JP5379806B2 - 皮膚の保護ケア用テトラペプチド - Google Patents

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Description

本願は、2007年10月29日に出願された米国仮特許出願第61/000,815号の優先権を主張し、該出願は、引用を以てその全体が本願に組み込まれるものとする。
本発明は、生物活性及び治療活性を有するペプチドに関する。具体的には、本発明は、皮膚の炎症過程(inflammatory processes)を阻害するテトラペプチドに関する。このテトラペプチドは、部分的には、紫外線(UV)曝露に反応して皮膚の上皮細胞及び線維芽細胞によって発現するインターロイキン(IL)-6及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-1の量を減じることにより、この効果を奏するものである。本発明はまた、皮膚及び関連する粘膜表面に影響を及ぼす様々な原因を治療するために、これらのテトラペプチドを使用する方法に関する。
過度の日光曝露は、紅斑及び浮腫によって特徴づけられる急性炎症を発生させる重要な病因因子である。そのような炎症は長期的には、皮膚老化の加速や皮膚癌発生率の上昇を招く結果となる。UV放射線への急性曝露による皮膚炎症は、神経ペプチド、ヒスタミン、プロスタグランジン、セロトニン及び酸素ラジカルを含む種々因子の放出や、炎症誘発性サイトカイン(例えば、IL-1, IL-6及び腫瘍壊死因子(TNF-α))の発現増加などを起こすことがわかっている。皮膚の上皮細胞及び角化細胞(keratinocytes)は、上記因子の幾つかを生成することにより、UV曝露後の皮膚に観察される炎症過程に重要な役割を果たす。
UV誘発性炎症は長期的には、皮膚機能に悪影響を及ぼす。複数の炎症症状を発現した皮膚の創傷治癒過程は、時間的に拡張されて不完全なものとなり得る(例えば、瘢痕の増加)。また、過剰曝露された皮膚は、しわ、乾燥、痩せ、たるみなどの傾向があり、損傷感受性が高くなる。これらの弊害に至る皮膚の炎症過程は複雑であり、幾つかの経路があり得る。
UV光は、UVA線とUVB線の両方を含んでいる。UVBは、急性炎症及び非メラノーマ性皮膚癌の原因として広く知られている。UVB媒介表皮炎症は、IL-1、 IL-6、IL-8及びTNFα等の炎症誘発性サイトカインによって組織化される。UVB線は、表皮を透過するので、角化細胞の他、真皮上層にある線維芽細胞及び内皮細胞にもサイトカイン誘導が起こり得る。しかしながら、間葉起源からなる後者の2細胞は、直接的なUV曝露から幾分間接的な方法で炎症状態に誘導される。UV刺激に反応して上皮細胞及び角化細胞が発現する因子(即ち、メディエータ)は、炎症経路を上方制御する(upregulate)ために、線維芽細胞及び内皮細胞にシグナル伝達することができる。IL-6はそのようなメディエータの1つである。
上皮細胞及び線維芽細胞におけるIL-6等の角化細胞の誘導は、紫外線による皮膚老化の加速に有意の影響を及ぼし、様々な兆候の中でも特にしわやたるみが現れる。これらの効果は、主に、線維芽細胞がIL-6シグナル伝達に反応し、過剰MMP-1発現の刺激によって媒介される[Fagot他, Arch Dermatol Res. 293:576, 2002; Fagot他, Photochem Photobiol. 79:499, 2004]。MMP-1の過剰発現は、皮膚の結合組織に含まれるコラーゲン等の細胞外マトリックス(ECM)蛋白質を劣化させて、皮膚の構造的完全性を有意に変化させる。また、ECMの分解はUV曝露部位への免疫細胞の動員を促進する。この細胞活性の増大が紅斑及び浮腫等の急性症状や、皮膚硬化等の慢性症状の主原因であり、これはフィブリン沈着の結果として生ずる。UV曝露が皮膚生理学に及ぼすこれらの広範囲の消極的効果を考えると、IL-6とMMP-1は、光による皮膚老化を制御する重要な分子標的を表す。
光による皮膚老化を制御する1つの手段は、UV曝露後に活性変化を示す1又は複数のシグナル伝達経路を阻害することが知られている蛋白質の局所投与である。しかしながら、この手段を用いても、その多くは臨床的に有意の結果を達成することはできなかった。その理由の一部は、全蛋白質又はその巨大フラグメントの使用に関連する困難性があるためである。この失敗の原因となる問題の1つは、蛋白質を表皮全体に効率良く送達できないことであり、施された蛋白質の大部分は、光による皮膚老化経路の開始原因である細胞から遠位のままである。他の問題は、投与後、巨大蛋白質が不安定で維持困難なことである。これら固有の消極的特徴の他に、これらの治療は複雑であり、巨大蛋白質の調製に関連する費用が高いことがある。それゆえ、費用が安く、より効果的な調整物が要請されている。
生物活性を有する短ペプチドは、光(紫外線)による皮膚老化を治療及び防止する潜在的に有用な手段となるものである。さらに、短ペプチドは、費用が安く、製造及び操作が容易という即時的利点がある他、皮膚による吸収及び保持もまた良好である。光による皮膚老化の防止に関しては、皮膚の炎症過程を阻害する能力を有する短ペプチド(例えば、テトラペプチド)が好ましい。
テトラペプチドが皮膚に及ぼす効果はこれまでにも検討されたことはあるけれど、UV照射により皮膚に上方制御されることが知られた炎症過程を阻害することが示されたことは殆どなかった。例えば、 Lintner(米国特許第6,974,799号)は、テトラペプチド−テトラペプチド混合物の中に、皮膚の老化兆候を停止するものがあると述べているが、この混合物はECM生成を上方制御することを示しているだけで、プロセスは日光の有害効果を防止することを予測するものではない。同じように、Sandberg他(米国特許第 6,962,904号)は、皮膚の結合組織を修復するためにエラスチンに由来するテトラペプチドを使用することを開示している。Bisset他(米国特許第6,284,802号)は、しわを治療するのに有用なテトラペプチドが報告されている。このペプチドは、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)のアミノ酸配列に由来する。しかし、bFGFは免疫細胞の動員に積極的な役割を果たすことが知られており[Zittermann and Issekutz Am J Pathol. 168:835, 2006]、これらのペプチドは抗炎症活性を有することは期待できない。Dussourd他(米国特許第6,211,155号)は、表皮細胞の増殖を刺激するテトラペプチドを記載しているが、UV誘導炎症を阻止することは期待できない。これに対し、本発明は、UV誘導による皮膚の炎症を下方制御する(down-regulate)ペプチドを提供するものであり、光による皮膚老化を防止又は治療する作用を有する。
本発明は、アミノ酸配列としてプロリン−グルタミン−グルタメート−X(P-Q-E-X)(但し、Xはリジン(K)又はイソロイシン(I)のどちらかの残基)が含まれる単離プチド(isolated peptide)に関するものである。SEQ ID NO: 14(PQEK)及びSEQ ID NO: 15(PQEI)のテトラペプチドは、本発明によって提供される単離ペプチドの実施例である。本発明のペプチドのアミノ酸配列は、上記PQEX配列からなるけれども、特定した配列とは別の他の特徴を有することもできる。例えば、本発明の特定実施例は、アミド化され、脂質化され、又は担体分子に結合されたペプチドに関する。本発明のペプチドの他の実施例は、D−鏡像異性体に少なくとも1種のアミノ酸残基又は隣り合うアミノ酸残基間に存在する少なくとも1つの非ペプチド結合を含んでいる。
本発明のより具体的な実施例では、SEQ ID NO:1(PQEK-NH2)及びSEQ ID NO:2(PQEI-NH2)によって与えられるアミノ酸配列を有するテトラペプチドを含んでいる。それゆえ、これらのペプチドは、前述したPQEX配列を有するペプチドの修飾形態の実施例を構成する。SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2によって与えられるテトラペプチドは、カルボキシ末端のアミド化に加えて、他の修飾(modifications)を有することもできる。
本発明はまた、薬剤として許容される担体と共に、アミノ酸配列PQEXを有する上記ペプチドの少なくとも1種を含む組成物を提供する。組成物中のペプチド濃度は、約0.1μg/mL〜約50μg/mL又は約0.1μg/mL〜約20μg/mLである。本発明の組成物の望ましい実施例は、エアロゾル、エマルジョン、液体、ローション、クリーム、ペースト、軟膏、粉末又はフォームの形である。組成物の他の望ましい実施例は、SEQ ID NO:1、2、14又は15で示されるアミノ酸配列を有するテトラペプチドの少なくとも1種を含んでいる。本発明の組成物は、この明細書に記載したようなPQEXテトラペプチドの複数の異なる態様を含むことができる。前述した全ての組成物に、プロテアーゼ阻害剤を含めることができる。
本発明は、前述の本発明のペプチド及び薬剤組成物を用いる幾つかの方法に関するものである。具体的には、本発明は、哺乳動物の炎症を治療する方法に関するもので、薬剤として許容される量の本発明組成物/ペプチドを炎症部位に有効時間投与するステップを含んでいる。擦り傷、水膨れ(blister)、火傷、裂傷、潰瘍、打撲、発疹及び瘢痕に伴うか又は由来する炎症は、本発明の方法によって治療することができる。本発明方法の望ましい実施例は、例えば、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2等の上記ペプチドの少なくとも1種を、約0.1μg/mL〜約50μg/mL又は約0.1μg/mL〜約20μg/mLの濃度で含んでいる。
本発明の方法の幾つかの実施例は、皮膚に起こる炎症又は口腔内等の関連組織の治療に関するものである。本発明の方法の他の実施例は、紫外線(UV)照射(例えば、日焼け)に曝露された結果として起こる皮膚の炎症の治療に関するものである。例えば、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:2で示されるペプチドは、この望ましい実施例において用いられることができる。
