患者の主治医を識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「DR001」が格納される。なお、主治医IDは、医師を識別する医師IDと同様の情報が、格納される。
つまり、共通患者ID「0001」の患者は、医療機関ID「A」の医療機関の主治医ID「DR001」の医師が主治医であることがわかる。主治医とは、ホームドクターやかかりつけ医とも呼ばれ、患者の信頼を受けている医師のことである。なお、主治医情報テーブルへの主治医の登録は、患者が主治医の申請登録を行った時点で、なされる。また、複数人の主治医が登録されてもよい。また、医師までを指定せずとも、医療機関をかかりつけ医院として指定することもできる。
図4は、紹介情報テーブル433のデータテーブル例である。
紹介情報テーブル433は、共通患者ID4331と紹介元医療機関ID4332と紹介元医師ID4333と紹介先医療機関ID4334と紹介医師ID4335のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。実施例において、必要な項目を適宜設置しても良い。
紹介情報テーブル433の項目「共通患者ID」4331は、複数の医療機関における患者を一意に識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「0001」が格納される。紹介情報テーブル433の項目「紹介元医療機関ID」4332は、紹介元の医療機関を識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「B」が格納される。ここで、紹介とは、医師の判断で、患者の診療を行う医療機関を変更することである。よって、紹介を行った医師が存在する医療機関が紹介元医療機関となる。
紹介情報テーブル433の項目「紹介元医師ID」4333は、紹介を行った医師に関する医師IDを格納するデータ領域である。例えば、「DR005」が格納される。紹介情報テーブル433の項目「紹介先医療機関ID」4334は、紹介先の医療機関に関する医療機関IDを格納するデータ領域である。例えば、「A」が格納される。紹介情報テーブル433の項目「紹介先医師ID」4335は、紹介を行った医師に関する医師IDを格納するデータ領域である。例えば、「DR013」が格納される。
図4は、共通患者ID「0001」の患者が、紹介元医療機関ID「B」の医療機関の紹介元医師ID「DR005」の医師によって、紹介先医療機関ID「A」の紹介先医師ID「DR013」の医師に紹介されたことを示す。
紹介情報テーブル433は、中継装置4が紹介元医療機関の医療連携装置1から紹介情報を受信した時点で、登録部42によって、登録される。紹介情報は、紹介元医療機関におけるローカル患者IDと紹介元医療機関IDと紹介元医師IDと紹介先医療機関IDと紹介先医師IDとを含む。なお、登録部42は、紹介元医療機関IDにおけるローカル患者IDに対応する共通患者IDを取得する。そして、登録部42は、紹介情報テーブル433の共通患者ID4331に取得した共通患者IDを設定する。
続いて、公開レベル記憶部45を図5を用いて説明する。図5は、公開レベル定義テーブル450のデータ例である。なお、公開レベル定義テーブル450は、公開レベル記憶部45に格納されるデータテーブルである。
公開レベル定義テーブル450は、公開レベル451とカルテ情報種別ID452とカルテ情報種別453のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。実施例において、必要な項目を適宜設置しても良い。
公開レベル定義テーブル450の項目「公開レベル」451は、公開レベルを識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「1」が格納される。公開レベル定義テーブル450の項目「カルテ情報種別ID」452は、カルテ情報の種別を識別するための情報を格納するデータ領域である。例えば、「M1」が格納される。公開レベル定義テーブル450の項目「カルテ情報種別」453は、対応するカルテ情報種別IDが表すカルテ情報の種別名を格納するデータ領域である。例えば、「プロフィール情報」が格納される。つまり、カルテ情報種別ID「M1」は、さまざまな種別のカルテ情報のうち、プロフィール情報を識別する情報である。
さらに、図5の例では、公開レベル「3」であれば、公開元医療機関のカルテ情報のうち、カルテ情報種別ID「M1」「M2」「M3」「M4」の種別のカルテ情報が、公開先医療機関への公開対象となることを示す。
図5においては、全患者について、あるレベルで公開するカルテ情報種別を一律に設定しているが、さらにレベルごとに公開するカルテ情報種別を患者ごとに設定してもよい。このように、患者ごとに設定することをカスタマイズ設定と称する。
カスタマイズ設定の場合は、公開レベル定義テーブル450は、さらに共通患者IDを備える。そして、カスタマイズ設定を行った患者に対するカルテ情報の公開であれば、本実施例は、設定された内容に基づいて、カルテ情報の公開を行うことができる。さらに、医療機関ごとに、あるレベルにおける公開対象カルテ情報種別IDを設定するとしてもよい。
つぎに、公開範囲記憶部47を図6を用いて説明する。図6は、公開範囲定義テーブル470のデータ例である。なお、公開範囲定義テーブル470は、公開範囲記憶部47に格納されるデータテーブルである。
