JP5319940B2 - 熱転写インクリボン用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写記録方式における熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムに関するものである。
熱転写記録方式は、コストパフォーマンス、メンテナンスに優れ、印刷速度が速くかつ操作も簡単であることから、これを用いたFAX、バーコード印刷、デジタル写真印刷の分野で用いられている。特に、写真などの画像のデジタル化が進んだことから、デジタル画像印刷用などでの発展が著しく、その市場は急激な広がりを見せている。
熱転写記録方式は、熱転写インクリボンの熱転写インク面と記録体と重ね、熱転写インクリボンを熱転写インク面の反対側からサーマルヘッドを押し当てて加熱し、熱転写インクを溶融ないし昇華させて記録体上に転写させることにより、記録体上に画像などを形成させる方式である。
従来の熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムは、熱収縮率とフィルム表面の突起を規定することで加工性、印字性を高めたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、幅方向の温度寸法変化率を規定することで印字皺を防止しているものがある(特許文献2参照)。
しかしながら、従来の熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムでは、熱転写インクリボン送り側のバックテンションが弱く、蓄熱しやすい安価な熱転写プリンタにおいて、皺の発生を高度に抑えることは困難な状況である。
特開2002−36736号公報 特開平10−264337号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、熱転写インクリボン送り側のバックテンションが弱く、蓄熱しやすい熱転写プリンタにおいても、リボンの縮みが極力少なく、熱転写時の皺発生防止に好適な熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムを安価で提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、細孔容積が0.50〜1.50ml/gであり、平均粒径が2.6〜4.5μmの多孔質シリカ粒子を0.04〜0.15重量%含有し、23〜230℃におけるフィルム長手方向の最大収縮応力が10〜24g/cmであり、200℃での幅方向のフィルム加熱収縮率が−2.0〜2.5%であることを特徴とする熱転写インクリボン用二軸延伸ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは、単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明において二軸配向ポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
かかるポリエステルの極限粘度は、下限に関しては通常0.50以上、好ましくは0.55以上、さらに好ましくは0.58以上である。極限粘度が0.50未満では、フィルム製造時の生産性が低下したり、フィルムの機械的強度が低下したりするという問題が生ずることがある。一方、極限粘度が1.0を超えると、ポリマーの溶融押出が不安定となりフィルムの厚み斑が悪くなる傾向がある。好ましい極限粘度は1.0以下、さらに好ましくは0.80以下である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにおいて、少なくともサーマルヘッド側の最表層を形成する層は粒子を含有するが、必ずしも単層に限られるわけではなく、多層であってもよい。例えば、当該最表層をA層として、A層は単層以外の層はフィルム強度を上げるため実質的に粒子を含有しないか、含有してもその含有量が少ないB層を積層とした(A/B)の構成することができる。また、(A/B/C)の構成としてC層に粒子を含有させることもできる。
本発明のフィルム厚さは、サーマルヘッドの熱を熱転写インクに効率よく伝えるため、また熱転写インクリボンカセットをコンパクトとするためフィルム厚さの上限は、通常12μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。一方1μm未満では熱転写インクリボンが破れやすくなる傾向にある。好ましいフィルム厚さの下限は1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。
上記A層を形成するポリエステル層中には、熱転写時のサーマルヘッドのスライドと走行テンションを分散させることを主たる目的として、多孔質シリカ粒子を含有する必要があるが、多孔質シリカ粒子以外にも本発明の要旨を超えない限り、複数の粒子を含有してもよく、特に限定される訳ではない。多孔質シリカ粒子より粒径が小さく、ボイドの生成が小さな粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