本発明はまた、細胞によるIL-6及び/又はMMP-1の発現を阻害する方法に関するものである。この方法は、細胞を、上記のペプチドに曝露するステップを含んでいる。ペプチドに曝露することにより、これらの炎症性メディエータの何れか又は両方の細胞による発現が減少する。曝露するステップは、細胞をペプチドと接触させることによって行なうことができ、これは簡易な培養手段によって行なうことができる。この方法において、単独又は組み合わせて用いられることができるペプチドは、好ましくは、SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO: 15及びSEQ ID NO:2である。この方法の具体的実施例において、IL-6又はMMP-1の細胞発現は、細胞がUVA及び/又はUVB線等の紫外線に曝露された結果である。しかしながら、本発明の方法はまた、外傷又は火傷等の他の炎症関連事象の結果として起こるIL-6及び/又はMMP-1の細胞発現の制御にも適用可能である。この発明の望ましい実施例は、皮膚に由来する(例えば、一次又は不死化細胞か、in vitro又はex vivo)か、又は皮膚に存在する(即ち、in vivo)。その細胞は、上皮細胞、角化細胞及び皮膚の線維芽細胞である。この方法の他の実施例は、上皮細胞又は線維芽細胞のどちらの細胞を用いて行なうことができる。
図1は、ヒト上皮細胞をUVBに24時間曝露した後、IL-6発現に対するテトラペプチド(40μg/mL)の効果を示している。“M1”は照射されていない対照細胞培養(ペプチド処理なし)を表し、皮膚上皮細胞のIL-6発現の基礎レベルを示している。“UVB”は照射された対照細胞培養(ペプチド処理なし)を表し、UVB曝露により上皮細胞に誘発されたIL-6のレベルを示している。実験例3を参照。
図2は、テトラペプチドP1422(SEQ ID NO: 1)及びP1423(SEQ ID NO:2)が異なる2種類の濃度(10μg/ml及び20μg/mL)のとき、UVBで処理された皮膚上皮細胞のIL-6誘導に及ぼす効果を示している。「対照(control)」はUVB照射された細胞で、ペプチドを受け取っていない細胞を示している。実験例3を参照。
図3は、テトラペプチドP1422(SEQ ID NO:1)(A)及びP1423(SEQ ID NO:2)(B)が10μg/mLのとき、UVBで処理された角化細胞におけるIL-6誘導に及ぼす効果を示している。「対照(control)」はUVB照射された細胞で、ペプチドを受け取っていない細胞を示している。“OD450”はELISAで測定された相対的IL-6発現を示している。実験例4を参照。
図4は、テトラペプチドP1422(SEQ ID NO:1)(A)及びP1423(SEQ ID NO:2)(B)が10μg/mLのとき、UVBで処理された皮膚の線維芽細胞におけるMMP-1誘導に及ぼす効果を示している。各培養によって生成されるMMP-1の相対量は、ELISAによるOD450吸収値を用いて求めた。「対照(control)」はUVB照射された細胞で、ペプチドを受け取っていない細胞を示している。実験例5を参照。
図5は、テトラペプチドP1422(SEQ ID NO:1)(A)及びP1423(SEQ ID NO:2)(B)が10μg/mLのとき、UVB処理された角化細胞により調整された媒体で処理された皮膚の線維芽細胞におけるMMP-1誘導に及ぼす効果を示している。各培養によって生成されるMMP-1の相対量は、ELISAによるOD450吸収値を用いて求めた。「対照(control)」はUVB照射された角化細胞により調整された媒体で培養された細胞で、ペプチドを受け取っていない細胞を示している。実験例5を参照。
本発明のペプチドは、アミノ酸配列プロリン-グルタミン-グルタミン酸-X(P-Q-E-X)を有するテトラペプチドであり、Xはリジン(K)又はイソロイシン(I)のどちらかである。それゆえ、テトラペプチドはPQEK(SEQ ID NO: 14)及びPQEI(SEQ ID NO: 15)が本発明によって提供される。SEQ ID NO: 14及びSEQ ID NO: 15の限定されない実験例は、夫々、SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2である。後者のこれらテトラペプチドは、夫々のカルボキシ末端でアミド化される。単なる参考目的での記載であるが、本発明のペプチドにおけるアミノ酸残基の3文字コードは、Pro(プロリン, P)、Gln(グルタミン, Q)、Glu(グルタミン酸塩又はグルタミン酸, E)、Lys(リジン, K)及びIle(イソロイシン, I)である。
上記テトラペプチドによって誘発される生物活性は、UV曝露部位における皮膚炎症の阻害である。この活性は、部分的には、上皮細胞及び線維芽細胞(実験例を参照)によりIL-6の分泌に及ぼすペプチドの消極的効果を通じて達成される。この環境におけるIL-6分泌は、これら細胞に対するUV照射の効果による。炎症に対する上記テトラペプチドの阻害活性はまた、部分的には、線維芽細胞におけるMMP-1発現に及ぼす消極的効果による。
当業者であれば、本発明のテトラペプチドPQEK(SEQ ID NO: 14)及びPQEI(SEQ ID NO: 15)がIL-6生成を阻害する能力は、UV曝露とはまた別の損傷によって生じる皮膚損傷の治療にも有用であることを認識するであろう。また、本発明のペプチドは粘膜組織の傷治療にも有用である。IL-6は傷部位の角化細胞及び線維芽細胞並びに免疫細胞浸潤のシグナルによって放出される。これは、実際に治癒を悪化させ、瘢痕を生じさせるプロセスである。このような環境にて本発明のペプチドを投与することでIL-6発現を制御すると、これら消極的傷治癒プロセスは改善される。これらの生物活性化について、本発明のペプチドがどのように用いられて治療が行われるかのガイダンスとして記載するが、本発明は、ペプチド機能のこれら特定態様に限定されるものではない。
<ペプチド>
本発明のテトラペプチド[例えば、PQEK(SEQ ID NO: 14)及びPQEI(SEQ ID NO: 15)]は、一鏡像異性型又は両鏡像異性型の何れかの残基を含むL-又はD-アミノ酸鏡像体を含むことができる。ペプチドは、限定しない以下の実験例に記載されるように、それらの一級アミノ酸配列が変化しない限りにおいて、さらに増強又は修飾されることができる。このように、ペプチドは幾つかのアミノ酸配列から構成されるが、幾つかの修飾を含むことができる。ペプチドのカルボキシ末端は、酸性(-COOH)でもよいし、アミド化(例えば、-CONH2, -CONHR又は-CONR2)されたものでもよい。カルボキシ末端のアミド化により、本発明のペプチドは、それらの遊離酸形態に比べて、プロテアーゼ分解の感受性が低くなり、それらの溶解性は増加するので、治療効果は向上する。カルボキシ-アミド化された本発明のペプチドの実施例は、SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:2である。ペプチドは、また脂質化されることができ、これによって皮膚浸透が促進される。各ペプチドのアミノ酸をリンクする1又は複数の分子結合は、非ペプチド結合であってよい。この非ペプチド結合は、限定するものではないが、イミド結合、エステルヒドラジン結合、セミカルバジド結合及びアゾ結合である。上記に係るペプチドのその他実施例は、SEQ ID NO:1及びSEQ ID NO:2を含み、さらに修飾されている(SEQ ID NO:1とSEQ ID NO:2は両方とも既にカルボキシ-アミド化されている)。
本発明のペプチドは、それらの一級アミノ酸配列が保持される限りにおいて、様々に修飾されることができる。ペプチドの能力を増大するために、幾つかの修飾を用いることができ、他の修飾はペプチドの取扱いを容易にすることができる。修飾されることができる典型的なペプチド官能基として、ヒドロキシル基、アミノ基、グアニジン基、カルボキシル基及びアミド基を挙げることができる。これら基の限定するものではない典型的な反応として、ハロゲン化アルキルのヒドロキシル基のアセチル化;カルボキシル基のエステル化、アミド化又は水素化(即ち、アルコールへの還元);アミノ基のアミド分解、アシル化、アルキル化、アリール化(例えば、ペプチドの一級アミノ基又はリジン残基のアミノ基)を挙げることができる。
ペプチドは、所望の可溶特性を修飾し、標的組織のペプチドの局部濃度を高めるために、可溶性又は不溶性担体分子に結合されることができる。可溶性担体分子の例として、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルピロリドンのポリマーを挙げることができ、不溶性ポリマーの例として、ケイ酸塩、ポリスチレン及びセルロースを挙げることができる。ペプチドは、治療中及び治療後におけるそれらの安定性を高めるために、マイクロカプセル化されることもでき、典型的には、ペプチドをカプセル化して安定化させるために、ポリエステル及びPEGのマイクロスフェアが用いられる。
ペプチドをカプセル化するマイクロスフェアを調製するのに、カプセル化されるべきペプチド組成物の親水性又は疎水性の程度に応じて、様々な方法を用いることができる。このような方法の例はWang他[J. Control. Release 17:23, 1991]及び米国特許第4,324,683号に記載されており、これらはその全体が本明細書に組み込まれるものとする。マイクロスフェアに封入後のペプチドの相対的利用可能性を決定するために、インビトロにおけるペプチド放出の考察を行なうことができる。マイクロスフェア(200mg)を2.5 mLリン酸緩衝食塩水(PBS, pH 7.2)の中に懸濁し、環境型インキュベータシェーカー(G-24, New Brunswick Scientific Co., Edison, N.J.)の中で、37℃及び100rpmの条件で撹拌した。所定のサンプリング間隔(最初の4日間は毎日、その後は隔日)にて、緩衝溶液を完全に取り除き、新しいPBSと取り替えた。PBSのペプチド含有量は、ブラッドフォード法又は蛋白質分析に一般的に用いられるその他適当な定量分析法を用いて測定される。
