JP5445204B2 - ホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法 - Google Patents

ホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱したブランクを金型でプレス成形加工する際の成形シミュレーション技術に関する。
近年、自動車等の車両において、衝突安全性向上と軽量化を両立するため、高強度鋼板の適用が進んでいる。しかしながら、高強度鋼板は一般に形状凍結性が悪く、複雑な形状を容易に得にくいことから、更なる衝突安全性向上と軽量化の要求に対し、ホットプレス或いはホットスタンプ、ダイクエンチと呼称されるプレス成形法が用いられる。このホットプレスでは、鋼板を素材とするブランクをオーステナイト域まで加熱し、高温の状態でプレス機に搬入し、高温で成形し、連続して金型内で冷却し焼入れを行い、成形性と高強度を得る工法である。
この工法では、焼入れにより強度向上を達するため、温度管理が重要であり、また、高温では低強度であり加工が容易な反面、冷間成形のように十分な潤滑が行えないため、材料流入の不足による破断予測も重要であることから、金型および部品設計の効率化、製品品質の改善に対し、シミュレーションの有効性が見出され、適用され始めている。
ホットプレス成形シミュレーション技術に関する先行技術文献としては、例えば、特許文献1、特許文献2がある。前者は、冷間成形における熱発生による温度変化を、節点の摩擦発熱の入力で計算する手法を開示したものであり、現在のホットプレス成形解析に通じる温度入力の計算手法の一例が開示されている。また、後者は、ホットプレスにおける塑性変形解析を行わず、形状変化から金型の温度変化を推算することによる計算負荷の軽減方法を開示している。いずれも、プレス成形解析に熱、温度の概念を導入する技術である。
昨今のシミュレーション技術の進展は目覚しく、上記先行技術に属する機能を、既に手法として確立している一般の冷間プレス成形解析用の汎用解析プログラムを基盤として組み込み、温度に依存する物性値定義を加えるとともに、熱伝導解析を連成させてホットプレス成形解析に対応可能とした汎用解析プログラムも発表されている。
特開2002−86218号公報 特開2008−55488号公報
しかしながら、ブランクと金型の間に隙間がある状態から、経時的に、相互の接触位置のずれを伴いながら機械的接触に至る伝熱現象そのものは一般的に非常に複雑であり、この計算上の取扱いについては、十分に研究がなされていないのが現状である。従って、汎用解析プログラムに具備され始めたホットプレス成形解析の機能においても、この伝熱部分に関する具体的な設定基準はなく、解析技術者の経験的操作に依存していた。
この原因は、一般的な解析プログラムによるシミュレーションは有限要素法に基づくものであり、モデルは一定サイズの要素で構成されていることによる。成形シミュレーションでは、図1に示すような変形状態が計算されるが、複雑な部品形状の成形をシミュレーションしようとすると、図1に示すブランクと金型との接触部4のように金型の曲面に沿うような変形は、図2に示すように、多面体上の接触とならざるを得ない。このような計算上の接触状態は、一般のプレス成形解析のように、連続体の内部の応力やひずみの伝播を扱う場合は大きな問題はなかったが、伝熱現象は要素の節点6から離散的な熱授受に基づいて演算されるので、多面体接触のように節点6の接触状態が現実と乖離し、隙間を生じるような状態では、図3に示すような実現象に則して機械的接触点を基準とした隙間や面圧に依存し定義される熱伝達境界条件を適用しても、ブランクと金型表面間の熱伝達現象が正確に再現されないという問題があった。このため、温度計算は、要素サイズの影響を受けて大きな誤差を生じてしまい、当然、温度に依存する物性値変化も再現されず、計算精度が悪化してしまう問題があった。このため、要素サイズを一般の成形解析に比べ著しく小さくし、構造的な接触と熱的な接触を概ね一致させるしかなく、計算モデルが大規模となり、計算時間が増大してしまうという問題があった。また、有限要素法では、いわゆる合わせ込みのため、現実とかけ離れた物性値や熱伝達率値などを適用して結果をそろえる方法も採用されるが、この場合、解析者の恣意的な因子も混入し、解析条件および結果の普遍性が欠如し、都度検証が必要となる等の問題がある。