本発明において、多孔質シリカ粒子の細孔容積が小さいほど粒子が硬くなる傾向にあり、その細孔容積の下限に関しては、0.50ml/g以上、好ましくは0.80ml/g以上、さらに好ましくは1.00ml/g以上である。細孔容積が0.50ml/g未満では、フィルム製膜時に発生するボイドがより大きくなり、熱転写の際粒子が脱落してサーマルヘッドに付着する。一方、細孔容積が1.50ml/gを超えるとフィルム製膜時に粒子が偏平となり、巻き取りが難しくなるので、細孔容積の上限は1.50ml/gである。
また、多孔質シリカ粒子の平均粒径の下限に関しては、2.6μm以上、好ましくは2.8μm以上、さらに好ましくは3.0μm以上である。平均粒径が2.6μm未満ではフィルムの巻き取りが難しくなる。一方、平均粒径が4.5μmを超えるとフィルム製膜時に発生するボイドがより大きくなり、熱転写の際粒子が脱落してサーマルヘッドに付着するので、平均粒径の上限は4.5μmであり、さらに好ましくは4.0μm以下である。
本発明において多孔質シリカ粒子の含有量に関しては、0.04重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.06重量%以上である。含有量が0.04重量%未満ではフィルムの巻き取りが難しくなる。一方、含有量が0.15重量%を超えると熱転写により形成された画像などの表面の光沢が悪くなるので、含有量の上限は0.15重量%、好ましくは0.13重量%である。
添加粒子を含むポリエステルの製造に際して、粒子はポリエステルの合成反応中に添加してもポリエステルに直接添加してもよい。合成反応中に添加する場合は、粒子をエチレングリコール等に分散させたスラリーとして、ポリエステル合成の任意の段階で添加する方法が好ましい。一方、ポリエステルに直接添加する場合は、乾燥した粒子として、または、水あるいは沸点が200℃以下の有機溶媒中に分散したスラリーとして、2軸混練押出機を用いてポリエステルに添加混合する方法が好ましい。なお、添加する粒子は、必要に応じ、こと前に解砕、分散、分級、濾過等の処理を施しておいてもよい。
粒子の含有量を調節する方法としては、上記した方法で高濃度に粒子を含有するマスター原料を作っておき、それを製膜時に、実質的に粒子を含有しない原料で希釈して粒子含有量を調節する方法が有効である。
また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを、本発明の効果を損なわない範囲内で含有していてもよい。
本発明のフィルムは、23〜230℃におけるフィルム長手方向の最大収縮応力は、10g/cm以上、好ましくは15g/cm以上、さらに好ましくは17g/cm以上である。最大収縮応力が10g/cm未満では、熱転写インクリボンが熱転写インクリボンの巻き取りテンションにより長手方向に伸び、幅方向に縮みやすくなり、皺が発生しやすくなる。一方、最大収縮応力が24g/cmを超えると熱転写インクリボン送り側で熱転写インクリボンが縮みやすくなり、皺が発生しやすくなる。最大収縮応力の上限は、好ましくは22g/cm、さらに好ましくは20g/cmである。
本発明のフィルムを200℃で15分間処理後のフィルム幅方向の熱収縮率は、−2.0%以上、好ましくは−1.0%以上、さらに好ましくは−0.5%以上である。熱収縮率が−2.0未満では、熱転写インクリボンが印画紙上で幅方向にタルミやすくなり、皺が発生しやすくなる。一方、熱収縮率が2.5%を超えると熱転写インクリボン送り側で熱転写インクリボンが幅縮みとなり、皺が発生しやすくなる。熱収縮率の上限は、好ましくは2.0%、さらに好ましくは1.0%である。
次に、本発明のフィルムの製造法を具体的に説明する。
まず、ポリエステル原料を、押出装置に供給する。すなわち、スリット状のダイから溶融シートとして押し出す。次に、溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。二軸延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、長手方向(MD方向)に延伸温度を80〜150℃、延伸倍率2.5〜4.5倍の範囲とする。延伸は一段階または二段階以上で行うことができる。次に幅方向、すなわち第一軸方向と直交する方向に一軸配向フィルムを一旦ガラス転移点以下に冷却するか、または冷却することなく、例えば80〜150℃の温度範囲に予熱して、さらにほぼ同温度の下で3.5〜5倍、好ましくは4.0〜4.7倍に延伸を行い、30%以内の伸長、制限収縮、または定長下で200〜250℃、0.3秒〜5分間熱処理することで二軸に配向したフィルムの最大収縮応力を前記の範囲内に収めることができる。
なお、第一軸方向の延伸を2段階以上で行うことは、良好な厚さ均一性を達成できるので好ましい。また、横延伸した後、さらに長手方向に再延伸する方法も可能である。また、第1軸方向とその直交する方向の延伸を同時に行う、いわゆる同時二軸延伸でも可能である。
また、熱処理後、190〜170℃の範囲で1〜10%弛緩の範囲とし、弛緩は一段階または二段階以上で行うことができる。その後、フィルム温度が100℃以下となるまで幅方向にフィルムを保持冷却することでフィルムの熱収縮率をゼロに近づけることができる。
上述した延伸条件、熱処理条件、弛緩条件を適宜選択することにより、本発明の要件を満たすフィルムを得ることができる。
なお、本発明の効果を阻害しない範囲で、種々の最終用途に応じ、接触する層との接着性を付与するためにフィルム表面に塗布層を設けることができる。この接着性を付与するために、特に水性ポリエステル系ポリマーおよび水性アクリル系ポリマーから成る群から選ばれた少なくとも1種からなるポリマー(バインダーポリマー)が有用である。
