JP5317117B2 - 窒化物単結晶の製造装置 - Google Patents
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窒化アルミニウム単結晶は、熱伝導率が290Wm−1K−1と非常に高く、窒化ガリウムとの格子不整合が2.4%と小さいため、窒化ガリウム系、特に、より格子不整合の小さいAlGaN系半導体の基板材料として期待されている。
従来の窒化物単結晶の製造装置1は、内底部に窒化アルミニウム粉末などの原料22を収納する成長容器4と、成長容器4を支持する支持台2と、成長容器4の上部の開口部を塞ぐサセプタ3と、を備えて構成されている。
サセプタ3の下面には原料22と対向するように種子基板23が貼り付けられている。成長容器4本体外周に沿って、成長容器4内部に配された原料22やサセプタ3、種子基板23を加熱する抵抗加熱方式による加熱手段7が設けられている。成長容器4および加熱手段7は、チャンバー8によって包囲されている。チャンバー8の天井部には、窒素ガスなどのガス供給装置に接続されたガス導入部5が形成され、更に、圧力調整弁6を介して真空ポンプなどの減圧装置が接続されて、チャンバー8の内部を所定のガス圧力に調整できるようになっている。
そして、原料22が配された成長容器4やサセプタ3、種子基板23を加熱する。加熱で昇華させて分解気化された原料22は、窒素ガス雰囲気下で種子基板23上に結晶成長することで、窒化物単結晶24となり成長する。
このような問題を解決する方法として、各加熱手段間に熱遮蔽部材を設けることにより、成長容器内の温度勾配を制御する技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、分解気化された原料成分が窒化物単結晶へと結晶成長する際には、潜熱が発生する。発生した潜熱は、窒化物単結晶から種子基板を介してサセプタへと伝達されることで放散されるが、この熱伝達が速やかでない場合には、窒化物単結晶が安定成長せず、結晶成長速度が低下してしまうという問題があった。
上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する成長容器と、
該開口部を塞ぐサセプタと、
前記原料に対向するように配置された種子基板と、
前記成長容器の外周に配設された複数の加熱手段と、
を少なくとも備えた窒化物単結晶の製造装置であって、各加熱手段間にカーボン繊維系断熱材からなる熱遮蔽部材が設けられるとともに、前記加熱手段と前記成長容器の成長部との間に、前記種子基板の設置位置より上方に位置して前記サセプタの下部側から上部側までの部分の周囲を取り囲むことができる鉛直方向厚さを有し、かつ、水平方向の厚さ5〜100mmの熱遮蔽部材が設けられていることを特徴とする。
また、本発明の窒化物単結晶の製造装置は、熱遮蔽部材としてカーボン繊維系断熱材を用いる構成とすることにより、熱遮蔽部材の遮熱性および耐熱性を高めることができる。これにより、成長容器内部の温度制御をより厳密に行うことができ、成長部付近において局所的に大きな温度差を設けることが可能となり、結晶成長速度を向上させることができる。
さらに、本発明の窒化物単結晶の製造装置は、加熱手段と成長容器の成長部との間に設けられた熱遮蔽部材の厚さを5〜100mmとすることにより、成長部に配設されたサセプタを、加熱手段からの輻射熱から効果的に遮断することが可能となる。これにより、結晶成長で発生する潜熱の拡散速度を向上させ、潜熱による成長部の温度上昇を防ぐことが可能となるため、成長容器内の成長部付近において、局所的に大きな温度差を設けて、窒化物単結晶の結晶成長速度を向上させることができる。
サセプタ3は、黒鉛などからなる板状のもので、成長容器4の開口部上面に載置されている(あるいは単純に嵌めあわせてある)だけであり、成長容器4とサセプタ3により形成される内部空間は、窒素ガスの出入りが容易な準密閉的な構造となっている。また、サセプタ3の下面には原料22と対向するように種子基板23が貼り付けられている。
結晶成長用の種子基板23は、例えば直径2インチの6H−SiC単結晶板または窒化アルミニウム単結晶であり、種子基板23として6H−SiC単結晶板を用いた場合、種子基板23上において窒化アルミニウム単結晶24の被堆積面は(0001)SiC面である。
