JP5414096B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
ただし、インクジェット記録方式でオフセット印刷の代替をするためには、印字物にオフセット印刷物と同等の風合いが求められる。又、印刷物に高級感やインパクトを与える目的から、オフセット印刷用紙として、白紙光沢度と印刷部の光沢度の差(Δグロス)が大きい用紙が好んで使用される傾向にあり、オフセット印刷用紙を代替するためのインクジェット用紙にも同様の品質が求められている。
又、インク受容層の光沢度を高めたキャスト紙タイプのインクジェット記録媒体の場合、一般のオフセット印刷用塗工紙と比べて光沢度が非常に高くなり、また用紙が厚手であるため、やはりオフセット印刷物と風合いが異なる。又、インク受容層は、高価な原料、例えばシリカ、アルミナ、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルエマルジョン、インク定着剤(ポリアミン系、DADMAC系、ポリアミジン系等)などを多量に用いているため、一般のオフセット印刷用塗工紙に比べ、製造原価が高い。
例えば、インク受容層を形成する顔料としてカオリンを90質量部以上含有し、前記カオリンのうち5〜15質量部のカオリンの平均粒径が1.5μm以上であるインクジェット記録用紙に印字するインクとして、顔料と親水性高分子化合物の割合を60/40〜95/5とするインクジェット用水性顔料インクが提案されている(特許文献1)。
又、風合いが一般コート紙に近いインクジェット記録媒体として、支持体表面にカオリン及び非晶質合成シリカを主に含有する下層側のインク受容層と、気相法アルミナを主な顔料とする上層側のインク受容層を設けたものが開示されている(特許文献2)。
さらに、顔料インクのみならず染料インクへの適性が優れるインクジェット記録シートにおいて、インク受容層中にシリカ10〜90質量%と、炭酸カルシウム及び/またはカオリナイト90〜10質量%とを含有することが開示されている(特許文献3)。
一方、インク受容層中に、沈降法により測定した平均粒子径0.15μm以上0.50μm未満で、かつ体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が95%以上を占めるカオリンを含有し、無機顔料100質量部に対する前記カオリンの含有割合が60質量部以上で、JIS−P 8151に従ってクランプ圧を1000kPaとしハードバッキングを用いたときの前記インク受容層の表面粗さが0.8μm以上1.6μm未満であるインクジェット記録媒体が開示されている(特許文献5)。
例えば、特許文献1に開示された顔料インクは、白紙光沢度が低い記録用紙(マット調のインクジェット記録用紙)に印字する場合には、ある程度の印字部耐擦過性を得ることができるが、白紙光沢度が比較的高い記録用紙(グロス調のインクジェット記録用紙)に記録する場合等の十分な耐擦過性を得ることが難しい。
また、特許文献2記載のインクジェット記録媒体の場合、インク受容層を2層にする必要があり生産性やコストの点で改善の余地がある。
特許文献3記載のインクジェット記録シートの場合、シリカと炭酸カルシウムおよび/又はカオリンをインク受容層中に併用するため、インク吸収性とオフセット印刷用塗工紙並みの高い光沢度とが両立できない。一方、特許文献4記載のインクジェット記録用塗工紙の場合、光沢度は高いもののインク吸収性や印字部分の耐擦過性が十分ではない。また、特許文献5記載のインクジェット記録媒体はインク吸収性が十分ではない。
すなわち、本発明のインクジェット記録媒体は、木材パルプを主成分とし、JIS−P 8251に規定される灰分として1質量%以上40質量%以下の填料を含有する原紙の片面又は両面に1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体であって、該インク受容層は、沈降法により測定した平均粒子径が0.15μm以上0.50μm未満で、かつ体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が95%以上を占めるカオリンと、コールターカウンター法で測定した平均二次粒子径が0.5μm以上4μm以下である合成非晶質シリカと、バインダーとを主成分とし、ヒューレット・パッカード社製、CM8060の顔料インクジェットプリンタにて、つや消しブローシャ用紙/高品質の条件で10cm角の大きさのベタ部をKCMYそれぞれの色について印字し、印字1日後、印字部の75度白紙光沢度を測定し、得られた各色の印字部光沢度から白紙光沢度を引いた値の平均値〔((KΔグロス)+(CΔグロス)+(MΔグロス)+(YΔグロス))/4〕である平均Δグロスが10以上である。
前記インク受容層は、顔料として有機顔料を含有することが好ましい。
前記原紙として嵩高紙を用いることが好ましい。
(原紙)
原紙は木材パルプを主成分とする。原料パルプとして、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
原紙の抄紙pHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。
填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。填料の種類には特に制限はないが、得られる原紙が高い白色度を持つ点で炭酸カルシウムが好ましく、また、その形状は高い不透明度を得ることができるウィスカー状であることが好ましい。
さらに、原紙には必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有しても良い。なお原紙の坪量は特に制限されない。
