第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。ここでは、画像形成装置の一例として、電子写真方式を用いたカラープリンタについて説明する。
画像形成装置は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各画像を形成するための4つの画像形成部10K,10Y,10M,10Cを有している。これら画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、後述する記録用紙(媒体)Pの搬送路に沿って、ここでは図中右から左に一列に配列されている。なお、これら画像形成部は、イメージドラムユニット(ID)とも称される。
画像形成装置の下部には、記録用紙Pを積載して収納する用紙カセット27が装着されている。用紙カセット27に収納された一番上の記録用紙Pに接するように、ホッピングローラ28が配置されている。ホッピングローラ28は、用紙カセット27から記録用紙Pを一枚ずつ分離して搬送路に送り出すものである。また、記録用紙Pの搬送路には、ホッピングローラ28によって用紙カセット27から送り出された記録用紙Pを搬送路に沿って搬送する搬送ローラ29aと、スキューを矯正しながら記録用紙Pを画像形成部10K,10Y,10M,10Cに向けて搬送するレジストローラ29bとが設けられている。
画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、いずれも、表面に有機感光体層を有する静電潜像担持体としての感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4およびクリーニングブレード6を備えている。これらの構成要素については、図2を参照して後述する。
画像形成部10K,10Y,10M,10Cの図中下側には、転写装置5が配置されている。転写装置5は、画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各感光体ドラム1に当接する転写ベルト13を有している。転写ベルト13は、記録用紙Pを静電気力により吸着して搬送し、各感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像を記録用紙Pに転写するものである。また、転写ベルト13を挟んで画像形成部10K,10Y,10M,10Cの各感光体ドラム1と対向するように、4つの転写ローラ14が配置されている。転写ローラ14は、転写ベルト13に、上記トナー像の転写のための電圧を印加するものである。4つの転写ローラ14の配列方向両側には、転写ベルト13を周回駆動するための駆動ローラ15aおよび従動ローラ15bが配置されている。また、転写ベルト13の下側には、転写ベルト13に付着したトナーや異物等を除去するクリーニングブレード16が設置されている。
画像形成部10K,10Y,10M,10Cおよび転写装置5に対し、記録用紙Pの搬送路の下流側(図中左側)には、記録用紙Pにトナー像を定着させるための定着装置17が配置されている。定着装置17は、熱源を内蔵したヒートローラ17aと、このヒートローラ17aとの間で記録用紙Pを挟み込むプレスローラ17bとを備えている。また、定着装置17に対して記録用紙Pの搬送路の下流側には、定着装置17から排出された記録用紙Pを画像形成装置の外部に排出する排出ローラ30が配置されている。
各画像形成部10の感光体ドラム1、帯電ローラ2、露光装置3、現像ローラ7、供給ローラ12、転写ローラ14および駆動ローラ15a、並びに定着装置17、ホッピングローラ28、搬送ローラ29a、レジストローラ29bおよび排出ローラ30は、画像形成装置の制御部(図示せず)により制御されている。制御部は、所定のタイミングで、帯電ローラ2、転写ローラ14、現像ローラ7および供給ローラ12に各電源(電圧印加部)から高電圧を印加し、また、感光体ドラム1、帯電ローラ2、駆動ローラ15a、定着ローラ17a、現像ローラ7、供給ローラ12、ホッピングローラ28、搬送ローラ29a、レジストローラ29bおよび排出ローラ30を駆動モータ(図示せず)により回転駆動する。
本実施の形態で用いるトナー9は、結着樹脂としてポリエステルを含み、着色剤としてカーボンブラック、銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue 5)、キナクリドン系顔料(C.I.Pigment Red 122)、C.I.Pigment Yellow 185等を含むものである。トナー9の体積平均粒子径は5.8μmであり、流動化剤および帯電制御剤として各帯電特性を有するシリカが外添されている。