加熱手段は、主として原料22が収容されている位置の成長容器4の周囲を取り囲んで設けられた第1の加熱手段7aと、この第1の加熱手段7aの上方であって、種子基板23の位置よりも下側の領域を取り囲んで成長容器4の周囲に設けられた第2の加熱手段7bと、種子基板23の設置位置を取り囲むように成長容器4の周囲に設けられた第3の加熱手段7cとから構成されている。この第3の加熱手段7cは、種子基板23の周囲側からその上方のサセプタ3の下部周囲側の部分までを取り囲むことができる厚み(鉛直方向厚み)に形成されている。そして、加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12は、種子基板23の設置位置より上方に位置してサセプタ3の下部側から上部側までの部分の周囲を取り囲むことができるような厚さ(鉛直方向厚さ)をもって配置されている。この加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12の配置により、加熱手段7cによって成長容器4を介して種子基板23を加熱できると同時に、加熱手段7cによるサセプタ3の不要な加熱を抑制できるようになっている。
また、加熱手段7aと加熱手段7bとの間には、仕切り熱遮蔽部材11aが成長容器4の周囲を取り囲むように配置され、加熱手段7bと加熱手段7cとの間には、仕切り熱遮蔽部材11bが成長容器4の周囲を取り囲むように配置され、加熱手段7cの上方には、仕切り熱遮蔽部材11cがサセプタ3と加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12の設定位置よりも上方に位置するようにして成長容器4を取り囲むように設けられている。また、仕切り熱遮蔽部材11cの中央部は、サセプタ3の通過が可能なように中空構造となっている。
仕切り熱遮蔽部材11a、11b、11cおよび加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12としては特に限定されるものではなく、断熱材として従来公知の材料を用いることができるが、遮熱性および耐熱性の観点からカーボン繊維系断熱材が好ましく、例えば、カーボンフェルトや成型断熱材などを挙げることができる。仕切り熱遮蔽部材11a、11b、11cおよび加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12としてカーボン繊維系断熱材を用いることにより、該熱遮蔽材の遮熱性および耐熱性を高めることできる。これにより、加熱手段7cからの輻射を防いで、サセプタ3への加熱手段7cからの必要以上の熱伝達を防止し、成長容器4内部の温度制御をより厳密にすることが可能となり、成長部A付近において中央部Bと局所的に大きな温度差を設けて、結晶成長速度を向上させることができる。
また、チャンバー8の内壁全体には、熱遮蔽部材13が設けられている。この熱遮蔽部材13としては、特に限定されるものではなく、断熱材として従来公知の材料を用いることができ、前述した仕切り熱遮蔽部材11a、11b、11cおよび加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12と同じものを挙げることができる。すなわち、熱遮蔽部材13と仕切り熱遮蔽部材11aとに囲まれて原料部Cは、他の部分からの輻射熱を受けにくくなっているとともに、熱遮蔽部材13と仕切り熱遮蔽部材11a、11bとに囲まれて、中央部Bは他の部分からの輻射熱を受けにくくされている。また、成長部Aにおいては、窒化物単結晶24とその上部のサセプタ3の部分が、仕切り熱遮蔽部材11b、11c、加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12により囲まれて他の部分からの輻射熱を受けにくいとともに、加熱手段7cの熱は成長容器4を介して窒化物単結晶24には伝わりやすく、加熱手段7cの熱は加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12で遮ることでサセプタ3には伝わりにくくなっている。さらに、チャンバー8の外部には、複数の放射温度計9が配設されており、チャンバー8に設けられた窓を介して成長容器4の外壁温度を測定することにより、成長容器4の原料部C、中央部Bおよび成長部Aの温度を測定することができる。
まず、成長容器4に設けられている図示略の搬入口を開けて、窒化アルミニウム粉末などの原料22を成長容器4の内底部にセットし、種子基板23をサセプタ3に配した後、搬入口を閉じて成長容器4とサセプタ3とで形成された内部空間を準密閉状態とする。
