以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明で使用するトナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤を含有するトナー粒子と酸化チタン微粒子とを有するトナーである。
まず、トナーについて詳細に説明する。
トナーは、Ge結晶で入射角45°のATR法で測定したFT−IRスペクトルにおいて、2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度をPa、1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度をPb、KRS5結晶で入射角45°のATR法で測定したFT−IRスペクトルにおいて、2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度をPc、1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度をPdとした時に、下記式(1)の関係を満たす。
1.05≦P1/P2≦2.00 ・・・ 式(1)
(P1=Pa/Pb、P2=Pc/Pd)
ATR(Attenuated Total Reflection)法とは、試料より高い屈折率を有する結晶(ATR結晶)に、試料を密着させ、臨界角以上の入射角で赤外光を結晶に入射させると、光は密着した試料と結晶の界面で全反射を繰り返し出射する。この時、赤外光は試料と結晶の界面で反射するのではなく、試料側にわずかに滲みこんでから全反射する。この滲みこみ深さは、波長・入射角・ATR結晶の屈折率に依存する。
dp=λ/(2πn1)×[sin2θ−(n2/n1)2]-1/2
dp:滲み込み深さ
n1:試料の屈折率(本発明では1.5としている)
n2:ATR結晶の屈折率(Ge結晶 4.0、KRS−5結晶 2.4)
θ:入射角
このため、ATR結晶の屈折率や入射角を変えることで滲みこみ深さの異なるFT−IRスペクトルを得ることができる。
例えば、上記式を用いると、2000cm-1(λ=5μm)の光で、ATR結晶にGe(n2=4.0)を用い入射角45°のATR法で測定した場合、滲みこみ深さdpは0.3μmになる。また、ATR結晶にKRS−5(n2=2.4)を用い入射角45°のATR法で測定した場合、滲みこみ深さは1.0μmとなる。
本発明のトナーで、例えばポリエステル樹脂を用いた場合、1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲に、主に樹脂由来の−CO−の伸縮振動に起因するピーク(Pb,Pd)である。
樹脂由来のピークとしては、上記以外にも芳香環のCHの面外変角振動等様々なピークが検出されるが、1500cm-1以下の範囲には、ピークが数多く存在し、樹脂のピークだけを分離することが困難である。
また、2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の吸収ピークは、主に離型剤由来の−CH2−の伸縮振動(対称)に起因するピーク(Pa,Pc)である。
離型剤のピークとしては、上記以外にも1450cm-1以上1500cm-1以下にCH2の面内変角振動のピークが検出されるが、樹脂のピークとも重なり合ってしまい、離型剤のピークを分離することが困難である。
本発明の測定において、樹脂由来のピーク(Pb,Pd)及び離型剤由来のピーク(Pa,Pc)は、樹脂及び離型剤の存在量に相関があることが分かっている。そこで、樹脂由来のピークを基準とし、離型剤由来のピーク強度を樹脂由来のピーク強度で割ることで、樹脂に対する離型剤の存在量の指標が算出できる。
ワックスは定着部材に対して離型性を発現させるために含有させているが、離型性を発現させるためには、定着工程時にワックスを染み出させて、定着部材とトナー層の間に離型層を形成させることが重要であることがわかっている。
高速なマシンの場合、定着工程でのトナーの溶融時間が短くなるため、ワックスの染み出し時間が短くなり、十分な離型層が形成できなくなる。その結果、耐定着巻きつき性が悪化する。
そのため、本発明では、耐定着巻き付き性を改良するため、定着工程で加熱/加圧時のワックスの染み出し速度をコントロールする検討を行なった。種々の検討を行った結果、トナーの表面近傍のワックスの存在分布、具体的には約0.3μm付近までに存在するワックスの濃度をコントロールすることにより、ワックスの染み出し速度をコントロールすることができることがわかった。
つまり、トナーのP1/P2を1.05以上2.00以下にすることにより、定着工程で加熱/加圧時のワックスの染み出し速度をコントロールすることができ、帯電性を悪化させることなく、耐定着巻きつき性を良化させることができる。トナーのP1/P2は、好ましくは1.10以上1.90以下であり、更に好ましくは1.15以上1.85以下である。
トナーのP1/P2が1.05未満の場合は、ワックスの染み出し速度が遅く、高速なマシンの場合に耐定着巻きつき性が悪化する。トナーのP1/P2が2.00を超える場合は、耐定着巻きつき性は良化するが、過剰のワックスがトナー表面近傍に存在するため、高温高湿環境(30℃/80%RH)において低画像比率での画像濃度の安定性が悪化する。
そのメカニズムは、明確ではないが本発明者らは以下のように考えている。
低画像比率で印刷後の画像濃度が低下をする原因は、トナーの耐ストレス性が低いためだと思われる。本発明のトナーは結着樹脂と離型剤を含有し、トナー表面に離型剤を偏在させている。離型剤は分子量が小さく軟らかいために、トナー表面の離型剤の偏在度合いが大きいトナーは耐ストレス性が低く、低画像比率でトナー表面に外添剤が埋め込まれ易い。その結果、トナーとキャリア間の付着力が増加し、トナーがキャリアからドラムへ現像されにくくなり、画像濃度が低下してしまう。
トナーのP1/P2を上記範囲に制御する手段としては、結着樹脂の種類、離型剤の種類や添加量、無機微粒子の添加量、トナー中における分散状態、または、熱または機械的衝撃による表面処理条件をコントロールすることにより制御することができる。
具体的な手法については後述する。
本発明のトナーはトナー粒子と酸化チタン微粒子とを有するトナーであって、該酸化チタン微粒子は、四塩化チタン水溶液にアルカリを添加して水酸化チタンを析出させ、析出した水酸化チタンを水系媒体中にて加熱してスラリー状態のチタニアを生成し、生成したスラリー状態のチタニアを水系媒体から取り出して乾燥させること無く、アルコキシシラン化合物により表面処理し、その後、加熱乾燥することにより得た酸化チタン微粒子であることも特徴の一つである。
上記工程を経て得られる酸化チタン微粒子を用いることで、トナー表面に離型剤を偏在させても、トナーの付着性を抑えることができ、クリーナーレスシステムにおいても帯電補助部材汚染を抑制可能となる。
四塩化チタンから酸化チタン微粒子を作製する方法は塩素法と呼ばれる。従来の塩素法では、原料鉱石に塩素ガスを供給し、1000℃付近の高温化で発熱反応を行う。それを精製することで四塩化チタンを得た後に、酸素で燃焼させることによって酸化チタン微粒子を得ていた。これだと気相反応を主とした方法であり、特に酸化工程では反応速度が非常に短いため、微粒子の酸化チタンを得ようとすると反応制御が困難であった。そのため特に高い比表面積を有する酸化チタン微粒子を得ることが困難であった。
本発明では、酸化チタン微粒子は四塩化チタン水溶液にアルカリを添加して水酸化チタンを経て酸化チタン微粒子を得る。この方法だと水酸化チタンが化学的に安定であり、また微結晶で表面積が大きいものが得られるという特徴がある。そのため得られる酸化チタン微粒子としても結晶形状が均一な微粒子が得られやすく、トナー表面を均一に被覆しやすい。
四塩化チタン水溶液から酸化チタン微粒子を得る具体的な方法の一例を下記に示す。四塩化チタン水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で中和加水分解してスラリー状態の水酸化チタンを析出させ、これを60乃至80℃の温度で1乃至10時間熟成することでスラリー状態のチタニアが得られる。
その際、熟成する熱量によって酸化チタン微粒子の比表面積をコントロールすることが可能であり、熱量を大きくするつまり熟成温度や時間を長くすると比表面積が小さくなる。
また本発明では、生成したスラリー状態のチタニアを水系媒体から取り出して乾燥させること無く、アルコキシシラン化合物により被覆処理する工程から得られる。スラリーの状態でアルコキシシラン化合物によって被覆処理することで均一な表面処理を行うことができる。
通常行われている方法ではスラリー状態のチタニアを熱処理し、分別、洗浄した後に粉体として酸化チタン微粒子を取り出して表面処理を行われている。この方法だと、特に高い比表面積を有する微粒子の場合、粒子同士の合一が発生しやすい。そのような合一粒子が存在すると、トナー粒子からの脱離が発生してしまい、磁性キャリアへ酸化チタン微粒子が付着することにより帯電能の低下を引き起こしてしまう。
