しかしながら、上記特許文献1のものでは、使用するたびに冷水導入管を水道水の蛇口に取り付けなければならず、手軽に使用できるものではない。また、哺乳瓶を回転させることによる飲料の撹拌作用があるため、水道水を単に当てるだけの冷却よりも効果はあると思われるが、筒体中の水は、哺乳瓶の回転に合わせて螺旋を描きながら筒体下方から上方へと流れていくと思われるので、上記撹拌作用の点以外は、哺乳瓶を回転させずに筒体下方から上方へ水を流している場合と、さほど変わりないと思われる。また、上記特許文献2〜4のものでは、水道水又は湯などの温度調整用の液体を流したままにして容器入り飲料が適温になるまで待たなければならず、不経済である。したがって、近年では、さらに効率よく、手軽に容器入り飲料を適温にすることができるものが望まれている。
上記問題に鑑みて、本発明の目的は、効率よく、手軽に容器入り飲料を適温にすることができる、容器入り飲料の温度調整用カップ状容器を提供することである。
(1) 本発明の容器入り飲料の温度調整用カップ状容器は、注がれた液体を外部に排出する排出口を底部に有したものである。
上記(1)の構成によれば、前記温度調整用カップ状容器内に、飲料が入った飲料用容器を入れて、前記温度調整用カップ状容器上部から所定温度の液体を注入した際、前記液体は、前記飲料用容器を介して間接的に、飲料から吸熱又は飲料に与熱する。吸熱後又は与熱後の前記液体は前記排出口から排出されることになるので、新たな液体を前記温度調整用カップ状容器内に投入し続けることができる。その結果として、連続的に、前記容器入り飲料から吸熱、又は、前記容器入り飲料に与熱することができる。これにより、従来の底部に排出口がない温度調整用カップ状容器に比べて、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることが可能な温度調整用カップ状容器を提供できる。したがって、例えば、水道水を使用しての冷却時においては、節水効果を期待できる。また、使用者が、(a)前記飲料用容器が入った前記温度調整用カップ状容器を手で持ち、前記液体を注ぎつつ前記カップ状容器上部からこぼれ出ない程度に、前記温度調整用カップ状容器を略水平面において略円を描くように回転させることで発生した遠心力によって、前記液体を前記飲料用容器にできるだけ長い時間接触させたり、流速を速くしたり、接触面積を大きくしたりする、(b)前記飲料用容器が入った前記温度調整用カップ状容器を手で持って、前記液体を注ぎつつ前記飲料用容器の周りを棒状部材で撹拌する、又は、(c)前記液体の注入量を適宜調整する、ことなどによって、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。特に、上記(a)又は(b)の場合には、前記温度調整用カップ状容器内の飲料用容器も動かすことになるため、該飲料用容器内の飲料が撹拌されるので、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
(2) 上記(1)の温度調整用カップ状容器においては、内周面に、少なくとも1つの凹部又は突出部が設けられていることが好ましい。
上記(2)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように使用した際、前記カップ状容器内に注がれた前記液体を前記凹部又は前記突出部によって撹拌しつつ、飲料が入った飲料用容器に接触させることができるので、さらに効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
(3) 上記(2)の温度調整用カップ状容器においては、前記凹部が、前記底部に向かって略直線状に形成されているものであることが好ましい。
上記(3)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように使用した際、遠心力によって前記液体が前記凹部に入りやすくなるとともに前記底部方向へと落下しやすくなるので、吸熱後又は与熱後の前記液体の排出をスムーズに行うことができる。
(4) 別の観点として、上記(2)の温度調整用カップ状容器においては、前記突出部が、前記液体を注ぐ側から前記底部側に向かって略直線状に形成されているものであることが好ましい。
上記(4)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように操作している際には、前記液体を注ぐ側から前記底部側に向かって形成されている略直線状の前記突出部に飲料用容器が衝突するので、飲料用容器内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
(5) 別の観点として、上記(2)の温度調整用カップ状容器においては、前記突出部が、前記液体を注ぐ側から前記底部側に向かって階段状に形成されているものであることが好ましい。
