本発明は、少なくとも樹脂と着色剤及び、添加剤とからなる静電荷像現像用トナーにおいて、該添加剤が特定のNオキサイド化合物である静電荷像現像用トナーにより、環境変動の小さいトナーが得られることを見出したものであるが、上記構成により本発明の効果が奏されるようになった理由は必ずしも明かではない。おそらく、Nオキサイド化合物は分子内の近接した部分に分極構造を有するが故に、トナー粒子表層に多く分布し、微量の水を保持しているために、低湿環境下における過剰帯電を緩和することができると推測される。
本発明において、R1が10〜15の範囲にあると、おそらく、Nオキサイド化合物は分子内の近接した部分に分極構造を有するが故に、トナー粒子表層に多く分布し、しかも微量の水を保持しているために、低湿環境下における過剰帯電を緩和することができ、結果として帯電量の環境差が大きく縮小したものと推測される。
しかし、R1が9以下になると、Nオキサイド化合物の疎水性の低下によって、Nオキサイド化合物分子のトナー表面への分布量が増えて、表層への水分の存在量が増え、高温高湿環境下での帯電性が低下してしまう。一方、R1が16以上になると、Nオキサイド化合物の疎水性が増加して、Nオキサイド化合物分子のトナー中での分布は中心方向まで拡がり、低湿環境下における過剰帯電を緩和する効果が薄れてしまうと推察している。この効果はR1において顕著であるが、R2、R3においても若干の傾向が見られる。これは、アルキル鎖末端とNオキサイド部との距離が関係しているものと推察している。
また、この効果は、凝集法などのいわゆるケミカルトナーの製造の場合に顕著である。また、R1の数の上下限の境目で急激に効果が薄れるのは、トナー表面での帯電機構への水の関与を示唆している。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるトナーは、少なくとも樹脂及び着色剤とその他の添加剤を構成成分として含有するが、この中、樹脂と着色剤については後述する如く、此までトナーに用いられてきたものを本発明でも用いることが出来る。又、その他の添加剤についても多くの場合従来用いてこられたものを本発明でも用いることが出来る。それ故、本発明での用いられる一般式(1)で表される化合物について詳細に説明する。
〔一般式(1)で表される化合物〕
一般式(1)で表される化合物は、一つの分子中に陽イオンとして第4級アンモニウム、陰イオンとして水酸基を有する分子内塩と呼ばれるものの一種である。この様に、本発明では一つの分子中に陽イオンを形成している部位と陰イオンを形成している部位とを、近接して有する化合物が効果を発現されることを見出している。
トナーに添加する一般式(1)で表される化合物の具体的な化合物例としては、R1としてラウリル基を有するもの、ステアリル基を有するもの等を挙げることができる。
これらのアミンオキサイドは、対応する第3級アミンに過酸化水素を反応させる方法により容易に合成することができる(特開平10−168669号公報)。
たとえば、例示化合物1(ラウリルジメチルアミンオキサイド)は、アルドリッチ社製の「N,N−Dimethylundecylamine」を溶剤に溶かし、過酸化水素水を反応させることによって容易に合成することができる。
一般式(1)で表される化合物のトナー中への添加方法は、特に限定されるものではないが、一つの例として、トナー製造時に添加する方法が挙げられる。
例えば該化合物を、イオン交換水に投入して撹拌溶解し、撹拌を継続しながら着色剤を徐々に添加して、さらに機械式分散装置を用いて分散処理を行うことにより、該化合物を含有する着色剤粒子分散液を作製する。この様にして作製された着色剤粒子分散液を別途作製した樹脂粒子分散液と混合して、着色剤粒子と樹脂粒子を凝集させ、一般式(1)で表される化合物を含有する着色粒子が作製される。このような水系での製造方法の場合、トナー粒子形成後に水等での洗浄工程があり、表面等のNオキサイドの一部が除去されるが、トナー粒子中にかなりの量が残存していると考えられる。
〔本発明に係わるトナー〕
次に本発明に係るトナーの粒径や形状について説明する。
本発明に係るトナーの体積基準のメディアン径(体積D50%径)は2.0〜8.0μmであることが好ましい。またより好ましくは3.0〜7.0μmである。ここで、体積基準のメディアン径(体積D50%径)とは、一定体積のトナーを粒径の大きい順または小さい順にカウントしたとき、カウント数(累積値)が全粒子数の50%に相当するトナーの粒径のものである。
また、本発明に係るトナーは、これを構成するトナーの体積基準の粒度分布における変動係数(以下、CV値ともいう)が20%以下であることが好ましい。変動係数が20%以下の粒度分布がシャープなトナーにより、高精細な文字画像を形成する上で好ましい。なお、トナーの体積基準の粒度分布における変動係数は、以下の式より算出される。
変動係数(CV値)(%)=(S2/Dn)×100
(式中、S2は体積基準の粒度分布における標準偏差を示し、Dnは体積基準メディアン径(体積D50%径;μm)を示す。)
本発明に係るトナーの体積基準メディアン径(体積D50%径)や変動係数(CV値)は、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度8%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、コールターマルチサイザーのアパチャー径は50μmのものを使用する。
本発明に係るトナーの平均円形度は、0.916〜0.970のものが好ましい。ここで、トナーの円形度は、下記式より算出される。すなわち、
円形度=(粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、個々のトナー粒子の円形度を足し合わせた値を全粒子数で除して算出した値である。