本発明者らは、本発明の酸化チタン微粒子がトナーの付着性を抑えることができ、クリーナーレスシステムにおいても帯電補助部材汚染を抑制可能となる理由を以下の様に考えている。
本発明で得られる酸化チタン微粒子は四塩化チタン水溶液から得られる。この製法だと、酸化チタンの結晶形としてはルチル型のものが得られる。ルチル型の酸化チタンは高い比表面積のものは形状として針状であり、球状に近いアナターゼに比べ、隠ぺい力が高いことが要因であると考えている。
本発明において、酸化チタン微粒子の比表面積は30乃至150m2/gが好ましく、より好ましくは50乃至130m2/gである。比表面積が、30m2/g未満の場合、トナー粒子に付着させる際の分散性が優れないため、酸化チタン微粒子の遊離が発生しやすくなる。また、150m2/gを超える場合、分散性には優れるものの、酸化チタン微粒子がトナー粒子に埋め込まれてしまうため、トナーの付着性の軽減効果が少なくなる。
また酸化チタン微粒子は、長軸径が30乃至200nm、短軸径が10乃至80nmであり、長軸径/短軸径の比が1.2乃至8.0である非球形状の無機微粒子であることが好ましい。より好ましくは長軸径が30乃至150nm、短軸径が10乃至50nmであり、長軸径/短軸径の比が2.5乃至8.0の非球形状の無機微粒子である。
長軸径/短軸径の比が1.2よりも小さい場合、球状に近くなるためにトナー粒子との接触面積が小さく、トナーの付着性の軽減効果が少なくなったり、トナーから遊離し易くなる。一方、長軸径/短軸径の比が5.0よりも大きい場合、微粒子の形状が棒型や針状になり、トナーや他の外添剤との接触面積が大きくなってスペーサーとしての効果が小さくなり、耐ストレス性が悪化する。
本発明に用いるアルコキシシラン化合物としては、次の一般式(1)で表すことができる。
RnSiR’m ・・・(1)
[一般式(1)中のRはアルキル基、フェニル基、ビニル基、グリシドキシ基、メルカプト基、メタクリル基を有し、炭素数が1乃至10である炭化水素を、R’はアルコキシ基を、nおよびmは(m+n=4)で、且つ1乃至3の整数をそれぞれ表す。]
アルコキシシラン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。この中でも、表面処理の行い易さや帯電安定性の観点から、n−オクチルトリメトキシシランが好ましい。また表面処理剤として、上記以外のものとの併用をしてもかまわない。
アルコキシシラン化合物を酸化チタン微粒子に被覆する方法としては、例えば、酸化チタン微粒子が分散されたスラリーである加水分解生成物に、撹拌しながらアルコキシシラン化合物、またはこれらの水あるいはアルコール溶液を添加し、充分に撹拌した後、濾過、洗浄、乾燥する湿式方法によって行うことができる。アルコキシシラン化合物の被覆処理量としては、基体の酸化チタン微粒子に対して全量で1乃至50質量%、好ましくは5乃至30質量%である。被覆処理量が1質量%未満と少なすぎると流動性が得られずトナー粒子への均一な被覆が行いづらい。逆に被覆処理量が50質量%を超えてしまうと、処理剤が過剰に存在するために酸化チタン微粒子の凝集が発生しまいトナー粒子からの脱離が発生しやすくなる。
酸化チタン微粒子は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。0.1質量部より少ない場合はトナー粒子の付着性を抑制する効果が少なくなる。また5.0質量部より多い場合はトナー粒子からの脱離が発生しやすい。
またパーティクルアナライザーで測定される、該トナー粒子に対する該酸化チタン微粒子の遊離率が0.1個数%以上5.0個数%以下であることが好ましい。酸化チタン微粒子の遊離が5.0個数%を超える場合は、脱離している酸化チタン微粒子が磁性キャリアに付着することで帯電能の低下を引き起こして、トナーの帯電が下がりカブリが悪化してしまう。
酸化チタン微粒子の遊離率が上記範囲であることは、トナー粒子表面に偏在させた離型剤による付着性を抑えることと磁性キャリアへの酸化チタン微粒子の付着を抑えるという点で好ましい。
上記遊離率にするためには酸化チタン微粒子の粒径や結晶系によってコントロール可能である。なかでもトナー粒子に酸化チタン微粒子を付着させる外添工程によってもコントロールできる。
該トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱ピークにおいて、該吸熱ピークの最大吸熱ピーク温度が60℃以上105℃以下の範囲にあり、該トナーの熱刺激電流測定装置で測定される電流値が、前記吸熱ピーク温度にピークを有し、該電流値の絶対値(C)が、5.0×10-14A以上2.0×10-13A以下であることが好ましい。
離型剤は、結着樹脂100質量部あたり3質量部以上20質量部以下用いることが、耐定着巻きつき性のために好ましい。3質量部より少ないと、トナーの離型性が低下する。その結果、定着時に紙が定着部材に巻きつく場合がある。20質量部より多いと、高温高湿環境(30℃/80%RH)において低画像比率での画像濃度の安定性が悪化する。
また、離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度は、60℃以上105℃以下であることが、耐定着巻きつき性と低画像比率での画像濃度の安定性のため、好ましい。
離型剤としては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリン離型剤、パラフィン離型剤、フィッシャー・トロプシュ離型剤の如き炭化水素系離型剤;酸化ポリエチレン離型剤の如き炭化水素系離型剤の酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバ離型剤、ベヘン酸ベヘニルエステル離型剤、モンタン酸エステル離型剤の如き脂肪酸エステルを主成分とする離型剤類;脱酸カルナバ離型剤の如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系離型剤にスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させた離型剤類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。なかでも、炭化水素離型剤が好ましい。
本発明ではトナー表面に離型剤を偏在させることで定着巻きつきを抑制しているが、離型剤の分散状態によっても定着巻きつきに影響を受ける。離型剤が微分散し過ぎていると、定着時の染み出し速度が遅くなるため定着巻きつきに対して不利になる。また分散粒径が大きいと、トナーの付着性が悪化してしまい、また耐ストレス性も悪化してしまう。特に本発明ではトナー表面に離型剤を偏在させているため、離型剤の分散径は微分散していることが好ましい。離型剤の平均個数分散粒径としては、0.03μm以上0.50μm以下であることが好ましい。
また、本発明ではトナーの離型剤の分散状態をコントロールするための樹脂を添加してもかまわない。
上記樹脂としては、結着樹脂に極性が近い部位、離型剤に極性が近い部位の両方を有するものであればどのようなものでもかまわない。具体的には、例えば、スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタアクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体とポリオレフィンとを少なくとも有するものが良い。
スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体を合成するために用いることのできるモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体が挙げられる。
N含有ビニル系モノマーとしては、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きアミノ基含有α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルが挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンが挙げられる。
アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類が挙げられる。
メタクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類が挙げられる。
その中でも特に、スチレン−アクリロニトリル−メチルメタクリレートの三元共重合体が好ましい。
スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタアクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体のGPCによる分子量分布においては、重量平均分子量(Mw)が5000乃至100000であり、数平均分子量(Mn)が1500乃至15000であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2乃至40であることが良い。
また、スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタアクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体は、該トナー中にトナーの質量を基準として0.1乃至20質量%含有されていることが好ましい。
スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタアクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体とのグラフト重合に用いられる該ポリオレフィンは、DSCによって測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークの極大値が70乃至130℃にあることが離型性の観点から好ましい。
また、スチレン系モノマーとN含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アクリル酸エステルモノマー及びメタアクリル酸エステルモノマーから選ばれる1種又は2種以上のモノマーとを用いて合成された共重合体の含有量(W1)、及びポリオレフィンの含有量(W2)の質量比としては、下記式
W1:W2=100:(1乃至400)
を満足することが良い。
次に、結着樹脂について説明する。
トナーに含有される結着樹脂としては、少なくともポリエステル樹脂含むことが好ましい。本発明に用いられるポリエステル樹脂はアルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。
アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
カルボン酸モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
また、その他のモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸類。
それらの中でも、特に、下記一般式(1)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸モノマー成分として、これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2乃至10である。)
ポリスチレン、スチレン誘導体等のビニル系樹脂に用いられるモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クローラースチレン、3,4−ジクローラースチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如きスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クローラーエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピローラー、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体。
該ハイブリッド樹脂とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと、(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとが、エステル交換反応によって形成されるものでもよい。また、少なくとも縮重合系のモノマーと付加重合系のモノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物)を用いて縮重合したポリエステルユニットに、ビニル系重合モノマーを付加重合させたものでもよい。
本発明に用いられる結着樹脂は、低温定着性を達成するために軟化点(Tm)は60℃以上120℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下の樹脂を用いることが好ましい。
また、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂を併用してもかまわない。
トナーに含有される着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、81:2、81:3、81:4、81:5、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、185、202、206、207、209、238、269;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
シアントナー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン用着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー用着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下である。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
トナーには、酸化チタン微粒子以外にも、外添剤が添加されても良い。
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムの如き無機微粉体が好ましい。無機微粉体は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
個数平均粒径が80nm以上200nm以下の外添剤を用いることが、耐ストレス性を向上できるため、より好ましい。80nm以上200nm以下の外添剤は、耐久時等にトナー表面に埋め込まれたとしても、粒径がおおきいために、流動性をある程度維持することができる。このため、画像濃度の低下を抑制することができる。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下使用されることが好ましい。
次に、本発明に用いられるトナーを製造する手順について説明する。本発明に用いられるトナーの製造方法は、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法を用いることが可能である。ここでは、粉砕法を例に挙げて説明するが、これに限定されるわけではない。すなわち、本発明に用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤、及びワックス、並びに任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理、表面平滑処理、及び分級処理を行い、これに外添剤を混ぜることによって製造することが可能である。
まず、原料混合工程では、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びワックスを所定量秤量後配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、混合されたトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、一軸又は二軸押出機が主流となっている。例えば、神戸製鋼所社製KTK型二軸押出機、東芝機械社製TEM型二軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製二軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
そして一般的には上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、ターボ工業製のターボ・ミル、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕され、粉砕品を得る。トナーの表面近傍に離型剤を偏在させるためには機械式の粉砕機を用いることが好ましい。その中でもターボ工業製のターボ・ミルを用いることが好ましい。
さらに、トナーの表面近傍に離型剤を偏在させる方法としては、熱風で表面処理をする方法を用いることも好ましい。
