しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、小扉が設けられていないと通気部を通じての通気を停止させることができず、換気パネルが設けられていないと小扉を開放した場合に通気部における防犯性能が低下してしまう。この場合、通気部を開閉しつつ防犯性能の低下を抑制するには小扉及び換気パネルという別々の部材が通気部に対して取り付けられている必要がある。したがって、出入口又はその出入口周辺において、玄関扉などのドアを開放させることなく通気を行う構成に関して改善の余地がある。
本発明は、出入口のドアを開放することなく建物内空間の換気を行うことができる好適な構成を実現することを主たる目的とする。
上記課題を解決するために、第1の発明は、外壁に形成された出入口に開閉可能なドアが設けられている建物に適用され、前記ドア又は同ドア周辺に設けられ且つ建物内空間に通じている通気口に、該通気口を閉鎖する閉鎖状態と開放する開放状態とに移行する複数のスラットが設けられていることを特徴とする。
第1の発明によれば、出入口のドアを開放させなくても、ドア又はドア周辺に設けられた通気口により建物内空間の換気が行われる構成において、スラットにより通気口が開閉される。スラットが閉鎖状態とされることで通気口における通気が停止され、スラットが開放状態とされることで通気口における通気が行われる。しかも、通気が行われている場合、通気口は複数のスラットにより細分化された状態となっており、不審者が通気口から侵入することや手などを差し込むことが規制されている。この場合、通気口を開閉する機能と開放された通気口の防犯性能を高める機能という2つの機能を別々の部材ではなくスラットが有していることになる。つまり、出入口のドアを開放することなく建物内空間の換気を行うことができる好適な構成を実現したことになる。
なお、スラットが閉鎖状態と開放状態とに移行する構成としては、回動軸がスラットの長手方向に延びる状態でスラットの両端部が通気口形成部に対して回動可能に軸支されている構成が挙げられる。この構成により、開放状態にある複数のスラットにより通気口が細分化される構成を実現できる。
第2の発明では、前記通気口は前記ドア又はドア側方において上下方向に延びる長手状に形成され、前記複数のスラットは一部のスラットが開放された部分開放形態となることが可能である。
第2の発明によれば、ドア又はドア側方に上下方向に延びる通気口において、全てのスラットが一様に開放状態又は閉鎖状態となるのではなく、部分的に開閉することが可能となる。したがって、複数のスラットが部分開放形態にある場合、通気口の上下方向において不審者の手が届きにくい位置のスラットのみを開放状態とすることができる。この結果、通気口にて通気を行う際に、通気性確保と防犯性確保との両方を実現することができる。
なお、前記複数のスラットは、前記通気口の長手方向に沿って複数のスラット群に区分され、そのスラット群ごとに開閉されて部分開放形態となることが可能である構成としてもよい。この構成によれば、不審者の手が届きにくい位置のスラット群をまとめて開放状態とすることができるため、通気性確保と防犯性確保との両方の実現が容易となる。
第3の発明では、前記複数のスラットは、前記部分開放形態に加えて、全てのスラットが開放された全開放形態になることが可能であり、前記全開放形態と前記部分開放形態とへの形態切り替えを行う制御手段が備えられている。
全開放形態と部分開放形態とでは、それぞれの通気性と防犯性のバランスが相違している。これに対して、第3の発明によれば、全開放形態と部分開放形態とが適宜切り替えられるため、通気性が重視される場合と防犯性が重視される場合とでそれぞれに適したスラットの開閉制御を実施できる。
第4の発明では、前記通気口は、前記ドアの回動先端側の縁部に沿ってドア上端部からドア下端部に延びるように前記ドア又は同ドア周辺に設けられており、前記制御手段は、前記複数のスラットを前記部分開放形態に切り替える場合に、前記ドアの回動先端側に設けられた施錠装置付近に位置する第1スラット群と、該第1スラット群の上方及び下方に位置する第2スラット群とのうち、前記第1スラット群を閉鎖状態にする。
第4の発明によれば、通気調整装置が部分開放形態にある場合、施錠装置付近の第1スラット群は閉鎖状態にある。ここで、施錠装置までの離間距離は第1スラット群に比べて第2スラット群の方が大きいため、第2スラット群が開放状態にある場合、第1スラット群が開放状態にある場合に比べて、不審者が手や棒などを差し込んで施錠装置を解錠することを困難なものとすることができる。つまり、第1スラット群を閉鎖状態とすることで部分開放形態において防犯性能を高めることができる。
