JP5445049B2 - 車両用灯具 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用灯具に係り、特にカットオフライン近傍の着色(青色)を防止又は低減することが可能な車両用灯具に関する。
従来、LED光源を用いた車両用灯具の分野においては、図24に示すように、プロジェクタ型の集光ユニット210、プロジェクタ型の中拡散ユニット220、大拡散ユニット230等の複数の光学ユニットを用いて、図25に示すように、スポット配光パターンP1、ミドル配光パターンP2、ワイド配光パターンP3等の個々の部分配光パターンを含む合成配光パターンを形成する車両用灯具200が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2005−294166号公報
しかしながら、プロジェクタ型の光学ユニット等の集束結像用レンズ(非球面レンズ、トロイダルレンズ等)を用いた車両用灯具においては、図9に示すように、LED光源10からの光Ray1(反射光も含む)が斜め上方から光軸よりも下側半分のレンズ部分Lに入射すると、分散し、屈折率が大きい(波長が長い)青色光Ray1が、当該下側半分のレンズ部分Lの作用により屈折して前方斜め上向きに照射され、図10、図11に示すように、カットオフラインCL近傍を青色に着色する(さらに、着色の影響で、各配光パターンが法規で定められた白色色度範囲に適合しなくなる。図12参照)、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、LED光源からの光(反射光も含む)が斜め上方から光軸よりも下側半分のレンズ部分に入射することに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)を防止又は低減することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、照射方向が下向きとなるように配置されたLED光源と、前記LED光源よりも前方に配置された集束結像用レンズであって、このレンズの光軸よりも下側略半分がカットされた形状の第1の集束結像用レンズと、前記LED光源から入射する光を反射し、当該反射光が前記第1の集束結像用レンズを透過し、第1の配光パターンを形成するように構成された第1の反射面と、前記第1の集束結像用レンズよりも前方に配置された集束結像用レンズであって、このレンズの光軸よりも下側略半分がカットされた形状の第2の集束結像用レンズと、前記LED光源よりも下方に位置し、前記第2の集束結像用レンズを透過し、第2の配光パターンを形成するように構成された第2の反射面と、を備え、前記第1の集束結像用レンズが、前記LED光源側に焦点が設定された非球面レンズを略水平方向に円弧状に延ばした形状のトロイダルレンズ又は前記LED光源側に水平方向に延びる焦線が設定されたシリンドリカルレンズで構成され、前記第2の集束結像用レンズが、非球面レンズで構成され、前記第1の反射面は、前記LED光源よりも後方、かつ、前記第1の集束結像用レンズの光軸近傍よりも下方に配置され、前記第2の反射面は、前記第1の反射面よりも前方、かつ、下方に配置されており、前記第1の配光パターンが、上下方向に対して左右方向に拡散した配光パターンであり、前記第2の配光パターンが、前記第1の配光パターンよりも集光性が高い配光パターンであり、前記第1の配光パターンと前記第2の配光パターンの合成配光パターンが形成されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、集束結像用レンズはカットオフライン近傍の着色(青色)の原因となる下側略半分がカットされた形状であるため、LED光源からの光(反射光も含む)が斜め上方から入射することに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)を防止又は低減することが可能となる。また、従来と比べ、下側略半分をカットした分、縦方向の寸法を小型化することが可能となる。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の反射面は、前記LED光源の側方から前記LED光源の中心軸近傍にかけての範囲を覆うように配置され、前記LED光源から入射する光を反射し、当該反射光が前記第1の集束結像用レンズを透過し、上下方向に集光しかつ左右方向に拡散した前記第1の配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする。
これは、反射面の例示である。従って、反射面としては他の配光パターンを形成するように構成された反射面であっても良い。
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記第1の反射面は、第1焦点が前記LED光源近傍に設定され、第2焦点が前記第1の集束結像用レンズと自己との間に設定された回転楕円系の反射面であることを特徴とする。
これは、反射面の例示である。従って、反射面としては、自由曲面等の他の反射面を用いることも可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、前記LED光源は、複数の青色発光チップと、前記青色発光チップの発光波長で励起されて発光する蛍光体と、を備えており、前記LED光源の中心軸が鉛直に対して後方に傾斜した姿勢又は鉛直の姿勢で配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、LED光源からの光(反射光も含む)が斜め上方から光軸よりも下側半分のレンズ部分に入射することに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)を防止又は低減することが可能な車両用灯具を提供することが可能となる。