熱風を用いたトナー粒子の表面改質処理は、例えば、サーフュージョンシステム(日本ニユーマチック工業社製)などがある。また、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンコスモシステム(川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)等の高速気流中衝撃法を応用した表面改質装置、メカノフュージヨンシステム(ホソカワミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社社製)等の乾式メカノケミカル法を応用した表面改質装置において、加熱することで、表面改質を行ってもよい。
また、例えば図1に示すような表面改質装置を用いることもできる。オートフィーダー2を用い、トナー粒子1は供給ノズル3を通り、表面改質装置内部4に供給される。ブロワ−9により、表面改質装置内部4の空気は吸引されているので、供給ノズル3から導入されたトナー粒子1は機内に分散する。機内に分散されたトナー粒子1は、熱風導入口5から導入される熱風で、瞬間的に熱が加えられて表面改質される。導入される熱風の温度は100℃以上450℃以下に調整可能であり、トナー処方に応じて随時、設定変更することが出来る。熱風の温度を100℃未満とすることは、装置的には可能であるが、熱処理の均一性や生産性の面で問題が発生する場合がある。また、熱風の温度を450℃超えとする場合には、熱風発生装置自体の大型化や、処理時のトナー粒子またはトナーが受ける熱エネルギーを調整することが困難となる。また、同様に装置内の温度コントロールが十分に行えず、融着現象が発生する場合がある。
本発明ではヒーターにより熱風を発生させているが、トナー粒子の表面改質に十分な熱風を発生させられるものであれば装置は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7は、冷風導入口6から導入される冷風で瞬時に冷却される。この時、冷風は除湿された圧縮エアーまたはN2ガスを用いることが出来る。また、冷風は他に装置内に導入される気流との相互作用により、最適な装置内温度分布を構成する目的から、温度は−100℃以上60℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−20℃以上20℃以下である。温度自体が高すぎても、低すぎても、熱処理に過剰なエネルギーが必要な場合があり、更に、処理自体が不均一になる場合がある。
本発明では冷風には液体窒素を用いているが、表面改質されたトナー粒子7を瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子7はブロワー9で吸引されて、サイクロン8で捕集される。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、ホソカワミクロン社製のファカルティを用いて分級することでトナー粒子を得る。
更に、酸化チタン微粉末を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。混合装置としてはヘンシェルミキサーを用いることが好ましい。
一例としてヘンシェルミキサーを用いた場合、外添時の槽内温度は45℃以下であることが好ましい。これ以上の温度であると、熱により該無機微粒子の埋め込みが急激に起り、所望の遊離率が得られなくなり好ましくない。また、ヘンシェルミキサーの羽根の周速としては外添剤の遊離率を調整するという観点から10乃至80m/secであることが好ましい。
なお、外添の手法としては、トナー粒子に対する酸化チタン微粒子の遊離率をコントロールするために多段外添を行ってもよい。酸化チタン微粒子を1段目に外添することが好ましい。1段目に外添することで、外添剤の遊離が抑えられることだけでなく、トナー表面のワックスを隠蔽する効果が増大する。
本発明のトナーは、トナーと磁性キャリアを含む二成分系現像剤として用いることができる。
該二成分系現像剤を、現像器内に収容された現像剤担持体上に担持させて現像に用いる現像剤として用いることができる。
現像剤として用いる場合は、混合比率を磁性キャリア100質量部に対してトナーを2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましい。上記範囲とすることで、高画像濃度を達成しトナーの飛散を低減することができる。
上記磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアも好ましく使用できる。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。また、上記磁性キャリアとして、多孔質磁性コア粒子中に樹脂を含有させたものも使用できる。
次に、本発明の画像形成方法について説明する。
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を図3に示す。図3において、静電潜像担持体である感光体1は図中矢印方向に回転する。感光体1は帯電手段である帯電装置2により帯電され、帯電した感光体1表面には、静電潜像形成手段である露光装置3によりレーザー光を投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4により静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5により中間転写体6に転写される。さらに転写手段である転写装置7により、転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置8により加熱定着され、画像として出力される。この転写手段において、転写されずに感光体1の表面に残った転写残トナーは、均し手段である帯電補助部材10でバイアスを印加しながら転写残トナーに静電的な極性を与え、前述の帯電手段、静電潜像形成手段を経て、再度現像に供されるかもしくは現像装置に回収されてもよい。
本発明における、帯電補助部材を図4に示した。
本発明においては、図4に示したように、上記感光体1の回転方向に対して、上記転写装置5の下流で、且つ帯電装置2よりも上流に、感光体1上の転写残トナーを均し、現像時の転写残トナーの回収率を向上させるための帯電補助部材を配置し、転写残トナーの帯電極性の均一化を図っている。本発明では、前記帯電補助部材が、交流バイアスが印加された第一の帯電補助部材と、前記現像剤担持体中のトナーと同極性の直流バイアスが印加された第二の帯電補助部材を有することが好ましい。第一の帯電補助部材は図4中のAで表され、感光体1上の転写残トナーに交流バイアスを印加する。これにより、感光体1上の転写残トナーの帯電除去の機能を果たしている。そして、第二の帯電補助部材は図4中のBで表され、現像剤担持体中のトナーと同極性の直流バイアス(本発明ではマイナス)を感光体1上の転写残トナーに印加させることにより、トナーにネガ帯電を帯びさせ、現像時の転写残トナーの回収率を高めている。
また本発明は、該帯電補助部材の少なくとも一つが、回転ブラシ形状であることが好ましい。図4中のBのような回転ブラシ形状により、感光体1上に付着した転写残トナーを感光体1上に分散させることができる。これにより、ネガ帯電されたトナーが効率よく現像剤担持体に回収されることで、高い濃度の画像を連続して出力する際に、より安定した画像を提供できる。さらには、ブラシ自身が回転することで、ブラシにトナーや酸化チタン微粉末などの外添剤の付着も抑制され、耐久性にも優れる。
ここで、本発明の画像形成方法の各工程に関して、説明する。
<帯電工程>
帯電工程は、静電潜像担持体の表面に電荷を付与して静電潜像担持体を帯電させる手段であれば特に限定されない。帯電手段には、コロナ帯電手段のように、静電潜像担持体に対して非接触で静電潜像担持体を帯電させる装置や、導電性のローラーやブレードを静電潜像担持体に接触させて静電潜像担持体を帯電させる装置が使用可能である。
<静電潜像形成工程>
静電潜像形成工程は、露光手段として公知の露光装置が使用できる。例えば、光源は半導体レーザーまたは発光ダイオードが用いられ、ポリゴンミラー、レンズ、ミラーから成る走査光学系ユニットを用いることができる。
静電潜像を形成できる領域には、主走査方向の領域と副走査方向の領域がある。静電潜像担持体上における主走査方向の領域は、静電潜像担持体の回転軸に平行な方向におけるレーザービーム照射開始可能位置からレーザービーム照射終了位置までの領域である。また、静電潜像担持体表面上における副走査方向の領域は、画像データ1ページ分における最初の主走査ラインの照射可能位置から最終の主走査ラインの照射可能位置までの領域である。
静電潜像形成工程について具体的に説明する。