第5の発明では、前記出入口の屋外側周辺に人がいるか否かを判定する手段を備え、前記制御手段は、前記出入口の屋外側周辺に人がいると判定された場合に、前記複数のスラットを前記部分開放形態に切り替える。
出入口の屋外側周辺に不審者がいる場合に第1スラット群が開放状態にあると、第1スラット群におけるスラットの間の隙間から手や棒などを差し込んだ不審者により施錠装置が屋内側から解錠されるおそれがある。この点、第5の発明によれば、不審者が出入口の屋外側周辺にいる場合に第1スラット群が閉鎖状態とされているため、不審者により施錠装置が屋内側から解錠されることに対して抑止力を発揮できる。
第6の発明では、前記ドアの屋内側には、前記ドアを開放可能とする非施錠状態と前記ドアを開放不可とする施錠状態とのいずれかに切り替え操作されるドアガードが設けられており、前記ドアガードが施錠状態及び非施錠状態のいずれであるかを判定する手段を備え、前記制御手段は、前記ドアガードが非施錠状態にあると判定された場合に前記第1スラット群を閉鎖状態とする。
人は屋外側からドアガードを施錠状態に移行させることができないため、建物内に人が不在である場合、ドアガード及び施錠装置のうち施錠装置だけによりドアが施錠されることになる。つまり、人が建物内に不在である場合、人が建物内にいる場合に比べて、ドアの施錠に関する防犯性能が低下するおそれがある。この点、第6の発明によれば、ドアガードが非施錠状態にある場合、すなわち施錠装置だけによりドアが施錠されている場合に、第1スラット群が閉鎖状態とされるため、人が建物内に不在である際においてドアの施錠に関する防犯性能の低下を抑制することができる。
なお、ドアガードとしては、アームによりドアを施錠するアーム式ドアガードや、チェーンによりドアを施錠するチェーン式ドアガードなどが挙げられる。
第7の発明では、前記通気口には、前記複数のスラットの屋内側において前記通気口を閉鎖する閉鎖部材が設けられており、前記閉鎖部材は、前記スラットに対して屋内側に離反する方向に変位可能であり、且つ変位量が変位規制手段により規制されている。
第7の発明によれば、閉鎖部材を複数のスラットに対して屋内側に離反させ且つスラットを開放状態に移行させた場合に、通気口による通気が行われる。この場合、閉鎖部材の変位量が変位規制手段により規制されることで閉鎖部材がいわゆる半開きの状態とされるため、閉鎖部材がスラットの屋内側に存在することになり、不審者がスラットの間の隙間から手や棒を差し入れることが閉鎖部材により阻止される。したがって、通気調整装置が全開放形態又は部分開放形態にある場合に通気口における防犯性能が低下することを抑制できる。
第8の発明では、前記ドア又は同ドア周辺には、前記通気口として、居住空間に通じている第1通気部と、前記出入口の屋内側に形成された出入口ホールに設置され且つ物品の収納が可能な収納庫に通じている第2通気部とが設けられており、前記複数のスラットは前記第1通気部及び前記第2通気部にそれぞれ設けられている。
第8の発明によれば、第1通気部においてスラットが開放状態にあると居住空間の換気が行われ、第2通気部においてスラットが開放状態にあると収納庫の換気が行われる。この場合、開放状態にあるスラットにより第2通気部が細分化されているため、収納庫の物品が第2通気部を通じて盗まれることを抑制できる。したがって、居住空間及び収納庫の換気を行いつつそれら居住空間及び収納庫の防犯性能が低下することを抑制できる。
なお、出入口ホールとしては玄関ホールが挙げられ、収納庫としては履物収納庫が挙げられる。
第9の発明では、昇降することにより前記通気口を開閉するシャッタカーテンが、前記複数のスラットが並べられて形成されている。
第9の発明によれば、シャッタカーテンを上昇させることにより通気口を開放することができる。この場合、通気口がスラットにより細分化された状態とならないため、通気口の使い勝手を向上させることができる。
第10の発明では、第1乃至9の発明のいずれかに記載の通気調整装置を備えている建物であって、前記通気口が建物内空間を挟んで窓部とは反対側の外壁に形成されていることを特徴とする。
第10の発明によれば、通気口と窓部とが建物内空間を挟んで反対側に配置されているため、通気口及び窓部の一方から建物内空間に外気が取り込まれるとともに他方から内気が屋外へ流れ出ることになる。つまり、通気口及び窓部を通じての建物内空間の風通しが良くなる。これにより、建物内空間の換気効率を向上させることができる。
第11の発明では、第1乃至9の発明のいずれかに記載の通気調整装置を備えており、且つ複数の住戸が横並びに設けられている集合住宅であって、前記通気口は、前記住戸に前記出入口として形成された玄関出入口又はその周辺に形成されていることを特徴とする。