次に、画像形成部について説明する。画像形成部10K,10Y,10M,10Cは、トナー9の種類を除き、共通の構成を有しているため、その共通の構成(画像形成部10と称する。)について説明する。
図2は、上述した画像形成部10の構成を示す側断面図である。画像形成部10は、上述したように、感光体ドラム1の周囲に、その回転方向に沿って、帯電ローラ2、露光装置3、現像装置4およびクリーニングブレード6を備えている。
帯電ローラ2は、帯電電圧印加部(図示せず)から電圧を印加され、感光体ドラム1の表面に当接して回転し、感光体ドラム1の表面を一様に帯電する。
露光装置3は、例えばLED(Light Emitting Diode)アレイで構成されており、画像信号に応じた光を感光体ドラム1の表面に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。
クリーニングブレード(クリーニング部材)6は、感光体ドラム1の軸方向に略平行な長尺部材であり、感光体ドラム1の表面に当接するように配置され、感光体ドラム1の表面に残留しているトナーを掻き取る。
現像装置4は、感光体ドラム1の表面に当接するように配置された現像剤担持体としての現像ローラ7と、トナーカートリッジ8から補充されたトナー9を摩擦帯電させて現像ローラ7に供給する供給部材としての供給ローラ12と、現像ローラ7の表面に当接して配置され、現像ローラ7の表面に付着した単位面積当たりのトナー量(すなわちトナー薄層の厚さ)を規制する層規制ユニット20とを備えている。これらはトナー槽4a内に配設されており、トナー槽4aの上方には、トナー槽4aにトナーを補給するトナーカートリッジ8が装着される。
現像ローラ7は、金属製のシャフト7aと、当該シャフト7aの表面に設けられた弾性体7bとを備えている。ここでは、直径14mmの金属製のシャフト7aの表面に、弾性体7bとして肉厚6mm、ゴム硬度40°(アスカーC硬度)、抵抗値104Ω・cmの導電性のシリコンゴムが形成されている。また、弾性体7bの表面には、絶縁層として、比誘電率が4で厚さが5μmのアクリル樹脂によるコート層7cが形成されている。
供給ローラ12は、金属製のシャフト12aと、当該シャフト12aの表面に設けられた発泡体12bとで構成されている。ここでは、直径6mmの金属製シャフト12aの表面に、硬度50°(アスカーF硬度)で厚さ5mmのウレタンゴムからなる発泡体12bが形成されている。
層規制ユニット20は、現像ローラ7表面に付着した単位面積当たりのトナー量が所望の量となるように、トナー薄層の厚さを規制する。第1の実施の形態における層規制ユニット20は、現像ブレード11(当接部材)と、現像ブレード11を支持する支持部材18と、シール部材19a,19bと、層規制シート22と、巻き取りローラ21a(回転体:駆動部材)と、シート保持ローラ21bとを備えて構成されている。それぞれの構成について、以下で説明する。
図3は、層規制ユニット20の構成を示す側断面図である。図4(A)は、現像ブレード11(当接部材)の形状を示す側断面図であり、図4(B)は、現像ブレード11の支持構造の一例を示す側断面図である。図4(A)に示すように、現像ブレード11は、厚さTが約80μmのステンレス(SUS304)製の板ばねであり、その長手方向(紙面に直交する方向)のが、現像ローラ7の軸方向と一致するように配置されている。現像ブレード11の長手方向寸法は、現像装置4内のトナー槽4aの長手方向の内側寸法と略一致している。
現像ブレード11の幅方向の一方の側は、支持部材18に固定されている。現像ブレード11の幅方向の他方の側は、曲率半径Rが0.23mmとなるように曲げ加工されている。現像ブレード11の曲げ部分から支持部材18までの長さAは約12.5mmであり、曲げ部分から先端までの長さBは約1.5mmである。現像ブレード11は、その曲げ部分が、例えば20g/cmの押圧力(線圧)で、後述する層形成シート22を介して現像ローラ7の表面に押し当てられている。なお、押圧力は20g/cmに限定されるものではないが、50g/cmまでであることが好ましい。
支持部材18は、例えば鋼板により形成されており、現像装置4の筐体内に固定されている。図4(B)に一例を示すように、支持部材18は、例えば、2枚の鋼板18a,18bを組み合わせて構成され、2枚の鋼板18a,18bの間に現像ブレード11を挟み込み、ねじ等の固定具23で互いに固定することにより、現像ブレード11を支持している。例えば、固定具23をねじとする場合には、当該ねじを、鋼板18aおよび現像ブレード11に形成した貫通穴を貫通させ、鋼板18bに形成したねじ穴に螺号させる構成が可能である。
