JP5370141B2 - アンテナ装置 - Google Patents
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Description
そのようなアンテナの一例では、基板上に、長方形状の放射電極と、放射電極の隣り合う長辺および短辺にそれぞれ平行に対向する接地電極と、放射電極の長辺に接続された給電電極とが形成される。そして放射電極の長辺と対向する接地電極の部分は、その長辺を超えない長さと放射電極の短辺の長さ以下の幅とを有している。一方、放射電極の短辺と対向する接地電極の部分は、その短辺を超える長さと放射電極の長辺の長さ以上の幅を有している。このアンテナは、例えば、3.1GHzから10.6GHzの範囲内の無線周波数に対して良好なアンテナ特性を有する。
上記のような周波数帯域は、例えば、携帯電話機のような通信機において利用される可能性がある。そこで、より広い帯域、例えば、700MHzから6GHzの範囲の周波数帯域に対して良好なアンテナ特性を持つアンテナ装置が求められている。
上記の一般的な記述及び下記の詳細な記述の何れも、例示的かつ説明的なものであり、請求項のように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
このアンテナ装置では、放射電極の開放端と、放射電極に対向する接地電極との距離が放射電極の開放端に近づくほど離れ、かつ、給電点と放射電極の開放端を結ぶ中心線と接地電極の端部とのなす角度が鋭角となるように各電極が配置される。そして放射電極は、放射電極の中心線と直交する方向の幅が先端に近づくほど狭くなる形状を有する。これにより、このアンテナ装置は、小型化を達成するとともに、例えば、0.8GHzから6GHzの周波数帯域に対して良好なアンテナ特性を持つ。
アンテナ装置1は、基板11と、基板11の裏面に設けられた接地電極12と、基板11の表面に設けられた放射電極13および給電線14とを有する。
なお、以下では、便宜上、特に説明されない限り、「幅」とは図1の水平方向における長さを表し、「高さ」とは図1の垂直方向における長さを表す。
接地電極12は、放射電極13が共振可能な周波数帯域を広くするために、放射電極13の長手方向である水平方向の長さよりも長い幅を持ち、かつ接地電極12の高さは接地電極12の幅よりも大きい。また突起部12bの高さも、放射電極13の短手方向である垂直方向の長さよりも長いことが好ましい。
放射電極13は、広帯域にわたって無線信号の送信または受信を行えるようにするために、面状に形成されている。本実施形態では、放射電極13は涙滴状に形成されており、涙滴の先端が放射電極13の開放端13bとなり、長手方向に沿って開放端13bと反対側の端部に給電点13aが設けられている。
このように、放射電極13は、接地電極12との最近接点から開放端13bに近づくにつれて、開放端13bと給電点13aを通る放射電極13の中心線13dと直交する方向の長さが短くなる形状を有している。これにより、放射電極13が小型化されるとともに、放射電極13が広い周波数帯域にわたって無線信号と共振可能となっている。
また、本実施形態では、放射電極13の上端が基板11の上端と略一致し、開放端13bが基板11の左端に位置するように、すなわち、放射電極13の開放端13bが接地電極12の左端の延長線上に位置するように放射電極13は配置されている。このように、放射電極13は、基板11のサイズにより制限された範囲内で開放端13bが接地電極12から最も離れ、かつ長手方向の長さが最大となるように形成されている。そのため、アンテナ装置1は小型化され、かつ広い周波数帯域に対して良好なアンテナ特性を持つことができる。
そのために、給電線14は、放射電極13の短手方向に対向して、基板11の右側の表面上に設けられ、給電点13aにて放射電極13と接続された給電電極を有する。さらに給電線14と、基板11の裏面に設けられた接地電極12の突起部12bとは、基板11の表面にその法線方向に沿って投影されたときに重なるように配置されている。そして給電線14と突起部12bは、マイクロストリップラインを形成する。
例えば、基板11が、比誘電率が4.4、誘電正接が0.01である誘電体により形成され、基板11の厚さが1mmであり、給電線14が厚さ35μmを持つ銅箔である場合、給電線14のインピーダンスを50Ωにするために、給電線14の幅は、例えば、1.8mmとなる。
一方、放射電極13のインピーダンスは、アンテナ装置1が送信または受信しようとする無線周波数の全ての帯域に対して50Ωとはならない。そこで放射電極13と給電線14との間でインピーダンス整合をとるために、給電点13aに近づくにつれて給電線14の垂直方向の幅が狭くなるように、給電線14の先端部がテーパ状に形成されることが好ましい。
例えば、給電点13aにおける給電線14の垂直方向の幅は、0.22mmに設定される。