トナーの円形度を測定する装置としては、例えば、「FPIA−2100(Sysmex社製)」が挙げられる。FPIA−2100を用いた測定では、トナーを界面活性剤入りの水溶液でなじませ、超音波分散処理を1分間行ってトナーを分散させた後、FPIA−2100を用いて測定を行う。測定条件は、HPF(高倍率撮像)モードに設定してHPF検出数を3000〜10000個の適正濃度にして測定するものである。
本発明に係るトナーは、主に黒色トナーとして用いられるが、カラートナーとして用いることも可能である。すなわち、カラートナーを用いて画像を形成する場合においては、色再現性の環境依存が低減でき、常に安定したカラー画像を提供することが可能である。
トナー粒子の形成方法は、既知のどのような方法でもよい。たとえば、混練粉砕法、乳化重合会合法、乳化重合へテロ凝集法、分散重合法、溶媒伸張法、懸濁重合法などを挙げることができる。好ましくは、乳化重合会合法、乳化重合へテロ凝集法である。
また、液系のトナー粒子の形成装置としては、通常良く用いられる反応釜などのバッチ製法装置だけでなく、以下の引例のような連続製法装置を用いてもよい。
例えば、特開昭2006−64966号公報、特開昭2006−189710号公報、特開昭2006−350340号公報、及び特開昭2007−156244号公報等に記載されたものを用いることができる。
次に、本発明に係るトナーの製造方法の具体的な一例として以下について説明する。
(1)樹脂と着色剤を含有する着色粒子分散液を作製する工程
(2)着色粒子分散液を冷却する工程
(3)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、着色粒子を洗浄する工程
(4)洗浄処理した着色粒子を乾燥する工程
(5)乾燥処理した着色粒子に外添剤を添加する工程
最初に、(1)の「樹脂と着色剤を含有する粒子を作製する工程」について説明する。この工程は、水系媒体中で重合体一次粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させて樹脂と着色剤を含有する粒子を作製する工程であり、次のような工程から構成される。すなわち、
(a)ラジカル重合性モノマー中にワックスを溶解させ、モノマー溶液を調製する工程
(b)ラジカル重合性モノマー溶液を重合して重合体一次粒子を作製する重合工程
(c)重合工程で得られた重合体一次粒子と着色剤粒子を凝集、融着させて粒子形成する工程
から構成される。
重合体一次粒子を作製する重合反応は、例えば、以下のような手順で行われる。臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体(界面活性剤及びラジカル重合開始剤の水溶液)中に、ワックスを溶解させたモノマー溶液を添加し、機械的エネルギーを加えてモノマー溶液の液滴を形成する。次いで、水溶性のラジカル重合開始剤を添加して液滴中で重合反応を進行させる。なお、モノマー液滴中に油溶性の重合開始剤を含有させて重合を行うことも可能である。また、上記モノマー溶液の液滴を形成するための機械的エネルギー付与手段として、ホモミキサー、マントンゴーリン、超音波振動装置などが挙げられる。
この重合工程によりワックスを含有する重合体一次粒子が形成される。この重合体一次粒子は着色されていても、着色されていなくてもいずれでもよい。着色された重合体一次粒子はモノマー溶液中に着色剤を含有させておき、これを重合することにより得られる。また、着色されていない重合体一次粒子の場合は次の凝集、融着による粒子形成工程で着色剤粒子の分散液を添加して、重合体一次粒子と着色剤粒子とを融着させることで着色されることになる。
なお、この工程で重合体一次粒子作製に使用可能なワックスとしては、特に限定されるものではなく、具体的には低分子量のポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンと他のオレフィン系ポリマーとの共重合体等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニルやモンタン酸エステル、グリセリンエステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油やカルナウバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン系ワックス、アルキル基を有するシリコーン系ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸系ワックス、長鎖脂肪酸アルコール系ワックス、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール系ワックス及びその部分エステル体系ワックス、オレイン酸アミドやステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド系ワックス、等が挙げられる。これらの中で、融点が100℃以下のワックスを用いることで良好な定着性が得られ、40〜90℃のものがより好ましく、50〜80℃のものが特に好ましい。
また、モノマー溶液の液滴を作製する際に使用する乳化剤には、公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤が用いられ、これらを単独もしくは2種以上併用することが可能である。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
また、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪族石鹸や、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム等が挙げられる。