集合住宅の住戸において両隣に他の住戸がそれぞれ配置されており、住戸内空間を挟んで対向する位置に窓部と玄関出入口とが設けられる場合、窓部だけを開放しても住戸内空間の風通しは良くならない。この点、第11の発明によれば、通気調整装置により玄関出入口又はその周辺において通気が行われるため、玄関出入口を開放させなくても住戸内空間の風通しを良くすることができる。つまり、玄関出入口の防犯性能の低下を抑制しつつ、住戸内空間の換気効率を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、図1は集合住宅10の平面図を示す図である。
図1に示すように、建物としての集合住宅10は住戸20を複数有しており、それら住戸20は横並びに配置されている。住戸20はワンルームタイプの住戸であり、居室22を有している。居室22は通路23を介して玄関24に通じている。外壁25において居室22を挟んで玄関24とは反対側の部分には窓部26が形成されており、玄関24を挟んで居室22とは反対側の部分には玄関出入口27が形成されている。この場合、玄関出入口27は、居室22や玄関24を挟んで窓部26と対向していることになる。また、玄関出入口27には開き戸タイプの玄関ドア31が設けられている。なお、玄関ドア31は引き戸タイプであってもよい。
ここで、居室22や玄関24といった住戸20内の通気を行う場合、窓部26及び玄関出入口27を開放してもよいが、これでは窓部26や玄関出入口27から不審者等に侵入されるおそれがあり、防犯の観点から見て好ましくない。そこで、本実施形態では、窓部26や玄関出入口27からの人の侵入を規制した状態で通気を行うことができるようになっている。
まず、玄関出入口27側の通気構造について図2を参照しつつ説明する。図2は玄関出入口27周辺の構成を示す図である。なお、図2においては、(a)に玄関出入口27の側面図を示し、(b)に玄関出入口27を屋外側から見た斜視図を示す。
図2(a)に示すように、玄関24には玄関ドア31を支持するドア枠体32が設けられている。ドア枠体32は、玄関24側の外壁25に対して固定されており、その内周面により玄関出入口27を形成している。玄関ドア31にはドアノブ等の取っ手33とシリンダ錠等の施錠装置34とが設けられている。取っ手33及び施錠装置34は、玄関ドア31の回動先端側であって上下方向の中央寄りに配置されている。ちなみに、ドア枠体32は略矩形状に形成されており、下辺部分が床に埋め込まれた状態で設置されている。
玄関ドア31の屋内面には、玄関ドア31の開放を規制するドアガードとしてのロック装置36が設けられている。ロック装置36は、玄関ドア31が閉鎖されている状態において玄関ドア31とドア枠体32とをチェーンやバーなどの連結部材により屋内側から連結することで玄関ドア31をロック(施錠)する構成となっている。具体的には、玄関ドア31に取り付けられたドア側部材と、外壁25側としてのドア枠体32に取り付けられた枠体側部材と、それらドア側部材と枠体側部材とを連結するチェーンとを有するチェーンロック装置となっており、ドア側部材は玄関ドア31の回動先端側であって上下方向の中央寄りに配置されている。ロック装置36は、玄関ドア31が閉鎖されていることを条件として人が連結部材による玄関ドア31とドア枠体32との連結作業を行うことができるようになっている。したがって、ロック装置36により玄関ドア31がロックされている場合、住戸20内に住人がいることになる。なお、連結部材がチェーンであればチェーン式ドアガードであり、バーであればアーム式ドアガードとなる。
ロック装置36には、ロック装置36がロック状態にあること(ロック装置36が玄関ドア31を施錠していること)を検出するロックセンサ39(図4参照)が設けられている。ここで、ロック装置36がロック状態にあることがロックセンサ39により検出された場合は、人が住戸20内にいることになる。
玄関24には、ドア枠体32の側方にルーバ装置41が設けられている。ルーバ装置41は、玄関ドア31にとっての袖の位置に且つ玄関ドア31の回動先端側に配置されている。ルーバ装置41は、略矩形状のルーバ枠体42と、ルーバ枠体42に対して固定されているルーバスラット43とを有している。