前記低密度化薬品としては、例えば油脂系非イオン性界面活性剤、糖アルコール系非イオン界面活性剤、糖系非イオン界面活性剤、多価アルコールの脂肪酸エステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤、高級アルコール、高級アルコール又は高級脂肪酸のエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイド付加物、脂肪酸ポリアミドアミン、飽和脂肪酸モノアミド、脂肪族第4級アンモニウム塩などを例示することができる。特に飽和脂肪酸モノアミドを用いることが好ましい。
1.インク受容層の顔料
インク受容層の顔料は、沈降法により測定した平均粒子径が0.15μm以上0.50μm未満で、かつ体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が95%以上を占めるカオリンを含む。カオリンは、カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト、ナックライトといったカオリン鉱物を少なくとも1種類以上含む粘土であり、一般的なオフセット印刷用塗工紙に使用される公知のカオリンであればいかなるものを用いても良い。カオリンとしては、例えばジョージア産、ブラジル産、中国産等の産地のものや、1級、2級、デラミ等のグレードのものが存在するが、カオリンの産地やグレードはこれらに限定されない。又、1種類または2種類以上のカオリンを混合したものを適宜選択して顔料として使用することができる。
沈降法による粒度分布の測定は、溶媒中に分散した粒子がストークスの沈降速度式に従って沈降するものと仮定し,沈降速度から粒径分布を求める方法である。沈降法による粒径は、ストークス相当径(ストークス径)と称され、その粒度分布は質量基準である。
本発明においては、純水中にカオリンを含む試料スラリーを滴下混合して均一分散体としたものを、粒度分布の測定サンプルに用いる。
又、一般的なカオリンにおいては、2.0μm以下の粒子の重量割合が90〜100%のものをコーディング1級品、80〜85%のものをコーディング2級品、70%以下のものをコーディング3級品、55%以下のものをフィラクレイと規定している。
本発明者らが鋭意研究した結果、沈降法により測定した平均粒子径が0.15μm以上0.50μm未満で、かつ体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が95%以上を占めるカオリンを用いると、上記した一般的なカオリンに比べてインク吸収性に優れることが判明した。これは、粒度分布が上記範囲に集中していると、粒度分布の幅が狭く、粒子径が揃っているため、顔料粒子の充填密度が低く、ポーラスで嵩高なインク受容層を形成できるからと考えられる。ポーラスなインク受容層は、顔料の充填状態が密なインク受容層よりもインク吸収性に優れる。
また、平均粒子径が0.15μm未満のカオリンを使用した場合、インク受容層が密となるためインク吸収性が低下する。平均粒子径が0.50μm以上のカオリンを使用した場合、塗工紙表面に形成される細孔の数が少なくなるため、インクの吸収チャンネルが減り、インクの吸収性が劣る。さらに、このような粒子を用いると塗工表面の平滑性が悪化するため、所望の白紙光沢度を得るために強力なカレンダー処理を行わなければならず、塗工層中の空隙が減少してインク吸収性が劣る。
合成非晶質シリカの平均二次粒子径が4μmを超えると、得られるインクジェット記録媒体の平滑性や光沢感がオフセット印刷用塗工紙と異なると共に、インクの浸透が過剰となり、発色性が悪化したり、ムラが発生する。
合成非晶質シリカの平均二次粒子径が0.5μm未満の場合、インク吸収性が低下したり、顔料を分散する際に塗料粘度が増大して塗料の分散性が悪化したりする。
コールターカウンター法は、細孔を通過するサンプル粒子の電気抵抗を検出するものであり、ベックマンコールター社の商品名マルチサイザー3を用いることができる。
なお、吸油量の測定はJIS−K 5101に定められた方法で行うことができる。
一方、インク受容層中の無機顔料100質量部に対し、有機顔料を40質量部を超えて配合すると、高温に加熱されたカレンダーに通紙する際に有機顔料が溶融し、金属ロールに貼り付き、裂けや断紙トラブル等が発生する場合がある。なお、マット調インクジェット用紙を製造する場合には、有機顔料の配合量は特に制限されない。
インク受容層に用いるバインダーとしては、一般的なオフセット印刷用塗工紙に使用される公知のバインダーであればいかなるものも用いて良い。バインダーとしては、例えば酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;スチレン・ブタジエン共重合体(SB)ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NB)ラテックス等のラテックス類;ポリビニルアルコール及びその変性物;カゼイン;ゼラチン;カルボキシメチルセルロース;ポリウレタン;酢酸ビニル;及び不飽和ポリエステル樹脂等のバインダーの中から1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。
インク受容層用塗料(塗工液)の流動性や塗工適性の観点から、ラテックス類、澱粉類、またはそれらの混合物を用いることが好ましい。
インク受容層には、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、保水剤、滑剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、pH調整剤等の助剤を適宜添加することができる。