さらに、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、N−アルキルニトリロトリ酢酸、N−アルキルジメチルNオキサイド、α−トリメチルアンモニオ脂肪酸、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、N−アルキル−β−イミノプロピオン酸塩、N−アルキル−オキシメチル−N,N−ジエチルNオキサイド、N−アルキル−N,N−ジアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキルイミダゾリン誘導体、アミノエチルイミダゾリン有機酸塩、N−アルキルスルホNオキサイド、N−アルキルタウリン塩をあげることができる。
次に、重合体一次粒子の作製に用いられるモノマーについて説明する。本発明では極性基を有するモノマーとその他のモノマーとを添加して重合を進行させることにより、ワックスを含有する重合体一次粒子を作製する。複数種類のモノマーを用いて重合体一次粒子を作製する際、モノマー同士を別々に添加したり、複数のモノマーを予め混合しておいてから添加してもよい。さらに、モノマー添加中にモノマー組成を変更することも可能である。
重合体一次粒子の作製にあたり、重合反応をより確実に進行させるために一定量の乳化剤を添加することも可能である。また、重合開始剤を添加する時期は、モノマーの添加前、モノマーと同時に添加、モノマー添加後のいずれの場合でもよく、これらを組み合わせた添加方法でもよい。
また、着色剤や帯電制御剤等のワックス以外の成分を添加し、これらの成分を含有した重合体一次粒子を作製することも可能であり、着色剤をモノマーやワックスに溶解させてから重合反応を行うことも可能である。
酸性の極性基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有するモノマー等が挙げられる。
また、塩基性の極性基を有するモノマーとしては、例えば、アミノスチレン及びその4級塩、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環を含有するモノマーや、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び、これらのアミノ基を4級化したアンモニウム塩を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられる。
さらに、その他のモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
本発明では、極性基を有するモノマーとしてメタクリル酸が、また、その他のモノマーとしてスチレン、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが好適に用いられる。
これらのモノマーは、単独または併用して用いることが可能であるが、重合体のガラス転移温度が40〜80℃となるようにモノマーを選択することが好ましい。重合体のガラス転移温度が上記範囲とすることにより、トナーの保存安定性が確保されるとともに定着温度を広範に設定することが可能である。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、これらの過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4′−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の水溶性重合開始剤、及び、これらの水溶性重合開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤、過酸化ベンゾイル、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
また、上記重合体一次粒子を作製する際に、連鎖移動剤を使用することも可能である。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独あるいは2種以上併用することが可能である。また、連鎖移動剤の添加量は全モノマー量に対して5質量%以下が好ましい。
重合体一次粒子の大きさは、平均粒径で50〜3000nmの範囲であり、好ましくは100〜1000nm、100〜500nmが特に好ましい。その結果、トナー製造時における凝集速度の制御が行い易くなるので、均一なトナーを作製し易くなる。また、重合体一次粒子の大きさが上記範囲のときに小径のトナーが得られ易くなり、高解像度の画像形成を促進させる。なお、重合体一次粒子の大きさは、前述したワックス粒子の測定と同様、粒度分布測定装置を用いて測定することが可能で、例えば、レーザー回折散乱法を用いたマイクロトラック粒度分布測定装置UPA(日機装株式会社製)等の市販の粒度分布測定装置が挙げられる。
重合工程に続く粒子形成工程では、重合体一次粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させることにより粒子が形成される。
凝集、融着を行って粒子形成を行う代表的な方法の1つに「塩析/融着法」がある。この方法は、ワックスを溶解させたモノマーを重合して重合体一次粒子を形成して得られた重合体一次粒子を着色剤粒子と金属塩等を用いて凝集させて粒子成長させる。そして、所望の粒子径まで成長したところで凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うものである。本発明においては、金属塩を用いる「塩析/融着法」ではなく、凝集、融着により粒子形成を行っている。本法においては、電気的に極性の異なる重合体一次粒子及び、着色粒子を混合することにより粒子成長を行う。そして、所望の粒子径まで成長したところで、pH調整を行い粒子成長停止させ、さらに、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うものである。