本発明の実施形態である車両用灯具100の斜視図である。 車両用灯具100の正面図である。 車両用灯具100の分解斜視図である。 各レンズ31〜35、各反射面21〜25、各遮光シェード41〜44の配置を説明するための図である。 図2に示した車両用灯具100のA−A断面図である。 LED光源10の発光強度を説明するための図である。 ワイド光学系によるワイド配光パターンP1の例である。 トロイダルレンズ31の斜視図である。 LED光源10からの光Ray1が斜め上方から集束結像用レンズLの下側半分のレンズ部分Lに入射した場合の問題点(カットオフライン近傍の着色)を説明するための図である。 LED光源10からの光Ray1が斜め上方から集束結像用レンズLの下側半分のレンズ部分Lに入射した場合の問題点(カットオフライン近傍の着色)を説明するための図である。 従来の下側半分をカットしていないレンズにより形成されるカットオフラインを含む配光パターンの例である。 従来の下側半分をカットしていないレンズにより形成されるカットオフラインの白色色度規格範囲を説明するためのグラフである。 下側半分をカットしたレンズにより形成されたカットオフラインを含む配光パターンの例である。 下側半分をカットしたレンズにより形成されたカットオフラインを含む配光パターンの白色色度規格範囲を説明するためのグラフである。 LED光源10の発光スペクトルの例である。 第1遮光シャッタ41の斜視図である。 第1レンズ31としてトロイダルレンズを用い、第1遮光シャッタ41として上端縁が一直線の平板形状のシャッタを用いた場合の問題点(水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1にも配光されてしまい、これがグレアの原因になる)を説明するための図である。 ワイド光学系によるワイド配光パターンP1の例である。 ミドル光学系によるミドル配光パターンP2の例である。 スポット光学系によるスポット配光パターンP3の例である。 付加ミドル光学系による付加ミドル配光パターンP4の例である。 オーバーヘッドサイン光学系によるオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5の例である。 走行ビーム用配光パターンとして最適化された一つの合成配光パターンPの例である。 従来のLED光源を用いた車両用灯具200の例である。 図24に示した車両用灯具200により形成される合成配光パターンの例である。
以下、本発明の実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。
本実施形態の車両用灯具100は、自動車等の車両のヘッドランプ、フォグランプ等に適用されるものであり、図1〜図5に示すように、LED光源10、第1〜第5反射面21〜25、第1〜第5レンズ31〜35等を備えている。
[LED光源10]
LED光源10は、複数の発光チップ(青色)が実装された光源パッケージ上に、複数の発光チップの発光波長で励起されて発光(ランバーシャン発光。図6参照)する蛍光体(黄色)が塗布又は固着された面光源(縦横比が1:4程度。図4参照)である。LED光源10は点灯時発熱するが、LED光源10の上方に配置された放熱器50(例えば、アルミ製のヒートシンクやヒートパイプ)の作用により、効率のよい放熱が可能となる。
図4、図5等に示すように、LED光源10は、長手方向が横方向(車幅方向)、照射方向が下向き(発光面が下向き)となるように、例えば、中心軸AX1(図6参照)が鉛直に対して後方に傾斜(30度程度)した姿勢で配置されている(図5参照)。なお、LED光源10は、中心軸AX1(図6参照)が鉛直の姿勢で配置されていてもよい。
[ワイド光学系]
第1レンズ31、第1反射面21、第1遮光シェード41は、左右方向にワイドなワイド配光パターンP1(図7参照)を形成するワイド光学系を構成している。
[第1レンズ31]
図1〜図5に示すように、LED光源10よりも前方には、第1レンズ31(本発明の第1集束結像用レンズに相当)が配置されている。
第1レンズ31は、図8に示すように、LED光源10側に焦点F31が設定された非球面レンズ31aを略水平方向に円弧状に延ばし、かつ、図1〜図5に示すように、下側略半分がカットされた形状のトロイダルレンズである(例えば、立壁を含め、高さ:約17mm、幅:約50mm、焦点距離:約20mm、肉厚:約10mm)。
第1レンズ31としては、円柱軸が水平方向に延びるシリンドリカルレンズ、すなわち、LED光源10側に水平方向に延びる焦線が設定されたシリンドリカルレンズを用いることも可能であるが、本実施形態では、水平方向のサイズをコンパクトにするため、トロイダルレンズを用いている。
第1レンズ31は、例えば、可視光領域で透明な樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明又は半透明材料)を射出成形することで(又はガラス材料で)形成可能である。
第1レンズ31は、第2レンズ32、第3レンズ33と一体的に形成してもよいし(図3参照)、別個独立の部品として形成してもよい。
第1レンズ31は、第1遮光シャッタ41と、膨張係数が同じ材料で構成するのが望ましい。このようにすれば、温度上昇に伴ってワイド配光パターンP1のカットオフがズレるのを防止又は低減することが可能となる。