公開範囲定義テーブル470は、医療機関ID471とカルテ情報種別ID472と構成情報ID473のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。なお、公開範囲定義テーブル470は、実施例において、必要な項目を適宜備えるとする。
公開範囲定義テーブル470の項目「医療機関ID」471は、医療機関を識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「B」が格納される。公開範囲定義テーブル470の項目「カルテ情報種別ID」472は、カルテ情報種別IDを格納するデータ領域である。例えば、「M1」が格納される。公開範囲定義テーブル470の項目「構成情報ID」473は、対応する種別のカルテ情報を構成する情報を識別する情報を格納するデータ領域である。例えば、「M1−1」が格納される。公開範囲定義テーブル470の項目「構成情報名称」474は、対応する構成情報IDが表す構成情報の名称を格納するデータ領域である。例えば、「身体情報」が格納される。つまり、構成情報ID「M1−1」は、医療機関ID「B」においては、カルテ情報種別「M1」である「プロフィール情報」を構成する情報であって、身体情報であることをあらわしている。
図6の公開範囲定義データテーブル470について、図7を用いてより詳細に説明する。図7は、医療機関Bにおける、電子カルテシステムを用いて登録管理される各種カルテ情報と構成情報との関係を表した図である。
例えば、医療機関Bの運用では、カルテ情報種別ID「M1(プロフィール情報)」71には、構成情報ID「M1−1」である「身体情報」と、構成情報ID「M1−2」である「要注意事項」と、構成情報ID「M1−3」である「家族連絡先」と、が登録されることになっている(実線枠71)。
しかし、要注意事項(M1−2)には、「支払いが滞っている」「暴力行為があった」「クレームが多い」などの、情報が登録される。つまり、この情報は、患者にとって、公開先医療機関には公開されたくない情報であると考えられる。したがって、「プロフィール情報:M1」を公開する場合に、実線71内の構成情報「身体情報(M1−1)」と「家族連絡先(M1−3)」と「要注意事項(M1−2)」との全てを、公開の対象とすることは、問題がある。
そこで、図6の公開範囲定義テーブルは、医療機関ID「B」においては、プロフィール情報「M1」を構成する構成情報は、「身体情報(M1−1)」と「家族連絡先(M1−3)」であることを定義している。つまり、図7における点線枠81が、公開先医療機関にカルテ情報を公開する際の、見かけ上のプロフィール情報(M1)ということとなる。
同様に、医療機関Bの運用上は、「内科入力(M3−1)」と「外科入力(M3−2)」と「精神科入力(M3−3)」の情報が、カルテ情報種別「経過情報(M3)」として登録されているとする(実線枠72)。しかし、医療機関Bが公開元医療機関となる場合は、カルテ情報種別「経過情報(M3)」として、「内科入力(M3−1)」と「外科入力(M3−2)」とが、公開される(点線枠82)。
さらには図6において矢印91および矢印92が示すレコードについて、図7を用いて説明する。医療機関Bの運用上、カルテ情報種別「メンタル情報(M5)」には、院内カウンセラーとの対話に基づいた「カウンセリング結果(M5−1)」が登録されるとする(実線枠73)。しかし、運用上は経過情報に含まれる構成情報「精神科入力(M3−3)」にも、メンタルに関する情報が登録されているはずである。
したがって、医療機関Bがカルテ情報種別「メンタル情報」を公開する場合は、構成情報「カウンセリング結果(M5−1)」と構成情報「精神科入力(M3−3)」とを公開する(点線枠83)。したがって、図6における矢印91のレコードは、医療機関ID「B」がカルテ種別ID「M5」の「メンタル情報」を公開する場合には、構成情報ID「M3−3」の「精神科入力」も公開されることを示している。同様に、図6における矢印92のレコードは、医療機関ID「B」がカルテ種別ID「M6」の「特記事項情報」を公開する場合には、構成情報ID「M1−2」の「要注意事項」が公開されることを示している。
続いて、医療連携装置1および電子カルテシステム2の各機能について説明する。図8は、医療連携装置1および電子カルテシステム2の機能ブロック図である。
医療連携装置1は、第一通信部11と抽出部12と公開情報生成部13と第二通信部14と依頼生成部15とを有する。
また、電子カルテシステム2は患者情報記憶部21とカルテ情報記憶部22とを有する。上述の通り、電子カルテシステム2が、医療連携装置の各機能の一部または全部を有するとしても良い。
なお、図8に記載されている各記憶部以外にも、電子カルテシステムは、従来の電子カルテシステムが有する各機能を有する。例えば、処方オーダ機能や、会計処理機能などである。
まず、医療連携装置1の各処理部について説明する。第一通信部11は、中継装置4と通信を行う処理部である。例えば、第一通信部11は、中継装置4へ、公開依頼を送信する。抽出部12は、患者情報記憶部21またはカルテ情報記憶部22から、所定の情報を抽出する。例えば、抽出部12は、所定のカルテ情報をカルテ情報記憶部22から抽出する。公開情報生成部13は、抽出したカルテ情報を、所定のフォーマットへ変換する。例えば、変換部は、公開カルテ情報を、他の医療機関と共通のフォーマットへ変換する。