ルーバ枠体42は、ドア枠体32と横並びの状態で外壁25に対して固定されている。ルーバ枠体42は、その内周面にて玄関通気口40を形成しており、玄関通気口40は玄関出入口27と同様に玄関24と屋外空間とを連通している。ルーバ枠体42はドア枠体32と一体的に形成されており、ルーバ枠体42において玄関出入口27と玄関通気口40との間に存在している縦フレームは、ドア枠体32において玄関出入口27と玄関通気口40との間に存在している縦フレームにより形成されている。この場合、玄関通気口40は玄関出入口27と横並びであり、高さ寸法が玄関出入口27とほぼ同じ寸法(例えば220cm)にされているとともに、幅寸法が玄関出入口27よりも小さい寸法(例えば40cm)にされている。
ルーバ枠体42において玄関通気口40には複数のルーバスラット43が配置されており、それらルーバスラット43はルーバ枠体42に対して開閉可能に取り付けられている。具体的には、ルーバスラット43は、水平方向に延びる細長部材としての羽板であり、上下に並べて複数配置されている。また、軸線が水平方向に延びる状態でルーバ枠体42に対して回動可能に軸支されており、回動することで開閉する。さらに、開放されることで通気状態に移行し、閉鎖されることで非通気状態に移行する。非通気状態にある場合、ルーバスラット43の板面は水平方向を向いており、上下に隣接する他のルーバスラット43との間には隙間が無い又はあっても僅かな状態となっている。一方、通気状態にある場合、ルーバスラット43の板面は上下方向を向いており、非通気状態にある場合に比べて鉛直方向に対して傾いている。この場合、上下に隣接する他のルーバスラット43との間には通気用の隙間が形成されている。
ルーバ装置41は、ルーバスラット43を開閉させるルーバスラット駆動部44(図4参照)を有している。ルーバスラット駆動部44は、電気モータを含んで構成されており、各ルーバスラット43を個別に開閉させることが可能となっている。なお、ルーバスラット駆動部44は例えばルーバ枠体42に内蔵されている。
図2(b)に示すように、玄関通気口40には、ルーバスラット43の屋内側において玄関通気口40を閉鎖する閉鎖部材として内倒し扉46が設けられている。内倒し扉46は非透明の板材により形成されている。内倒し扉46は上下に並べて複数設けられており、各軸線が水平方向に延びる状態でルーバ枠体42に対してそれぞれ回動可能に軸支されている。内倒し扉46は下端部が軸支されており、その板面が水平方向を向いた状態で玄関通気口40を閉鎖し、上端部が屋内側に移動して傾くことで玄関通気口40を開放する。ここで、内倒し扉46は屋内側へ傾くことによりルーバスラット43から離反する方向に変位することになる。
ルーバ枠体42には、内倒し扉46の回動量を規制するストッパ46aが設けられている。ストッパ46aはルーバ枠体42の屋内面に取り付けられており、内倒し扉46が所定の角度だけ屋内側へ傾いた場合に内倒し扉46の屋内側板面に当接し、内倒し扉46を傾いた状態で保持する。ここで、ストッパ46aは、内倒し扉46の変位量を規制する変位規制手段に相当する。
ルーバ装置41は、ルーバスラット43を閉鎖状態(非通気状態)で保持する閉鎖保持構造を有している。閉鎖保持構造は、内倒し扉46が閉鎖されている場合にルーバスラット43の開放を規制し、内倒し扉46が開放されている場合にルーバスラット43の開放を規制しない。具体的には、内倒し扉46が閉鎖されている場合は、その内倒し扉46がルーバスラット43に干渉(接触)しており、ルーバスラット43を回動させるスペースが内倒し扉46とルーバスラット43との間に確保されていない。一方、内倒し扉46が開放されている場合は、内倒し扉46がルーバスラット43から離間しており、ルーバスラット43を回動させるスペースが内倒し扉46とルーバスラット43との間に確保されている。
なお、内倒し扉46が閉鎖されている場合にルーバスラット43の開放を規制し、且つ内倒し扉46が開放されている場合にルーバスラット43の開放を規制しないロック部がルーバ装置41に設けられていてもよい。
内倒し扉46は、電気モータを含んで構成された内倒し扉駆動部47(図4参照)の駆動に伴って開閉され、内倒し扉駆動部47は例えばルーバ枠体42に内蔵されている。
上記のように、玄関通気口40においてはルーバ装置41及び内倒し扉46が設けられているため、ルーバスラット43が通気状態にあり且つ内倒し扉46が開放されている場合に通気が行われる。
次に、窓部26側の通気構造について図3を参照しつつ説明する。図3は窓部26周辺の構成を示す図である。なお、図3においては(a)に窓部26の側面図を示し、(b)に窓部26を屋外側から見た斜視図を示す。
図3(a)に示すように、窓部26には、窓部26を開閉するサッシ戸装置51と、窓部26における通気量を調整するシャッタ装置52とが設けられている。サッシ戸装置51は、上下一対のレール部54に沿って水平方向にスライド移動するサッシ戸55と、サッシ戸55をスライド移動させるサッシ戸駆動部57とを含んで構成されている。ちなみに、サッシ戸駆動部57は電気モータを含んで構成されている。