そこで本発明は、計算上の熱的接触状態を実現象に則するように修正し、要素サイズを著しく小さくすることなく、普遍的に温度計算および成形性予測の精度を向上できるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にあるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法は、有限要素法に基づく構造解析と伝熱解析を連成させたホットプレス成形シミュレーションにおいて、ブランクと接触する領域内にある金型表面のうち、凸形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件と、平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が区分されるとともに、凸形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離が、平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離より大きいことを特徴とする。かかる構成により、シミュレーションモデルの熱的接触状態を実現象の接触状態に近付けることができる。
上記凸形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離が、シミュレーションモデルの要素サイズと凸部の曲率半径から求まる最大隙間以上とするとともに、前記平坦形状および凹部形状部位とブランク表面との間の熱的接触判定距離が、機械的な接触距離に基づく0からブランクの表面粗度に相当する微小距離とすることで、金型表面の凸形状部位と平坦形状および凹部形状部位で生じる伝熱現象の違いを確実に再現することができる。
上記熱的な接触判定距離未満の計算隙間値に対して機械的な接触熱伝達率を適用し、前記熱的な接触判定距離以上の計算隙間値に対して空隙部の熱伝導条件を適用することで、ホットプレス成形中の伝熱現象を網羅することができる。
上記平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が上記凸形状部位を含む金型の全表面に適用されるとともに、上記凸形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が凸形状部位に重ねて適用されることで、シミュレーションモデルの熱的接触状態を実現象に近付けることが容易となる。
上記凸形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件の設定を複数準備し、金型表面に存在する複数の凸形状部位に対し、各々適切な熱伝達境界条件が該熱伝達境界条件の設定の中から1個または複数が選択され重ねて適用されることで、複雑な金型形状に対するシミュレーションモデルの熱的接触状態を実現象の接触状態に近付けることができる。
本発明によれば、要素のサイズを著しく小さくすることなく、有限要素法に起因する熱的接触距離の誤差が修正され、計算時間の増大を抑制しながらシミュレーションの温度計算精度向上が可能となる。温度に依存する物性値定義も有効に計算に反映できるので成形性予測精度も向上させることができ、更に、汎用ソルバーの活用を前提としているので、計算環境によらずホットスタンプの適用検討に柔軟に対応できる。
プレス成形シミュレーションの変形途中状態を示す図 有限要素法によるブランクと金型の接触状態を示す図 シミュレーションにおける熱伝達境界条件を示す図 本発明によるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法を示す図 シミュレーションによる温度計算の結果を示す図 最大隙間Gmaxと要素サイズの関係を示す図 温度計算精度と計算時間の関係を示す図 シミュレーションによる荷重と変位の関係を示す図 シミュレーションモデルにおける熱伝達境界条件の設定範囲を示す図 本発明によるホットプレス成形シミュレーションの別の境界条件設定方法を示す図 本発明によるホットプレス成形シミュレーションの複雑形状に対する境界条件設定方法を示す図
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。
図4は、本発明によるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法に従う熱伝達境界条件の基本設定を示す。図示したシミュレーションモデルは、最も基本的な構成を示すものであり、パンチ1とダイ2、ブランク3で構成され、この構成に基づき、パンチ1とブランク3との間及びダイ2とブランク3との間のように、構成部品のペアに対して摩擦係数などの機械的接触条件が定義される。ホットプレス成形シミュレーションでは、各々の材料特性が主に温度依存で変化するよう定義されており、その材料特性を活用するため、パンチ1とブランク3との間、ダイ2とブランク3との間のように、構成部品のペアに対して熱伝達の条件が定義されるのが一般的である。熱伝達の条件は、例えば図4(a)のように、隙間が0となる位置で接触熱伝達率hcを付与し、隙間の拡大により熱伝達率が低減するよう、例えば空気の熱伝導率から求めた隙間距離に依存する熱伝達率hgを付与する。