まずは、光源である半導体レーザーからレーザービームを回転するポリゴンミラーに照射する。そして、周期的に偏向して反射されるレーザービームを走査レンズによって集束させて、副走査方向に回転する静電潜像担持体上を副走査方向と直交する主走査方向に反復走査することで、静電潜像担持体上に静電潜像の露光を行う。本発明のトナーを用いた画像形成装置においては、この静電潜像形成可能領域を変更し、全面縁無し対応の印刷モード(縁無しコピー)としてもよい。縁無しコピーは、静電潜像形成可能領域の主走査方向領域及び/又は副走査方向領域が大きくなる。なぜなら、縁無しコピーを行った場合には、画像データのイメージサイズと記録材の実際のサイズとの微少なサイズ誤差による余白の発生を修正し消去するために、記録材のサイズ以上の縁無しコピー用倍率に反映させる必要があるためである。縁無しコピーが選択されると、露光装置は、主走査画素クロックおよびポリゴンミラー回転周期を設定することによって、画像の解像度を設定する。主走査画素クロックの設定は、書込みクロック生成回路によって行われる。ポリゴンミラー回転周期の設定は、ポリゴンミラーの回転モータ制御回路によって行われる。また、露光装置は、主走査画素クロックおよびポリゴン回転周期の設定を微調整することによって、縁有り印刷モード時の主走査倍率調整、副走査倍率調整を行う。これをもとにして、縁無しコピーにおける縁無し画像用の主走査倍率調整、副走査倍率調整を行う。このように、静電潜像工程で静電潜像担持体上に形成された静電潜像は、現像工程で現像剤によってトナー像として可視像化されることになる。
<現像工程>
現像工程は、主としてキャリアが不要な一成分系接触現像方法とトナーとキャリアを有する二成分系現像方法に分けられるが、本発明においては二成分系現像方法である。
二成分系現像方法としては、磁石を内包した現像剤担持体(現像スリーブ)上に二成分系現像剤の磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートした後、静電現像担持体に対向する現像領域へと搬送する。該現像領域においては、静電潜像担持体と現像スリーブの間に所定の現像バイアスを印加しながら、該磁気ブラシを静電潜像担持体表面に近接/又は接触させることによって、上記静電潜像をトナー像として顕像化する方法である。
<転写工程、転写体クリーニング工程>
転写工程は、コロナ転写手段のように、静電潜像担持体に対して非接触で静電潜像担持体表面のトナー像を転写材に転写させる方法や、ローラーや無端状ベルトの転写部材を静電潜像担持体に接触させて静電潜像担持体表面のトナー像を転写材に転写させる方法が有り、いずれも使用可能である。中間転写体のクリーニングは、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニングあるいはそれらの組み合わせ等、任意のクリーニング装置が使用可能である。
<定着工程>
定着工程は、従来の一対のローラーからなるハードローラー系の定着装置や、図5に示したような近年の画像形成装置の高速化や省エネ化に対応した軽圧定着システムを用いたベルト定着装置など、いずれの定着装置も使用可能である。
<フルカラー画像形成装置>
本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を図5に示す。図中のK、Y、C、Mなどの画像形成ユニットの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。ちなみにKはブラック、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタを意味している。図5において、静電潜像担持体である電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mは図中矢印方向に回転する。各電子写真感光体は帯電手段である帯電装置2K、2Y、2C、2Mにより帯電され、帯電した各電子写真感光体表面には、静電潜像形成手段である露光装置3K、3Y、3C、3Mによりレーザー光を投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4K、4Y、4C、4Mにより静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5K、5Y、5C、5Mにより中間転写体6に転写される。さらに転写手段である転写装置7により、転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置8により加熱定着され、画像として出力される。そして11は転写ベルトのクリーニング部材であり、転写残トナー、キャリアなどを回収する。
上記トナー及び磁性キャリアの各種物性の測定法について以下に説明する。
<ATR法で測定したFT−IRスペクトルにおけるP1/P2、2850/828の測定方法>
ATR法によるFT−IRスペクトルは、Universal ATR Sampling Accessory(ユニバーサルATR測定アクセサリー)を装着したSpectrum One(フーリエ変換赤外分光分析装置)PerkinElmer社製を用いて行った。
赤外光の入射角は45°に設定した。
ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)、KRS−5のATR結晶(屈折率=2.4)を用いて行った。
その他の条件は以下の通りである。
Range
Start :4000cm-1
End :600cm-1(GeのATR結晶)
400cm-1(KRS−5のATR結晶)
Duration
Scan number:16
Resolution :4.00cm-1
Advanced :CO2/H2O補正あり
具体的な測定手順は以下の通りである。
P1の算出方法:
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナーをATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
(7)えられたFT−IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をする。
(8)2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出する。(Pa1)
(9)3050cm-1と2600cm-1の吸収ピーク強度の平均値を算出する。(Pa2)
(10)Pa1−Pa2=Paとする。
Pa=2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度
(11)1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出する。(Pb1)
(12)1763cm-1と1630cm-1の吸収ピーク強度の平均値を算出する(Pb2)
(13)Pb1−Pb2=Pbとする。
Pb=1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度
(14)Pa/Pb=P1とする。
P2、P2850/P828の算出方法:
(1)KRS−5のATR結晶(屈折率=2.4)を装置に装着する。
(2)トナーをATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(3)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(4)サンプルを測定する。
(5)えられたFT−IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をする。
(6)2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出する。(Pc1)
(7)3050cm-1と2600cm-1の吸収ピーク強度の平均値を算出する。(Pc2)
(10)Pc1−Pc2=Pcとする。
Pc=2843cm-1以上2853cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度
(11)1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出する。(Pd1)
(12)1763cm-1と1630cm-1の吸収ピーク強度の平均値を算出する(Pd2)
(13)Pd1−Pd2=Pdとする。
Pd=1713cm-1以上1723cm-1以下の範囲の最大吸収ピーク強度
(14)Pc/Pd=P2とする。
(15)1763cm-1の吸収ピーク強度を算出する(P2850)
(16)828cm-1の吸収ピーク強度を算出する(P828)
(17)P2850/P828を計算する
P1/P2の算出方法:
上記のようにして求めたP1とP2を用い、P1/P2を算出する。