第二通信部14は、ユーザが操作する端末装置と通信を行う処理部である。例えば、他の医療機関から公開されたカルテ情報を端末装置へ送信する。また、依頼生成部15は、公開依頼を生成する処理部である。例えば、第二通信部14が端末装置10から患者のカルテ情報の公開要求を受信した場合に、依頼生成部15が公開依頼を生成する。なお、公開依頼には、公開先医療機関である自らの医療機関IDと、公開対象とする患者のローカル患者IDと、検索条件情報とを含む情報である
続いて、電子カルテシステム2が備える記憶部について説明する。患者情報記憶部21は、患者の情報を記憶する記憶部である。詳細は後述する。カルテ情報記憶部22は、さまざまな種別のカルテ情報を記憶する記憶部である。詳細は後述する。なお、種別ごとに、異なる記憶部にカルテ情報が格納されても良い。
患者情報記憶部21が格納する患者情報テーブル210を図9を用いて説明する。
図9は、患者情報テーブル210のデータテーブル例である。さらに、図9は、本実施例において、公開元医療機関となる医療機関Bにおける患者情報テーブルをあらわす。なお、各医療機関には、各医療機関が患者を管理するために、患者情報テーブル210が用意されている。
患者情報テーブル210は、ローカル患者ID211と患者氏名212と生年月日213と保険者番号214のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。患者情報テーブル210は、これら全ての項目を備える必要は無く、実施例において、必要な項目を適宜設置しても良い。
患者情報テーブル210の項目「ローカル患者ID」211は、上述のローカル患者IDを格納するデータ領域である。例えば、医療機関Bにおいて患者を一意に識別するためのローカルID「02000」が格納される。患者情報テーブル210の項目「患者氏名」212は、患者の氏名を格納するデータ領域である。例えば、「ヤマダタロウ」が格納される。
患者情報テーブル210の項目「生年月日」213は、患者の生年月日を格納するデータ領域である。例えば、「1980.1.1」が格納される。これは1980年1月1日生まれであることを示している。患者情報テーブル210の項目「保険者番号」214は、患者に対して、国や地方自治体などから支給された保険者番号を格納するデータ領域である。例えば、「12345678」が格納される。患者情報テーブル210は、さらに保険証に記載されている記号番号を格納するデータ領域を備えても良い。
続いて、カルテ情報記憶部22が格納するカルテ情報テーブル220を図10を用いて説明する。
図10は、カルテ情報テーブル220のデータテーブル例である。さらに、図10は、本実施例において、公開元医療機関となる医療機関Bにおけるカルテ情報テーブルをあらわす。なお、各医療機関には、各医療機関で発生したカルテ情報を管理するためのカルテ情報テーブル220が用意されている。
カルテ情報テーブル220は、ローカル患者ID221と登録日222と構成情報ID223と登録データ224のそれぞれに関する情報を対応付けて格納する。カルテ情報テーブル220は、これら全ての項目を備える必要は無く、実施例において、必要な項目を適宜設置しても良い。
カルテ情報テーブル220の項目「ローカル患者ID」221は、上述のローカル患者IDを格納するデータ領域である。例えば、医療機関Bにおいて患者を一意に識別するためのローカルID「02000」が格納される。
カルテ情報テーブル220の項目「登録日」222は、カルテ情報が登録された日を格納するデータ領域である。例えば、登録日「2010.3.1」が格納される。なお、2010年3月1日に当該レコードのカルテ情報が登録されたことを示す。項目「登録日」222は、さらに時間の情報までも格納することとしても良い。
カルテ情報テーブル220の項目「構成情報ID」222は、上述の構成情報IDを格納するデータ領域である。例えば、「M3−1」が格納される。カルテ情報テーブル220の項目「登録データ」224は、登録されたデータを格納するデータ領域である。例えば、「食欲が減少」が格納される。
また、登録データのデータ量が膨大になることも考えられるので、登録データの格納先を登録することとしても良い。例えば、X線画像を格納するデータベース(以下、DB)と、DB内の格納場所を示す情報を、登録データの代わりにカルテ情報テーブルに格納しても良い。この場合は、後述の医療連携装置1によるカルテ情報の抽出において、カルテ情報テーブルを参照し、データの格納先のDBを検索する。そして、医療連携装置は、DBから目的のカルテ情報の実データを抽出することとなる。
続いて、医療連携システムが有する中継装置4と医療連携装置1において、図2と図8とに示す各処理部の関連した動きについて、図11乃至図14を用いて説明する。
まず、図11を用いて、各医療機関を訪れた患者について、中継装置4へ患者の情報を登録するための処理を説明する。図11は、患者登録処理のフローチャートである。図11は、医療機関Aを訪れたことのある患者の情報を中継装置に登録すると共に、登録された患者を他の医療機関Bにおけるローカル患者IDと紐付ける処理を表している。なお、他の医療機関は医療機関B以外にも複数存在するとしても良い。