しかしながら、有限要素法においては要素サイズが定められているため、パンチ肩R部7やダイ肩R部8のように、ブランク3の成形に伴う密着状態が明らかな部位でも、図2の接触状態に示すように、節点6が浮いた状態となり、熱伝達を演算するための隙間の値が現実と乖離したものになる。
そこで、本発明では、このようにブランク3の成形に伴う密着状態が明らかな、パンチ肩R部7、ダイ肩R部8、すなわち金型の凸形状部位を、その他の平坦形状部位、凹形状部位と条件設定の範囲を区分し、別に図4(b)のように、熱的接触判定距離Ljを設けて、それ以下の隙間の場合に接触熱伝達率hcを付与し、熱的接触判定距離Ljより大きい隙間に対しては、隙間の拡大により熱伝達率が低減するよう、例えば空気の熱伝導率から求めた隙間距離に依存する熱伝達率hgを付与する。
熱的接触判定距離Ljの値は、要素サイズと適用する凸形状部位の曲率半径Rに基づき計算される最大隙間以上の値とする。図2に示される接触状態を想定することにより、最大隙間Gmaxの計算は例えば下式(1)から求めることができる。
Gmax=R/cos〔tan−1(S/R)〕−Rcos{ sin−1〔St/(2R)〕}……(1)
ただし、Sb:ブランクの要素サイズ、St:金型の要素サイズ
この熱的接触判定距離Ljの値は、構成部品の形状によっては、たとえば、初期状態から既に接触が明らかで形状変化が少ないような場合には、無制限に大きい値を設定、すなわち、常時接触状態として計算することもできるが、隙間が要素の法線方向距離などで計算され伝熱範囲を過検出してしまうので、せいぜい、上下の金型が閉じた状態の隙間距離以下、あるいはブランク3の板厚以下となるよう、上限を設けるのが好ましい。なお、要素サイズが、曲率半径Rの値に対して極端に大きくなる場合には、Gmaxの値が過大になり、伝熱範囲および部位を誤検出する可能性が高くなるので、この状況に限り、要素サイズ側の縮小により、せいぜい、上下の金型が閉じた状態の隙間距離以下、あるいはブランク3の板厚以下のような上限以下に調整する必要があるが、これはシミュレーションモデルの作成段階における当業者が当然実施するモデル品質に関する修正事項である。
平坦形状部位および凹形状部位は、前述した図4(a)の熱伝達境界条件を適用できる。ただし、厳密に隙間0で接触熱伝達率とする設定では、特にフランジ部分のような平坦部の熱的接触の入切が頻繁となり計算が不安定になるので、熱的接触判定距離Ljをブランク3の材質の表面粗度を参照し、数10μm程度までの微小距離に設定する。
設定する熱伝達率の値は、実験あるいは理論的に求めた接触熱伝達率を直接使用することができ、その適用範囲は隙間0から熱的接触判定距離Lj未満までの距離とする。熱的接触判定距離Lj以上の距離は、空隙に関する熱伝導条件が設定される。空隙に関する熱伝導条件は、空気の熱伝導率から求めた理論値、あるいは、実験的に求めた、輻射伝熱などを含めた熱伝達値を定義する。もちろん、輻射伝熱等、現象に影響する様々な因子は、各々別の境界条件として付与してもよい。
近時複雑化する自動車部材の形状に対応する場合、熱伝達境界条件を凸形状部位と、平坦部および凹形状部位の領域に区分する場合、実際のシミュレーションモデルでは、図9に示すように要素分割の関係で任意の位置で区分ができない場合や、接触部位のずれ等により、区分領域を調整する場合がある。規模の大きいシミュレーションモデルでは、このような区分を一括して修正するときに境界条件の重合部や欠落部が発生しやすく、熱伝達計算の精度に悪影響を及ぼす可能性がある。この場合、図10に示すように、金型全体に対して平坦部および凹形状部位の熱伝達境界条件を付与しておき、凸形状部位に対して接触状態のみを反映した熱伝達境界条件を重ね合わせることにより、境界条件の設定洩れ部分を生じることなく区分領域を容易に変更することができる。もちろん、CAD等の設計データを保有している場合は、要素分割そのものを変更し、狙いとする区分領域に沿うようシミュレーションモデルを修正してもよい。また、重ね合わせにより、凸形状部位における伝熱境界条件の設定は、平坦部および凹形状部位における図10(a)の設定と凸形状部位に対する図10(b)の設定が合成された図10(c)が適用されるので、凸形状部位に対する熱伝達率の設定値hc’は、例えば、平坦部および凹形状部位との合成値の隙間距離が0から熱的な接触判定距離Ljまでの距離あたりの算術平均が接触熱伝達率の実測値hcとなるように設定すればよい。