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和樹脂るときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<トナーの平均円形度>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度Cは、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200乃至1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<樹脂またはトナーのピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂、または、トナーを用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度、結着樹脂のガラス転移温度Tg>
離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、離型剤を約10mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明の離型剤の最大吸熱ピークとする。
また、結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、離型剤の最大吸熱ピークのピーク温度測定と同様に、結着樹脂またはトナーを約10mg精秤し測定する。すると、温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化前と比熱変化後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、結着樹脂のガラス転移温度Tgとする。
<外添剤の長軸と短軸及びアスペクト比の測定方法>
一次粒子径は、本発明の無機微粒子を透過電子顕微鏡で観察し、100個の粒子の長径を測定して個数平均粒子径を求める。トナー粒子上の粒子径は走査電子顕微鏡で観察し、100個の粒子の長軸と短軸を測定する。またアスペクト比は長軸/短軸から算出する。
<酸化チタン微粒子の遊離率の測定>
パーティクルアナライザー(PT1000:横河電機(株)製)により測定されたものであり、Japan Hardcopy97論文集の65−68ページに記載の原理で測定を行う。具体的には、該装置はトナー等の微粒子を一個づつプラズマへ導入し、微粒子の発光スペクトルから発光物の元素、粒子数、粒子の粒径を知ることが出来る。例えば、無機微粉体として酸化チタンを用いた場合、遊離率とは、結着樹脂の構成元素である炭素原子の発光と、チタン原子の発光の同時性から次式により定義される値である。
酸化チタンの遊離率(%)=100×(チタン原子のみの発光回数/(炭素原子と同時に発光したチタン原子の発光回数+チタン原子のみの発光回数))
ここで、炭素原子とチタン原子の同時発光とは、炭素原子の発光から2.6msec以内に発光したチタン原子の発光を同時発光とし、それ以降のチタン原子の発光はチタン原子のみの発光とする。
具体的な測定方法は以下の通りである。0.1%酸素含有のヘリウムガスを用い、23℃で湿度60%の環境にて測定を行い、トナーサンプルは同環境下にて1晩放置し、調湿したものを測定に用いる。また、チャンネル1で炭素原子、チャンネル2でケイ素原子(測定波長288.160nm,Kファクターは推奨値を使用)を測定し、一回のスキャンで炭素原子の発光数が1000乃至1400個となるようにサンプリングを行い、炭素原子の発光数が総数で10000以上となるまでスキャンを繰り返し、発光数を積算する。この時、炭素元素の発光個数を縦軸に、炭素元素の三乗根電圧を横軸にとった分布において、該分布が極大を一つ有し、更に、谷が存在しない分布となるようにサンプリングし、測定を行う。そして、このデータを元に、全元素のノイズカットレベルを1.50Vとし、上記計算式を用い、酸化チタンの遊離率を算出する。後述の実施例においても同様に測定した。
<酸化チタン微粒子のBET比表面積の測定方法>
BET法に従って、比表面積測定装置「ジェミニ2375 Ver.5.0」(島津製作所社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いてBET比表面積(m2/g)を算出した。
<熱刺激電流の測定方法>
熱刺激電流はTS−FETT(リガク社製)を用いて測定した。まず測定する試料を常温常湿環境下(23℃/60%)に2晩以上調湿する。測定方法は非接触測定で、測定距離はホルダなしで2mmに固定した。粉体用試料ホルダ(アルミパン直径6mm、厚さ0.5mm)に4乃至10mg入れ、試料をならすために床に軽く5回ほどタッピングさせ、そして表面が平らになるようにガラスプレートで擦り切り、測定用サンプルを作製する。測定用ホルダが試料で汚れた場合は、よくふき取り試料とする。ホルダを図6に示すような荷電装置にて、コロナで−20kV、グリッドで−1kVを60秒間かけて帯電させる(本発明では負帯電トナーであったため、負帯電させた)。ホルダを絶縁性のピンセットを用いて、本体にセットし、荷電終了した後、5分間経過したところで測定を開始する。測定は常温から5℃/分で昇温させ、120℃まで測定を行って、最大ピークを求めた(図7)。尚、荷電及び測定環境は23℃±3℃/60%±10%で行った。尚、負帯電させたものであれば、−0.1×10-13以上に出るピークはノイズとしてカウントしないこととした。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔樹脂1の製造例〕
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 19.0質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75.5質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1質量部
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸18.2質量部を加え、180℃に加熱し、2時間反応させ樹脂1を合成した。GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)95000、数平均分子量(Mn)6500、ピーク分子量(Mp)14000、ガラス転移点は62℃、軟化点は145℃であった。
〔樹脂2の製造例〕
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 23.0質量部
無水トリメリット酸 1.5質量部
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
76.0質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1質量部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させ、次いで、10mmHgに減圧し1時間反応させ、樹脂2を合成した。GPCで求めた樹脂2の分子量は、重量平均分子量(Mw)6500、数平均分子量(Mn)2600であり、ピーク分子量(Mp)2800、ガラス転移点は56℃、軟化点は94℃であった。
〔樹脂3の製造例〕
冷却管、撹拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 17.2質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75.0質量部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1質量部
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら8時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸16.0質量部を加え、180℃に加熱し、2時間反応させ樹脂3を合成した。GPCで求めた樹脂3の分子量は、重量平均分子量(Mw)3500、数平均分子量(Mn)2100、ピーク分子量(Mp)4300、ガラス転移点は58℃、軟化点は111℃であった。
〔グラフト重合体の製造例〕
反応容器中に
キシレン 25.0質量部
低分子量ポリプロピレン(軟化点145℃) 16.3質量部
を入れ、十分溶解させた。
さらに
スチレン 68.5質量部
メチルメタクリレート 3.6質量部
アクリロニトリル 9.0質量部
ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート 2.7質量部
キシレン 15.0質量部
の混合溶液を180℃で4時間で滴下後、さらに170℃で1時間保持した後、有機溶剤を留去した。得られた樹脂を冷延・固化後、粉砕して、グラフト重合体を得た。
〔酸化チタン微粒子の製造例1〕