トロイダルレンズ31としては、例えば、図8に示すように、非球面レンズ31aの焦点F31を通る鉛直軸(回転軸AX2)を中心に、非球面レンズ31aを回転させた形状のトロイダルレンズ(一つの焦点F31を有する)を用いることが可能である。あるいは、非球面レンズ31aの焦点F31を通らない鉛直軸を中心に、非球面レンズ31を回転させた形状のトロイダルレンズ(一つの焦点F31を有する)を用いることも可能である。あるいは、非球面レンズ31aを水平方向に円弧状に延ばした形状のトロイダルレンズ(円弧状に連なった焦点F31群を有する)を用いることも可能である。
[トロイダルレンズ31の下側略半分をカットした技術的意義]
図9に示すように、LED光源10からの光Ray1が斜め上方から集束結像用レンズL(トロイダルレンズ31、第2レンズ32、第3レンズ33等)の下側半分のレンズ部分Lに入射すると、分散し、屈折率が大きい(波長が長い)青色光Ray1が、当該下側半分のレンズ部分Lの作用により屈折して前方斜め上向きに照射され、図10、図11に示すように、カットオフラインCL近傍を青色に着色する(さらに、着色の影響で、各配光パターンが法規で定められた白色色度範囲に適合しなくなる。図12参照)という問題がある。特に、LED光源10は赤色光よりも青色光の強度が強いため(図15参照)、着色(青色)の影響が大きい。
本出願の発明者は、上記カットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止すべく鋭意検討を重ねた結果、トロイダルレンズ31のうちカットオフラインCL近傍の着色(青色)の原因となる下側半分のレンズ部分L(図9参照)をカットすれば、上記カットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止(又は低減)し得る、との着想を得た。
本実施形態では、上記着想に基づき、トロイダルレンズ31として、光軸AX3(非球面レンズ31aの光軸)よりも下側略半分が水平面でカットされた形状のトロイダルレンズを用いている(図1〜図5参照)。
本出願の発明者は、上記のように下側半分をカットしたレンズLにより形成されたカットオフラインを含む配光パターン(図13参照)を観察した結果、上記カットオフラインCL近傍はほとんど着色(青色)されていないことを確認した。また、当該配光パターンが法規で定められた白色色度範囲に適合することも確認した(図14参照)。
[第1反射面21]
図3〜図5に示すように、LED光源10よりも後方、かつ、トロイダルレンズ31の光軸AX3近傍(非球面レンズ31aの光軸近傍)よりも下方には、LED光源10の側方からLED光源10の中心軸AX1近傍にかけての範囲を覆うように、第1反射面21が配置されている。この配置により、LED光源10の中心軸AX1上付近に出射される横長の光源像(比較的光量の多い、ワイド配光パターンに適した光。図6参照)を用いることが可能となる。また、この配置により、トロイダルレンズ31にはLED光源10からの光が第1反射面21で反射されて主に斜め下方から入射することになるため(図5参照)、LED光源10からの光が斜め上方から入射する(図9参照)ことに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)をさらに防止又は低減することが可能となる。
第1反射面21は、LED光源10から入射する光を前方斜め上向きに反射し、当該反射光がトロイダルレンズ31を透過し、上下方向に集光し(例えば10〜20度程度)かつ左右方向に拡散した(45〜60度程度)左右方向にワイドなワイド配光パターンP1(図7参照)を形成するように構成された反射面である。
第1反射面21としては、例えば、図5に示すように、第1焦点がLED光源10近傍(例えば発光面中心付近)に設定され、第2焦点F221がトロイダルレンズ31と自己(第1反射面21)との間(例えば非球面レンズ31aの焦点F31近傍又はその上側)に設定された回転楕円系の反射面を用いることが可能である。
第1反射面21は、例えば、アルミダイキャストや耐熱樹脂からなる基材に対し、アルミ蒸着等の表面処理を施すことで形成可能である。なお、第1反射面21は、第2反射面22、第3反射面23と一体的に形成してもよいし(図3参照)、別個独立の部品として形成してもよい。
[第1遮光シャッタ41]
図3〜図5に示すように、トロイダルレンズ31と第1反射面21との間には、上端縁をトロイダルレンズ31(非球面レンズ31a)の焦点F31近傍に位置させた状態で第1遮光シャッタ41が配置されている(すれ違いビームやフォグランプ配光等、対向車への幻惑を防止するため、上方への明るさを減らしたカットオフ配光を作る場合に配置する)。なお、トロイダルレンズ31に代えてシリンドリカルレンズを用いる場合には、シリンドリカルレンズと第1反射面21との間に、上端縁をシリンドリカルレンズの焦線近傍に位置させた状態で第1遮光シャッタ41を配置する。
この遮光用シャッタ41の配置、及び、トロイダルレンズ31と第1反射面21との位置関係により、トロイダルレンズ31から上向きに出射する光がカットされ、ワイド配光パターンP1は、ほぼ水平H−H以下に配光されるように制御される(図7参照)。
第1遮光シャッタ41は、図16、図4等に示すように、対向車線に対応する上端縁部分41aが自車線に対応する上端縁部分41bよりも高く設定された平板形状の遮光部材である。
第1遮光シャッタ41は、例えば、黒色不透明材料により形成することが可能である。
なお、第1遮光シャッタ41は、第2遮光シャッタ42、第3遮光シャッタ43と一体的に形成してもよいし(図3参照)、別個独立の部品として形成してもよい。
第1遮光シャッタ41を配置した場合、第1反射面21の第2焦点F221は、トロイダルレンズ31(非球面レンズ31a)の焦点F31よりも上方に設定するのが好ましい。このようにすれば、第1遮光シャッタ41で遮光される第1反射面21からの反射光の量が低減するため、より明るいワイド配光パターンP1を形成することが可能となる。