なお、さらに複雑な形状をもつ部材では、図11に示すように凸形状部位が複数に分布し、またその曲率半径Rや中心角が部位により異なったり、あるいは同じ区分にあっても徐変したりするのが実情である。このような場合は、異なる部位に対して複数の熱伝達境界条件を準備し、接触状態を考慮して1個または複数の熱伝達境界条件を重ねて設定することも可能である。この場合、伝熱境界条件の設定は、平坦部および凹形状部位に対する図11(a)の設定に、凸形状部位に対し図11(b)および(c)の凸形状部位の設定を組合せた図11(d)から(f)の3種類の境界条件が設定でき、(d)を曲率半径Rが大きく実測熱伝達率が低めに計測される凸形状部位7a、8aに、(e)を曲率半径Rが小さく熱伝達率が高いが中心角が小さく実測熱伝達率が低下する凸形状部位7b,8bに、(f)を曲率半径Rが小さく実測熱伝達率が高い凸形状部位7c、8cに適用することで、比較的粗い要素分割のモデルにおける伝熱状態の重みづけを行うことができる。各々の境界条件における熱伝達率hc1およびhc2の値は、合成後の熱伝達率hcA、hcB、hcCが実測される接触熱伝達率を再現できるように適宜調整することができる。この方法では、平坦部および凹形状部の伝熱境界条件における接触熱伝達率hcおよび微小距離に設定される伝熱判定距離Ljも合わせて調整するのが望ましい。もちろん、求める計算結果の精度が要求されないような場合は、例えば部位によらず、最も厳しい条件などの代表条件を単独で全ての凸形状部の熱伝達境界条件として適用してもかまわない。
熱伝達境界条件の区分を適用する範囲は、ブランク3がパンチ1、ダイ2などの金型と接触する領域内、例えば、初期状態のブランクの金型表面への投影面、とすれば十分であり、範囲を限定することにより接触判定の演算に所要する時間を削減することができる。ただし、ブランク3のサイズを様々に変更し計算するような場合は、シミュレーションモデルを作成する元になるCADデータ等の凸形状部位をすべて区分の適用領域として設定可能である。
実際のシミュレーションモデルの領域区分および熱伝達境界条件の指定の方法は、各種のプリプロセッシングツール、プログラム、CAEツールを使用して行うことができるのは勿論であり、CADデータ段階で区分後に要素分割することも、要素分割済みのモデルから適用範囲を指定して区分することも可能である。
以下に本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
〔実施例1〕(請求項1の規定による)
図5は、直径80mm、パンチ肩Rおよびダイ肩Rが10mmの円筒絞り金型による、板厚1.4mm、直径130mmのブランクの成形を本発明によるホットスタンプ成形シミュレーションの境界条件設定方法に従って計算した場合の温度計算結果を、比較例と対比して示す図である。図のように、比較例として行った、区分を設定しない従来設定方法、さらに合わせ込みにより最も低い温度が一致するように熱伝達率値を増加させた方法の2ケースでは、試験結果に認められる、部位による顕著な温度分布が再現されず、合わせ込みを行っても分布傾向は変わらずに温度レベルが変化するだけであり、試験に対する温度誤差が改善されない。一方、本発明の方法に従い、熱伝達境界条件を金型の凸形状部とそれ以外の部分に区分して設定することにより、部位により生じる温度分布を再現することができ、試験結果と温度計算結果との間の誤差が小さくなる。
各シミュレーションの設定条件は下記のとおりであった。
<本発明>
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部別の2パターン
(2)熱的な接触判定距離:凸部 0.2mm、 凹部 0.01mm
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
<比較例>(従来設定方法)
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部共通の1パターン
(2)熱的な接触判定距離: 0.01mm (凸部、凹部共通)
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
<比較例>(従来設定方法での合わせ込み)
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部共通の1パターン
(2)熱的な接触判定距離: 0.01mm (凸部、凹部共通)
(3)接触熱伝達率(hc): 4kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
〔実施例2〕(請求項1+請求項2の規定による)
実施例1に示したような熱伝達境界条件の区分による設定を行わなくとも、要素サイズを小さくすることで形状の再現性、言い換えれば接触状態の再現性は改善されることが一般に知られている。図6は、(1)式により求めた最大隙間Gmaxと、要素サイズの関係を示す。これによれば、要素サイズを0.1mmまで縮小すれば、隙間の再現精度が1μm程度になる。