図3に示す層規制シート22(すなわちシート部材)は、現像ブレード11の長手方向の長さと略同一の幅を有する導電性のシートであり、長手方向(走行方向)の一方の端部は巻き取りローラ21aに接着により固定され、もう一方の端部はシート保持ローラ21bに接着により固定されている。本実施の形態では、層規制シート22として、厚さ10μm、幅230mm、長さ4970mmのステンレス(SUS304)製シートを用いているが、これらの厚さ、長さ、材質に限定されるものではない。層規制シート22の幅は、少なくとも印刷領域以上の幅であればよい。
巻き取りローラ21aおよびシート保持ローラ21bは、それぞれの両端部において回転自在に現像装置4の筐体に支持されている。巻き取りローラ21aおよびシート保持ローラ21bは、これらに張架された層規制シート22の走行方向が、現像ブレード11と現像ローラ7との当接部における現像ローラ7表面の略接線方向となるように配置されている。これにより、現像ブレード11の現像ローラ7への押圧力が、層規制シート22の走行によって影響されることを抑制することができる。巻き取りローラ21aの軸方向一端部には、巻き取りローラ駆動ギアG7が取り付けられている。本実施の形態では、巻き取りローラ21aおよびシート保持ローラ21bは、いずれも外径5mmの金属製シャフトで構成されている。
支持部材18は、当接部材11が取り付けられた部分から、当接部材11の上方を延在し、巻き取りローラ21aの近傍まで達する延在部18cを有している。延在部18cの巻き取りローラ21a側の端部には、長手方向全域に亘ってシール部材19a(クリーニング手段)が設けられている。このシール部材19aは、スポンジ等の弾性フォームで形成されており、巻き取りローラ21aの表面に当接しており、層規制シート22が巻き取りローラ21aに巻き取られる際に、層規制シート22に付着したトナーを除去する効果がある。また、支持部材18は、巻き取りローラ21aとは反対側の端部が、シート保持ローラ21bの近傍に達しており、当該端部には、長手方向全域に亘ってシール部材19b(クリーニング手段)が設けられている。このシール部材19bは、スポンジ等の弾性フォームで形成されており、現像装置4の筐体上部(図2に符号4bで示す)と当接し、図2に示すように、現像装置4内部のトナー9が外部に漏れ出すのを防ぐシール部材として作用する。
図5は、巻き取りローラ21aへの回転伝達系統を示す模式図である。図5に示すように、画像形成部10には、モータ等の駆動手段M1と、駆動手段M1の出力軸に取り付けられたギアG1と、このギアG1に係合し、感光体ドラム1の回転軸に取り付けられたドラム駆動ギアG2と、ドラム駆動ギアG2に係合し、現像ローラ7のシャフト7aに取り付けられた現像ローラ駆動ギアG3と、現像ローラ駆動ギアG3に係合するアイドルギアG4と、アイドルギアG4に係合し、供給ローラ12のシャフト12aに取り付けられた供給ローラ駆動ギアG5と、現像ローラ駆動ギアG3に係合するウォームギアG6と、ウォームギアG6(減速手段)に係合し、巻き取りローラ21aに取り付けられた巻き取りローラ駆動ギアG7とを有している。駆動手段M1の回転は、ギアG1およびドラム駆動ギアG2を介して感光体ドラム1に伝達され、さらに現像ローラ駆動ギアG3、アイドルギアG4、供給ローラ駆動ギアG5、ウォームギアG6、巻き取りローラ駆動ギアG7に伝達され、現像ローラ7、供給ローラ12、巻き取りローラ21aがそれぞれ回転する。巻き取りローラ21aは、ウォームギアG6の減速作用により、後述するように0.006366回転/秒の回転速度で回転する。
図6は、現像装置4における現像ローラ7、供給ローラ12および現像ブレード11への印加電圧の制御系を示すブロック図である。現像ローラ7には、現像電圧印加部63から例えば−200Vの電圧が印加され、供給ローラ12には、供給電圧印加部62から例えば−300Vの電圧が印加され、現像ブレード11には、ブレード電圧印加部61から例えば−300Vの電圧が印加される。現像電圧印加部63、供給電圧印加部62およびブレード電圧印加部61は、電圧制御部51により制御される。
なお、上述した層規制シート22を現像ローラ7に対して押圧する現像ブレード11としては、上述したように曲げ加工した板ばねを用いる代わりに、例えば、図7に示す変形例のように、現像ローラ7の軸方向に長い接触面(平面)を有する弾性体または剛性体からなる当接体11aを板ばね11cの先端に取り付け、当接体11aの接触面を現像ローラ7に押圧してもよい。また、図8に示す別の変形例のように、現像ローラ7の軸方向に平行なシャフト11bを板ばね11cの先端に取り付け、当該シャフト1bの外周面(曲面)を現像ローラ7に押圧してもよい。