また、塗布層の耐固着性(耐ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のために架橋性化合物としてメチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系等の化合物、エポキシ系化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱および光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを含有してもよい。さらに必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
上述の塗布液をポリエステルフィルムに塗布する方法としては原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーターあるいはこれら以外の塗布装置を用いることができる。
本発明において、コストの点から、塗布層を設けるには、フィルム製造工程内で塗布する、いわゆるインラインコーティング方法を推奨する。
フィルム製造工程内で塗布する方法としては、ポリエステル未延伸フィルムに塗布液を塗布し、逐次あるいは、同時に二軸延伸する方法、一軸延伸されたポリエステルフィルムに塗布し、さらに先の一軸延伸方向と直角の方向に延伸する方法、あるいは二軸延伸ポリエステルフィルムに塗布し、さらに横および/または縦方向に延伸する方法などがある。
本発明のフィルムによれば、近年望まれているあらゆる環境温度での熱転写においても、高速で皺などによる写真などの印画物の欠陥発生が少なく、耐環境適応性が高い熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)多孔質シリカ粒子の平均粒径(d50)(μm)
島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2000)で測定し、メジアン径(μm)をシリカ粒子の平均粒径(d50)とした。
(3)多孔質シリカ粒子の細孔容積(ml/g)
試料0.10〜0.15gを秤量し、柴田科学製SA−1100型迅速表面積測定装置により測定した。測定法=BET1点法
(4)多孔質シリカ粒子の給油量(ml/100g)
JIS−K5101により測定した。
(5)フィルム流れ方向の最大収縮応力(g/cm)
フィルムサンプルをフィルム長手方向(MD方向)に300mm、幅方向に10mmの大きさとなるようにサンプリングする。INTESCO製微小定荷重装置に、チャック間距離が200mmとなるようにサンプルをセットし、初期荷重5g/10mm幅 となるように荷重設定し、昇温速度4℃/分で230℃まで昇温した時の応力変化を測定し、23〜230℃の範囲における最大収縮応力を読み取った。
(6)200℃での幅方向のフィルム加熱収縮率(%)
試料フィルムの幅方向(TD方向)に短冊型の試験片を切り出し、熱風循環式恒温槽内に入れて、200℃で15分間加熱処理し、取り出した後に空冷し、全長をステンレス製スケールで測定し、幅方向の加熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=|[(元長―加熱後の長さ)/(元長)]|×100
(7)熱転写インクリボンの作製
熱転写インクリボン用ポリエステルフィルムとして作製した良品ロールを巻きだして、一方の面に、全面にわたってバックコート層用塗料をグラビアコート方式により塗工後、55℃のオーブンにて5日間保存し硬化させてバックコート層を形成した。バックコート層用塗料は、ポリビニルアセタール系樹脂としてデンカブチラール#3000K(電気化学工業(株)製)を5.0重量部と、イソシアネートとしてコロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)を0.5重量部と、燐酸エステルとしてフォスファノールGB520(東邦化学(株)製)を20重量部と、シリカとしてNipsil E−200A(日本シリカ工業(株)製)を0.5重量部と、メチルエチルケトンを37重量部と、トルエンを37重量部とを混合して調製した。続いて、バックコート層硬化後のロール状フィルムを再度巻きだして、バックコート層の反対面に、順次、イエロー(黄)、マゼンダ(赤)、シアン(青)、の各色の染料および、画像保護層(オーバーコート)用塗料を繰り返し、グラビアコーティングにより塗布、乾燥した。イエロー(黄)染料については、最終厚み1.0μmとなるように塗布し、塗料は、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)を2.0部とポリビニルアセトアセタールKS−5D(積水化学社製)を3.0部、メチルエチルケトンを47.5部とトルエンを47.5部とを混合して調製した。マゼンダ(赤)染料については、最終厚み1.0μmとなるように塗布し、塗料は、バイミクロンVPSN2670(バイエル社製)を3.0部とポリビニルアセトアセタールKS−5D(積水化学社製)を4.0部とメチルエチルケトンを46.5部とトルエンを46.5部とを混合して調製した。シアン(青)染料については、最終厚み1.0μmとなるように塗布し、塗料は、カヤセットブルー714(日本化薬社製)を4.0部とポリビニルアセトアセタールKS−5D(積水化学社製)を4.0部とメチルエチルケトンを46.0部とトルエンを46.0部とを混合して調製した。画面保護層用塗料については、最終厚み2.0μmとなるように塗布し、塗料は、セルロース・アセテートブチレート樹脂としてCAB500−0.5(イーストマンケミカル社製)を20.0重量部と、メチルエチルケトンを40.0重量部と、トルエンを40.0重量部とを混合して調製した。