また、粒子形成工程では、重合体一次粒子や着色剤粒子の他に、ワックスや荷電制御剤などの内添剤も粒子にして凝集、融着させることができる。
粒子形成工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用可能な界面活性剤としては、前述の樹脂微粒子形成に使用される界面活性剤と同様のものを挙げることができるが、両性界面活性剤を使用することが好ましい。尚、本発明においては、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分子量液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
凝集/融着法は、塩基性下、重合体一次粒子と着色剤粒子が存在している水中に、塩酸等の酸を添加し、pHを酸側とする。次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱することで凝集を進行させると同時に融着を行う工程である。所望の粒径となった時点で、水酸化ナトリウム等の塩基を添加することで、pHを酸側とすることで粒子の成長を停止させる。そして、必要に応じて加熱を継続して行うことにより粒子の形状を制御するものである。
次に、(2)の「着色粒子分散液を冷却する工程」について説明する。この工程は前述の工程で作製された着色粒子の分散液を冷却処理する工程で、1〜20℃/分の冷却速度で急冷処理するものである。この工程で用いられる冷却処理方法としては、例えば、反応容器外部より冷媒を投入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法等が挙げられる。
次に、(3)の「冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、着色粒子を洗浄する工程」について説明する。この固液分離・洗浄工程では、前述の工程で所定温度まで冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離する処理と、固液分離によりトナーケーキと呼ばれる塊状の着色粒子集合体を洗浄処理する工程からなる。トナーケーキの洗浄により、着色粒子表面に付着している界面活性剤や凝集剤等の付着物が除去される。
着色粒子分散液の固液分離処理方法には、遠心分離法やヌッチェ等を使用する減圧濾過法、フィルタープレス等を使用する濾過法等が挙げられる。なお、固液分離・洗浄工程を複数回にわたり繰り返し行うことで、着色粒子表面の付着物をより確実に除去できる。
次に、(4)の「洗浄処理した着色粒子を乾燥する工程」について説明する。この工程は、最終の洗浄処理を行ったトナーケーキを乾燥処理する工程である。この工程で使用される具体的な乾燥装置としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機の他に、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等が挙げられる。
乾燥処理後の着色粒子の水分量は、カールフィッシャー法による水分量測定で5質量%以下、好ましくは2質量%以下とすることが好ましい。カールフィッシャー法による水分測定装置としては、例えば、自動水分量測定装置「AQS−724」(平沼産業株式会社製)などが挙げられ、水分量測定時の条件は例えば気化温度を110℃、気化時間を25秒に設定して測定する。
次に、(5)の「乾燥処理した着色粒子に外添剤を添加する工程」について説明する。この工程は、乾燥させた着色粒子に必要に応じて外添剤を添加して、着色粒子を画像形成に使用可能なトナーにする工程である。外添剤を添加、混合させる装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
次に、本発明に係るトナーの構成材料について説明する。
本発明に係るトナーに使用される結着樹脂用は、特に限定されるものではなく、公知のものが使用される。具体的には、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体との共重合体;スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体等のスチレン系共重合体;フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらのうち、特に、ポリエステル樹脂、スチレン系共重合体樹脂が好ましく使用される。
なお、スチレン系共重合体のスチレンモノマーに組み合わされるモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等の二重結合を有するジカルボン酸もしくはその置換体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン、ブテン等のエチレン系オレフィン類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類等が挙げられる。スチレン系共重合体を形成する場合には、これらのビニル系モノマーを単独もしくは2種類以上用いる。
また、トナー用結着樹脂は、前述した樹脂を2種類以上混合させたものや、架橋剤を介して架橋構造を形成するものでもよい。架橋剤としては、重合可能な二重結合を2つ以上有する化合物が用いられる。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの様な二重結合を2個以上有するカルボン酸エステル化合物;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上併用して用いることが可能である。