図9(A)および(B)は、現像装置4の使用開始直後と、現像装置4の寿命時における層規制ユニット20および現像ローラ7を示す模式図である。現像装置4の使用開始直後は、図9(A)に示すように、シート保持ローラ21bの層規制シート22を含む外径は約9.38mmであり、巻き取りローラ21aの外径は5mmである。一方、現像装置4の寿命時、すなわち図9(B)に示すように層規制シート22がほぼ全て巻き取りローラ21aに巻き取られた状態では、シート保持ローラ21bの外径は5mmとなり、巻き取りローラ21aの外径は約9.38mmとなる。
上述したシール部材19aは、スポンジ等の弾性フォームで形成されているため、図9(A)および図9(B)に示すように層規制シート22の巻き取りによって巻き取りローラ21aの外径が増加しても、シールおよびクリーニング性能は損なわれない。例えば、図9(B)に示した状態では、巻き取りローラ21aの外径の増加(5mmから9.38mm)に伴い、シール部材19aは、S=2.19mmだけ変形している。
ここで、層規制シート22の長さLについて説明する。層規制シート22の走行方向の長さLは、現像装置4の寿命まで走行可能な長さが必要である。巻き取りローラ21aは、V=0.006366回転/秒の一定の回転速度で回転し、初期状態では外径dが5mmであるため、層規制シート22は0.1mm/秒(5π×V)の速度で走行する。感光体ドラム1は、外径が30mmであり、印刷中の回転速度は158.6rpmである。ここでは、現像装置4の寿命を、感光体ドラム1の累計回転数が91000回転に相当する寿命とする。これより、現像装置4の寿命までの総印刷時間は、約34450秒(=91000/158.6×60)となる。従って、現像装置4の寿命までの巻き取りローラ21aの総回転数nは、約220回転(=34450×0.006366)となる。巻き取りローラ21aの外径は、1回転するごとに2t(t:層規制シート22の厚さ)ずつ増加するため、現像装置4の寿命まで走行可能な層規制シート22の長さLは、
L=nπd+n(n−1)πt
で表される。この式に、d=5mm、n=220回、t=0.01mmを代入すると、L=4970mmとなる。すなわち、層規制シート22の走行方向の長さが4970mmまたはそれ以上であれば、現像装置4の寿命までの走行が可能となる。
続いて、第1の実施の形態における画像形成装置の動作について説明する。画像形成装置の制御部(図示せず)は、パーソナルコンピュータ等の上位装置からの印刷命令を受信すると、図5に示す駆動手段M1を駆動し、ギアG1およびドラム駆動ギアG2を介して、感光体ドラム1を一定の周速度で回転させる。感光体ドラム1の回転に従って、現像ローラ駆動ギアG3、アイドルギアG4、供給ローラ駆動ギアG5、ウォームギアG6、巻き取りローラ駆動ギアG7が回転し、これにより現像ローラ7、供給ローラ12および巻き取りローラ21aが回転する。また、制御部は、感光体ドラム1の表面に当接して配置された帯電ローラ2に直流電圧を印加し、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。
制御部は、さらに、図2に示した露光装置3を駆動し、画像信号に応じた光を感光体ドラム1に照射し、感光体ドラム1の表面に静電潜像を形成する。また、図6に示した電圧制御部51を介して、供給電圧印加部62から供給ローラ12にバイアス電圧が印加され、現像電圧印加部63から現像ローラ7にバイアス電圧が印加され、ブレード電圧印加部61から現像ブレード11にバイアス電圧が印加される。現像ローラ7と供給ローラ12との間には電位差による電界が生じており、現像装置4内に収容されているトナー9は、供給ローラ12の回転によって摩擦帯電されているため、上記電位差による電界によって現像ローラ7に供給される。現像ローラ7は、摩擦帯電されたトナー9を保持して図2に矢印で示す方向に回転し、層規制シート22との当接部を通過することにより、現像ローラ7の表面に均一な厚さのトナー薄層が形成される。層規制シート22は、現像ブレード11により現像ローラ7表面に押圧されているため、トナー9と層規制シート22および現像ローラ7との摩擦によっても摩擦帯電される。また、現像ブレード11には、上記のブレード電圧印加部61によりバイアス電圧が印加されているため、電荷の移動によるトナー帯電も行われる。
このようにして現像ローラ7と層規制シート22との当接部を通過したトナー9は、現像ローラ7の回転により感光体ドラム1と対向する側に搬送され、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像に付着する。これにより静電潜像が現像される。