以下に述べる手順及びパラメータは、内容理解目的のためにのみ提供されるもので、当該分野の専門家には全て広く知られている。開示された全てのペプチドは、Advanced ChemTech社のApex 396型マルチプルペプチドシンセサイザーにおける標準のFmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)固相化学を用いて合成されることができる。Apex 396型は、0.15 mmolのスケールで同時に最大40のペプチドを処理するための40ウエル反応ブロックが配備されている。ペプチドは、標準のアミノ酸を用いて、アミド化されるか又は遊離酸のどちらかとして調製されることができる。樹脂は最初に洗浄され、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で前膨張される(pre-swelled)。膨張時間は、Rinkアミド樹脂の場合で1時間である。Fmoc保護基は、25%ピペリジンを含むDMFの中で25分間維持することで除去し、その後、ピペリジンは完全に洗浄して樹脂から取り除いた。ラセミ化処理を制御するために、Fmocアミノ酸モノマーは、1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール(HOBt)又は1-ヒドロキシ-7-アザ-ベンゾトリアゾール(HOAt)の0.5 M DMFと等モル溶液の中で予め活性化する。アミド結合は、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-yl)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)PyBop(登録商標)又は2-(lH-ベンゾトリアゾール-1-yl-)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)を、2.5-5.0倍モル過剰のアミノ酸を束縛塩基(ジイソプロピルエチルアミン)を用いた塩基性条件下にて、活性剤として用いて行なった。結合時間は1-1.5時間で、その後、洗浄し再結合により、成長するペプチド鎖の脱保護及び継続前に二重又は三重結合が得られる。結合効率は、標準のカイザーテストを用いてモニタリングされる。樹脂におけるペプチドの合成が完了すると、最終のFmoc基が前記のように除去され、配列は塩基形態として残る。
樹脂に対するペプチドの酸不安定性結合の切断(cleavage)は、95%トリフルオロ酸(TFA)及び水に適当なスカベンジャーを添加したものを用いて行なわれる。切断は約30分〜1時間後に行われ、放出されたペプチドは、切断ブロックから直ちに除去され、減圧下でTFA除去のためにチューブに移送される。ペプチドは次に、逆相C18カラム及び質量分析を用いた高速液体クロマトグラフ(HPLC)による浄化及び分析の準備が整えられる。一次配列の確認及び分取精製は、LC/MS/MSシステム(ABI API2000)を用いて行なわれる。
上記手法は一般的なものであり、ペプチドは当該分野で公知のあらゆる方法を用いて生成されることができ、その方法として、例えば、Merrifield[J Am Chem Soc. 85:2149, 1963]; Carpino他[J Org Chem. 51 :3732, 1986]; Merrifield他[Anal Chem. 38:1905, 1966]; Kent他[High Yield Chemical Synthesis Of Biologically Active Peptides On An Automated Peptide Synthesizer Of Novel Design, PEPTIDES 1984 (Ragnarsson, ed.) Almqvist and Wiksell Int., Stockholm(Sweden), pp. 185-188]に記載された方法を挙げることができ、それらは全て引用を以て本願に組み込まれるものとする。ペプチドの生成は、成長するペプチド鎖に対してアミノ酸を逐次付加できる装置を用いて行なうことが好ましい。しかしながら、ペプチドの製造は、大規模生産に適応可能な標準の溶液相の手法を用いて行なうこともできる。
本発明は、1又は複数のプロテアーゼ阻害剤を含むことができる。プロテアーゼ阻害剤は、選択された生物活性ペプチドを分解できるプロテアーゼが具体的な標的となるように選択され、その選択は、生物活性ペプチドの長さ及び/又は配列に基づいて決められる。しかしながら、本発明において、プロテアーゼ阻害剤は、例えば2種以上の阻害剤を併用することも可能である。本発明の実施例において、プロテアーゼ阻害剤は、ウイルスを阻害することに特異性のものでない。本発明に含められることができるプロテアーゼ阻害剤として、セリンプロテアーゼ阻害剤、システインプロテアーゼ阻害剤、アスパルテート阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、チオール阻害剤及びスレオニンプロテアーゼ阻害剤を挙げることができる。
プロテアーゼ阻害剤は当該分野において広く知られている。本発明に含められることができる限定されないプロテアーゼ阻害剤の例として、アセチル-ペプスタチン、AEBSF(4- [2-アミノエチル] ベンゼンスルホニルフロリド)ヒドロクロリド、ALLM(N-アセチル-Leu-Leu-Met)、ALLN(N-アセチル-Leu-Leu-Nle-CHO)、アマスタチン(Streptomyces sp.)、ε-アミノ-n-カプロン酸、アミノペプチダーゼN阻害剤、α1-アンチキモトリプシン、アンチパイン(ヒドロクロリド又はジヒドロクロリド)、α2-アンチプラスミン、アンチトロンビンIII、α1-アンチトリプシン、p-APMSFヒドロクロリド、アプロチニン(例えば、ウシの肺由来)、ATBI(11残基ペプチド)、ベンズアミジンヒドロクロリド、ベスタチン、ベスタチンメチルエステル、カルパスタチン、カルペプチン、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、カスパーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤II、カテプシンG阻害剤I、カテプシン阻害剤II、カテプシン阻害剤III、カテプシン阻害剤I、カテプシンK阻害剤I、カテプシンK阻害剤II、カテプシンK阻害剤III、カテプシンL阻害剤I、カテプシンL阻害剤II、カテプシンL阻害剤IV、カテプシンL阻害剤V、カテプシンL阻害剤VI、カテプシンS阻害剤、カテプシン/スブチリシン阻害剤、キモスタチン、キモトリプシン阻害剤I、シスタチン、1,5-ダンシル-glu-gly-argクロロメチルケトンジヒドロクロリド、3,4-ジクロロイソクマリン、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ジペプチジルペプチダーゼII阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤I、ジペプチジルペプチダーゼIV 阻害剤II、E-64プロテアーゼ阻害剤、エコチ、EDTA2ナトリウム塩ジヒドレート、EDTA4ナトリウム塩、EGTA、エラスターゼ阻害剤I、エラスターゼ阻害剤II、エラスターゼ阻害剤III、エラスタチナル、6-アミジノ-2-ナフチル-4-グアニジノベンゾエート ジメタンスルホネート、glu-gly-arg-クロロメチルケトン、2-グアニジノエチルメルカプトコハク酸、ヘキサデシルスルホニルフルオリド、α-イオドアセタミド、キニノゲン、ロイヒスチン、ロイペプチンヘミサルフェート、α2-マクログロブリン, DL-2-メルカプトメチル-3-グアニジノエチルチオプロパン酸、ペプスタチンA、フェニルメチルスルホニルフルオリド、ホスホラミドン2ナトリウム塩、PPack II トリフルオロアセテート塩、PPack2ヒドロクロリド、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤II、Na-tosyl-lysクロロメチルケトンヒドロクロリド、Na-tosyl-pheクロロメチルケトン、トリペプチジルペプチダーゼII阻害剤、トリプシン阻害剤(トウモロコシ又は大豆に由来)、D-val-phe-lysクロロメチルケトンジヒドロクロリド、l,3-di-(N-カルボキシベンゾイル-L-leucyl-L-leucyl)アミノアセトン、o-フェナントロリン、ウルソル酸(例えば、ローズマリー抽出物)、トラネキサム酸(4-[アミノメチル]シクロヘキサン-l-カルボン酸)(臨床的に、米国ではCyklokapron、アジアではTransaminと称される)、Fmoc-Lys(Boc)、Fmoc- Arg(Pmc)、ベンゾイル-Arg-ニトロアニリド、ベンゾイル-Arg-ナフチルアミド及びα-2-マルコグロブリンを挙げることができる。
本発明で用いられるプロテアーゼ阻害剤は、例えば、酵素等のペプチド又は蛋白質である。そのような阻害剤の限定されない例として、セルピンがあり、これには、α-1-アンチトリプシン、補体1-阻害剤、アンチトロンビン、α-1-アンチキモトリプシン、プラスミノーゲン活性化阻害剤1、及びニューロセルピンが含まれる。
皮膚ケア用調製物の中に通常含められる成分は当該分野で広く知られている。生物活性ペプチド成分の他に本発明に含有させることができる他の活性剤として、ナイアシンアミド、フィタントリオール、ファルネソール、ビサボロール及びサリチル酸がある。追加の活性剤は、生物活性ペプチド成分との相乗作用や、調製物の保存寿命の増大が期待される。