このアンテナ特性を求めるために、基板11として、比誘電率4.4、誘電正接0.01を持つ誘電体を用いた。また、接地電極12、放射電極13、給電線14は、それぞれ、厚さ35μmの銅箔で形成した。
図4は、各部の寸法を示すアンテナ装置1の概略平面透過図であり、図5は、図4に示されたアンテナ装置1の放射電極13の拡大平面透過図である。図4及び図5において、実線は、基板11の表面に配置された部品を表し、点線は、基板11の裏面に配置された部品を表す。
図4及び図5に示されるように、基板11の幅は50mmであり、高さは123mmである。また基板11の厚さは1mmである。放射電極13は、長手方向である水平方向に44.9mmの長さを持ち、短手方向である垂直方向に22mmの長さを持つ。そして放射電極13の給電点13a側が半径11mmの半円形状を有している。一方、放射電極13の開放端13b側は、略三角形状となっており、放射電極13の上端は、基板11の上端と略平行になっている。そして放射電極13の開放端13bから半円状に形成される部分までの上端の長さは33.9mmである。そして開放端13bにおいて、放射電極13の上端と、接地電極12に対向する放射電極13の下端13cとがなす角θは32.98°である。また放射電極13と接地電極12との最近接部における間隔は0.8mmである。
接地電極12の突起部12bは、垂直方向に23mmの長さを持ち、水平方向に5mmの幅を持っている。接地電極12本体の近傍において、突起部12bの放射電極13に対向する側はテーパ状に形成されている。そのテーパ部分の最も広い部分(接地電極12本体と連結される部分)の幅Lは5mmであり、テーパ部分の高さHは7.5mmである。給電線14は、幅1.8mm×高さ10.9mmの長方形状部分と、その長方形状部分及び給電点13aとに連結されるテーパ部分を有している。テーパ部分の垂直方向の長さは1.17mmであり、給電点13aにおけるテーパ部分の垂直方向の幅は0.22mmである。
図7は、図5におけるテーパ部分の高さHを2.5mmとし、幅Lを0mm〜10mmの範囲内で変更したときのアンテナ装置1のVSWRのシミュレーション結果を示す。このシミュレーションにおいて、突起部12bのテーパ部分の形状を除いたアンテナ装置1の各部の形状、寸法及び材質は、図4及び図5に示されたアンテナ装置1の各部の形状、寸法及び材質と同一とする。
図7において、横軸は周波数を表し、縦軸はVSWRを表す。またグラフ701、702、703、704、705は、それぞれ、幅Lを0mm(すなわち、テーパ無し)、2.5mm、5mm、7.5mm、10mmとしたときに、モーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより算出したVSWRのシミュレーション値を表す。
グラフ701〜703に示されるように、テーパ部分の幅Lが7.5mm未満では、約1.6GHzにおいてVSWRが3を超える。これに対し、グラフ704及び705に示されるように、テーパ部分の幅Lが7.5mm以上では、約0.8GHz〜6GHzの範囲全般にわたってVSWRが3以下となっている。そのため、テーパ部分の高さHが2.5mmであれば、幅Lは7.5mm以上とすることが好ましい。
図8において、横軸は周波数を表し、縦軸はVSWRを表す。またグラフ801、802、803、804、805は、それぞれ、幅Lを0mm(すなわち、テーパ無し)、2.5mm、5mm、7.5mm、10mmとしたときに、モーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより算出したVSWRのシミュレーション値を表す。
グラフ801及び802に示されるように、テーパ部分の幅Lが5mm未満では、約1.6GHzにおいてVSWRが3を超える。またグラフ805に示されるように、テーパ部分の幅Lが7.5mmを超えると、約1.3GHzにおいてVSWRが3を超える。これに対し、グラフ803及び804に示されるように、テーパ部分の幅Lが5mmから7.5mmの範囲では、約0.8GHz〜6GHzの範囲全般にわたってVSWRが3以下となっている。そのため、テーパ部分の高さHが5mmであれば、幅Lは5mm以上7.5mm以下とすることが好ましい。
図9において、横軸は周波数を表し、縦軸はVSWRを表す。またグラフ901、902、903、904、905は、それぞれ、幅Lを0mm(すなわち、テーパ無し)、2.5mm、5mm、7.5mm、10mmとしたときに、モーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより算出したVSWRのシミュレーション値を表す。
グラフ901に示されるように、テーパ部分の幅Lが2.5mm未満では、約1.6GHzにおいてVSWRが3を超える。またグラフ904及び905に示されるように、テーパ部分の幅Lが5mmを超えると、約1.3GHz及び約2.8GHzにおいてVSWRが3を超える。これに対し、テーパ部分の幅Lが2.5mmから5mmの範囲では、約0.8GHz〜6GHzの範囲全般にわたってVSWRが3以下となっている。そのため、テーパ部分の高さHが7.5mmであれば、幅Lは2.5mm以上5mm以下とすることが好ましい。