本発明に係るトナーへの使用が可能な着色剤としては、以下の様なものが挙げられる。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックや、マグネタイトやフェライト等の磁性体も使用可能である。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.Iピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンもしくはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.Iピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2種類以上併用することが可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することが可能である。荷電制御剤の具体的な例としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、ベンジル酸誘導体金属塩あるいはその金属錯体、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。含有される金属としては、Al、B、Ti、Fe、Co、Ni等が挙げられる。この中でも、ベンジル酸誘導体の金属錯体化合物が特に好ましい。
荷電制御剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜20.0質量%の範囲に設定するのがよい。
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良及びクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加することが可能である。これら外添剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することが可能である。
無機微粒子としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては必要に応じて疎水化処理したものを用いてもよい。具体的なシリカ微粒子としては、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
これら外添剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
本発明に係るトナーには、必要に応じてクリーニング性、転写性の向上の目的で滑剤を添加して用いても良い。滑剤としては、例えば、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
これら滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
〔本発明に係わる現像剤〕
本発明に係るトナーは、一成分現像剤、2成分現像剤として用いることができる。一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤或いはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれにも使用することができる。しかし、本発明の効果を十分に発揮することが出来、長期に亘って安定的に微少ドット再現性を発揮するのは、トナーをキャリアと混合して2成分現像剤として用いる場合である。
この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の鉄含有磁性粒子に代表される従来から公知の材料を用いることができるが、特に好ましくはフェライト粒子もしくはマグネタイト粒子である。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは20〜80μmのものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、レーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているコーティングキャリア、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
また、キャリアとトナーの混合比は、質量比でキャリア:トナー=1:1〜50:1の範囲とするのがよい。
〔画像形成方法及び画像形成装置〕
本発明に用いられる画像形成方法は、現像方式としては特に限定はなく、1成分系の現像方式にも2成分の現像方式にも本発明のトナーを用いることができる。2成分の現像方式においては、本発明のトナーの他にキャリアが必要になるが、公知の方法で造られたキャリアを特に限定無く用いることができる。また、定着方式においてもローラ定着方式でもベルト定着方式でも、その他の方式でもよい。
図1は本発明の画像形成方法に係る画像形成装置の一例の全体断面図である。画像形成装置は、原稿搬送装置1、画像読取部2、画像形成部3、転写材収納部4、搬送部5、排紙皿6及び通信部7を有する。原稿搬送部1は多数枚の原稿を1枚ずつ読取位置に搬送する装置であり、片面読取用搬送機能及び読取位置に表面を読取面にして搬送した後に、表裏反転し、読取位置に裏面を読取面にして搬送する両面読取用搬送機能とを有する。
画像読取部2は原稿搬送装置により搬送される原稿又は原稿台21上に載置された原稿を読み取って画像データを生成する。
画像形成部3は画像読取部2が生成した画像データに基づいて又は通信部7が生成した画像データに基づいて転写材Pに画像を形成する。画像形成部3は感光体31、帯電装置32、露光装置33、現像装置34、転写手段としての転写装置35、分離手段としての分離装置36、転写材分離爪40、クリーニング装置37及び定着器(定着装置)38を有する。帯電装置32、露光装置33及び現像装置34は感光体31上にトナー像を形成するトナー像形成手段を構成する。