組成物を動物又はヒトの皮膚に接触させる場合、角質組織への適用に適した追加の組成物(即ち、安定性、低毒性、低刺激性)が選択されるべきである。CTFA化粧品成分事典第2版(1992)には、スキンケア産業に一般的に使用され、本発明の組成物における使用に適した広範囲に亘る限定されない化粧品及び薬剤成分について記載されており、この事典は引用を以てその全体が本願に組み込まれるものとする。これらの成分として、研磨剤、吸収剤、香料等の美的成分、顔料、着色剤、エッセンシャルオイル、スキンセンセート(skin sensates)、収斂剤等(例えば、丁子油、メントール、樟脳、ユーカリ油、ユージノール、乳酸メンチル、ハマメリス水)、にきび抑制剤(例えば、レゾルシノール、硫黄、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、亜鉛)、アンチケーキング剤、アンチフォーミグ剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物添加剤、緩衝剤、キレート剤、化学添加剤、変性剤、外部鎮痛剤、ポリマー(例えば、エイコセンとビニルピロリドンのコポリマー)、乳白剤、pH調節剤、推進剤(propellants)、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白及び美白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルグルコサミン)、皮膚調整剤(例えば、保湿剤で、混合型及び密封を含む)、皮膚沈静及び/又は治癒剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えばエチルパンテノール]、アロエ、パンテトン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、グリチルリチン酸2カリウム)、濃厚剤、粒状物質、構造化剤及びビタミンを挙げることができる。これらの多くは、米国特許第6,492,326号に記載されており、具体的には様々な成分記載に関して、その引用を以て本願に組み込まれるものとする。
本発明の組成物は、粒状物質、好ましくは金属酸化物を含むことができる。これらの粒状物は、コーティング又は非コーティングのどちらでもよく、また荷電又は非荷電のどちらでもよい。本発明を調製するのに有用な粒状物質の限定されない例として、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄、雲母、硫酸バリウム及びTiO2で処理された雲母、シリカ、ナイロン、ポリエチレン、タルク、スチレン、ポリプロピレン、エチレン/アクリル酸コポリマー、絹雲母、酸化アルミニウム、シリコーン樹脂、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酢酸セルロース、二酸化チタン、ポリメチルメタクリレート及びそれらの混合物を挙げることができる。TiO2、ZnO(酸化亜鉛)又はZrO2などの無機粒状物質は幾つかのソースから商業的に入手可能である。好ましくは、粒状物質は、組成物中に、0.01−2重量%濃度、より好ましくは0.05−1.5重量%、さらに好ましくは0.1−1重量%(全て適切に測定)で存在する。
本発明の組成物は、保湿剤、モイスチャー又はスキンコンディショナーから選択される調整剤を含むことができる。これら材料は様々なものが使用可能であり、各材料の含有量は、組成物の0.01−20重量%、より好ましくは0.1−10重量%、さらに好ましくは0.5−7重量%である(全て適切に測定)。これらの材料として、限定するものではないが、グアニジン、尿素、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム及び第4アルキルアンモニウム)、サリチル酸、乳酸及び乳酸塩(例えば、アンモニウム及び第4アルキルアンモニウム)、あらゆる形態のアロエ(例えば、アロエゲル)、ポリヒドロキシアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコー及びヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、砂糖(例えば、メリビオース)及びスターチ、砂糖及びスターチ誘導体(例えば、アルキル化グルコース、フルクトース、グルコサミン)、ヒアルロン酸、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、パンテノール、アラントイン、ワセリン及びそれらの混合物を挙げることができる。
本発明の組成物は、構造化剤(structuring agent)を含むことができ、該構造化剤は、水中油型エマルジョンを調製するのに好ましい。いかなる原理にも制限されるものではないが、構造化剤は、組成物の安定化に寄与する組成物に対して流動特性を付与するのに有用であると考えられている。例えば、構造化剤は、液体結晶ゲルネットワーク構造の形成に有用である。構造化剤はまた、乳化剤又は界面活性剤として作用することもできる。本発明の好ましい組成物は、1又は複数の構造化剤を、組成物の0.1−20重量%、より好ましくは0.1−10重量%、さらに好ましくは0.5−9重量%(全て適切に測定)含んでいる。
本発明に含むことができる好ましい構造化剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンオキシドユニットが平均約1−約5のステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシドユニットが平均約1−約5のセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル及びそれらの混合物から選択される。本発明のより好ましい構造化剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレンオキシドユニットが平均約2のステアリルアルコール(ステアレス-2)のポリエチレングリコールエーテル、エチレンオキシドユニットが平均約2のセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル及びそれらの混合物から選択される。
<使用方法>
本発明のさらなる実施例は、上記ペプチドを、製剤(formulations)又は治療剤に使用する方法に関するものである。これらの方法は、単一ペプチド又は併用した多重ペプチドの使用に関するものである。
本発明のペプチドは、UV線への過剰曝露による皮膚の治療及び損傷防止に用いられることができる。また、ペプチドはまた、皮膚(表皮、真皮及び下皮)の傷及び関連する粘膜組織の治療に用いられることができる。本発明のペプチドの有用な効果は、部分的には、それらの抗炎症特性に関係している。この明細書で用いられる「関連する粘膜組織(associated mucosal tissues)」とは、皮膚と同じような組織を有し、上皮細胞を含むあらゆる組織に関するものである。このような組織の例は、口腔、鼻咽頭、耳及び泌尿生殖器の表面の他、目の瞼結膜である。関連する粘膜組織の他の例として、消化管(食道、胃、小腸、大腸、直腸を含む)の全内面(即ち、管腔)を挙げることができる。後者のこれらの例は、皮膚に影響を与え得るものと同様な傷/損傷を負うことがあり、それゆえ、本発明で標的とされることができる。これらの組織に影響を与え得る傷(wounds)/損傷(lesions)/負傷(injuries)であって、本発明に係るペプチドによる治療に適した例として、擦り傷、水膨れ、火傷、裂傷、刺し傷、潰瘍、打撲、発疹及び瘢痕がある。手術後の組織損傷もまた、ペプチドで治療可能である。炎症は、負傷部での感染を防ぐのに有用であるが、良好な消毒剤を投与すると、本発明のペプチドを使用して炎症を阻止することに関連するあらゆる欠点をなくすことができる。
本発明のペプチドはまた、前述の組織の全てに対する老化を防止又は逆行させるために用いられることができる。同じように、ペプチドは、例えば日光等の様々な外部要因に曝露されて損傷した組織に対して適用することができる。老化及び曝露に関する皮膚の衰弱の例として、皮膚のしわ、乾燥、痩せ、たるみ及び損傷感受性の増加を挙げることができる。本発明はまた、皮膚に対してより若々しい外観及び組織を与えるため、また、より良好な作用をもたらすための化粧品として用いることができる。
本発明のペプチドを用いて有効に処理されるときの他の組織の問題として、アレルギー又は自己免疫に関するものがあり、その両方とも炎症要素を有している。そのような疾患に、皮膚炎、乾癬、硬皮症、天疱瘡及び炎症性腸疾患がある。
上記治療方法においてペプチドを送達するのに用いられる組成物は、例えば、エアロゾル、エマルジョン、液体、ローション、クリーム、ペースト、軟膏、粉末、フォーム、その他薬剤として許容される調製物(formulations)の形である。また、ペプチドの送達には、脱イオン化水、蒸留水、PBS又は標準の医療用食塩溶液等の低関与性(less involved)調製物を用いることができる。一般的に、薬剤として許容される調製物には、ヒトの皮膚又は粘膜表面への使用に適したあらゆる担体がある。そのような薬剤として許容される担体として、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、シリカ、アルミナ、スターチ、同等な担体及び希釈剤を挙げることができる。調製物はまた、化粧品用配合物を選択的に有することができるし、及び/又は、レチノイドや本発明のペプチドの治療作用の補助として作用することができる他のペプチドを含むこともできる。感染を防ぐために、抗生物質を調製物に加えることもでき、これによって最大の治癒プロセスを達成することができる。組成物中のペプチドの濃度は、約0.1μg/mL−約50μg/mL又は約0.1μg/mL−約20μg/mLであるが、最終的な濃度は、傷/組織の性質、本発明ペプチドの生物活性及び組成物の吸収を向上させる補助剤又は技術によっては、これら範囲外であってもよい。その決定は、当業者の能力の範囲内である。
本発明のペプチド及び関連する組成物は、ヒト及び全ての哺乳類(例えば、豚、牛、馬、羊、山羊、鼠、猫、犬、イタチ等)を含む動物に投与可能である。なお、投与は、典型的及び/又は実験的な材料(例えば、組織移植片、組織培養品、酸素及びドレッシング等)と共に行なうことができる。一般的に、組成物の投与は、局所的、経口的、経皮的、全身的に行われる他、本発明のペプチドを炎症部位へ送達するのに有用であると当該分野で知られているあらゆる方法によって行なうことがでできる。組成物の投与は、例えば、培養下で成長する細胞又は移植片のどちらに対しても、in vitro又はex vivoにて行なうことができる。