[第1遮光シャッタ41の上端縁部分41aを上端縁部分41bよりも高く設定した技術的意義]
本出願の発明者は、第1レンズ31としてトロイダルレンズ(シリンドリカルレンズも同様)を用い、第1遮光シャッタ41として上端縁が一直線の平板形状のシャッタを用いると、トロイダルレンズ31の焦点F31が一点(又は円弧状に連なった焦点F31群)であること(厳密にはトロイダルレンズ31の形状)に起因し、図17に示すように、水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1にも配光されてしまい、これがグレアの原因になることを見出した。
本出願の発明者は、上記水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1へ配光されるのを防止すべく鋭意検討を重ねた結果、図16、図4に示すように、遮光シャッタ41の上端縁のうち対向車線に対応する上端縁部分41aを自車線に対応する上端縁部分41bよりも高くすれば、対向車線に向かう光がその高くした上端縁部分41aにより遮光されるため、上記水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1へ配光されるのを防止(又は低減)し得る、との着想を得た。
本実施形態では、上記着想に基づき、第1遮光シャッタ41として、対向車線に対応する上端縁部分41aが自車線に対応する上端縁部分41bよりも高く設定された平板形状のシャッタを用いている(図16、図4等参照)。
本出願の発明者は、上記構成の第1遮光シャッタ41を用いたワイド光学系により形成されたワイド配光パターンP1(図18、図7参照)を観察した結果、水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1には、配光されないことを確認した。
[ワイド光学系によるワイド配光パターンP1]
上記構成のワイド光学系(第1レンズ31、第1反射面21、第1遮光シェード41)によれば、図5に示すように、第1反射面21で反射されたLED光源10からの光(LED光源10の中心軸AX1上付近に出射される横長の光源像。比較的光量の多い、ワイド配光パターンに適した光)は、第2焦点F21に集光した後に拡散し、トロイダルレンズ31に入射し、上下方向に集光し(例えば10〜20度程度)かつ左右方向に拡散した(45〜60度程度)左右方向にワイドなワイド配光パターンP1(図7参照)を形成する。
なお、上下方向の広がりは、非球面レンズ31aの焦点距離や第1反射面21の第2焦点F221の位置関係、左右方向の広がりは、第1反射面21への入射角度や非球面レンズ31aを延ばす円弧状Rの大きさを調整することで、調整可能である。
[ミドル光学系]
第2レンズ32、第2反射面22、第2遮光シェード42は、集光性が高いミドル配光パターンP2(図19参照)を形成するミドル光学系を構成している。
[第2レンズ32]
図1〜図5に示すように、第1レンズ31の下方、かつ、第1レンズ31よりも前方には、第2レンズ32(本発明の第2集束結像用レンズに相当)が配置されている。
第2レンズ32は、図1〜図5に示すように、光軸AX4よりも下側略半分が水平面でカットされた形状の非球面レンズである(例えば、高さ:約11mm、幅:約27mm、焦点距離:約20mm、肉厚:約10mm)。第2レンズ32の下側略半分をカットした理由は、トロイダルレンズ31の下側略半分をカットしたのと同様、カットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止(又は低減)するためである。第2レンズ32は、例えば、可視光領域で透明な樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明又は半透明材料)を射出成形することで(又はガラス材料で)形成可能である。
[第2反射面22]
図3〜図5に示すように、第1反射面21の下方、かつ、第1反射面21よりも前方には、第2反射面22が配置されている。この配置により、第2反射面22に向かうLED光源10からの光が第1反射面21により遮られるのを防止することが可能となる。また、この配置により、光源像の見かけの大きさが第1反射面21よりも小さい、ミドル配光パターンに適した光(水平から斜めの光源像)を用いることが可能となる。また、この配置により、第2レンズ32にはLED光源10からの光が第2反射面22で反射されて主に斜め下方から入射することになるため(図5参照)、LED光源10からの光が斜め上方から入射する(図9参照)ことに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)をさらに防止又は低減することが可能となる。
第2反射面22は、LED光源10から入射する光を前方斜め上向きに反射し、当該反射光が第2レンズ32を透過し、上下方向に集光し(5〜10度程度)かつ左右方向に拡散した(10〜20度程度)ミドル配光パターンP2(図19参照)を形成するように構成された反射面である。
第2反射面22としては、例えば、図5に示すように、第1焦点がLED光源10近傍(例えば発光面中心付近)に設定され、第2焦点F222が第2レンズ32と自己(第2反射面22)との間(例えば第2レンズ32の焦点F32近傍又はその上側)に設定された回転楕円系(又は楕円自由曲面)の反射面を用いることが可能である。
第2反射面22は、例えば、アルミダイキャストや耐熱樹脂からなる基材に対し、アルミ蒸着等の表面処理を施すことで形成可能である。
[第2遮光シャッタ42]
図3〜図5に示すように、第2レンズ32と第2反射面22との間には、上端縁を第2レンズ32の焦点F32近傍に位置させた状態で第2遮光シャッタ42が配置されている(すれ違いビームやフォグランプ配光等、対向車への幻惑を防止するため、上方への明るさを減らしたカットオフ配光を作る場合に配置する)。