(8)画像の作製(各色の転写および保護層の転写)
印画紙の染料受容層に印画、および熱転写するにあたり、キヤノン(株)製昇華型CONPACT PHOTO PRINTER SELPHY CP750シリーズ純正メディアのインクリボンの一部分を切断し、上記(7)に記載した方法にて作製したリボンを継いで貼りあわせることによって使用した。評価用印画物作成として、キヤノン(株)製昇華型CONPACT PHOTO PRINTER SELPHY CP750
(8−1)熱転写時の皺判定用画像(黒ベタ画像)の作製
具体的には、まず、Adobe社製のソフトウェアAdope Photo Shopを使用して、黒のベタ画像を作成し、そのデータを0℃±1℃に制御された部屋に設置されたプリンタCP750に転送、インクリボンの一部に、本発明の熱転写フィルムを置き換えたインクリボンを使用して、印画紙に黒ベタ画像を当該プリンタの熱転写ヘッドにより転写印画した後、その画像上に保護層をベタ転写し、黒ベタの最終画像を300枚繰り返した後に得た。
(8−2)光沢度の判定用画像(白ベタ画像)の作製
上記(8−1)とまったく同様の方法にて、印画紙に白ベタ画像を転写印画した後、その画像上に保護層をベタ転写し、白ベタの最終画像を得た。
(9)熱転写時の皺(欠陥)
上記(8−1)で記載した方法にて作製した最終画像の表面の画像欠陥を目視観察した。すなわち、各色の転写時にリボンにしわが入った場合には、しわ部分の色の転写が行われず、最終色が黒(=黄+赤+青の合成)にならず、他の色になり、目視にて判断できる。画像欠陥を以下の基準で判定した。
◎:皺による画像欠陥がまったく認められず、優秀
○:熱転写後の熱転写インクリボンに皺が、わずかに認められるが、皺による画像欠陥は認められず、良好
△:皺による画像欠陥が、わずかに認められるが、実用上、問題ないレベル
×:皺による画像欠陥が、実用に耐えないレベルであり、不良
(10)熱転写画像の光沢
上記(8−2)で記載した方法にて作製した最終画像(白ベタ)の表面の光沢度を目視にて、以下の基準で光沢を判定した。
画像光沢;
◎:光沢に優れており、優秀
○:光沢があり、良好
△:若干、光沢が低下するが、実用上、問題ないレベル
×:光沢が不十分であり、実用に耐えず、不良
(11)ヘッドカス
上記(8−1)での最終画像の転写終了後、サーマルヘッドの付着物を顕微鏡で観察にて、以下の基準でヘッドカスを判定した。
◎:サーマルヘッドに付着物がなく優れており、優秀
○:サーマルヘッドにポリエステルフィルムによる付着物は認められず、良好
△:若干、サーマルヘッドに付着物が認められるが、実用上、問題ないレベル
×:サーマルヘッドに付着物があり、実用に耐えず、不良
(ポリエステル原料a)
テレフタル酸86部、エチレングリコール70部を反応器にとり、約250℃で0.5kg/mmの加圧下、4時間エステル化反応を行った。次いで、三酸化アンチモン0.015部、平均粒径3.2μm、細孔容積1.25ml/gの多孔質シリカ粒子およびリン酸0.01部を添加した。温度を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を常圧から徐々に減じ0.5mmHgとした。4時間後重縮合反応を停止し、極限粘度0.66のポリエステル(a)を得た。このポリエステル(a)には、0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料b)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子の替わりに、平均粒径4.0μm、細孔容積1.25ml/gの多孔質シリカ粒子を添加すること以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66のポリエステル(b)を得た。このポリエステル(b)には0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料c)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子の替わりに、平均粒径2.7μm、細孔容積0.80ml/gの多孔質シリカ粒子を添加すること以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66のポリエステル(c)を得た。このポリエステル(c)には0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料d)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子の替わりに、平均粒径2.5μm、細孔容積1.25ml/gの多孔質シリカ粒子を添加すること以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66のポリエステル(d)を得た。