JP5421051B2 - 焼却設備並びに焼却設備運転方法 - Google Patents
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Description
一方、木工所などでは鋸屑が多量に発生するため、鋸屑を堆肥化するなどして有効利用を図っているが、堆肥化するには時間を要するために広く普及するには至っておらず、鋸屑は廃棄物として廃棄されることが多い。
そこで、重油などをバーナで燃焼して熱量不足を補う代わりに、これらの鋸屑を焼却炉で燃焼することによって熱量不足を補うことが本発明者により試みられた。
また、鋸屑の粉立ちが激しい場合には粉塵爆発を引き起こす恐れもあった。
すなわち請求項1記載の発明は、攪拌翼を具えた焼却炉と、被焼却物がバイオマスであり、前記被焼却物を収納するシールホッパと、前記焼却炉に前記被焼却物を供給するスクリュ式供給装置と、前記シールホッパと前記スクリュ式供給装置をつなぐシュートとから成る焼却設備において、前記シールホッパにレベル計および/または重量計を具え、前記焼却炉に圧力センサーを具え、前記シュートに前記被焼却物又は気体の移動を遮断する遮断ダンパを具え、前記シールホッパ内がマテリアルシールを保つには不十分な前記被焼却物の滞留量に減じたことを前記レベル計および/または前記重量計により検知した時、あるいは、前記焼却炉内で前記被焼却物が急激に燃焼して前記焼却炉内圧が大気圧よりも高くなったことを前記圧力センサーにより検知した時、前記シュート内の前記被焼却物や気体の移動を前記遮断ダンパで遮断する構成であることを具えたことを特徴とする。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また、有効利用の困難なバイオマスを焼却炉で燃焼させることにより生じる熱量を汚泥の乾燥等に利用できるので、重油などの燃料使用量を削減することができる。
また、スクリュ式供給装置から送り出される鋸屑の一部は、被焼却物層に押し込められるため、空気との接触が抑制されることにより、より穏やかに燃焼することができる。
図1は本発明の一実施例である焼却設備Sのブロック図である。
焼却炉1は耐火物で構成され、水平断面が円形状であり、焼却炉1の上部は排気部14であり、排気部14には排気口14aが具えられている。
焼却により発生する燃焼ガスは、排気口14aを経て焼却炉1外の図示していない汚泥乾燥設備等に送られる。前記汚泥乾燥設備等には排気ファンが通常具えられ、前記燃焼ガスは前記排気ファンで吸引されるため、焼却炉1内は大気圧より負圧状態になる。
また、焼却炉1の上部には圧力センサーである圧力計15が具えられ、焼却炉1内と大気圧との差圧が計測される。この計測値は、操作盤B内の図示していないプログラマブルコントローラ(以下はPLCと呼ぶ)に入力され、焼却炉1内の圧力が大気圧より負圧状態になるように、PLCからの出力信号に基づき前記排気ファンの吸引力が制御される。
攪拌翼21dには、燃焼のための空気を焼却物層Yに供給する給気孔21aが具えられている。そして、攪拌軸21b及び攪拌翼21dは中空の構造であり、図示していない空気供給源から送られる空気がこの中空部分を通過して、給気孔21aから噴出する。また、攪拌翼21dは攪拌軸21bを中心に、駆動装置22により焼却物層Yを掻き広げるように回転される。
側壁12の近くに投入された鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)は、攪拌翼21dに掻き広げられるなどして助燃バーナ13で着火、あるいは燃焼させられる。鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)の水分が低下し、温度が上昇すると、これらは自燃を始める。これら鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)は、燃焼しながら攪拌翼21dにより炉床11の中心部方向に掻き広げられ、やがて炉床11の中心部付近に至るまでに燃え尽きて灰になる。
尚、炉床11には予め砂が敷き詰められており、そこに鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)が投入されることになる。そのため、焼却灰排出孔11aからは、灰と共に砂もまた排出される。
焼却物層Yの高さは、炉床表面11bから概ね100mmに維持され、攪拌翼21dの攪拌翼底面21eから20〜60mmの範囲は、この焼却物層Yの中に埋もれている。
尚、炉床11の前記砂は、運転と共に徐々に減少するので、適宜補給される。