第2遮光シャッタ42は、図3〜図5に示すように、平板形状(又は第2レンズ32の収差を考慮した円弧状)の遮光部材である。
第2遮光シャッタ42は、例えば、黒色不透明材料により形成することが可能である。
第2遮光シャッタ42を配置した場合、第2反射面22の第2焦点F222は、第2レンズ32の焦点F32よりも上方に設定するのが好ましい。このようにすれば、第2遮光シャッタ42で遮光される第2反射面22からの反射光の量が低減するため、より明るいミドル配光パターンP2を形成することが可能となる。
[ミドル光学系によるミドル配光パターンP2]
上記構成のミドル光学系(第2レンズ32、第2反射面22、第2遮光シェード42)によれば、図5に示すように、第2反射面22で反射されたLED光源10からの光(水平から斜めの光源像)は、第2レンズ32に入射し、上下方向に集光し(5〜10度程度)かつ左右方向に拡散した(10〜20度程度)集光性が高いミドル配光パターンP2を形成する(図19参照)。
[スポット光学系]
第3レンズ33、第3反射面23、第3遮光シェード43は、集光性がミドル光学系よりもさらに高いスポット配光パターンP3(図20参照)を形成するスポット光学系を構成している。
[第3レンズ33]
図1〜図5に示すように、第2レンズ32の下方、かつ、第2レンズ32よりも前方には、第3レンズ33(本発明の第3集束結像用レンズに相当)が配置されている。
第3レンズ33は、図1〜図5に示すように、光軸AX5よりも下側略半分が水平面でカットされた形状の非球面レンズである(例えば、立壁を含め、高さ:約14mm、幅:約27mm、焦点距離:約20mm、肉厚:約10mm)。第3レンズ33の下側略半分をカットした理由は、トロイダルレンズ31、第2レンズ32の下側略半分をカットしたのと同様、カットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止(又は低減)するためである。第3レンズ33は、例えば、可視光領域で透明な樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明又は半透明材料)を射出成形することにより(又はガラス材料により)形成可能である。
[第3反射面23]
図3〜図5に示すように、第2反射面22の下方、かつ、第2反射面22よりも前方には、第3反射面23が配置されている。この配置により、第3反射面22に向かうLED光源10からの光が第2反射面22により遮られるのを防止することが可能となる。また、この配置により、光源像の見かけの大きさが第2反射面22よりも小さい、スポット配光パターンに適した光(水平から傾斜の大きい斜めの光源像)を用いることが可能となる。
第3反射面23は、LED光源10から入射する光を前方斜め上向きに反射し、当該反射光が第3レンズ33を透過し、上下方向に集光し(2〜5度程度)かつ左右方向に拡散した(2〜10度程度)スポット配光パターンP3(図20参照)を形成するように構成された反射面である。
第3反射面23としては、例えば、図5に示すように、第1焦点がLED光源10近傍(例えば発光面中心付近)に設定され、第2焦点F223が第3レンズ33と自己(第3反射面23)との間(例えば第3レンズ33の焦点F33近傍又はその上側)に設定された回転楕円系(又は楕円自由曲面)の反射面を用いることが可能である。
第3反射面23は、例えば、アルミダイキャストや耐熱樹脂からなる基材に対し、アルミ蒸着等の表面処理を施すことで形成可能である。
[第3遮光シャッタ43]
図3〜図5に示すように、第3レンズ33と第3反射面23との間には、上端縁を第3レンズ33の焦点F33近傍に位置させた状態で第3遮光シャッタ43が配置されている(すれ違いビームやフォグランプ配光等、対向車への幻惑を防止するため、上方への明るさを減らしたカットオフ配光を作る場合に配置する)。
第3遮光シャッタ43は、図3〜図5に示すように、平板形状(又は第3レンズ33の収差を考慮した円弧状)の遮光部材である。
第3遮光シャッタ43は、例えば、黒色不透明材料により形成することが可能である。
第3遮光シャッタ43を配置した場合、第3反射面23の第2焦点F223は、第3レンズ33の焦点F33よりも上方に設定するのが好ましい。このようにすれば、第3遮光シャッタ43で遮光される第3反射面23からの反射光の量が低減するため、より明るいスポット配光パターンP3を形成することが可能となる。
[スポット光学系によるスポット配光パターンP3]
上記構成のスポット光学系(第3レンズ33、第3反射面23、第3遮光シェード43)によれば、図5に示すように、第3反射面23で反射されたLED光源10からの光(水平から傾斜の大きい斜めの光源像)は、第3レンズ33に入射し、上下方向に集光し(2〜5度程度)かつ左右方向に拡散した(2〜10度程度)集光性がミドル光学系よりもさらに高いスポット配光パターンP3(図20参照)を形成する。
[付加ミドル光学系]
第4レンズ34、第4反射面24、第4遮光シェード44は、ミドル配光パターンP3に重畳される付加ミドル配光パターンP4(図21参照)を形成する付加ミドル光学系を構成している。
[第4レンズ34]
図1〜図5に示すように、第1レンズ31の下方、第1レンズ31よりも前方、かつ、第2レンズ32の両側にはそれぞれ、第4レンズ34が配置されている。