転写材収納部4は3個の給紙トレイ400、410、420を有する。
搬送部5は転写材収納部4から画像形成部3へ、更に、画像形成部3から排紙皿6へと転写材Pを搬送するものであり、複数の搬送ローラを有し、複数の搬送ローラには、画像形成部3におけるトナー像の形成と同期して、転写材を搬送するレジストローラ51が含まれる。
6は画像形成され、装置から排出された転写材Pが積載される排紙皿であり、7はネットワークを介して外部機器と通信を行う通信部である。また、8は片面に画像が形成された転写材Pを表裏反転した画像形成部3に供給する反転搬送路である。
画像形成において、感光体31が矢印で示すように回転して、感光体31に対して、帯電、露光及び現像が帯電装置32、露光装置33及び現像装置34により行われて、感光体31上にトナー像が形成される。
感光体31上に形成されたトナー像はレジストローラ51から搬送された転写材Pに転写される。トナー像が形成された転写材Pは分離装置36及び転写材分離爪40により感光体31から分離され、定着装置38において定着処理される。
定着装置38を通過した転写材Pは排紙皿6に排出されるか又は反転搬送路8に搬送される。転写シート(転写紙、転写材、画像支持体等ともいう)Pが反転搬送路8に搬送されるのは、両面画像形成の場合であり、反転搬送路8に搬送された転写材Pは、再度画像形成部3に搬送され、転写装置35により、裏面にトナー像が転写された後に定着処理され、定着後に排紙皿6に排出される。
本発明に係るトナーを用いて形成されるトナー画像を保持する転写シートPは、通常画像支持体、転写材あるいは転写紙と呼ばれるもので、トナー画像を形成可能なものであれば特に限定されるものではない。具体的には、薄紙から厚紙にいたるまでの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔着色粒子の作製〕
(1)重合体一次粒子分散液1の作製
スチレン175g、n−ブチルアクリレート60g、メタクリル酸15g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート7gからなる単量体混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、そこにペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル100gを添加し、70℃に加温、溶解させて単量体混合液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1350gに溶解させた界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体混合液を添加、混合した後、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)により30分間分散を行うことにより乳化分散液を調製した。
次いで、この分散液に過硫酸カリウム7.5gをイオン交換水150gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃で1.5時間加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子に対し、さらに過硫酸カリウム12gをイオン交換水220gに溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン320g、n−ブチルアクリレート100g、メタクリル酸35g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート7.5gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合を進行させた後、28℃まで冷却して重合体一次粒子分散液を得た。この重合体一次粒子分散液を「重合体一次粒子分散液1」とする。
(2)着色剤粒子分散液1の作製
例示化合物1の90gをイオン交換水1600gに投入して撹拌溶解させた。この液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R(キャボット社製))420gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。これを「着色剤粒子分散液1」とする。「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(3)着色粒子1の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、前述の「重合体一次粒子分散液1」を固形分換算で392g、イオン交換水1100gを投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、「着色剤分散液1」200gを投入し、5モル/リットルの塩酸水溶液を添加してpHを3に調整した。
その後、昇温を行うことで凝集反応を行った。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6.6μmになった時点で5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8に調整して、粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前述のFPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液1」を作製した。作製した「着色粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARK 3型(型式番号60×40)(松本機械製作所株式会社製)」で固液分離し、「着色粒子1」のウェットケーキを形成した。