図10において、横軸は周波数を表し、縦軸はVSWRを表す。またグラフ1001、1002、1003、1004、1005は、それぞれ、幅Lを0mm(すなわち、テーパ無し)、2.5mm、5mm、7.5mm、10mmとしたときに、モーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより算出したVSWRのシミュレーション値を表す。
グラフ101に示されるように、テーパ部分の幅Lが2.5mm未満では、約1.6GHzにおいてVSWRが3を超える。またグラフ1003〜1005に示されるように、テーパ部分の幅Lが2.5mmを超えると、約1.3GHz及び約2.8GHzにおいてVSWRが3を超える。これに対し、テーパ部分の幅Lが2.5mmでは、約0.8GHz〜6GHzの範囲全般にわたってVSWRが3以下となっている。そのため、テーパ部分の高さHが10mmであれば、幅Lは2.5mmとすることが好ましい。
上記のシミュレーション結果から、アンテナ装置1の各部が図4及び図5に示された形状、寸法及び材質を持つとき、テーパ部分の面積S(=L*H/2)としたとき、18.75/2≦S≦37.5/2が満たされるように、テーパ部分の幅L及び高さHが設定されることが好ましい。
図11に、給電点13aにおける給電線14の様々な幅に対するアンテナ装置1のVSWRのシミュレーション結果を示す。このシミュレーションにおいて、給電部13a近傍の給電線14の形状を除いたアンテナ装置の各部の形状、寸法及び材質は、図4及び図5に示されたアンテナ装置1の各部の形状、寸法及び材質と同一とする。
図11において、横軸は周波数を表し、縦軸はVSWRを表す。またグラフ1101、1102、1103、1104は、それぞれ、給電点13aにおける給電線14の垂直方向の幅を0.22mm、0.44mm、0.66mm、0.88mmとしたときに、モーメント法を用いた電磁界シミュレーションにより算出したVSWRのシミュレーション値を表す。グラフ1101〜1104に示されるように、VSWRの値が極大値となる約1.2GHz及び約2.8GHzの周波数において、給電線14の垂直方向の幅が狭いほど、VSWRの値も低くなっている。このように、給電点13aにおける給電線14の垂直方向の幅は狭いほど好ましく、例えば、上記の実施形態のように、給電線14の垂直方向の幅は0.22mmに設定されることが好ましい。
また、接地電極と対向する側の放射電極の長手方向の端部は、放射電極の開放端に近づくにつれて接地電極と離れるように接地電極及び放射電極が配置されている。そのため、電磁結合により、放射電極に流れる電流と逆向きの電流が接地電極に流れることが抑制されるので、エネルギー損失が減る。その結果、このアンテナ装置では、広い周波数帯域にわたってアンテナ特性が向上する。さらに、このアンテナ装置では、放射電極の長手方向に対向して配置された接地電極本体と放射電極の短手方向に対向して配置された接地電極の突起部の接続部分がテーパ状に形成されることにより、放射電極がより広い周波数帯域でインピーダンス整合される。そのため、このアンテナ装置は、広い周波数帯域にわたって良好なアンテナ特性を有する。
第2の実施形態によるアンテナ装置2は、第1の実施形態によるアンテナ装置1と比較して、インピーダンス整合素子15とスイッチ16とを有する点で異なる。そのため、以下では、インピーダンス整合素子15及びスイッチ16に関して説明する。
インピーダンス整合素子15がスイッチ16を介して給電線14と接続されたときの給電線14のインピーダンスは、インピーダンス整合素子15が接続されないときのインピーダンスに対して変動する。そのため、放射電極13と給電線14との間でインピーダンス整合がとれる無線信号の周波数も変動する。特に、本実施形態のように、インピーダンス整合素子15が放射電極13と並列に給電線14と接続された場合、インピーダンス整合がとれる無線信号の周波数は、インピーダンス整合素子15が接続されないときよりも低下する。そのため、インピーダンス整合素子15を給電線14と接続することにより、アンテナ装置2は、インピーダンス整合素子15が接続されないときよりも低周波数帯域の無線信号に対するアンテナ特性を向上できる。
なお、スイッチ16は、例えば、Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)スイッチとすることができる。
このように、スイッチ16が使用される無線周波数に応じてインピーダンス整合素子15を給電線14と接続するか切断するかを切り替えることにより、アンテナ装置2は、0.7GHzから6GHzの範囲内の周波帯域にわたって良好なアンテナ特性を持つことができる。
また、放射電極は、涙滴形状以外の形状を有してもよい。