このポリエステル(d)には0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料e)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子の替わりに、平均粒径5.0μm、細孔容積0.44ml/gの多孔質シリカ粒子を添加すること以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66のポリエステル(e)を得た。このポリエステル(e)には0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料f)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子の替わりに、平均粒径3.2μm、細孔容積1.60ml/gの多孔質シリカ粒子を添加すること以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66のポリエステル(f)を得た。このポリエステル(f)には0.50重量%の多孔質シリカ粒子が含有されていた。
(ポリエステル原料g)
ポリエステル原料aにおいて多孔質シリカ粒子を添加しないこと以外はポリエステルaとまったく同様にして極限粘度0.66の希釈用ポリエステル(g)を得た。
実施例1:
ポリエステル(a)とポリエステル(g)を混合し、平均粒径3.2μm、細孔容積1.25ml/gの多孔質シリカ粒子0.096重量%を含有する原料とした。この混合した原料を常法により乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融してシート状に押出し、静電印加密着法を用いて冷却ロール上で急冷し、無定形シートとした。得られたシートを、ロール延伸法を用いて縦方向(MD方向)に102℃で2.70倍延伸した後、さらに80℃で1.56倍延伸した。その後、テンターに導いて、横方向に130℃で4.40倍延伸し、235℃で熱処理を行い、195℃で10%の弛緩を行い、厚み4.5μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(マスターロール)を得た。このマスターロールから500mm幅にトリミングしながら、ロール状に巻き取り、ロール状フィルムとした。
実施例2:
多孔質シリカ粒子の含有量を0.060重量%、縦方向(MD方向)2段目の延伸倍率を1.50倍、熱処理を234℃、弛緩率を3%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例3:
多孔質シリカ粒子の平均粒径を4.0μm、含有量を0.040重量%、縦方向(MD方向)2段目の延伸倍率を1.60倍、熱処理を234℃、弛緩率を13%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み6μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例4:
多孔質シリカ粒子の平均粒径を2.7μm、細孔容積を0.80ml/g、含有量を0.098重量%、熱処理温度を232℃、弛緩率を7%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較例1:
縦方向(MD方向)2段目の延伸温度を88℃で1.67倍、熱処理温度を230℃、弛緩率を5%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較例2:
多孔質シリカ粒子の平均粒径を2.5μm、含有量を0.12重量%、熱処理温度を238℃、弛緩率を5%に変更した以外は、実施例3と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較例3:
多孔質シリカ粒子の平均粒径を5.0μm、細孔容積を0.44ml/g、含有量を0.03重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
比較例4:
多孔質シリカ粒子の細孔容積を1.60ml/gに変更した以外は、実施例1と同様にして、厚み4.5μmのロール状の二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
実施例1〜4および比較例1〜4について得られた結果をまとめて下記表1に示す。
Figure 0005319940
本発明のフィルムは、例えば、昇華型感熱転写方式、溶融型感熱転写方式などのとりわけ、一般家庭用の安価な熱転写プリンタなどで繰り返し印画されるような用途において好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 細孔容積が0.50〜1.50ml/gであり、平均粒径が2.6〜4.5μmの多孔質シリカ粒子を0.04〜0.15重量%含有し、23〜230℃におけるフィルム長手方向の最大収縮応力が10〜24g/cmであり、200℃での幅方向のフィルム加熱収縮率が−2.0〜2.5%であることを特徴とする熱転写インクリボン用二軸延伸ポリエステルフィルム。
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