ここで、スクリュ式供給装置31aは、パイプ状の筒体34の中にスクリュ35が具えられた構成であり、この筒体34の内面下端位置Lは、攪拌翼21dの攪拌翼底面21eより上にあり、垂直距離で50mm以内に位置している。
焼却運転中は、スクリュ式供給装置31aは駆動装置32により常時回転している。
遮断ダンパ42はダンパ板42aが具えられ、ダンパ板42aはエアシリンダ42bのロッドの伸縮動作によりリンク機構42cを介して回転可能に具えられている。
ダンパ板42aが回転すると、内筒開口42dにダンパ板42aが接触し、ダンパ板42aで内筒開口42dが閉止され、シュート41内の鋸屑Wや気体の移動が遮断される。通常の焼却運転状態では内筒開口42dは開放されており、鋸屑Wは内筒開口42dを自由に通過する。内筒開口42dが閉止されている間は、後述するシールホッパ51からの鋸屑Wの排出は行われていない。
エアシリンダ42bのロッドの伸縮動作は、コンプレッサエアを動力源とし、コンプレッサエアの供給の有無で行われる。コンプレッサエアの供給の有無は、電磁弁43の開閉により行われ、電磁弁43の開閉はPLCにより制御される。
シールホッパ51は、下部にスクリュコンベヤ52を具え、スクリュコンベヤ52の端部に具えられた駆動装置52aにより鋸屑Wの排出や排出停止が行われる。
鋸屑を排出するスクリュコンベヤ52の排出口52bには、薄布状の耐熱性素材で筒状に成形された柔らかなフレキシブルシュート53が具えられ、フレキシブルシュート53の下端はシュート41の上部と繋がっている。
また、ホッパ部54の上面には鋸屑Wが投入される投入口54bが具えられ、この投入口54bの上部には、薄布状のシリコンゴムで筒状に成形された柔らかなフレキシブルシュート56が具えられている。
シールホッパ51内の鋸屑Wの滞留量が、マテリアルシールを保つのに不十分であると判定されると、駆動装置52aは停止され、ダンパ板42aで内筒開口42dが閉止される。マテリアルシールが保てる滞留量であると判定されると、内筒開口42dが開放され、駆動装置52aが駆動されて排出口52bから鋸屑Wが排出される。
また、シールホッパ51内の鋸屑Wの滞留量が十分多いと判定されると、シールホッパ51への鋸屑Wの供給を止めるように、パドルコンベヤ61を含めたシールホッパ51の上流側の図示していない設備が停止される。
尚、マテリアルシールが保たれる状態とは、シールホッパ51内に、ある一定量の鋸屑W滞留することにより、排出口52bと投入口54bとの間で気体が鋸屑Wにより移動できない遮断された状態である。
パドルコンベヤ61の投入口61bと排出口61aの中間の上面61cには、水分計62が具えられ、水分計62と排出口61aとの間には、加水ノズル63が上面61cに具えられている。水分計62は、一例として赤外線吸収式水分計を用いてもよい。
水分計62により鋸屑Wの水分が計測され、鋸屑Wの水分が10%より低い場合、パドルコンベヤ61で移送されつつ混合攪拌されている鋸屑Wに、加水ノズル63から水が吹き掛けられ、鋸屑Wの水分が高められる。
尚、鋸屑Wの水分とは、鋸屑Wに含まれる水分重量を、水分を含んだ鋸屑Wの重量で除して百分率で表した値である。
一方、鋸屑Wの管理目標とする水分値がPLCに入力されている。
水分計62により鋸屑Wの水分が計測され、その計測値がPLCに入力されれば、PLC内で前記管理目標とする水分値と比較され、鋸屑Wを管理目標とする水分にするための加水量がPLC内で演算される。その演算値に基づいて加水ポンプ64がPLCで駆動され、演算された加水量が加水ノズル63から鋸屑Wに加えられる。
まず、運転前に炉床表面11bに砂が敷き詰められ、次に、前記排気ファンが起動されて焼却炉1内が負圧状態になり、次に、攪拌翼21dに空気が供給されながら駆動装置22により攪拌翼21dが回転される。続いて、供給口12a、12bから鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)が焼却炉1内に投入され、助燃バーナ13で重油等を燃焼し、これらが着火されて燃焼が始まる。よって、焼却物層Yには、前記砂と、鋸屑Wやし渣(あるいは乾燥汚泥)の未燃物、燃焼中のもの、あるいは灰になったものが存在している。
自燃が始まり、燃焼ガスの温度が十分上昇したことが焼却炉1の排気部14の図示していない温度計により確認されると、助燃バーナ13は休止する。鋸屑W及びし渣(あるいは乾燥汚泥)は供給され続けるので、自燃が継続する焼却運転の定常状態になる。
生じる燃焼ガスは、排気口14aを経て汚泥乾燥設備等の熱源として利用される。