図11の処理は、例えば、医療機関が医療連携装置1を導入した時点や所定時間毎に実行される処理である。例えば、24時間ごとに実行される。
まず、医療機関Aが備える医療連携装置A1−1の第一通信部11は、登録したい患者のローカル患者IDと医療機関IDと患者情報の一部とを含む患者登録依頼を中継装置4へ送信する(S101)。例えば、登録したい患者の医療機関AにおけるローカルIDが「0012」であるとする。この場合は、患者登録依頼にはローカル患者ID「0012」と医療機関ID「A」とが含まれる。
なお、患者情報テーブルに中継装置4への登録を行ったか否かの情報を格納する項目をもうけても良い。そして、依頼生成部15は、登録がなされていない患者を登録したい患者として、当該患者のローカル患者IDを含む患者登録依頼を生成する。
なお、患者情報の一部とは、抽出部12が、電子カルテシステム2が有する患者情報記憶部21に格納された患者情報テーブル210から抽出した情報である。例えば、患者氏名や保険者番号などが、患者登録依頼に含まれることとなる。そして、患者登録依頼に含まれる患者情報の一部を以下、検索条件情報と称する。
中継装置4の通信部41は、患者登録依頼を受信する(S201)。そして、通信部41は、医療機関Bが備える医療連携装置B1−2の第一通信部11に対して、患者検索命令を送信する(S202)。患者検索命令は、医療連携装置B1−2や医療連携装置C1−3など中継装置4と通信する複数の医療連携装置1に送信される。患者検索命令には、検索条件情報が含まれる。例えば、S201にて受信した保険者番号「12345678」が含まれる。
医療連携装置B1−2の第一通信部11は、患者検索命令を受信する(S301)。そして、患者検索命令を受け取った抽出部12は、医療機関Bの電子カルテシステムB2−2が備える患者情報記憶部21に格納された患者情報テーブル210を参照する。そして、抽出部12は、患者検索命令に含まれる検索条件情報に基づいて、検索条件情報を含む患者情報からローカル患者IDを抽出する(S302)。例えば、図9に示した医療機関Bの患者情報テーブル210では、抽出部12は、検索条件である保険者番号「12345678」を患者情報に含むローカル患者ID「02000」を抽出する。
そして、第一通信部11は、抽出したローカル患者IDと医療機関IDとを含む患者検索結果を、中継装置4の通信部へ送信する(S303)。例えば、ローカル患者ID「02000」と医療機関ID「B」とを含む患者検索結果が送信される。
なお、検索条件情報に合致する患者情報が、患者情報記憶部21に存在しない場合は、該当患者が存在しない旨の情報を生成する。そして、第一通信部11は、患者検索結果に、該当患者が存在しない旨の情報を含めて送信する。例えば、該当患者が存在しない場合は、「00000」と医療機関ID「B」とを含む患者検索結果が送信される。
中継装置4の通信部は、医療連携装置1から患者検索結果を受信する(S204)。そして、登録部42は、患者紐付けテーブル431を参照し、患者検索結果に含まれるローカル患者IDと医療機関IDとを含むレコードが存在するか否かを判定する(S205)。なお、該当患者が存在しない旨の情報を含む患者検索結果を受信した場合は、以下の処理は行わない。中継装置4は、他の医療連携装置1からの患者検索結果を受信するまで待機する。
そして、存在する場合は(S205YES)、すでに当該患者には、共通患者IDが付番済みであると判断される。よって、登録部42は、当該レコードに含まれる共通患者IDを取得する(S206)。そして、登録部42は、患者登録依頼に含まれる、ローカル患者IDと医療機関IDと共通患者IDとを含むレコードを、患者紐付けテーブルに追加する(S207)。
例えば、患者紐付けテーブル431には、図3Aにおいて、矢印93のレコードがなく、矢印94のレコードが存在する状態であったとする。
S205において、登録部42は、患者検索結果に含まれるローカル患者ID「02000」と医療機関ID「B」とを含むレコード(矢印94)が存在すると判定する。よって、登録部42は、レコード(矢印94)に含まれる共通患者ID「0001」を取得する(S206)。この場合は、医療連携装置A1−1からの患者登録依頼前に、医療連携装置B1−1によって患者登録がなされていたこととなる。
そして、登録部42は、患者登録依頼に含まれる、ローカル患者ID「00012」と医療機関ID「A」と共通患者ID「0001」とを含むレコード(矢印93)を、患者紐付けテーブルに追加する(S207)。
一方、レコードが存在しない場合は(S208NO)、当該患者には、共通患者IDが付番されていないと判断される。よって、登録部42は、共通患者IDを付番する(S208)。そして、登録部42は、患者登録依頼に含まれる、ローカル患者IDと医療機関IDと共通患者IDとを含むレコードを、患者紐付けテーブルに追加する(S209)。さらに、登録部42は、患者検索結果に含まれる、ローカル患者IDと医療機関IDと共通患者IDとを含むレコードを、患者紐付けテーブルに追加する(S209)。そして、本処理を終了する。
例えば、患者紐付けテーブル431には、矢印93および矢印94のレコードが存在しないとする。