図3(a),(b)に示すように、シャッタ装置52は、サッシ戸装置51の屋外側に配置されており、サッシ戸55に沿うようにして昇降するシャッタカーテン62と、シャッタカーテン62を巻回した状態で収納するシャッタケース63とを有している。シャッタカーテン62は、横長形状のシャッタスラット64を複数有するスラット式シャッタカーテンである。それらシャッタスラット64は上下に並んでおり、シャッタカーテン62として一体的にガイドレール65に沿って上下にスライド移動する。
シャッタスラット64は、シャッタカーテン62がシャッタケース63から繰り出された状態で開閉可能となっている。この場合、水平方向に延びる軸線を中心として回転することで開閉し、それにより通気状態と非通気状態とに移行する。非通気状態にある場合、シャッタスラット64の板面は水平方向を向いており、上下に隣接する他のシャッタスラット64との間には隙間が無い又はあっても小さい状態となっている。また、通気状態にある場合、シャッタスラット64の板面は上下方向を向いており、非通気状態にある場合に比べて鉛直方向に対して傾いている。この場合、上下に隣接する他のシャッタスラット64との間には通気用の隙間が形成されている。
サッシ戸装置51は、シャッタカーテン62を昇降させる巻取駆動部67と、シャッタスラット64を開閉させるシャッタスラット駆動部68とを有している。巻取駆動部67及びシャッタスラット駆動部68はそれぞれ電気モータを含んで構成されており、シャッタスラット駆動部68は、各シャッタスラット64を個別に開閉させることが可能となっている。
上記のように、窓部26においてはサッシ戸装置51及びシャッタ装置52が設けられているため、サッシ戸55が開放された状態でシャッタスラット64が通気状態にある又はシャッタカーテン62が開放されている場合に通気が行われる。
続いて、住戸20における通気制御システムに関する電気的な構成について図4を参照しつつ説明する。
図4に示すように、通気制御システムの制御手段としてのコントローラ71は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば居室22の壁面に取り付けられている。コントローラ71は、通気制御に関する情報を記憶する記憶部72と、人により入力操作される操作部73とを有しており、操作部73からの入力内容を記憶部72に記憶させることが可能となっている。
コントローラ71には、ルーバスラット駆動部44、内倒し扉駆動部47、サッシ戸駆動部57、巻取駆動部67及びシャッタスラット駆動部68が接続されており、コントローラ71は、指令信号を出力することによりこれら駆動部44,47,57,67,68の動作制御を行う。
コントローラ71には、住戸20内の温度を検出する住戸内温度センサ75と、外気の温度を検出する屋外温度センサ76と、住戸20内の湿度を検出する住戸内湿度センサ77と、外気湿度を検出する屋外湿度センサ78と、玄関出入口27の屋外側周辺に人がいることを検出する屋外人感センサ79と、ロック装置36のロックセンサ39とが接続されており、これらセンサ75〜79,39は検出信号をコントローラ71に対して出力する。住戸内温度センサ75及び住戸内湿度センサ77は例えば居室22の壁面に取り付けられており、居室22を対象として温度及び湿度を検出する。屋外温度センサ76及び屋外湿度センサ78は例えば外壁25の屋外側面に対して取り付けられている。屋外人感センサ79は、玄関出入口27周辺において外壁25の屋外側面に対して取り付けられている。
次いで、コントローラ71において実行される通気制御処理について図5を参照しつつ説明する。通気制御処理は所定周期で繰り返し実行される。
図5において、ステップS11では、各種センサ75〜79,39の検出信号を取得する。ステップS12では、住戸20内の通気を行うか否かを判定する。ここでは、季節や時間帯に応じてあらかじめ目標温度や目標湿度を設定しておき、住戸内温度センサ75や住戸内湿度センサ77により検出された実温度や実湿度が目標温度や目標湿度と同じでなく、且つ外気を取り込むことで実温度や実湿度を目標温度や目標湿度に近づけることができる場合に、通気を行うと判定する。例えば、夏季において住戸20内の実温度が目標温度より高く且つ外気温度が実温度より低い場合、実温度を下げるために通気を行うと判定する。また、住戸20内の実湿度が目標湿度より高く且つ外気湿度が実湿度より低い場合、実湿度を下げるために通気を行うと判定する。