第4レンズ34は、図1〜図5に示すように、上側略半分及び下側が水平面でカットされた形状の非球面レンズである(例えば、高さ:約9mm、幅:約15mm、焦点距離:約20mm、肉厚:約10mm)。第4レンズ34の下側をカットした理由は、トロイダルレンズ31等の下側略半分をカットしたのと同様、カットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止(又は低減)するためである。第4レンズ34は、例えば、可視光領域で透明な樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明又は半透明材料)を射出成形することで(又はガラス材料で)形成可能である。
なお、第4レンズ34は、上側略半分が水平面でカットされた形状の非球面レンズであるため、図9に示すように、LED光源10からの光Ray1が斜め上方から第4レンズ34(図9中符号Lbに相当)に入射すると、分散し、屈折率が大きい(波長が長い)青色光Ray1が、当該第4レンズ34の作用により屈折して前方斜め上向きに照射され、図10に示すように、カットオフラインCL近傍を青色に着色することになる。しかし、第4レンズ34に入射する光はLED光源10から横方向に浅い角度で出射される上下方向に狭い範囲の光であり、第4レンズ34での屈折量も少ないため、カットオフラインCL近傍の着色(青色)はほとんど目立たない。
[第4反射面24]
図3〜図5に示すように、LED光源10よりも後方、第1反射面21の上方、かつ、第4レンズ34の上方には、LED光源10の側方を覆うように、第4反射面24が配置されている。この配置により、光源像の見かけの大きさが第1反射面21よりも小さい、付加ミドル配光パターンに適した光(ほぼ横長の光源像)を用いることが可能となる。
第4反射面24は、LED光源10から入射する光を反射し、当該反射光が第4レンズ34を透過し、上下方向に集光し(3〜10度程度)かつ左右方向に拡散した(5〜15度程度)付加ミドル配光パターンP4(図21参照)を形成するように構成された反射面である。
第4反射面24としては、例えば、第1焦点がLED光源10近傍(例えば発光面中心付近)に設定され、第2焦点が、第4レンズ34に反射光が入射後、上下方向に集光し(3〜10度程度)かつ左右方向に拡散する(5〜15度程度)ように構成された反射面(例えば、回転楕円面又は楕円自由曲面とを組み合わせた反射面)を用いることが可能である。
第4反射面24は、例えば、アルミダイキャストや耐熱樹脂からなる基材に対し、アルミ蒸着等の表面処理を施すことで形成可能である。
第4反射面24は、右に配置された第4レンズ34、左に配置された第4レンズ34それぞれに対する入射効率を上げるため、2〜4つの面を組み合わせて構成するのが好ましい。
[第4遮光シャッタ44]
図3、図4に示すように、第4レンズ34と第4反射面24との間には、上端縁を第4レンズ34の焦点近傍に位置させた状態で第4遮光シャッタ44が配置されている(すれ違いビームやフォグランプ配光等、対向車への幻惑を防止するため、上方への明るさを減らしたカットオフ配光を作る場合に配置する)。
第4遮光シャッタ44は、図3、図4に示すように、第4レンズ34の収差を考慮した円弧状(又は平板形状)の遮光部材である。
第4遮光シャッタ44は、例えば、黒色不透明材料により形成することが可能である。
第4遮光シャッタ44を配置した場合、第4反射面24の第2焦点は、第4レンズ34の焦点よりも上方に設定するのが好ましい。このようにすれば、第4遮光シャッタ44で遮光される第4反射面24からの反射光の量が低減するため、より明るい付加ミドル配光パターンP4を形成することが可能となる。
[付加ミドル光学系による付加ミドル配光パターンP4]
上記構成の付加ミドル光学系(第4レンズ34、第4反射面24、第4遮光シェード44)によれば、第4反射面24で反射されたLED光源10からの光(ほぼ横長の光源像)は、第4レンズ34に入射し、上下方向に集光し(3〜10度程度)かつ左右方向に拡散した(5〜15度程度)集光性が高い付加ミドル配光パターンP4(図21参照)を形成する。
[オーバーヘッドサイン光学系]
第5レンズ35、第5反射面25は、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5(図22参照)を形成するオーバーヘッドサイン光学系を構成している。
[第5レンズ35]
図1〜図4に示すように、第3レンズ33(及び第2レンズ32)の両側にはそれぞれ、第5レンズ35が配置されている。
第5レンズ35は、図1〜図4に示すように、縦フルートカット等の円柱軸が鉛直方向に延びるシリンダー形状のレンズである(例えば、肉厚:2〜5mm程度)。第5レンズ35は、例えば、可視光領域で透明な樹脂(例えば、アクリルやポリカーボネイト等の透明又は半透明材料)を射出成形することで(又はガラス材料で)形成可能である。
[第5反射面25]
図3、図4に示すように、第3反射面23(及び第2反射面23)の両側にはそれぞれ、第5反射面25が配置されている。
第5反射面25は、LED光源10から入射する光を反射し、当該反射光が第5レンズ35を透過し、左右方向に拡散したオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5(図22参照)を形成するように構成された反射面である。
第5反射面25としては、例えば、焦点がLED光源10近傍(例えば発光面中心付近)に設定された回転放物面(又は放物自由曲面)を用いることが可能である。
第5反射面25は、水平線H−Hよりも上にオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5を配光するため、回転軸が水平に対して上向きとなるように配置されている。
第5反射面25は、例えば、アルミダイキャストや耐熱樹脂からなる基材に対し、アルミ蒸着等の表面処理を施すことで形成可能である。