鋸屑Wの水分が10%より低い場合は、加水ノズル63により鋸屑Wが水分調整されて焼却炉1に投入し、これにより鋸屑Wは粉立ちしにくくなるため、逆火や粉塵爆発をより確実に防ぐことができる。
また、内面下端位置Lと被焼却物表面Y1と垂直距離が近接しているため、スクリュ35の押し出す作用により鋸屑Wが焼却物層Yに部分的に押し込められ、押し込められた鋸屑Wは空気との接触が抑制されるため、穏やかに燃焼される効果がある。
前記排気ファンは、焼却炉1内が負圧状態を維持するように制御されているが、急な燃焼時にはこの制御が追いつかず、焼却炉1内の内圧が急激に上昇する。この急な内圧の上昇によりスクリュ式供給装置31aを経由してシールホッパ51側に燃焼ガス(気体)が逆流しようとするが、内圧の上昇を圧力計15が計測しているので、その計測値に基づきPLCの制御により瞬時にダンパ板42aで内筒開口42dを閉止する。これにより、シールホッパ51と焼却炉1との経路が遮断され、燃焼ガス(気体)や逆火がシールホッパ51まで到達するのを防ぐことができる。
焼却炉1内の内圧が下がったことが圧力計15で計測されると、内筒開口42dは開放され、通常の運転状態に戻る。
このように、水分が20%よりも高い状態で投入され続けると、鋸屑Wの本来有している燃焼時の発熱量が有効に使われ難いので、鋸屑Wの水分は20%以下が好ましい。
あるいは、鋸屑Wの水分を本焼却設備Sに供する前に測定し、水分が20%よりも高い場合は、予め乾燥してから用いてもよい。
また、鋸屑Wの水分を調整管理することで、焼却炉1への供給経路への火炎の逆流や粉塵爆発等をより確実に防ぎ、あるいは鋸屑Wの燃焼時の発熱熱を有効に利用した効率的な焼却運転が行える。
また、焼却炉1への鋸屑Wの供給位置を適切な位置とすることで、焼却炉1への供給経路への燃焼ガスや火炎の逆流、あるいは粉塵爆発をより確実に防ぎ、穏やかな焼却運転が行える。
また、し尿汚泥に係るし渣や乾燥汚泥だけでなく、下水汚泥の乾燥物、あるいは工場排水汚泥等の乾燥物の焼却炉であってもかまわない。
また、鋸屑に限らず、急激な燃焼を生じ易いバイオマスとして、例えば食品の粉末化された廃棄物、食品の細かく破砕された廃棄物、あるいは細かく破砕された剪定枝等を被焼却物としてもかまわない。
11 炉床
11a 焼却灰排出孔
11b 炉床表面
12 側壁
12a 供給口
12b 供給口
13 助燃バーナ
14 排気部
14a 排気口
15 圧力計
2 攪拌装置
21a 給気孔
21b 攪拌軸
21c 攪拌アーム
21d 攪拌翼
21e 攪拌翼底面
22 駆動装置
31a スクリュ式供給装置
31b スクリュ式供給装置
32 駆動装置
33 投入口
34 筒体
35 スクリュ
41 シュート
42 遮断ダンパ
42a ダンパ板
42b エアシリンダ
42c リンク機構
42d 内筒開口
43 電磁弁
51 シールホッパ
52 スクリュコンベヤ
52a 駆動装置
52b 排出口
53 フレキシブルシュート
54 ホッパ部
54a ブラケット
54b 投入口
55 ロードセル
56 フレキシブルシュート
61 パドルコンベヤ
61a 排出口
61b 投入口
61c 上面
62 水分計
63 加水ノズル
64 加水ポンプ
W 鋸屑
S 焼却設備
Y 焼却物層
Y1 焼却物層表面
L 内面下端位置
B 操作盤
Claims (3)
- 攪拌翼を具えた焼却炉と、被焼却物がバイオマスであり、前記被焼却物を収納するシールホッパと、前記焼却炉に前記被焼却物を供給するスクリュ式供給装置と、前記シールホッパと前記スクリュ式供給装置をつなぐシュートとから成る焼却設備において、前記シールホッパにレベル計および/または重量計を具え、前記焼却炉に圧力センサーを具え、前記シュートに前記被焼却物又は気体の移動を遮断する遮断ダンパを具え、前記シールホッパ内がマテリアルシールを保つには不十分な前記被焼却物の滞留量に減じたことを前記レベル計および/または前記重量計により検知した時、あるいは、前記焼却炉内で前記被焼却物が急激に燃焼して前記焼却炉内圧が大気圧よりも高くなったことを前記圧力センサーにより検知した時、前記シュート内の前記被焼却物や気体の移動を前記遮断ダンパで遮断する構成であることを特徴とする焼却設備。
- 請求項1記載の焼却設備において、前記スクリュ式供給装置の内面下端位置が、前記焼却炉の攪拌翼底面より垂直距離で50mm以内の高さに位置することを特徴とする焼却設備。
- 請求項1、又は2記載の焼却設備の運転方法において、前記被焼却物の水分が10%以上から20%以下の範囲であることを特徴とする焼却設備の運転方法。
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