JP5328132B2 - 半導体加工用テープ - Google Patents
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Description
粘着剤の接着力昂進を抑制する手段としては、シリコーンオイル等のブリード剤(接着力調整剤)を配合することが知られている。しかしながら、このようなブリード剤を配合した場合、剥離後の半導体の表面に接着力調整剤が残存し、このような汚染した半導体を用いて製造した半導体パッケージ部品は内部に揮発性の有機分を含むため電子部品としての信頼性が劣ることがあるという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
本発明の半導体加工用テープは、一方の面にのみ粘着剤層が形成された片面粘着テープであってもよく、両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープであってもよい。
上記光硬化型粘着剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系の重合性ポリマーと、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーとを主成分とし、必要に応じて光重合開始剤を含んでなる光硬化型粘着剤を用いたもの等が挙げられる。
このような光硬化型粘着剤からなる粘着剤層は、光の照射により粘着剤層の全体が均一にかつ速やかに重合架橋して一体化するため、重合硬化による弾性率の上昇が著しくなり、粘着力が大きく低下する。
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
上記分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合性ポリマーと(メタ)アクリル系オリゴマーとは、いずれも(メタ)アクリル系であることから室温における相溶性は比較的高く、充分な粘着力を発揮することができる。
しかしながら、加熱高温時には分子が自由に運動しやすい状態になるため、構成モノマーが異種のものである(構造が異なる)ことに由来する相溶性の低下によって(メタ)アクリル系オリゴマーがブリードアウトしやすくなる。更に光照射により、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合性ポリマーが架橋して硬化すると同時に(メタ)アクリル系オリゴマーとも反応して化学結合することから、ブリードアウトした(メタ)アクリル系オリゴマーが半導体上に移行することもない。これらのブリード剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、市販品としては、例えば、NKエステルAPG−700(新中村化学工業社製)、NKエステルA−BPE−30(新中村化学工業社製)、NKエステルA−B1206PE(新中村化学工業社製)、NKエステルA−1000(新中村化学工業社製)等を用いることができる。
なお、ここで120℃以上としたのは、スパッタリング、ドライエッチング、酸変性、蒸着の半導体の加熱工程の多くが120℃以上に加熱するものであること、及び、一般に粘着剤の接着力昂進は120℃以上に加熱されたときに特に著しいこと等を勘案したものである。
(1)光硬化型粘着剤の調製
下記の化合物を酢酸エチルに溶解させ、紫外線を照射して重合を行い、重量平均分子量70万のアクリル共重合体からなる光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液を得た。
ブチルアクリレート 79重量部
エチルアクリレート 15重量部
アクリル酸 1重量部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 5重量部
光重合開始剤 0.2重量部
(イルガキュア651、50%酢酸エチル溶液)
ラウリルメルカプタン 0.01重量部
得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、2−イソシアナトエチルメタクリレート3.5重量部を加えて反応させ、更に、反応後の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、アクリル系オリゴマー(新中村化学社製、NKオリゴU−324A:主鎖ウレタン骨格、分子量1300)20重量部、光重合開始剤(イルガキュア651)5重量部、ポリイソシアネート0.5重量部を混合し粘着剤層用組成物溶液を調製した。
得られた粘着剤層用組成物溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ75μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのコロナ処理上に乾燥皮膜の厚さが約15μmとなるようにドクターナイフで塗工し110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。乾燥後の粘着剤層は乾燥状態で粘着性を示した。次いで、粘着剤層の表面に離型処理が施されたPETフィルムを貼り付けた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、半導体加工用テープを得た。
アクリル系オリゴマーとして新中村化学工業社製、NKエステルAPG−200(主鎖ポリプロピレングリコール骨格、分子量約300)を用いた以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液、半導体加工用テープを得た。
アクリル系オリゴマーとして新中村化学社製、NKエステルAPG−700(主鎖ポリプロピレングリコール骨格、分子量約800)を用いた以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液、半導体加工用テープを得た。
アクリル系オリゴマーとして新中村化学社製、NKエステルA−200(主鎖ポリエチレングリコール骨格、分子量約300)を用いた以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液、半導体加工用テープを得た。
アクリル系オリゴマーとして新中村化学社製、NKエステルA−BPE−30(主鎖ポリエチレングリコール骨格、分子量約1700)を用いた以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液、半導体加工用テープを得た。
参考例1で得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液に、(メタ)アクリル系オリゴマーを添加しなかった以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液を調製し、これを用いて半導体加工用テープを製造した。
参考例1で得られた光硬化性粘着剤の酢酸エチル溶液に、アクリル系オリゴマー40重量部に代えてシリコーンオイル(信越化学社製、KF−96−10cs)2重量部を添加した以外は参考例1と同様にして粘着剤層用組成物溶液を調製し、これを用いて半導体加工用テープを製造した。
実施例、参考例及び比較例1、2で製造した半導体加工用テープについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
得られた半導体加工用テープをバックグラインドテープとして用い、回路が形成されていない厚み700μmのシリコンウエハ(ベアウエハ)の回路面をテープ側として貼り付け、シリコンウエハを70μmの厚みに薄化研削した。次いで、全体を180℃、20分間加熱した。加熱後、シリコンウエハの研削面側にダイシングテープを貼り付け、吸着固定し、バックグラインドテープ側から超高圧水銀灯を利用して40mW/cm2の強度で1分間照射した後、バックグラインドテープを剥離した。10枚のウエハについて実施し、バックグラインドテープを剥離するときの応力でウエハの割れや、回路の破損が生じないか、回路面に粘着剤が残っていないかを観察した。
また、同様の評価を、段差約5μmの回路が形成された厚み700μmのシリコンウエハ(回路ウエハ)を用いて行った。
(1)で破損することなく剥離、ダイシングテープに転写できた回路シリコンウエハ(ベアウエハ)について、5mm×5mmにダイシングして半導体チップを得た。得られた半導体チップをダイアタッチフィルムを利用して回路基板にダイボンディングした後、樹脂封止を行い、ダイシングにより個片化して半導体パッケージを得た。
得られた半導体パッケージを、JEDECのレベルIIに準拠して前処理を行った後に、260℃に加熱したリフロー炉を通過させて、超音波探傷装置を利用して半導体パッケージ内部に気泡等が発生していないかを観察した。10個のチップについて観察し、気泡等の異常が認められなかった半導体パッケージの数を求めた。
Claims (1)
- 加熱工程を有する半導体の加工時において半導体に貼付してこれを保護するための半導体加工用テープであって、
基材の少なくとも一方の面に、光硬化型粘着剤と光を照射したときに前記光硬化型粘着剤と反応する光反応性基を有するブリード剤とを含有する粘着剤層を有し、
前記光硬化型粘着剤は、分子内にラジカル重合性の不飽和結合を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合性ポリマーであり、
前記光反応性基を有するブリード剤は、ラジカル重合性の不飽和結合を有し、かつ、主鎖構造中にポリプロピレングリコール構造又はポリエチレングリコール構造を有する(メタ)アクリル系オリゴマーである、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、又は、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートであり、
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合性ポリマーを構成するモノマーと前記(メタ)アクリルオリゴマーを構成するモノマーとが異種のものである
ことを特徴とする半導体加工用テープ。
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