S205において、登録部42は、患者検索結果に含まれるローカル患者ID「02000」と医療機関ID「B」とを含むレコード(矢印94)が存在しないと判定する。登録部42は、共通患者ID「0001」を付番する(S208)。そして、登録部42は、患者登録依頼に含まれる、ローカル患者ID「00012」と医療機関ID「A」と共通患者ID「0001」とを含むレコード(矢印93)を、患者紐付けテーブルに追加する(S209)。
さらに、登録部42は、患者検索結果に含まれる、ローカル患者ID「02000」と医療機関ID「B」と共通患者ID「0001」とを含むレコード(矢印94)を、患者紐付けテーブルに追加する(S209)。
以上の処理によって、各医療機関を訪れていた患者のローカル患者IDを、他の医療機関のローカル患者IDに紐付けることができる。
ここで、予め、患者が医療連携への参加手続きを行い、患者に対して共通患者IDが付与され、患者が、共通患者IDを持って、各医療機関を訪れる場合もある。この場合は、予め複数の医療機関において一意に患者を識別する共通患者IDに基づいて、後述のカルテ情報公開処理が実行される。
つまり、各医療機関における患者情報テーブル210には、項目「ローカル患者ID」の変わりに項目「共通患者ID」が設けられる。そして、共通患者IDをキーに該当する患者のカルテ情報がやり取りされる。そして、ある医療機関のローカル患者IDと他の医療機関のローカル患者IDとの紐付けも不要となる。
一方、図11に開示の処理によりローカル患者IDを紐付けることで、ローカル患者IDを利用した後述の公開処理が可能となる。ローカル患者IDを利用することで、例えば、事前の共通患者ID付与のための登録作業の省略が可能となる。さらには、患者が共通患者IDを忘却した場合でも対応可能となる。
続いて、図12乃至図14を用いて、医療連携におけるカルテ情報の公開処理について説明する。図12乃至図14は、カルテ情報公開処理のフローチャートである。
まず、公開先医療機関の医療連携装置A1−1の第二通信部14は、端末装置10から、カルテ情報公開要求を受信する。カルテ情報公開要求には、ローカル患者IDが含まれる。そして、依頼生成部15は、公開依頼を生成する。公開依頼は、公開先となる医療機関IDと、公開対象とする患者のローカル患者IDと、検索条件情報とを含む情報である。
そして、第一通信部11は、公開依頼を中継装置4へ送信する(S401)。たとえば、ローカル患者ID「00012」と医療機関ID「A」と検索条件「保険者番号12345678」とを含む公開依頼が送信される。
中継装置4の通信部は、公開依頼を受信する(S501)。公開依頼を受け取った判定部44は、公開依頼から、医療機関IDとローカル患者IDとを抽出する。そして、判定部44は、管理情報記憶部43の患者紐付けテーブル43を参照し、医療機関IDとローカル患者IDとを有するレコードが存在するかを判定する(S502)。
存在する場合は(S502YES)、患者の登録処理が以前に行われていたことを示すため、当該患者は、過去に公開先医療機関を訪れたことがあると判定される。続いて、判定部44は、該当するレコードに含まれる共通患者IDを取得する(S500)。
判定部44は、管理情報記憶部43の主治医情報テーブル432を参照し、共通患者IDと医療機関IDとを含むレコードが存在するかを判定する(S503)。存在する場合は、公開先医療機関は、当該患者にとってかかりつけ医療機関であると判断される。なお、公開依頼に、公開依頼を行った医師の医師IDが含まれるとしても良い。その場合は、さらに、判定部44は、管理情報記憶部43の主治医情報テーブル432を参照し、共通患者IDと医療機関IDと医師IDとを含むレコードが存在するかを判定する。存在する場合は、公開する医師は、主治医であると判断される。
そして、判定部44は、公開先医療機関に対して、公開元医療機関から公開されるカルテ情報の公開レベルを「4」に設定する(S505)。図5にあるように、公開レベル「4」は、レベル値が低い他の公開レベルと比較して、より多くのカルテ情報種別が公開の対象となる。つまり、患者の信用が大きいことが予想される主治医(またはかかりつけ医療機関)が公開先である場合には、より多くの情報が公開元医療機関から公開されるように設定できる。
また、主治医情報テーブルに該当するレコードが存在しない場合は(S503NO)、判定部44は、公開先医療機関はかかりつけ医療機関ではないと判断する。そして、判定部44は、公開先医療機関に対して、公開元医療機関から公開されるカルテ情報の公開レベルを「2」に設定する(S506)。中継装置4は、端子Cを介して図14のS515へ処理を進める。
一方、S502において、患者紐付けテーブルに該当するレコードが存在しない場合(S502NO)、判定部44は、当該患者は公開先医療機関を始めて訪れたと判断する。そして、中継装置4は、端子Bを介して、図13のS507へ処理を進める。
中継装置4の通信部41は、患者検索命令を送信する(S507)。S202と同様に、患者検索命令には、検索条件情報が含まれる。なお、検索条件情報は、公開依頼から抽出された検索条件情報である。
ここで、S507はS202と、S508はS203と、S509はS204と、S601はS301と、S602とS302と、S603はS303と同様の処理である。よって、説明は割愛する。
S509にて患者検索結果を受信した場合は、登録部42は、患者検索結果から、医療機関IDとローカル患者IDとを抽出する。そして、登録部42は、患者紐付けテーブル431を参照し、医療機関IDとローカル患者IDをキーに共通患者IDを取得する(S510)。