原料となる合成ルチル鉱を粉砕したものとコークスを混合し、1000℃付近に昇温した流動床塩化炉内に入れ、供給される塩素ガスと発熱反応を行って粗四塩化チタンを得た。得られた粗四塩化チタンから不純物を分離精製し、四塩化チタン水溶液を得た。この四塩化チタン水溶液を室温に保持しながら、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを7.0に調整してコロイド状の水酸化チタンを析出させ、引き続き65℃の温度で4時間熟成してルチル核を有するスラリー状の酸化チタン母粒子とした。このスラリーに硫酸を加えpH3とした後、n−オクチルトリメトキシシランを添加し、1時間かけて温度を60℃に昇温することにより、酸化チタン母粒子表面にn−オクチルトリメトキシシランを、母粒子に対し18.0質量%被覆した。この後、濾過、洗浄して、得られた湿ケーキを120℃で一昼夜熱処理し、粉砕して本発明のルチル型の酸化チタン微粒子1を得た。酸化チタン微粒子の物性を表1に示す。
〔酸化チタン微粒子の製造例2乃至7〕
水酸化チタンを熟成させる条件を変更することで酸化チタン微粒子2乃至7を得た。酸化チタン微粒子の物性を表1に示す。
〔酸化チタン微粒子の製造例8〕
スラリー状の酸化チタン母粒子を電気炉で300℃の温度で3時間熱処理して乾燥工程を経た後に、再びスラリー状にする。以降実施例1と同様の方法で表面処理して酸化チタン微粒子8を得た。酸化チタン微粒子の物性を表1に示す。
〔酸化チタン微粒子の製造例9〕
硫酸法によって、アナターゼ型であるスラリー状のメタチタン酸を得た後に以降製造例1と同様の方法で表面処理して酸化チタン微粒子9を得た。酸化チタン微粒子の物性を表1に示す。
〔トナー製造例1〕
樹脂1 50.0質量部
樹脂2 50.0質量部
グラフト重合体 5.0質量部
フィッシャー・トロプシュ離型剤(DSC最大吸熱ピーク100℃) 10.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、得られた微粉砕物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/hr、熱風流量4.5m3/min、熱風の吐出温度は220℃、冷風温度3℃、冷風流量3.0m3/minで表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー1を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例2〕
グラフト重合体と離型剤の添加量を変え、表面改質装置の熱風の吐出温度を250℃にすること以外はトナー1と同様にしてトナー2を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例3〕
樹脂3 100.0質量部
グラフト重合体 10.0質量部
パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、得られた微粉砕物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/hr、熱風流量4.5m3/min、熱風の吐出温度は280℃、冷風温度3℃、冷風流量3.0m3/minで表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子3を得た。
得られたトナー粒子3 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー3を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例4〕
グラフト重合体を添加せず、離型剤の添加量を変え、表面改質装置の熱風の吐出温度を220℃にすること以外はトナー3と同様にしてトナー4を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例5〕
樹脂3 100.0質量部
ベヘン酸ベヘニル(DSC最大吸熱ピーク74℃) 10.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、得られた微粉砕物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/hr、熱風流量4.5m3/min、熱風の吐出温度は220℃、冷風温度3℃、冷風流量3.0m3/minで表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子5を得た。
得られたトナー粒子5 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー4を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例6〕
グラフト重合体を添加し、離型剤の添加量を変えること以外はトナー5と同様にしてトナー6を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例7〕
樹脂3 100.0質量部
グラフト重合体 10.0質量部
パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボミルT250、ターボ工業製)を用いて微粉砕した。次に分級と同時に球形化を行うことができる分級装置(ファカルティ、ホソカワミクロン社製)を用いて分級を行ってトナー粒子7を得た。
得られたトナー粒子7 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー7を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例8乃至10〕
外添剤の種類を変更すること以外はトナー5と同様にして、トナー8乃至10を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例11〕
トナー粒子5 100.0質量部に、酸化チタン微粒子4とヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで20min混合し、トナー11を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例12〕
外添剤の種類を変更すること以外はトナー11と同様にして、トナー12を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例13〕
トナー粒子5 100.0質量部に、酸化チタン微粒子6とヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで6min混合し、トナー13を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例14〕
外添剤の種類を変更すること以外はトナー13と同様にして、トナー14を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例15〕
樹脂3 100.0質量部
パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 10.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、得られた微粉砕物を図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2.0kg/hr、熱風流量4.5m3/min、熱風の吐出温度は280℃、冷風温度3℃、冷風流量3.0m3/minで表面改質を行った。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子15を得た。
得られたトナー粒子15 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー15を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例16〕
樹脂3 100.0質量部
パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子16を得た。
得られたトナー粒子16 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー16を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例17〕
樹脂3 100.0質量部
グラフト重合体 10.0質量部
パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 5.0質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。次に、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子17を得た。