ペプチドのサイズは小さいため、そのこと自体が皮膚の透過程度を高めることが期待されるが、この移動を増幅するために幾つかの技術を用いることができる。例えば、ペプチドに親油(非極性)基を添加することができるし、ペプチドは親油賦形剤として皮膚に送達されることができ、ペプチドの角質層への接近可能性が高められ、表皮下層への移動が可能となる。それゆえ、このような親油変性品はプロドラッグ効果を有するものと考えられる。また、ペプチド吸収を高めるために、例えば、溶媒や表面活性剤として知られている透過促進剤を賦形剤の中に用いることができる。標的の組織/傷へのペプチド接近を向上させるのに有用であると考えられる特別の技術として、イオントフォレシス、電気泳動及び超音波を挙げることができる。イオントフォレシスデバイスは、2つの電極を有し、該電極は電解質溶液の中に浸漬され、皮膚に配置される。電流が電極に印加されると、角質層の全体に電界が生成され、これがペプチドの送達を駆動する。エレクトロポレーションは、高電圧電気パルスを与えることで、脂質二重層の透過を向上させる。これは、イオントフォレシスと比べて、電流印加の時間及び強度が異なる(イオントフォレシスは比較的一定の低電圧電界を用いる)。エレクトロポレーションの高電圧電気パルスは、透過程度を高めることができる脂質薄層膜の中に親水ポアの可逆的生成を誘導するものと考えられる。超音波は、16kHzよりも大きい周波数の音波を皮膚に与え、該音波が通過する組織を圧縮及び膨張を生じさせる。圧力変動が生じて、ペプチドの透過を向上させる幾つものプロセス(例えば、キャビテーション、混合、温度の上昇)を生じさせる
本発明のペプチドの製造及び使用に関する追加の特徴、態様は、例えば、米国特許第6,974,799号及び第5,492,894号に記載されている。これらの特許は両方とも、引用を以てその全体が本願に組み込まれるものとする。
本発明の好ましい幾つかの実施例を例示として以下に示す。
本発明の目的は、500ダルトンよりも小さなペプチドを特定することで、UV照射によって誘発される炎症過程を下方制御できるようにすることである。このように特定されたペプチドは分子量が小さいため、皮膚の上層を透過する能力を確保することができる。本発明を開発する上で関連がある従来技術について考察する。
1.UV照射は、炎症を生じさせ、これが、サイトカインの生成を引き起こし、その後、光による皮膚老化の原因となる要素を誘導する。後者のプロセスの幾つかの特徴として、コラーゲン分解によるしわ、角化細胞の増殖及びフィブリン沈積の過剰による皮膚の肥厚、並びにメラニンの過剰生成による色素沈着過度がある。紫外線で誘発された炎症を開始する因子は、IL-1, IL-6, IL-8及びTNF-αなどのサイトカインである。
2.TRAF6(TNF受容体関連因子-6)を広範囲の免疫調節蛋白質(ヒトCD40、トランス及びIRAK(IL-1受容体関連キナーゼ)に結合することを阻害できる幾つかのペプチド配列が特定された。これらのTRAF6関連結合事象は、TNF、IL-1及びトール様受容体ファミリー蛋白質から、細胞免疫応答の中心的調節因子であるNF-κBへの刺激を中継する。これらのTRAF6結合事象は、一般式Pro-X-Glu-X-X-(芳香族/酸性アミノ酸) [PXQXX-(芳香族/酸性)](SEQ ID NO: 16)及び幾つかのTRAF6相互作用蛋白質に配置される。
3.配列PXQXX-(芳香族/酸性)(SEQ ID NO: 16)を含んだ蛋白質は、幾つかの理由により、光起因老化に対抗させるのに用いることはできない。その1つは、阻害効果を発揮させるのに、ペプチドを融合蛋白質の中に組み入れなければならないが、そのような大きな蛋白質は、表皮層を通って有効に溶解することができず、炎症反応部位に接近することができないことが挙げられる。また、実用レベルでは、阻害性ペプチド配列を有する融合蛋白質は大きすぎるために、局所的生成品の中に含有させるのに費用がかかりすぎることが挙げられる。
4.NF-κBシグナル伝達経路は、炎症性サイトカイン及び応力応答の調節に直接関与する主要経路である。皮膚細胞が、NF-κB活性剤(TNF-α、リポポリサッカリド及びUV光を含む)に曝露されると、阻害性蛋白質IkappaBのリン酸化反応及び分解に到る。遊離NF-κBは次に核に移動し、ここでサイトカインの発現を調節する。
5.様々な種類のコラーゲンが、身体の異なる結合組織に含まれる細胞外マトリクスに寄与する。これらの異なるコラーゲンは、線維芽細胞、その他の結合組織細胞、炎症性サイトカイン(例えば、IL-1及びTNF)によって誘発される炎症細胞によって生成される特定のMMPsによって分解される。IL-1、IL-6、TNF-α及びインターフェロン(IFN-α及びIFN-γ)は、炎症性刺激に反応して放出され、MMPsの強力な誘導物質である。MMP分泌の調節は、細胞の種類及び刺激に依存するが、転写因子AP-1は線維芽細胞中のMMP-1の上方制御に直接結合されることが示されている。また、in vitro及びin vivoにおいて、皮膚におけるAP-1活性及びその後のMMP発現はUV照射によって誘発される。
PXQXX-(芳香族/酸性)(SEQ ID NO: 16)ペプチドはUVに誘発されない炎症過程を阻害することが示されただけであるが、これらの考察に基づくと、融合蛋白質内に含有させなくても(即ち、ペプチドは短ペプチドとなる)、UVに誘発される炎症を阻害することができる関連配列が可能であることが考えられる。これに関連する実験例1−5を以下に示す。実験例6は、生物活性ペプチドを含む組成物の中におけるプロテアーゼ阻害剤の一般的使用に関するものである。
<実験例1>
PXQXX-(芳香族/酸性)(SEQ ID NO: 16)ペプチドに関するペプチドの設計と合成
本発明のペプチドを設計理論は次のパラメータを含んでいる:
1.ペプチドは長さが4アミノ酸だけである(即ち、500ダルトン未満のテトラペプチド)。
2.配列は、TRAF6-結合蛋白質の保存された結合ドメイン[PXQXX-(芳香族/酸性)](SEQ ID NO: 16)から選択される。
3.テトラペプチド配列は、PXQXX-(芳香族/酸性)(SEQ ID NO: 16)の1位置にプロリン、3位置にグルタメートを保存する。
4.2位置及び4位置は、自然発生形態のPXQXX-(芳香族/酸性)(SEQ ID NO: 16)のこれら部位に存在するアミノ酸残基が割り当てられる。
a.2位置:Q, T, L, G, E, V 又は P
b.4位置: I, M, D, V, N, S 又は T
5.追加の変異を作るために、正電荷残基を4位置に用いた。このようなアミノ酸配置は天然アミノ酸では回避されていた。
<ペプチドの合成>
全てのペプチドは、多重ペプチド合成装置Apex 396(Advanced ChemTech(Louisville, KY))における標準のFmoc化学を用いて合成された。Rinkアミド樹脂は、最初に洗浄し、DMFで予め膨張させた。Fmoc保護基はピペリドン25%を含むDMFで取り除いた。その後、樹脂を洗浄して、微量のピペリドンを除去した。Fmocアミノ酸モノマーは、HOAt又はHOBtの等モル(0.5 M)溶液のDMF中で予め活性化させた。アミド結合は、また束縛塩基(ジイソプロピルエチルアミン)を用いた塩基性条件下にて、HATU、PyBop又はHBTU及び2.5-5倍過剰モルのアミノ酸を用いて行なった。結合効率は、標準のカイザーテストを用いてモニタリングした。
ペプチドの酸不安定性結合の切断は、95%トリフルオロ酸(TFA)及び水に適当なスカベンジャーを添加したものを用いて行なった。切断ブロックから除去した後、これらのペプチドは、浄化し、HPLCを介して、逆相C18カラム及び質量分析を用いて分析した。一次配列の確認及び分取精製は、LC/MS/MSシステム(ABI API2000)を用いて行なった。調製されたペプチドの配列は表1に示されている。
Figure 0005379806
<実験例2>
IL-6及びMMP-1の細胞培養及び検出
本実験では、ヒトの皮膚の上皮細胞(ATCC CRL-2592)、角化細胞(ATCC CRL-2404)及び線維芽細胞(ATCC CRL-7481)を用いた。細胞は、6ウェルプレートに播種し、重炭酸ナトリウム1.5 g/Lを含有するように調節され、ウシ胎児血清(FBS)10%が補給されたDulbecco's modified Eagle's medium(DMEM; 4mM L-グルタミン、4.5 g/L グルコース)の中で、95%超がコンフルエント状態(confluence)になるまで増殖させた。角化細胞の場合、細胞は、ヒト組み換え型上皮細胞増殖因子(EGF、Invitrogen, Grand Island, NY)5 ng/mLが補給された角化細胞増殖媒体(血清なし)の中で増殖させた。細胞単層の95%超がコンフルエント状態に達した後、細胞を、血清無しの完全媒体の中で24時間、血清又はEGFを欠乏させた。照射波長を365nm又は302nmに夫々設定したUVLMSランプ(4-W model, 3UV assembly, Upland, CA)を用いて、UVA又はUVBを発生させた。UVランプは、組織培養プレートの15cm上方に配置した。UV処理の前に、組織培養媒体はPBSと取り替えて、その後、UVBランプ(450μW/cm2, ラジオメーターで測定)の下に35秒間(上皮細胞及び線維芽細胞)又は25秒間(角化細胞)配置した。線維芽細胞には、UVA処理(500μW/cm2)を30秒間行なった。UV処理後、PBSを直ちに、ペプチドを含まないか又は所定濃度でペプチドを含有する完全媒体(血清又はEGFなし)と交換し、プレートを37℃、5%CO2下にて15-24時間培養した。次に、細胞媒体を収集し、15000 rpmで2分間沈降させて、細胞残屑を取り除いた。媒体中のIL-6及びMMP-1濃度を、夫々、ヒトIL-6(DIACLONE, Stamford, CT)及びMMP-1(Calbiochem, San Diego, CA)のELISAキットを使用し、製造者のインストラクションに基づいて測定した。これらの測定結果は、UV曝露に対する細胞炎症活性の指標として用いた。