インク受容層の塗工量は特に制限を設けないが、片面あたり1g/m2以上40g/m2未満であることが好ましく、特に片面あたり4g/m2以上30g/m2未満であることが好ましい。インク受容層の塗工量が多いほどインク受容層の空隙量も多くなるため、インク吸収性が良好となる。
インク受容層の塗工量が片面あたり1g/m2未満の場合、基材となる原紙を充分に被覆することができないため、塗工紙表面にガサつきが残り、非塗工紙に似た風合いを帯び、所望の白紙光沢度を得ることが困難となり、オフセット印刷用塗工紙の風合いを付与することができ難い。また、インク受容層の塗工量が片面あたり1g/m2未満の場合、インク受容層の吸収容量も充分ではないため、フェザーリングやブリードといった印字不良を起こしやすい。一方、インク受容層の塗工量が片面あたり40g/m2以上になると、インク受容層塗工時の乾燥負荷が大きいため、作業性が劣り、また高コストとなる。
原紙上にインク受容層を設ける方法としては、一般的な塗工装置である、ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレーコーター、サイズプレス等の各種装置を、オンマシンまたはオフマシンで使用することができる。
また、インク受容層は、原紙の片面又は両面に設けて良い。本発明においてはインク受容層が1層であっても充分な性能が得られるため、コストを低減する点からインク受容層を1層のみ設けることが好ましい。
JIS Z 8741による、インク受容層表面の光入射角75度の白紙光沢度は特に制限されず、インクジェット記録媒体の用途に応じて適宜設定することが出来る。例えば、オフセット印刷用のグロス調塗工紙の風合いを付与するためには、75度白紙光沢度が55%以上85%以下であることが好ましい。オフセット印刷用のマット調塗工紙の風合いを付与するためには、75度白紙光沢度が20%以上55%未満であることが好ましい。
白紙光沢度の調整は、インク受容層を設けた後にマシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、シューカレンダー等のカレンダー装置を用い、カレンダーの処理温度、処理速度、処理線圧、処理段数、ロールの径、および材質等の条件を適宜調整して処理することにより行うことができる。
また、オフセット印刷用のマット調塗工紙の風合いを付与する場合、カレンダー処理を行わなくてよい。
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準濾水度:400ml)100%に対し、カチオン化澱粉を対パルプ0.5%添加し、アルキルケテンダイマーを対パルプ0.05%添加し、硫酸バンドを対パルプ2%添加し、炭酸カルシウムを対パルプ10%添加し、さらに低密度化薬品として多価アルコールと脂肪酸のエステル化合物(KB−110(花王社製の製品名))0.3部を添加し、紙料とした。この紙料を用いて長網抄紙機で紙匹を形成し、3段のウェットプレスを行い乾燥した後、ゲートロールコーターにて10質量%濃度の酸化澱粉水溶液を塗布し、再び乾燥した後、坪量80g/m2、密度0.65g/cm3の原紙を得た。
カオリンA(製品名:Amazonplus、CADAM社製、沈降法による平均粒子径0.26μm、体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が占める割合98.4%)80部、合成非晶質シリカA(製品名:NIPGEL AY−200、東ソーシリカ社製、平均二次粒子径1.8μm、吸油量280ml/100g)20部、有機顔料A(変性スチレン系共重合体、P8900、旭化成ケミカルズ社製)10部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるようにして、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA80部、合成非晶質シリカB(製品名:NIPGEL AZ−200、東ソーシリカ社製、平均二次粒子径1.9μm、吸油量330ml/100g)20部、有機顔料A10部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA90部、合成非晶質シリカC(製品名:NIPGEL AZ−204、東ソーシリカ社製、平均二次粒子径1.3μm、吸油量355ml/100g)10部、有機顔料A5部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA80部、合成非晶質シリカC20部、有機顔料A10部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA80部、合成非晶質シリカD(製品名:NIPGEL AZ−260、東ソーシリカ社製、平均二次粒子径1.9μm、吸油量280ml/100g)20部、有機顔料A20部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA100部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)6部、水酸化ナトリウム0.1部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分65%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンB(製品名:KCS、イメリス社製、沈降法による平均粒子径0.35μm、体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が占める割合83%)90部、合成非晶質シリカC10部、有機顔料A15部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