次いで成長容器4内およびチャンバー8内を圧力調整弁6により真空排気した後、ガス導入部5により窒素ガスなどのプロセスガスを成長容器4内に導入して、圧力を調整する。ここでの圧力は1〜1000Torr、より好ましくは10〜500Torrに設定することができる。
そして原料22が配された成長容器4内の原料部Cの温度、および成長部Aと原料部Cの間の空間である中央部Bの温度が、種子基板23が配された成長部Aの温度よりも高温となるように、加熱手段7a、7b、7cを用いて成長容器4内の原料部C、中央部Bおよび成長部Aを加熱する。ここで、原料部Cの温度は1750〜2450℃、より好ましくは1800〜2400℃に設定することができ、中央部Bの温度は1750〜2500℃、より好ましくは1800〜2450℃に設定することができ、成長部Aの温度は1700〜2400℃、より好ましくは1750〜2350℃に設定することができる。さらに、成長容器4内の中央部Bと成長部Aの温度差は、10〜300℃の範囲とすることが好ましく、50〜250℃の範囲とすることがより好ましい。中央部Bと成長部Aの温度差を前記範囲とすることにより、成長部Aにおいて急激に温度が低下するため、原料部Cで加熱され分解気化された成分を良好な成長速度で種子基板上に結晶成長させることが可能となる。
成長容器4内の原料部C、中央部Bおよび成長部Aの温度制御は、成長容器4本体外周に沿って、原料部C、中央部B、成長部Aの3ゾーンをそれぞれ独立制御で加熱することのできる加熱手段7a、7b、7cを少なくとも3つ設置し、成長容器2の各ゾーンの外壁の温度を放射温度計9で測定しながら各加熱手段7a、7b、7cの出力を調整することにより行うことができる。
加熱で昇華させて分解気化された原料22は、窒素ガス雰囲気下で種子基板23上に結晶成長することで、種子基板23上に窒化物単結晶24となり成長する。
また、本発明の窒化物単結晶の製造装置は、熱遮蔽部材としてカーボン繊維系断熱材を用いる構成とすることにより、熱遮蔽部材の遮熱性および耐熱性を高めることできる。これにより、成長容器内部の温度制御をより厳密に行うことができ、成長部付近において局所的に大きな温度差を設けることが可能となり、結晶成長速度を向上させることができる。
さらに、本発明の窒化物単結晶の製造装置は、加熱手段と成長容器の成長部との間に設けられた熱遮蔽部材の厚さを5〜100mmとすることにより、成長部に配設されたサセプタを、加熱手段からの輻射熱から効果的に遮断することが可能となる。これにより、結晶成長で発生する潜熱の拡散速度を向上させ、潜熱による成長部の温度上昇を防ぐことが可能となるため、成長容器内の成長部付近において、局所的に大きな温度差を設けて、窒化物単結晶の結晶成長速度を向上させることができる。
図1に示す製造装置を用いて、窒化アルミニウム単結晶を製造した。
種子基板23として、直径2インチの6H−SiC(0001)を用い、熱遮蔽部材13および仕切り熱遮蔽部材11としてカーボンフェルト成型断熱材FGL−203(日本カーボン社製)を用い、加熱手段−成長容器間熱遮蔽部材12として表1に記載の水平方向の厚さのカーボンフェルト成型断熱材FGL−203(日本カーボン社製)を用いて、窒化アルミニウム単結晶を作製した。得られた窒化アルミニウム単結晶の単結晶成長厚さ、および成長速度を表1に併記した。なお、結晶成長条件は、次の通りである。
成長容器内圧力:30Torr、窒素ガス流量:500sccm、原料部温度:1950℃、中央部温度:2100℃、成長部温度:1900℃、結晶成長時間:30時間。
Claims (2)
- 上部に開口部を有し、内底部に原料を収納する成長容器と、
該開口部を塞ぐサセプタと、
前記原料に対向するように配置された種子基板と、
前記成長容器の外周に配設された複数の加熱手段と、
を少なくとも備えた窒化物単結晶の製造装置であって、各加熱手段間にカーボン繊維系断熱材からなる熱遮蔽部材が設けられるとともに、前記加熱手段と前記成長容器の成長部との間に、前記種子基板の設置位置より上方に位置して前記サセプタの下部側から上部側までの部分の周囲を取り囲むことができる鉛直方向厚さを有し、かつ、水平方向の厚さ5〜100mmの熱遮蔽部材が設けられていることを特徴とする窒化物単結晶の製造装置。 - 前記窒化物は窒化アルミニウムであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物単結晶の製造装置。
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