<実験例3>
抗炎症活性に対するペプチドのスクリーニング:ヒト皮膚上皮細胞におけるUV誘発IL-6発現の阻害
図1に示されるように、ヒトの上皮細胞は、UVB照射に反応してIL-6発現を上方制御する。表1に記載された全てのテトラペプチドについて、この反応の潜在的下方制御を調べるために、 40μg/mLでスクリーニングテストを行なった(データは示されていない)。第1の実験でIL-6発現を下方制御したペプチドについて、第2の実験で再試験を行なった。その結果を図1に示している。
テトラペプチドP1422(SEQ ID NO:1)及びP1423(SEQ ID NO:2)は両方とも、40μg/mLにて、皮膚上皮細胞におけるUVB誘発IL-6発現について再現可能な抑制を示した。図2に示されるように、この下方制御は、両ペプチドに対して濃度依存性であった。P1422(SEQ ID NO:1)は、10μg/mL及び20μg/mLで、IL-6の濃度を、夫々、19%及び25%減少させた。P1423(SEQ ID NO:2)は、10μg/mL及び20μg/mLで、IL-6の濃度を、夫々、10%及び20%減少させた。細胞の処理を、P1422(SEQ ID NO:1)及びP1423(SEQ ID NO:2)とは別のテトラペプチドで行なったとき、IL-6発現に対する阻害効果は観察されなかったという事実は、SEQ ID NO: 14及びSEQ ID NO: 15等の特定配列に新規な抗炎症活性が存在することを示唆している。
<実験例4>
抗炎症活性に対するペプチドのスクリーニング:ヒト皮膚の角化細胞及び線維芽細胞におけるUV誘発IL-6発現の阻害
UV照射された表皮角化細胞及び線維芽細胞は、炎症性のサイトカインを放出することは広く知られている。それゆえ、皮膚の上皮細胞の他に、これらの細胞は、光による老化効果をもたらす事象カスケード(cascade of events)に寄与する。これらの理由を調べるために、P1422(SEQ ID NO:1)及びP1423(SEQ ID NO:2)について、これら種類の細胞におけるUV誘発IL-6発現に対する阻害活性を試験した。図3(A及びB)に示されるように、これらのテトラペプチドは両方とも、UVB曝露されたヒト角化細胞におけるIL-6発現を下方制御する。
このようなペプチド媒介IL-6の下方制御は、UVBに曝露された後のヒト線維芽細胞にも示された。P1423(SEQ ID NO:2)媒介によるIL-6発現の阻害は、用量依存性であり、IL-6濃度は、対照細胞IL-6(ペプチド処理なし、データは示さず)と比べて、2、5及び10μg/mLのとき、夫々、24、30及び48%減少した。10μg/mLのとき、P1422(SEQ ID NO:1)は、線維芽細胞におけるUV刺激によるIL-6発現を、対照細胞IL-6と比べて30%低下させた。しかしながら、低濃度のペプチドを用いたとき、IL-6に有意の減少は観察されなかった。
<実験例5>
抗炎症活性に対するペプチドのスクリーニング:ヒト皮膚の線維芽細胞におけるUV誘発MMP-1発現の阻害
UV(UVA及びUVB)の照射は、線維芽細胞におけるMMP-1の発現及び活性化を増大させる。UV曝露に反応してヒトの皮膚に生成したMMPの多くは、常在線維芽細胞に由来する。MMPの生成は、皮膚におけるUV誘発炎症反応(例えば、浮腫)及びその慢性効果(例えば、しわ)の原因となるから、線維芽細胞MMP-1を阻害することは、日光の皮膚に対する消極的効果を軽減するはずである。
このことを念頭において、線維芽細胞におけるUV誘発MMP-1発現に対するテトラペプチドP1422(SEQ ID NO:1)及びP1423(SEQ ID NO:2)の効果を調べるための実験を行なった。45秒間のUVA処理(500μW/cm2)の後、これらのペプチドを用いて処理するか、又はペプチドなしで処理した。図4(A及びB)に示されるように、P1422(SEQ ID NO:1)とP1423(SEQ ID NO:2)は両方とも、10μg/mLではUVA誘発MMP-1発現を下方制御することができた。
Fagot他(2002, 2004)は、UVB刺激角化細胞によって生成したサイトカインは、皮膚線維芽細胞におけるMMP-1のパラクリン上方制御に効果があることを明らかにしている。シグナル伝達のこのモードは、UVB処理角化細胞によって調整された媒体の中で線維芽細胞を培養することで実験的にモデル化されたものである。MMP-1は、このように処理された線維芽細胞培養物の中で上方制御されたが、P1422(SEQ ID NO:1)又はP1423(SEQ ID NO:2)のどちらかのテトラペプチドで培養されたものは、MMP-1誘導ははるかに少なかった(図5のA及びB参照)。
前述の研究は、TRAF6結合ドメインに基づくテトラペプチドの中には、UV照射によって誘発されるIL-6及びMMP-1のレベル下方制御する能力を有するものがあることを示している。UV照射によって誘発されるこれらの炎症経路は、これまで、TRAF6関連シグナル伝達事象を含むとは知られていなかったので、前記の知見は驚くべきものである。これら短ペプチドにより主炎症メディエータ(IL-6)及びエフェクター(MMP-1)を両方とも阻害することは、皮膚炎症及びその有害効果の防止及び治療への適用可能性があることを示すものである。
<実験例6>
プロテアーゼ阻害剤を含む本発明の実施例
本発明はまた、プロテアーゼ阻害剤と生物活性ペプチドを含むスキンケア製剤に関するものである。この組成物は、皮膚及びその他上皮表面に対する美容(cosmetic)及び治療活性を有するものと考えられる。セリンプロテアーゼ阻害剤は本発明の一実施例に係る成分である。皮膚の治療及び美容変化をもたらすために、生物活性ペプチド及びプロテアーゼ阻害剤を含む組成物を使用する方法は、本発明の他の態様である。
化粧品及びスキンケア産業では、数々の生物活性剤を皮膚へ送達するのに、広範囲のペプチド成分が用いられている(表2参照)。皮膚の外層、角質層(SC)が、蛋白質及びペプチドを分解することができる数々のプロテアーゼを含んでいることは広く文献に発表されている。皮膚に施された幾つかのペプチドの生物活性の作用は、SCの中で行われる。それゆえ、SCの中にあるプロテアーゼはバリアを構成し、生物活性ペプチドを含む局所的皮膚用途の全ての治療的及び/又は美容効果が達成される。
SCは、セリン、システイン及びアスパルテートの3種以上のプロテアーゼファミリーを含んでいる。セリンプロテアーゼ(SP)として、表皮特異性プロテアーゼカリクレイン-5(SCトリプシン酵素としても知られている, SCTE)(Brattsand and Egelrud, 1999)及びカリクレイン-7(SCキモトリプシン酵素としても知られている)(Hansson他, 1994)が挙げられる。これらのカリレクレインは両方とも、脱落過程(すなわち、皮膚の皮の脱落)に関係することが知られている。皮膚の中で分離された追加のセリンプロテアーゼは、プラスミンとウロキナーゼである(Voegeli他, 2007)。チオールプロテアーゼ(SCTP)及びカテプシンDは、夫々、SCに存在するシステインプロテアーゼ及びアスパルテートプロテアーゼの一部である(Bernard他, 2003; Horikoshi他, 1998)。
SCの生物物理学的及び生物学的特徴における季節的変動についても数多くの文献が発表されている。特に、冬季は、日常的に覆われた皮膚と対比して、曝露された皮膚の特性に対する影響はより大きいことが示されている。また、例えば乾燥皮膚条件では、顔面SCは、炎症誘発性サイトカイン及びプロテアーゼのレベル上昇を含むことが示されている。Voegeli他(2007)は、頬と前腕のSCの異なる層における主なセリンプロテアーゼ活性(カリクレイン-5, カリクレイン-7, ウロキナーゼ, プラスミン及びトリプターゼ様酵素)の分配を、冬季及び夏季の間、健康な白人種の逐次的テープ剥離を分析することにより調べた。前腕SCに観察された活性レベルと比べて、顔面でのプラスミン、ウロキナーゼ及びトリプターゼの活性レベルは約5〜6倍高く、頬でのカリクレイン-5及びカリクレイン-7の活性レベルは約2〜4倍高かった。このように、保護された皮膚領域は、環境に曝された皮膚領域よりもプロテアーゼ活性が少なく、おそらくこれは曝露皮膚における不顕性炎症を示している。また、次の考察がVoegeli他.(2007)により行なわれている: (i)健康な人の前腕皮膚では、外側SCのセリンプロテアーゼ活性は、その内部層よりも大きかった; (ii)前腕と比べて、ウロキナーゼ様活性及びプラスミン様活性は、頬からのSC剥離で増加し、プラスミノゲンカスケードの活性が確認された; (iii) SCにおけるトリプターゼ様活性は、頬からの試料でも増加した。これは、バリア妥協した(barrier-compromised)皮膚におけるマスト細胞の発達及び/又は角化細胞による新規なトリプターゼ様酵素の合成を示していると思われる。臨床的に正常な頬の皮膚に由来するSCに、ウロキナーゼ, プラスミン, カリクレイン-5, カリクレイン-7及びトリプターゼ様酵素活性の増加が観察されるので、これらの酵素については、表皮バリアが損なわれた皮膚条件下では、さらに高い活性が存在することが予想される。
SCに存在するプロテアーゼと、酒さ(rosacea)や乾癬等の皮膚の臨床状態との関係を研究した幾つかの文献が最近発表されている(Borgono他, 200; Yamasaki他, 2007; Pampalakis and Sotiropoulou, 2007)。これらの場合、対象であるプロテアーゼは、カリクレインファミリーのトリプシン様プロテアーゼ及びキモトリプシン様プロテアーゼである。酒さにおけるプロテアーゼの役割は、部分的には、ホスト先天性免疫ペプチドLL-37の炎症性フラグメントへの分解に基づいている(Yamasaki他, 2007)。乾癬の場合、表面細胞の落屑に関与するカリクレインプロテアーゼは調整から逃避し、落屑の増加の原因となり、皮膚の過剰脱落から起こるスケーリングを引き起こす。これらの状態は炎症を及びその他重大な臨床症状を引き起こす。不顕性レベルでは、これらのプロセスは、乾燥皮膚、皮膚の赤化、バリア機能の低下(皮膚の水分の損失に到る)、細胞外マトリックスの分解及び皮膚の早期老化を招く。それゆえ、皮膚プロテアーゼを阻害することでこのプロセスを遅らせることができる活性成分の使用は大きな意味がある。