一方、感光体ドラム1等の回転開始とほぼ同時に、図1に示した駆動ローラ15aおよび従動ローラ15bの回転により転写ベルト13が矢印方向に回転(周回移動)し、また、用紙カセット27からホッピングローラ28により記録用紙Pが搬送路に送り出され、搬送ローラ29aおよびレジストローラ29bにより転写ベルト13まで搬送され、転写ベルト13により画像形成部10K,10Y,10M,10Cを通過するように搬送される。また、各画像形成部10の感光体ドラム1に対向する各転写ローラ14に、図示しない電圧印加部より高電圧が印加され、各感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が記録用紙Pに順次転写される。
トナー像が転写された記録用紙Pは、転写ベルト13により定着装置17へ搬送される。トナー9は、定着装置17のヒートローラ17aおよびプレスローラ17bにより加熱・加圧されることにより、溶融して記録用紙Pの繊維間に浸透し、記録用紙Pに定着される。トナー像が定着された記録用紙Pは、排出ローラ30により画像形成装置の外部に送出される。なお、感光体ドラム1の表面には、トナー像の転写後にトナー9が僅かに残留する場合があるが、この残留トナー9は、クリーニングブレード6によって除去され、感光体ドラム1は繰り返し利用される。
ここで、現像装置4の作用について説明する。上述したように、層規制シート22は、回転白在なシート保持ローラ21bに保持されていると共に、一端部が巻き取りローラ21aに固定されており、巻き取りローラ21aの回転により走行する。巻き取りローラ21aがV=0.006366回転/秒の回転速度で回転すると、層規制シート22は走行速度0.1mm/秒(=V×5π)の速度で走行する。層規制シート22が、現像ブレード11の押圧力により現像ローラ7と接触することにより、走行方向と反対方向に回転する現像ローラ7表面の単位面積当たりのトナー量を規制し、トナー薄層を形成する。層規制シート22は、シール部材19aに当接することにより表面のトナーがクリーニングされた状態で、巻き取りローラ21aに巻き取られる。
このように、層規制シート22は、常に、印刷動作の影響による劣化のない表面で、現像ローラ7に当接し、単位面積当たりのトナー量を規制する。また、層規制シート22の走行、すなわち巻き取りローラ21aによる層規制シート22の巻き取りは、専用の駆動源を用いることなく、図5に示した駆動手段M1の駆動力を利用して行われる。
次に、本実施の形態による効果を、図10に示す比較例、および図11〜図13に示すグラフを参照して説明する。図10は、第1の実施の形態に対する比較例の現像装置104を含む画像形成部を示す図である。図10に示す比較例の現像装置104は、層規制シート22を有しておらず、代わりに、層規制ブレード101を常に一定の位置(曲げ部分)で現像ローラ7の表面に当接させるよう構成されている。
図11は、本実施の形態における現像装置4を備えた画像形成装置を用いて、感光体ドラム1の累積回転数が91000回転(現像装置4の寿命)に達するまで連続印刷を行い、感光体ドラム1の回転数が約9100回転する毎に測定した層規制シート22の磨耗量を、比較例と対比して示すグラフである。
連続印刷条件は、次のとおりである。温度23℃、湿度40%の環境下で、印刷領域全面に対してグレースケール濃度5%DUTYにて印刷を行った。現像装置4内のトナー減少に伴うトナー補充は、感光体ドラム1の累積回転数が35000回転および75000回転に達したときに行った。本実施の形態の層規制シート22および比較例の層規制ブレード101の磨耗量は、レーザー顕微鏡VK−8510(株式会社キーエンス製)を用いて、連続印刷開始時および連続印刷後(感光体ドラムの9100回転毎)の高さの差から求めた。磨耗量が2.5μm以下の場合には「良好」とし、2.5μmよりも大きいばあいには「不良」とした。
図12は、図11と同様の条件で連続印刷を行ったときの、現像ローラ7の表面の1平方センチメートルあたりのトナー量の変化を、比較例と対比して示すグラフである。1平方センチメートルあたりのトナー量の変化が、連続印刷開始から91000回転までの期間に亘って0.15mg/cm2以内の場合には「良好」とし、0.15mg/cm2を超えた場合には「不良」とした。
図13は、連続印刷を行ったときの画像濃度の変化を、比較例と対比して示す図である。連続印刷では、DUTY100%のいわゆるベタ画像を形成し、ベタ画像の濃度を濃度計X−Rite528(X−Rite社製)によりO.D.(Optical density)値として測定した。他の連続印刷条件は、図11の連続印刷条件と同様とした。O.D.値が、連続印刷開始から91000回転までの期間に亘って1.35〜1.55の範囲に収まった場合には「良好」とし、当該範囲から外れた場合には「不良」とした。