なお、複数の医療連携装置1に対して患者検索命令を送信する場合は、中継装置4は複数の患者検索結果を各医療連携装置1から受信することとなる。したがって、上述のような、該当患者が存在しない旨の情報を含む患者検索結果でなく、ローカル患者IDを含む患者検索結果を受信した時点で、他の医療連携装置1から送信された患者検索結果を破棄することとしても良い。
なお、いずれの医療連携装置1からも、ローカル患者IDを含む患者検索結果を受信しなかった場合は、カルテ情報を有する医療機関が存在しないこととなる。よって、中継装置4は公開先医療機関の医療連携装置1へ、公開カルテ情報が無い旨の通知を行う。
図13の説明に戻って、登録部42は、取得した共通患者IDと公開依頼に含まれる医療機関IDとローカル患者IDとを対応付けて、患者紐付けDBに登録する(S511)。この処理によって、公開先医療機関を初診で訪れた患者が、他の医療機関における患者ローカルIDと紐付けられることとなる。つまり、例えば、図11の処理を所定時間毎に行うこととした場合に、公開処理のタイミングによっては、患者登録がなされていない可能性が生じる。よって、S507乃至S511の処理によって、図11の処理に漏れた患者の紐付けを行うことができる。
続いて、判定部44は、共通患者IDをキーに紹介情報テーブル433を参照する。そして、判定部44は、医療機関IDを紹介先医療機関ID4334に有し、且つ共通患者IDを有するレコードが存在するかを判定する(S512)。
存在する場合は(S512YES)、判定部44は、公開先医療機関は紹介先医療機関にあたり、当該患者は紹介元医療機関の紹介で公開先医療機関を訪れたと判定する。そして、判定部44は、レコードの紹介元医療機関ID4332に格納されている紹介元医療機関IDの医療機関の公開レベルを「3」に設定する(S513)。
紹介元医療機関が当該患者を紹介したということは、以前に紹介元で行われた診療や検査や処方の情報を提供することが要求されるためである。さらに、判定部44は、それ以外の医療機関の公開レベルを「2」に設定する(S513)。なお、設定した公開元医療機関の公開レベルは、医療機関IDと対応付けて、メモリ上に記憶される(図示せず)。
一方、該当するレコードが存在しない場合は(S514)、判定部44は、患者は公開先医療機関に、紹介されずに初めて訪れたと判断する。そして、判定部44は、公開元医療機関の公開レベルを「1」に設定する(S514)。
例えば、S502において、患者紐付けテーブルに医療機関ID「A」とローカル患者ID「00012」とを有するレコード(図3Aの矢印93)が存在しなかったとする(S502)。
中継装置4の通信部41は、検索条件「保険者番号12345678」を含む患者検索命令を送信する(S507)。
そして、S509にて医療連携装置B1−2から医療機関ID「B」とローカル患者ID「02000」とを含む患者検索結果を受信したとする。登録部42は、患者検索結果から、医療機関ID「B」とローカル患者ID「02000」とを抽出する。そして、登録部42は、患者紐付けテーブル431を参照し、医療機関ID「B」とローカル患者ID「02000」をキーに共通患者ID「0001」を取得する(S510)。
登録部42は、取得した共通患者ID「0001」と公開依頼に含まれる医療機関ID「A」とローカル患者ID「00012」とを対応付けて、患者紐付けDBに登録する(S511)。
続いて、判定部44は、共通患者IDをキーに紹介情報テーブル433を参照する。そして、判定部44は、医療機関ID「A」を紹介先医療機関ID4334に有し、且つ共通患者ID「0001」を有するレコードが存在するかを判定する(S512)。
存在するので(S512YES)、判定部44は、レコードの紹介元医療機関ID4332に格納されている紹介元医療機関ID「B」の医療機関の公開レベルを「4」に設定する(S513)。さらに、判定部44は、それ以外の医療機関Cの公開レベルを「2」に設定する(S513)。
そして、中継装置4は、端子Cを介して、図14のS515へ処理を進める。
決定部46は、S500またはS510で取得した共通患者IDを有する患者紐付けテーブル431に存在するレコードを読み出す(S515)。そして、決定部46は、レコードに含まれる医療機関IDに対応する医療機関ごとに公開範囲を決定する(S516)。
例えば、S515にて、共通患者ID「0001」のカルテ情報を医療機関Aへ公開する場合、医療機関A以外の医療機関のレコードが読み出される。例えば、まず医療機関ID「B」のレコードが読み出される。ここでは、公開先医療機関に対する患者のカルテ情報の公開レベルが「3」であったとする。
決定部46は、公開レベル定義テーブル450を参照し、公開レベル「3」を有するレコードを順次読み出す。例えば、公開レベル「3」、カルテ情報種別ID「M3」、カルテ情報種別「処方情報」を有するレコードが読み出されたとする。決定部46は、公開範囲定義テーブル470を参照し、カルテ情報種別ID「M3」および医療機関ID「B」に対応するレコードを全て読み出す。
ここでは、医療機関ID「B」、カルテ情報種別ID「M3」、構成情報ID「M3−1」を含むレコードと、医療機関ID「B」、カルテ情報種別ID「M3」、構成情報ID「M3−2」を含むレコードとが読み出される。つまり、構成情報ID「M3−1」と「M3−2」とが公開範囲に含まれる構成情報となる。また、公開レベル「3」であるので、他にプロフィール情報(ID=M1)と来院履歴情報(ID=M2)と処方情報(ID=M4)とに対しても同様に、公開元医療機関に公開させる構成情報IDが決定される。