[オーバーヘッドサイン光学系によるオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5]
上記構成のオーバーヘッドサイン光学系(第5反射面25、第5レンズ35)によれば、第5反射面25で反射されたLED光源10からの光(傾斜の大きい斜めの光源像)は、第5レンズ35に入射し、水平方向に拡散したオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP5(図22参照)を形成する。
[合成配光パターンP]
上記各光学系により形成される各配光パターンP1〜P5はそれぞれ、図23に示すように重畳され、走行ビーム用配光パターンとして最適化された一つの合成配光パターンPを形成する。図23を参照すると、ワイド配光パターンP1、ミドル配光パターンP2、P4、スポット配光パターンP3等が組み合わされ、配光の最適化が図れていることを確認できる。
なお、各レンズ31〜34と各遮光シャッタ41〜44は、膨張係数が異なる材料で構成すると、温度上昇で各配光パターンP1〜P4のカットオフがズレてしまうため、膨張係数が同じ樹脂材料で構成し、レーザー溶着等で固着するのが好ましい(図3参照)。
以上説明したように、本実施形態の車両用灯具100によれば、集束結像用レンズ(トロイダルレンズ31、第2レンズ32、第3レンズ33、第4レンズ34等)はカットオフラインCL近傍の着色(青色)の原因となる下側略半分がカットされた形状であるため(図1〜図5参照)、LED光源10からの光(反射光も含む)が斜め上方から入射する(図9参照)ことに起因するカットオフラインCL近傍の着色(青色)を防止又は低減することが可能となる。また、従来と比べ、下側略半分をカットした分、縦方向の寸法を小型化することが可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、各反射面(特に、第1反射面21、第2反射面22)は各レンズ(特に、トロイダルレンズ31、第2レンズ32)の光軸近傍よりも下方に配置されており(図5参照)、各レンズには当該各反射面の作用によりLED光源10からの光が斜め上方からではなく主に斜め下方から入射する構成である(図5参照)。この構成により、LED光源10からの光が斜め上方から入射する(図9参照)ことに起因するカットオフライン近傍の着色(青色)をさらに防止又は低減することが可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、第1遮光シャッタ41のうち自車線に対応する上端縁41b部分よりも高く設定された対向車線に対応する上端縁部分41aの作用により、対向車線に向かう光が遮光されるため、トロイダルレンズ31(又はシリンドリカルレンズ)を用いても、水平線H−Hより上かつ対向車線側の領域P1に配光されることに起因するグレアを防止又は低減することが可能となる。
また、従来、ワイド配光パターン、ミドル配光パターン、スポット配光パターンを含む合成配光パターンを形成するには少なくとも三つのLED光源(集光ユニット、中拡散ユニット、大拡散ユニット)が必要であったのに対し、本実施形態の車両用灯具100によれば、一つのLED光源10で、ワイド配光パターンP1、ミドル配光パターンP2、スポット配光パターンP3を含む、すれ違いビームに最適化された合成配光パターンPを形成するように、各反射面21〜23、各レンズ31〜33が配置されている。このため、従来と比べ、部品点数が増加しコストアップするのを防止することが可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、各遮光シャッタ41〜44の上端縁により規定されるカットオフラインを有する各配光パターンP1〜P4を形成することが可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、第2レンズ32、第3レンズ33等として短い焦点距離で小型サイズの非球面レンズを用いても、複数レンズ31〜35の組み合わせ構造であるため光量低下や配光自由度の低下がなく、奥行きの薄型化が可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、各レンズ31〜33を階段状に配置したことで、各レンズ31〜33全体として斜め形状のレンズになっており、同様に反射面21〜23も全体として斜め形状の反射面になり(図3参照)、スラントしたヘッドランプのアウターレンズのオフセット形状に対応したユニットとして、従来にない面沿い寸法での奥行き薄型化が可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、複数レンズ31〜35の組み合わせが立体的となり、従来の丸形状と異なる斬新な見栄えが可能となる。また、複数のレンズ31〜35の組み合わせでレンズにクリスタル感があり、高級な見栄えが可能となる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、照射方向が下向き(発光面が下向き)となるようにLED光源10を配置し、各反射面31〜33で前方斜め上向きに反射して各レンズ31〜33に入射させる構造であるため、カットオフライン近傍の着色(青色)を防止(又は低減)することが可能となる。
従来、LED光源を用いたプロジェクタ単眼レンズでは、レンズの肉厚が厚くなり、樹脂レンズでの射出成形時に起きる収縮ヒケの問題が大きく、成形時に金型の保圧・冷却時間がかかるなど高いコストが課題となっていた。これに対し、本実施形態の車両用灯具100によれば、各レンズ31〜35の大きさが小さく、肉厚を薄くできるので、射出成形の問題が解消され、廉価なレンズとなる。