上記(5)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように操作している際には、前記液体を注ぐ側から前記底部側に向かって階段状に形成されている突出部によって飲料用容器の移動方向を一時的に変化させることができる。その結果として、飲料用容器内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。また、前記突出部が、2段以上の階段状に形成されているものであって、使用者が上記(a)又は(b)のように操作している際、飲料用容器が前記突出部の位置まで移動してきた場合には、飲料用容器の外周面と温度調整用カップ状容器の内周面との接触部分が少なくなり、飲料用容器の外周面と温度調整用カップ状容器の内周面との間に隙間ができる。このとき、該隙間を上記液体が通過できるので、上記液体と飲料用容器の外周面とが、より接触することができるようになるため、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
(6) 別の観点として、上記(2)の温度調整用カップ状容器においては、前記突出部が、前記カップ状容器の内周面に沿って螺旋状に形成されているものであることが好ましい。
上記(6)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように操作している際、内周面に沿って螺旋状に形成されている前記突出部に沿って、上記液体を飲料用容器の外周面に接触させることができることから、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
(7) 上記(3)の温度調整用カップ状容器においては、前記排出口が、前記凹部における前記底部側の終端と対応する位置に設けられていることが好ましい。
(8) 上記(4)〜(6)の温度調整用カップ状容器においては、前記排出口が、前記突出部における前記底部側の終端と対応する位置に設けられていることが好ましい。
上記(7)又は(8)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように使用した際、前記突出部に沿って流れてきた吸熱後又は与熱後の前記液体の排出を、前記排出口からスムーズに行うことができる。
(9) 上記(1)〜(8)の温度調整用カップ状容器においては、前記排出口が、前記底部の偏心位置に形成されていることが好ましい。
上記(9)の構成によれば、前記温度調整用カップ状容器の底部中心に前記排出口があった場合には、使用者が上記(a)又は(b)のように使用した際、遠心力によって前記液体が前記カップ状容器の内壁側に片寄りやすくなり、前記カップ状容器の底部付近まで流れてきた吸熱後又は与熱後の前記液体の排出が滞ることがある。これに対して、本発明の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように使用した際であっても、前記排出口が、前記カップ状容器の底部の偏心位置に形成されているので、前記底部付近の吸熱後又は与熱後の前記液体の排出をスムーズに行うことができる。
(10) 別の観点として、上記(1)〜(9)の温度調整用カップ状容器においては、外側面に取っ手が取り付けられていることが好ましい。
上記(10)の構成によれば、使用者が上記(a)又は(b)のように使用しやすい温度調整用カップ状容器を提供できる。
<第1実施形態>
図1及び図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る、容器入り飲料の温度調整用カップ状容器(以下、カップ状容器とする。)について説明する。
図1及び図2に示したように、カップ状容器100は、開口部6を一端に有し、底部4を他端に有した筒状部1と、開口部6から筒状部1の外側方向へ突き出るように設けられた略L字状の取っ手2とを備えているものである。
筒状部1は、図2に示したように、開口部6から底部4にかけて縮径している略テーパー形状のものであって、飲料用容器101を内部に載置できるようになっている。また、筒状部1は、内周面であって取っ手2と対向する位置に、開口部6の縁から底部4の方向へ略直線状に設けられた凹部3を有している。凹部3の底部4側には、図1(b)に示したように、略三日月形状の終端部5が形成されている。
底部4は、注がれた液体を外部に排出する排出口4aを、偏心位置(底部4中心からずれた位置)且つ終端部5の下方位置付近に有している。
取っ手2は、先端が略鉛直方向の下方へ向くように、筒状部1に設けられている。これにより、使用者が持ちやすくなるので、カップ状容器100を容易に操作できる。