図7は、直径80mm、パンチ肩Rおよびダイ肩Rが10mmの円筒絞り金型による、板厚1.4mm、直径130mmのブランクの成形を、区分設定を行わない従来の境界条件を適用し、要素サイズを変えてホットスタンプ成形シミュレーションを行った結果である。この結果、要素サイズ縮小による精度向上は明らかに認められるが、大幅な計算時間の増大が避けられない。
一方、本発明の方法に従い、熱伝達境界条件の区分を行い、かつ、凸部の熱的接触判定距離を要素サイズと凸部の曲率半径から求まる最大隙間以上とした要素サイズ2mmでのシミュレーションの結果は、比較例の要素サイズ0.1mmの場合と同等精度を、非常に短時間で再現することができる。なお、この実施例は、原理的に要素サイズの拡大による時間短縮の効果が大きい動的陽解法によるものである。ただし、陰解法を採用する解析プログラムにおいても、要素サイズの拡大により要素数削減が可能となるので、計算時間の短縮効果を得ることは可能である。
各シミュレーションの設定条件は下記のとおりであった。
<本発明>
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部別の2パターン
(2)熱的な接触判定距離:凸部 0.3mm、 凹部 0.01mm
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
(5)モデルの要素サイズ: ブランク、金型とも 2.0mm
(6)凸部の曲率半径R: 10mm
<比較例>
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部共通の1パターン
(2)熱的な接触判定距離: 0.01mm (凸部、凹部共通)
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
(5)モデルの要素サイズ: (ブランク、金型とも)
0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、3mmの5水準
(6)凸部の曲率半径R: 10mm
〔実施例3〕(請求項1+請求項2+請求項3の規定による)
図8は、直径80mm、パンチ肩Rおよびダイ肩Rが10mmの円筒絞り金型による、板厚1.4mm、直径145mmのブランクの成形を本発明の方法に従い、熱伝達境界条件の区分、モデル形状に基づく熱的接触判定距離を設定するとともに、試験に基づく機械的な接触熱伝達率と空隙部の熱伝導条件を設定したホットスタンプ成形シミュレーションにより計算した場合の荷重とストロークの関係を、同条件の実測結果および比較例と対比して示す図である。図のように、比較例として行った、従来方法による結果では、全体的に低温すなわち高強度となり、前記図5の説明のように温度分布が再現できないことにより、実測と相反する、成形可能という結果が得られる。また、別の比較例として行った、機械的接触のみを考慮し、空隙部の熱伝導条件を考慮しない設定方法では、全体的に高温になるため荷重が低くなる一方、高温部位が残存することにより、破断強度が低くなり実測結果と一致しない。一方、本発明の方法に従い、空隙部の熱伝導条件を考慮すれば、成形荷重とストロークの関係はほぼ実測結果と一致し、温度分布により生じる強度分布が精度よく再現されることにより、破断現象も再現することが可能になっている。
各シミュレーションの設定条件は下記のとおりであった。
<本発明>
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部別の2パターン
(2)熱的な接触判定距離:凸部 0.3mm、 凹部 0.01mm
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 0.5kW/mK (凸部、凹部共通)
(5)モデルの要素サイズ: ブランク、金型とも 2.0mm
(6)凸部の曲率半径R: 10mm
<比較例>(従来方法)
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部共通の1パターン
(2)熱的な接触判定距離: 0.01mm (凸部、凹部共通)
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
(5)モデルの要素サイズ: ブランク2.5mm、 金型2.5mm
(6)凸部の曲率半径R: 10mm
<比較例>(空隙の熱伝導を考慮しない方法)
(1)金型表面の熱伝達率条件の設定:凸部、凹部別の2パターン
(2)熱的な接触判定距離:凸部 0.3mm、 凹部 0.01mm
(3)接触熱伝達率(hc): 2kW/m2K (凸部、凹部共通)