図11の結果から、第1の実施の形態による層規制ユニット20を用いた場合には、印刷動作による層規制シート22の磨耗はほぼ発生しておらず、比較例の層規制ブレード101(図10)を用いた場合と比較して優れた結果が得られていることが分かる。また、図12および図13の結果から、第1の実施の形態では、トナー付着量や画像濃度の経年変化が、比較例と比較して極めて小さく、良好範囲にあることがわかる。
この結果は、以下のような理由によると考えられる。すなわち、比較例の層規制ブレード101(図10)は、所定の曲率半径を与えられた曲げ部分で現像ローラ7と当接するものであり、曲率半径が大きいほど現像ローラ7表面のトナー薄層の厚さ(単位面積当たりのトナー量)が増加することが知られているが、連続印刷に伴う磨耗によって曲率半径が徐々に大きくなるため、トナー薄層の厚さに変動が生じることが考えられる。これに対し、本発明の第1の実施の形態における層規制ユニット20を用いた場合は、連続印刷を行っても、層規制シート22が常に新しい面(摩耗していない面)で現像ローラ7に当接してトナー薄層の厚さを規制するため、単位面積当たりのトナー量が一定に保たれ、画像品質が安定すると考えられる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、現像ローラ7と現像ブレード11との間に、走行する層規制シート22を設けたことにより、常に、層規制シート22の摩耗していない面で現像ローラ7表面の単位面積当たりのトナー量(トナー薄層の厚さ)を規制することができる。そのため、現像装置4の寿命までの期間に亘って、現像ローラ7表面のトナー薄層の厚さを一定に保つことができ、画像の濃度を一定に保ち、画像品質を安定化させることができる。
また、層規制シート22を巻き取りローラ21aで巻き取る構成のため、層規制シート22の摩耗していない面によるトナー量の規制を、コンパクトな装置構成で実現することができる。
また、層規制シート22に付着したトナー等を除去するシール部材19aを設けたことにより、トナーが付着していない層規制シート22を巻き取りローラ21aで巻き取ることができる。そのため、例えば、層規制シート22の再利用も可能になる。
また、層規制シート22の走行方向を、当接部における現像ローラ7の表面の移動方向と逆方向としたことにより、層規制シート22に付着したトナーを現像装置4の内部に向かって移動させることとなり、現像装置4の外部へのトナーの漏れを抑制することができる。
なお、層規制シート22は絶縁性部材であっても良いが、上述したように導電性部材(金属等)であることがより好ましい。層規制シート22を介してトナーに電荷を注入し、帯電させることができるためである。
第2の実施の形態.
図14は、本発明の第2の実施の形態における現像装置4を含む画像形成部10の構成を示す側断面図である。図15は、第2の実施の形態における層規制ユニット20aを示す側断面図である。図16は、第2実施の形態におけるシート搬送ローラ21cへの駆動力の伝達系統を示す図である。なお、第2の実施の形態における現像装置および画像形成装置は、以下で説明する層規制ユニット20aの構成を除き、第1の実施の形態の現像装置および画像形成装置と同様である。
図14および図15に示す第2の実施の形態の層規制ユニット20aは、無端状(エンドレス形状)の層規制シート22aを有する点で、第1の実施の形態の層規制ユニット20(図3)と異なる。また、第2の実施の形態の層規制ユニット20aは、第1の実施の形態で説明した巻き取りローラ21aおよびシート保持ローラ21bを有しておらず、代わりに、層規制シート22aが張架されたシート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eを有する点で、第1の実施の形態の層規制ユニット20と異なる。また、第2の実施の形態の層規制ユニット20aは、後述するシール部材19cを有する点でも、第1の実施の形態の層規制ユニット20と異なる。
図15において、層規制ユニット20aは、現像ローラ7表面の単位面積当たりのトナー量(トナー薄層の厚さ)を規制するものである。第2の実施の形態における層規制ユニット20aは、現像ブレード11と、現像ブレード11を支持する支持部材18と、シール部材19bと、層規制シート22aと、シート搬送ローラ21c(駆動ローラ)と、テンションローラ21d,21eとを備えて構成されている。また、現像装置4の筺体上部4bと層規制シート22aとの間には、シール部材19cがシール部材19bと対向するように設けられている。