住戸20内の通気を行う場合、ステップS13にて、屋外人感センサ79の検出信号に基づいて屋外において玄関出入口27周辺に人がいるか否かを判定し、ステップS14にて住人が住戸20にて在宅であるか否かを判定する。ここで、在宅であるか否かの判定は、ロックセンサ39の検出信号に基づいてロック装置36がロック状態にあるか否かを判定し、ロック装置36がロック状態にある場合に人が在宅であるとする。
屋外において玄関出入口27周辺に人が居らず、且つ住人が住戸20内にいる場合、ステップS15に進み、通気モードで玄関通気口40の通気を行う。玄関通気口40を対象とした通気モードでは、内倒し扉46を開放させるとともに、全開放形態として全てのルーバスラット43を通気状態に移行させる。これにより、玄関通気口40において通気量が極力多くされる。ステップS16では、通気モードで窓部26の通気を行う。窓部26を対象とした通気モードでは、ここでは、シャッタカーテン62を閉鎖させ、サッシ戸55を開放させ、さらに全てのシャッタスラット64を通気状態に移行させる。これにより、窓部26において通気量が極力多くされる。つまり、住戸内空間の換気量が極力多くされる。
一方、屋外において玄関出入口27周辺に人がいる場合、又は住人が住戸20内にいない場合(ロック装置36がロック状態にない場合)、ステップS17に進み、防犯モードで玄関通気口40の通気を行う。玄関通気口40を対象とした防犯モードでは、内倒し扉46を開放させるとともに、部分開放形態として一部のルーバスラット43を通気状態に移行させる。具体的には、玄関通気口40において上3個のルーバスラット43を通気状態とする。
ここで、ルーバ装置41において施錠装置34の周辺に位置する複数のルーバスラット43を第1スラット群と称し、第1スラット群の上方及びか方に位置する複数のルーバスラット43を第2スラット群と称すると、第1スラット群を非通気状態にて保持し、第2スラット群に含まれるルーバスラット43を通気状態に移行させることになる。この場合、第2スラット群は第1スラット群に比べて施錠装置34との離間距離が大きくなっており、仮に不審者が第2スラット群においてルーバスラット43の間の隙間から手や棒を差し込んでも屋内側から施錠装置34を解錠させることの困難性が高い。また、第2スラット群のうち上部のルーバスラット43が通気状態にあると、それら通気状態にあるルーバスラット43の間の隙間から不審者が住戸20内を覗くことも困難となっている。
ステップS18では、防犯モードで窓部26の通気を行う。窓部26を対象とした防犯モードでは、シャッタカーテン62を閉鎖させ、その後、サッシ戸55を開放させるとともに一部のシャッタスラット64を通気状態に移行させる。例えば、窓部26において上3個のシャッタスラット64を通気状態とする。これにより、窓部26において玄関通気口40と同様に通気を行わせつつ防犯性能を発揮できる。特に、シャッタカーテン62を閉鎖させてからサッシ戸55を開放させるため、住人等が不在である時にシャッタカーテン62及びサッシ戸55が両方とも開放されているという状況が発生しないため、窓部26からの不審者の侵入を回避できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
玄関24において玄関出入口27と横並びに玄関通気口40が設けられているため、ルーバスラット43を通気状態に移行させることにより玄関ドア31を開放させることなく玄関24での通気を行うことが可能となる。しかも、ルーバスラット43が通気状態であっても玄関通気口40はルーバスラット43により細分化されているため、不審者が玄関通気口40から住戸20内に侵入することはもちろんのこと、不審者が玄関通気口40から手や棒などを差し込むことを規制できる。この場合、玄関通気口40を開閉する機能と玄関通気口40の防犯性能を高める機能という2つの機能をルーバスラット43が有していることになる。つまり、玄関出入口27の玄関ドア31を開放することなく住戸空間の換気を行うことができる好適な構成を実現したことになる。
ルーバ装置41の動作制御について、通気モードにある場合は全てのルーバスラット43が通気状態にあり、防犯モードにある場合は一部のルーバスラット43が通気状態にあるため、通気モードにおける通気性を防犯モードに比べて高くすることができるとともに、防犯モードにおける防犯性を通気モードに比べて高くすることができる。つまり、通気モードと防犯モードとで通気性と防犯性とのバランスが相違しているため、その都度の状況に合わせて通気モードと防犯モードとを適宜切り替えることにより、玄関通気口40における通気量を確保しつつ防犯性能が低下することを抑制できる。