そして、決定部46は、レコードに含まれる全ての構成情報IDと医療機関IDと当該医療機関におけるローカル患者IDとを含む公開命令を生成する。ローカル患者IDは、患者紐付けテーブルから取得される。
例えば、構成情報ID「M3−1」と「M3−2」と医療機関ID「B」と医療機関Bにおける共通患者ID「0001」に対応するローカル患者ID「02000」とを有する公開命令が作成される。なお、公開命令には、他に、構成情報ID「M1−1」と「M1−3」と「M2−1」と「M4−1」とが含まれる。
続いて、通信部41は、公開命令に含まれる医療機関IDに対応する医療機関が備える医療連携装置B1−2に公開命令を送信する(S517)。 そして、中継装置4の決定部46は、共通患者IDを有する患者紐付けテーブル431に存在する全てのレコードに対して、公開範囲を決定したか否かを判定する(S518)。終了するまで、S515からS516の処理を繰り返す。
一方、医療連携装置B1−2の第一通信部11は、公開命令を受信する(S604)。そして、抽出部12は、公開命令に含まれるローカル患者IDのカルテ情報を構成する構成情報のうち、公開命令に含まれる公開対象となる構成情報IDに対応する情報をカルテ情報テーブル220から抽出する。なお、本実施形態においては、登録データと登録日と構成情報IDとが公開カルテ情報とする。
例えば、カルテ情報テーブル220におけるローカル患者ID「02000」を有するレコードのうち、構成情報ID「M3−1」と「M3−2」と「M1−1」と「M1−3」と「M2−1」と「M4−1」とを有するレコードの登録データおよび登録日とが抽出される。
ここでは、登録日「2010.3.1」と登録データ「食欲が減少」と構成情報ID「M3−1」と、登録日「2010.3.15」と登録データ「インフルエンザ」と構成情報ID「M3−1」などが公開カルテ情報として抽出される。
そして、公開情報生成部13は、抽出した公開カルテ情報のフォーマットを変換する(S606)。例えば、予め定められたデータ形式に変換する。そして、第一通信部11は、変換後の公開カルテ情報と、医療機関IDと、ローカル患者IDとを含む公開情報を送信する(S607)。
そして、中継装置4の通信部41は、公開情報を受信する(S519)。そして、編集部48は、患者紐付けテーブルを参照し、S510で取得した共通患者IDに対応づいた医療機関IDの医療機関全てから公開情報を受信した場合、他医療機関カルテ情報を作成する。他医療機関カルテ情報は、患者紐付けテーブルから取得した公開先医療機関から送信された公開情報と公開情報の送信元の医療機関の医療機関IDとを含む情報である。
そして、通信部41は、公開先医療機関の医療連携装置A1−1へ送信する(S520)。なお、通信部41は、全ての医療機関から受信する前であっても、公開情報を受信する度に他医療機関カルテ情報を送信することとしても良い。
医療連携装置A1−1の第一通信部11は、他医療機関カルテ情報を受信する(S402)。そして、第二通信部14は、他医療機関カルテ情報を端末装置10へ出力する。そして、医師などは、出力された他医療機関カルテ情報を参照しながら、患者の診療に当たることができる。
例えば、図15に示す画面100が端末装置10に表示される。図15は、端末装置10に表示される画面例である。患者の氏名などの患者の情報よ、他の医療機関Bから公開された公開カルテ情報が表示される。なお、本実施形態においては、カルテ情報種別ごとに、登録データを表示することとしたが、これに限らない。カルテ情報種別にかかわらず、時系列で登録データをソートすることとしてもよい。
以上のように、本実施形態に記載の医療連携システムは、患者と公開先医療機関との関係性に応じて、公開レベルを設定することができる。さらに、医療連携システムは、公開元医療機関の電子カルテシステムの運用に応じて、適切な公開範囲を設定することができる。
なお本発明の実施形態は上記に限られるものではない。
例えば、医療連携装置1が公開範囲定義テーブル470を有するとしても良い。この場合には、中継装置4は、公開レベルを決定後、公開レベル定義テーブル450を参照して、該当するレベルにおける公開対象となるカルテ情報種別IDを取得する。そして、中継装置4は、公開対象となるカルテ情報種別IDと公開元医療機関におけるローカル患者IDとを含む公開命令を公開元医療機関の医療連携装置1へ送信する。公開命令を受信した医療連携装置1は、公開範囲定義テーブルを参照し、公開命令に含まれるカルテ情報別IDに対して、自らの医療機関における構成情報IDを取得する。そして、医療連携装置1は、取得した構成情報IDに基づいて、カルテ情報テーブルから公開カルテ情報の抽出を行う。
また、ユーザが操作する端末装置10が、医療連携装置1として機能しても良い。
さらに、ローカル患者IDを用いずに共通患者IDを用いて、公開処理を行ってもよい。この場合には、患者登録処理において、共通患者IDが付番された場合に、中継装置4は、ローカル患者IDと共通患者IDとを対応付けた情報を、患者登録依頼を送信した医療連携装置1へ送信する。