図14(a)〜図14(c)は、それぞれ、他の実施形態による放射電極の概略構成図である。図14(a)に示された放射電極1401は、長方形の長手方向の一端が凸の曲線、例えば、円弧または放物線で形成された形状を持つ。そして放射電極1401は、曲線で形成された側の端部に給電点1401aを持ち、他方の端部が開放端1401bとなる。なお、開放端において放射電極が一定の幅を持つ場合、放射電極の中心線が通る基準点は、開放端の中点とすることができる。
また、図14(b)に示された放射電極1402は、図14(a)の放射電極1401の上端の一部が、基板11の上端に沿ってカットされた形状を持つ。さらに、図14(c)に示された放射電極1403は、図14(a)の放射電極1401の開放端の一部が、基板11の左端に沿ってカットされた形状を持つ。
さらに、上記の何れかの実施形態において、放射電極は、放射電極の開放端に近づくにつれて基板から離れるように、立体的に形成されてもよい。
また上記の何れかの実施形態において、給電点は、放射電極の長手方向において、接地電極と放射電極が最も近接する位置に設けられてもよい。
(付記1)
基板と、
前記基板上に設けられ、開放端を有する放射電極と、
前記基板上に設けられ、前記放射電極の長手方向及び短手方向のそれぞれ一端と対向して配置された接地電極と、
前記放射電極と給電点を介して接続された給電線とを有し、
前記放射電極は、前記開放端を挟む二つの端部のうち、前記接地電極と対向する第1の端部が前記開放端に近づくにつれて前記接地電極と離れ、前記給電点と前記開放端とを結ぶ前記放射電極の中心線が前記放射電極の長手方向に対向する前記接地電極の第2の端部となす角が鋭角となるように配置される、
アンテナ装置。
(付記2)
前記放射電極の前記中心線と直交する方向の長さは、前記開放端に近づくにつれて短くなる、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記3)
前記放射電極は、該放射電極の開放端が鋭角状に形成され、かつ前記給電点近傍における輪郭が、前記接地電極に向かって凸となる曲線で形成される、付記2に記載のアンテナ装置。
(付記4)
前記放射電極の長手方向に沿った、前記接地電極と対向しない側の前記放射電極の第3の端部が前記接地電極の前記第2の端部と略平行となる、付記3に記載のアンテナ装置。
(付記5)
前記接地電極は、前記放射電極の短手方向に対向する第1の部分と、前記接地電極の前記放射電極の長手方向に対向する第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分に近づくにつれて太く、かつ当該第1の部分の前記放射電極に近接する側の端部が前記放射電極に近づくように形成される、付記1に記載のアンテナ装置。
(付記6)
前記給電線の幅が前記給電点に近づくにつれて狭くなる、付記1に記載のアンテナ装置。
11 基板
12 接地電極
13 放射電極
13a 給電点
13b 開放端
14 給電線
15 インピーダンス整合素子
16 スイッチ
Claims (6)
- 基板と、
前記基板上に設けられ、開放端を有する放射電極と、
前記基板上に設けられ、前記放射電極の長手方向及び短手方向のそれぞれ一端と対向して配置された接地電極と、
前記放射電極と給電点を介して接続された給電線とを有し、
前記放射電極は、該放射電極の長手方向に沿って前記接地電極と対向する第1の端部が前記開放端に近づくにつれて前記接地電極と離れ、前記給電点と前記開放端とを結ぶ前記放射電極の中心線が前記放射電極の長手方向に対向する前記接地電極の第2の端部となす角が鋭角となるように配置される、
アンテナ装置。 - 前記放射電極の前記中心線と直交する方向の長さは、前記開放端に近づくにつれて短くなる、請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記放射電極は、該放射電極の開放端が鋭角状に形成され、かつ前記給電点近傍における輪郭が、前記接地電極に向かって凸となる曲線で形成される、請求項2に記載のアンテナ装置。
- 前記放射電極の前記開放端を挟む二つの端部のうち、前記接地電極と対向しない側の第3の端部が前記接地電極の前記第2の端部と略平行となる、請求項3に記載のアンテナ装置。
- 前記接地電極は、前記放射電極の短手方向に対向する第1の部分と、前記接地電極の前記放射電極の長手方向に対向する第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記第2の部分に近づくにつれて太く、かつ当該第1の部分の前記放射電極に近接する側の端部が前記放射電極に近づくように形成される、請求項1に記載のアンテナ装置。
- 前記放射電極の開放端が前記基板の一端に位置するように前記放射電極が配置される、請求項1〜5の何れか一項に記載のアンテナ装置。
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