形成したウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄処理し、その後、気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー(株式会社 セイシン企業製)」に移して、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して「着色粒子1」を作製した。得られた「着色粒子1」の体積基準メディアン径(体積D50%径)は6.5μmだった。
以下、表1に記載の例示化合物2〜19を用いて、同様な粒径、平均円形度を有する着
色粒子2〜19を得た。
(5)着色剤粒子分散液21の作製
例示化合物21の90gをイオン交換水1600gに投入して撹拌溶解させた。この液を撹拌しながら、カーボンブラック(リーガル330R(キャボット社製))420gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子分散液を調製した。これを「着色剤粒子分散液21」とする。「着色剤粒子分散液21」における着色剤粒子の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子株式会社製)を用いて測定したところ、115nmであった。
(6)着色粒子21の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、前述の「重合体一次粒子分散液1」を固形分換算で392g、イオン交換水1100g、「着色剤分散液21」200gを投入し、液温を30℃に調整した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後、昇温を開始して60分間かけて90℃まで昇温させた。昇温後、90℃に保持させたまま凝集反応を継続させた。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が6.6μmになった時点で塩化ナトリウム40gをイオン交換水160gに溶解させた溶液を添加して、粒子成長を停止させた。さらに、液温度を90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、前述のFPIA−2100を用いて(HPF検出数を4000個)、平均円形度が0.925になった時点で30℃に冷却し、「着色粒子分散液21」を作製した。作製した「着色粒子分散液2」をバスケット型遠心分離機「MARK III型(型式番号60×40)(松本機械製作所株式会社製)」で固液分離し、「着色粒子21」のウェットケーキを形成した。
形成したウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄処理し、その後、気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー(株式会社 セイシン企業製)」に移して、水分量が0.5質量%になるまで乾燥して「着色粒子21」を作製した。得られた「着色粒子21」の体積基準メディアン径(体積D50%径)は6.5μmだった。
以下、下記「表1」に記載の例示化合物22、ドデシル硫酸ナトリウムを用いて、同様な粒径、平均円形度を有する着色粒子22、23を得た。
〔トナー及び現像剤の作製〕
得られた「着色粒子1〜23」に、数平均1次粒子径が12nm、疎水化度が68の疎水性シリカを1質量%、及び、数平均1次粒子径が20nm、疎水化度が63の疎水性酸化チタンを1質量%となるように添加し、「ヘンシェルミキミキサー(三井三池化学工業株式会社製)」を用いて混合した。その後、目開き45μmのフルイを用いて粗大粒子を除去して「トナー1〜23」を得た。なお、作製されたトナー1〜23はいずれも体積基準メディアン径(D50%径)が6.5μm、平均円形度が0.925だった。
トナー1〜23の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合して、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。
〔評価実験〕
(帯電性)
2成分現像剤の環境特性を評価する為、トナーとキャリアをトナー混合比6質量%で調合し、混合撹拌時間20分の帯電量を電解分離法により測定した。
(ドット再現性及び細線再現性)
各トナーとキャリアとをトナー混合比6質量%の割合で混合して得られた現像剤を使用した。評価装置として、市販のモノクロ画像形成装置「bizhub PRO 1050(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)」を用いた。低温低湿環境(10℃、20%RH)及び、高温高湿環境(30℃80%RH)の環境下でプリント作成を行った。
◎:ドット再現性および細線再現性に著しく優れていた。
○:ドット再現性および細線再現性に優れていた。
△:ドット再現性もしくは細線再現性の低下があるが、実用上全く問題がなかった。
×:再現性もしくは細線再現性の低下があり、実用上問題があった。
下記表2に示す様に、本発明に該当する実施例では帯電量の環境依存性が大幅に改良されており、本発明の効果を奏することが確認された。一方、比較例では上記評価に対して良好な結果が得られなかった。この様に、本発明の一般式(1)で表されるNオキサイド化合物をトナーに添加することで、帯電量の環境依存性を改善することができ、実画像においても、ドット再現性、細線再現性に優れる。
上記「表2」に示される結果から明らかな様に、本発明内の例示化合物1〜19を用いた場合は、ドット再現性・細線再現性、帯電量特性のいずれも低温低湿環境、高温高湿環境共に良好である。しかし、本発明外の例示化合物21〜23を用いた場合は、環境による帯電量差が大きく、ドット再現性・細線再現性にも問題が生じることがわかる。