現像ブレード11は、第1の実施の形態と同様、厚さが約80μmのステンレス(SUS304)製の板ばねであり、その長手方向の寸法は、現像装置4内のトナー槽4aの長手方向の寸法と略一致している。現像ブレード11の幅方向の一方の側は、固定具23により支持部材18に固定されている。現像ブレード11の曲げ部分から支持部材18までの長さは約12.5mmであり、曲げ部分から先端までの長さは約1.5mmである。現像ブレード11は、その曲げ部分が、例えば20g/cmの押圧力で、後述する層形成シート22aを介して現像ローラ7の表面に押し当てられている。なお、押圧力は20g/cmに限定されるものではないが、50g/cmまでであることが好ましい。
支持部材18は、例えば鋼板により形成されており、例えば現像装置4の筐体内に固定されている。支持部材18は、第1の実施の形態でも説明したように、例えば、2枚の鋼板の間に現像ブレード11を挟み込み、ねじ等の固定具23で互いに固定される。
無端状の層規制シート22aは、現像ブレード11の長手方向の長さと略同一の幅を有する導電性のシートであり、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eに走行可能に張架されている。ここでは、層規制シート22aとして、厚さ10μm、幅230mm、周長150mmのステンレス(SUS304)製シートを用いているが、これらの厚さ、長さ、材質に限定されるものではない。層規制シート22aの幅は、少なくとも印宇領域以上の幅であればよい。
シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eは、いずれも両端部が回転白在に現像装置4の筐体に支持されている。また、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eは、これらに張架された層規制シート22aの走行方向が、当接部材18と現像ローラ7の当接部における現像ローラ7表面の略接線方向となるように配置されている。このように構成されているため、現像ローラ7への現像ブレード11の押圧力に対する層規制シート22aの影響を抑制することができる。本実施の形態では、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eは、いずれも直径8mmの金属製シャフトとしている。
また、シート搬送ローラ21cの一端部には、ギアG70が設けられている。図16に示すように、シート搬送ローラ21cへの回転伝達系統は、第1の実施の形態(図5)と略同様であるが、巻き取りローラ駆動ギアG7(図5)の代わりに、シート搬送ローラ駆動ギアG70が設けられ、ウォームギアG6(図5)の代わりに、ウォームギアG60が設けられている点が異なる。シート搬送ローラ21cは、ウォームギアG60の減速作用により、約0.24rpm(=0.003980回転/秒)の回転速度で回転する。
この第2の実施の形態では、支持部材18は、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eに張架された層規制シート22aの内側に位置している。支持部材18の層規制シート22aが固定された側と反対側の端部(上端部)は、現像装置4の筐体上部4bに対向しており、その長手方向全域に亘ってシール部材19bが設けられている。シール部材19bに対向するように、現像装置4の筐体上部4bには、現像装置4のトナー槽に面してシール部材19cが設けられており、図15に示すように、シール部材19b,19cが層規制シート22aを両面から押圧する。このような構成により、現像装置4内部のトナー9が外部に漏れ出すのを防ぐと共に、層規制シート22aに付着したトナーや他の異物を除去することができる。
本発明の第2の実施の形態の動作について説明をする。画像形成装置の基本的な動作は第1の実施の形態と共通であるため、ここでは第1の実施の形態と異なる動作について説明する。
画像形成装置の制御部(図示せず)は、パーソナルコンピュータ等の上位装置からの印刷命令を受信すると、図16に示す駆動手段M1を駆動し、ギアG1およびドラム駆動ギアG2を介して、感光体ドラム1を一定の周速度で回転させる。感光体ドラム1の回転に伴い、現像ローラ駆動ギアG3、アイドルギアG4、供給ローラ駆動ギアG5、ウォームギアG60、シート搬送ローラ駆動ギアG70が回転し、これにより現像ローラ7、供給ローラ12およびシート搬送ローラ21cが回転する。また、制御部は、感光体ドラム1の表面に当接して配置された帯電ローラ2に直流電圧を印加し、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる。シート搬送ローラ21cは、ウォームギアG60の減速作用により、約0.24rpmの回転速度で回転する。