ペプチド活性成分は、化粧用及びスキンケア製品において、皮膚の外観、感触及び美観を向上させる能力を有する生物活性をもたらすために用いられる。このような生物活性ペプチドは、傷又は火傷の処理のような治療目的に用いられることができる。しかしながら、前述したように、皮膚は、蛋白質及びペプチドを分解する能力を有するプロテアーゼを発現し、幾つかのペプチドの能力を妨げて、有益な効果がもたらされる。SC存在プロテアーゼの消極的効果は、炎症及び皮膚の細胞回転に関する消極的効果に付加される。これらの問題は、本発明のこの特徴によって解消されるが、その理由の一部は、生物活性ペプチドとプロテアーゼ阻害剤を両方含む製剤によるものである。このような組合せは、スキンケア用製剤に次の3つの好ましい特徴を提供する:(i) ペプチド成分は特異的生物活性をもたらす(例えば、抗炎症性、細胞刺激/増殖/移動等);(ii) プロテアーゼ阻害剤成分はペプチド成分の分解を防止し、長期に亘る有益なペプチド効果がもたらされる;(iii) プロテアーゼ阻害剤成分は、皮膚に対するプロテアーゼの一般的な消極的効果(赤化、スケーリング等)を低減する。この最後の特徴(iii)は、製剤の適用部位に内因性の生物活性ペプチドの保護を必要とする。それゆえ、プロテアーゼ阻害剤は、異所的に適用されたペプチドと皮膚に自然発現されるそれらペプチドの両ペプチドの活性を高める。
本発明は、治療用及び化粧用調製物におけるペプチドの活性を向上させる新規な方策を提供するものである。このようなペプチドの機能向上は、対象のペプチドを適当なプロテアーゼ阻害剤と複合使用する(combining)ことによって達成される。プロテアーゼ阻害剤は、ペプチド半減期を長くすることによって治療活性の持続を延ばすだけでなく、皮膚の天然蛋白質が炎症性フラグメントを生成するのを防止する。ペプチドとプロテアーゼ阻害剤を組み合わせることにより、スキンケア用調製物に、3段階レベルの効果がもたらされる。各成分(ペプチドとプロテアーゼ阻害剤)は、それ自体の有益な効果を有するが、それらを組み合わせるとその相乗作用により、単独しか含まない調製物よりもさらに大きな効果を発揮する。
本発明はまた、大きなコスト上の利点をもたらす。ペプチドは、適当なプロテアーゼ阻害剤と共に用いると、半減期が拡大する。それゆえ、プロテアーゼ阻害剤を併用しない場合にペプチドが必要とするほどの量は必要としない。また、本発明の生物活性ペプチド製剤を調製するプロテアーゼ阻害剤のコストは、プロテアーゼ阻害剤を併用しない場合に必要とされるペプチド量を製造するコストよりも有意に少なくてすむ。
生物活性ペプチドは当該分野で広く知られている。本発明のこの態様に使用されることができる生物活性ペプチドは、好ましくは、200アミノ酸残基未満の長さ、100アミノ酸残基未満の長さ、50アミノ酸残基未満の長さ、45アミノ酸残基未満の長さ、40アミノ酸残基未満の長さ、35アミノ酸残基未満の長さ、30アミノ酸残基未満の長さ、25アミノ酸残基未満の長さ、20アミノ酸残基未満の長さ、15アミノ酸残基未満の長さ又は10アミノ酸残基未満の長さである。本発明で用いられることができる他の生物活性ペプチドは、好ましくは、4アミノ酸残基以上、5アミノ酸残基以上、6アミノ酸残基以上、7アミノ酸残基以上、8アミノ酸残基以上又は9アミノ酸残基以上の長さである。
本発明の様々な実施例において使用可能な生物活性ペプチドの限定されない例は数多くあり、これらは、米国特許第6,255,282号(図3A/B及び特許請求の範囲を参照), 米国特許第6,303,568号(表1参照), 米国特許第5,962,410号(表1参照), 米国特許第7,875,744号(表1及び特許請求の範囲を参照), 米国特許第7,407,940号(表1及び特許請求の範囲参照), 米国特許出願公開第20070299015号(出願番号第11/811,876号)(表1, 5及び特許請求の範囲を参照), 米国特許出願第12/005,653号(表1及び特許請求の範囲を参照), 米国特許第6,288,212号(表1及び特許請求の範囲を参照), 米国特許第6,337,317号(特許請求の範囲を参照), 米国特許第6,172,185号(表1及び特許請求の範囲を参照)及び米国特許出願第61/000,815号(表1及び特許請求の範囲を参照)に記載されており、これらの特許及び特許出願、特に明記された部分は、引用を以て本願に組み込まれるものとする。本願に記載されたテトラペプチド(表1及びSEQ ID NOs: 14-15)は、発明のこの態様の中で使用されることができる。本発明は、主として、固有の活性を有するペプチドの使用に関するものであるが、前記活性は、ペプチドが配置される環境に依存してもよいし、依存しなくてもよいが(即ち、ペプチドは具体的状況に配置されたときにだけ活性である)、具体的活性を有しない(又は有することが知られていない)ペプチドもまた本発明に用いられることができる。
本発明の様々な実施例に用いられることができる生物活性ペプチドの限定されない他の例は、表2に記載されている。
なお、表2中の省略語は次のとおりである:ACE…アンギオテンシンI変換酵素; ECM…細胞外マトリックス; HA…ヒアルロン酸; HGF…ヘパトサイト増殖因子; MMP…マトリックスメタロプロテイナーゼ; MSH…メラノサイト刺激ホルモン; SNARE…可溶性NSF付着受容体(NSF, N-エチルマレイミド感受性因子); TGF-β…形質転換成長因子-β; TIMP…MMPの組織阻害剤
また、表2中、製造者の所在地は次のとおりである:Atrium Biotechnologies(カナダ、ケベックシティ); Grant Industries(ニュージャージー、エルムウッド); Lipotec(スペイン、バルセロナ); Pentapharm(スイス、バーゼル); Procyte(ペンシルベニヤ、モントゴメリビル、フォトメディックス); Sederma(フランス、Le Perray en Yvelines)
Figure 0005379806
<研究の目的>
化粧品及び治療用スキンケア製品において、多重的な利点を得るために、プロテアーゼ阻害剤を生物活性ペプチドと共に使用することは、これまで検討されたことはなかった。それゆえ、本発明は、プロテアーゼ阻害剤が、合成ペプチド及び生来ペプチドの生物活性ペプチドを蛋白質分解から保護する。このようなプロテアーゼ阻害剤は、ペプチド含有スキンケア製剤に使用可能と考えられる。
<材料及び手法の評価>
ある蛋白質分解条件で生物活性ペプチドの分解を阻害する能力に特徴を有するプロテアーゼ阻害剤として、 アプロチニン(Sigma- Aldrich, St. Louis, MO), トラネキサム酸(Sigma-Aldrich), ベンズアミジン(Sigma-Aldrich), Fmoc-lys(Boc)(Chem-Impex, Chicago, IL), Fmoc-arg(Pmc)(Chem-Impex), ベンゾイル-arg-ニトロアニリド(Sigma- Aldrich)及びベンゾイル-arg-ナフチルアミド(Sigma-Aldrich)がある。
スキンケア用生物活性成分ペプチド及び生来(innate)皮膚ペプチドとして用いられるペプチドの代表例として、 配列がFAKALKALLKALKAL-NH2(SEQ ID NO: 17)(米国特許第7,381,704号参照)であるオリゴペプチド-10(HB64)(Peptisyntha, Torrence, CA)、配列がFALLKL-NH2(SEQ ID NO:18)(米国特許第7,381,704号参照)であるヘキサペプチド-21(HB 168)(Neo-MPS, San Diego, CA)、配列がデカノイル-KFKWPW-NH2(SEQ ID NO: 19)(米国特許第7,407,940号参照)であるHB1345(Peptisyntha)、及びLL-37(LLGDFFRKSKEKIGKEFKRIVQRIKDFLRNLVPRTES, SEQ ID NO:20)(Johansson他.(1998)により開示)があり、これらは引用を以て本願に組み込まれるものとする。HB64, HB168及びHB1345ペプチドは、合成起源であるが、LL-37の起源はヒト細胞によって本来的に発現される。
本発明の実施に用いられるプロテアーゼの例として、チロシン、トリプトファン及びフェニルアラニンのカルボキシル側のアミノ酸鎖を切断するキモトリプシン(Sigma-Aldrich)、リジン及びアルギニンのカルボキシル側(但し、どちらもプロリンが続く場合を除く)のアミノ酸鎖を切断するトリプシン(Sigma-Aldrich)、グリシン、アラニン及びバリン等の低分子疎水性アミノ酸のカルボキシ側のアミノ酸鎖を切断するエラスターゼ(Sigma- Aldrich)、セリンプロテアーゼであるカリクレイン(Sigma-Aldrich)、セリンプロテアーゼであるプラスミン(Sigma-Aldrich)、セリンプロテアーゼであるウロキナーゼが挙げられる。
<ペプチド分解の測定方法>
合成起源のペプチド及びLL-37を使用し、プロテアーゼ処理実験を行なった。濃度は、最終緩衝剤濃度0.5M MOPS pH 8.5/0.5M NaCl中で1-2 mg/mLである。プロテアーゼの濃度は、0.020-0.050 mg/mLである。
実験は、対で行ない、一方はプロテアーゼ阻害剤を含み、他方はプロテアーゼ阻害剤を含まない。液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)スペクトルを、プロテアーゼをペプチドに添加時(時間ゼロ)から、1分、1時間、4時間及び24時間後に集めた。LC/MSスペクトルの収集は、5%アセトニトリルで開始し、25分で65%までランピングする標準の逆相を用いて行なった。ペプチドの親イオンを、XIC(抽出イオンカウント)トレースでモニタリングし、ペプチドフラグメントをTIC(全イオンカウント)トレースでモニタリングした。これについては後で説明する。