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、LED光源10は点灯時発熱するが、従来のLED光源の下側に放熱器がある構造より、上側に放熱器50を配置したことで、効率のよい放熱が可能となる。
従来、集光ユニット、中拡散ユニット、大拡散ユニット等の複数の光学ユニットを用いたプロジェクタ型ランプユニットでは、各ユニットのカットオフを合わせる等、光軸調整機構部品の追加や組み立て時の調整工程でコストアップとなる問題があった。これに対し、本実施形態の車両用灯具100によれば、複数の光学ユニットを用いない構成であるため、光軸調整機構部品の追加や組み立て時の調整工程を省略することが可能となる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、5つの光学系(ワイド光学系、ミドル光学系、スポット光学系、付加ミドル光学系、オーバーヘッドサイン光学系)を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。これらの光学系を適宜組み合わせることが可能である。例えば、ワイド光学系、ミドル光学系のみで車両用灯具100を構成してもよい(例えばフォグランプに適用する場合)。あるいは、ワイド光学系、ミドル光学系、スポット光学系のみで車両用灯具100を構成してもよい(例えばヘッドランプに適用する場合)。
また、上記実施形態では、一つの車両用灯具100を用いてヘッドランプを構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、LED光源10の明るさが不足するのであれば、複数の車両用灯具100を組み合わせてヘッドランプを構成してもよい。
また、上記実施形態では、放熱器50として箱状のもの例示した(図参照)が、これに限定されることなく、デザインされた形状や、上だけではなく表側から裏側にも回りこんだ放熱器を用いることが可能である。
また、上記実施形態では、遮光シャッタ41〜44が黒色不透明材料により形成された例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、遮光シャッタ41〜44は、デザイン上から、必要に応じてカラー着色材で形成したり、着色塗装、アルミ蒸着をした上に透明の着色塗装を施してもよい。
また、上記実施形態では、遮光シャッタ41〜44を配置した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。必要に応じて遮光シャッタ41〜44の一部又は全部を省略してもよい(例えば走行ビーム用配光パターンを形成する場合)。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
100…車両用灯具、10…LED光源、21〜25…第1〜第5反射面、31〜35…第1〜第5レンズ、41〜44…第1〜第4遮光シャッタ、50…放熱器

Claims (4)

  1. 照射方向が下向きとなるように配置されたLED光源と、
    前記LED光源よりも前方に配置された集束結像用レンズであって、このレンズの光軸よりも下側略半分がカットされた形状の第1の集束結像用レンズと、
    前記LED光源から入射する光を反射し、当該反射光が前記第1の集束結像用レンズを透過し、第1の配光パターンを形成するように構成された第1の反射面と、
    前記第1の集束結像用レンズよりも前方に配置された集束結像用レンズであって、このレンズの光軸よりも下側略半分がカットされた形状の第2の集束結像用レンズと、
    前記LED光源よりも下方に位置し、前記第2の集束結像用レンズを透過し、第2の配光パターンを形成するように構成された第2の反射面と、
    を備え、
    前記第1の集束結像用レンズが、前記LED光源側に焦点が設定された非球面レンズを略水平方向に円弧状に延ばした形状のトロイダルレンズ又は前記LED光源側に水平方向に延びる焦線が設定されたシリンドリカルレンズで構成され、
    前記第2の集束結像用レンズが、非球面レンズで構成され、
    前記第1の反射面は、前記LED光源よりも後方、かつ、前記第1の集束結像用レンズの光軸近傍よりも下方に配置され、
    前記第2の反射面は、前記第1の反射面よりも前方、かつ、下方に配置されており、
    前記第1の配光パターンが、上下方向に対して左右方向に拡散した配光パターンであり、前記第2の配光パターンが、前記第1の配光パターンよりも集光性が高い配光パターンであり、前記第1の配光パターンと前記第2の配光パターンの合成配光パターンが形成されることを特徴とする車両用灯具。
  2. 前記第1の反射面は、前記LED光源の側方から前記LED光源の中心軸近傍にかけての範囲を覆うように配置され、前記LED光源から入射する光を反射し、当該反射光が前記第1の集束結像用レンズを透過し、上下方向に集光しかつ左右方向に拡散した前記第1の配光パターンを形成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
  3. 前記第1の反射面は、第1焦点が前記LED光源近傍に設定され、第2焦点が前記第1の集束結像用レンズと自己との間に設定された回転楕円系の反射面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
  4. 前記LED光源は、複数の青色発光チップと、前記青色発光チップの発光波長で励起されて発光する蛍光体と、を備えており、
    前記LED光源の中心軸が鉛直に対して後方に傾斜した姿勢又は鉛直の姿勢で配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
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