住人等が住戸20内に不在である場合や不審者が屋外において玄関出入口27周辺にいる場合、防犯モードとしてルーバ装置41の上部のルーバスラット43が通気状態に移行されて通気が行われる。この場合、施錠装置34付近のルーバスラット43(第1スラット群)を通気状態に移行させた場合に比べて、玄関通気口40の開放部分と玄関ドア31の施錠装置34との離間距離が大きくなり、不審者が通気状態にあるルーバスラット43間の隙間から手や棒を差し込んでも施錠装置34を解錠することが困難になっている。また、そもそも上部のルーバスラット43は不審者の手が届きにくい位置にあるため、不審者がルーバスラット43の間から手や棒を差し込むこと自体が困難になっている。さらに、ルーバスラット43の状態が切り替えられることにより玄関出入口27周辺にいる不審者を威嚇することができる。以上の結果、玄関出入口27や玄関通気口40の防犯性能をより一層高めることができる。
住人等が在宅であり且つ屋外において玄関出入口27周辺に人がいない場合、通気モードとしてルーバ装置41の全てのルーバスラット43が通気状態に移行されて通気が行われる。この場合、防犯モードに比べて玄関通気口40における通気量が増加するため、居室22や玄関24の換気を効率良く行うことができる。
玄関通気口40において通気が行われる場合、ルーバスラット43が通気状態に移行されるとともに、内倒し扉46が開放される。この場合、内倒し扉46はルーバスラット43の屋内側にて斜めに起立している。つまり、ルーバスラット43の屋内側にて屋外空間と居住内空間とを仕切る状態となっている。したがって、不審者が屋外側からルーバスラット43の間の隙間から手や棒などを差し込んでも、内倒し扉46が支障となってそれら手や棒などを内倒し扉46よりも屋内側へ入れ込むことが困難になっている。
内倒し扉46が非透明の板材により形成されているため、ルーバスラット43が通気状態にあっても内倒し扉46により屋外側から住戸20内への視界を遮ることができる。つまり、住戸内空間が覗かれることを抑制できる。また、太陽光などの外光を遮ることが可能であるため、昼間において玄関24への採光量を好適に調整することができる。
住戸20内に人がいる場合、施錠装置34及びロック装置36の両方により玄関ドア31を施錠することにより屋外側からの玄関ドア31の開放に対して抑止力を高めることができる。これに対して、住戸20内に人がいない場合、ロック装置36をロック状態に移行させることができないため、施錠装置34だけにより玄関ドア31を施錠することになり、住戸20内に人がいる場合に比べて玄関ドア31の施錠に関する防犯性能が低下するおそれがある。これに対して、人が住戸20内にいない場合、すなわち施錠装置34だけにより玄関ドア31が施錠されている場合、防犯モードで玄関通気口40の通気が行われる。この場合、施錠装置34付近のルーバスラット43は閉鎖されているため、住戸内空間の通気を行いつつ玄関ドア31の施錠に関する防犯性能が低下することを抑制できる。
住戸20において、窓部26と玄関通気口40とは居室22や玄関24といった住戸内空間を挟んで対向しているため、それら窓部26及び玄関通気口40にて通気を行わせることにより、住戸内空間の風通しが良くなり換気効率を高めることができる。ここで、複数の住戸20が横並びに配置され、2つの住戸20の間に配置されている住戸20においては、隣り合う住戸20との間の壁からは通気を行うことができないため、玄関24側にて通気が行われなければ窓部26にて通気を行っても住戸内空間の風通しが良くならない。したがって、住戸内空間を挟んで対向する窓部26と玄関通気口40とにおいて通気を行うことは、集合住宅10の住戸20にとって効果的である。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)玄関通気口40は、玄関出入口27の周辺にて外壁25に形成されていればよい。例えば、玄関出入口27の側方において玄関ドア31の回動先端側でなく回動基端側に玄関通気口40が形成されている構成とする。この場合、玄関ドア31の回動先端側に設けられた施錠装置34やロック装置36と玄関通気口40との離間距離を、玄関通気口40が回動先端側に配置されている場合に比べて大きくなるため、不審者が屋外側から玄関通気口40の開放部分(通気状態にあるルーバスラット43の間の隙間)から手や棒を差し込んで施錠装置34を解錠することやロック装置36のロック状態を解除することがより一層困難なものとなる。つまり、玄関出入口27や玄関通気口40における防犯性能を高めることができる。
また、玄関出入口27の側方ではなく上方や下方に玄関通気口40が形成されている構成としてもよい。