炭酸カルシウム(製品名:FMT−75、ファイマテック社製)90部、合成非晶質シリカC10部、有機顔料A15部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
カオリンA80部、合成非晶質シリカE(製品名:NIPGEL AY−601、東ソーシリカ社製、平均二次粒子径6.0μm、吸油量250ml/100g)20部、有機顔料A20部、バインダーとなるSBラテックス(ガラス転移温度15℃)10部、水酸化ナトリウム0.2部、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ0.2部、及び希釈水を混合して固形分40%の塗料を得た。この塗料を、ブレードコーターを用いて片面あたり塗工量12g/m2となるように、上記原紙の両面に塗工した。
塗工後、紙中水分率5%となるまで乾燥し、JIS−Z 8741に基づく光入射角75度の白紙光沢度が60%となるよう、スーパーカレンダー処理してインクジェット記録媒体を得た。
<評価方法>
1.白紙品質(白紙光沢度)
JIS Z8741に準じて、光沢度計(村上色彩技術研究所製、True GLOSS GM−26PRO)を用い、インク受容層表面に対し光入射角75度の白紙光沢度を測定した。
下記の市販の顔料インクジェットプリンタ2台で印字を行い、以下の評価方法に準じて印字評価した。
評価プリンタ1:セイコーエプソン社製、PX−V630
評価プリンタ2:ヒューレット・パッカード社製、CM8060
2−1.乾燥性(インク吸収性)
評価プリンタ1(写真用紙/きれいモード)及び評価プリンタ2(つや消しブローシャ用紙/高品質)にて1.5ポイントの太さの黒色直線を印字し、印字10分後に指で擦り、以下の基準で乾燥性を評価した。
○:指で擦っても印字部が殆ど延びず、インク吸収速度が速く、良好なレベルである。
△:指で擦ると印字部が若干延び、ややインク吸収速度が遅いが、実用上問題の無いレベルである。
×:指で擦ると印字部が延び、インク吸収速度が遅く、実用に耐えないレベルである。
評価プリンタ1(フォトマット紙/きれいモード)にて1.5ポイントの太さの黒色直線を5本並べて印字し、印字5時間後に乾いた綿棒で擦り、以下の基準で耐擦過性を評価した。
○:綿棒で擦ってもインクが剥がれず、良好なレベルである。
△:綿棒で擦るとインクが若干剥がれるが、実用上問題の無いレベルである。
×:綿棒で擦るとインクが剥がれ、実用に耐えないレベルである。
評価プリンタ2(つや消しブローシャ用紙/高品質)にて10cm角の大きさのベタ部をKCMYそれぞれの色について印字した。印字1日後、印字部の75度白紙光沢度を上記と同様にして測定し、得られた各色の印字部光沢度から白紙光沢度を引いた値の平均値〔((KΔグロス)+(CΔグロス)+(MΔグロス)+(YΔグロス))/4〕を求めた。
なお、平均Δグロスが10以上であれば印字された画像が目立ち、印字物に高級感やインパクトを与える効果がある。平均Δグロスが10未満である場合は印字された画像が鮮明でも印字物が高級感やインパクトが弱く、好ましくない。
評価プリンタ1,2にて所定のパターンをそれぞれインクジェット印字した。又、評価プリンタ1,2を用い、これと同一のパターンをオフセット印刷用塗工紙(オーロラコート:日本製紙社製、坪量104.7g/m2)にオフセット印刷した。各インクジェット印刷物の見た目や手触り等の質感をオフセット印刷物と比較し、以下の基準で評価した。
○:見た目や手触り等の質感がオフセット印刷用塗工紙に近く、オフセット印刷物の風合いを有している。
×:見た目や手触り等の質感がオフセット印刷用塗工紙と異なり、オフセット印刷物の風合いを有していない。
インク受容層中のカオリンにおいて、体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が占める割合が95%未満である比較例2、及びカオリンを含まない比較例3の場合、インクの吸収性が劣った。これは、顔料の粒度分布がブロードであるためにインク受容層が密となり、その結果インク吸収性能が低くなったためと考えられる。
Claims (4)
- 木材パルプを主成分とし、JIS−P 8251に規定される灰分として1質量%以上40質量%以下の填料を含有する原紙の片面又は両面に1層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体であって、該インク受容層は、沈降法により測定した平均粒子径が0.15μm以上0.50μm未満で、かつ体積基準の積算値で2.0μm以下の粒子が95%以上を占めるカオリンと、コールターカウンター法で測定した平均二次粒子径が0.5μm以上4μm以下である合成非晶質シリカと、バインダーとを主成分とし、
ヒューレット・パッカード社製、CM8060の顔料インクジェットプリンタにて、つや消しブローシャ用紙/高品質の条件で10cm角の大きさのベタ部をKCMYそれぞれの色について印字し、印字1日後、印字部の75度白紙光沢度を測定し、得られた各色の印字部光沢度から白紙光沢度を引いた値の平均値〔((KΔグロス)+(CΔグロス)+(MΔグロス)+(YΔグロス))/4〕である平均Δグロスが10以上であるインクジェット記録媒体。 - 前記インク受容層の前記合成非晶質シリカがゲル法シリカである請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層は、顔料として有機顔料を含有する請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体。
- 前記原紙として嵩高紙を用いる請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録媒体。
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