得られたトナー粒子17 100.0質量部に、酸化チタン微粒子1を1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)にて1600rpmで10min混合する。その後、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された比表面積が80m2/gであるシリカ微粉体を1.0質量部添加し1600rpmで5min外添混合し、トナー17を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔トナー製造例18,19〕
外添剤の種類を変更すること以外はトナー3と同様にして、トナー18,19を得た。トナー物性に関しては表2に示す。
〔磁性キャリアの製造例〕
マグネタイト微粒子(球形、個数平均粒径250nm、磁化の強さ65Am2/kg、500V/cmにおける比抵抗3.3×105Ω・cm)と、シラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)(マグネタイト微粒子の質量に対して3.0質量%の量)とを、容器に導入した。そして、該容器内において温度100℃以上で高速混合撹拌して、マグネタイト微粒子を表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 16質量部
・表面処理したマグネタイト微粒子 84質量部
上記材料を反応釜に導入し、温度40℃にしてよく混合した。
その後、撹拌しながら平均昇温速度3℃/分で、温度85℃に加熱し、28質量%アンモニア水4質量部および水25質量部を反応釜に加えた。温度85℃にて保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼の周速は1.8m/秒とした。
重合反応させた後、温度30℃まで冷却して水を添加した。上澄み液を除去して得られた沈殿物を水洗し、さらに風乾した。得られた風乾物を、減圧下(5hPa以下)にて、温度60℃で乾燥して、磁性体が分散された平均粒径35μm、500V/cmにおける比抵抗7.0×107Ω・cm、見かけ密度1.9g/cm3のキャリアコア(a)を得た。
次に一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメタクリル酸メチルマクロマー(平均値n=50)35質量部と、シクロヘキシルをユニットとしてエステル部位を有するメタクリル酸シクロヘキシルモノマー65質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。この溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量は、56,000であった。また、Tgは94℃であった。得られたグラフト共重合体溶液30質量部に、カーボンブラック微粒子(個数分布基準の最大ピーク粒径が30nm、比抵抗が1.0×10-4Ω・cm)1質量部、およびトルエン200質量部を加えた。そして、ホモジナイザーによりよく混合して、コート溶液(樹脂溶液)を得た。
次いで、キャリアコア(a)2000gを、せん断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加えた。減圧下で70℃に保持して撹拌しながら溶媒を揮発させて磁性キャリアコア表面を樹脂で被覆した。この樹脂で被覆された磁性キャリアコアを100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却した後、解砕しさらに目開き76μmの篩で粗粒を除去して磁性分散型被覆キャリアである磁性キャリアを得た。
<実施例1>
磁性キャリアとトナー1をトナー濃度が10質量%になるように混合し二成分現像剤1を得た。得られた二成分現像剤1を次に示す評価試験を行った。
<定着性(低温定着性、耐高温オフセット性)の評価>
キヤノン製フルカラー複写機imagePress C1を、定着温度を自由に設定できるように改造して定着温度領域の試験を行った。画像は単色モードで常温常湿度環境下(23℃/50乃至60%)において、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を作成した。評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用い、画像印字比率25%で画像を形成した。その後、常温常湿度環境下(23℃/50乃至60%)において定着温度を100℃から順に5℃ずつ上げ、オフセットや巻きつきが生じない温度幅を定着可能領域とした。
<耐定着巻きつき性の評価>
上記定着性評価で用いた評価機を用いて、評価紙は、GF−500(A4、坪量64.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を使用し、先端部から1mmの位置に通紙方向に幅60mmで、紙上のトナー載り量が1.2mg/cm2になるように調整し、未定着画像を10枚作成した。定着温度を160℃に設定して、100mm/secの定着温度で、10枚連続で通紙し、定着巻き付きが発生をするかどうか測定を行った。評価結果は、以下の基準で評価した。
A:定着巻き付きが全く発生しない。(非常に優れている)
B:定着分離爪で分離でき、定着画像に筋もなく問題ない。(良好である)
C:定着分離爪で分離できるが、定着画像に若干筋が発生している。(本発明では問題ないレベルである)
D:定着分離爪分離できず、ジャムが発生する。(本発明では許容できない)
<現像性評価>
画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機iRC5180を用いて評価を行った。この装置は、クリーニングブレードを使用せずに、残トナーを帯電させて除去するクリーナレス機構、さらに、除去したトナーをローラで回収・再利用するトナーリユース機能を採用している。
低dutyモードにする
常温常湿環境下(23℃、50%RH)、高温高湿環境下(32.5℃、80%RH)、で耐久画出し評価(A4横、2%印字比率、10000枚連続通紙)を行った。10000枚連続通紙時間中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件で通紙を行うこととする。評価紙は、コピー用紙CS−814(A4、坪量81.4g/m2)キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。上記評価環境において、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.4mg/cm2となるように調整した。FFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。
初期(1枚目)と10000枚連続通紙時の画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。
(初期(1枚目)および10000枚連続時の画像濃度測定)
X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用し、画像濃度(FFH画像部;ベタ部)、カブリ(00H画像部;白地部)を測定した。初期(1枚目)および10000枚目のFFH画像部;ベタ部の画像濃度の差を以下の基準で評価とした。
(評価基準)
A:0.05未満 非常に優れている
B:0.05以上0.10未満 良好である
C:0.10以上0.20未満 本発明では問題ないレベルである
D:0.20以上 本発明では許容できない
(初期(1枚目)および10000枚連続時の00H画像部;白地部のカブリ測定)
画出し前の評価紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。
初期(1枚目)、10000枚目の、00H画像部;白地部の反射率Ds(%)を測定した。得られたDr及びDs(初期(1枚目)および1,000枚目)より、下記式を用いてカブリ(%)を算出した。得られたカブリを下記の評価基準に従って評価した。
カブリ(%)=Dr(%)−Ds(%)
(評価基準)
A:0.5%未満 非常に優れている
B:0.5%以上1.0%未満 良好である
C:1.0%以上2.0%未満 本発明では問題ないレベルである
D:2.0%以上 本発明では許容できない
<ハーフトーンスジの評価方法>
10000枚連続後に、ハーフトーン画像をA4画像3枚出力し、目視でスジを確認した。
ハーフトーンスジの評価は、トナーの付着性が厳しい、H/H環境にて確認した。
(評価基準)
A:スジがなく均一な画像 で良好
B:1本以内/枚 で実用上問題ない
C:3本以内/枚 で実用上問題あり
D:3本以上/枚 で悪い
上記評価結果を表3及び4に示す。
<実施例2乃至14>
トナーを変更すること以外は実施例1と同様にして実施例2乃至14を行った。評価結果を表3及び4に示す。
<比較例1乃至5>
トナーを変更すること以外は実施例1と同様にして比較例1乃至5を行った。評価結果を表3及び4に示す。