次に、カップ状容器100の操作方法について説明する。まず、飲料が入った飲料用容器101をカップ状容器100の内部に入れる。次に、取っ手2を手で持ち、吸熱用又は与熱用の液体の注入量を適宜調整しながら、開口部6を介してカップ状容器100の内部に注ぐ。続いて、開口部6からこぼれ出ない程度に、略水平面において略円を描くように時計回り又は反時計回りに回転させ、遠心力を発生させる。該遠心力を用いて、上記液体をカップ状容器100の内周面に押しつけるようにしつつ、飲料用容器101に所定時間接触させるようにし、飲料用容器101を介して間接的に、上記飲料から吸熱又は上記飲料に与熱する。なお、当然ではあるが、単に上記液体を注ぐだけの状態よりも長い時間、上記液体をカップ状容器100内において保持させるように、カップ状容器100を操作する。続いて、吸熱後又は与熱後の上記液体を主に凹部3を介して排出口4aから排出させつつ、新たな吸熱用又は与熱用の液体の注入量と、発生させる遠心力の強さとを適宜調整しながら、上記飲料の温度が適温になるまで、カップ状容器100を略水平面において略円を描くように回転し続ける操作を行う。
上記構成によれば、従来の底部に排出口がないカップ状容器に比べて、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることが可能なカップ状容器100を提供できる。また、上述したようにカップ状容器100を操作することで、飲料用容器101も動くため、飲料用容器101内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。したがって、例えば、水道水を使用しての冷却時においては、節水効果を期待できる。
また、上述したようにカップ状容器100を操作することで、カップ状容器100内に注がれた液体を、凹部3によって撹拌しつつ飲料が入った飲料用容器101に接触させることができるので、さらに効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。また、遠心力によって上記液体が凹部3に入りやすくなるとともに底部4方向へと落下しやすくなるので、吸熱後又は与熱後の上記液体の排出をスムーズに行うことも可能である。
また、排出口4aが底部4の偏心位置に形成されているので、上述したようにカップ状容器100を操作した際に、遠心力によって上記液体が筒状部1の内周面に片寄ってしまっても、底部4付近の吸熱後又は与熱後の前記液体の排出をスムーズに行うことができる。
また、排出口4aが凹部3の終端部5の下方位置に設けられているので、上述したようにカップ状容器100を操作した際に、凹部3に沿って流れてきた吸熱後又は与熱後の上記液体の排出を、排出口4aからスムーズに行うことができる。
<第2実施形態>
図3及び図4を用いて、本発明の第2実施形態に係るカップ状容器について説明する。なお、本実施形態における符号12、14、15、201の部位は、順に、第1実施形態の符号2、4、5、101の部位と同様のものであるので、説明を省略することがある。
図3及び図4に示したように、カップ状容器200は、開口部15を一端に有し、底部14を他端に有した筒状部11と、開口部15から筒状部11の外側方向へ突き出るように設けられた略L字状の取っ手12とを備えているものである。
筒状部11は、図4(b)に示したように、開口部15から底部14にかけて縮径している略テーパー形状のものであって、飲料用容器201を内部に載置できるようになっている。また、筒状部11は、開口部15と底部14との間の内周面であって取っ手12と対向する位置に、開口部15側から底部14側にかけて略直線状に設けられた一対の突出部13を有している。
底部14は、注がれた液体を外部に排出する排出口14aを、偏心位置(底部14中心からずれた位置)であって2本の突出部13の下方位置(突出部13の底部14側の終端と対応する位置)付近に有している。
次に、カップ状容器200の操作方法について説明する。まず、飲料が入った飲料用容器201をカップ状容器200の内部に入れる。次に、取っ手12を手で持ち、吸熱用又は与熱用の液体の注入量を適宜調整しながら、開口部15を介してカップ状容器200の内部に注ぐ。続いて、開口部15からこぼれ出ない程度に、略水平面において略円を描くように時計回り又は反時計回りに回転させ、遠心力を発生させる。該遠心力を用いて、上記液体をカップ状容器200の内周面に押しつけるとともに突出部13で撹拌しつつ、飲料用容器201に所定時間接触させるようにし、飲料用容器201を介して間接的に、上記飲料から吸熱又は上記飲料に与熱する。なお、当然ではあるが、単に上記液体を注ぐだけの状態よりも長い時間、上記液体をカップ状容器200内において保持させるように、カップ状容器200を操作する。続いて、吸熱後又は与熱後の上記液体を排出口14aから排出させつつ、新たな吸熱用又は与熱用の液体の注入量と、発生させる遠心力の強さとを適宜調整しながら、上記飲料の温度が適温になるまで、カップ状容器200を略水平面において略円を描くように回転し続ける操作を行う。