(2)通気口はドア周辺に設けられているのではなく、ドアに設けられていてもよい。例えば、図6(a)に示すように、玄関ドア31の上部にルーバ装置81が設けられている構成とする。この構成において、ルーバ装置81はルーバ枠体82とルーバスラット83とを有しており、ルーバ枠体82の内周面により玄関通気口80が形成されている。また、図6(b)に示すように、玄関ドア31のほぼ全体にルーバ装置91が設けられている構成とする。この構成において、ルーバ装置91はルーバ枠体92とルーバスラット93とを有しており、ルーバ枠体92の内周面により玄関通気口90が形成されている。
玄関ドア31に玄関通気口80,90が設けられている場合、ルーバ装置81,91を外壁25に対して取り付ける必要がなく、工場において玄関ドア31にルーバ装置81,91を取り付けておけばよいため、玄関ドア31とルーバ装置81,91とを一体化したユニットとしてまとめて建築現場へ運搬できる。しかも、ルーバ装置81,91を外壁25に対して取り付ける場合に比べて建築現場での施工作業の負担を低減することができる。
(3)ルーバ装置41は、防犯モードにある場合に部分開放形態として第2スラット群の全てのルーバスラット43を通気状態としてもよい。つまり、施錠装置34近傍より上方及び下方にあるルーバスラット43を通気状態としてもよい。この場合でも、第1スラット群のルーバスラット43が通気状態にある場合に比べて玄関通気口40での防犯性能の低下を抑制しつつ、通気量を極力大きくすることができる。
(4)ルーバ装置41において、ルーバスラット43が鉛直方向に延びる縦長部材であって左右に並んで配置されていてもよい。この場合でも、ルーバスラット43がルーバ枠体42に対して両端部が軸支されていれば、ルーバスラット43は通気状態で玄関通気口40を細分化することになるため、不審者が玄関通気口40から侵入することや手などを差し込むことを規制できる。
(5)玄関通気口40には、ルーバ装置41ではなくシャッタ装置52が設けられていてもよい。この構成においては、シャッタ装置は、開閉可能なシャッタスラットを複数有するシャッタカーテンと、シャッタカーテンを収納するシャッタケースと、シャッタスラットを開閉させるシャッタスラット駆動部と、シャッタカーテンを昇降させるカーテン駆動部とを備えている。この構成によれば、シャッタカーテンを開放状態とすることにより玄関通気口40の全体が開放されるため、玄関通気口40における通気量を極力増加させることや、物品の出し入れが可能となるなど玄関通気口40の使い勝手を向上させることができる。
(6)玄関通気口40は玄関24などの建物内空間に通じているのではなく、物品の収納が可能な収納庫に通じていてもよい。例えば、玄関24において玄関通気口40の屋内側に下駄箱が設置されており、その下駄箱に形成された開口部が玄関通気口40の少なくとも一部に通じている構成とする。この場合、玄関通気口40のうち下駄箱に通じる部分のルーバスラット43を通気状態とすることにより下駄箱内の通気を行うことが可能となる。また、下駄箱に形成された履物の出し入れ口を開放させることにより、下駄箱を通じて玄関24や居室22の換気を玄関通気口40により行うことができる。なお、収納庫としては、下駄箱の他に食品が収納される食品収納庫などが挙げられる。
(7)玄関通気口40には、内倒し扉46ではなく、引き戸タイプの閉鎖部材や屋内側へスライド移動する閉鎖部材などが設けられていてもよい。特に、屋内側へスライド移動する閉鎖部材が設けられている場合、その閉鎖部材は玄関通気口40から屋内側へ離間することにより開放状態に移行し、その状態においてルーバスラット43の屋内側に存在している構成とすることが好ましい。この構成によれば、玄関通気口40から不審者により手や棒などが差し込まれることを規制できる。
(8)上記実施形態では、玄関出入口27の周辺に通気口としての玄関通気口40が形成されている構成としたが、裏口や勝手口などの出入口又は出入口周辺に通気口が形成されている構成としてもよい。この場合でも、出入口周辺の通気を好適に行うことができる。
(9)玄関出入口27を形成する玄関出入口形成部としてのドア枠体32と、玄関通気口40を形成する通気口形成部としてのルーバ枠体42とは、一体的に形成されておらずに離間して設けられていてもよい。
(10)集合住宅10において、住戸20は共用通路を挟んで玄関出入口27又は窓部26同士が対向するように向かい合わせて配置されていてもよい。この場合、向かい合っている住戸20の各玄関通気口40や各窓部26の通気を同時に行わせることにより、それら住戸20や共用通路の風通しを良くすることができる。
(11)玄関通気口40が形成される建物は、集合住宅10ではなく一戸建ての住宅であってもよい。