層規制シート22aは、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eに張架されているため、それぞれのローラ周面との摩擦により、シート搬送ローラ21cの回転に従って走行速度0.1mm/秒で、図15に矢印で示す方向に走行する。
層規制シート22aは、現像ブレード11の押圧力により現像ローラ7と接触し、走行方向と反対方向に回転する現像ローラ7表面の単位面積当たりのトナー量(トナー薄層の厚さ)を規制する。層規制シート22aが、現像ブレード11により現像ローラ7表面に押圧されているため、トナー9と層規制シート22aおよび現像ローラ7との摩擦による摩擦帯電が生じる。また、現像ブレード11には、第1の実施の形態で説明したようにバイアス電圧が印加されているため、電荷の移動によるトナー帯電も行われる。
層規制シート22aは、図15に矢印で示す方向に走行しながらテンションローラ21dを通過し、シール部材19bおよびシール部材19cによって層規制シート22aの表面に付着したトナー等が除去され、テンションローラ21eに至る。このようにして層規制シート22aは走行を繰り返す。
感光体ドラム1は、第1の実施の形態と同様、外径が30mmで、印刷中の回転速度は158.6rpmである。また、現像装置4の寿命は、感光体ドラム1の累計回転数91000回転に対応するように設定されており、約34450秒となる。層規制シート22aは約0.1mm/秒の速度で走行するため、現像装置4の寿命までの期間における層規制シート22aの回転数は、約23回転となる。
なお、上述した層規制シート22aを現像ローラ7に対して押圧する現像ブレード11として、上述したように曲げ加工した板ばねを用いる代わりに、例えば、図17に示す変形例のように、現像ローラ7の軸方向に長い接触面(平面)を有する弾性体または剛性体からなる当接体11aを板ばね11cの先端に取り付け、当接体11aの接触面を現像ローラ7に押圧してもよい。また、図18に示す別の変形例のように、現像ローラ7の軸方向に平行なシャフト11bを板ばね11cの先端に取り付け、当該シャフト1bの外周面(曲面)を現像ローラ7に押圧してもよい。
第2の実施の形態による効果を、図19〜図21を参照して説明する。
図19は、第2の実施の形態における現像装置4を備えた画像形成装置を用いて、感光体ドラム1の累積回転数が91000回転(現像装置4の寿命)に達するまで連続印刷を行い、感光体ドラム1の回転数が約9100回転する毎に測定した層規制シート22の摩耗量を、比較例(図10)と対比して示すグラフである。連続印刷条件および良否判断基準は、第1の実施の形態において説明したとおりである。
図20は、図19と同様の条件で連続印刷を行ったときの、現像ローラ7表面の1平方センチメートルあたりのトナー量の変化を、比較例と対比して示すグラフである。連続印刷条件および良否判断基準は、第1の実施の形態において説明したとおりである。
図21は、連続印刷を行ったときの画像濃度の変化を、比較例と対比して示す図である。連続印刷条件および良否判定基準は、第1の実施の形態において説明したとおりである。
図19の結果から、第2の実施の形態による層規制ユニット20aを用いた場合には、印刷動作による層規制シート22aの磨耗が2.5μm以下に抑えられることが分かる。また、図19〜図20の結果から、第2の実施の形態では、トナー付着量や画像濃度の経年変化が、比較例と比較して極めて小さく、良好範囲にあることがわかる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様、現像装置4の寿命までの期間に亘って、現像ローラ7表面の単位面積当たりのトナー量(トナー薄層の厚さ)を一定に保つことができ、これにより画像の濃度を一定に保ち、画像品質を安定化させることができる。
加えて、層規制シート22aを無端状に構成することにより、第1の実施の形態と比較して層規制シートを構成するシート部材の量を少なくすることができ、部品コストを低減することができる。
なお、上記の説明では、層規制シート22aが、シート搬送ローラ21cおよびテンションローラ21d,21eの合計3本のローラに張架されていたが、ローラの数は2本以上であればよく、そのうちの少なくとも一本が駆動ローラであればよい。
上述した各実施の形態では、画像形成装置の一例としてカラープリンタについて説明したが、本発明は、モノクロプリンタに適用することもでき、また、複写機、ファクシミリ、複合機等に適用することもできる。
また、上記の各実施の形態では、巻き取りローラ21a(第1の実施の形態)およびシート搬送ローラ21c(第2の実施の形態)が、感光体ドラム1や現像ローラ7等と共通の駆動手段M1により走行していたが、別の駆動手段によって走行するものであってもよい。