上記構成によれば、凹部3が奏する効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上述したようにカップ状容器200を操作することで、カップ状容器200内に注がれた液体を、突出部13によって撹拌しつつ飲料が入った飲料用容器201に接触させることができるので、さらに効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。また、上記液体が突出部13に沿って底部14方向へと落下しやすくなるので、吸熱後又は与熱後の上記液体の排出をスムーズに行うことも可能である。
また、上述したようにカップ状容器200を操作している際には、突出部13に飲料用容器201が衝突するので、飲料用容器201内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
また、排出口14aが突出部13の下方位置に設けられているので、上述したようにカップ状容器200を操作した際に、突出部13に沿って流れてきた吸熱後又は与熱後の上記液体の排出を、排出口14aからスムーズに行うことができる。
<第3実施形態>
図5及び図6を用いて、本発明の第3実施形態に係るカップ状容器について説明する。なお、本実施形態における符号22、25、301の部位は、順に、第1実施形態の符号2、5、101の部位と同様のものであるので、説明を省略することがある。
図5及び図6に示したように、カップ状容器300は、開口部25を一端に有し、底部24を他端に有した筒状部21と、開口部25から筒状部21の外側方向へ突き出るように設けられた略L字状の取っ手22とを備えているものである。
筒状部21は、図6に示したように、開口部25から底部24にかけて縮径している略テーパー形状のものであって、飲料用容器301を内部に載置できるようになっている。また、筒状部21は、開口部25と底部24との間の内周面であって取っ手22と対向する位置に、開口部25側から底部24側にかけて略直線状に設けられ、2ヶ所の突出部分23a、23bをそれぞれ有した一対の突出部23を有している。
底部24は、注がれた液体を外部に排出する排出口24aを、偏心位置(底部24中心からずれた位置)に有している。
次に、カップ状容器300の操作方法について説明する。まず、飲料が入った飲料用容器301をカップ状容器300の内部に入れる。次に、取っ手22を手で持ち、吸熱用又は与熱用の液体の注入量を適宜調整しながら、開口部25を介してカップ状容器300の内部に注ぐ。続いて、開口部25からこぼれ出ない程度に、略水平面において略円を描くように時計回り又は反時計回りに回転させ、遠心力を発生させる。該遠心力を用いて、上記液体をカップ状容器300の内周面に押しつけるとともに突出部23で撹拌しつつ、飲料用容器301に所定時間接触させるようにし、飲料用容器301を介して間接的に、上記飲料から吸熱又は上記飲料に与熱する。なお、当然ではあるが、単に上記液体を注ぐだけの状態よりも長い時間、上記液体をカップ状容器300内において保持させるように、カップ状容器300を操作する。続いて、吸熱後又は与熱後の上記液体を排出口24aから排出させつつ、新たな吸熱用又は与熱用の液体の注入量と、発生させる遠心力の強さとを適宜調整しながら、上記飲料の温度が適温になるまで、カップ状容器300を略水平面において略円を描くように回転し続ける操作を行う。
上記構成によれば、凹部3が奏する効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上述したようにカップ状容器300を操作することで、カップ状容器300内に注がれた液体を、突出部23によって撹拌しつつ飲料が入った飲料用容器301に接触させることができるので、さらに効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。また、上記液体が突出部23に沿って底部24方向へと落下しやすくなるので、吸熱後又は与熱後の上記液体の排出をスムーズに行うことも可能である。
また、上記液体が、突出部23における2ヶ所の突出部分23a、23bに衝突するものと、突出部分23a、23b間を通過するものとに分かれるので、上記液体の撹拌作用が促され、第2実施形態よりも効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
また、上述したようにカップ状容器200を操作している際には、突出部23に飲料用容器301が衝突し移動する方向が一時的に変化するので、飲料用容器201内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
<第4実施形態>
図7及び図8を用いて、本発明の第4実施形態に係るカップ状容器について説明する。なお、本実施形態における符号32、35、401の部位は、順に、第1実施形態の符号2、5、101の部位と同様のものであるので、説明を省略することがある。
図7及び図8に示したように、カップ状容器400は、開口部35を一端に有し、底部34を他端に有した筒状部31と、開口部35から筒状部31の外側方向へ突き出るように設けられた略L字状の取っ手32とを備えているものである。