そして、医療連携装置1は、患者情報テーブル210にローカル患者IDと対応付けて共通患者IDを記憶する。このようにすれば、各医療機関は、患者登録が行われた患者に対して、共通患者IDを把握することができる。したがって、公開処理において、中継装置4は、公開命令には、ローカル患者IDではなく、共通患者IDを含めるとしても良い。さらに、公開依頼を行う医療機関装置1は、共通患者IDが患者情報テーブルに存在する患者であれば、公開依頼には共通患者IDを含めるとしても良い。
以下では、図16を用いて、上記の実施例に示した中継装置4および中継装置4と同様の機能を有する中継プログラムを実行するコンピュータを一例として説明する。図16は中継装置4のハードウェア構成の一例を示す図である。
中継装置4はCPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402,RAM(Random Access Memory)403,通信部404、HDD(Hard Disk Drive)405、入力部406、表示部407を有しており、各部はバス408を介して相互に接続されている。そしてCPU401による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。
CPU401は、中継装置4全体の動作制御を司る中央処理装置である。通信部404はネットワークを介して医療連携装置1からの信号を受信し、その信号の内容をCPU401に渡す。さらに通信部404はCPU401からの指示に応じてネットワークを介して医療連携装置1に信号を送信する。
HDD405には、上記の実施例に示した中継装置4と同様の機能をコンピュータに発揮させるプログラムとして、少なくとも図12乃至図14の中継装置4の各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。
そして、CPU401がこのプログラムをHDD405から読み出して実行することで、図2に示す判定部44、決定部46として機能するようになる。このプログラムはCPU401とアクセス可能なROM402またはRAM403に格納されていても良い。
さらにHDD405にはCPU401の管理下で図2に示す管理情報記憶部43、公開レベル記憶部45、公開範囲記憶部47が記憶される。プログラム同様、管理情報記憶部43、公開レベル記憶部45、公開範囲記憶部47はCPU401とアクセス可能なROM402またはRAM403に格納されても良い。
そして入力部406はCPU401の管理下でデータの入力を受付ける。表示部407は、各情報を表示装置へ出力する。
続いて、図17を用いて、上記の実施例に示した医療連携装置1および医療連携装置1と同様の機能を有する医療連携プログラムを実行するコンピュータを一例として説明する。図16は医療連携装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
医療連携装置1はCPU101、ROM102、RAM103、通信部104、HDD105、入力部106、表示部107を有しており、各部はバス108を介して相互に接続されている。そしてCPU101による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。
CPU101は、この医療連携装置1全体の動作制御を司る中央処理装置である。通信部104は中継装置4や端末装置10からの信号を受信し、その信号の内容をCPU101に渡す。さらに通信部104はCPU101からの指示に応じて中継装置4や端末装置10に信号を送信する。
HDD105には、上記の実施例に示した医療連携装置1と同様の機能をコンピュータに発揮させるプログラムとして、少なくとも図12乃至図14の医療連携装置1における各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。
そして、CPU101がこのプログラムをHDD105から読み出して実行することで、図8に示す依頼生成部15、抽出部12、公開情報生成部13として機能するようになる。このプログラムはCPU101とアクセス可能なROM102またはRAM103に格納されていても良い。
そして入力部106はCPU101の管理下でデータの入力を受付ける。表示部107は、各情報を表示装置へ出力する。
上記フローチャートに示した処理内容を記述したプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。
光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。このプログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売されることが考えられる。
そして上記プログラムを実行するコンピュータは、例えば媒体読取部(図示せず)が、上記フローチャートに示した処理内容を記述したプログラムを記録した記録媒体から、該プログラムを読み出す。各コンピュータのCPUは、読み出されたプログラムをHDD若しくはROM、RAMに格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置であるHDDまたはROM、RAMからプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。