(4)空隙部熱伝導率: 考慮せず
(5)モデルの要素サイズ: ブランク、金型とも 2.0mm
(6)凸部の曲率半径R: 10mm
以上のように、本実施の形態では、金型表面の凸形状部位の熱伝達境界条件と、平坦形状部位と凹形状部位の熱伝達境界条件を区分して設定するとともに、凸形状部位の熱的接触距離Ljを平坦形状部位と凹形状部位の熱的接触距離Ljより大きくすることにより、要素サイズを著しく小さくして計算時間を増大させたり、合わせ込みにより普遍性のない伝熱パラメータを設定したりすることなく、温度計算精度が良く、それに起因し成形性予測精度も向上したホットプレス成形シミュレーションを実施することが可能となる。
なお、本発明によるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定では、原理的に当然、要素サイズが大きい場合は伝熱部位の判定誤差を生じるが、一般的なホットプレス成形の成形速度10〜1000mm/sec、一般的なプレス成形に供されるブランク板厚0.4〜3.0mm、また一般的な自動車部材の成形ストローク500mm以下の組み合わせ条件下に適用することができる。さらに、鋼板を素材とするブランクに限らず、一般的な型と素材の熱的接触に関するシミュレーションへ適用することが可能であることは原理的に自明である。
また、本発明によるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法は、基本的な構成のモデルについて説明したが、かかる例に限定されないことは言うまでもない。また、サブルーチンとして汎用解析プログラムへの組み込んでのシミュレーション実行、汎用解析プログラムに限らず、その他の自製プログラム等へ組み込んだシミュレーション実行、その他のCAEツール等への設定機能の組み込みについても当然、本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明によれば、計算上の熱的接触状態を実現象に則するように修正し、要素サイズを著しく小さくすることなく、普遍的に温度計算および成形性予測の精度を向上できるホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法が提供される。
1 パンチ
2 ダイ
3 ブランク
4 ブランクと金型の接触部
5 実際の接触面
6 要素の節点
7 パンチ肩R部
8 ダイ肩R部

Claims (4)

  1. 有限要素法に基づく構造解析と伝熱解析を連成させたホットプレス成形シミュレーションにおいて、ブランクと接触する領域内にある金型表面のうち、凸形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件と、平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が区分されるとともに、凸形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離が、平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離より大きいことを特徴とするホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法。
  2. 前記凸形状部位とブランク表面との間の熱的な接触判定距離が、シミュレーションモデルの要素サイズと凸部の曲率半径から求まる最大隙間以上であるとともに、前記平坦形状および凹部形状部位とブランク表面との間の熱的接触判定距離が、機械的な接触距離に基づく0からブランクの表面粗度に相当する微小距離であることを特徴とする請求項1記載のホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法。
  3. 前記熱的な接触判定距離未満の計算隙間値に対して機械的な接触熱伝達率を適用し、前記熱的な接触判定距離以上の計算隙間値に対して空隙部の熱伝導条件を適用することを特徴とする請求項1又は2記載のホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法。
  4. 前記平坦形状および凹形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が前記凸形状部位を含む金型の全表面に適用されるとともに、前記凸形状部位とブランク表面との間の熱伝達境界条件が凸形状部位に重ねて適用されることを特徴とする請求項1又は2記載のホットプレス成形シミュレーションの境界条件設定方法。
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