筒状部31は、図8に示したように、開口部35から底部34にかけて縮径している略テーパー形状のものであって、飲料用容器401を内部に載置できるようになっている。また、筒状部31は、開口部35と底部34との間の内周面であって取っ手32と対向する位置に、液体が注がれる開口部35側から底部34側にかけて形成された階段状部位33a、33bからなる突出部33を有している。
底部34は、注がれた液体を外部に排出する排出口34aを、偏心位置(底部34中心からずれた位置)であって突出部33における階段状部位33bの下方位置(突出部33の底部34側の終端と対応する位置)付近に有している。
次に、カップ状容器400の操作方法について説明する。まず、飲料が入った飲料用容器401をカップ状容器400の内部に入れる。次に、取っ手32を手で持ち、吸熱用又は与熱用の液体の注入量を適宜調整しながら、開口部35を介してカップ状容器400の内部に注ぐ。続いて、開口部35からこぼれ出ない程度に、略水平面において略円を描くように時計回り又は反時計回りに回転させ、遠心力を発生させる。該遠心力を用いて、上記液体をカップ状容器400の内周面に押しつけるとともに突出部33で撹拌しつつ、飲料用容器401に所定時間接触させるようにし、飲料用容器401を介して間接的に、上記飲料から吸熱又は上記飲料に与熱する。なお、当然ではあるが、単に上記液体を注ぐだけの状態よりも長い時間、上記液体をカップ状容器400内において保持させるように、カップ状容器400を操作する。続いて、吸熱後又は与熱後の上記液体を排出口34aから排出させつつ、新たな吸熱用又は与熱用の液体の注入量と、発生させる遠心力の強さとを適宜調整しながら、上記飲料の温度が適温になるまで、カップ状容器400を略水平面において略円を描くように回転し続ける操作を行う。
上記構成によれば、凹部3が奏する効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上述したようにカップ状容器300を操作している際には、突出部33によって飲料用容器301の移動方向を一時的に変化させることができる。その結果として、飲料用容器301内の飲料が撹拌され、より効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
また、上述したようにカップ状容器300を操作している際、飲料用容器301が突出部33の位置まで移動してきた場合には、飲料用容器301の外周面と筒状部31の内周面との接触部分が少なくなり、飲料用容器301の外周面と筒状部31の内周面との間に隙間ができる。このとき、該隙間を上記液体が通過できるので、上記液体と飲料用容器301の外周面とが、より接触することができるようになるため、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
<第5実施形態>
図9及び図10を用いて、本発明の第5実施形態に係るカップ状容器について説明する。なお、本実施形態における符号42、45、501の部位は、順に、第1実施形態の符号2、5、101の部位と同様のものであるので、説明を省略することがある。
筒状部41は、図10に示したように、開口部45から底部44にかけて縮径している略テーパー形状のものであるとともに、左下向きに切られた螺旋形状部が内周面に設けられているものであり、飲料用容器401を内部に載置できるようになっている。なお、該螺旋形状部は、内周面において突出している部分である山部43a(突出部)と、内周面において窪んでいる谷部43bとを有している。
底部44は、注がれた液体を外部に排出する排出口44aを、偏心位置(底部44中心からずれた位置)であって上記螺旋形状部の底部44側の終端に対応する位置(山部43aと谷部43bとの間であり、且つ、山部43a及び谷部43bの底部44側の終端に対応する位置)に有している。
次に、カップ状容器500の操作方法について説明する。まず、飲料が入った飲料用容器501をカップ状容器500の内部に入れる。次に、取っ手42を手で持ち、吸熱用又は与熱用の液体の注入量を適宜調整しながら、開口部45を介してカップ状容器500の内部に注ぐ。続いて、開口部45からこぼれ出ない程度に、略水平面において略円を描くように反時計回りに回転させ、遠心力を発生させる。該遠心力を用いて、上記液体をカップ状容器500の内周面に押しつけるとともに上記螺旋形状部で撹拌しつつ、飲料用容器501に所定時間接触させるようにし、飲料用容器501を介して間接的に、上記飲料から吸熱又は上記飲料に与熱する。なお、当然ではあるが、単に上記液体を注ぐだけの状態よりも長い時間、上記液体をカップ状容器500内において保持させるように、カップ状容器500を操作する。続いて、吸熱後又は与熱後の上記液体を排出口44aから排出させつつ、新たな吸熱用又は与熱用の液体の注入量と、発生させる遠心力の強さとを適宜調整しながら、上記飲料の温度が適温になるまで、カップ状容器500を略水平面において略円を描くように回転し続ける操作を行う。