実験で用いたプロテアーゼは、先ず、IM NaCl溶液中に溶解した。一方、ペプチドはpH8.5の1M MOPS緩衝剤の中で溶解した。溶液は、37℃で平衡化した後、1:1の比で混合し、各実験を開始した。緩衝剤は低濃度のものも用いた(0.1 M MOPS pH 8.5及び0.2M NaCl)。与えられたプロテアーゼに対し、プロテアーゼ阻害剤を、数種類の濃度(低濃度0.02 mg/mLから高濃度40 mg/mL)で試験した。
この実験で用いた質量分析方法について、表3(以下に示す)のデータがどのように作成されたかを説明する。本発明の方法をモニタリングする際に、質量分析を用いて次の3種類の異なるデータを得た。
A.TICトレース(全イオンカウント)。これは、特定時間中にカラム/質量分析計を通過する全ての分子重量(全分子)の読み出しである。
B.XICトレース(抽出イオンカウント)。これは、TICトレースからの読み出しで、特定分子重量からのプリング(pulling)を表している。
C.質量スペクトル。これは、TICトレース又はXICトレースから選択されるピーク内における分子的実態の範囲である。
これらの方法は当該分野で広く知られており、以下の説明は、質量分析実験で観察された結果に限定されない(データは示されていない)。
<結果>
以下の例は、合成ペプチド(例えば、HB64)及び先天性免疫ペプチド(例えば、LL-37)について、プロテアーゼ媒介による分解及び阻害をモニタリングするために、前述した異なる質量分析結果がどのように用いられることができるかを示している。これらの実験例で用いられた質量分析計には検出限界があり、その限界より下では、特定分子重量の分子はTICトレースでは同定されることができない。これらの検出限界より下では、試験されたペプチドは完全に分解されたものと推定される。
得られたTICトレースは、プロテアーゼトリプシンによるオリゴペプチド-10(HB64)の分解/消化を23時間に亘って追跡したものである。特に、ペプチドの分解は、LC/MSにより、ゼロ時間、1時間及び23時間後に測定した。TICにおける親ピーク(完全長の非分解ペプチドを表す)は、時間の経過と共に低下し、様々な分解産物のピークの強度は時間と共に増加した。このトリプシン媒介された蛋白質分解の一次性消化産物は、テトラペプチドALLK(SEQ ID NO:21)である。
興味深いことに、TICトレースは、プロテアーゼ阻害剤アプロチニンを含む繰返し実験において、親ペプチドは、プロテアーゼによる分解を防止した。この結果は、プロテアーゼ阻害剤と共に皮膚に施されたとき、生物活性ペプチドはその構造、ひいてはその機能を、長時間に亘って保持するという予想と一致している。それゆえ、本発明は、生物活性ペプチドだけをを同じ濃度で含む皮膚用製剤と比べて、より有効であろう。また、選択された生物活性ペプチドが、長さ及び/又は配列の理由から蛋白質分解を受けないものであっても、プロテアーゼ阻害剤を含んだものは、製剤適用部位に自然に発現される有益なペプチドの分解を防止するであろう(即ち、有益な内因性ペプチドは保護されるであろう)。
1分間だけプラスミンに曝露したペプチドLL-37のTICトレースは、ゼロ時間の読み出しに供された。無傷LL-37の存在は、約16分の保持時間で検出され、これは質量スペクトルの読み出しによって確認された。899.5、1123.4及び1497.6amu(原子質量単位)での顕著なピークは、夫々、同じペプチド(LL-37)の異なる電荷形態を表している。
プラスミンで1時間培養した後、親ペプチドLL-37の分子重量は検出不能であり、保持時間が短い(11分〜13分)TICトレースが現れた。これらのピークは、450の低い分子重量でLL-37の分解産物を表している。検出されたLL-37の分解産物の1つの正確な配列は、このLL-37部分に対する分子重量の固有の一致(unique match)に基づいて、RIVQRIKDFLRNLVPRTES(SEQ ID NO:22)であることが決定された。完全長LL-37で観察されたものと同じように、SEQ ID NO:22の3つの異なる電荷形態が観察された。
LL-37及びプラスミンを用いた上記実験を繰り返した。なお、今回は反応中にプロテアーゼ阻害剤トラネキサム酸を含んでいる。1時間培養後におけるこの反応のTICトレースが得られた。質量スペクトルは約16.5分の保持時間で測定した。TICトレース及び質量スペクトルの両方で明らかだったように、LL-37の分解産物が生成された。しかしながら、ここで重要なことは、電荷が異なる場合、3つの質量スペクトルピークとして認識され得るレベルで、完全無傷の親ペプチドがまだ検出可能だったことである。この結果は、異なるペプチド/プロテアーゼ/阻害剤の組合せを用いた上記分析の結果と一致する。それゆえ、本発明のこの態様は、生物活性ペプチド及びプロテアーゼ阻害剤の様々な組合せに適用可能と考えられる。この考えは、表3に示される以下の実験結果からもさらに確認される。
他の実験において、プラスミンに4時間曝露した後のオリゴペプチド-10(HB64)の分解状況をTICトレースとXICトレースでモニタリングした。この結果では、プラスミンはHB64を標的として分解することを示した。XICトレース(799.5 amu)では、HB64ペプチドの大部分は分解したが、一部の親ペプチドはまだ検出可能であった。この反応がトラネキサム酸を含んだとき、 TICトレースとXICトレースから明らかであったのは、HB64ペプチドがプラスミン媒介蛋白質分解から保護されたことである。実際にも、XICトレースによって求められた反応中の親ペプチドの量は、ペプチドがプラスミン単独で培養された場合と比べて、5倍以上だった。
広範囲のプロテアーゼ、ペプチド及びプロテアーゼ阻害剤に関する本発明の実用性を調べるために、上記の手順を用いて一連の実験を行なった。この実験結果の要旨は、表3に示されている。もし、あらゆる特定時点で検出可能な親ペプチドが存在しない(分解されていないペプチドが不存在)場合、その時点がペプチド分解に必要な時点として記録される。
なお、表3の全てのペプチドの最終濃度は1mg/mLである。
Figure 0005379806
<要旨>
この実験で明らかなように、皮膚及びペプチド分解に関する最も重要なプロテアーゼの幾つかは、プラスミン、カリクレイン及びウロキナーゼである。本発明は、これらプロテアーゼに逆作用を及ぼすことを示している(例えば、表3)。重要なことは、試験したプロテアーゼ阻害剤は、安全性プロフィールに優れていることである。例えば、アプロチニン及びトラネキサム酸は、血栓療法(clotting therapy)用全身薬として用いられ、一方、ウルソル酸は化粧品成分及び薬草成分として用いられる。ここでの目標は、生来ペプチド及び合成ペプチドを蛋白質分解から保護できる製剤を特定することであり、そのような阻害剤は、スキンケア製品における生物活性ペプチドとの併用に有用であろう。トラネキサム酸が広域スペクトルのプロテアーゼに対して阻害活性が与えられると、その製造の低費用、安全性プロフィール及び可溶性と相まって、トラネキサム酸は本発明のこの態様を実施する好ましいプロテアーゼ阻害剤である。
この明細書に開示した組成物又は方法は全て、ここでの開示を参照することにより、過度の実験を行なうまでもなく実施されることができる。本発明の組成物及び及び方法は望ましい実施例として開示したものであって、当該分野の専門家であれば、発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、開示した組成物及び/又は開示した方法のステップ又はステップの順序に変形をなし得ることができる。より具体的には、化学的及び生理的に関連する幾つかの製剤は、ここに記載した本発明の製剤と同一又は同様な結果が得られるのであれば、本発明の製剤に代えて用いることもできるであろう。同様な置換及び変形が当該分野の専門家にとって明らかなものは全て本発明の範囲内に含まれると解される。
この出願の中に記載した全ての特許及び刊行物は、引用を以て、それらの全体が本願に組み込まれるものとする。
<参考>
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Claims (11)

  1. ペプチドのアミノ酸配列が、プロリン-グルタミン-グルタメート-X(P-Q-E-X)からなり、Xはリジン(K)又はイソロイシン(I)である、単離ペプチド。
  2. アミノ酸配列は、SEQ ID NO: 14又はSEQ ID NO: 15からなる請求項1のペプチド。
  3. ペプチドは、SEQ ID NO: 1又はSEQ ID NO: 2である請求項2のペプチド。
  4. ペプチドは、アミド化されるか、脂質化されるか、担体分子に結合されるか、又はD-鏡像異性体形態のアミノ酸残基を有する請求項1のペプチド。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載のペプチドと、薬剤として許容される担体とを含んでいる組成物。
  6. ペプチドは、0.1μg/mL〜50μg/mLの範囲の濃度で存在する請求項5の組成物。
  7. 組成物は、プロテアーゼ阻害剤をさらに含んでいる請求項5の組成物。
  8. 組成物は、エアロゾル、エマルジョン、液体、ローション、クリーム、ペースト、軟膏、粉末又はフォームの形態である請求項5の組成物。
  9. 哺乳動物の皮膚又は該皮膚に関連する粘膜組織の炎症部位に対して、治療に有効な量を有効時間投与することにより、哺乳動物の皮膚又は該皮膚に関連する粘膜組織における炎症を治療するのに有用である、請求項5乃至8の何れかに記載の組成物。
  10. 炎症は、擦り傷、水膨れ、火傷、裂傷、潰瘍、打撲、発疹若しくはび瘢痕であるか、又は紫外線照射に曝露されることで生じる請求項9の組成物。
  11. 請求項1乃至4の何れかに記載のペプチドを含む組成物であって、紫外線により損傷した上皮細胞、角化細胞又は線維芽細胞を、前記ペプチドに曝露することにより、前記細中におけるインターロイキン(IL)-6又はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-1の発現量減少させるのに有用である、組成物。
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