上記構成によれば、凹部3が奏する効果を除いて、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上述したようにカップ状容器500を操作すると、上記螺旋形状部の山部43a及び谷部43bに沿って上記液体を流しつつ、該液体を飲料用容器501の外周面に効果的に接触させることができることから、効率よく容器入り飲料の温度調整をすることができる。
次に、第5実施形態のカップ状容器500と同様のカップ状容器(内容量1.3リットル)を用いて、哺乳瓶の冷却試験を行った。具体的には、勾配78.7°、リード150の3条ネジで切ったような形状の螺旋形状部を内周面に形成し、底部に排出口を第5実施形態のカップ状容器500と同様に形成したカップ状容器を用いた。
ここで、下記表1に、比較例1〜3及び実施例1〜5の試験条件を上段に示すとともに、下段に試験結果(哺乳瓶内部のミルクの温度(℃)の時間変化)を示す。また、図11に試験結果をグラフ化した図を示す。なお、比較例1〜3は、加温したミルク(240ml)が入った哺乳瓶(内容量260ml)に水道水を直接当てて試験を行ったものである。ただし、比較例3においては、哺乳瓶の上部を持って振ることによって内部の飲料を撹拌操作した。また、各実施例においては、上述した本発明のカップ状容器に、加温したミルクが入った哺乳瓶(比較例と同様のもの)を載置し、本発明のカップ状容器内に水道水(比較例と同流量)を注ぎつつ試験した。特に、実施例4、5においては、上述した本発明のカップ状容器に、加温したミルクが入った哺乳瓶を載置した後、哺乳瓶の周りに氷を配置し、本発明のカップ状容器内に水道水を注ぎつつ試験した。ここで、表1の実施例における「撹拌操作 あり」とは、第5実施形態で示したカップ状容器500の操作を行ったことを示し、「撹拌操作 なし」とは、水道水を本発明のカップ状容器内に注いだだけであることを示す。
以下、表1及び図11を参照しながら、比較例1〜3及び実施例1〜5について考察する。比較例1は、室温及び水温(水道水の温度)があまり高くない時期にしたものであるが、その分、ミルクを速く冷却できており、約2分で適温の40℃前後となった。これに対して、室温及び水温が比較例1の時よりも高くなった比較例2においては、40℃前後となるのに、約6分かかった。また、撹拌を行った以外、比較例2と同じ条件で試験した比較例3においては、4分以上かかった。
実施例1においては、撹拌操作をすることなく水道水を注いだだけであるが、撹拌操作を行った比較例3とほぼ同様の効果が得られている。これに対して、撹拌操作を行った実施例2においては、ミルクの温度が40℃前後となるのに比較例3及び実施例1に比べて大幅に短縮されていることがわかる。水道水をシャワー状にして用いた実施例3においては、実施例2に劣るものの、比較例3及び実施例1に比べて冷却必要時間が短縮されていることが分かる。
実施例4においては撹拌操作を行っていないが、氷の効果により、実施例2に劣るものの、比較例3及び実施例1に比べて冷却必要時間が短縮されていることが分かる。撹拌操作を行った実施例5においては、実施例1〜5の中で最も冷却必要時間が短いものであった。
これらの試験結果から、本実施例のカップ状容器に、優れた温度調整効果があることがわかる。
<変形例>
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態又は実施例などに限定されるものではない。例えば、図示しないが、第1実施形態における凹部3及び第2、3実施形態における突出部13、23は、内周面における斜面勾配方向とほぼ同方向に延びるように設けられているが、前記斜面勾配方向に対して斜め方向に設けることとしてもよい。
また、第1実施形態における凹部3と同様の凹部をカップ状容器内周面に複数設けることとしてもよい。
また、第2、3実施形態における突出部13、23は、一対で設けられているものであるが、1つずつのものであってもよい。
また、第4実施形態における突出部33は、2つの階段状部位33a、33bからなるものであるが、1つの階段状部位からなるものであってもよいし、3つ以上の階段状部位からなるものであってもよい。
また、第5実施形態における螺旋形状部は、左下向きに切られたものであるが、右下向きに切られたものであってもよい。
また、各実施形態の取っ手は、外側面に設けられていれば、どのように設けられていてもよい。また、操作の点では取っ手があるものに比べて効果の点で劣りはするが、各実施形態においては、取っ手がないカップ状容器であってもよい。
また、上記各実施形態の操作方法の変形例として、以下の操作方法を用いてもよい。まず、飲料が入った飲料用容器をカップ状容器の内部に入れ、取っ手を手で持ち、上記液体を注ぎつつ飲料用容器の周りを棒状部材などで撹拌する。このとき、該棒状部材を飲料用容器に接触させて、飲料用容器に振動を与えるようにしてもよい。他に、上記液体の流速が速くなるように回転させる操作をしてもよいし、上記液体と飲料用容器の外周面との接触面積が大きくなるように回転させる操作をしてもよい。